JP2011162726A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、フィルム、および重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化物、フィルム、および重合体に関する。
近年、情報技術の発達は目覚しく、情報機器の軽薄短小化の流れに伴い、光学材料として透明樹脂が各種の情報分野に進出してきている。透明樹脂の代表的のものとしては、PMMA、ポリカーボネート、シクロポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
PMMAは透明性が高く、複屈折が小さく、安価であるため、代表的な光学材料として広く用いられているが、吸水率が高く、耐熱性が低いため、環境変化に伴って形状や屈折率が変化し、結像精度を低下させる。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性に優れることから光ディスク用基板材料として利用されているが、耐熱性が十分ではない。
また、シクロポリオレフィン樹脂は、透明性、低複屈折性の点ではポリメチルメタクリレートに及ばないものの、優れた耐熱性と低吸水性を有しており、近年、カメラ、複写機などの撮像系レンズ、CD、DVDなどの光ピックアップレンズなどでの採用が進んでおり、また、フィルム化用途にも展開中である。
また、シクロポリオレフィン樹脂は、透明性、低複屈折性の点ではポリメチルメタクリレートに及ばないものの、優れた耐熱性と低吸水性を有しており、近年、カメラ、複写機などの撮像系レンズ、CD、DVDなどの光ピックアップレンズなどでの採用が進んでおり、また、フィルム化用途にも展開中である。
しかしながら、上述のPMMA、ポリカーボネート、シクロポリオレフィン樹脂などは耐熱性が十分でないため、近年では、耐熱性に優れる全芳香族ポリイミドの検討が行われている。全芳香族ポリイミドとしては、例えば(特許文献1)に示されるような全芳香族ポリイミド(カネカ(株)社製アピカル等)が知られている。
しかしながら、上記従来のポリイミドは、分子内及び分子間での電荷移動錯体の形成により黄褐色に着色しており、光透過性が必要な用途に適用することは困難であるという問題点があった。
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、光透過性、耐熱性、力学的強度に優れたフィルムなどの硬化物、該硬化物を製造するために好適に用いられる硬化性樹脂組成物、重合体を提供することを目的とする。
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、光透過性、耐熱性、力学的強度に優れたフィルムなどの硬化物、該硬化物を製造するために好適に用いられる硬化性樹脂組成物、重合体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体、および該重合体を用いた硬化性樹脂組成物、硬化物、フィルムにより、本発明の上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1](A) 下記式(1)で表わされる構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体と、(D) 溶媒と、を含む、硬化性樹脂組成物。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1](A) 下記式(1)で表わされる構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体と、(D) 溶媒と、を含む、硬化性樹脂組成物。
[2] さらに、(B)分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物を含む、前記[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3] さらに、(C)重合開始剤を含む、前記[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
[5] 前記[4]に記載の硬化物からなるフィルム。
[6] 下記式(1a)で表わされる重合体。
本発明のフィルムなどの硬化物は、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料に使用することができる。具体的には、耐熱透明フィルム、導電性透明フィルム等の光学部材として使用することができる。また、電子回路周辺材料としては、プリント配線基板形成用材料およびプリント配線用基板を挙げることができ、具体的には、フレキシブルプリント配線用基板、リジットプリント配線用基板、光電子プリント配線用基板、COF(Chip on Film)用基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基板等に使用することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料を製造するための材料として好適に使用できる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料を製造するための材料として好適に使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)特定の構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体と、(D)溶媒と、を含むことを特徴とする。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(B)分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物および(C)重合開始剤を含むことができる。重合性反応基としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基、またはビニル基などのエチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、オキソラニル基等の環状エーテル基を挙げることができる。
(A)特定の構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体は、具体的には、下記式(1)で表わされる構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体である。
上記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基、1価の複素環基、炭素数2もしくは3のアルケニル基、またはカルボン酸基を示す。
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、1価の複素環基としては、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズチアゾール基、ベンズオキサジアゾール基、ベンズトリアゾール基、などが挙げられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、1価の複素環基としては、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズチアゾール基、ベンズオキサジアゾール基、ベンズトリアゾール基、などが挙げられる。
また、上記重合体は、さらに下記式(2)で表わされる構造単位を有することができる。
上記式(2)中、R5、R6は、それぞれ独立に、1価の芳香族炭化水素基、1価の複素環基、炭素数2もしくは3のアルケニル基、またはカルボン酸基を示し、e、fは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、nは0〜1の整数を示す。)
前記特定の構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体としては、例えば下記式(1a)で表わされる重合体を挙げることができる。
前記重合体は、上記式(1)で表わされる構造単位と上記式(2)で表わされる構造単位とのモル比(上記式(1)で表わされる構造単位:上記式(2)で表わされる構造単位)は、耐熱性、光学特性の観点から50:50〜100:0であることが好ましく、80:20〜100:0であることがより好ましく、95:5〜100:0であることがさらに好ましく、100:0であることが特に好ましい。
前記重合体は、上記式(1)で表わされる構造単位および上記式(2)で表わされる構造単位を全構造単位中70モル%以上含むことが好ましく、全構造単位中95モル%以上含むことがより好ましい。
上記重合体は、例えば(A−1):特定のジハロゲン化合物と(A−2):特定のジヒドロキシ化合物と、(A−3)重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物を反応させることにより得られる。具体的には、(A−1)成分として、下記式(3)で表わされる化合物と(A−2)成分として、下記式(4)で表わされる化合物と、(A−3)成分として重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物を反応させることにより得ることができる。
上記式(3)で表わされる化合物としては、具体的には、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,5−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、および、その反応性誘導体を挙げることができる。特に、反応性、経済性の観点から、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。
上記式(4)で表わされる化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)フルオレンおよび、その反応性誘導体が使用できる。上述の化合物の中でも、反応性、経済性の観点から、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好適に使用できる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
(A−3)成分としては、具体的には、例えば、下記式(5)で表わされる化合物を挙げることができる。
上記式(5)で表わされる化合物としては、具体的には、4−イソプロペニルフェノール、2−[3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチル、アクリル酸を挙げることができる。
また、上記重合体が、上記式(2)で表わされる構造単位を有する場合には、(B)成分のヒドロキシ化合物として、上記式(4)で表わされる化合物に加えて下記式(6)で表わされる化合物を用いる。
上記式(6)で表わされる化合物としては、具体的には、ヒドロキノン、レゾルシノール、2−フェニルヒドロキノン、4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−ナフトールおよび、その反応性誘導体が使用できる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
上述の化合物の中でも、反応性および力学的特性の観点から、4,4’−ビフェノールが好適に用いられる。
上述の化合物の中でも、反応性および力学的特性の観点から、4,4’−ビフェノールが好適に用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる重合体は、例えば、以下に示す方法で合成することができる。
具体的には、(A−2)成分であるジヒドロキシ化合物と、(A−3)成分である重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物を有機溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させて、ヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を得た後に、上記工程で得られたヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩と、(A−1)成分であるジハロゲン化合物とを反応させる。なお、(A−2)ジヒドロキシ化合物および(A−3)成分である重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物とアルカリ金属化合物との反応を(A−1)ジハロゲン化合物の存在下で行うことで、ヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩と(A−1)ジハロゲン化合物とを反応させることもできる。
反応に使用するアルカリ金属化合物としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
アルカリ金属化合物の使用量は、フェノールの水酸基に対し通常1〜3倍当量であり、好ましくは1.1〜2倍当量であり、さらに好ましくは1.2〜1.5倍当量であり。
また、反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)などを使用することができる。これらの溶媒の中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドの誘電率の高い極性有機溶媒が特に好適に用いられる。
さらに、上記反応の際には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒をさらに用いることもできる。
具体的には、(A−2)成分であるジヒドロキシ化合物と、(A−3)成分である重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物を有機溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させて、ヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を得た後に、上記工程で得られたヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩と、(A−1)成分であるジハロゲン化合物とを反応させる。なお、(A−2)ジヒドロキシ化合物および(A−3)成分である重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物とアルカリ金属化合物との反応を(A−1)ジハロゲン化合物の存在下で行うことで、ヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩と(A−1)ジハロゲン化合物とを反応させることもできる。
反応に使用するアルカリ金属化合物としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
アルカリ金属化合物の使用量は、フェノールの水酸基に対し通常1〜3倍当量であり、好ましくは1.1〜2倍当量であり、さらに好ましくは1.2〜1.5倍当量であり。
また、反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)などを使用することができる。これらの溶媒の中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドの誘電率の高い極性有機溶媒が特に好適に用いられる。
さらに、上記反応の際には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒をさらに用いることもできる。
(A−1)ジハロゲン化合物と(A−2)ジヒドロキシ化合物の使用割合は、(A−1)ジハロゲン化合物と(B−2)ジヒドロキシ化合物の合計を100モル%とした場合に、(A−1)ジハロゲン化合物が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは50モル%以上52モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超えて52モル%以下であり、(B−2)ジヒドロキシ化合物が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは48モル%以上50モル%以下であり、さらに好ましくは48モル%以上50モル%未満である。
また、(A−3)重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物の使用量は、(A−1)ジハロゲン化合物と(B−2)ジヒドロキシ化合物の合計1molに対して、通常、0.005〜0.3molであり、0.01〜0.2molであることが好ましい。
また、(A−3)重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物の使用量は、(A−1)ジハロゲン化合物と(B−2)ジヒドロキシ化合物の合計1molに対して、通常、0.005〜0.3molであり、0.01〜0.2molであることが好ましい。
また、反応させる際の、反応濃度は(A)ジハロゲン化合物、(B)ジヒドロキシ化合物、および(A−3)重合性反応基を有するモノヒドロキシ化合物のモノマーの総重量を基準として、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。また、反応温度は60℃〜250℃で、好ましくは80℃〜200℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
得られた重合体と有機溶媒とを含有する硬化樹脂組成物は、そのまま使用することもできるが、上記重合体を固体分として単離した後、有機溶媒に再溶解して用いることも出来る。上記重合体を固体分として単離する方法は、例えば、メタノール等の重合体の貧溶媒に再沈殿、ろ過、減圧乾燥することにより行うことができる。また、上記重合体を溶解する溶媒としては、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンが好適に用いられ、塗工性、経済性の観点から、好ましくは、塩化メチレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが好適に使用される。これらの溶媒は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
本発明の重合体を含有する硬化性樹脂組成物の重合体濃度は、ポリマーの分子量にもよるが、通常、5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。5重量%未満では、硬化物を形成する際に厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい。一方、40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、重合体の分子量や濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、硬化物を形成する際に溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎて、硬化物を形成する際の膜厚などの調整が困難となることがある。
なお、溶液粘度は、重合体の分子量や濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、硬化物を形成する際に溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎて、硬化物を形成する際の膜厚などの調整が困難となることがある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、(B)分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物を含有することができる。重合性反応基としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基、またはビニル基などのエチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、オキソラニル基等の環状エーテル基を挙げることができる。
本発明で使用することのできる、分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物としては、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合基を有する多官能性モノマーや、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合基を有する単官能性モノマーが挙げられる。これら単官能モノマーと多官能モノマーは、併用してもよい。
多官能性モノマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]フェニル]−9H−フルオレン等が挙げられる。これらの多官能性モノマーは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
式(1)で表される構造を有するジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ(株)製)、オグソールEA−0200(以上、大阪ガスケミカル(株)製)が挙げられる。
一方、単官能性モノマーとしては、例えばアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、等の他、式(2)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートの具体例として、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性モノマーは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学(株)製)、PHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
モノ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学(株)製)、PHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
本発明で使用することのできる分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物としては、他にカチオン重合性化合物を挙げることができる。カチオン重合性化合物としては、オキシラン化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物等の環状エーテル構造を有する化合物を挙げることができる。
オキシラン化合物としては例えば、エポキシノボラック樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ソルビトールペンタグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル;グリセリン、ソルビトール等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキシドやカプロラクトンを付加することにより得られるポリグリシジルエーテルやポリシクロヘキセンオキシド類等を挙げることができる。
オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシエチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル−(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−[[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル]オキセタン、1,4−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、1,2−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、1,3−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシエチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル−(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−[[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル]オキセタン、1,4−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、1,2−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、1,3−ビス[[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル]ベンゼン、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
これらの市販品としては、UVR−6100、6105、6110、6128、6200、6216(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、2021P、2081、2083、2085、エポリードGT−300、301、302、400、401、403、PB3600、PB4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、KRM−2100、2110、2199、2400、2410、2408、2490、2720、2750(以上、旭電化工業(株)製)、エピコート828、812、1031、872、CT508(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、デナコールEX−611、612、512、521、411、421、313、314、321(以上、ナガセ化成(株)製)、エポライト40E、100E、70P、200P、400P、1500NP、1600、80MF、100MF、4000、3002(以上、共栄社化学(株)製)、OXA、XDO、POX、DOX、EHOX(以上、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
これらの(C)成分は、単独、または2種以上で用いてもよく、特にエチレン性不飽和基を分子中に2個以上含有する化合物を使用することが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物が、(C)成分を含有する場合には、重合体(A)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは3〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、(C)重合開始剤を含有することができる。(C)重合開始剤は、放射線または熱によって前記した(A)成分および(B)成分を重合しうる活性種を発生できる開始剤である。ここで放射線とは、例えば赤外線、可視光線、紫外線およびX線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を意味する。従って、(C)成分である重合開始剤を必要とし、必要に応じて、さらに光増感剤を添加する。重合開始剤としては、放射線または熱により分解してラジカルを発生するもの(ラジカル重合開始剤)、カチオンを発生するもの(カチオン重合開始剤)に大別できる。放射線により分解してラジカルを発生するラジカル重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。加熱により分解してラジカルを発生して重合を開始するラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルパーオキサイド等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocurl116、1173(以上、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)、LucirinTPO、TPO−L(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)、パーブチルD(日本油脂製)等が挙げられる。
放射線により分解してカチオンを発生するカチオン重合開始剤としては、下記一般式(7)で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、放射線または熱を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
[R12 aR13 bR14 cR15 dW]+m[MXn+m]−m (7)
〔式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、ClまたはN≡Nであり、R12、R13、R14およびR15は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体〔MXn+m〕の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xは例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。〕
[R12 aR13 bR14 cR15 dW]+m[MXn+m]−m (7)
〔式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、ClまたはN≡Nであり、R12、R13、R14およびR15は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体〔MXn+m〕の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xは例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。〕
一般式(2)においてオニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル]スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジェニル)[1,2,3,4,5,6−η]−(メチルエチル)−ベンゼン]−鉄(1+)等が挙げられる。上記一般式(2)中における陰イオン(MXn+m)の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 −)などが挙げられる。
放射線により分解してカチオンを発生するカチオン重合開始剤として使用することができるオニウム塩として、前記一般式(7)において、[MXn+m]の代わりに一般式:〔MXn(OH)−〕 (8)(ここで、M、Xおよびnは一般式(2)に関し定義の通りである。)で表される陰イオン、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸イオン、トリニトロトルエンスルフォン酸イオンなどの他の陰イオンを有するオニウム塩が挙げられる。
放射線により分解してカチオンを発生するカチオン重合開始剤の市販品としては、例えばUVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(以上、旭電化工業(株))、Irgacure 261(以上、チバガイギー社)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株))、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−102、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−101、BBI−102、BBI−103(以上、みどり化学(株))、Degacure K126(デグサ社製)などが挙げられる。前記の放射線重合開始剤は、1種単独、あるいは2種以上のものを組み合わせて(C)成分を構成することができる。
また、加熱によりカチオンを発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩を挙げることができ、好ましくはスルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩である。前記スルホニウム塩としては、例えば、アルキルスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ジベンジルスルホニウム塩、置換ベンジルスルホニウム塩等を挙げることができ、これらの好ましい感熱性酸発生剤の市販品としては、例えば、サンエイドSI−L85、同−L110、同−L145、同−L150、同−L160(以上、三新化学工業(株)製)等を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物における(C)成分の含有割合は、通常0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%が特に好ましい。(C)成分の含有割合が0.1重量%未満であると、硬化が十分に進行しないことがある。一方、10重量%を超えると、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた際に開始剤が悪影響を及ぼす可能性がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、(D)溶媒を含有する。溶媒としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンが好適に用いられ、塗工性、経済性の観点から、好ましくは、塩化メチレン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、塩化メチレンが好適に使用される。これらの溶媒は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに老化防止剤を含有することができ、老化防止剤を含有することでプリント配線用基板としての耐久性をより向上させることができる。老化防止剤としては、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を挙げることができる。
本発明で使用することのできる分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールールテトラキス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−tert−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどを挙げることができる。
本発明硬化性樹脂組成物において、老化防止剤を含有する場合には、重合体100重量部に対して0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
本発明で使用することのできる分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールールテトラキス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−tert−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどを挙げることができる。
本発明硬化性樹脂組成物において、老化防止剤を含有する場合には、重合体100重量部に対して0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)成分と(D)成分、および必要に応じて(B)成分、(C)成分を、プロペラミキサーやボールミル等の常法に従い、均一に混合して、硬化性樹脂組成物を調製することが好ましい。
次に、本発明の硬化物の製造方法について説明する。
本発明の硬化物の製造方法は、上記硬化性樹脂組成物を基板等に塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより前記有機溶媒を除去する工程と、前記塗膜を硬化させる工程とを含むものである。
本発明の硬化物の製造方法は、上記硬化性樹脂組成物を基板等に塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより前記有機溶媒を除去する工程と、前記塗膜を硬化させる工程とを含むものである。
上記硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、ドクターブレードを用いる方法等を使用することができる。塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜250μmであり、好ましくは2〜150μmであり、より好ましくは5〜125μmである。基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、SUS板などが挙げられる。
また、塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより前記有機溶媒を除去する工程は、具体的には塗膜を加熱することにより行うことができる。塗膜を加熱することにより、該塗膜中の有機溶媒を蒸発させて除去することができる。上記加熱の条件は、有機溶媒が蒸発すればよく特に限定されないが、例えば加熱温度が30℃〜250℃であることが好ましく、40℃〜230℃であることがより好ましく、50℃〜210℃であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、10分〜5時間であることが好ましい。なお、加熱は二段階で行ってもよい。具体的には、30〜80℃の温度で10分〜2時間乾燥後、100℃〜250℃でさらに10分〜2時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下、もしくは減圧下にて乾燥を行ってもよい。
また、前記塗膜を硬化させる工程としては、例えば、放射線および熱から選ばれる少なくとも一種により硬化させることにより行うことができる。
照射される放射線の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を用いることができるが、特に紫外線が好ましい。そして、放射線(紫外線)の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等を用いることが好ましい。放射線の照射量については、特に制限されるものでは無いが、波長200〜450nm、照度1〜500mW/cm2の放射線を、照射量が10〜5,000mJ/cm2となるように照射して、露光することが好ましい。
また、加熱する場合には、加熱条件は、硬化性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜400℃、好ましくは50〜300℃で、例えば5分間〜72時間の加熱条件とすれば良い。
なお、放射線の照射と加熱は組み合わせて用いることができ、放射線の照射と加熱を同時に行って塗膜を硬化させることもできるし、放射線の照射後、加熱を行うことで塗膜を硬化させることもできる。
照射される放射線の種類としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等を用いることができるが、特に紫外線が好ましい。そして、放射線(紫外線)の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等を用いることが好ましい。放射線の照射量については、特に制限されるものでは無いが、波長200〜450nm、照度1〜500mW/cm2の放射線を、照射量が10〜5,000mJ/cm2となるように照射して、露光することが好ましい。
また、加熱する場合には、加熱条件は、硬化性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜400℃、好ましくは50〜300℃で、例えば5分間〜72時間の加熱条件とすれば良い。
なお、放射線の照射と加熱は組み合わせて用いることができ、放射線の照射と加熱を同時に行って塗膜を硬化させることもできるし、放射線の照射後、加熱を行うことで塗膜を硬化させることもできる。
本発明の得られた重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは15,000〜250,000である。
また、本発明のフィルムは、DSC(昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が、200〜420℃であることが好ましく、240〜330℃であることがより好ましく、230〜400℃であることがさらに好ましい。このようなガラス転移温度を有することにより、優れた耐熱性を得ることができる。
本発明のフィルムは、波長589nmの光に対して、好ましくは1.58〜1.70、より好ましくは1.62〜1.68の屈折率を有する。
また、本発明においては、硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムの厚みが好ましくは1〜250μm、より好ましくは2〜150μmである。また、本発明のフィルムを基材として使用する場合には10〜125μmであることが特に好ましい。
本発明のの硬化物としてフィルムを得た場合には、厚さが20μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、2.5以下であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましい。
また、本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、厚みが50μmである場合に、JIS K7105透明度試験法における全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
また、本発明のフィルムは、DSC(昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が、200〜420℃であることが好ましく、240〜330℃であることがより好ましく、230〜400℃であることがさらに好ましい。このようなガラス転移温度を有することにより、優れた耐熱性を得ることができる。
本発明のフィルムは、波長589nmの光に対して、好ましくは1.58〜1.70、より好ましくは1.62〜1.68の屈折率を有する。
また、本発明においては、硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムの厚みが好ましくは1〜250μm、より好ましくは2〜150μmである。また、本発明のフィルムを基材として使用する場合には10〜125μmであることが特に好ましい。
本発明のの硬化物としてフィルムを得た場合には、厚さが20μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、2.5以下であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましい。
また、本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、厚みが50μmである場合に、JIS K7105透明度試験法における全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、線膨張係数が5ppm〜100ppmであることが好ましく、10〜80ppmであることがより好ましい。
本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、引張強度が、80〜150MPaであることが好ましく、85〜140MPaであることがより好ましい。
また、本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、引張弾性率が、2.0〜5.0GPaであることが好ましく、2.5〜4.5GPaであることがより好ましい。
本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、引張強度が、80〜150MPaであることが好ましく、85〜140MPaであることがより好ましい。
また、本発明の硬化物としてフィルムを得た場合には、フィルムは、引張弾性率が、2.0〜5.0GPaであることが好ましく、2.5〜4.5GPaであることがより好ましい。
以下、実施例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例
実施例
[合成例1]
温度計、攪拌機、窒素導入管、Dean−Stark管、及び冷却管を取り付けた500mLの4つ口フラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(38.244g、106.8mmol)、4−イソプロペニルフェノール(三井化学製、0.771g、5.622mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(15.581g、119.6mmol)、炭酸カリウム(19.054g、134.9mmol)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)257g、トルエン64gを添加した。250rpm、25℃で攪拌しながら窒素バブリングを20分行なった。次いで、窒素気流下、バス温度を140℃に上昇させた所、内温は128℃であった。生成する水−トルエンの混合液をDean−Stark管により除去しながら2時間反応をさせた所、水の生成が認められなくなったため、バス温度徐々に温度を160℃まで上昇させた所、内温は142℃であった。そのままの温度で4時間反応させた。
室温まで冷却後、セライトにてろ過し塩を除去後、ろ過溶液を大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末を得た(収量98.0g、収率98%)。
得られたポリマーについて、東ソー高速GPC HLC−8220(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:NMP)を用いてポリスチレン換算の平均分子量の測定を行った。結果は、重量平均分子量が、38700、数平均分子量は13200であった。
また、得られたポリマー300mgをd−クロロフォルム1gに溶解し、BRUKER製 ADVANCE500を用いて、1H-NMRを測定した。測定した結果、6.50〜6.70ppmに主鎖ベンズニトリルの3,4位置換の芳香族2H、5.11ppmと5.36ppmにCH2=C(CH3)2−由来の2Hビニルプロトンが観察された。積分比から求めた末端αメチルスチリル量は4.25mol%であった(図1)。これより、末端にαメチルスチリル基を有する重合体が得られたことを確認した(重合体1とする)。
温度計、攪拌機、窒素導入管、Dean−Stark管、及び冷却管を取り付けた500mLの4つ口フラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(38.244g、106.8mmol)、4−イソプロペニルフェノール(三井化学製、0.771g、5.622mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(15.581g、119.6mmol)、炭酸カリウム(19.054g、134.9mmol)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)257g、トルエン64gを添加した。250rpm、25℃で攪拌しながら窒素バブリングを20分行なった。次いで、窒素気流下、バス温度を140℃に上昇させた所、内温は128℃であった。生成する水−トルエンの混合液をDean−Stark管により除去しながら2時間反応をさせた所、水の生成が認められなくなったため、バス温度徐々に温度を160℃まで上昇させた所、内温は142℃であった。そのままの温度で4時間反応させた。
室温まで冷却後、セライトにてろ過し塩を除去後、ろ過溶液を大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末を得た(収量98.0g、収率98%)。
得られたポリマーについて、東ソー高速GPC HLC−8220(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:NMP)を用いてポリスチレン換算の平均分子量の測定を行った。結果は、重量平均分子量が、38700、数平均分子量は13200であった。
また、得られたポリマー300mgをd−クロロフォルム1gに溶解し、BRUKER製 ADVANCE500を用いて、1H-NMRを測定した。測定した結果、6.50〜6.70ppmに主鎖ベンズニトリルの3,4位置換の芳香族2H、5.11ppmと5.36ppmにCH2=C(CH3)2−由来の2Hビニルプロトンが観察された。積分比から求めた末端αメチルスチリル量は4.25mol%であった(図1)。これより、末端にαメチルスチリル基を有する重合体が得られたことを確認した(重合体1とする)。
[合成例2]
合成例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(37.430g、106.8mmol)、2−[3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(東京化成製、1.818g、5.62mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(15.249g、109.6mmol)、炭酸カリウム(18.648g、134.9mmol)を用いた以外は合成例1と同様に合成した。得られたオリゴマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末を得た(収量98.0g、収率98%)。
得られたポリマーについて、東ソー高速GPC HLC−8220(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:NMP)を用いてポリスチレン換算の平均分子量の測定を行った。測定した結果、重量平均分子量が、44900、数平均分子量は14900であった。
また、得られたポリマー300mgをd−クロロフォルム1gに溶解し、BRUKER製 ADVANCE500を用いて、1H-NMRを測定した。測定した結果、6.50〜6.70ppmに主鎖ベンズニトリルの3,4位置換の芳香族2H、5.40〜5.46ppmと5.84〜5.91ppmと5.37ppmにCH2=C(CH3)2−由来の2Hビニルプロトンが観察された。積分比から求めた末端メチルメタクリレート量は3.34mol%であった。これより、2−[3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートにより修飾された重合体が得られたことを確認した(重合体2とする)。
合成例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(37.430g、106.8mmol)、2−[3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(東京化成製、1.818g、5.62mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(15.249g、109.6mmol)、炭酸カリウム(18.648g、134.9mmol)を用いた以外は合成例1と同様に合成した。得られたオリゴマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末を得た(収量98.0g、収率98%)。
得られたポリマーについて、東ソー高速GPC HLC−8220(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:NMP)を用いてポリスチレン換算の平均分子量の測定を行った。測定した結果、重量平均分子量が、44900、数平均分子量は14900であった。
また、得られたポリマー300mgをd−クロロフォルム1gに溶解し、BRUKER製 ADVANCE500を用いて、1H-NMRを測定した。測定した結果、6.50〜6.70ppmに主鎖ベンズニトリルの3,4位置換の芳香族2H、5.40〜5.46ppmと5.84〜5.91ppmと5.37ppmにCH2=C(CH3)2−由来の2Hビニルプロトンが観察された。積分比から求めた末端メチルメタクリレート量は3.34mol%であった。これより、2−[3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートにより修飾された重合体が得られたことを確認した(重合体2とする)。
[比較合成例1]
合成例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(38.917g、111.1mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(15.526g、111.6mmol)、炭酸カリウム(18.420g、133.3mmol)を用いて、4−イソプロペニルフェノールを用いなかった以外は合成例1と同様に合成した。
得られたポリマーについて、東ソー高速GPC HLC−8220(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:NMP)を用いてポリスチレン換算の平均分子量の測定を行った。結果は、重量平均分子量が、179000、数平均分子量は67400であった(比較重合体1とする)。
合成例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(38.917g、111.1mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(15.526g、111.6mmol)、炭酸カリウム(18.420g、133.3mmol)を用いて、4−イソプロペニルフェノールを用いなかった以外は合成例1と同様に合成した。
得られたポリマーについて、東ソー高速GPC HLC−8220(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:NMP)を用いてポリスチレン換算の平均分子量の測定を行った。結果は、重量平均分子量が、179000、数平均分子量は67400であった(比較重合体1とする)。
(実施例1)
(A)成分:特定の構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体として重合体1、(B)成分:分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物として(B−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、KAYARAD DPHA)または(B−2)9,9−ビス[4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]フェニル]−9H−フルオレン(大阪ガス化学製、オグソールEA−0200)、(C)成分:重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製、パーブチルD)、(D)成分:溶媒として、塩化メチレンまたはDMAcを表1に示す配合割合で調製した後、10μmフィルターでろ過を行なって硬化性樹脂組成物を作製した。続いて、得られた硬化性樹脂組成物をガラス枠に投入して25℃、24h静置し、フィルムを得た後、塩化メチレンが蒸発したことを確認し、得られたフィルムをガラス枠から取り外した。さらに、得られたフィルムを熱風乾燥機にて140℃×2時間、200℃×6時間、230℃×1hの順の加熱を行い、厚み30μmの熱硬化後のフィルムを得た。
(A)成分:特定の構造単位を有し、末端に重合性反応基を有する重合体として重合体1、(B)成分:分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物として(B−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、KAYARAD DPHA)または(B−2)9,9−ビス[4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]フェニル]−9H−フルオレン(大阪ガス化学製、オグソールEA−0200)、(C)成分:重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製、パーブチルD)、(D)成分:溶媒として、塩化メチレンまたはDMAcを表1に示す配合割合で調製した後、10μmフィルターでろ過を行なって硬化性樹脂組成物を作製した。続いて、得られた硬化性樹脂組成物をガラス枠に投入して25℃、24h静置し、フィルムを得た後、塩化メチレンが蒸発したことを確認し、得られたフィルムをガラス枠から取り外した。さらに、得られたフィルムを熱風乾燥機にて140℃×2時間、200℃×6時間、230℃×1hの順の加熱を行い、厚み30μmの熱硬化後のフィルムを得た。
得られたフィルムの溶媒への溶解性を(1)NMP(N−メチル−2−ピロリドン)不溶部の測定、(2)耐DMSO(ジメチルスルホキシド)により下記の通り評価した。また、得られたフィルムについて(3)ガラス転移温度、(4)光学特性、(5)機械的強度を下記の通り測定した。測定した結果を表2に示す。
(1)NMP(N−メチル−2−ピロリドン)不溶部の測定
20mLスクリュー官に熱硬化後のフィルム0.1300gを採取後、NMP5.000gを加え、ミックスローターで25℃、12時間攪拌を行なった。この溶液をADVANTEC製4Aろ紙を用いてろ過を行い、NMP不溶部と可溶部を分別した。可溶部の固形分を1.000gアルミ皿に採取し、250℃のホットプレートで1h加熱を行い、加熱後のアルミに残存した量より、ろ液の固形分を算出した。NMP不溶部は下記の式により算出した。
NMP不溶部(%)=100−ろ液の固形分量/理論固形分量(0.02534g)×100
20mLスクリュー官に熱硬化後のフィルム0.1300gを採取後、NMP5.000gを加え、ミックスローターで25℃、12時間攪拌を行なった。この溶液をADVANTEC製4Aろ紙を用いてろ過を行い、NMP不溶部と可溶部を分別した。可溶部の固形分を1.000gアルミ皿に採取し、250℃のホットプレートで1h加熱を行い、加熱後のアルミに残存した量より、ろ液の固形分を算出した。NMP不溶部は下記の式により算出した。
NMP不溶部(%)=100−ろ液の固形分量/理論固形分量(0.02534g)×100
(2)耐DMSO(ジメチルスルホキシド)試験
熱硬化後のフィルム(30μm×4cm×4cm)を80℃に加熱したDMSO溶液200mLに10分間浸漬させ、フィルムを取り出し外観によりフィルムが残存しているかを目視により評価し、残存している場合を「○」、残存していない場合を「×」とした。
熱硬化後のフィルム(30μm×4cm×4cm)を80℃に加熱したDMSO溶液200mLに10分間浸漬させ、フィルムを取り出し外観によりフィルムが残存しているかを目視により評価し、残存している場合を「○」、残存していない場合を「×」とした。
(3)ガラス転移温度(Tg)
Rigaku製 Thermo Plus DSC8230を用い、20℃/min窒素下で測定した。
Rigaku製 Thermo Plus DSC8230を用い、20℃/min窒素下で測定した。
(4)光学特性
イエローインデックス(YI)、全光線透過率については、スガ試験株式会社 SM−Tを用いJIS Z 8722条件に順じ測定した。
位相差については 王子計測機会株式会社 KOBRA−21ADH 40°入射角、RTモード、低レダレーションにて測定した。
また、屈折率については、プリズムカップラー法(メトリコン社製PC.2010)により、d線(589nm)の屈折率を測定した。
イエローインデックス(YI)、全光線透過率については、スガ試験株式会社 SM−Tを用いJIS Z 8722条件に順じ測定した。
位相差については 王子計測機会株式会社 KOBRA−21ADH 40°入射角、RTモード、低レダレーションにて測定した。
また、屈折率については、プリズムカップラー法(メトリコン社製PC.2010)により、d線(589nm)の屈折率を測定した。
(5)機械的強度
フィルム自立性については、キャスト製膜時にフィルムが破壊しないもの:「○」、キャスト製膜時にフィルムが破壊するもの:「×」とした。
線膨張係数(CTE、ppm)については、Seiko Instument Inc.製 TMA−SS150Cを用い、3℃/min速度で、窒素下での100〜150℃の値を測定した。
また、引張り強度、引張り弾性率については、7号ダンベルカッターで切り抜き、標線距離10mm、引張り速度500mm/minで測定した。
フィルム自立性については、キャスト製膜時にフィルムが破壊しないもの:「○」、キャスト製膜時にフィルムが破壊するもの:「×」とした。
線膨張係数(CTE、ppm)については、Seiko Instument Inc.製 TMA−SS150Cを用い、3℃/min速度で、窒素下での100〜150℃の値を測定した。
また、引張り強度、引張り弾性率については、7号ダンベルカッターで切り抜き、標線距離10mm、引張り速度500mm/minで測定した。
(実施例2〜6)
実施例1において表1に示す組成でフィルムを作製した以外は同様に実施した。また、得られたフィルムについて実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
実施例1において表1に示す組成でフィルムを作製した以外は同様に実施した。また、得られたフィルムについて実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
(比較例1、2)
比較重合体1を用いて、表1に示す組成でフィルムを作製した以外は同様に実施した。また、得られたフィルムについて実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
比較重合体1を用いて、表1に示す組成でフィルムを作製した以外は同様に実施した。また、得られたフィルムについて実施例1と同様に測定した結果を表2に示す。
Claims (6)
- さらに、(B)分子中に1個以上の重合性反応基を有する化合物を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- さらに、(C)重合開始剤を含む、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
- 請求項4に記載の硬化物からなるフィルム。
- 下記式(A)で表わされる重合体。
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