JP4656650B2 - 基板の研磨方法 - Google Patents
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[1] 研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら基板を研磨する工程を有する基板の研磨方法であって、研磨パッドに対する接触角が0〜100度である研磨液組成物を用いて研磨する、基板の研磨方法
に関する。
本発明のうねり低減効果が奏されるメカニズムについては、未だ不明であるが、次のように推定される。即ち、従来は、研磨液組成物によって研磨パッドが均一に濡れにくかったため、研磨パッド上に研磨液組成物が研磨砥粒を含む凹凸のある膜を形成していた。これに対し、本願では、研磨パッドに対する研磨液組成物の濡れ性が向上されるため、研磨液組成物が研磨パッド上に均一に濡れ広がり、研磨パッド上に研磨液組成物の平坦な膜が形成される。これにより、基板が平坦に研磨され、うねりが低減されると推定される。従って、研磨パッドに対する研磨液組成物の濡れ性が向上すると、研磨後の基板のうねりは低減する傾向にあると考えられる。
なお、本明細書において、研磨パッドに対する接触角とは、以下の測定方法により測定した値をいう。
1.研磨パッドに研磨液組成物を0.1ml滴下する。
2.25℃で5分間、1.の研磨パッドを静置する。
3.接触角測定器(型番CA−S350、協和界面科学株式会社製)を用い、2.で得られた研磨パッドに対する研磨液組成物の接触角を測定する(図1参照)。
なお、研磨パッドに対する水の接触角を測定する際は、2.の静置時間を3分間にして測定する。
本明細書において、接触角調整剤とは、研磨液組成物の研磨パッドに対する接触角を調整するための剤をいう。接触角調整剤としては、うねり低減の観点から、以下の1)〜4)が好ましい。
アルコールとしては、分子量200以下のものが好ましく、ハロゲン、S、N及びその他の原子を含んでいても良い。具体的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−クロロプロパノール等が挙げられる。研磨液組成物の安定性やうねり低減の観点から、メタノール及びエタノールが好ましく、メタノールがより好ましい。
テトラヒドロフラン及びその誘導体としては、分子量200以下のものが好ましく、ハロゲン、N、S及びその他の原子や水酸基を含んでいても良い。具体的な例としては、テトラヒドロフラン、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、3−ヒドロキシテトラヒドロフランなどが挙げられる。研磨液組成物の安定性及びうねり低減の観点から、テトラヒドロフランが好ましい。
ケトンとしては、分子量200以下のものが好ましく、ハロゲン、N、S、O及び水酸基等を含んでいても良い。具体的な例としては、アセトン、クロロアセトン、ジクロロアセトン、ヒドロキシアセトン、ジヒドロキシアセトン等が挙げられる。研磨液組成物の安定性及びうねり低減の観点から、アセトン及びヒドロキシアセトンが好ましく、アセトンがより好ましい。
界面活性剤は、研磨液組成物の研磨パッドに対する濡れ性を向上させるのに有効な化合物である。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。うねり低減の観点から、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤がより好ましく、非イオン性界面活性剤がさらに好ましい。
接触角調整剤として、界面活性剤を用いる場合には、水に溶ける範囲内で親油性を持つものが好ましい。界面活性剤として非イオン性界面活性剤を用いる場合には、例えば、親油基のアルキル鎖数又は親水基のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の平均付加モル数で親油性の調節を行う。またそれ以外の界面活性剤においては、親油基のアルキル鎖数を多くすることにより調節することが好ましい。
化合物式:
Xとしては、例えば、CH3COO、Cl、Br、I、C2H5SO3等が挙げられ、好ましくはCH3COO、Cl、C2H5SO3である。
R’、R’’及びR’’’としては、界面活性剤自身の溶解性の観点から、それぞれH、CH3、CH3CH2等が好ましく、より好ましくはH、CH3である。
R−(O)n−X−SO3H (2)
R−(O)n−SO3H (3)
(式中、Rは一部又はすべての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20の炭化水素基、Xは芳香族炭化水素の芳香環から水素原子を二つ除いた残基、及びnは0又は1を表す。)
Y−(EO)l(PO)m−Z (4)
(式中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基;l、mはそれぞれの平均付加モル数を示し、l + mは8〜100、Yは-OR1基、-OH基、又は-OCOR2基(R1及びR2は炭化水素基); Zは-R3基、水素原子、又は-COR4基(R3及びR4は炭化水素基)である。)
R1O−(EO)l(PO)m−H (5)
R1O−(EO)l(PO)m−R3 (R3はR1と同じでもよい) (6)
HO−(EO)l(PO)m−H (7)
R2OCO−(EO)l(PO)m−H (8)
R2OCO−(EO)l(PO)m−COR4 (R4はR2と同じでもよい) (9)
前記の研磨材としては、研磨用に一般に使用されている研磨材を使用することができる。該研磨材の例としては、金属又は半金属の、炭化物、窒化物、酸化物、及びホウ化物、並びにダイアモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、長周期型周期律表の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8に属するものである。研磨材の具体例としては、α-アルミナ、中間アルミナ、アルミナゾル、炭化ケイ素、ダイアモンド、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。前記研磨材を単独で使用してもよく、必要性に応じて2種以上混合して使用してもよい。Ni-Pめっきされたアルミニウム合金基板の粗研磨には、α-アルミナ、中間アルミナ、アルミナゾル等のアルミナ粒子が好ましく、α-アルミナと中間アルミナ(なかでもθアルミナ)との組み合わせが、研磨速度向上、表面欠陥防止及びうねり低減の観点から、より好ましい。また、Ni-Pめっきされたアルミニウム合金基板の仕上げ研磨には、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ粒子が好ましい。ガラス材質の研磨には、酸化セリウム、アルミナ、シリカが好ましい。
研磨液組成中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水又は超純水等が使用され得る。研磨液組成中の水の含有量は、研磨液組成物の取り扱い性(粘度)の観点から、55重量%以上が好ましく、75%重量%以上がより好ましく、85重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらにより好ましい。また、研磨速度向上及びロールオフ低減の観点から、99.8重量%以下が好ましく、99.3重量%以下がより好ましく、98.8重量%以下がさらに好ましい。即ち、研磨液組成物中の水の含有量は55〜99.8重量%が好ましく、75〜99.8重量%がより好ましく、85〜99.3重量%がさらに好ましく、90〜98.8重量%がさらにより好ましい。
前記の研磨液組成物は、研磨速度の向上の観点から、さらに酸を含有することが好ましい。かかる酸としては、無機酸及び有機酸の両方を用いることができる。無機酸としては、例えば、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸が、また有機酸としては、例えば、グリコール酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ホスホノヒドロキシ酢酸、ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上及びうねり低減の観点から、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、シュウ酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸が好ましく、硫酸、リン酸、ポリリン酸、イタコン酸、クエン酸がより好ましい。これらの化合物は、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。また、これらの酸は一部又はすべてが中和された塩の形で存在してもよい。
前記の研磨液組成物は、研磨速度の向上の観点から、さらに酸化剤を含有することが好ましい。かかる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩; 及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t-ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム又は沃素酸カリウムが好ましい。また、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いても良い。
更に、前記の研磨液組成物には、他の成分として、必要に応じて殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤及び塩基性物質を配合することができる。これらの他成分の研磨液組成物中の含有量は、研磨速度向上の観点から、10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましく、6重量%以下がさらに好ましい。
研磨液組成物のpHは、被加工物の種類や、要求性能に応じて適宜決定することが好ましいが、被加工物の洗浄性及び加工機械の腐食防止性、作業者の安全性の観点から1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.4以上がさらに好ましい。また、一般に酸化剤は酸性の方が安定であるものが多いことから、12以下が好ましく、11以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。即ち、研磨液組成物のpHは1〜12が好ましく、1.2〜11がより好ましく、1.4〜10がさらに好ましい。また、被研磨物の材質が金属材料の場合には、研磨速度を向上させる観点から、例えば、7未満が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、4以下がさらにより好ましい。研磨液組成物のpHは、必要により、酸性化合物や塩基性化合物により調整できる。
研磨液組成物は、前記のような目的成分を任意の方法で添加及び混合して製造することができる。上記のようにして製造され得る前記の研磨液組成物は、ポリッシング工程において特に効果があるが、これ以外の工程、例えばラッピング工程等にも同様に適用することができる。
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に限定はなく、例えば、不織布状あるいは多孔質の有機高分子からなる研磨パッドが使用され得る。研磨パッドの形状、大きさ等には特に限定はない。また、研磨パッドの材料としては、特に限定はないが、例えば、ウレタン等の有機高分子、有機高分子にカーボン、セリア等の種々の添加剤を含有させたもの等が挙げられる。
本発明の基板の研磨方法においては、前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することにより、うねりが抑えられた基板を製造することができる。好ましい態様としては、前記の研磨パッドを貼り付けた研磨盤で基板を挟み込み、研磨液組成物を被研磨基板1cm2当たり0.01〜0.25ml/分で基板に供給し、3〜50kPaの研磨圧力で、研磨定盤や基板を動かして基板を研磨する方法が挙げられる。
以下のようにして調製した研磨液組成物を用いて、以下の研磨条件で、Ni−Pめっきされたアルミニウム合金からなる基板(厚さ1.27mm、直径3.5インチ(直径95.0mm)、長波長うねり1.6nm、短波長うねり3.8nm)の表面を研磨することにより、磁気記録媒体用基板として用いられるNi―Pめっきされたアルミニウム合金基板を得た。次いで、研磨後基板の表面の微小うねりを以下の方法に基づいて測定した。得られた結果を表1に示す。
水(残部)に硫酸(98重量%品)0.18重量%、クエン酸0.97重量%、α―アルミナ(二次粒子平均粒径0.30μm)2.26重量%、θ-アルミナ(二次粒子平均粒径0.22μm)1.58重量%、硫酸アンモニウム0.52重量%、過酸化水素水(30重量%品、旭電化社製)0.58重量%を添加、混合し、中間研磨液組成物を得た。使用する研磨パッドに対するこれらの中間研磨液組成物の接触角を前述した方法で測定した。その後、接触角調整剤を中間研磨液組成物に添加し、接触角を測定しながら実施例1〜15及び比較例1〜5の研磨液組成物を得た。使用した接触角調整剤及びその添加量、並びに得られた研磨液組成物の研磨パッドに対する接触角を表1に示す。
研磨機:スピードファーム(株)製、9B型両面研磨機
研磨圧力:9.8kPa
定盤回転数:45rpm
研磨液組成物供給量:100ml/分
研磨時間:4分
研磨パッド:
パッドA:エーテル系ポリウレタンパッド、水の接触角140度、平均孔径43μm
パッドB:エステル系ポリウレタンパッド、水の接触角0度、平均孔径43μm
パッドC:エーテル系ポリウレタンパッド、水の接触角142度、平均孔径53μm
投入した基板の枚数:10枚
Zygo製、「New View5032」を用いて、被測定基板を180°おきに2点(計4点)について、以下の条件で短波長うねりと長波長うねりを測定し、その4点の測定値の平均値を1枚の基板の短波長うねり又は長波長うねりとして算出した。
対物レンズ :2.5 倍 Michelson
ズーム比 :0.5倍
フィルター :Band Pass
フィルタータイプ:FFT Fixed
測定波長:
・短波長うねり:Filter High Wavelength 0.05mm
Filter Low Wavelength 0.50mm
・長波長うねり:Filter High Wavelength 0.50mm
Filter Low Wavelength 5.00mm
10枚の基板について、研磨前後の各基板の重さをSartorius社製のBP−210S(商品名)を用いて量り、得られた各基板の重量変化を研磨時間で割って重量減少速度(g/min)とした。
重量減少速度(g/min)={研磨前の重量(g)−研磨後の重量(g)}/研磨時間(min)
前記10枚の平均値として求めた該重量減少速度を下記式に代入し、研磨速度(μm/min)に変換した。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)
/Ni-Pめっき密度(g/cm3)×106
B:研磨液組成物
C:研磨パッド
Claims (7)
- アルミナ粒子、水及び界面活性剤を含有する研磨液組成物を、水の接触角が110〜150度であるポリエーテル系ウレタンの研磨パッドに接触させながら、Ni-Pめっきされたアルミニウム合金基板を研磨する工程を有する基板の研磨方法であって、
界面活性剤が、下記一般式(5):
R 1 O−(EO) l (PO) m −H (5)
(式中、R 1 は炭化水素基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基;l、mはそれぞれの平均付加モル数を示し、lが30以下、l+mが15〜60である。)
で表される非イオン性界面活性剤を含むものであり、
研磨パッドに対する接触角が0〜100度である研磨液組成物を用いて研磨する、基板の研磨方法。 - アルミナ粒子がα−アルミナ及び/又は中間アルミナである、請求項1記載の基板の研磨方法。
- 界面活性剤の研磨液組成物中の含有量が0.001〜5重量%である、請求項1又は2記載の基板の研磨方法。
- アルミナ粒子の二次粒子の平均粒径が0.05〜1μmである、請求項1〜3いずれか記載の基板の研磨方法。
- アルミナ粒子の研磨液組成物中の含有量が1〜25重量%である、請求項1〜4いずれか記載の基板の研磨方法。
- 研磨液組成物が、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、シュウ酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸からなる群より選択される一種以上の酸をさらに含有する、請求項1〜5いずれか記載の基板の研磨方法。
- 研磨液組成物のpHが4以下である、請求項1〜6いずれか記載の基板の研磨方法。
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