JP2011161599A - 磁気ディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

磁気ディスク基板用研磨液組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミナ粒子とシリカ粒子とを含む磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、研磨速度の向上とロールオフの低減が可能な磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法の提供。
【解決手段】アルミナ粒子、シリカ粒子、オキシアルキレン基を有する化合物、及び水を含有する磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、前記シリカ粒子が透過型電子顕微鏡観察による測定で得られた前記シリカ粒子の粒径(nm)に対して小粒径側からの累積体積頻度(%)をプロットして得られた前記シリカ粒子の粒径対累積体積頻度グラフにおいて粒径10nmにおける累積体積頻度が0〜40%でありかつ粒径40nmにおける累積体積頻度が55〜100%である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板は、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性及び平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)と欠陥低減(スクラッチ、突起、ピット等の低減)が厳しく要求されている。近年では、粗研磨の段階で、かかる要求を満たす必要があり、アルミナ粒子にシリカ粒子を混合した研磨液が用いられている(特許文献1〜3)。
特許文献1は、体積中位径が40〜150nmのシリカ粒子をアルミナ粒子と組み合わせることで、研磨速度の維持とアルミナ粒子の突き刺さりの低減を達成できることを開示する。また、特許文献2は、粒径の小さいアルミナ粒子を用いた研磨において、コロイダルシリカを砥粒として併用すると研磨速度の向上とピットの低減を達成できることを開示する。さらに、特許文献3は、フュームドアルミナ、アルファアルミナ、シリカ、及び非イオン性界面活性剤を含有する研磨液組成物を開示する。
特開2009−176397号公報 特開2005−186269号公報 特開2008−517791号公報
アルミナ粒子とシリカ粒子とを併用する研磨液組成物において、平均粒径が40nm未満の粒径の小さいシリカを使用する場合、研磨速度が著しく低減してしまう問題がある。また、磁気ディスクドライブのさらなる大容量化を実現するためには、さらにロールオフ特性が向上した研磨液組成物が必要である。
そこで、本発明は、アルミナ粒子と粒径の小さいシリカ粒子とを含む磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、研磨速度の向上とロールオフの低減が可能な磁気ディスク基板用研磨液組成物、及びこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本発明は、アルミナ粒子、シリカ粒子、オキシアルキレン基を有する化合物、及び水を含有する磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、前記シリカ粒子が透過型電子顕微鏡観察による測定で得られた前記シリカ粒子の粒径(nm)に対して小粒径側からの累積体積頻度(%)をプロットして得られた前記シリカ粒子の粒径対累積体積頻度グラフにおいて、粒径10nmにおける累積体積頻度が0〜40%でありかつ粒径40nmにおける累積体積頻度が55〜100%である磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
また、本発明は、本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本発明の磁気ディスク基板用研磨液組成物は、被研磨基板の研磨速度向上、及び、研磨後の基板のロールオフ特性を向上できるという効果を奏しうる。
図1は、実施例で使用したシリカ粒子の粒径対累積体積頻度グラフである。 図2は、ロールオフの測定方法を説明するための図である。
砥粒としてアルミナ粒子とシリカ粒子とを含有する研磨液組成物に特有の問題点として、40nm未満の小径シリカ粒子を使用する場合に研磨速度を得ることができないという問題があった。本発明は、アルミナ粒子と特定の粒度分布を有する小径シリカ粒子とオキシアルキレン基を有する化合物(以下「オキシアルキレン化合物」ということがある。)を併用することにより、研磨速度が向上し、さらに、ロールオフ特性も向上する、という知見に基づく。
すなわち、本発明は、一態様として、アルミナ粒子、シリカ粒子、オキシアルキレン基を有する化合物、及び水を含有する磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、前記シリカ粒子が透過型電子顕微鏡観察による測定で得られた前記シリカ粒子の粒径(nm)に対して小粒径側からの累積体積頻度(%)をプロットして得られた前記シリカ粒子の粒径対累積体積頻度グラフにおいて粒径10nmにおける累積体積頻度が0〜40%でありかつ粒径40nmにおける累積体積頻度が55〜100%である、磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、「本発明の研磨液組成物」ともいう。)に関する。
本発明の研磨液組成物による研磨速度向上のメカニズムは明らかではないが、以下のように推定される。アルミナ粒子はシリカ粒子と比較して切削力は非常に大きい。従って、アルミナ粒子とシリカ粒子を含有した研磨液組成物ではアルミナ粒子が基板の大部分を切削している。ここに小径のシリカ粒子が存在すると、シリカ粒子はアルミナ表面に吸着し、アルミナ粒子の切削を阻害するため研磨速度が発現されない。しかし、ここにオキシアルキレン化合物が存在する場合には、シリカ粒子とオキシアルキレン化合物との凝集体が形成される。さらに、小径のシリカ粒子が特定の粒度分布を有している場合には、アルミナ表面からシリカ粒子が効率的に取り除かれて、アルミナ粒子が基板を切削しやすくなる。その結果、本発明の研磨液組成の高い研磨速度が発現されるものと推定される。但し、本発明はこのメカニズムに限定されない。
また、本発明の研磨液組成物によるロールオフ向上のメカニズムは明らかではないが以下のように考えられる。すなわち、研磨液組成物中のオキシアルキレン化合物の一部は研磨パッドであるウレタンパッド表面に吸着して潤滑膜を形成する。この研磨パッドの潤滑膜によって端面の過剰研磨が抑制され、ロールオフ特性が向上すると考えられる。但し、本発明はこのメカニズムに限定されない。
本発明の研磨液組成物よれば、研磨速度が向上した研磨が可能となり、さらに研磨後の基板のロールオフ特性を向上できるという効果を奏しうる。よって、本発明の研磨液組成物によれば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を製造できるという効果を奏しうる。
本明細書において「ロールオフ特性」とは、被研磨基板の研磨後のロールオフ(端面ダレ)の程度の低さをいい、具体的には実施例で測定されるロールオフ値が大きいことをいう。
また、本明細書において、基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸であり、特に、波長0.5〜5mmのうねりのことを指す。この基板のうねりが低減されることにより、磁気ヘッドの浮上量が低減でき、磁気ディスク基板の記録密度向上が可能となる。
[アルミナ粒子]
本発明の研磨液組成物は、砥粒としてアルミナ粒子を含有する。本発明に用いられるアルミナ粒子としては、突き刺さり低減、うねり低減、表面粗さ低減、研磨速度向上及び表面欠陥防止の観点から、アルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のアルミナである。また、研磨速度向上の観点からは、α−アルミナが好ましく、基板の表面性状及びうねり低減の観点からは、中間アルミナ及びアモルファスアルミナが好ましい。中間アルミナとは、α−アルミナ以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、及びこれらの混合物等が挙げられる。その中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。研磨速度向上及びうねり低減の観点からは、α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナとを混合して使用することが好ましく、α−アルミナと中間アルミナとを混合して使用することがより好ましく、α−アルミナとθ−アルミナとを混合して使用することがさらに好ましい。また、アルミナ粒子中のα−アルミナの含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、20〜100重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、20〜75重量%がさらに好ましい。本発明において、アルミナ粒子中のα−アルミナの含有量は、WA−1000(昭和電工(株)製 アルミナ粒子)の104面のピーク面積を100%として、X線回折におけるα−アルミナの対応ピーク面積を相対比較することにより求める。
α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナとを混合して使用する場合、α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナの重量比(α−アルミナの重量%/中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナの重量%)は、ロールオフ低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、90/10〜10/90が好ましく、85/15〜40/60がより好ましく、80/20〜50/50がさらに好ましい。
本発明で用いられるアルミナ粒子の二次粒子の体積中位粒径は、レーザー光回折法による測定で得られるものであって、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、0.01〜0.8μmが好ましく、0.15〜0.6μmがより好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましく、0.25〜0.4μmがさらにより好ましい。中でも、α−アルミナの二次粒子の体積中位粒径は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、0.1〜0.8μmが好ましく、0.15〜0.6μmがより好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましく、0.25〜0.4μmがさらにより好ましい。
アルミナ粒子の一次粒子の体積中位粒径は、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.4μmがより好ましく、0.03〜0.3μmがさらに好ましく、0.05〜0.2μmがさらにより好ましい。中でも、α−アルミナの一次粒子の体積中位粒径は、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.05〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.4μmがより好ましく、0.05〜0.3μmがさらに好ましく、0.07〜0.2μmがさらにより好ましい。アルミナ粒子の一次粒子の体積中位粒径は、走査型電子顕微鏡(好適には3000〜30000倍)又は透過型電子顕微鏡(好適には10000〜300000倍)の写真を画像解析することにより求めることができる。具体的には、拡大写真等を用い、個々の一次粒子の最大長を少なくとも200個の粒子について測定し、該長さを直径とする球の体積を算出し、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径(D50)を一次粒子の体積中位粒径とする。
研磨液組成物中におけるアルミナ粒子の含有量は、研磨速度向上及び突き刺さり低減の観点から、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、さらにより好ましくは0.75重量%以上である。また、該含有量は、表面品質向上及び経済性の観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下である。すなわち、研磨液組成物中におけるアルミナ粒子の含有量は好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%、さらにより好ましくは0.75〜10重量%である。
研磨液組成物中のアルミナ粒子と後述するシリカ粒子の重量比(アルミナ重量/シリカ重量)は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、10/90〜60/40の範囲が好ましく、15/85〜50/50の範囲がより好ましく、20/80〜40/60の範囲がさらに好ましい。
[シリカ粒子]
本発明の研磨液組成物は、砥粒として、アルミナ粒子とともにシリカ粒子を含有する。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられ、中でも、基板のうねり低減及び経済性の観点から、コロイダルシリカが好ましい。なお、コロイダルシリカ粒子は、例えば、ケイ酸水溶液から生成させる製法により得ることができる。
本発明の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子は、うねり低減、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、粒径10nmにおける累積体積頻度は0〜40%であり、好ましくは0〜30%、より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜10%である。また、該シリカ粒子は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、粒径40nmにおける累積体積頻度は55〜100%であり、好ましくは60〜100%、より好ましくは70〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。さらに、該シリカ粒子は、うねり低減、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、粒径25nmにおける累積体積頻度が好ましくは0〜80%、より好ましくは0〜60%、さらにより好ましくは0〜40%、さらにより好ましくは0〜30%であり、粒径20nmにおける累積体積頻度は、好ましくは0〜60%、より好ましくは0〜40%、さらにより好ましくは0〜30%、さらにより好ましくは0〜20%である。
本発明の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子の一次粒子の体積中位粒径は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、10nm以上40nm未満であることが好ましく、より好ましくは15〜37nm、さらに好ましくは15〜35nmである。また、シリカ粒子の個数基準における粒径の標準偏差は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、1〜10nmであることが好ましく、より好ましくは1〜8nm、さらに好ましくは1〜6nmである。
α−アルミナ粒子とシリカ粒子を混合して使用する場合、α−アルミナの二次粒子の体積中位粒径とシリカの一次粒子の体積中位粒径との比(α−アルミナの二次粒子の体積中位粒径/シリカの一次粒子の体積中位粒径)は、ロールオフ低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜50、さらに好ましくは5〜20である。
本明細書において、「粒径○○nmにおける累積体積頻度」、「体積中位粒径」、及び「個数基準の粒径の標準偏差」は、以下の方法により求められるものをいう。すなわち、シリカ粒子を日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF」(販売元:三谷商事)を用いて1000個以上のシリカ粒子データについて1個1個のシリカ粒子の円相当径を求め、それを直径とし、表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、個数基準の粒径の標準偏差(標本標準偏差)を得る。また、前記表計算ソフト「EXCEL」にて、粒子直径から粒子体積に換算して得られるシリカの粒径分布データに基づき、全粒子中における、ある粒径の粒子の割合(体積基準%)を小粒径側からの累積頻度として表し、累積体積頻度(%)を得る。得られたシリカの粒径及び累積体積頻度データに基づき、粒径に対して累積体積頻度をプロットすることにより、粒径対累積体積頻度グラフが得られる。前記グラフにおいて、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径をシリカの体積中位粒径とする。また、前記粒径対累積体積頻度グラフから、「粒径○○nmにおける累積体積頻度」を読み取ることができる。
本発明の研磨液組成物に含有されるシリカ粒子の含有量は、うねり低減及び研磨速度向上の観点から、0.1重量%以上が好ましくは、0.5重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、2重量%以上がさらにより好ましい。また、シリカ粒子の含有量は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、うねり低減並びに経済性の観点から、30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましく、15重量%以下がさらにより好ましい。したがって、シリカ粒子の含有量は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、うねり低減並びに経済性の観点から、0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜25重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましく、2〜15重量%がさらにより好ましい。
[オキシアルキレン基を有する化合物]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、オキシアルキレン化合物を含有する。オキシアルキレン化合物は、オキシアルキレン基を有していれば特に限定されない。オキシアルキレン化合物は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、並びに、基板のうねり低減の観点から、ノニオン性又はアニオン性の化合物であることが好ましく、ノニオン性の化合物であることがさらに好ましい。
オキシアルキレン化合物に含まれるオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のオキシアルキレン基が好ましく、具体的には、オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)、オキシブチレン基(BO)が挙げられるが、研磨速度向上の観点からオキシエチレン基(EO)がより好ましい。オキシアルキレン基は、シリカ粒子表面のシラノール基と水素結合を形成し、シリカ粒子を凝集させると推定される。
オキシアルキレン基におけるオキシエチレン基(EO)の占める割合は、溶解性向上及び研磨速度向上の観点から、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらにより好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン化合物におけるオキシアルキレン基の全平均付加モル数は、オキシアルキレン化合物とシリカ粒子との凝集体の形成量を多くしてアルミナに吸着したシリカ粒子を取り除き研磨速度を向上する観点から、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、15以上がさらにより好ましく、20以上がさらにより好ましい。また、オキシアルキレン化合物とシリカ粒子との凝集体の強固な凝集を抑制してうねりの悪化を抑制する観点から、300以下が好ましく、250以下がより好ましく、150以下がさらに好ましく、100以下がさらにより好ましく、50以下がさらにより好ましい。
オキシアルキレン化合物の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンカルボン酸ジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレンカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレンコポリマー、及び下記式(I)で表される構成単位を有する重合体が挙げられる。オキシアルキレン化合物は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、並びに、基板のうねり低減の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び下記式(I)で表される構成単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2011161599
[前記式(I)において、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、nはAOの全平均付加モル数であって4〜300の数であり、(AO)nにおけるオキシエチレン基の占める割合は70モル%以上である。]
前記式(I)において、R1は、水素原子又はメチル基であり、中でも、構成単位及び共重合体の安定性をさらに向上できるため、メチル基が好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。また、前記式(I)において、AOは、オキシエチレン基を含む炭素数2〜4、好ましくは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。(AO)nにおけるオキシエチレン基の占める割合は、溶解性の観点から70%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、より好ましくは100モル%である。前記式(I)におけるAOの全平均付加モル数であるnは、オキシアルキレン化合物とシリカ粒子との凝集体の形成量を多くしてアルミナに吸着したシリカ粒子を取り除き研磨速度を向上する観点から、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、15以上がさらにより好ましく、20以上がさらにより好ましい。また、オキシアルキレン化合物とシリカ粒子との凝集体の強固な凝集を抑制してうねりの悪化を抑制する観点から、300以下が好ましく、250以下がより好ましく、150以下がさらに好ましく、100以下がさらにより好ましく、50以下がさらにより好ましい。また、前記式(I)におけるpは、0又は1である。研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに、共重合体の分散性向上の観点から、pは、1が好ましい。
前記式(I)で表される構成単位を形成するためのモノマーの具体例としては、研磨速度及びロールオフ特性の向上、並びに、研磨後の基板のうねり低減の観点から、p=1の場合モノマーとして、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられ、p=0の場合モノマーとして、ポリエチレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
上記式(I)で表される構成単位を有する重合体(オキシアルキレン化合物)は、さらに20℃の水100gに対する溶解度が2g以下の疎水性モノマーに由来する構成単位を有する共重合体であることが好ましい。前記共重合体において、上記式(I)で表される構成単位は、親水性構成単位としての役割を果たし、疎水性モノマーに由来する構成単位は、疎水性構成単位としての役割を果たす。前記共重合体において、上記式(I)で表される構成単位と疎水性モノマーに由来する構成単位との付加は、ランダム、ブロック又はグラフトのいずれであってもよく、これらの組合せであってもよい。
疎水性モノマーは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下、すなわち水難溶性を示す。疎水性モノマーの20℃の水100gに対する溶解度は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに、泡立ち抑制の観点から、0〜1gが好ましく、0〜0.1gがより好ましい。前記疎水性モノマーとしては、研磨速度及びロールオフ特性の向上、並びに、研磨後の基板のうねり低減の観点から、アルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、ポリエチレングリコールアクリレート系モノマーを除くポリアルキレングリコールアクリレート系モノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート系モノマーを除くポリアルキレングリコールメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルアクリルアミド系モノマー、アルキルメタクリルアミド系モノマー等が好適に挙げられる。これらのモノマーに含有されるアルキル基は、直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素基のみならず、単環若しくは多環の脂肪族環若しくは芳香環を有する炭化水素基を含み、環にさらに直鎖又は分岐のアルキル基を置換基として有する炭化水素基をも含むことが好ましい。また、研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに、泡立ちの観点からスチレン系モノマーが好ましい。
疎水性モノマーに由来する構成単位は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、並びに、研磨後の基板のうねり低減の観点から、下記式(II)〜(IV)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1つの構成単位であることが好ましく、下記式(II)又は(IV)で表される構成単位であることがより好ましく、化合物の安定性の観点から、さらに、下記式(IV)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2011161599
前記式(II)において、R3は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、構成単位及び共重合体の安定性のさらなる向上の観点からはメチル基が好ましい。Xは、酸素原子又はNH基であることが好ましく、ロールオフ特性のさらなる向上及び基板うねりのさらなる低減の観点からは酸素原子が好ましい。R4は、ロールオフ特性のさらなる向上及び基板うねりのさらなる低減の観点から、例えば炭素数1〜30、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数4〜22のアルキル基、又は好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜22のアリール基であり、ロールオフ特性のさらなる向上及び基板うねりのさらなる低減と、研磨液組成物の泡立ちをさらに抑制する観点からは炭素数4〜22のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数8〜18、さらに好ましくは炭素数12〜18のアルキル基である。また、R4は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれであってもよく、飽和及び不飽和のいずれであってもよく、炭素原子及び水素原子以外の元素を含んでもよい。前記元素としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等が挙げられる。
前記式(III)において、R5は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R6は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、構成単位及び共重合体の安定性のさらなる向上の観点からはR5及びR6の双方がメチル基であることが好ましい。AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、さらに好ましくはオキシプロピレン基である。(AO)mにおけるオキシプロピレン基及びオキシブチレン基の占める割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。前記式(III)のAOの全平均付加モル数であるmは、研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに共重合体分散性向上の観点から、好ましくは3〜150の数であり、ロールオフ特性のさらなる向上及び基板うねりのさらなる低減のため、4以上がより好ましく、さらに好ましくは6以上、さらにより好ましくは9以上、特に好ましくは13以上であり、研磨液組成物における共重合体の分散性をさらに向上できるため、100以下が好ましく、より好ましくは75以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは20以下である。したがって、mは、好ましくは4〜100の数、より好ましくは6〜75の数、さらに好ましくは9〜50の数、さらにより好ましくは13〜20の数である。
前記式(IV)において、R7は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子がより好ましい。R8は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに共重合体分散性向上の観点から、好ましくは水素原子である。前記式(IV)で表される構成単位を形成するためのモノマーの具体例としては、スチレン(St)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類が挙げられ、スチレンが好ましい。
オキシアルキレン化合物における式(I)で表される構成単位(親水性構成単位)と前記疎水性モノマーに由来する構成単位(疎水性構成単位)との重量比(親水性構成単位の重量/疎水性構成単位の重量)は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに共重合体分散性向上の観点から、25/75〜97.5/2.5が好ましく、より好ましくは40/60〜92.5/7.5、さらに好ましくは65/35〜85/15である。なお、オキシアルキレン化合物における各構成単位の重量比は、共重合体を1重量%含む重水素置換ジメチルスルホキシド溶液を、プロトン核磁気共鳴スペクトルを用いて測定することにより算出できる。
オキシアルキレン化合物の重量平均分子量は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、研磨後の基板のうねり低減、並びに共重合体分散性向上の観点から、5000〜50万が好ましく、より好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは2万〜45万、さらにより好ましくは3万〜45万、さらにより好ましくは5万〜45万、さらにより好ましくは5万〜40万である。なお、前記重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定できる。
GPC条件
カラム:α+α−M+α−M(東ソー社製)
溶離液:60mmol/L H3PO4、50mmol/L LiBr/DMF
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
標準物質:ポリスチレン
分子量Mw=590 (A−500) 東ソー社製
分子量Mw=3,600 西尾工業社製
分子量Mw=30,000 西尾工業社製
分子量Mw=96,400 (F−10) 東ソー社製
分子量Mw=929,000 (80323) ケムコ社製
分子量Mw=8,420,000 (F−850) 東ソー社製
オキシアルキレン化合物は、前記式(I)で表される構成単位を形成するためのモノマー及び前記疎水性モノマーに加えて、その他のモノマー由来の構成単位を含んでもよい。
前述した上記式(I)で表される構成単位と20℃の水100gに対する溶解度が2g以下の疎水性モノマーに由来する構成単位とを有する共重合体及び又はその塩は、例えば、特開2009−35701を参照して製造できる。
研磨液組成物中のオキシアルキレン化合物の含有量は、研磨速度及びロールオフ特性の向上、うねり低減、並びに表面品質及び経済済性の観点から、10〜10000ppmが好ましく、50〜5000ppmがより好ましく、100〜3000ppmがさらに好ましく、300〜1000ppmがさらにより好ましい。また、本発明の研磨液組成物におけるオキシアルキレン化合物は、研磨液組成物中のシリカ粒子を凝集させることでアルミナ粒子に吸着したシリカ粒子を取り除き、アルミナ粒子が切削しやすい環境に改善する機能を期待されており、それゆえ、シリカ粒子に粒径等に応じてオキシアルキレン化合物の含有量を変化させることができる。オキシアルキレン化合物の含有量の目安としては、例えば、粒径10nmにおける累積体積頻度が約0%で、40nmにおける累積体積頻度が約85%のシリカ粒子では、研磨速度及びロールオフ特性の向上並びにうねり低減の観点から300〜500ppm程度が好ましく、シリカ粒子の粒径分布によってオキシアルキレン化合物の最適添加量も変化する傾向にある。
[水]
本発明の研磨液組成物は水を含み、前記水は媒体として機能しうる。前記水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、60〜99.4重量%が好ましく、70〜98.9重量%がより好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を配合してもよい。
[酸]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、酸を含むことが好ましい。本明細書において、本発明の研磨液組成物における酸の使用は、酸及び又はその塩の使用を含む。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、研磨速度の向上の観点から、その酸のpK1が2以下の化合物が好ましく、スクラッチを低減する観点から、好ましくはpK1が1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくはpK1で表せない程の強い酸性を示す化合物である。好ましい酸は、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。中でも、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、無機酸、カルボン酸、有機ホスホン酸が好ましい。また、無機酸の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸がより好ましく、リン酸、硫酸がさらに好ましい。カルボン酸の中では、クエン酸、酒石酸、マレイン酸がより好ましく、クエン酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がさらに好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよいが、研磨速度及びロールオフ特性の向上並びに基板の洗浄性向上の観点から、2種以上を混合して用いることが好ましく、リン酸、硫酸、クエン酸及び1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸からなる群から選択される2種以上の酸を混合して用いることがさらに好ましい。ここで、pK1とは有機化合物または無機化合物の第一酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp316−325(日本化学会編)等に記載されている。
これらの酸の塩を用いる場合は、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2重量%である。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、酸化剤を含むことが好ましい。本発明の研磨液組成物に使用できる酸化剤としては、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。
前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられ、過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。
好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、好ましくは4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%である。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、研磨速度及びロールオフ特性の向上の観点から、上記の酸を用いてpH1〜6に調整することが好ましく、pH1〜4がより好ましく、pH1〜3がさらに好ましく、pH1〜2がさらにより好ましい。オキシアルキレン化合物がシリカ粒子を凝集させ、アルミナ粒子に吸着した小径のシリカ粒子を取り除き研磨速度を向上させていると推定されることから、オキシアルキレン化合物がシリカ粒子と凝集しやすいpH2以下の強酸性領域においてオキシアルキレン化合物による研磨速度向上能が大きく発現される。従って、研磨速度向上の観点からpH1〜2が好ましい。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、オキシアルキレン化合物、及び水と、さらに所望により、酸、酸化剤、及び他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、シリカ粒子は、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。前記混合は、特に制限されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、磁気ディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう。)に関する。本発明の製造方法は、上述した本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう。)を含む磁気ディスク基板の製造方法である。これにより、研磨速度が向上した研磨工程を介して、研磨後の基板のロールオフが低減された磁気ディスク基板を提供しうる。本発明の製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。よって、本発明の製造方法は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法である。
本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。また使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本発明の研磨液組成物は使用できる。なお、研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
研磨パッドの表面部材の平均気孔径は、研磨速度及びロールオフ特性の向上並びにパッド寿命の観点から、50μm以下が好ましく、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下である。パッドの研磨液保持性の観点から、気孔で研磨液を保持し液切れを起こさないようにするために、平均気孔径は0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上、さらにより好ましくは10μm以上である。また、研磨パッドの気孔径の最大値は、研磨速度維持の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[研磨荷重]
研磨荷重は、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。本発明の製造方法における研磨荷重は、ロールオフをさらに向上できるため、50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。また、前記研磨荷重は、生産性をさらに向上できるため、3kPa以上が好ましく、5kPa以上がより好ましく、7kPa以上がさらに好ましい。したがって、前記研磨荷重は、3〜50kPaが好ましく、5〜40kPaがより好ましく、7〜30kPaがさらに好ましい。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、コスト低減の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以下が好ましく、0.2mL/分以下がより好ましい。また、前記供給速度は、研磨速度をさらに向上できることから、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、0.025mL/分以上がより好ましく、0.05mL/分以上がさらに好ましい。したがって、前記供給速度は、被研磨基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/分が好ましく、0.025〜0.2mL/分がより好ましく、0.05〜0.15mL/分がさらに好ましい。
本発明の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
[被研磨基板]
本発明において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板が好適である。特にNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板に適しており、中でもNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板が適している。
また、本発明によれば、研磨速度が向上した研磨と研磨後の基板表面のロールオフが低減された磁気ディスク基板を提供できるため、高度の表面平滑性が要求される垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板の研磨に好適に用いることができる。
上記被研磨基板の形状には特に制限はなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状であればよい。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2〜95mm程度であり、その厚みは例えば0.5〜2mm程度である。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、上述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、研磨速度が向上した研磨、及び、研磨後の基板のロールオフが低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態をさらに説明する。下記実施例は、本発明の説明のみを目的にしており、本発明を制限するものとして解釈されない。
1.研磨液組成物の調製
α−アルミナ(二次粒子の体積中位粒径:0.3μm、バイコウスキージャパン製)、θ−アルミナ(二次粒子の体積中位粒径:0.16μm、バイコウスキージャパン製)、コロイダルシリカ、オキシアルキレン化合物、クエン酸、硫酸、過酸化水素及び水を用い、実施例1〜4、及び比較例1〜8の研磨液組成物を調製した。すべての研磨液組成物に、アルミナ砥粒として前記α−アルミナ(0.72重量%)及び前記θ−アルミナ(0.24重量%)を使用し(アルミナ合計0.96重量%)、酸として硫酸(0.4重量%)及びクエン酸(0.5重量%)を使用し、酸化剤として過酸化水素(1.2重量%)を使用した。研磨液組成物のpHはすべて1.4であった。また、オキシアルキレン化合物は実施例1〜4、比較例6、8に使用した。比較例2及び3においてはオキシアルキレン化合物に換えてそれぞれジメチルアミン/アリルクロライド共重合体(PAS-H-5L、日東紡社製)及びポリアクリル酸(DL453、日本触媒社製)を使用した。
使用したオキシアルキレン化合物a〜cは以下のとおりである。
オキシアルキレン化合物a:スチレン/ポリエチレングリコール(EO23モル)メタクリレート共重合体(下記の製造方法により合成)、分子量:58000
オキシアルキレン化合物b:ポリオキシエチレン(EO12モル)アルキルエーテル(エマルゲン320P、花王社製)、分子量:800
オキシアルキレン化合物c:メタクリル酸/ポリエチレングリコール(EO25モル)メタクリレート共重合体(FC−900、日本触媒社製)、分子量:48000
[シリカ粒子]
シリカ粒子としては、下記表1及び図1に示すシリカA〜D(シリカA、B及びD:日揮触媒化成社製、シリカC:ナルコカンパニー社製)を使用し、下記表2に示す組成で使用した(含有量3wt%)。
Figure 2011161599
シリカ粒子の粒径分布、体積中位粒径、及び粒径の標準偏差の測定は、次のように行った。まず、スラリー状のシリカ粒子を試料として用い、日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)により前記試料を観察し、TEM像を写真撮影した。当該写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF」(販売元:三谷商事)を用いて1個1個のシリカ粒子の円相当径を求め、それを直径とし、1000個以上のシリカ粒子データを解析した後、それをもとに表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、シリカ粒子の個数基準の平均粒径及び標準偏差を得た。また、表計算ソフト「EXCEL」にて、粒子直径から粒子体積に換算して得られるシリカ粒子の粒径分布データに基づき、全粒子中における、ある粒径の粒子の割合(体積基準%)を小粒径側からの累積頻度として表し、累積体積頻度(%)を得た。得られたシリカ粒子の粒径及び累積体積頻度データに基づき、粒径に対して累積体積頻度をプロットし、粒径対累積体積頻度グラフ(図1)を作成し、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径を体積中位粒径(平均粒径)とした。
[オキシアルキレン化合物]
オキシアルキレン化合物aは、以下の方法により製造した。式(I)で表される構成単位を形成するためのモノマーとしてメトキシポリエチレングリコール(23モル)メタクリレート(PEGMA(EO23))を用い、式(II)で表される構成単位を形成するためのモノマーとしてスチレン(St)を用いて合成した。具体的には、(PEGMA(EO23))80g、St 20g、重合溶媒であるメチルエチルケトン100g及び重合開始剤(商品名V−65、和光純薬(株)製)1.0gを、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管が配置された反応器に入れて、65℃で6時間重合反応を行った後、乾燥させて共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は、12.5万であった。また、共重合体における(PEGMA(EO23))の割合は、80重量%(モル%)であり、Stの割合は、20重量%(モル%)であった。なお、共重合体の重量平均分子量、及び、共重合体における各構成単位の割合は、以下のようにして測定した。
[重量平均分子量の測定方法]
共重合体をクロロホルムに溶解し、以下の条件で重量平均分子量を測定した。
〔GPC条件〕
カラム:α+α−M+α−M(東ソー社製)
溶離液:60mmol/L H3PO4、50mmol/L LiBr/DMF
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
標準物質:ポリスチレン
分子量Mw=590 (A−500) 東ソー社製
分子量Mw=3,600 西尾工業社製
分子量Mw=30,000 西尾工業社製
分子量Mw=96,400 (F−10) 東ソー社製
分子量Mw=929,000 (80323) ケムコ社製
分子量Mw=8,420,000 (F−850) 東ソー社製
[共重合体における各構成単位の割合の測定方法]
共重合体を重水素置換ジメチルスルホキシドに溶解し(共重合体の濃度:1重量%)、プロトン核磁気共鳴スペクトルを用いて測定した。
[アルミナ粒子の二次粒子の粒径の測定]
以下の測定条件で二次粒子の粒径(D10、D50及びD90)を測定した。なお、D10、D50及びD90とは、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒径であり、このうち、D50を体積中位粒径とする。
〔サンプルの調整と測定方法〕
0.5%ポイズ530(花王社製)水溶液を分散媒として、下記測定装置内に投入し、続いて透過率が75〜95%になるようにサンプルを投入し、その後、5分間超音波を掛けた後、粒径を測定した。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
[アルミナ粒子中のα−アルミナの含有量]
研磨液組成物20gを105℃で5時間乾燥させて粉末とした。そして、得られた粉末について、X線回折装置(理学電機製、型番:RINT2500VPC)にて管電圧40kW、管電流120mAの条件で104面のピーク面積を測定し、同様に測定した昭和電工製アルミナ粒子WA−1000のピーク面積から下記式のとおりに算出することによって求めた。
α−アルミナ含有量(重量%)=(試験試料ピーク面積)÷(WA−1000のピーク面積)×99.9
2.基板の研磨
調製した実施例1〜4及び比較例1〜8の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件で前記基板を研磨した。
[被研磨基板]
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mm、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定におけるうねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機 :両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム(株)製)
研磨パッド :厚み1.04mm、平均開孔径43μm(FILWEL製)
定盤回転数 :45rpm
研磨荷重 :12.3kPa(設定値)
研磨液供給量 :100mL/min(0.076mL/(cm2・min))
研磨量(片面) :130mg
投入した基板の枚数:10枚
3.評価方法
[研磨速度の評価]
実施例1〜4及び比較例1〜8の研磨液組成物の研磨速度は、以下の方法で評価した。まず、研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。その結果を下記表2に示す。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.9g/cm3として算出)
[うねりの評価]
研磨後の10枚の基板から任意に1枚を選択し、選択した各基板の両面を90°おきに4点(計8点)について、下記の条件で測定した。その8点の測定値の平均値を基板のうねりとして算出した。得られた結果を下記表2に示す。
機器 :Zygo NewView5032
レンズ :2.5倍 Michelson
ズーム比 :0.5
リムーブ :Cylinder
フィルター :FFT Fixed Band Pass(0.5〜5mm)
エリア :4.33mm×5.77mm
[ロールオフの評価]
実施例1〜4及び比較例1〜8の研磨液組成物を用いて研磨した後の基板について、下記の条件で、ロールオフを測定した。得られた結果を下記表2に示す。この値が正に大きいほどロールオフ特性は良好であることを示す。
〔測定条件〕
測定機器 :商品名New View 5032(Zygo社製)
レンズ :2.5倍
ズーム :0.5倍
解析ソフト:商品名Zygo Metro Pro(Zygo社製)
図2に示すように、基板最端部から3.0mm及び4.0mmの基板表面をそれぞれA点及びB点とし、A点とB点を結ぶ延長線を第1基準線とする。この第1基準線と、基板最端部から0.5mmの基板表面C点との距離を測定し、最も短いものをロールオフ(nm)とした。
Figure 2011161599
上記表2に示すとおり、シリカ粒子Aを含有した実施例1の研磨液組成物と比較例1〜3の研磨液組成物との研磨速度と比較すると、オキシアルキレン化合物を含有した実施例1の研磨液組成物の研磨速度は飛躍的に向上した。さらに、研磨速度だけでなく、うねりやロールオフも低減されていることから基板品質も向上している。シリカ粒子Bを含有した実施例2でも同様の傾向が確認された。なお、実施例1及び2と実施例3及び4との比較から、オキシアルキレン化合物b、cよりもオキシアルキレン化合物aを用いた場合に研磨後の基板のうねりが低減されることが確認された。
シリカ粒子Dを含有する比較例5と6との比較、及びシリカ粒子Cを含有する比較例7と8との比較からは、オキシアルキレン化合物を配合した際に研磨速度が低下する傾向が確認された。つまり、シリカ粒子が特定の粒度分布を有する場合にはオキシアルキレン化合物の配合により特異的に研磨速度が向上するが、シリカ粒子D及びCを用いた場合にはオキシアルキレン化合物を配合しても研磨速度は向上せず、反対に研磨速度が低下する傾向にあることが確認された。
本発明によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (7)

  1. アルミナ粒子、シリカ粒子、オキシアルキレン基を有する化合物、及び水を含有する磁気ディスク基板用研磨液組成物であって、前記シリカ粒子は、透過型電子顕微鏡観察による測定で得られた前記シリカ粒子の粒径(nm)に対して小粒径側からの累積体積頻度(%)をプロットして得られた前記シリカ粒子の粒径対累積体積頻度グラフにおいて、粒径10nmにおける累積体積頻度が0〜40%であり、かつ粒径40nmにおける累積体積頻度が55〜100%である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  2. オキシアルキレン基を有する化合物が、下記式(I)で表される構成単位を有する重合体である、請求項1記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
    Figure 2011161599
    [前記式(I)において、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、nはAOの全平均付加モル数であって4〜300の数であり、(AO)nにおけるオキシエチレン基の占める割合は70モル%以上である。]
  3. pHが1〜4の範囲である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  4. オキシアルキレン基を有する化合物の含有量が、研磨液組成物中10〜10000ppmである、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  5. アルミナ粒子がα−アルミナ及び中間アルミナを含有する、請求項1から4のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  6. 前記アルミナ粒子と前記シリカ粒子の重量比(アルミナ粒子重量/シリカ粒子重量)が、10/90〜60/40の範囲である、請求項1から5のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
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