JP5461772B2 - 研磨液組成物 - Google Patents
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本発明の研磨液組成物における研磨材は、後述する第一研磨粒子及び第二研磨粒子を含み、必要に応じて第一研磨粒子及び第二研磨粒子以外の研磨粒子も含みうる。第一研磨粒子として使用する研磨粒子は、α−アルミナ、アルミナゾル等のアルミナ粒子であり、研磨速度向上、表面欠陥防止、及びうねり低減の観点から、α−アルミナ粒子がより好ましい。第二研磨粒子として使用する研磨粒子の具体例としては、アルミナ、炭化ケイ素、ダイアモンド、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等の粒子が挙げられる。Ni−Pめっきされたアルミニウム合金基板が被研磨基板である場合の粗研磨には、第二研磨粒子としてはα−アルミナ、アルミナゾル等のアルミナ粒子が好ましく、α−アルミナ粒子が、研磨速度向上、表面欠陥防止、及びうねり低減の観点からより好ましい。第一研磨粒子及び第二研磨粒子以外の研磨粒子としては、中間アルミナが好ましく、中間アルミナとしては、θ−アルミナが好ましい。
本発明の研磨液組成物における水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、又は超純水等が使用され得る。研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取り扱い性(粘度)の観点から、55重量%以上が好ましく、75%重量%以上がより好ましく、85重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらにより好ましい。また、研磨速度の向上、並びに突き刺さり及びうねり低減の観点から、99.8重量%以下が好ましく、99.3重量%以下がより好ましく、98.8重量%以下がさらに好ましい。従って、研磨液組成物中の水の含有量は55〜99.8重量%が好ましく、75〜99.8重量%がより好ましく、85〜99.3重量%がさらに好ましく、90〜98.8重量%がさらにより好ましい。
本発明の研磨液組成物は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、酸及び/又はその塩を含有することが好ましい。本発明に用いられ得る酸は、研磨速度の向上、並びに突き刺さり及びうねり低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下の酸である。ここで、pK1とは、第1酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は、例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、p316〜325(日本化学会編)等に記載されている。
本発明における研磨液組成物は、研磨速度の向上、並びに突き刺さり及びうねり低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素(オキソ)酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩;及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸アルミニウム等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t−ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム及び沃素酸カリウムが好ましい。また、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及びうねり低減の観点と、加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点とから7未満が好ましく、0.1〜6がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜5であり、さらにより好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3である。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
界面活性剤は、研磨液組成物の研磨パッドに対する濡れ性を向上させ、基板表面のうねり及び基板外周部の端面だれ(以下、「ロールオフ」ということがある。)を低減するのに有効な化合物である。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。うねり低減の観点から、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤がより好ましく、非イオン性界面活性剤がさらに好ましい。界面活性剤として非イオン性界面活性剤を用いる場合には、例えば、親油基のアルキル鎖数又は親水基のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の平均付加モル数で親油性の調節を行う。またそれ以外の界面活性剤においては、親油基のアルキル鎖数を多くすることにより調節することが好ましい。
Y−(EO)l(PO)m−Z (I)
[式(I)中、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、l及びmはそれぞれの平均付加モル数を示し、l+mは8〜100であり、Yは−OR1基、−OH基、又は−OCOR2基(R1及びR2は炭化水素基)であり、Zは−R3基、水素原子、又は−COR4基(R3及びR4は炭化水素基)である。]
本発明の研磨液組成物には、さらに研磨速度の向上及びうねりの低減、その他の目的に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、コロイダル酸化チタン等の金属酸化物砥粒、無機塩、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。無機塩の例としては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。無機塩は、研磨速度の向上、ロールオフの改良、研磨液組成物のケーキング防止等の目的で使用され得る。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。研磨液組成物中における前記他の成分の含有量は、経済性の観点から、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。本発明の研磨液組成物には、さらなる他の成分として必要に応じて殺菌剤や抗菌剤等を配合することができる。研磨液組成物中におけるこれらの殺菌剤及び抗菌剤等の含有量は、機能を発揮する観点、並びに研磨性能への影響及び経済性の観点から、好ましくは0.0001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.002〜0.02重量%である。
本発明における研磨液組成物の調製方法は、何ら制限されず、少なくとも、前記研磨材、水、及び必要に応じて界面活性剤を混合することによって調製できる。調製の簡便さからは、本発明の研磨液組成物は、第一研磨粒子と第二研磨粒子とを混合して調製することが好ましい。前記研磨粒子の分散は、特に制限されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。研磨液組成物中における前記の各成分濃度は、研磨する際の好ましい濃度であるが、研磨液組成物が濃縮液として製造される場合は、これを使用前あるいは使用時において、上述した濃度となるように希釈することが好ましい。また、研磨液組成物は目的成分を任意の方法で添加、混合して製造することができる。
本発明の製造方法は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」と称することがある。)を含む基板の製造方法である。前記本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含むことにより、本発明の基板の製造方法によれば、経済的な研磨速度の研磨と、うねりが低減された基板の製造が可能となる。なお、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むことが特徴であり、それ以外の条件及び工程等については何ら制限されない。本発明の基板の製造方法の態様としては、ハードディスク基板の製造方法や後述する半導体装置の製造方法が挙げられる。
上述のとおり、本発明の研磨液組成物を用いた研磨によりハードディスク基板を製造できるから、本発明はその一態様として、ハードディスク基板の製造方法に関する。本発明の研磨液組成物は、ポリッシング工程において一層効果があるが、これ以外の研磨工程、例えばラッピング工程等にも同様に適用することができる。この場合、被研磨基板としては、アルミニウム合金、ガラス、ガラス状カーボン等にNi−Pメッキを施した基板等が挙げられ、また、前記Ni−Pメッキに代えて各種金属化合物をメッキや蒸着等により被覆した基板等であってもよい。
本発明の研磨液組成物は、半導体基板の研磨に使用した場合でもうねりの低減ができる。したがって、本発明はその一態様として、半導体基板の研磨方法に関する。前記半導体基板としては、例えば、シリコンウエハなどが挙げられ、その他、Si、またはGe等の元素半導体、GaAs,InP、またはCdS等の化合物半導体、InGaAs,HgCdTe等の混晶半導体等を材料とした基板が挙げられる。
下記表1に示す研磨粒子、及び、硫酸(98重量%品)0.5重量%、クエン酸0.6重量%、硫酸アンモニウム0.5重量%、過酸化水素(35重量%品、旭電化社製)0.6重量%及びイオン交換水(残部)を配合して攪拌した。得られたスラリーをバックフィルター(ヘイワードジャパン株式会社製、型番:PE1−P03H−403)で濾過し、下記表1に示す実施例1〜10及び比較例1〜6の研磨液組成物を得た。なお、実施例3〜7には、界面活性剤として、ステアリルメタクリレートとメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EO平均付加モル数23モル)との共重合体(SMA/PEGMA(EO:23)、SMAとPEGMAの重量比は20/80)、ラウリルメタクリレートとメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EO平均付加モル数は120モル)との共重合体(LMA/PEGMA(EO:120)、LMAとPEGMAの重量比は10/90)、スチレンとメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EO平均付加モル数は23モル)との共重合体(St/PEGMA(EO:23)、StとPEGMAの重量比は20/80)、ベヘニルメタクリレートとメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EO平均付加モル数は90モル)との共重合体(BMA/PEGMA(EO:90)、BMAとPEGMAの重量比は30/70)、及びポリオキシエチレン基を140モル付加したステアリルアルコール(C18−O−(EO)140−H)をそれぞれ添加した。下記表1に示す研磨粒子の形状係数(SF−1)は、下記の方法に従い求めた。
研磨粒子の形状係数SF−1の測定方法
日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)により、当該顕微鏡のメーカーが添付した説明書に従って試料を観察し、TEM(Transmission Electron Microscope)像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて、粒子一個の最大径と投影面積を計測し、前記最大径を直径とする円の面積を前記投影面積で除して100を乗じてSF−1を算出した。
研磨粒子の平均粒径の測定方法
上記と同様の方法により、試料のTEM像を写真撮影し、この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて、1個1個の研磨粒子の円相当径を求め、それを直径とし、1000個以上の研磨粒子データを解析した後、それをもとに表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、研磨粒子の個数基準の平均粒径を得た。
厚さ1.27mm、直径3.5インチのNi−Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板の表面を両面加工機により、以下の設定条件でポリッシングし、磁気記録媒体用基板として用いられるNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨物を得た。なお、研磨用に用いた上記基板は、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定におけるうねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
両面加工機の設定条件
両面加工機:スピードファム(株)製、9B型両面加工機
研磨荷重:7.8kPa
定盤回転数:45r/min
研磨液組成物供給流量:100mL/min
研磨時間:4min
投入した基板の枚数:10枚
研磨パッド:エステル系ポリウレタンパッド、平均孔径43μm
うねりの評価
研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、選択した各基板の両面を180°おきに2点(計8点)について、下記の条件で測定した。その8点の測定値の平均値を基板のうねりとして算出した。その結果を下記表1に示す。
機器 :Zygo NewView5032
レンズ :2.5倍 Michelson
ズーム比 :0.5
リムーブ :Cylinder
フィルター :FFT Fixed Band Pass
測定波長 :0.5〜5mm
エリア :4.33mm×5.77mm
研磨速度の測定方法
研磨前後の各基板の重さを重量計(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。その結果を下記表1に示す。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.9g/cm3として算出)
Claims (6)
- 研磨材及び水を含有する研磨液組成物であって、
研磨材が、粒子の丸さの度合いを示す形状係数SF−1が140〜250である第一研磨粒子と、形状係数SF−1が100〜130である第二研磨粒子とを含有し、第一研磨粒子は、平均粒径0.01〜0.45μmのアルミナ粒子であり、第二研磨粒子は、平均粒径0.4〜1μmのアルミナ粒子であり、第二研磨粒子の平均粒径が、第一研磨粒子の平均粒径よりも大きい、研磨液組成物。 - 第一研磨粒子の第二研磨粒子に対する重量比(第一研磨粒子の重量/第二研磨粒子の重量)が、0.1〜4である、請求項1記載の研磨液組成物。
- 酸化剤をさらに含有する、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
- 酸及び/又はその塩をさらに含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨液組成物。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を有する、基板の製造方法。
- 前記基板が、ハードディスク基板である、請求項5記載の基板の製造方法。
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