以下、添付図面に従って、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態である文書処理システムの概要を、図1〜図13を参照して説明する。この文書処理システムでは、一般アプリケーションにより作成されたデータファイルが、電子原稿ライタによって電子原稿ファイルに変換される。製本アプリケーションはその電子原稿ファイルを編集する機能を提供している。尚、本例では、それぞれの機能が明瞭になるように、一般アプリケーション、電子原稿ライタ、製本アプリケーション、電子原稿デスプーラと分離して示している。しかし、ユーザに提供されるパッケージはこれらに限定されず、これらを組み合わせたアプリケーションやグラフィックエンジンとして提供されてもよい。以下、その詳細は説明する。
<ソフトウェア構成例>
図1は、本実施形態の文書処理システムのソフトウェア構成を示す図である。文書処理システムは、本発明の文書処理装置(情報処理装置)の好適な実施形態であるデジタルコンピュータ100(以下、ホストコンピュータとも呼ばれる)によって実現されている。一般アプリケーション101は、ワードプロセシングやスプレッドシート、フォトレタッチ、ドローあるいはペイント、プレゼンテーション、テキスト編集などの機能を提供するアプリケーションプログラムであり、OSに対する印刷機能を有している。
これらアプリケーションは、作成された文書データや画像データなどのアプリケーションデータを印刷するにあたって、オペレーティングシステム(以下OSと呼ぶ)により提供される所定のインタフェース(一般に、GDIと呼ばれる)を利用する。このときアプリケーション101は、作成したデータを印刷するために、該インタフェースを提供するOSの出力モジュールに対して、あらかじめ定められる、OSに依存する形式の出力コマンド(GDI関数と呼ばれる)を送信する。出力コマンドを受けた出力モジュールは、プリンタ等の出力デバイスが処理可能な形式にそのコマンドを変換し、変換されたコマンド(DDI関数と呼ばれる)を出力する。
出力デバイスが処理可能な形式はデバイスの種類やメーカ、機種などによって異なる。そこで、デバイスごとにデバイスドライバが提供されており、OSではそのデバイスドライバを利用してコマンドの変換を行い、印刷データを生成し、JL(Job Language)でくくることにより印刷ジョブが生成される。OSとしてマイクロソフト社のウインドウズ(登録商標)を利用する場合には、前述した出力モジュールとしてはGDI(Graphic Device Interface)と呼ばれるモジュールが相当する。
電子原稿ライタ102は、前述のデバイスドライバを改良したものであり、本文書処理システム実現のために提供されるソフトウェアモジュールである。ただし、電子原稿ライタ102は特定の出力デバイスを目的としておらず、後述の製本アプリケーション104やプリンタドライバ106により処理可能な形式に出力コマンドを変換する。この電子原稿ライタ102による変換後の形式(以後、「電子原稿形式」と呼ぶ。)は、ページ単位の原稿を詳細な書式をもって表現可能であれば特に問わない。実質的な標準形式のうちでは、例えば米国アドビシステムズ社によるPDF(Portable Document Format)形式や、W3Cにより公開されているSVG(Scalabele Vector Graphics)形式などが電子原稿形式として採用できる。
アプリケーション101により電子原稿ライタ102を利用させる場合には、出力に使用するデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してから印刷を実行させる。ただし、電子原稿ライタ102によって作成されたままの電子原稿ファイルは、電子原稿ファイルとして完全な形式を備えていない。そのため、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定するのは製本アプリケーション104であり、その管理下でアプリケーションデータの電子原稿ファイルへの変換が実行される。製本アプリケーション104は、電子原稿ライタ102が生成した新規の不完全な電子原稿ファイルを後述する形式を備えた電子原稿ファイルとして完成させる。
以下では、この点を明瞭に識別する必要がある際には、電子原稿ライタ102によって作成されたファイルを電子原稿ファイルと呼び、製本アプリケーションによって構造を与えられた電子原稿ファイルをブックファイルと呼ぶ。また、特に区別する必要がない場合は、アプリケーションにより生成されるドキュメントファイル、電子原稿ファイル、及びブックファイルをいずれも文書ファイル(または文書データ)と呼ぶ。
このようにデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定し、一般アプリケーション101によりそのデータを印刷させる。これによりアプリケーションデータはアプリケーション101によって定義されたページ(以後、「論理ページ」あるいは「原稿ページ」と呼ぶ。)を単位とする電子原稿形式に変換される。そして、電子原稿ファイル103としてハードディスクなどの記憶媒体に格納される。なお、ハードディスクは、本実施形態の文書処理システムを実現するコンピュータが備えているローカルドライブであってもよいし、ネットワークに接続されている場合にはネットワーク上に提供されるドライブであっても良い。
製本アプリケーション104は、電子原稿ファイルあるいはブックファイル103を読み込み、それを編集するための機能を利用者に提供する。ただし製本アプリケーション104は、各ページの内容を編集する機能は提供しておらず、ページを最小単位として構成される、後述する章やブックの構造を編集するための機能を提供している。
製本アプリケーション104によって編集されたブックファイル103を印刷する際には、製本アプリケーション104によって電子原稿デスプーラ105が起動される。即ち、製本アプリケーション104は、印刷データを生成するための機構として機能することとなる。
電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーションで利用するドキュメント(ブックファイル)を印刷する際に、プリンタドライバへ描画データを出力するために使用されるプログラムモジュールである。また、製本アプリケーションと共にコンピュータ内にインストールされる。電子原稿デスプーラ105は、指定されたブックファイルをハードディスクから読み出し、ブックファイルに記述された形式で各ページを印刷するために、OSの出力モジュールに適合する出力コマンドを生成し、不図示の出力モジュールに出力する。その際に、出力デバイスとして使用されるプリンタ107のプリンタドライバ106がデバイスドライバとして指定される。出力モジュールは、指定されたプリンタ107のプリンタドライバ106を用いて受信した出力コマンドを、プリンタ107で解釈実行可能なデバイスコマンドに変換する。そしてデバイスコマンドはプリンタ107に送信され、プリンタ107によってコマンドに応じた画像が印刷される。
<ハードウェア構成例>
図2は、本実施形態の文書処理システムのハードウェア構成を示す図である。図2において、ホストコンピュータ100は、ROM203内のプログラム用ROMあるいは外部メモリ211に記憶された文書処理プログラム等に基づいて図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理を実行するCPU201を備え、システムバス204に接続される各デバイスをCPU201が総括的に制御する。
また、このROM203内のプログラム用ROMあるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム等を記憶し、ROM203内のフォント用ROMあるいは外部メモリ211には上記文書処理の際に使用するフォントデータ等を記憶し、ROM203内のデータ用ROMあるいは外部メモリ211には上記文書処理等を行う際に使用する各種データを記憶する。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
キーボードコントローラ(KBC)205は、キーボード(KB)209や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)206は、CRTディスプレイ(CRT)210の表示を制御する。207はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタ制御コマンド生成プログラム(以下プリンタドライバ)等を記憶するハードディスク(HD)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等の外部メモリ211とのアクセスを制御する。プリンタコントローラ(PRTC)208は、双方向性インタフェース(インタフェース)21を介してプリンタ107に接続されて、プリンタ107との通信制御処理を実行する。NC212はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。
なお、CPU201は、例えばRAM202上に設定された表示情報RAMへのアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行し、CRT210上でのWYSIWYGを可能としている。また、CPU201は、CRT210上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウインドウを開き、種々のデータ処理を実行する。ユーザは印刷を実行する際、印刷の設定に関するウインドウを開き、プリンタの設定や、印刷モードの選択を含むプリンタドライバに対する印刷処理方法の設定を行える。
プリンタ107は、CPU312により制御される。プリンタのCPU312は、ROM313内のプログラム用ROMに記憶された制御プログラム等あるいは外部メモリ314に記憶された制御プログラム等に基づいてシステムバス315に接続される印刷部(プリンタエンジン)317に出力情報としての画像信号を出力する。また、このROM313内のプログラムROMには、CPU312の制御プログラム等を記憶する。ROM313内のフォント用ROMには上記出力情報を生成する際に使用するフォントデータ等が記憶され、ROM313内のデータ用ROMには、ハードディスク等の外部メモリ314がないプリンタの場合には、ホストコンピュータ上で利用される情報等が記憶されている。
CPU312は入力部318を介してホストコンピュータとの通信処理が可能となっており、プリンタ内の情報等をホストコンピュータ100に通知できる。RAM319は、CPU312の主メモリや、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。なお、RAM319は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。前述したハードディスク(HD)、ICカード等の外部メモリ314は、メモリコントローラ(MC)20によりアクセスを制御される。外部メモリ314は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。また、321は前述した操作パネルで、操作のためのスイッチ及びLED表示器等が配されている。
また、前述した外部メモリ314は1個に限らず、複数個備えられ、内蔵フォントに加えてオプションカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていてもよい。更に、図示しないNVRAMを有し、操作パネル321からのプリンタモード設定情報を記憶するようにしてもよい。
<電子原稿データの形式例>
編集アプリケーション104の詳細を言及する前に、ブックファイルのデータ形式を説明する。
図3は、ブックファイルを、大きくブック構成情報301とページデータ302とに分類して説明している図である。ページデータ302は、ブックファイルに取り込まれた複数ページをプールする領域である。各ページを単位とした構成を保持しているのがブック構成情報301である。
図4は、ブック構成情報301の詳細を示すデータ構造の例を示す図である。この例では紙媒体の書物を模した3層の層構造を有する。上位層は「ブック」と呼ばれ、1冊の本を模しており、その文書全般に係る属性が定義されている。その下の中間層は、本でいう章に相当し、やはり「章」と呼ばれる。各章についても、章ごとの属性が定義できる。下位層は「ページ」であり、アプリケーションプログラムで定義された各ページに相当する。各ページついてもページごとの属性が定義できる。ひとつのブックは複数の章を含んでいてよく、また、ひとつの章は複数のページを含むことができる。
この例のブックファイルにおける、ブック、章、ページは、それぞれに相当するノードにより示されている。ひとつのブックファイルはひとつのブックを含む。ブック、章は、ブックとしての構造を定義するための概念であるから、定義された属性値と下位層へのリンクとをその実体として含む。ページは、アプリケーションプログラムによって出力されたページごとのデータを実体として有する。そのため、ページは、その属性値のほか、原稿ページの実体(原稿ページデータ)と各原稿ページデータへのリンクを含む。尚、紙媒体等に出力する際の印刷ページは複数の原稿ページを含む場合がある。この構造に関してはリンクによって表示されず、ブック、章、ページ各階層における属性として表示される。
まず最上位にブック情報401を持つ。ブック情報401は402〜404の3つのパートに大別できる。ブック制御情報402は、文書ファイルのファイルシステムにおけるパス名などの情報を保持する。ブック設定情報403は、ページレイアウトなどのレイアウト情報とステイプルなど印刷装置の機能設定情報を保持し、ブックの属性に相当する。章情報リスト404は、文書を構成している章の集合をリスト形式で保持する。リストが保持するのは章情報405である。
章情報405も406〜408の3つのパートに大別できる。章制御情報406は、章の名称などの情報を保持する。章設定情報407は、その章特有のページレイアウトやステイプルの情報を保持し、章の属性に相当する。章ごとに章設定情報407をもつことで最初の章は2UPのレイアウトその他の章は4UPのレイアウトのように複雑なレイアウトを持った文書を作成することが可能である。ページ情報リスト408は各章を構成する原稿ページの集合リスト形式で保持している。ページ情報リスト408が指示するのは、ページ情報データ409である。
ページ情報409も410〜412の3つのパートに大別される。ページ制御情報410は、ツリー上に表示するページ番号などの情報を保持する。ページ設定情報411は、ページ回転角やページの配置位置情報などの情報を保持し、原稿ページの属性に相当する。ページリンク情報412は、ページに対応する原稿データである。この例では、ページ情報409が直接原稿データを持つのではなく、リンク情報412だけをもち、実際の原稿データは、ページデータリスト413で保持する構成としている。
図5は、ブック属性(ブック設定情報403)の例を示すリストである。通常、下位層(章やページ)と重複して定義可能な項目に関しては、下位層の属性値が優先採用される。そのため、ブック属性にのみ含まれる項目に関しては、ブック属性に定義された値はブック全体を通して有効な値となる。しかし、下位層と重複する項目については、下位層において定義されていない場合における既定値としての意味を有する。しかし、本実施形態では、後述するように、下位層の属性値を優先するか否かが選択可能となっている。なお、図示された各項目は具体的に1項目に対応するのではなく、関連する複数の項目を含むものもある。
ブック属性は、属性項目501、設定値502及び備考503で構成される。本実施形態において、ブック属性に固有の属性項目501は、印刷方法、面付け方法、仕上がりサイズ、とじ方法、とじ代、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章の区切り、トンボ・ドブの10項目である。これらは、ブックを通して定義される項目である。
印刷方法としては、片面印刷、両面印刷、の2つの値を指定できる。
面付け方法には、ペラ、中綴じ、4つ折りの3つの値を指定できる。ペラとは、仕上げの際に用紙を折らないでとじることができる面付け方法である。中綴じとは、別途指定する枚数の用紙を束にして2つ折りにし、その束をつづり合わせることで製本が可能となる形式に適したレイアウトを行う面付け方法である。図示はしていないが、中綴じの場合には、さらに詳細属性として見開き方向や、束になる枚数等が指定できる。4つ折りとは、用紙を縦横それぞれ1回ずつ折って、四つ折の状態で折った袋部分を断裁する事で製本が可能となる形式に適したレイアウトを行う面付け方法である。袋の位置やとじ方向に応じて、右とじ天袋、右とじ左袋などの詳細設定項目がある。
仕上がりサイズは、用紙を断裁して複数のページを作成する際に、用紙を断裁するサイズの指定である。A3ノビサイズに仕上がりサイズA4を2つ面付けする形式が代表的な例である。とじ方法は、通常、くるみ(くるみ製本)、中綴じ、4つ折りがある。とじ代は、ブックとしてまとめられる電子原稿ファイルを印刷する際に、とじ代を付加することの指定を含む。とじ代の設定値のシフトやサイズの縮小が可能である。ここで、「くるみ(くるみ製本)」とは、インラインフィニッシャまたは、オフラインフィニッシャによるくるみ製本が可能となるとじ形式である。くるみ製本は、印刷した中紙を綴じ位置に糊付けし、くるみ表紙でくるんで製本し、必要に応じて三方断裁される。「4つ折り」とは、出力用紙を4つ折りにして、束にすると、無線とじ製本が可能となる形式で、印刷ページを面付けする方法である。無線とじ製本は、オフラインフィニッシャにより三方断裁または四方断裁することにより実現される。
表紙/裏表紙は、ブックとしてまとめられる電子原稿ファイルを印刷する際に、表紙及び裏表紙となる用紙を付加することの指定、及び付加した用紙への印刷内容の指定を含む。インデックス紙属性は、章の区切りとして、印刷装置に別途用意される耳付きのインデックス紙の挿入の指定及びインデックス(耳)部分への印刷内容の指定を含む。この属性は、印刷用紙とは別に用意された用紙を所望の位置に挿入するインサート機能を持ったインサータが使用する印刷装置に備えられている場合か、あるいは、複数の給紙カセットを使用可能である場合に有効となる。これは合紙属性についても同様である。
合紙属性は、章の区切りとして、インサータからあるいは給紙カセットから供給される用紙の挿入の指定、及び、合紙を挿入する場合には、給紙元の指定などを含む。
章の区切りは、章の区切り目において、新たな用紙を使用するか、新たな印刷ページを使用するか、特に何もしないか等の指定を含む。片面印刷時には新たな用紙の使用と新たな印刷ページの使用とは同じ意味を持つ。両面印刷時には、「新たな用紙の使用」を指定すれば連続する章が1枚の用紙に印刷されることは無いが、「新たな印刷ページの使用」を指定すれば、連続する章が1枚の用紙の表裏に印刷されることがあり得る。
トンボ・ドブ属性は、電子原稿ファイルを印刷する際に、印刷ページに対しトンボの印刷、及びドブ(裁ち落とし)を指定したい場合に指定するための項目である。ドブ領域(裁ち落とし幅)は、仕上がりページの各辺に付与でき、印刷用紙を断裁するときに、裁ち落とされる幅を表す。トンボマーク(裁ち落とし位置目印)は、オフラインフィニッシャを用いてユーザが裁ち落としを行う際の位置を示す目印である。
図6は、章属性(章設定情報407)の、図7はページ属性(ページ設定情報411)の例を示すリストである。章属性とページ属性との関係もブック属性と下位層の属性との関係と同様である。
章属性に関しては、章に固有の項目はなく、すべてブック属性と重複する。したがって、通常は、章属性における定義とブック属性における定義とが異なれば、章属性で定義された値が優先する。しかし、本例では、後述するように、下位層の属性値を優先するか否かが選択可能となっている。
図6において、ブック属性と章属性とにのみ共通する項目は、用紙サイズ、用紙方向、N−up印刷指定、拡大縮小、排紙方法(フィニッシング)の5項目である。このうち、用紙サイズは、前述したように、印刷用紙のサイズを示し、くるみ製本や二つ折り製本(上記製本印刷に相当)が選択されていない場合は、章単位に用紙サイズを切り替えることが可能である。用紙方向は、ポートレイト(縦)であるか、ランドスケープ(横)であるかを示す。
N−up印刷指定は、1印刷ページに含まれる原稿ページ数を指定するための項目である。指定可能な配置としては、1×1や1×2、2×2、3×3、4×4などがある。拡大縮小属性でONされている場合には、出力用紙サイズに合わせて、入力される原稿ページを拡大縮小することを示す。排紙方法(フィニッシング)は、排出した用紙にステイプル処理を施すか否かを指定するための項目であり、この属性の有効性は使用する印刷装置がステイプル機能を有するか否かに依存する。
次に図7において、ページ属性に固有の項目には、ページ回転指定、ズーム、ページ分割などがある。ページ回転指定は、原稿ページを印刷ページに配置する際の回転角度を指定するための項目である。ズームは、原稿ページの変倍率を指定するための項目である。変倍率は、仮想論理ページ領域のサイズを100%として指定される。仮想論理ページ領域とは、原稿ページを、N−up等の指定に応じて配置した場合に、1原稿ページが占める領域である。例えば1×1であれば、仮想論理ページ領域は1印刷ページに相当する領域となり、1×2であれば、1印刷ページの各辺を約70パーセントに縮小した領域となる。
ブック、章、ページについて共通な属性として、ウォーターマーク及びヘッダ・フッタがある。ウォーターマークとは、アプリケーションで作成されたデータに重ねて印刷される、別途指定される画像や文字列などである。ヘッダ・フッタは、それぞれ各ページの上余白及び下余白に印刷されるウォーターマークである。ただし、ヘッダ・フッタには、ページ番号や日時など、変数により指定可能な項目が用意されている。
なお、ウォーターマーク及びヘッダ・フッタの各属性について指定可能な内容は、章とページとは共通であるが、ブックはそれらと異なっている。ブックにおいてはウォーターマークやヘッダ・フッタの内容を設定できるし、また、ブック全体を通してどのようにウォーターマークやヘッダ・フッタを印刷するかを指定することができる。一方、章やページでは、その章やページにおいて、ブックで設定されたウォーターマークやヘッダ・フッタを印刷するか否かを指定できる。
<文書処理システムの操作手順例>
(ブックファイルの生成手順例)
ブックファイルは、上述したような構造及び内容を有している。次に、製本アプリケーション104及び電子原稿ライタ102によってブックファイルを作成する手順を説明する。ブックファイルの作成は、製本アプリケーション104によるブックファイルの編集操作の一環として実現される。
図8は、製本アプリケーション104によりブックファイルを開く際の手順を示すフローチャートである。
まず、開こうとするブックファイルが、新規作成すべきものであるか、それとも既存のものであるか判定する(ステップS801)。新規作成の場合には、章を含まないブックファイルを新規に作成する(ステップS802)。新規に作成されるブックファイルは、図4の例で示せば、ブック情報401のみ有し、章のノードに対するリンクが存在しないブックのノードとなる。ブック属性(ブック設定情報403)には、新規作成用としてあらかじめ用意された属性のセットが適用される。そして、新規ブックファイルを編集するためのユーザインタフェース(UI)画面を表示する(ステップS804)。
図9は、新規にブックファイルが作成された際のUI画面の一例である。この場合には、ブックファイルは実質的な内容を持たないために、UI画面900には何も表示されない。
一方、既存のブックファイルがあれば、指定されたブックファイルを開き(ステップS803)、そのブックファイルの構造、属性、内容に従ってユーザインタフェース(UI)画面を表示する。図10は、このUI画面の一例である。UI画面1000は、ブックの構造を示すツリー部1001と、印刷された状態を表示するプレビュー部1002とを含む。ツリー部1001には、ブックに含まれる章、各章に含まれるページが、図4のような木構造が分かるように表示される。ツリー部1001に表示されるページは原稿ページである。プレビュー部1002には、印刷ページの内容が縮小されて表示される。その表示順序は、ブックの構造を反映したものとなっている。
開かれたブックファイルには、電子原稿ライタ102によって電子原稿ファイルに変換されたアプリケーションデータを、新たな章として追加することができる。この機能を電子原稿インポート機能と呼ぶ。図8の手順によって新規に作成されたブックファイルに電子原稿インポートすることで、そのブックファイルには実体が与えられる。この機能は、図9あるいは図10の画面にアプリケーションデータをドラッグアンドドロップ操作することで起動される。
図11に、新規作成されたブックファイルに電子原稿インポートを行う場合の処理の一例を示すフローチャートである。まず、図8のフローチャートに従い新たなブックファイルを作成してそれを開く(ステップS1101)。そして、インポート対象としてのデータの指定を受け付ける。ステップS1102では、このインポート対象として指定されたデータのフォーマットが画像ファイルである否かを判定する。この判定は、ウインドウズOSの下であれば、アプリケーションデータのファイル拡張子に基づいて行うことができる。例えば、拡張子が「bmp」であればウインドウズビットマップデータであり、「jpg」であればJPEG圧縮された画像データ、「tiff」であればtiff形式の画像データであると判定できる。
もし、その他のファイルフォーマットであると判定された場合は(ステップS1102において「その他」)、ステップS1103に移行する。ステップS1103では、指定されたアプリケーションデータに対応するアプリケーションを起動し、電子原稿ライタ102をデバイスドライバとして、OSの出力モジュールに対して出力コマンドを送信させる。出力モジュールは、受信した出力コマンドを電子原稿ライタ102によって電子原稿形式のデータに変換し、出力する。
一方、画像データであった場合には(ステップS1102において「画像」)、ステップS1104に移行する。ステップS1104では、アプリケーションを起動せずにファイルフォーマットを変換することで電子原稿ファイルに変換する。この例では、画像ファイルだけをフォーマット変換の対象としているが、PDFやPSなどフォーマットが公開されているデータであれば、データ変換のコンバータを作成することが可能である。
指定されたデータについて変換が終了したらブックファイルへ追加する(ステップS1105)。指定されたデータが複数ファイルの場合は、ステップS1101からステップS1105をファイルの数だけループすることで複数ファイルをブックファイルにインポートすることができる。
(ブックファイルの編集例)
以上のようにして、アプリケーションデータからブックファイルを作成することができる。生成されたブックファイルについては、章及びページに対して次のような編集操作が可能である。
(1)新規追加
(2)削除
(3)コピー
(4)切り取り
(5)貼り付け
(6)移動
(7)章名称変更
(8)ページ番号名称振り直し
(9)表紙挿入
(10)合紙挿入
(11)インデックス紙挿入
(12)各原稿ページに対するページレイアウト
このほか、一旦行った編集操作を取り消す操作や、さらに取り消した操作をやり直す操作が可能である。これら編集機能により、例えば複数のブックファイルの統合、ブックファイル内で章やページの再配置、ブックファイル内で章やページの削除、原稿ページのレイアウト変更、合紙やインデックス紙の挿入などといった編集操作が可能となる。これらの操作を行うと、図4乃至図6に示す属性に操作結果が反映されたり、あるいはブックファイルの構造に反映されたりする。
例えば、ブランクページの新規追加操作を行えば、指定された箇所にブランクページが挿入される。このブランクページは原稿ページとして扱われる。また、原稿ページに対するレイアウトを変更すれば、その変更内容は、印刷方法やN−up印刷、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切りといった属性に反映される。本例における、編集時の表示及び操作例については、以下で詳細に示す。
(ブックファイルの出力例)
以上のように作成・編集されるブックファイルは印刷出力を最終目的としている。利用者が図10に示す製本アプリケーション104のUI画面1000からファイルメニュー1003を選択し、そこから印刷を選択すると、指定した出力デバイスにより印刷出力される。この際、まず製本アプリケーション104は、現在開かれているブックファイルから印刷データとしてのジョブチケットを作成して電子原稿デスプーラ105に渡す。電子原稿デスプーラ105は、ジョブチケットをOSの出力コマンド、例えばウインドウズのGDIコマンドに変換し、それを出力モジュール、例えばGDIに送信する。出力モジュールは、指定されたプリンタドライバ106によってデバイスに適したコマンドを生成し、そのデバイスに送信する。
すなわち、図示しない出力モジュールのグラフィックエンジンは、印刷装置ごとに用意されたプリンタドライバ106を外部メモリ211からRAM202にロードし、出力をプリンタドライバ106に設定する。そして、出力モジュールは、受け取ったGDI(Graphic Device Interface)関数をDDI(Device Driver Interface)関数に変換して、プリンタドライバ106へDDI関数を出力する。
プリンタドライバ106は、出力モジュールから受け取ったDDI関数に基づいて、プリンタが認識可能な制御コマンド、例えばPDL(Page Description Language)に変換する。変換されたプリンタ制御コマンドは、OSによってRAM202にロードされたシステムスプーラを経てインタフェース21経由でプリンタ107へ印刷データとして出力される仕組みとなっている。
ここで、上記ジョブチケットは、原稿ページを最小単位とする構造を有するデータである。ジョブチケットにおける構造は、用紙上における原稿ページのレイアウトを定義している。ジョブチケットは1ジョブにつき1つ発行される。そのため、まず最上位にドキュメントというノードがあり、文書全体の属性、例えば両面印刷/片面印刷などが定義されている。その下には、用紙ノードが属し、用いるべき用紙の識別子や、プリンタにおける給紙口の指定などの属性が含まれる。各用紙ノードには、その用紙で印刷されるシートのノードが属する。1シートは1枚の用紙に相当する。各シートには、印刷ページ(物理ページ)が属する。片面印刷ならば1シートには1物理ページが属し、両面印刷ならば1シートに2物理ページが属する。各物理ページには、その上に配置される原稿ページが属する。また物理ページの属性として、原稿ページのレイアウトが含まれる。
ジョブチケットのデータ構造の例を図12に示す。印刷用のデータでは、文書は用紙の集合で構成されており、各用紙は表、裏の2面で構成されており、各面は原稿をレイアウトする領域(物理ページ)を持ち、各物理ページには、最小単位である原稿ページの集合から構成される。
1201は文書に相当するデータで、文書全体に関係するデータと、文書を構成する用紙情報のリストから構成される。用紙情報1202は用紙サイズなど用紙に関する情報と用紙上に配置される面情報のリストから構成される。面情報1203は、面に固有のデータと、面上に配置される物理ページのリストから構成される。
物理ページ情報1204は、物理ページのサイズやヘッダ・フッタなどの情報と、物理ページを構成する原稿ページのリストから構成される。原稿ページ情報1205は、原稿ページのヘッダ・フッタなどの情報やカラーデータを含んでいるか、面上のどの位置にどのサイズに拡縮するか等のレイアウト情報を保持する原稿ページ設定部と、ページデータリスト413へのリンク情報から構成される。
電子原稿デスプーラ105は、上述のジョブチケットを、出力モジュールへの出力コマンドに変換する。
(プレビュー表示の内容例)
すでに説明したとおり、ブックファイルが製本アプリケーションによって開かれると、図10に示すユーザインタフェース画面1000が表示される。ツリー部1001には、開いているブック(以下、「注目ブック」と呼ぶ。)の構造を示すツリーが表示される。プレビュー部1002には、利用者の指定に応じて、3通りの表示方法が用意されている。
第1は原稿ページをそのまま表示する原稿ビューと呼ばれるモードである。原稿ビューモードでは、注目ブックに属する原稿ページの内容が縮小されて表示される。プレビュー部の表示にレイアウトは反映されない。第2は印刷ビューモードである。印刷ビューモードでは、プレビュー部1002には、原稿ページのレイアウトが反映された形で原稿ページが表示される。第3は簡易印刷ビューモードである。簡易印刷ビューモードでは、各原稿ページの内容はプレビュー部の表示には反映されず、レイアウトのみが反映される。
なお、図10の画面は、製本アプリケーション104の操作画面としても利用可能である。製本アプリケーション104は、文書のページ順の入れ替えや複製、削除などの編集に加え、ステイプルなどの印刷装置の機能設定も行うことができ、指定した印刷装置に印刷することが可能である。
<属性設定例>
図13は、製本アプリケーション104の「文書の詳細設定」ウインドウ1300を示している。
このウインドウでは、「ブック設定情報403」を表示/設定することができる。このウインドウは、図10のアプリケーション操作画面にあるPrint Formメニュー1004の「Detailed Setting for Document」(文書の詳細設定)メニューあるいはツールバー上の「Detailed Setting for Document」ボタンから起動される。「文書の詳細設定」ウインドウは、文書全体に影響する属性の設定を行うためのウインドウである。このウインドウは、Page Setup(ページ設定)1303、Decoration(装飾)1304、Edit(編集)1305、Paper Source(給紙)1306の4つのシートから構成される。図13は、Page Setupシート1303が選択された状態を示している。このPage Setupシート1303では、主にレイアウトに関する設定を行うことができ、用紙サイズや向き、Nページ印刷などの設定を指示することができる。また、ウインドウ1300には、ズームに関するチェックボックスコントロール1301、1302が配置されている。
図14は、製本アプリケーション104の「章の詳細設定」ウインドウ1400を示している。
このウインドウでは、「章設定情報407」を表示/設定することができる。このウインドウは、図10のアプリケーション操作画面にあるPrint Formメニュー1004の「Detailed Setting for Chapter」(章の詳細設定)メニューあるいはツールバー上の「Detailed Setting for Chapter」ボタンから起動される。「章の詳細設定」ウインドウ1400は、章固有の属性の設定を行うためのウインドウである。このウインドウ1400は、Page Setup(ページ設定)1404、Finishing(フィニッシング)1405、Edit(編集)1406、Paper Source(給紙)1406の4つのシートから構成されている。
図14は、Page Setupシート1404を表示した状態を示している。このPage Setupシート1404では、主に各章で固有のレイアウトに関する設定を行うことができ、用紙サイズや向き、Nページ印刷などの設定を指示することができる。「文書の詳細設定」と「章の詳細設定」で重複する設定項目については「Follow Book Attribute(ブック属性に従う)」のチェックボックスコントロール1401、1402、1403を配置している。このチェックボックスにチェックが入っている属性項目については、図13で設定されたブックの設定値をその章にも適用する。
このチェックをはずした場合の画面例は、次の図15に示す。章固有の設定としては2種類に分類できる。一つは章でしか持たない設定項目である。もう一つは、上位階層の文書とは異なる独自の設定値を章の階層で保持している場合である。
図15は、図14の「章の詳細設定」でチェックボックスコントロール1401、1402のチェックをはずした状態である。この場合、文書の全体がA3用紙を使っている場合でも、この章を構成するページはA4用紙サイズになる。またレイアウトも、文書ではページレイアウト1408が「1Page Par Sheet」に設定されていて、1シート1ページの設定である。これに対し、図15における章の設定では、ページレイアウト1502が「4 Page Per Sheet」となっているので、1シートに4ページがレイアウトされる。また、チェックボックスコントロール1403にはチェックがついているので、上位階層である文書の設定値を、この章の設定値として使用する。即ち、この章についての設定を行う必要がない。
図16は、製本アプリケーション104の「ページの詳細設定」ウインドウ1600を示している。
このウインドウ1600では、「ページ設定情報411」を表示/設定することができる。このウインドウは、図10のアプリケーション操作画面にあるPrint Formメニュー1004の「Detailed Setting for Page」(ページの詳細設定)メニューあるいはツールバー上の「Detailed Setting for Page」ボタンから起動される。「ページの詳細設定」ウインドウ1600は、各ページで固有の属性の設定を行うためのウインドウである。このウインドウ1600は、Page Setup(ページ設定)1602、Edit(編集)1603の2つのシートから構成されている。
図16は、Page Setupシート1602が選択された状態を示している。このPage Setupシート1602では、主に各ページで固有のレイアウトに関する設定を行うことができ、原稿ページを配置する際の回転角や拡縮率などの設定を指示することができる。「章の詳細設定」と「ページの詳細設定」で重複する設定項目については「Follow Chapter Attribute(章属性に従う)」のチェックボックスコントロール1601を配置している。このチェックボックスにチェックが入っている属性項目については、図14及び図15で設定された章に関する設定値をそのページにも適用する。このチェックをはずした場合については、次の図17に示す。
図17は、図16の「ページの詳細設定」でPage Rotation(ページ回転)1604の設定を変更した状態を示している。図16では、ページ回転1604について、回転無し(0度)の設定となっている。これに対し図17では、原稿ページをレイアウトする際にページの上が左になるように(270度)回転して配置する設定にしている。この属性項目については、章や文書に重複する設定項目が無いので「Follow Chapter Attribute」のチェックボックスが存在せず、ウインドウ1600に表示されている設定が常にページの設定値となる。
一方、「Follow Chapter Attribute」1601にチェックがある場合、例えば、ズームアレンジは章にも重複する設定項目があるので章の設定値をページの設定値とする。また、章におけるズームアレンジの設定項目において「Follow Book Attribute」1403のチェックがある場合、章の設定値は上位階層である文書の設置値を使うので、結局ページの設定値は文書の設定値に従うことになる。また、章で該当する項目1403のチェックが外れている場合、章固有の設定値を有することとなるので、ページの設定値はその章固有の設定値に従う。
尚、上記設定画面で設定されたチェックボックスコントロールの情報は、専用の領域に保持されてもよいが、図4に示した章設定情報407やページ設定情報411内に属性の1つとして保持するのが望ましい。この場合には、図6及び図7にチェックボックスコントロールの情報を保持する領域が追加される。
<文書編集の表示例>
上位階層と重複する属性項目の設定値として、上位階層の設定値を使わないようにした場合、つまり、チェックボックスコントロール1401や1601のチェックをはずした場合のアプリケーションの表示形式を、図18に示す。
図18の例では、ツリー部1001に示すように、文書は二つの章(Chapter1及びChapter2)からなる。また、各章は9ページ(1-1から1-9と2-1から2-9)の原稿データを持っている。
図18では、最初の章のレイアウトが4UP(4in1とも表記する)に設定され、2番目の章の先頭ページ(文書全体では10ページ目)に回転が指定された場合の表示例を示している。
プレビュー部1002では、1〜3ページ目(1801から1803)には1ページ上に4つの原稿がそれぞれ配置されている様子が表示されている。そして、第4ページ目1804のデータである「A」の文字が回転している様子が表示されている。ツリー部1001での章やページ固有の設定を行った場合の表示形式を説明する。最初の章(Chapter1)に対するアイコン1805が変化して、この章に章独自の設定がなされていることを示している。また、2番目の章(Chapter2)の先頭ページ(2-1)に対するアイコン1806が変化して、このページに特別な設定がなされていることが示されている。これらのアイコンには、1807の様なマークが表示されており、係るマーク1807の有無により、設定の有無を識別することができる。なお、マーク1807の形式は、図18に示したものに限定されるものではなく、特定の設定が成されていることが識別可能に表示されれば、どのような形式であっても良い。例えば、該当部分を点滅表示しても良いし、表示色を変えても良い。
<出力例>
印刷業やCRD(Centralized Reprographic Department)では、A4原稿をA3伸びサイズに2つ並べて印字し、後工程で断裁することで1枚の用紙から複数の頁を得るような出力形態のレイアウトを行う場合がある。単純に同じページデータを複数並べる場合や連続するページを並べる場合など様々なレイアウトを行っている。
図19は、4つ折りの面付け例である。この例では、単に並べて印刷するだけではなく、印刷後に四つ折りして断裁することを前提として、折り処理後の断裁後にページ順が続くように、複数のページをレイアウトしている。1901は、印刷用紙の表面のレイアウトパターンを示し、1902は印刷用紙の裏面のレイアウトパターンを示す。ここでは、表面1901の1ページ目の裏に、裏面1902の2ページ目が印刷されるようにレイアウトされている。同様に、4ページ目の裏に3ページ目が、5ページ目の裏に6ページ目が、8ページ目の裏に7ページ目が印刷されるようにレイアウトされている。
後工程の折りとしてこれ以外に良く実施されているのは、単純に中綴じで2つ折りする方式や更にもう一回折って8つ折りする方法がある。このように1枚の用紙に複数ページを面付けする際には、各ページを切り離すために「トンボ」と呼ばれる断裁の目印をあわせて印刷することが多い。図20から図22は、本実施形態に対応する文書処理システムを用いて断裁目印としてのトンボを印字した例を示している。
図20は、単純にページを並べて配置している場合(ペラ)のトンボ印字の例である。この例では、ページを用紙に3行4列のあわせて12ページ配置している。ページの間には、断裁位置を示すトンボ(2001から2014)と各ページの中心位置を示すセンタートンボ(2021から2034)とを印字している。センタートンボは、複数枚のペラ印刷を行う場合に、各印刷用紙の印字位置にズレがないかを作業者が判断するための目印である。なお、断裁位置を示すトンボには、ページ間の断裁位置を示す目印と、ページのコーナーにおける断裁位置を示す目印とが含まれ、コーナートンボとも言う。また、仕上がりサイズと各トンボの間の領域をドブ領域または裁ち落とし幅と呼ぶ。
図21は、用紙の中央で2つ折りする場合(中綴じ)の面付けでトンボを印字している例である。ここでは、用紙の中央部の上下位置に折り位置を示す折りトンボ(2101及び2102)、四隅に断裁位置を示すコーナートンボ(2103から2106)、ページの中央位置を示すセンタートンボ(2107から2110)がそれぞれ配置されている。
図22は、4つ折り面付けのトンボ印字例である。(a)は綴じ位置にミーリングと呼ばれる削り幅を持っていない場合の例、(b)はミーリング2221を有する場合の例を示す。いずれの場合でも、この例においても、折り位置に折りトンボ(2201から2204)、断裁する位置に断裁トンボ(2205から2212)、各ページの中央位置にセンタートンボ(2213から2220)を配置している。
「ミーリング」は、製本の方法が「無線とじ」の場合、必要になる。「無線とじ」は、接着剤だけで本を綴じる製本方法であり、本の背の部分に鋸歯状(ミーリング)のギザギザをつけてから接着剤をつけ表紙でくる。そのため、ギザギザにする部分の余白を、面付け時に設ける必要があり、この余白をミーリング幅と呼ぶ。
従来は、図23に示すようにトンボを用紙4辺全てに印字していた。図23は4つ折り面付けの場合にトンボを印字した場合の出力例である。このように全てのページにトンボを印刷した場合、下記のような問題が生ずる。
図24a乃至図24cは、従来のトンボの印刷方式に基づく問題を説明するための図面である。図24aに示すように、通常は、右上のトンボ2401と右下のコーナートンボ2402の位置で断裁することで、図中の点線2403で示す仕上がりサイズの成果物が得られる。また、折りトンボがある場合には、該折りトンボの位置で折り、断裁トンボの位置で断裁することで、理想とする成果物を得ることができる。
しかし現実的には、多少の位置ズレが発生する。位置ズレが発生するのは、用紙毎の位置のずれ、表面と裏面との位置のずれ、折り位置のずれ、断裁位置のずれなど、各工程において生ずる「ずれ」が原因である。
このような各工程でのずれが積み重なって、断裁や折り時のずれが発生する。そこで、一般にはこのようなずれを見込んで、誤差を許容可能な範囲をドブ領域として設けている。この許容範囲は3mm程度確保されることが多い。
図24bは、折り位置が図面右下の方向にずれた場合の例を示している。面付け上の折り位置(折りトンボの位置)を点線2404及び2405で、実際に折られた位置を一点鎖線2406及び2407で示している。この一点鎖線で折った場合に、トンボがどのようになるのかを示しているのが図24cである。
点線2408及び2409で示しているのは、表面(1が印字されている用紙)ではなく、用紙の裏面や折り重ねたページに印字されているトンボである。この状態では、1ページ目の断裁位置が2本トンボの間であっても、成果物の裏面にはトンボが残ってしまうことになる。
次に、同じページを縦横2つずつ、合計4つ面付けする場合を例に説明する。例えば、原稿が4ページものであれば、1シートに同一ページを4枚分印刷して4つに断裁することで、一度に4部を得ることができる。
図25はこの4面つけの場合に、本発明のトンボ位置制御を適用した場合を分かりやすく図示した例である。図25で各ページの周囲が矩形で囲まれているのは、仕上がりサイズを示す概念的な位置を分かりやすく示しているためであり、実際には枠は印刷されない。原稿は4ページ(2501から2504)あるので4枚を重ねて断裁するものとする。この場合、作業者が断裁の目印として必要なのは1枚目2501のトンボだけである。本発明のトンボ位置制御方式では、折り処理を伴わない面付け方法の場合、実際の断裁で必要な1枚目の用紙にのみトンボを印字するので、多少の位置ズレがあっても2ページ目以降にトンボが残ることはありえない。
本発明を中綴じ製本印刷に対して適用する例を示すのが図26である。図26は、中綴じ製本印刷、かつ開き方向が左開きに設定されている場合の面付け結果を示している。中綴じ製本印刷の場合、用紙をまとめて二つ折りにし、1ページ目のトンボを目印とし、用紙をまとめて断裁する。この場合、作業者は1ページ目の位置にのみトンボが印字されていれば断裁には用が足りるため、に1ページ目となる断裁位置にのみトンボ2601及び2602を印字している。なお、中綴じ製本印刷の場合は、作業者は、最終ページ目にトンボが印字されていれば断裁には用が足りるため、1ページ目にトンボを印字せずに、最終ページにトンボを印字してもよい。すなわち、折り処理を伴う面付け方法の場合、折り処理後に先頭ページとなるページ(1ページ目または最終ページ)にトンボを付加して印刷すればよい。
本発明を四つ折りの面付けに対して適用した例を示すのが図27である。一枚目の用紙2701には、1ページ目から8ページ目までが印字されるが、トンボが印字されているのは1ページ目に接する左上のコーナートンボ2703と、左中央の水平線の断裁トンボ2704だけである。用紙2701上に断裁用のトンボが付いているのは1ページ目の周囲だけなので、このトンボを目印として断裁すれば用紙のほかのページにトンボが残ることはない。2枚目の用紙2702以降についても同様にして、1ページ目のみに断裁用のトンボを印刷する。
図28a及び図28bは、本実施形態に対応するトンボ位置の設定を行うためのGUIの一例を示す図である。図28aは、ペラの面付けの場合のGUIの一例を示し、図28bは、「中とじ」や「4つ折り」のように用紙を折る必要のある面付け方法が選択されている場合のGUIの一例を示す。両図面において断ち落としの用語が「上下左右」と「天地小口」となっているなど面付けに応じた違いはあるがほぼ同等の設定が可能である。
図28aのダイアログの中央付近にあるチェックボックスコントロール2801で、「先頭用紙(表面)にだけトンボをつける」か否かを設定することができる。このコントロール2801がチェックされた場合には、図25のように、1シート目のみにトンボが印刷され、他のシートにはトンボが印刷されないこととなる。
図28bのダイアログの中央付近にあるチェックボックスコントロール2802で、「折り丁の1ページ目だけにコーナートンボをつける」か否かを設定することができる。このコントロール2802がチェックされた場合には、図26や図27のように、シートの1ページ目のみにトンボが印刷され、他のページにはトンボが印刷されないこととなる。
なお、チェックが外された場合には、従来どおり全ての位置でトンボをつけることができる。
なお、先頭ページにだけつけるだけでは、更なる課題が発生する。図29はこの課題を説明するための図である。図29では、4ページ原稿を4面付けしているが、これを1000部印字するとする。4ページ物なので、4000枚印刷されて、断裁すると4倍の4000部の仕上がりを得ることができる。
ここで、印刷の後工程である断裁工程で使用する断裁機の最大断裁用紙枚数が1000枚と仮定すると、4000枚を一度に断裁することはできない。そこで、1000枚単位で4回に分けて断裁することとなる。しかし、上記の実施形態に従えば、1枚目にしかトンボが印字されていないので、1001枚目以降を断裁することができなくなってしまう。上記の実施形態に従って断裁を可能とするには、ユーザが最大断裁用紙枚数をページ数で割った250部(1000ページ)を4回に分けて印刷しなければならず、手作業によるミスが発生する場合がある。
この課題に対応した本発明の実施形態を示すのが図30である。予め設定されたN部ごとに繰り返しトンボ3001及び3002を印字することで、後工程の制限に対応することができる。なお、単に繰り返しトンボを印刷するだけでは、4000枚の印刷物からトンボが印刷された4枚を探すという労力が必要となるため、仕分ける設定と連動するといった工夫があるとより効果的である。
この場合の設定用GUIの一例を示すのが図31である。図31では、印刷ダイアログ3100にN部ごとにシフトして排紙するオプション3101がある。N部ごとに排紙位置をずらすことで仕分けを容易にしている。このシフトの設定と図30に示したようなトンボの印字周期を一致させることで、トンボの描画位置を容易に探し当てることができるようになる。なお、仕分けの容易の為には、シフトによらずとも、トンボが印刷されたシートを識別可能なシートを間で排紙しても良い。このようなシートには、文書データの印刷に利用される記録紙とは異なる色の色紙を利用することができる。これにより、部数の区切りを明確化できる。なお、これらの設定により、図5で示したブックの属性項目のトンボ・ドブ属性17に、どの種類のトンボをつけるか、先頭用紙にトンボをつけるか、折り丁の1ページ目にトンボをつけるか、トンボの印字周期の値のそれぞれが格納される。製本アプリケーション104は、プリンタドライバ106に対して描画データを出力する場合に、このトンボ・タブ属性に格納されている設定内容に従って、必要な物理ページまたは論理ページにトンボの描画コマンドを出力することができる。
なお、図31では、UIにおける用紙のシフトとトンボの印刷周期を連動させているが、これとは逆に、トンボの周期を入力し、その周期にあわせてシフトさせても本発明の効果は変わらない。或いは、UIには周期を設定するコントロールを持たずに、MISなどのシステムから後工程の制限値を入手し、その制限値を周期としても良い。
次に、本実施形態に対応するトンボの印字位置決定処理について説明する。図32は、製本アプリケーション104において実行される該トンボの印字位置を決定する処理の一例を示すフローチャートである。ステップS3201からステップS3205で全てのページに対して繰り返している。図12のジョブチケット構成であれば、トンボ情報をのぞいた情報を作成する作業に相当する。
まずステップS3202で、製本アプリケーション104は、原稿データを取得し、各ページの面付け処理を行う。この面付け処理の内容は周知のものであるので、詳細な説明はここでは省略するが、例えば、面付け方法として、「ペラ面付け」が選択されている場合には、ブック属性から面付け数を取得し、取得された面付け数に従って用紙サイズの領域を分割し、分割された各領域内に、ブック属性で指定されている仕上がりサイズの領域を確保し、各領域に同一ページの原稿を連続して配置する(図20)。また、面付け方法として「中綴じ」が選択されている場合には、用紙サイズの片面に2面分の原稿データが配置される。各面の原稿データのサイズは、仕上がりサイズにあわせられ、綴じ位置の辺側にはドブ領域がつかずに、隣り合わせの原稿が配置される(図21)。また、面付け方法として「4つ折り」が選択されている場合には、用紙サイズの片面に4面分の原稿データが配置される。ページ順は、前述したように、4つ折りした際のページ順が続くように各原稿ページの位置と向きが決定される。各面の原稿データのサイズは、仕上がりサイズに合わせら、必要に応じてミーリング幅が確保される(図22)。この処理により、図19や図23等に示したように印刷対象ページの各用紙への割り当てが行われる。なお、ステップS3202では、面付け処理を行うとして説明したが、各原稿ページの配置位置を仮決定しておき、以下に説明するトンボの位置を決定後に、デスプーラ105により物理ページ単位に必要な各原稿ページの描画データとトンボの描画データが生成され、プリンタドライバ106に出力されることが望ましい。
次に、ステップS3203では、製本アプリケーション104は、図28a又は図28bで示したGUIにおいて、チェックボックス2801又は2802がチェックされているかどうかを判定する。もし、チェックされていない場合は(ステップS3203において「NO」)、ステップS3204において従来通り全てのページ及び用紙にトンボが印字されるように、トンボの描画位置を決定する。一方、チェックされていると判定された場合は(ステップS3203において「YES」)、製本アプリケーション104は、ステップS3206において現在処理しているページが先頭ページ(1ページ目)の原稿を含んでいるか否かを判定する。
ステップ3206では、ペラの面付けであれば先頭ページを含む面であるかに基づいて判定できる。また、中綴じ製本の面付けであれば先頭ページと最終ページを面付けする面であるかに基づいて判定できる。更に、4つ折りの面付けであれば、1,8,4,5ページ目が面付けされている面であるかに基づいて判定できる。このように、面付けに応じた判断方法に基づき判定が可能である。或いは単純に、物理ページ情報1204が保持する原稿ページ情報のリストを探索して先頭ページへのページデータリンクがあるかどうかで判定することも可能である。
ステップS3206で先頭ページを含んでいないと判定された場合は(ステップS3206において「NO」)、ステップS3211に移行する。ステップS3211では、印字位置を制御する必要が無いセンタートンボや折りトンボだけを印字してから次の面へと処理を進める(ステップS3205)。一方、先頭ページを含んでいると判定された場合は(ステップS3206において「YES」)、ステップS3207に移行して面付けの印字方法を判定する。
本実施形態では、面付けの印字方法として、ペラ、中綴じ、折り丁(4つ折)の3種類が有る場合を説明する。従って、ステップS3207では、印字方法がこの3種類のいずれであるかが判定される。
もし、ペラの面付けであると判定された場合は(ステップS3207において「ペラ」)、ステップS3208に移行する。ステップS3208では、その面全体にトンボを描画すればよいので、ステップS3204と同様のトンボを物理ページ情報1204に設定する。
一方、中綴じ製本であると判定された場合は(ステップS3207において「中綴じ」)、ステップS3209に移行する。ステップS3209では、後述する中綴じの1ページ目用のトンボ位置決定処理を実施し、決定されたトンボ情報を物理ページ情報1204に設定する。
同様に折り丁であると判定された場合も(ステップS3207において「折り丁」)、ステップS3210に移行する。ステップS3210では、折丁の1ページ目用のトンボ位置決定処理を実施し、決定されたトンボ情報を物理ページ情報1204にと設定する。
このように、描画データの生成に先立って、各物理ページ情報に、どの原稿ページが配置され、必要に応じてトンボ情報が記述されており、デスプーラ105は、この各物理ページ情報に従って、プリンタドライバ106に対して描画データの出力を行う。よって、プリンタドライバ106は、描画データに従って印刷データを生成するだけでよい。
次に、図33aを参照して、図32のステップS3209における中綴じ用のトンボ処理のうち、トンボ位置決定処理部分の詳細を説明する。
まず、ステップS3301で、製本アプリケーション104は、開き方向が左右開きか上下開きであるかを判定する。もし、左右開きと判定された場合は(ステップS3301において「YES」)、ステップS3302へ移行し、上下開きと判定された場合は(ステップS3301において「NO」)ステップS3305へと進む。ステップS3302では、1ページ目の原稿ページ情報1205を調べて、1ページ目が用紙の右側と左側のどちらに配置されているかを判定する。もし、右側に配置されていると判定された場合は(ステップS3302において「YES」)、ステップS3303へ移行する。一方、左側に配置されていると判定された場合は(ステップS3302において「NO」)、ステップS3304に移行する。
ここで、図33bは左右開きの場合の断裁トンボの位置を一例として示している。左右開きの場合は原稿並べた外周の左上、右上、左下及び右下の4隅にそれぞれコーナートンボを配置するのが通常である。そこで、左側のページに接して左上、左下のコーナートンボ3301及び3303が、右側のページに接して右上、右下のコーナートンボ3302及び3304が、それぞれ配置されている。
ステップS3302において、1ページ目が右側に配置されていると判定された場合には(ステップS3302において「YES」)、ステップS3303に移行する。ステップS3303では、1ページ目に接する右上と右下、即ち3302と3304の位置を断裁トンボ(ここではコーナートンボ)の描画位置として決定し、左側の断裁トンボ3301及び3303は描画位置としない。一方、1ページ目が左側に位置していると判定された場合は(ステップS3302において「NO」)、ステップS3304に移行する。ステップS3304では、左上と左下、即ち3301と3303のコーナートンボだけを断裁用のトンボとしての描画対象とする。
ステップS3301において上下開きと判定され、ステップS3305した場合、ステップS3305では、1ページ目が上側に配置されるのか下側に配置されるのかが判定される。
ここで、図33cは上下開きの場合の断裁トンボの位置を一例として示している。上下開きの場合は原稿並べた外周の左上、右上、左下及び右下の4隅にそれぞれコーナートンボを配置するのが通常である。そこで、上側のページに接して左上、右上のコーナートンボ3301及び3302が、下側のページに接して左下、右下のコーナートンボ3303及び3304が、それぞれ配置されている。
ステップS3305において、1ページ目が上側に配置されていると判定された場合には(ステップS3305において「YES」)、ステップS3306に移行する。ステップS3306では、1ページ目に接する左上と右上、即ち3301及び3302の位置をトンボの描画位置とし、下側のトンボ3303及び3304は描画位置としない。一方、1ページ目が下側に位置していると判定された場合は(ステップS3305において「NO」)、ステップS3307に移行する。ステップS3307では、左下と右下、即ち3303と3304のトンボだけを断裁用のトンボとしての描画対象とする。
なお、上記フローチャートでは、コーナートンボの描画対象の決定手法について説明したが、折りトンボ及びセンタートンボも同様の判断によって、1ページ目については描画対象として決定する。以上のようにして決定されたトンボ位置に基づいて、中綴じ用のトンボ印字を行うことができる。
次に、四つ折り面付けの場合は、トンボの描画位置はその他の面付けとは異なっており別の処理を行う必要がある。そこで、図34aを参照して、四つ折の場合に1ページ目だけのトンボ位置を決定するための処理の概略を説明する。
四つ折では、後工程の折りの種類に応じて原稿ページの描画位置が異なるので、ステップS3401において、折り工程の種類の判定を行っている。ここで、折の種類は袋(最初の折り位置)になる辺が上側に来る天袋と下側に来る地袋とに分けられる。2つ目の折り位置は製本した時の綴じ位置になる。すなわち、右折り天袋の場合は、1ページ目は、1ページ目の向を基準として用紙の左下に配置される。右折り地袋の場合は、1ページ目は、1ページ目の向きを基準として用紙の左上に配置される。また、左折り天袋の場合は、1ページ目は、1ページ目の向きを基準として用紙の右下に配置される。左折り地袋の場合は、1ページ目は、1ページ目の向きを基準として用紙の右上に配置される。これは1ページ目の向きを基準とした場合の、印刷用紙上の1ページ目の配置位置である。本実施例の製本アプリケーション104では、印刷用紙に対して、1ページ目を左側、すなわち左上か左下の領域に配置するように面付けするものとする。そのため、左折り天袋の場合、1ページ目の向きを180度回転して、用紙の左上に配置し、左折り地袋の場合、1ページ目の向きを180度回転して、用紙の左上に配置することになる。
図34bは四つ折の場合のトンボ位置を示している。ページの配置は左折り天袋である。左上のページ(図の1ページ)には、断裁トンボとして、左上のコーナートンボ3401と左辺中央やや上の断裁トンボ3405が接している。この二つをあわせてここでは「左上トンボ」と呼ぶことにする。同様に、左下のページに接するコーナートンボ3403と左辺中央やや下の断裁トンボ3407を合わせて「左下トンボ」という。右上のページに接する右上のコーナートンボ3402と右辺中央やや上の断裁トンボ3406とを合わせて「右上トンボ」という。更に、右下のページに接する右下のコーナートンボ3404と右辺中央やや下の断裁トンボ3408とを合わせて「右下トンボ」と呼ぶ。
ステップS3401における判定に基づき、折り方法が左折り天袋の場合は、1ページ目が180度回転されて左上の位置に来るため、ステップS3402では、断裁用のトンボの描画位置を左上トンボだけに決定する。また、折り方法が左折り地袋の場合は、1ページ目が180度回転されて左下の位置に来るため、ステップS3403においてトンボの描画位置を左下トンボだけに決定する。折り方法が右折り天袋の場合は、1ページ目が回転処理を伴わずに左上の位置に来るため、ステップS3404においてトンボの描画位置を左上トンボだけとする。折り方法が右折り地袋の場合は、1ページ目が回転処理を伴わずに、左下に来るため、ステップS3405において描画位置を左上トンボだけとする。
なお、紙を180度回転させてもまったく同じ面付けになるため、同じ左折り天袋であっても1ページ目が右下に配置される場合がある。このフローチャートで示している例では、前段処理である面付けのレイアウト方法が1ページ目を左側に来るようなレイアウト方式を前提としている。
この前提を用いない場合は、1ページ目の原稿ページ情報1205を調べて、上下反転して面付けしている(上側へ面付けされている事が分かる)か、或いは、同一面上の4つの原稿ページ情報を比較してどの位置にあるのかを判定する方法も可能である。
図34の処理フローでは面付け情報から1ページ目がどの位置に配置されるかを判定していたが、面付けされる座標を調べることで1ページ目がどの位置に配置されるかを判定する実施形態を採用してもよい。
以下、図35を参照して、座標から1ページ目の配置を判定する場合の処理の例を説明する。なお、座標から1ページ目の配置を判定する処理では、1ページ目の向きを基準として、用紙上の位置を決定することになるため、1ページ目は180度回転されないことになる。
まず、ステップS3501では、同一面上に載る4つの原稿ページ情報1205から各ページの座標を取り出し比較する。左下を原点(0,0)として、右下が正となる座標系の場合を考える。このとき、1ページ目を配置する左上座標を(x1, y1)で表すこととする。また、4ページ目を配置する左上座標を(x4, y4)を表す。更に、5ページ目を配置する左上座標を(x5, y5)、8ページ目を配置する左上座標を(x8, y8)とする。このとき、3x1 - x4 - x5 - x8 の計算結果が正であれば1ページ目は右側に位置し、負であれば1ページ目は左側に位置する。また、3y1- y4 - y5 - y8 の計算結果が正であれば1ページ目は上側に位置し、負であれば下側に位置することになる。
ステップS3502では、製本アプリケーション104は、計算結果の正負の組み合わせから1ページ目が用紙のどの位置に来るかを判定する。
1ページ目が左上である場合は、ステップS3503においてトンボ位置を左上トンボとする。また、1ページ目が左下である場合は、ステップS3504にてトンボ位置を左下トンボとする。更に、右上である場合は、ステップS3505にて、トンボ位置を右上トンボとする。更に、右下である場合は、ステップS3506にてトンボ位置を右下トンボとする。
なお、ステップS3501における判定は、数式に基づく計算結果の正負ではなく、用紙の中央座標と1ページ目の配置との関係で左上・左下・右上・右下のいずれかを判定する方法など、座標の判定方法は様々なバリエーションを適用しても構わない。
また、図32を参照して説明した処理では、1ページ目だけトンボを描画する処理であった。実際には、断裁機の積載量を超える枚数を印刷する場合もあるため、1ジョブで1つしかトンボを印字しない処理では、積載量を超えた部数の断裁ができなくなる場合がある。そこで、断裁範囲に収まるような周期でトンボを印字する実施形態の例を説明する。
図36は、周期的にトンボを印字する場合の処理概略を説明するフローチャートである。図中の太線で囲まれたステップは、図32のステップとの差異を示している。なお、図32と共通する処理ステップについては、同一の参照番号を付し、ここでの説明は省略する。
まず、最初にステップS3601において、繰り返しの周期を決定する。先に説明した図31のシフト機能と繰り返しの周期を一致させる実施形態の場合、シフト単位を設定するコントロール3101の指定がそのまま繰返し周期である。例えば、シフト単位3101として100部と設定されれば、繰り返し周期が100部と設定されることになる。次に、図32と同様にステップS3201からステップS3605までの処理を、全ての面に対して繰り返す。
ステップS3204では、先頭に対してトンボを印字する設定になっているかを判定するが、そのような設定になっている場合には(ステップS3204において「YES」)、ステップS3602に移行する。ステップS3602では、現在処理している用紙がステップS3601で設定された周期の先頭の用紙であるか否かを判定する。なお、両面印刷の場合、周期の先頭用紙でも表面裏面の2つの面があるため、先頭用紙の表面であるかどうかの判定も行う。
ステップS3602において、トンボを印字する必要が無いと判断された場合(ステップS3602にて「NO」)、ステップS3211において折りトンボなどの制御対象外のトンボだけを印字する。一方、トンボを印字すべき面であると判断された場合は(ステップS3602において「YES」)、ステップS3207に移行する。
なお、本実施形態では、後工程の目印となる最も外側に位置する部分へとトンボを印字することであるので、先頭ページではなく、最終ページに印字する形態であってもよい。
図37は、4つ折り製本の面付けで16ページデータの場合に最終ページにトンボを印刷する処理を適用した場合の出力例を示す。2枚を折って重ねた状態を示している。最終ページの16の位置にトンボが印字されており、他の部分にはトンボは印字されていない。この場合、図32のステップS3206での判定は、「1ページ目であるか否か」ではなく、「最終ページが載るページであるか否か」となる。また、中綴じ製本や4つ折りの場合で4の倍数の原稿が無い場合は最終ページが載るはずの位置が空白で残ってしまう場合があるので、原稿の最終ページでトンボの要不要を判断するのではなく、面付け上の最終ページであるかどうかを判定基準とすべきである。また、ステップS3602の判定では、先頭用紙であるかどうかを判定するのではなく、周期の最終面であるかどうかの判定を行うこととなる。
また、図32又は図36のステップS3208〜S3210でも、1ページ目ではなく、最終ページの位置を判定してトンボを描画する処理へと変更する必要がある。この場合でも、中綴じ製本や折り丁で原稿ページ数が4の倍数でない場合は、最終ページは一番外側に印字されない。よって、4の倍数分だけページがあったと仮定した場合の仮想的な最終ページが印字される位置へトンボを描画する処理へと変更する必要がある。
尚、本実施形態で示したフローチャートにおいて、その前後は処理が未完成にならない限り入れ替え可能である。
以上のように、本実施形態によれば、断裁トンボの印字を面付けに応じて制御することができる。これにより、印刷工程およびその後工程における位置ずれによって原稿データ以外の望まれざる描画要素が残ってしまうことがなくなり、高品位の成果物を得ることができる。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、断裁トンボの印字だけを面付けに応じて制御している例であった。これに対して、第2の実施形態では、センタートンボや折りトンボも含めて制御する点に特徴がある。
図38はペラ面付けの出力例である。先頭の1ページ目が印字されている面にだけコーナートンボ、センタートンボが印字されており、その他の面にはトンボは印字されていない。
図39は中綴じ製本の出力例である。先頭の1ページ目の周囲にのみ折りトンボ、センタートンボ、コーナートンボが印字されており、その横に配置されている8ページ目にはトンボは付いていない。また2枚目の用紙にはトンボは印字されない。
図40は四つ折りの出力例である。1ページ目の周囲にだけコーナートンボ、センタートンボが印字されている。折りトンボが全ての用紙に印字されているのは、折り工程は用紙単位で実施されるため、全ての用紙に必要なためである。
以上の出力結果は、第1の実施形態で説明した図32や図36及びそれらに関連するフローとほぼ同様の処理により得られる。
但し、図33aの処理フローでは、図33bで示した3301、3302、3303、3304の各コーナートンボが制御の対象であった。しかし、本実施形態では図41に示すように、制御対象は4つのグループとなる。まず、4101は、左辺に印字される二つのコーナートンボとセンタートンボ一つで構成される。更に、4102は、左側の原稿の上下に印字される2つのセンタートンボで構成される。4103、右側の原稿の上下に印字されるセンタートンボ2つで構成される。4104は、右辺に印字される二つのコーナートンボと一つのセンタートンボで構成される。
同様に図33cで示した3311、3312、3313及び3314の各コーナートンボは、本実施形態では図42に示すように、4つのグループと交換される。まず、4201は、上辺に印字される二つのコーナートンボとセンタートンボ一つで構成される。、4202は、上側の原稿の左右に印字される2つのセンタートンボで構成される。4203は、下側の原稿の左右に印字されるセンタートンボ2つで構成される。更に、4204は、下辺に印字される二つのコーナートンボと一つのセンタートンボで構成される。
また、図34aの処理フローで、図34bで示した左上トンボ、右上トンボ、左下トンボ、右下トンボは、本実施形態では、以下のように構成される。
即ち、図43に示すように、左上トンボは、左上のコーナートンボと左上原稿(図では1ページ)に接する二つのセンタートンボと左辺中央やや上の断裁トンボからなる。また、右上トンボは、右上のコーナートンボと右上原稿(図では8ページ)に接する二つのセンタートンボと右辺中央やや上の断裁トンボからなる。左下トンボは、左下のコーナートンボと左下原稿(図では4ページ)に接する二つのセンタートンボと左辺中央やや下の断裁トンボからなる。更に、右下トンボは、右下のコーナートンボと右下原稿(図では5ページ)に接する二つのセンタートンボと右辺中央やや下の断裁トンボからなる。
このように、本実施形態によれば、断裁トンボのみならず、センタートンボや折りトンボも含めて印字を制御して、必要なトンボのみを印字することができる。
[その他の実施形態]
また、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。