JP2011162686A - 実装回路板用防湿絶縁塗料および電子部品 - Google Patents
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Abstract
Description
(RO)x(R)ySi−R′−S−SiR3
(式中、Siはケイ素である;Sはイオウである;Oは酸素である;xは、1、2および3から選択される整数である;yは、0、1および2から選択される整数である;x+y=3;Rは同じまたは異なり、(C1−C16)アルキルである;R′はアリール、アルキルアリールまたは(C1−C16)アルキルである)によって表されるシラン−スルフィド修飾剤との反応生成物が開示されている。
しかし、これらの化合物を防湿絶縁塗料へ応用した例は未だ開示されていない。
本発明(II)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品に関する。
本発明(III)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法に関する。
[1] (A)分子内にアルコキシシリル基を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、および(B)有機溶剤を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料。
[2] 成分(A)に含まれるアルコキシシリル基が、式(1)
で示されることを特徴とする[1]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[3] 成分(A)のうち、式(1)で示されるアルコキシシリル基が0.01〜5質量%であることを特徴とする[2]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[4] 有機溶剤の大気圧下での沸点が70〜140℃であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[5] 固形分濃度が10〜50質量%であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[6] さらに(C)粘着付与剤を含有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[7] 粘着付与剤が、石油系樹脂粘着付与剤および/またはテルペン系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする[6]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[8] 粘着付与剤が、脂環族系飽和炭化水素樹脂、脂環族系不飽和炭化水素樹脂、および芳香族系炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の石油系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする[6]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[9] さらに、レベリング剤、消泡剤、着色剤、および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した実装回路板用防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法。
まず、本発明(I)について説明する。
本発明(I)は、下記成分(A)および下記成分(B)を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料に関する。
成分(A) 分子内にアルコキシシリル基を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体
成分(B) 有機溶剤
尚、本明細書におけるスチレン−ブタジエンブロック共重合体とは、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体であり、かつ、スチレンのみが重合したスチレンブロックと1,3−ブタジエンのみが重合したブタジエンブロックを交互に有する共重合体のことである。スチレン−ブタジエンブロック共重合体の製造方法(即ち、スチレンモノマーとブタジエンモノマーの共重合)は、アニオンリビング型の重合反応について当分野で周知の条件(例えば、−50℃〜250℃(好ましくは0℃〜120℃)の温度など)で達成することができる。反応温度は重合開始温度と同じであってもよい。重合を、大気圧で、または減圧した圧力で、または500MPaまでの加圧した圧力で、もしくは500MPaを越える加圧した圧力でさえ、連続的または断続的に行うことができる。好ましくは、0.01MPa〜500MPaの圧力で、さらに好ましくは0.01MPa〜10MPaの圧力で、最も好ましくは0.1MPa〜2MPaの圧力で行われる。溶液重合は、通常の場合にはより低い圧力で行われ、好ましくは10MPa未満で行われる。重合は液体反応媒体の場合と同様に気相において行うこともできる。重合は一般には、回分式、連続式または半連続式の重合条件のもとで行われる。重合プロセスは、(例えば、流動床反応装置または撹拌床反応装置において)気相重合として行うこと、または形成されたポリマーが反応混合物において実質的に可溶性である溶液重合として行うこと、または形成されたポリマーが反応媒体において実質的に不溶性である懸濁/スラリー重合として行うこと、または重合されるモノマーの過剰量が反応媒体として使用されるいわゆる塊状重合プロセスとして行うことができる。
好ましいアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、2−メトキシエトキシが挙げられるが、なかでもメトキシ、エトキシ、イソプロポキシが好ましい。
アルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルが挙げられる。
好ましいアリール基としては、フェニルが挙げられる。
好ましいアラルキル基としては、好ましくは、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルが挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、メトキシジメチルシラン、ジメトキシフェニルシランなどを挙げることができる。
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料に用いられる有機溶剤は、実装回路板用防湿絶縁塗料を構成する各成分を溶解し、かつ、実装回路板用防湿絶縁塗料を塗布後、室温無風の条件下において10分程度で次工程に移ることを可能にするために、大気圧下での沸点が140℃以下であることが好ましい。有機溶剤の大気圧下での沸点は、好ましくは70〜140℃であり、より好ましくは80〜140℃である。また、ポッティングによる塗布を容易にするために、低粘度であり、かつ、乾燥後に十分な防湿性を発現できる厚みを確保するために、固形分濃度が10質量%以上であることが好ましい。このような有機溶剤としては具体的にはトルエン等の芳香族炭化水素溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−プロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル等の酢酸エステル溶剤および石油ナフサ等を挙げることができる。好ましくは、トルエン(沸点:110.6℃)、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、メチルシクロヘキサン(沸点:101.1℃)、エチルシクロヘキサン(沸点:132℃)、酢酸エチル(沸点:76.8℃)、酢酸n−プロピル(沸点:101.6℃)、酢酸イソプロピル(沸点:89.4℃)、酢酸n−ブチル(沸点:126.3℃)、酢酸イソブチル(沸点:116℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.5℃)、メチルイソプロピルケトン(沸点:94.3℃)、メチルn−プロピルケトン(沸点:101.9℃)、ジエチルケトン(沸点:101.7℃)、メチルイソブチルケトン(沸点:116.7℃)であり、さらに好ましくは、メチルシクロヘキサン(沸点:101.1℃)、エチルシクロヘキサン(沸点:132℃)、酢酸n−プロピル(沸点:101.6℃)、酢酸イソプロピル(沸点:89.4℃)、酢酸n−ブチル(沸点:126.3℃)、酢酸イソブチル(沸点:116℃)である。これらの有機溶剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
成分(C) 粘着付与剤
なお、本明細書に記載の粘着付与剤は、前記成分(A)には含まれないものと定義する。
これらの粘着付与剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤としては、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の熱劣化や変色を防止する作用のある化合物であれば特に制限は無く、例えば、下記のフェノール系酸化防止剤等を使用することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記式(2)〜式(13)のような化合物を挙げることができる。
本発明に用いることができるシランカップリング剤とは、分子内に有機材料と反応結合する官能基、および無機材料と反応結合する官能基を同時に有する有機ケイ素化合物で、一般的にその構造は下記式(14)のように示される。
本発明(II)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品である。
このような電子部品としては、マイクロコンピュータ、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、リレー、トランス等、およびこれらを搭載した実装回路板などが挙げられ、さらにこれら電子部品に接合されるリード線、ハーネス、フィルム基板等も含むことができる。
また、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、フィールドエミッションディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイパネルの信号入力部等も、電子部品として挙げられる。特に、電子部品用ディスプレイ用基板等のIC周辺部やパネル張り合わせ部等に、防湿絶縁塗料を好ましく使用できる。
本発明(II)の電子部品は、実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて電子部品を絶縁することにより製造される。本発明(III)の製造方法としては、まず、一般に知られている浸漬法、ハケ塗り法、スプレー法、線引き塗布法等の方法によって上述した実装回路板用防湿絶縁塗料を上記電子部品に塗布し、実装回路板用防湿絶縁塗料に含まれる有機溶剤を揮発させて塗膜を乾燥させることにより、電子部品が得られる。
(実施合成例1)
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(クレイトンポリマー社製、商品名:D1153)30g、メチルシクロヘキサン(丸善石油化学株式会社製、商品名:スワクリーンMCH、沸点:101.1℃)20g、酢酸n−プロピル(昭和電工株式会社製、沸点:101.6℃)30g、酢酸n−ブチル(ダイセル化学工業株式会社製、沸点:126.3℃)20gを投入し、温度を55℃に昇温し、撹拌を行い、前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体を溶解した。溶解後、メチルジメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名:TSL8117)0.273g、3%Pt−VTS−IPA溶液(エヌ・イーケムキャット株式会社製、物質名:Pt/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、2−プロパノールの混合物(Pt濃度:3質量%))6.26mgを投入し、55℃で撹拌を15時間継続して、均一な溶液(以下、「溶液A1」と記す。)を得た。得られたアルコキシシリル基を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体のアルコキシシリル基含有量は0.9質量%であった。
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(クレイトンポリマー社製、商品名:D1153)30g、メチルシクロヘキサン(丸善石油化学株式会社製、商品名:スワクリーンMCH、沸点:101.1℃)20g、酢酸n−プロピル(昭和電工株式会社製、沸点:101.6℃)30g、酢酸n−ブチル(ダイセル化学工業株式会社製、沸点:126.3℃)20gを投入し、温度を55℃に昇温し、撹拌を行い、前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体を溶解した。溶解後、メチルジメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名:TSL8117)0.181g、3%Pt−VTS−IPA溶液(エヌ・イーケムキャット株式会社製、物質名:Pt/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、2−プロパノールの混合物(Pt濃度:3質量%))6.26mgを投入し、55℃で撹拌を15時間継続して、均一な溶液(以下、「溶液A2」と記す。)を得た。得られたアルコキシシリル基を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体のアルコキシシリル基含有量は0.6質量%であった。
(実施配合例1)
アルコキシシリル基を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体溶液A1 20g、酸化防止剤としてIrganox1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.06gを混合し、配合物D1とした。
実施配合例1と同様の方法によって、表1に示す配合組成に従って配合した。実施配合例2〜4で調製した配合物を、それぞれ配合物D2〜D4とし、比較配合例1〜2で調製した配合物をそれぞれ配合物E1〜E2とした。
なお、表1中に記載の実施配合例1〜4および比較配合例1〜2の各成分の数字の単位は「g」である。
上記の組成により調製した配合物D1〜D4およびE1〜E2の特性を、以下に示す方法により評価した。結果を表2に示す。
ガラス板(TFTグレード)上に乾燥後の厚みが150μmとなるよう配合物D1〜D4およびE1〜E2を塗布し、70℃の熱風循環式乾燥機に90分間入れることにより評価用の乾燥膜を作成した。この乾燥膜の一端のみを剥離して、幅2.5mmの接着力測定用試験片を作成した。接着力は、ガラス板と剥離した硬化フィルムが90度の角度を成すように引張り試験機(株式会社島津製作所製、EZ Test/CE)に固定し、23℃において50mm/minの速度で90度引き剥がし強さを測定して求めた。
また、「引き剥がし性」における×印とは、90度引き剥がし強さの測定中に硬化膜が切れたことを意味し、「引き剥がし性」における○印とは、90度引き剥がし強さの測定中に硬化膜が切れずに剥離できたことを意味する。
ガラス板(TFTグレード)上に乾燥後の厚みが150μmとなるよう配合物D1〜D4およびE1〜E2を塗布し、70℃の熱風循環式乾燥機に90分間入れることにより評価用乾燥膜を作成した。この乾燥膜の一端のみを剥離して、幅2.5mmの密着性評価用試験片を作成した。この試験片を−10℃の恒温槽に30分間入れ、恒温槽から取り出した直後ただちに引張り試験機(株式会社島津製作所製、EZ Test/CE)にガラス板と剥離した硬化フィルムが90度の角度を成すように固定し、23℃において50mm/minの速度で90度引き剥がし強さを測定した。×印とは密着力が2N/cmより小さいことを意味し、○印は密着力が2N/cmより大きいことを意味する。
ガラス基板上にライン/スペースが40μm/10μmである櫛形パターン形状のITO配線を形成したパターン電極上に、配合物D1〜D4およびE1〜E2を、それぞれ乾燥後の厚みが100μmになるよう塗布し、室温で10分間保持した後に、70℃で1.5時間乾燥した。
この試験片を用いて、バイアス電圧30Vを印加し、温度120℃、湿度85%RHの条件での温湿度定常試験を、MIGRATION TESTER MODEL MIG−8600(IMV株式会社製)を用いて行った。上記温湿度定常試験をスタートしてから5時間後の抵抗値(初期抵抗値)と、200時間後の抵抗値を測定した。
Claims (11)
- (A)分子内にアルコキシシリル基を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、および
(B)有機溶剤
を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料。 - 成分(A)のうち、式(1)で示されるアルコキシシリル基が0.01〜5質量%であることを特徴とする請求項2に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- 有機溶剤の大気圧下での沸点が70〜140℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- 固形分濃度が10〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- さらに(C)粘着付与剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- 粘着付与剤が、石油系樹脂粘着付与剤および/またはテルペン系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする請求項6に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- 粘着付与剤が、脂環族系飽和炭化水素樹脂、脂環族系不飽和炭化水素樹脂、および芳香族系炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の石油系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする請求項6に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- さらに、レベリング剤、消泡剤、着色剤、および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した実装回路板用防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法。
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