実施の形態1
まず、メモリセルとしてSRAMを適用したSOCと称される半導体装置の一例について説明する。図1に示すように、半導体装置50では、マイクロコントロールユニット、アナログデジタル変換器、デジタルアナログ変換器、バスコントローラなど、それぞれ特定の機能を実現する複数のロジック回路58、そのロジック回路のいくつかに接続されてデータを一時記憶するSRAM51等が1つのチップに搭載されている。ロジック回路58およびSRAM51を取り囲むように、IO領域59が形成されている。図2に示すように、SRAM52は、行列状に配置された複数のメモリセルを有したSRAMメモリセルアレイ52、Xデコーダ53、Yデコーダ54、センスアンプ55、ライトドライバ56および主制御回路57を備えている。
次に、SRAMメモリセルの等価回路について説明する。図3に示すように、SRAMメモリセルは、2つのインバータをクロスカップリングさせたフリップフロップと、2つのアクセストランジスタT1,T2とにより構成される。フリップフロップには、クロスカップリングさせた2つの記憶ノードSN1,SN2が設けられている。アクセストランジスタT1,T2は、記憶ノードSN1,SN2とビット線BL,/BLとの間に接続されている。アクセストランジスタT1,T2のゲートは、ワード線WLに接続されている。
フリップフロップでは、記憶ノードSN1,SN2と接地配線(Vss)との間にドライブトランジスタT3,T4が接続されている。また、記憶ノードSN1,SN2と電源線(Vdd)との間にロードトランジスタT5,T6が接続されている。ドライブトランジスタT3のゲート、ロードトランジスタT5のゲートおよび記憶ノードSN2が互いに電気的に接続されている。また、ドライブトランジスタT4のゲート、ロードトランジスタT6のゲートおよび記憶ノードSN1が互いに電気的に接続されている。
データの読み出しおよび書き込み前には、ビット線BL、/BLはともにHレベルにプリチャージされる。たとえば、記憶ノードSN1、SN2にそれぞれHレベル、Lレベルを記憶するメモリセルにおいて、データを読み出す際には、オンしているドライブトランジスタT4がビット線/BLにチャージされた電荷をアクセストランジスタT2を介して引き抜き、ビット線/BLの電位を下げる。図示しないセンスアンプがビット線/BLの電圧低下を検知する。また、同メモリセルのデータを書き換える際には、図示しないライトドライバがHレベルにチャージされたビット線BLおよびアクセストランジスタT1を介して記憶ノードN1にチャージされた電荷を引き抜く動作を行う。
本半導体装置の複数のSRAMメモリセルのそれぞれにおいて、アクセストランジスタT1,T2では、それぞれに形成される1対のハロ領域17のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17aの不純物濃度が、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17bの不純物濃度よりも高く設定されている。また、ドライブトランジスタT3,T4では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17c、17c)の不純物濃度は、ハロ領域17aの不純物濃度と同じ濃度に設定されている。
次に、SRAMメモリセルの構造について説明する。図4は、SRAMセルアレイのメモリセルを構成するトランジスタおよびそのトランジスタに接続するコンタクトのレイアウトを示す平面図である。この平面図において、点線で囲まれる領域のそれぞれが一つのSRAMメモリセルを構成する。各SRAMメモリセルのトランジスタおよびコンタクトは、その隣接するメモリセルと鏡面対称に配置される。代表的にSRAMメモリセル52aは、アクセストランジスタT1,T2、ドライブトランジスタT3,T4およびロードトランジスタT5,T6を有する。
半導体基板1の主表面では、素子分離絶縁膜2を形成することによって、互いに電気的に分離された素子形成領域3a,3bが規定されている。素子形成領域3aはNMIS領域RNに形成されている。素子形成領域3aには、nチャネル型のMISトランジスタとして、アクセストランジスタT1,T2とドライブトランジスタT3,T4が形成されている。素子形成領域3bはPMIS領域RPに形成されている。素子形成領域3bには、pチャネル型のMISトランジスタとしてロードトランジスタT5,T6が形成されている。
アクセストランジスタT1,T2のアクセスゲート電極AG1,AG2と、ドライブトランジスタT3,T4のドライブゲート電極DG1,DG2は、素子形成領域3aを横切るように形成されている。ロードトランジスタT5,T6のロードゲート電極LG1,LG2は、素子形成領域3bを横切るように形成されている。また、アクセスゲート電極AG1,AG2、ドライブゲート電極DG1,DG2およびロードゲート電極LG1,LG2は、いずれも一方向に延在するように形成されている。
図5は、図4において互いに隣接するSRAMメモリセル52a、52bのドライブトランジスタT3、アクセストランジスタT1を通るようにゲート電極の延在方向に直交する断面線V−Vに沿った断面図である。アクセスゲート電極AG1に対して、ドライブゲート電極DG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A:アクセスゲート電極AG1,AG11の間の領域)には、2つのハロ領域17b、2つのエクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
アクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)、および、アクセスゲート電極AG11とドライブゲート電極DG11との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域D)のそれぞれには、ハロ領域17a、ハロ領域17c、2つのエクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
ドライブゲート電極DG1に対して、アクセスゲート電極AG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)、および、ドライブゲート電極DG11に対して、アクセスゲート電極AG11が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域E)のそれぞれには、ハロ領域17c、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。ハロ領域17a,17bは、アクセスゲート電極AG1、AG11の直下の領域に達するように形成され、ハロ領域17c、17cは、ドライブゲート電極DG1、DG11の直下の領域に達するように形成されている。
アクセスゲート電極AG1、AG11およびドライブゲート電極DG1、DG11を覆うように、シリコン窒化膜等のストレスライナー膜20が形成されている。そのストレスライナー膜20を覆うように、シリコン酸化膜(たとえばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜)等の層間絶縁膜21が形成されている。層間絶縁膜21およびストレスライナー膜20を貫通して金属シリサイド膜19に電気的に接続されるプラグ24が形成されている。プラグ24は、TiN膜等のバリア金属膜22とタングステン膜23を含んでいる。領域E、D,A,B,Cの金属シリサイド19にそれぞれ接続するプラグ24は、図4に示すコンタクトC12,C13,C4、C3、C2を構成する。
プラグ24を覆うように、層間絶縁膜21上にシリコン窒化膜等のエッチングストッパ膜25が形成されている。そのエッチングストッパ膜25上にシリコン酸化膜等の層間絶縁膜26が形成されている。層間絶縁膜26およびエッチングストッパ膜25を貫通してプラグ24に電気的に接続される銅配線29が形成されている。銅配線29はTaN膜等のバリア金属膜27と銅膜28とを含み、第1金属配線を構成する。図5では図示されていないが、第1金属配線より上層にさらに多層の金属配線が形成される。
次に、各トランジスタを電気的に接続する多層配線構造について説明する。図6は、トランジスタと第1金属配線との接続構造を示す平面図である。図7は、第1の金属配線と第2の金属配線との接続構造を示す平面図である。図8は、第2の金属配線と第3の金属配線との接続構造を示す平面図である。図6〜図8は、1つのメモリセルに対する多層配線構造を示すが、その隣接するSRAMメモリセル上の多層配線構造は、図6〜図8と鏡面対称に配線パターンが形成されるので、SRAMメモリセル52aについて主に説明する。
アクセストランジスタT1のソースまたはドレイン領域(以下、必要に応じて「S・D」と記す。)の一方(領域A)は、コンタクトC4(プラグ24)、第1金属配線M15(銅配線29)およびヴィアV13を介して、ビット線BLとしての第2金属配線M23に電気的に接続されている。アクセストランジスタT1のS・Dの他方(領域B)は、コンタクトC3(プラグ24)、第1金属配線M14およびコンタクトC6を介して、ロードトランジスタT5のS・Dの一方と、ロードトランジスタT6のロードゲート電極LG2と、ドライブトランジスタT4のドライブゲート電極DG2とに電気的に接続されている。また、アクセストランジスタT1のS・Dの他方(領域B)は、ドライブトランジスタT3のS・Dの一方(領域B)に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT1のアクセスゲート電極AG1は、コンタクトC1(プラグ24)、第1金属配線M12、ヴィアV12、第2金属配線M22およびヴィア22を介して、ワード線WLとしての第3金属配線M32に電気的に接続されている。ドライブトランジスタT3のS・Dの他方(領域C)は、コンタクトC2(プラグ24)、第1金属配線M11、ヴィアV11、第2金属配線M21およびヴィア21を介して、接地電位が与えられる接地配線Vssとしての第3金属配線M31に電気的に接続されている。ロードトランジスタT5のS・Dの他方は、コンタクトC5、第1金属配線M13およびヴィアV14を介して、電源配線としての第2金属配線M24に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT2のS・Dの一方は、コンタクトC9、第1金属配線M16およびヴィアV16を介して、ビット線/BLとしての第2金属配線M25に電気的に接続されている。アクセストランジスタT2のS・Dの他方は、コンタクトC10、第1金属配線M17およびコンタクトC7を介して、ロードトランジスタT6のS・Dの一方と、ロードトランジスタT5のロードゲート電極LG1と、ドライブトランジスタT3のドライブゲート電極DG1とに電気的に接続されている。また、アクセストランジスタT2のS・Dの他方は、ドライブトランジスタT4のS・Dの一方に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT2のアクセスゲート電極AG2は、コンタクトC12、第1金属配線M19、ヴィアV17、第2金属配線M26およびヴィアV23を介して、ワード線WLとしての第3金属配線M32に電気的に接続されている。ドライブトランジスタT4のS・Dの他方は、コンタクトC11、第1配線M110、ヴィアV18、第2金属配線M27およびヴィアV24を介して、接地電位が与えられる接地配線Vssとしての第3金属配線M33に電気的に接続されている。ロードトランジスタT6のS・Dの他方は、コンタクトC8、第1金属配線M18およびヴィアV15を介して、電源電位が与えられる電源配線Vddとしての第2金属配線M24に電気的に接続されている。
したがって、図4に示すように、SRAMメモリセル52aにおいてコンタクトC1,C12には共通のワード線WLが接続される。コンタクトC2,C11には接地配線Vssが接続される。コンタクトC5,C8には電源線Vddが接続される。コンタクトC4,C9にはそれぞれビット線BL、/BLが接続される。コンタクトC3,C6が記憶ノードSN1を構成し、コンタクトC7、C10が記憶ノードSN2を構成する。
また、メモリセル52aに隣接するSRAMメモリセル52bにおいて、コンタクトC13は隣接するSRAMメモリセル52bの記憶ノードSN1を構成する。コンタクトC12には接地配線Vssが接続される。ビット線BLに接続するコンタクトC4はSRAMメモリセル52a、52bで共有される。
次に、アクセストランジスタの構造について詳しく説明する。なお、以降に参照する断面図は、図4に示す断面線V−Vに対応する断面線に沿った断面構造を示す。図9に示すように、素子形成領域3a(図4参照)を横切るように形成されたアクセストランジスタT1(T2)のアクセスゲート電極AG1は、SiON等の界面層(Inter Layer)6上に、それぞれLaを含有したHfO2、HfSiONなど所定の誘電率を有するHigh−k膜7、TiNなど所定の仕事関数を有する金属膜8およびポリシリコン膜9を積層させる態様で形成され、ポリシリコン膜9の表面にはさらにニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜19が形成されている。アクセスゲート電極AG1の両側面上には、たとえばシリコン窒化膜等のオフセットスペーサ10が形成されている。そのオフセットスペーサ10の上には、シリコン酸化膜18aとシリコン窒化膜18bからなるサイドウォールスペーサ18が形成されている。
アクセスゲート電極AG1を挟んで、アクセスゲート電極AG1が延在する方向と直交(ゲート長方向)する一方(ドライブトランジスタT3が位置する側)の素子形成領域の部分には、ハロ領域17a、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。一方、他方の素子形成領域の部分には、ハロ領域17b、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
ハロ領域17a,17bは、図9に示すように、一対のソースまたはドレイン領域16の互いに対向する部分にそれぞれ隣接した領域にあり、サイドウォールスペーサ18の直下の領域からアクセスゲート電極AG1の直下の領域に達するように形成されている。ハロ領域の不純物濃度は1×1018/cm3〜1×1019/cm3のオーダであるが、本半導体装置では、ハロ領域17aの不純物濃度は、ハロ領域17bの不純物濃度よりも高く設定されている。ハロ領域の不純物濃度プロファイルを図10に示す。横軸は、アクセスゲート電極AG1の側面下端部の半導体基板の表面の部分からの深さ(矢印F1,F2)を示し、縦軸はP型不純物の不純物濃度を示す。ハロ領域17a、17bでは、アクセスゲート電極AG1の側面下端部の半導体基板の表面の部分において、ハロ領域17aの不純物濃度は、ハロ領域17bの不純物濃度よりも高い。また、それぞれ表面から所定の深さf1、f2において不純物濃度のピーク(極大値)が最初に現れ、ハロ領域17aの不純物濃度のピークも、ハロ領域17bの不純物濃度のピークよりも高く、ハロ領域17aでは約6×1018/cm3であり、ハロ領域17bでは約5×1018/cm3である。SRAMメモリセルのエクステンション領域の不純物濃度は5×1020/cm3〜1×1021/cm3であり、ソースまたはドレイン領域の不純物濃度は約5×1021/cm3である。
後述するように、本半導体装置では、アクセストランジスタT1,T2の1対のハロ領域17のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17aの不純物濃度が、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17bの不純物濃度よりも高く設定されていることで、読み出しマージンおよび書き込みマージンを確保することができる。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置には、SRAM回路の他にロジック回路等も含まれるが、ここでは、SRAMメモリセルのアクセストランジスタおよびドライブトランジスタを形成する方法を中心に説明する。
まず、半導体基板1の主表面に素子分離絶縁膜2を形成することによって、互いに電気的に分離される素子形成領域3a,3bが規定される(図4参照)。次に、図11に示すように、素子形成領域3aにpウェル4が形成される。
次に、半導体基板1の表面上に、界面層6を介在させて、所定の誘電率を有するHigh−k膜7、所定の仕事関数を有する金属膜8およびポリシリコン膜9を積層させる態様で、アクセスゲート電極(AG1、AG11)となるゲート構造Gと、ドライブゲート電極(DG1、DG11)となるゲート構造Gが形成される。次に、ゲート構造Gを覆うように半導体基板1上に、たとえばシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。次に、そのシリコン窒化膜に異方性エッチングを施すことにより、ゲート構造Gの両側面にオフセットスペーサ10が形成される。
次に、図12および図13に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク31が形成される(注入マスクA)。レジストマスク31は、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gに対して、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gが位置する側と反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A:アクセスゲート電極AG1、AG11の間に位置する領域)を覆い、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gとドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gとの間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)と、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gに対してアクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gが位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)とを一つの開口で露出し、アクセスゲート電極AG11となるゲート構造Gとドライブゲート電極DG11となるゲート構造Gとの間に位置する素子形成領域3aの部分(領域D)と、ドライブゲート電極DG11となるゲート構造Gに対してアクセスゲート電極AG11となるゲート構造Gが位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域E)とを他の一つの開口で露出するパターンに形成される。
すなわち、レジストマスク31の個々の開口部は、隣接する2つのSRAMメモリセルを跨ぐように形成され、一方のSRAMメモリセルのアクセスゲート電極となるゲート構造の一側面から、他方のSRAMメモリセルのアクセスゲート電極となるゲート構造の一側面までの領域を連続的に露出する。また、レジストマスク31は、アクセスゲート電極となるゲート構造の一側面とは反対側の側面とその側面に隣接する素子形成領域の部分を覆うとともに、PMIS領域RPを覆う。
次に、図14に示すように、レジストマスク31を注入マスクとして、たとえばボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域Bおよび領域Cのpウェル4にp型不純物領域11aが形成される。次に、図15に示すように、同じレジストマスク31を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域Bおよび領域Cのpウェル4にp型不純物領域11bが形成される(ハロ注入A)。なお、図14に示す工程の注入と図15に示す工程の注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。
次に、図16に示すように、レジストマスク31が除去される。このとき、素子形成領域3aにおける領域Aには、不純物領域は形成されていない。次に、図17に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク32が形成される(注入マスクB)。レジストマスク32は、PMIS領域RPを覆い、領域A〜領域Eを含むNMIS領域RNを露出するパターンに形成される。
次に、図18に示すように、レジストマスク32(図17参照)を注入マスクとして、たとえばボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A、B,Cのpウェル4にp型不純物領域11cが形成される。次に、図19に示すように、同じレジストマスク32を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A,B,Cのpウェル4にp型不純物領域11dが形成される(ハロ注入B)。
なお、図18に示す工程の注入と図19に示す工程の注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。また、注入量としては、図14および図15に示す工程の注入量と図18および図19に示す工程の注入量とを、同じ注入量にしてもよいし、異なる注入量にしてもよい。さらに、注入エネルギーとしても、図14および図15に示す工程の注入エネルギーと図18および図19に示す工程の注入エネルギーとを、同じ注入エネルギーにしてもよいし、異なる注入エネルギーにしてもよい。
こうして、図20に示すように、領域Aでは、p型不純物領域11c,11dが形成され、領域B〜領域Eでは、p型不純物領域11a,11b,11c,11dが形成される。p型不純物領域11a,11b,11c,11dの一部がハロ領域となる。
次に、図21に示すように、同じレジストマスク32を注入マスク(注入マスクB)として、たとえば、リンまたは砒素を、半導体基板1の主表面に垂直な方向から半導体基板1内に注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりエクステンション領域15が形成される(エクステンション注入)。その後、レジストマスク32が除去される。なお、図21に示すエクステンション注入工程は、図17に示すマスク形成工程後、図18および図19に示すハロ注入工程よりも前に行ってもよい。また、図17〜図21に示す一連の工程(図21に示す工程は、図18に示す工程前に行う場合も含む)は、図12〜図16に示すマスク形成工程およびハロ注入工程よりも前に行うこともできる。
次に、図22に示すように、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク33が形成される(注入マスクC)。次に、素子形成領域3aにハロ領域11a,11b,11c,11dを形成する工程と同様にして、レジストマスク33を注入マスクとして、リンまたは砒素を、半導体基板1の主表面に垂直な方向から基板1内に注入することにより、素子形成領域3bにハロ領域(図示せず)が形成される。次に、ボロンを、半導体基板1の主表面に垂直な方向から半導体基板1内に注入することにより、エクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、レジストマスク33が除去される。
次に、ゲート構造G(アクセスゲート電極AG1、AG11、ドライブゲート電極DG1、DG11等)を覆うように、たとえばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜(図示せず)が順次形成される。次に、そのシリコン酸化膜とシリコン窒化膜に異方性エッチングを施すことにより、図23に示すように、ゲート構造Gの両側面上に、シリコン酸化膜18aとシリコン窒化膜18bからなるサイドウォールスペーサ18が形成される。
次に、図24に示すように、NMIS領域RNを露出し、PMIS領域RPを覆うレジストマスク34が形成される。次に、図25に示すように、レジストマスク34(図24)およびサイドウォールスペーサ18等を注入マスクとして、リンまたは砒素を、半導体基板1の主表面に垂直な方向から半導体基板1内に注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域16が形成される。その後、レジストマスク34が除去される。
次に、図26に示すように、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク35が形成される。次に、レジストマスク35およびサイドウォールスペーサ18等を注入マスクとして、ボロンを、半導体基板1の主表面に垂直な方向から半導体基板1内に注入することにより、露出した素子形成領域3bの表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域(図示せず)が形成される。その後、レジストマスク35が除去される。
次に、図27に示すように、所定のアニール処理を施すことにより、注入された不純物を熱拡散させることによって、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17a,17b,17cを活性化させる。このとき、不純物が熱拡散することで、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17a,17b,17cは、横方向と縦(深さ)方向に広がることになる。
次に、図28に示すように、サリサイドプロセスにより、露出しているソースまたはドレイン領域16およびアクセスゲート電極AG1、AG11およびドライブゲート電極DG1、DG11のポリシリコン膜の表面に、たとえばニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜19が形成される。次に、図29に示すように、アクセスゲート電極AG1、AG11およびドライブゲート電極DG1、DG11を覆うように、たとえば、シリコン窒化膜等のストレスライナー膜20が形成される。そのストレスライナー膜20を覆うように、シリコン酸化膜(たとえばTEOS膜)等の層間絶縁膜21が形成される。
次に、層間絶縁膜21に異方性エッチングを施すことにより、金属シリサイド膜19を露出するコンタクトホール21a(図30参照)が形成される。次に、コンタクトホール21aの内壁を覆うように、チタンナイトライド(TiN)等のバリア金属膜22(図30参照)が形成され、さらに、そのバリア金属膜22の上にコンタクトホール21a内を充填するようにタングステン膜23(図30参照)が形成される。次に、化学的機械研磨処理(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を施すことにより、層間絶縁膜21の上面上に位置するバリア金属膜およびタングステン膜の部分が除去されて、図30に示すように、コンタクトホール21a内に、バリア金属膜22とタングステン膜23を含むプラグ24が形成される。
次に、図5に示すように、プラグ24を覆うように、シリコン窒化膜等のエッチングストッパ膜25が形成される。そのエッチングストッパ膜25上に、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜26が形成される。次に、プラグ24の表面を露出する溝26aが形成される。次に、溝26aの内壁を覆うように、たとえばタンタルナイトライド(TaN)等のバリア金属膜27が形成され、さらに、そのバリア金属膜27の上に溝26a内を充填するように銅膜28が形成される。次に、化学的機械研磨処理を施すことにより、層間絶縁膜26の上面上に位置するバリア金属膜および銅膜の部分が除去されて、溝26a内に、バリア金属膜27と銅膜28を含む銅配線29が形成される。銅配線29は第1金属配線に対応する。
この後、銅配線29を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、プラグ24を形成する方法と同様の方法によりヴィアV11〜V18(図6参照)が形成される。次に、ヴィアV11〜V18を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、銅配線29を形成する方法と同様の方法により、第2金属配線M21〜M27(図7参照)が形成される。
次に、第2金属配線M21〜M27を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、プラグ24を形成する方法と同様の方法によりヴィアV21〜V24(図8参照)が形成される。次に、ヴィアV21〜V24を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、銅配線29を形成する方法と同様の方法により、第3金属配線M31〜M33(図8参照)が形成される。こうしてSRAMメモリセルの主要部分が形成される。
一般的に、SRAMメモリセルの読出しマージンを確保するためにはβ比を高くすることが望ましく、書込みマージンを確保するためにはγ比を高くすることが望ましいことが知られている。たとえば、図3を参照して、β比は、アクセストランジスタT1(T2)に対するドライブトランジスタT3(T4)の電流比(ただし、アクセストランジスタとドライブトランジスタとの間で、ソース対ゲート電圧およびソース対ドレイン電圧はともに同一)で表される。γ比は、ロードトランジスタT5(T6)に対するアクセストランジスタT1(T2)の電流比(アクセストランジスタとロードトランジスタとの間で、ソース対ゲート電圧およびソース対ドレイン電圧はともに同一)で表される。
読出しマージンおよび書込みマージンの双方を確保する手段として、電流の流れる向きにより電流特性が異なるという非対称な性質をもつトランジスタをアクセストランジスタに用いることが有効である。本半導体装置では、1対のハロ領域17a,17bをもつアクセストランジスタT1、T2において、ハロ領域17aの不純物濃度がハロ領域17bの不純物濃度よりも高く設定されている。
図31に示すように、アクセストランジスタT1(T2)において、相対的に不純物濃度が高いハロ領域17aが形成された側に位置するソースまたはドレイン領域から相対的に不純物濃度が低いハロ領域17bが形成された側に位置するソースまたはドレイン領域に向かって流れる電流を電流IFとし、その逆方向に向かって流れる電流を電流IRとする。同一のソース対ドレイン電圧における、電流IF,IRとソース対ゲート電圧Vgsとの関係は、図32に示すとおりとなる。すなわち、ハロ領域17a側のソースまたはドレイン領域からハロ領域17b側のソースまたはドレイン領域に電流が流れる際のトランジスタのしきい値電圧は、その逆のハロ領域17b側のソースまたはドレイン領域からハロ領域17a側のソースまたはドレイン領域に電流が流れる際のトランジスタのしきい値電圧よりも低くなる。
このことから、不純物濃度が相対的に高いハロ領域17aを記憶ノードSN1(SN2)側に形成し、不純物濃度が相対的に低いハロ領域17bをビット線BL(/BL)側に形成することで、読出し時においてビット線から記憶ノードへの電流を抑えやすく、かつ、書込み時には記憶ノードからビット線への電流を増加させやすくすることができる。これにより、β比を劣化させることなくγ比を高くすることができ、また、γ比を劣化させることなくβ比を高くすることができる。あるいは、β比とγ比の双方を高くすることができる。その結果、読み出しマージンと書き込みマージンを確保することができる。
加えて本半導体装置では、このようなアクセストランジスタを含む各トランジスタのハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスクを削減することができる。このことについて比較例を交えて説明する。
比較例に係る半導体装置では、まず、図33に示すように、半導体基板101の主表面に素子分離絶縁膜102を形成することによって、互いに電気的に分離された素子形成領域103a,103bが規定される。次に、素子形成領域103aを横切るように、アクセストランジスタALのアクセスゲート電極ALG、アクセストランジスタARのアクセスゲート電極ARG、ドライブトランジスタNLのドライブゲート電極NLGおよびドライブトランジスタNRのドライブゲート電極NRGが、それぞれ所定の位置に形成される。また、素子形成領域103bを横切るように、ロードトランジスタPLのロードゲート電極PLGおよびロードトランジスタPRのロードゲート電極PRGが、それぞれ所定の位置に形成される。なお、図33では、2つ分のSRAMメモリセル(点線枠152a、152b)が示されている。
次に、ハロ領域等を形成する工程について説明する。図34に示すように、まず、アクセストランジスタAL,ARのハロ領域を形成するためのレジストマスク131が形成される。レジストマスク131は、点線枠152a内のSRAMメモリセルのアクセストランジスタARが形成される領域RARと、点線枠152b内のSRAMメモリセルのアクセストランジスタALが形成される領域RALを露出し、他の領域を覆うように形成される。
次に、レジストマスク131を注入マスクとして、p型の不純物を斜めイオン注入によって露出した素子形成領域103aに注入することによりハロ領域が形成される。このとき、領域RALでは、アクセストランジスタALに対してドライブトランジスタNL側に位置する素子形成領域103aの部分に、より多くのp型の不純物が注入される。また、領域RARでは、アクセストランジスタARに対してドライブトランジスタNR側に位置する素子形成領域103aの部分に、より多くのp型の不純物が注入される。こうして、アクセストランジスタAL,ARでは、不純物濃度が非対称のハロ領域が形成される。その後、レジストマスク131が除去される。
次に、図35に示すように、他のアクセストランジスタAL,ARのハロ領域を形成するためのレジストマスク132が形成される。レジストマスク132は、点線枠152a内のSRAMメモリセルのアクセストランジスタALが形成される領域RALと、点線枠152b内のSRAMメモリセルのアクセストランジスタARが形成される領域RARを露出し、他の領域を覆うように形成される。
次に、レジストマスク132を注入マスクとして、p型の不純物を斜めイオン注入によって露出した素子形成領域103aに注入することによりハロ領域が形成される。このとき、領域RALでは、アクセストランジスタALに対してドライブトランジスタNL側に位置する素子形成領域103aの部分に、より多くのp型の不純物が注入される。また、領域RARでは、アクセストランジスタARに対してドライブトランジスタNR側に位置する素子形成領域103aの部分に、より多くのp型の不純物が注入される。こうして、アクセストランジスタAL,ARでは、不純物濃度が非対称のハロ領域が形成される。その後、レジストマスク132が除去される。
次に、図36に示すように、ロードトランジスタPL,PRのハロ領域とエクステンション領域を形成するためのレジストマスク133が形成される。レジストマスク133は、点線枠152a内のSRAMメモリセルのロードトランジスタPL,PRが形成される領域と、点線枠152b内のSRAMメモリセルのロードトランジスタPL,PRが形成される領域を露出し、アクセストランジスタAL,ARおよびドライブトランジスタNL,NRが形成される領域を覆うように形成される。
次に、レジストマスク133を注入マスクとして、n型の不純物を斜めイオン注入によって露出した素子形成領域103bに注入することによりハロ領域が形成される。また、レジストマスク133を注入マスクとして、p型の不純物を露出した素子形成領域103bに注入することによりエクステンション領域が形成される。その後、レジストマスク133が除去される。
次に、図37に示すように、ドライブトランジスタNL,NRのハロ領域を形成するためのレジストマスク134が形成される。レジストマスク134は、点線枠152a内のSRAMメモリセルのロードトランジスタNL,NRが形成される領域RNL,RNRと、点線枠152b内のSRAMメモリセルのロードトランジスタNL,NRが形成される領域RNL,RNRとを露出し、他の領域を覆うように形成される。次に、レジストマスク134を注入マスクとして、p型の不純物を斜めイオン注入によって露出した素子形成領域103aに注入することによりハロ領域が形成される。その後、レジストマスク134が除去される。
こうして、比較例に係る半導体装置では、非対称のハロ領域を備えたSRAMメモリセルが形成されることになる。このSRAMメモリセルにおいて、非対称のハロ領域を含むハロ領域を形成するための注入マスクとして、レジストマスク131、レジストマスク132、レジストマスク133およびレジストマスク134の少なくとも4つのレジストマスクが必要とされる。
比較例に係る半導体装置に対して、上述した半導体装置では、アクセストランジスタT1,T2の非対称のハロ領域とドライブトランジスタT3,T4のハロ領域は、レジストマスク31(注入マスクA)とレジストマスク32(注入マスクB)とにより形成される。また、ロードトランジスタT5,T6のハロ領域はレジストマスク33(注入マスクC)により形成される。
すなわち、SRAMメモリセルを構成する各トランジスタのハロ領域を形成するために、比較例に係る半導体装置では少なくとも4つの注入マスク(レジストマスク)が必要とされるのに対して、上述した半導体装置では3つの注入マスク(レジストマスク)によって各トランジスタのハロ領域を形成することができることになる。これにより、レジストマスクをパターニングするための写真製版マスクを少なくとも1枚削減することができ、その結果、生産コストの低減に寄与することができる。
また、上述した半導体装置では、ドライブトランジスタT3,T4の1対のハロ領域17c、17cの不純物濃度は、アクセストランジスタT1,T2の1対のハロ領域17a,17bのうち、不純物濃度が高い方のハロ領域17aの不純物濃度と同じ濃度になる。具体的には、ドライブトランジスタT3,T4のドライブゲート電極の側面下端部の半導体基板の表面の部分からの深さ方向(図9に示される矢印F1,F2に対応)の不純物濃度プロファイルは、一対のハロ領域17cの双方とも、図10に示されるF1と同じ不純物濃度プロファイルとなる。これにより、ドライブトランジスタT3,T4のしきい値電圧が上がるため、リーク電流を抑制することができ、その結果、消費電力の低減を図ることができる。
なお、しきい値電圧が上がることで、ドライブトランジスタT3,T4の動作速度が多少影響を受けることになる。上述した半導体装置では、ドライブトランジスタT3,T4のドライブゲート電極DG1,DG2の幅が、アクセストランジスタT1,T2のアクセスゲート電極AG1,AG2の幅よりも長く設定されている。これにより、ドライブトランジスタT3,T4の駆動力が向上し動作速度を改善することができる。
また、上述した半導体装置のアクセストランジスタとドライブトランジスタでは、注入マスクAおよび注入マスクBを用いてそれぞれハロ注入Aとハロ注入Bを行った後に、注入マスクBを用いてエクステンション注入を行う場合を例に挙げて説明したが、エクステンション注入を行った後に、ハロ注入を行うようにしてもよい。この場合には、まず、注入マスクBを用いてエクステンション注入とハロ注入Bとを順次行い、その後、注入マスクAを用いてハロ注入Aを行うようにしてもよい。また、注入マスクBを用いてハロ注入Bとエクステンション注入とを順次行い、その後、注入マスクAを用いてハロ注入Aを行うようにしてもよい。
また、注入マスクA,Bとして形成されるレジストマスク31,32では、開口部(抜きのパターン)として、隣接するアクセス(ドライブ)ゲート電極間の間隔に比べて十分に大きい開口部が形成される。これにより、ボロン(p型の不純物)を斜めに注入しても、レジストマスクによってボロンが遮蔽されることなく、ボロンを注入すべき領域に確実に注入することができる。
変形例
上述した半導体装置では、ドライブトランジスタT3,T4における一対のハロ領域17cの不純物濃度は、同じ不純物濃度に設定されている。しかし、SRAMの動作に関し、ドライブトランジスタにおいて接地配線Vssから記憶ノードSN1,SN2への電流は生じない。このため、たとえば、図38に示すように、記憶ノードSN1、SN2に接続するS・D側のハロ領域17ccの不純物濃度を、接地配線Vssに接続するS・D側のハロ領域17cの不純物濃度よりも低くしてもよい。
この半導体装置は、注入マスクAとして、図12に示されるレジストマスク31に代えて、図39に示されるレジストマスク40を使用する以外は、上述した図3に示される半導体装置の製造方法と同じ方法によって形成される。注入マスクAとしてのレジストマスク40は、アクセスゲート電極AG1(ゲート構造)の側面からアクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1(ゲート構造)との間の中間までの領域Bの一部を開口する開口部と、領域Cの全体を開口する開口部を有し、領域Aの全体、領域Bの残りの一部およびPMIS領域RPを覆う。図4に示される断面線V−Vに対応する断面線に沿った断面構造は、図40に示すとおりである。図5に示される半導体装置と異なる点は、変形例に係る半導体装置では、各メモリセルのハロ領域17ccの不純物濃度がハロ領域17bの不純物濃度と同じ濃度である点である。
実施の形態2
前述した実施の形態では、ドライブトランジスタの1対のハロ領域の不純物濃度が同じ場合を例に挙げて説明した。ここでは、アクセストランジスタの1対のハロ領域の不純物濃度を非対称としたうえで、ドライブトランジスタの1対のハロ領域の不純物濃度も非対称とした半導体装置について説明する。
まず、SRAMメモリセルの等価回路について説明する。図41に示すように、本半導体装置の各メモリセルのアクセストランジスタT1,T2では、それぞれに形成される1対のハロ領域17のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17aの不純物濃度が、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17bの不純物濃度よりも高く設定されている。また、ドライブトランジスタT3,T4では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17d、17e)のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17dの不純物濃度が、接地電位に接続されている側のハロ領域17eの不純物濃度よりも高く設定されている。なお、これ以外の構成については図3に示す等価回路と同じ構成なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
次に、SRAMメモリセルの構造について説明する。図42および図43に示すように、アクセスゲート電極AG1に対して、ドライブゲート電極DG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A:アクセスゲート電極AG1,AG11の間に位置する領域)には、ハロ領域17b、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
アクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)には、ハロ領域17a、ハロ領域17d、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
ドライブゲート電極DG1に対して、アクセスゲート電極AG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)には、ハロ領域17e、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。アクセスゲート電極AG11とドライブゲート電極DG11との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域D)には、ハロ領域17a、ハロ領域17d、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。ドライブゲート電極DG11に対して、アクセスゲート電極AG11が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域E)には、ハロ領域17e、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。ハロ領域17a,17bは、アクセスゲート電極AG1、AG11の直下の領域に達するように形成され、ハロ領域17d、17eは、ドライブゲート電極DG1、DG11の直下の領域に達するように形成されている。
アクセストランジスタT1,T2の1対のハロ領域17a,17bは、サイドウォールスペーサ18の直下の領域からアクセスゲート電極AG1の直下の領域に達するように形成されている。ハロ領域17aの不純物濃度は、ハロ領域17bの不純物濃度よりも高く設定されている。
また、ドライブトランジスタT3,T4の1対のハロ領域17d、17eのうち、ハロ領域17dの不純物濃度は、アクセストランジスタT1,T2の1対のハロ領域17a,17bのうち、不純物濃度が高い方のハロ領域17aの不純物濃度と同じ濃度とされる。一方、ハロ領域17eの不純物濃度は、1対のハロ領域17a,17bのうち、不純物濃度が低い方のハロ領域17bの不純物濃度と同じ濃度とされる。
なお、これ以外の構成については、前述した半導体装置と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。また、図43では、第1金属配線に対応する銅配線29までの構造が示されているが、その銅配線29より上層の配線構造については、図6〜図8に示される配線構造と同様の構造が適用される。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。まず、図4に示す工程と同様の工程を経て、半導体基板1の表面上に、界面層6を介在させて、アクセスゲート電極(AG1)となるゲート構造Gと、ドライブゲート電極(DG1)となるゲート構造Gが形成される。次に、ゲート構造Gの両側面にオフセットスペーサ10が形成される(図4参照)。
次に、図44および図45に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク36が形成される(注入マスクA)。レジストマスク36は、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gに対して、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gが位置する側と反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)を覆い、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gとドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gとの間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)を一つの開口で露出し、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gに対してアクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gが位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)を覆うパターンに形成される。
すなわち、レジストマスク36の個々の開口部は、各SRAMメモリセルのアクセスゲート電極となるゲート構造の一側面からドライブゲート電極となるゲート構造の一側面までの領域を連続的に露出する。また、レジストマスク36は、アクセスゲート電極となるゲート構造の一側面とは反対側の側面とその側面に隣接する素子形成領域の部分(ビット線が接続される領域)を覆うとともに、ドライブゲート電極となるゲート構造の一側面とは反対側の側面とその側面に隣接する素子形成領域の部分(接地配線が接続される領域)を覆い、さらに、PMIS領域RPを覆う。
次に、図46に示すように、レジストマスク36を注入マスクとして、たとえばボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域Bおよび領域Dのpウェル4にp型不純物領域11aが形成される。次に、図47に示すように、同じレジストマスク36を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域B,Dのpウェル4にp型不純物領域11bが形成される(ハロ注入A)。その後、レジストマスク36が除去される。なお、図46に示す工程の注入と図47に示す工程の注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。
次に、図48に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク37が形成される(注入マスクB)。レジストマスク37は、領域A〜Eを含むNMIS領域RNを露出し、PMIS領域RPを覆うパターンに形成される。
次に、図49に示すように、レジストマスク37(図48参照)を注入マスクとして、たとえばボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A〜Eのpウェル4にp型不純物領域11cが形成される。次に、図50に示すように、同じレジストマスク37を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A〜Eのpウェル4にp型不純物領域11dが形成される(ハロ注入B)。
なお、図49に示す工程の注入と図50に示す工程の注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。また、注入量としては、図46および図47に示す工程の注入量と図49および図50に示す工程の注入量とを、同じ注入量にしてもよいし、異なる注入量にしてもよい。さらに、注入エネルギーとしても、図46および図47に示す工程の注入エネルギーと図49および図50に示す工程の注入エネルギーとを、同じ注入エネルギーにしてもよいし、異なる注入エネルギーにしてもよい。
こうして、図51に示すように、領域A、領域Cおよび領域Eでは、p型不純物領域11c,11dが形成され、領域Bおよび領域Dでは、p型不純物領域11a,11b,11c,11dが形成される。p型不純物領域11a,11b,11c,11dの一部がハロ領域となる。
次に、図21に示す工程と同様に、同じレジストマスク37を注入マスクとして、リンまたは砒素を、半導体基板1の主表面に垂直な方向から半導体基板1内に注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりエクステンション領域(図示せず)が形成される(エクステンション注入)。その後、レジストマスク37が除去される。
次に、図22に示す工程と同様に、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク(注入マスクC、図示せず)が形成され、そのレジストマスクを注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、素子形成領域3bにハロ領域(図示せず)が形成される。次に、ボロンを半導体基板1内に注入することにより、エクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。
次に、図23に示す工程と同様の工程を経て、ゲート構造Gの両側面上にサイドウォールスペーサ(図示せず)が形成される。次に、図24および図25に示す工程と同様の工程を経て、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域(図示せず)が形成される。次に、図26に示す工程と同様の工程を経て、露出した素子形成領域3bの表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域(図示せず)が形成される。
次に、図27に示す工程と同様の工程を経て、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17a,17bが活性化される。次に、図28に示す工程と同様の工程を経て、露出しているソースまたはドレイン領域16およびアクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1のポリシリコン膜の表面に、たとえばニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜19が形成される。
次に、図29に示す工程と同様の工程を経て、アクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1を覆うようにストレスライナー膜20が形成され、さらに、そのストレスライナー膜20を覆うように、TEOS等の層間絶縁膜21が形成される。次に、図30に示す工程と同様の工程を経て、層間絶縁膜21等を貫通するように、バリア金属膜22とタングステン膜23を含むプラグ24が形成される。次に、図43に示すように、層間絶縁膜26の溝26a内に、バリア金属膜27と銅膜28を含む、第1金属配線となる銅配線29が形成される。
この後、銅配線29の上方に、ヴィアV11〜V18を介して銅配線29にそれぞれ電気的に接続される第2金属配線M21〜M27(図7参照)が形成され、さらに、ヴィアV21〜V24を介して、その第2金属配線M21〜M27にそれぞれ電気的に接続される第3金属配線M31〜M33(図8参照)が形成される。こうしてSRAMメモリセルの主要部分が形成される。
上述した半導体装置では、アクセストランジスタT1,T2の非対称のハロ領域とドライブトランジスタT3,T4のハロ領域は、レジストマスク36(注入マスクA)とレジストマスク37(注入マスクB)と注入マスクとして形成される。また、ロードトランジスタT5,T6のハロ領域はレジストマスク33(注入マスクC、図22参照)を注入マスクとして形成される。これにより、前述した半導体装置と同様に、少なくとも4枚の注入マスクが必要とされる比較例に係る半導体装置に対して、レジストマスクをパターニングするための写真製版マスクを少なくとも1枚削減することができ、その結果、生産コストの低減に寄与することができる。
さらに、上述した半導体装置では、ドライブトランジスタT3,T4の1対のハロ領域17d,17eの不純物濃度が非対称とされている。すなわち、ドライブトランジスタT3,T4の1対のハロ領域17(17d、17e)のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17dの不純物濃度が、接地電位に接続されている側のハロ領域17eの不純物濃度よりも高く、アクセストランジスタT1,T2のハロ領域17aの不純物濃度と同じ濃度に設定されている。具体的には、ドライブトランジスタT3,T4のドライブゲート電極の側面下端部の半導体基板の表面の部分からの深さ方向(図9に示される矢印F1,F2に対応)の不純物濃度プロファイルは、ハロ領域17dでは、図10に示されるF1と同じ不純物濃度プロファイルとなり、ハロ領域17eではF2と同じ不純物濃度プロファイルとなる。
ドライブトランジスタT3,T4では、電流は記憶ノードSN1,SN2の側から接地電位の側に向かって流れ、その逆方向に流れることはない。このため、記憶ノードに接続されている側のハロ領域の不純物濃度を相対的に高く設定しておくことで、ドライブトランジスタの動作をより速くすることができる。すなわち、図31および図32に示すように、流れの上流側(記憶ノード側)のハロ領域の不純物濃度を相対的に高く設定しておくことで、同じ電流に対してドライブトランジスタのしきい値電圧を低く設定することができ、これにより、データを読み込む際の動作を高速化させることができる。
変形例
上述した半導体装置では、アクセストランジスタのハロ領域17aの不純物濃度とドライブトランジスタのハロ領域17dの不純物濃度とは同程度の濃度に設定されている。しかし、SRAMの動作に関し、ドライブトランジスタにおいて接地配線Vssから記憶ノードSN1,SN2への電流は生じない。このため、たとえば、図52に示すように、記憶ノードSN1、SN2に接続するS・D側のハロ領域17ddの不純物濃度をハロ領域17aの不純物濃度よりも低くしてもよい。
この半導体装置は、注入マスクAとして、図44に示されるレジストマスク36に代えて、図53に示されるレジストマスク38を使用する以外は、上述した図41の半導体装置の製造方法と同じ方法によって形成される。注入マスクAとしてのレジストマスク38は、アクセスゲート電極AG1(ゲート構造)の側面からアクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1(ゲート構造)との間の中間までの領域Bの一部を開口する開口部を有し、領域Aの全体、領域Bの残りの一部、領域Cの全体およびPMIS領域RPを覆う。図42に示される断面線XLVIII−XLVIIIに対応する断面線に沿った断面構造は、図54に示すとおりである。図43に示される半導体装置と異なるのは、変形例に係る半導体装置では、各メモリセルのハロ領域17ddの不純物濃度がハロ領域17bおよび17eの不純物濃度と同じ濃度である点である。
実施の形態3
ここでは、NMISのハロ領域を形成するための不純物注入として、p型の不純物に加えて、カーボン(C)を注入する場合について説明する。
(第1例)
第1例では、実施の形態1において説明した各レジストマスクを用いて、ボロンとカーボンを注入する場合について説明する。
まず、SRAMメモリセルの等価回路について説明する。図55に示すように、本半導体装置のアクセストランジスタT1,T2では、それぞれに形成される1対のハロ領域17のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17gの不純物濃度が、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17hの不純物濃度よりも高く設定されている。また、ドライブトランジスタT3,T4では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17j、17j)の不純物濃度は、ハロ領域17gの不純物濃度と同じ濃度に設定されている。ハロ領域17g,17h,17jのうち、ハロ領域17g,17jには、不純物としてボロンに加えてカーボンが注入されている。なお、これ以外の構成については図3に示す等価回路と同じ構成なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
次に、SRAMメモリセルの構造について説明する。図56および図57に示すように、SRAMメモリセルでは、アクセスゲート電極AG1に対して、ドライブゲート電極DG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)には、ハロ領域17h、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
アクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)には、ハロ領域17g、ハロ領域17j、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
ドライブゲート電極DG1に対して、アクセスゲート電極AG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)には、ハロ領域17j、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
図58に示すように、1対のハロ領域17g,17hは、サイドウォールスペーサ18の直下の領域からアクセスゲート電極AG1の直下の領域に達するように形成されている。ハロ領域17h,17g,17jには、ボロン(p型不純物)に加えてカーボンが注入されている。ハロ領域17gの不純物濃度は、ハロ領域17hの不純物濃度よりも高く設定されている。不純物濃度のピーク(極大値)不純物濃度は、ハロ領域17gでは約6×1018/cm3であり、ハロ領域17hでは約5×1018/cm3である。
なお、これ以外の構成については図4、図5および図9に示す構造と同様なので、同一部材には同一符号を付してその説明を繰り返さないこととする。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。図11に示す工程と同様の工程を経た後、図59および図60に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク31が形成される(注入マスクA)。レジストマスク31は、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gに対して、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gが位置する側と反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)を覆い、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gとドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gとの間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)と、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gに対してアクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gが位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)とを露出するパターンに形成される。
次に、図61に示すように、レジストマスク31を注入マスクとして、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に、ボロンを注入し、さらに、カーボンをボロンの場合と同じ方向から半導体基板1内に注入することにより、露出した領域Bおよび領域Cのpウェル4にp型不純物領域12aが形成される。次に、図62に示すように、同じレジストマスク31を注入マスクとして、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に、ボロンを注入し、さらに、カーボンをボロンの場合と同じ方向から半導体基板1内に注入することにより、露出した領域Bおよび領域Cのpウェル4にp型不純物領域12bが形成される(ハロ注入A)。その後、レジストマスク31が除去される。なお、図61に示す工程の注入と図62に示す工程の注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。また、カーボンについても、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもって注入される。
次に、図63に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク32が形成される(注入マスクB)。レジストマスク32は、領域A、領域Bおよび領域Cを露出し、PMIS領域RPを覆うパターンに形成される。すなわち、レジストマスク32は、NMIS領域RNを露出し、PMIS領域RPを覆うように形成される。
次に、図64に示すように、レジストマスク32(図63参照)を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A、B,Cのpウェル4にp型不純物領域12cが形成される。次に、図65に示すように、同じレジストマスク32を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A,B,Cのpウェル4にp型不純物領域12dが形成される(ハロ注入B)。こうして形成されるp型不純物領域12a,12b,12c,12dの一部と、p型不純物領域12c,12dの一部とがハロ領域となる。
なお、図18に示す工程の注入と図19に示す工程の注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。また、ボロンの注入量としては、図14および図15に示す工程の注入量と図18および図19に示す工程の注入量とを、同じ注入量にしてもよいし、異なる注入量にしてもよい。さらに、ボロンの注入エネルギーとしても、図14および図15に示す工程の注入エネルギーと図18および図19に示す工程の注入エネルギーとを、同じ注入エネルギーにしてもよいし、異なる注入エネルギーにしてもよい。
次に、図21に示す工程と同様に、同じレジストマスク32を注入マスクとして、リンまたは砒素を注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりエクステンション領域(図示せず)が形成される(エクステンション注入)。その後、レジストマスク32が除去される。
次に、図22に示す工程と同様に、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク(注入マスクC、図示せず)が形成され、そのレジストマスクを注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内へ注入することにより、素子形成領域3bにハロ領域(図示せず)が形成される。次に、ボロンを半導体基板1内へ注入することにより、エクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、図23〜図30に示す工程と同様の工程を経て、図57に示すように、第1金属配線に対応する銅配線29が形成される、さらにその後、図6〜図8に示される配線構造と同様の構造が形成されて、SRAMメモリセルの主要部分が形成される。
上述した半導体装置では、実施の形態1において説明したマスク削減効果に加えて、次のような効果が得られる。まず、トランジスタのハロ領域等の不純物領域の不純物濃度が高くなるにしたがって、しきい値のばらつきが大きくなる傾向にある。上述した半導体装置では、不純物領域にカーボンを注入することによって、その不純物領域の不純物濃度が下げられることになる。これにより、トランジスタのしきい値のばらつきが抑えられてより安定した動作を行うことができる。
なお、ハロ領域のボロン濃度について、ハロ領域17gのボロン濃度はハロ領域17hのボロン濃度よりも高く設定されているが、ハロ領域17gのボロン濃度とハロ領域17hのボロン濃度とを同じ濃度に設定してもよい。ハロ領域17gにカーボンが存在だけでも電流の流れる向きにより電流量の非対称性は発揮することはできる。したがって、図61および図62に示される工程において、ボロンの注入を省略することは可能である。
また、実施の形態1における変形例のように、注入マスクAとして、図59に示されるレジストマスク31に代えて、図39に示されるレジストマスク40と同じパターンのレジストマスクを採用してもよい。この場合には、記憶ノードSN1,SN2に接続するソースまたはドレイン領域側に設けられたハロ領域17jには、カーボンが注入されることなく、ハロ領域17jのボロン濃度は、ハロ領域17hのボロン濃度と同程度の濃度となる。
(第2例)
第2例では、実施の形態2において説明した各レジストマスクを用いて、ボロン(p型不純物)とカーボンを注入する場合について説明する。図66に示すように、本半導体装置のアクセストランジスタT1,T2では、それぞれに形成される1対のハロ領域17のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17kの不純物濃度が、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17mの不純物濃度よりも高く設定されている。また、ドライブトランジスタT3,T4では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17p、17n)のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17nの不純物濃度が、接地電位に接続されている側のハロ領域17pの不純物物濃度よりも高く設定されている。ハロ領域17k,17m,17n,17pのうち、ハロ領域17k,17nには、不純物としてボロンに加えてカーボンが注入されている。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。図11に示す工程と同様の工程を経た後、図67および図68に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク36が形成される(注入マスクA)。レジストマスク36は、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gに対して、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gが位置する側と反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)を覆い、アクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gとドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gとの間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)を露出し、ドライブゲート電極DG1となるゲート構造Gに対してアクセスゲート電極AG1となるゲート構造Gが位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)を覆うパターンに形成される。
次に、図69に示すように、レジストマスク36を注入マスクとして、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に、ボロンを注入し、さらに、カーボンをボロンの場合と同じ方向から半導体基板1内へ注入することにより、露出した領域Bおよび領域Cのpウェル4にp型不純物領域12aが形成される。次に、図70に示すように、同じレジストマスク36を注入マスクとして、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に、ボロンを注入し、さらに、カーボンをボロンの場合と同じ方向から半導体基板1内へ注入することにより、露出した領域Bおよび領域Cのpウェル4にp型不純物領域12bが形成される(ハロ注入A)。その後、レジストマスク36が除去される。
次に、図71に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク37が形成される(注入マスクB)。レジストマスク37は、領域A、領域Bおよび領域Cを露出し、PMIS領域RPを覆うパターンに形成される。すなわち、レジストマスク37は、NMIS領域RNを露出し、PMIS領域RPを覆うように形成される。
次に、図72に示すように、レジストマスク37(図71参照)を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A、B,Cのpウェル4にp型不純物領域12cが形成される。次に、図73に示すように、同じレジストマスク37を注入マスクとして、ボロンを、ゲート構造Gが延在する方向と略直交する一方と逆方向の他方から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した領域A,B,Cのpウェル4にp型不純物領域12dが形成される(ハロ注入B)。こうして形成されるp型不純物領域12a,12b,12c,12dの一部と、p型不純物領域12c,12dの一部とがハロ領域となる。
次に、図21に示す工程と同様に、同じレジストマスク37を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりエクステンション領域(図示せず)が形成される(エクステンション注入)。その後、レジストマスク37が除去される。
次に、図22に示す工程と同様に、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク(注入マスクC、図示せず)が形成され、そのレジストマスクを注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、素子形成領域3bにハロ領域(図示せず)が形成される。次に、ボロンを半導体基板1内に注入することにより、エクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、図23〜図30に示す工程と同様の工程を経て、図74に示すように、第1金属配線に対応する銅配線29が形成される、さらにその後、図6〜図8に示される配線構造と同様の構造が形成されて、SRAMメモリセルの主要部分が形成される。
上述した半導体装置では、実施の形態2において説明したマスク削減と、トランジスタの動作の高速化の効果に加えて、次のような効果が得られる。すなわち、第1例において説明したように、トランジスタのハロ領域等の不純物領域の不純物濃度が高くなるにしたがって、しきい値のばらつきが大きくなる傾向にあるのに対して、不純物領域にカーボンを注入することによって、その不純物領域の不純物濃度が下げられることになる。これにより、トランジスタのしきい値のばらつきが抑えられてより安定した動作を行うことができる。
なお、ハロ領域のボロンの濃度について、ハロ領域17kのボロン濃度はハロ領域17mのボロン濃度より高く設定されているが、ハロ領域17kのボロン濃度とハロ領域17mのボロン濃度とも同じ濃度に設定してもよい。ハロ領域17kにカーボンが存在だけでも電流の流れる向きにより電流量の非対称性は発揮することはできる。したがって、図72および図73に示される工程において、ボロンの注入を省略することは可能である。
また、実施の形態2における変形例のように、注入マスクAとして、図67に示されるレジストマスク36に代えて、図53に示されるレジストマスク38と同じパターンのレジストマスクを採用してもよい。この場合には、記憶ノードSN1,SN2に接続するソースまたはドレイン領域側に設けられたハロ領域17nには、カーボンが注入されることなく、ハロ領域17nのボロン濃度はハロ領域17mおよびハロ領域17pのボロン濃度と同程度の濃度となる。
実施の形態4
ここでは、上述した各半導体装置のSRAMメモリセルとは配置パターンが異なる半導体装置について説明する。図75に示すように、SRAMセルアレイは、半導体基板の主表面に複数行複数列の行列状(同図では4行×4列)に配置された複数のメモリセルを有する。この半導体装置のSRAMセルアレイでは、個々のSRAMメモリセル52aのパターンは鏡面対称に反転されることなく、すべて同じ大きさおよび形状をもって、同じ場所に配置される。
次に、SRAMメモリセルの等価回路について説明する。図76に示すように、本半導体装置のアクセストランジスタT1,T2では、それぞれに形成される1対のハロ領域17のうち、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17tの不純物濃度が、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17uの不純物濃度よりも高く設定されている。また、ドライブトランジスタT3,T4では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17v、17v)の不純物濃度は同じ不純物濃度であり、ハロ領域17uの不純物濃度と同じ濃度に設定されている。なお、これ以外の構成については図3に示す等価回路と同じ構成なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
次に、SRAMメモリセルの構造について説明する。図77に示すように、半導体基板1の主表面では、素子分離絶縁膜2を形成することによって、互いに電気的に分離された素子形成領域3a,3bが規定されている。素子形成領域3aには、第1方向(X方向)に延在する部分3aXと第2方向(Y方向)に延在する部分3aYとが設けられている。
素子形成領域3aには、nチャネル型のMISトランジスタとして、アクセストランジスタT1,T2とドライブトランジスタT3,T4が形成されている。アクセストランジスタT1,T2は素子形成領域3aYに配置され、ドライブトランジスタT3,T4が素子形成領域3aXに配置されている。アクセストランジスタT1,T2のアクセスゲート電極AG1,AG2は、X方向に延在して素子形成領域3aを横切るように形成されている。ドライブトランジスタT3,T4のドライブゲート電極DG1,DG2は、Y方向に延在して素子形成領域3bを横切るように形成されている。
素子形成領域3bは、第1方向(X方向)に延在し、素子形成領域3aXと距離を隔てて配置されている。素子形成領域3bには、pチャネル型のMISトランジスタとしてロードトランジスタT5,T6が形成されている。ロードトランジスタT5,T6のロードゲート電極LG1,LG2は、Y方向に延在して素子形成領域3bを横切るように形成されている。なお、図77では、SRAMメモリセルとして4セル分が示されている。
アクセスゲート電極AG1に対して、ドライブゲート電極DG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)には、ハロ領域17u、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
アクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)には、ハロ領域17t、ハロ領域17v、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
ドライブゲート電極DG1に対して、アクセスゲート電極AG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)には、ハロ領域17v、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。ハロ領域17t,17uは、アクセスゲート電極AG1の直下の領域に達するように形成され、ハロ領域17v、17vは、ドライブゲート電極DG1の直下の領域に達するように形成されている。
アクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1を覆うように、シリコン窒化膜等のストレスライナー膜20が形成されている。そのストレスライナー膜20を覆うように、TEOS膜等の層間絶縁膜21が形成されている。層間絶縁膜21およびストレスライナー膜20を貫通して金属シリサイド膜19に電気的に接続されるプラグ24が形成されている。プラグ24は、TiN膜等のバリア金属膜22とタングステン膜23を含んでいる。
プラグ24を覆うように、層間絶縁膜21上にシリコン窒化膜等のエッチングストッパ膜25が形成されている。そのエッチングストッパ膜25上にシリコン酸化膜等の層間絶縁膜26が形成されている。層間絶縁膜26およびエッチングストッパ膜25を貫通してプラグ24に電気的に接続される銅配線29が形成されている。銅配線29は、TaN膜等のバリア金属膜27と銅膜28を含んでいる。
次に、各トランジスタを電気的に接続する多層配線構造について説明する。図79、図80および図81に示すように、銅配線29を第1金属配線M11〜M19として、本半導体装置では、第1金属配線M11〜M19の上方に第2金属配線M21〜M25が形成され、その第2金属配線M21〜M25の上方に第3金属配線M31〜M34が形成されている。
アクセストランジスタT1のS・Dの一方(領域A)は、コンタクトC4(プラグ24)、第1金属配線M14(銅配線29)、ヴィアV13、第2金属配線M21およびヴィアV22を介して、ビット線BLとしての第3金属配線M32に電気的に接続されている。アクセストランジスタT1のS・Dの他方(領域B)は、コンタクトC5(プラグ24)、第1金属配線M15およびコンタクトC6を介して、ロードトランジスタT5のS・Dの一方(領域)に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT1のS・Dの他方(領域B)とドライブトランジスタT3のS・Dの一方(領域B)は、コンタクトC5(プラグ24)、第1金属配線M15、ヴィアV14、第2金属配線M25およびヴィアV17を介して、ドライブトランジスタT4のドライブゲート電極DG2とロードトランジスタT6のロードゲート電極LG2に電気的に接続されている。また、アクセストランジスタT1のS・Dの他方は、ドライブトランジスタT3のS・Dの一方に電気的に接続されている。アクセストランジスタT1のアクセスゲート電極AG1は、ワード線WLの一部として形成されている。
ドライブトランジスタT3のS・Dの他方(領域C)は、コンタクトC1(プラグ24)を介して接地電位に固定された第1金属配線M11に電気的に接続されている。ロードトランジスタT5のS・Dの他方は、コンタクトC2、第1金属配線M12、ヴィアV11、第2金属配線M23およびヴィアV21を介して、電源配線としての第3金属配線M31に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT2のS・Dの一方は、コンタクトC7、第1金属配線M16、ヴィアV15、第2金属配線M24およびヴィアV23を介して、ビット線/BLとしての第3金属配線M33に電気的に接続されている。アクセストランジスタT2のS・Dの他方は、コンタクトC8、第1金属配線M17およびコンタクトC9を介して、ロードトランジスタT6のS・Dの一方(領域)に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT2のS・Dの他方とドライブトランジスタT4のS・Dの一方は、コンタクトC8(プラグ24)、第1金属配線M17、ヴィアV16、第2金属配線M22およびヴィアV12を介して、ドライブトランジスタT3のドライブゲート電極DG1とロードトランジスタT5のロードゲート電極LG1に電気的に接続されている。アクセストランジスタT2のS・Dの他方は、ドライブトランジスタT4のS・Dの一方に電気的に接続されている。アクセストランジスタT2のアクセスゲート電極AG2は、ワード線WLの一部として形成されている。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。半導体装置には、SRAMの他にロジック回路等も含まれるが、ここでは、アクセストランジスタT1およびドライブトランジスタT3を形成する方法を中心に説明する。
まず、半導体基板1の主表面に素子分離絶縁膜2を形成することによって、互いに電気的に分離された素子形成領域3a,3bが規定される(図77参照)。次に、図82に示すように、素子形成領域3aにpウェル4が形成される。次に、半導体基板1の表面上に、界面層6を介在させて、所定の誘電率を有するHigh−k膜7、所定の仕事関数を有する金属膜8およびポリシリコン膜9を積層させる態様で、アクセスゲート電極(AG1)となるゲート構造Gと、ドライブゲート電極(DG1)となるゲート構造Gが形成される。次に、ゲート構造Gを覆うように半導体基板1上に、たとえばシリコン窒化膜(図示せず)が形成される。次に、そのシリコン窒化膜に異方性エッチングを施すことにより、ゲート構造Gの両側面にオフセットスペーサ10が形成される。
次に、図83に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク41が形成される(注入マスクA)。レジストマスク41は、素子形成領域3aが形成されているNMIS領域RNを露出し、素子形成領域3bが形成されているPMIS領域RPを覆うパターンに形成される。次に、レジストマスク41を注入マスクとして、所定の方向からボロンが注入される。
まず、図84に示すように、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを方向E3(図83参照)から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13aが形成される。
次に、図85に示すように、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを方向E4(図83参照)から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13bが形成される。
次に、図86に示すように、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを方向E1(図83参照)から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13cが形成される。
次に、図87に示すように、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを方向E2(図83参照)から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13dが形成される(ハロ注入A)。
方向E2から注入するボロンの注入量を、方向E1,E3,E4から注入するボロンの注入量よりも高く設定することで、アクセスゲート電極AG1(AG2)が配置されているpウェル4には、不純物濃度が非対称のハロ領域となる不純物領域が形成されることになる。なお、方向E1〜E4のそれぞれから注入するボロンの注入エネルギーは、同じ注入エネルギーとする。
次に、図88に示すように、同じレジストマスク41(図83参照)を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりエクステンション領域15が形成される(エクステンション注入)。その後、レジストマスク41が除去される。
次に、図89に示すように、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク42が形成される(注入マスクB)。次に、レジストマスク42を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、素子形成領域3bにハロ領域(図示せず)が形成される。次に、ボロンを半導体基板1内に注入することにより、エクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、レジストマスク42が除去される。
次に、ゲート構造G(アクセスゲート電極AG1、ドライブゲート電極DG1等)を覆うように、たとえばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜(図示せず)が順次形成される。次に、そのシリコン酸化膜とシリコン窒化膜に異方性エッチングを施すことにより、ゲート構造Gの両側面上に、シリコン酸化膜18aとシリコン窒化膜18bからなるサイドウォールスペーサ18が形成される。
次に、NMIS領域RNを露出し、PMIS領域RPを覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、図90に示すように、そのレジストマスクおよびサイドウォールスペーサ等を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域16が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。
次に、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクを注入マスクとして、ボロンを半導体基板1内に注入することにより、露出した素子形成領域3bの表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域(図示せず)が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。
次に、所定のアニール処理を施すことにより、注入された不純物を熱拡散させることによって、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17t,17u,17vを活性化させる。このとき、不純物が熱拡散することで、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17t,17u,17vは、横方向と縦(深さ)方向に広がることになる。
次に、図91に示すように、サリサイドプロセスにより、露出しているソースまたはドレイン領域16およびアクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1のポリシリコン膜の表面に、ニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜19が形成される。次に、図92に示すように、アクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1を覆うように、シリコン窒化膜等のストレスライナー膜20が形成される。そのストレスライナー膜20を覆うように、TEOS等の層間絶縁膜21が形成される。
次に、図93に示すように、層間絶縁膜21に異方性エッチングを施すことにより、金属シリサイド膜19を露出するコンタクトホール21aが形成される。次に、そのコンタクトホール21a内に、バリア金属膜22とタングステン膜23を含むプラグ24が形成される。次に、プラグ24を覆うように、シリコン窒化膜等のエッチングストッパ膜25およびシリコン酸化膜等の層間絶縁膜26が形成される。次に、プラグ24の表面を露出する溝26aが形成される。次に、その溝26a内に、バリア金属膜27と銅膜28を含む銅配線29が形成される。銅配線29は第1金属配線に対応する。
この後、銅配線29を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、プラグ24を形成する方法と同様の方法によりヴィアV11〜V18(図80参照)が形成される。次に、ヴィアV11〜V18を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、銅配線29を形成する方法と同様の方法により、第2金属配線M21〜M25(図80参照)が形成される。
次に、第2金属配線M21〜M25を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、プラグ24を形成する方法と同様の方法によりヴィアV21〜V24(図81参照)が形成される。次に、ヴィアV21〜V24を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、銅配線29を形成する方法と同様の方法により、第3金属配線M31〜M34(図81参照)が形成される。こうしてSRAMメモリセルの主要部分が形成される。
上述した半導体装置では、アクセストランジスタT1,T2の非対称のハロ領域とドライブトランジスタT3,T4のハロ領域は、レジストマスク41(注入マスクA、図83参照)を注入マスクとして形成される。また、ロードトランジスタT5,T6のハロ領域はレジストマスク42(注入マスクB、図89参照)を注入マスクとして形成される。すなわち、SRAMメモリセルを構成する各トランジスタのハロ領域を形成するために、上述した半導体装置では、2つのレジストマスクを注入マスクとして各トランジスタのハロ領域を形成することができることになる。
本半導体装置は、アクセストランジスタのアクセスゲート電極が、行列状に隣接配置された複数のメモリセルにおいて、いずれも同じ方向に延在している。そして、半導体基板の主表面を平面視して、各メモリセルの記憶ノードとなるアクセストランジスタの一方のソースまたはドレイン領域(領域A)に対するビット線が接続されるアクセストランジスタの他方のソースまたはドレイン領域(領域B)の方向が、複数のメモリセルにおいて同じである。このため、ハロ領域17t、17uの不純物濃度を非対称とする(異なる不純物濃度とする)ために注入マスクを必要としない。これにより、少なくとも4つの注入マスクが必要とされる比較例に係る半導体装置に対して、前述した各実施の形態に係る半導体装置の場合よりも、写真製版マスクをさらに1枚削減することができて、少なくとも2枚削減することができる。その結果、生産コストをさらに低減することができる。
また、ドライブトランジスタのドライブゲート電極も、複数のメモリセルにおいて、いずれも同じ方向(アクセスゲート電極と直交する方向)に延在させているため、ドライブトランジスタの一対のハロ領域17vの不純物濃度を対称とすることができる。
なお、上述した半導体装置の製造方法では、ハロ注入Aにおいて、方向E2から注入する際の注入量を、方向E1,E3,E4から注入する際の注入量よりも高く設定する場合を例に挙げて説明した。この他に、方向E2,E3,E4から注入する際の注入量を同じ注入量に設定し、方向E1から注入する際の注入量をその注入量よりも低く設定してもよい。
実施の形態5
ここでは、SRAMセルがすべて同じ向きに配置された半導体装置の他の例について説明する。
まず、SRAMメモリセルの等価回路について説明する。図94に示すように、本半導体装置のアクセストランジスタT1,T2では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17w、17x)の不純物濃度は同じ不純物濃度に設定されている。また、記憶ノードSN1,SN2に接続されている側のハロ領域17wの形状と、ビット線BL,/BLに接続されている側のハロ領域17xの形状とが、アクセスゲート電極に対して非対称の形状とされる。ドライブトランジスタT3,T4では、それぞれに形成される1対のハロ領域17(17y、17y)の不純物濃度は同じ不純物濃度であり、ハロ領域17w、17xの不純物濃度と同じ不純物濃度に設定されている。なお、これ以外の構成については図3に示す等価回路と同じ構成なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
次に、SRAMメモリセルの構造について説明する。図95および図96に示すように、アクセスゲート電極AG1に対して、ドライブゲート電極DG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)には、ハロ領域17x、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。アクセスゲート電極AG1とドライブゲート電極DG1との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)には、ハロ領域17w、ハロ領域17y、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。ドライブゲート電極DG1に対して、アクセスゲート電極AG1が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)には、ハロ領域17y、エクステンション領域15、ソースまたはドレイン領域16および金属シリサイド膜19が形成されている。
図97に示すように、特に、アクセストランジスタT1(T2)では、ハロ領域17w,17xは、アクセスゲート電極AG1(AG2)のゲート長方向において、アクセスゲート電極AG1(AG2)に対して形状的に非対称に形成されている。すなわち、ハロ領域17wは、ハロ領域17xよりも、アクセスゲート電極AG1(AG2)のゲート長方向のより中央部直下の領域に向かって延在するように形成されている。なお、これ以外の構成については、図77、図78等に示す構成と同様なので、同一部材には同一符号を付しその説明を繰り返さないこととする。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。図82に示す工程と同様の工程を経た後、図98に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク41が形成される(注入マスクA)。レジストマスク41は、素子形成領域3aが形成されているNMIS領域RNを露出し、素子形成領域3bが形成されているPMIS領域RPを覆うパターンに形成される。次に、レジストマスク41を注入マスクとして、所定の方向からボロンが注入される。
まず、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを、方向E3と、方向E4(図98参照)から、それぞれ半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ1=約7〜8度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13a、13b(図99参照)が形成される。次に、図99に示すように、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを、方向E1(図98参照)から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ1=約7〜8度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13cが形成される。
次に、図100に示すように、レジストマスク41を注入マスクとして、ボロンを、方向E2(図98参照)から、半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ2=約10〜11°)に注入することにより、露出した素子形成領域3aのpウェル4にp型不純物領域13dが形成される(ハロ注入A)。方向E2からの注入では、注入角度θ2を、方向E1からの注入角度θ1よりも大きく設定することで、ボロンはアクセスゲート電極AG1(AG2)の直下のより奥(ゲート長方向の中央部)の領域にまで導入されることになる。なお、方向E1〜E4のそれぞれから注入するボロンの注入エネルギーは、同じ注入エネルギーとする。
次に、図101に示すうに、ゲート構造Gの両側面上にサイドウォールスペーサ18が形成される。次に、NMIS領域RNに露出したpウェル4の表面から所定の深さにわたり、ソースまたはドレイン領域16が形成される。次に、PMIS領域RPの素子形成領域3bの表面から所定の深さにわたり、ソースまたはドレイン領域(図示せず)が形成される。次に、所定のアニール処理を施すことにより、注入された不純物を熱拡散させることによって、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17w,17x,17yを活性化させる。次に、サリサイドプロセスにより、露出しているソースまたはドレイン領域16およびアクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1のポリシリコン膜の表面に、ニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜19が形成される。
次に、アクセスゲート電極AG1およびドライブゲート電極DG1を覆うように、シリコン窒化膜等のストレスライナー膜20が形成され、次に、そのストレスライナー膜20を覆うように、TEOS等の層間絶縁膜21が形成される。次に、層間絶縁膜21に金属シリサイド膜19を露出するコンタクトホール21aが形成され、次に、そのコンタクトホール21a内に、バリア金属膜22とタングステン膜23を含むプラグ24が形成される。次に、プラグ24を覆うように、シリコン窒化膜等のエッチングストッパ膜25およびシリコン酸化膜等の層間絶縁膜26が形成される。次に、プラグ24の表面を露出する溝26aが形成される。次に、その溝26a内に、バリア金属膜27と銅膜28を含む銅配線29が形成される。銅配線29は第1金属配線に対応する。
この後、銅配線29を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、プラグ24を形成する方法と同様の方法によりヴィアV11〜V18(図80参照)が形成される。次に、ヴィアV11〜V18を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、銅配線29を形成する方法と同様の方法により、第2金属配線M21〜M25(図80参照)が形成される。
次に、第2金属配線M21〜M25を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、プラグ24を形成する方法と同様の方法によりヴィアV21〜V24(図81参照)が形成される。次に、ヴィアV21〜V24を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に、銅配線29を形成する方法と同様の方法により、第3金属配線M31〜M34(図81参照)が形成される。こうしてSRAMメモリセルの主要部分が形成される。
上述した半導体装置では、アクセストランジスタT1(T2)のハロ領域17wは、ハロ領域xよりも、アクセスゲート電極AG1(AG2)のゲート長方向のより中央部直下の領域に向かって延在するように形成されている。この場合、同じしきい値電圧に対して、ハロ領域17wの側からハロ領域17xの側へ向かって流れる電流は、ハロ領域17xからハロ領域17wの側へ向かって流れる電流よりも、より多く流れることができる。そのハロ領域17wが記憶ノード側に形成され、ハロ領域17xがビット線側に形成されていることで、β比を劣化させることなくγ比を高くすることができ、また、γ比を劣化させることなくβ比を高くすることができる。あるいは、β比とγ比の双方を高くすることができる。その結果、読み出しマージンと書き込みマージンを確保することができる。
また、アクセストランジスタT1,T2のハロ領域17w,17xとドライブトランジスタT3,T4のハロ領域17y,17yとは、レジストマスク41(注入マスクA、図98参照)を注入マスクとして形成され、特に、形状が非対称のハロ領域17w,17xは、注入角度を変えることによって形成される。さらに、ロードトランジスタT5,T6のハロ領域はレジストマスク42(注入マスクB、図89参照)を注入マスクとして形成される。すなわち、SRAMメモリセルを構成する各トランジスタのハロ領域を形成するために、上述した半導体装置では、2つの注入マスクによって各トランジスタのハロ領域を形成することができることになる。
これにより、少なくとも4つの注入マスクが必要とされる比較例に係る半導体装置に対して、各実施の形態1〜5に係る半導体装置の場合よりも、写真製版マスクをさらに1枚削減することができて、少なくとも2枚削減することができる。その結果、生産コストをさらに低減することができる。
実施の形態6
ここでは、ゲート長がゲート幅方向に対して変化するアクセストランジスタを備えた半導体装置について説明する。
まず、SRAMメモリセルの構造について説明する。図102に示すように、半導体基板1の主表面では、素子分離絶縁膜2を形成することによって、互いに電気的に分離された素子形成領域3a,3bが規定されている。素子形成領域3aはNMIS領域RNに形成されている。素子形成領域3aには、nチャネル型のMISトランジスタとして、アクセストランジスタT1,T2とドライブトランジスタT3,T4が形成されている。素子形成領域3bはPMIS領域RPに形成されている。素子形成領域3bには、pチャネル型のMISトランジスタとしてロードトランジスタT5,T6が形成されている。
アクセストランジスタT1,T2のアクセスゲート電極AG1,AG2と、ドライブトランジスタT3,T4のドライブゲート電極DG1,DG2は、素子形成領域3aを横切るように形成されている。ロードトランジスタT5,T6のロードゲート電極LG1,LG2は、素子形成領域3bを横切るように形成されている。また、アクセスゲート電極AG1,AG2、ドライブゲート電極DG1,DG2およびロードゲート電極LG1,LG2は、いずれも一方向に延在するように形成されている。
アクセスゲート電極AG1(AG2)に対して、ドライブゲート電極DG1(DG2)が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域A)には、ハロ領域17、エクステンション領域15およびソースまたはドレイン領域16等が形成されている。アクセスゲート電極AG1(AG2)とドライブゲート電極DG1(DG2)との間に位置する素子形成領域3aの部分(領域B)には、ハロ領域17、エクステンション領域15およびソースまたはドレイン領域16等が形成されている。
ドライブゲート電極DG1(DG2)に対して、アクセスゲート電極AG1(AG2)が位置する側とは反対側に位置する素子形成領域3aの部分(領域C)には、ハロ領域17、エクステンション領域15およびソースまたはドレイン領域16等が形成されている。各ハロ領域17は、対応するアクセスゲート電極AG1(AG2)またはドライブゲート電極DG1(DG2)の直下の領域に達するように形成されている(図示せず)。
次に、各トランジスタを電気的に接続する多層配線構造について説明する。図103、図104および図105に示すように、本半導体装置では、第1金属配線M11〜M110の上方に第2金属配線M21〜M27が形成され、その第2金属配線M21〜M27の上方に第3金属配線M31〜M33が形成されている。
アクセストランジスタT1のS・Dの一方(領域A)は、コンタクトC4、第1金属配線M15およびヴィアV13を介して、ビット線BLとしての第2金属配線M23に電気的に接続されている。アクセストランジスタT1のS・Dの他方(領域B)は、コンタクトC3、第1金属配線M14およびコンタクトC6を介して、ロードトランジスタT5のS・Dの一方(領域)とロードトランジスタT6のロードゲート電極LG2と、ドライブトランジスタT4のドライブゲート電極DG2とに電気的に接続されている。また、アクセストランジスタT1のS・Dの他方(領域B)は、ドライブトランジスタT3のS・Dの一方(領域B)に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT1のアクセスゲート電極AG1は、コンタクトC1、第1金属配線M12、ヴィアV12、第2金属配線M22およびヴィア22を介して、ワード線WLとしての第3金属配線M32に電気的に接続されている。ドライブトランジスタT3のS・Dの他方(領域C)は、コンタクトC2、第1金属配線M11、ヴィアV11、第2金属配線M21およびヴィア21を介して、接地電位に固定された第3金属配線M31に電気的に接続されている。ロードトランジスタT5のS・Dの他方は、コンタクトC5、第1金属配線M13およびヴィアV14を介して、電源配線としての第2金属配線M24に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT2のS・Dの一方は、コンタクトC9、第1金属配線M16およびヴィアV16を介して、ビット線/BLとしての第2金属配線M25に電気的に接続されている。アクセストランジスタT2のS・Dの他方は、コンタクトC10、第1金属配線M17およびコンタクトC7を介して、ロードトランジスタT6のS・Dの一方(領域)と、ロードトランジスタT5のロードゲート電極LG1と、ドライブトランジスタT3のドライブゲート電極DG1とに電気的に接続されている。また、アクセストランジスタT2のS・Dの他方は、ドライブトランジスタT4のS・Dの一方に電気的に接続されている。
アクセストランジスタT2のアクセスゲート電極AG2は、コンタクトC12、第1金属配線M19、ヴィアV17、第2金属配線M26およびヴィアV23を介して、ワード線WLとしての第3金属配線M32に電気的に接続されている。ドライブトランジスタT4のS・Dの他方は、コンタクトC11、第1配線M110、ヴィアV18、第2金属配線M27およびヴィアV24を介して、接地電位に固定された第3金属配線M33に電気的に接続されている。ロードトランジスタT6のS・Dの他方は、コンタクトC8、第1金属配線M18およびヴィアV15を介して、電源配線としての第2金属配線M24に電気的に接続されている。
図102の点線枠61内に示すように、特に、上述した半導体装置のアクセストランジスタT1,T2のアクセスゲート電極AG1,AG2では、互いに対向する両側部AS1,AS2のうち、ビット線に接続されている側(領域A)に位置する側部AS1が、ゲート長が短くなる態様で記憶ノードに接続されている側(領域B)に位置する側部AS2に接近した変形部HGが設けられている。このような変形部HGが形成されていることで、一方のハロ領域の不純物濃度が他方のハロ領域の不純物濃度よりも高い場合と同様の作用効果が得られる。
次に、上述した半導体装置の製造方法について説明する。まず、半導体基板1の主表面に素子分離絶縁膜2を形成することによって、互いに電気的に分離された素子形成領域3a,3bが規定される(図106参照)。
次に、半導体基板1の表面上に、界面層を介在させて、所定の誘電率を有するHigh−k膜、所定の仕事関数を有する金属膜およびポリシリコン膜を積層させる態様で、アクセストランジスタ、ドライブトランジスタおよびロードトランジスタのゲート電極となる各層が形成される。次に、図106に示すように、各層に所定の写真製版処理とエッチング処理を施すことにより、ゲート電極となる層45が形成される。このとき、点線枠61内に示すように、アクセストランジスタのゲート電極となる部分には、変形部HGがパターニングされることになる。
変形部HGを有した層45を形成するために、図107に示すマスクパターン45aを有したフォトマスク44を準備する。マスクパターン45aは横長の長方形状で、その厚みLはドライブトランジスタおよびロードトランジスタのそれぞれのゲート電極のゲート長と一致する。マスクパターン45aの長手方向の一側面に2つの凸形状を設ける。具体的には、マスクパターン45aは直線状の辺45a1と、この辺45a1と対向してそれぞれ平行に配置される直線状の辺45a2、45a3とを有する。辺45a1と辺45a2との間隔は、辺45a1と辺45a3との間隔よりも広い。辺45a2と辺45a3とは長手方向に直交する方向に延びる直線状の辺で接続される。
2つの凸形状の間に素子形成領域3aの領域Aを位置させるようにフォトマスクを位置あわせした後、このフォトマスクを通して半導体基板上に塗布されたフォトレジストに露光する。フォトレジストにはマスクパターン45aのパターン形状が転写されるが、マスクパターン45aの凹凸部分の角部はラウンドして転写される。ラウンドしたフォトレジストパターンを通してゲート電極の層構造をもつ下地膜をエッチングすることで、半導体基板を平面視して、層45におけるビット線の接続する領域A側に面した辺(側面AS1)が、その対向する辺(側面AS2)の方向に接近するようにラウンドした形状となる。他方、その対向する辺(側面AS2)はラウンドせず直線形状となる。
次に、図108に示すように、ゲート電極となる層45に、ゲート電極となる層45を所定に位置を開口する開口部46aを有したフォトレジスト46が形成される。次に、そのフォトレジスト46をマスクとして、ゲート電極となる層45にエッチングを施すことにより、図109に示すように、アクセスゲート電極AG1,AG2となるゲート構造G、ドライブゲート電極DG1,DG2となるゲート構造Gおよびロードゲート電極LG1,LG2となるゲート構造Gが形成される。さらに、ゲート構造Gの側面にオフセットスペーサが形成される。
次に、図110に示すように、所定の写真製版処理を施すことにより、ハロ領域を形成するための注入マスクとなるレジストマスク47が形成される(注入マスクA)。レジストマスク47は、素子形成領域3aが形成されているNMIS領域RNを露出し、素子形成領域3bが形成されているPMIS領域RPを覆うパターンに形成される。次に、レジストマスク47を注入マスクとして、所定の方向からボロンが注入される。
まず、レジストマスク47を注入マスクとして、ボロンを、方向E1と、方向E2から、それぞれ半導体基板1の主表面に垂直な方向に対し斜め(θ=約7度)に注入することにより、露出した素子形成領域3aにハロ領域となるp型不純物領域が形成される。次に、レジストマスク47を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、露出した素子形成領域3aにエクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、レジストマスク47が除去される。なお、方向E1からの注入と方向E2から注入では、同じ注入量および同じ注入エネルギーをもってボロンが注入される。
次に、図111に示すように、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク48が形成される(注入マスクB)。次に、レジストマスク48を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、素子形成領域3bにハロ領域となるn型不純物領域(図示せず)が形成される。次に、レジストマスク48を注入マスクとして、ボロンを半導体基板1内に注入することにより、エクステンション領域(図示せず)が形成される。その後、レジストマスク48が除去される。
次に、ゲート構造Gの両側面上にサイドウォールスペーサ(図示せず)が形成される。次に、NMIS領域RNを露出し、PMIS領域RPを覆うレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクおよびサイドウォールスペーサ等を注入マスクとして、リンまたは砒素を半導体基板1内に注入することにより、露出した素子形成領域3aの表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域16(図126参照)が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。
次に、NMIS領域RNを覆い、PMIS領域RPを露出するレジストマスク(図示せず)が形成される。次に、そのレジストマスクを注入マスクとして、ボロンを半導体基板1内に注入することにより、露出した素子形成領域3bの表面から所定の深さにわたりソースまたはドレイン領域16(図102参照)が形成される。その後、そのレジストマスクが除去される。
次に、所定のアニール処理を施すことにより、注入された不純物を熱拡散させることによって、ソースまたはドレイン領域16、エクステンション領域15およびハロ領域17を活性化させる。こうして、図102に示すように、素子形成領域3aでは、アクセストランジスタT1,T2およびドライブトランジスタT3,T4が形成され、素子形成領域3bでは、ロードトランジスタT5,T6が形成される。次に、図29および図30に示す工程と同様の工程を経て、金属シリサイド膜、ストレスライナー膜、層間絶縁膜、プラグ、エッチングストッパ膜、および層間絶縁膜(いずれも図示せず)が形成される。次に、第1金属配線M11〜M110(図103参照)としての銅配線が形成される。
この後、銅配線を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜にヴィアV11〜V18(図104参照)が形成される。次に、ヴィアV11〜V18を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に第2金属配線M21〜M25(図104参照)が形成される。
次に、第2金属配線M21〜M25を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜にヴィアV21〜V24(図105参照)が形成される。次に、ヴィアV21〜V24を覆うように層間絶縁膜(図示せず)が形成される。その層間絶縁膜に第3金属配線M31〜M34(図105参照)が形成される。こうしてSRAMメモリセルの主要部分が形成される。
上述した半導体装置のアクセストランジスタT1,T2のアクセスゲート電極AG1,AG2では、図102に示すように、互いに対向する両側部AS1,AS2のうち、ビット線に接続されている側(領域A)に位置する側部AS1が、ゲート長が短くなる態様で記憶ノードに接続されている側(領域B)に位置する側部AS2に接近することでゲート長がゲート幅に対して変化する変形部HGが設けられている。
これにより、ゲート長方向(チャネル方向)のオフセットスペーサの幅やハロ領域の不純物濃度プロファイルが、側部AS1の側と側部AS2の側とで変わることになって、電流の流れが非対称になる。すなわち、同じしきい値電圧に対して、図112に示すように、記憶ノードに接続されている側(領域B)からビット線に接続されている側(領域A)へ向かって流れる電流I1は、図113に示すように、ビット線に接続されている側(領域A)から記憶ノードに接続されている側(領域B)へ流れる電流I2よりも、より多く流れることができる。これにより、β比を劣化させることなくγ比を高くすることができ、また、γ比を劣化させることなくβ比を高くすることができる。あるいは、β比とγ比の双方を高くすることができる。その結果、読み出しマージンと書き込みマージンを確保することができる。
また、アクセストランジスタのアクセスゲート電極AG1,AG2の変形部HGは、ゲート構造G(図106参照)をパターニングするマスクパターンを変更するだけで、新たなマスクを必要としない。そして、アクセストランジスタT1,T2のハロ領域17とドライブトランジスタT3,T4のハロ領域17とは、レジストマスク47(注入マスクA、図110参照)を注入マスクとして形成される。さらに、ロードトランジスタT5,T6のハロ領域17はレジストマスク48(注入マスクB、図111参照)により形成される。すなわち、SRAMメモリセルを構成する各トランジスタのハロ領域を形成するために、上述した半導体装置では、2つの注入マスクによって各トランジスタのハロ領域を形成することができることになる。
これにより、少なくとも4つの注入マスクが必要とされる比較例に係る半導体装置に対して、各実施の形態1〜3に係る半導体装置の場合よりも、写真製版マスクをさらに1枚削減することができて、少なくとも2枚削減することができる。その結果、生産コストをさらに低減することができる。
なお、上述した半導体装置では、変形部HGとして、側部AS1が、ゲート長が短くなる態様で側部AS2に接近した変形部HGを例に挙げて説明したが、変形部としてはこの態様に限られず、図114に示すように、ビット線に接続されている側(領域A)に位置する側部AS1が、ゲート長が長くなる態様で、記憶ノードに接続されている側(領域B)に位置する側部AS2から遠ざかる変形部HGでもよい。
この場合でも、図115に示すように、同じしきい値電圧に対して、記憶ノードに接続されている側(領域B)からビット線に接続されている側(領域A)へ向かって流れる電流I1は、ビット線に接続されている側(領域A)から記憶ノードに接続されている側(領域B)へ流れる電流I2よりも、より多く流れることができる。
また、図116に示すように、ビット線に接続されている側(領域A)に位置する側部AS1が、ゲート長が徐々に長く(短く)なる態様で、記憶ノードに接続されている側(領域B)に位置する側部AS2から遠ざかる(近づく)変形部HGでもよい。
この場合でも、図117に示すように、同じしきい値電圧に対して、記憶ノードに接続されている側(領域B)からビット線に接続されている側(領域A)へ向かって流れる電流I1は、ビット線に接続されている側(領域A)から記憶ノードに接続されている側(領域B)へ流れる電流I2よりも、より多く流れることができる。
上述した各実施の形態では、各トランジスタのゲート電極として、所定の誘電率を有するHigh−k膜、所定の仕事関数を有する金属膜およびポリシリコン膜を積層させた態様のゲート電極を例に挙げて説明したが、ゲート絶縁膜はHigh−k膜を用いずシリコン酸化膜でもよく、これに対応するゲート電極の構造としては、ドープトポリシリコン膜と金属シリサイド膜との積層構造のゲート電極でもよい。また、ハロ領域を形成するためにボロン、カーボン等の不純物の注入する際の注入条件(注入量、注入エネルギー、注入傾斜角度)は、例示であって、必要に応じて適宜変更されることはいうまでもない。
さらに、上述した各実施の形態では、ゲート構造をソースまたはドレイン領域よりも先に形成する「ゲートファースト方式」のHigh−k・Metalのゲート構造を例に挙げて説明した。ゲート構造としては、この他に、High−k・Metalゲート構造をソース・ドレインよりも後に形成する「ゲートラスト方式」にも適用可能である。たとえば実施の形態1の場合で例示すると、図11に示す工程において形成されるゲート構造の代わりに、ポリシリコンを主としたダミーのゲート構造を形成する。その後、少なくとも図27に示すソースまたはドレイン領域を形成する工程までは、本実施の形態と同じ工程が適用される。「ゲートラスト方式」は、その後、ダミーのゲート構造を覆う層間絶縁膜を半導体基板上に成膜する工程、ダミーのゲート構造の上面を露出するまでCMP(Chemical Mechanical Polishing)により層間絶縁膜を研磨する工程、および、ダミーのゲート構造を除去し、代わってHigh−k・Metalゲート構造を形成する工程、を有することになる。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。