JP2011161481A - 熱間プレス方法、および成形品の製造方法 - Google Patents

熱間プレス方法、および成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な形状で高強度の部品を効率よく製造することが可能な熱間プレス方法を提供する。
【解決手段】質量%にて、Cを0.08%以上0.45%以下、MnおよびCrの合計が0.5%以上3.0%以下、残部がC、Mn、Cr以外の任意の添加物、Fe、および不可避的不純物である化学成分からなり、Ac3点以上の温度に加熱された鋼板をAr3点以上のプレス開始温度から金型にてプレス成形する方法であって、鋼板を金型の下死点にて拘束しながら鋼板の臨界冷却速度以上の冷却速度で200℃以上(Ms−120)℃以下の温度にまで冷却し、次いで、鋼板を金型から取り出し、金型による下死点での拘束終了からの鋼板の温度降下量が15℃以上となる前に金型とは異なる手段で拘束を開始し、200℃未満の温度にまで冷却する過程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は形状凍結性に優れた高強度の成形品を効率よく得られる熱間プレス方法、および成形品の製造方法に関する。
自動車分野においては衝突安全性向上と軽量化とを両立させるために、バンパーやドアビーム等の自動車用部品を中心に、引張強度が1370MPa超級の超高強度が得られる熱間プレス成形された鋼材の採用が進んでいる。
熱間プレスは素材を900℃程度のオーステナイト域に加熱し、金型でプレスすると同時に、金型に冷却手段を接触させて抜熱することにより常温〜200℃程度にまで冷却して焼入を行う技術である。熱間プレスでは、素材を高温の軟質状態で成形することから、プレス荷重を低く抑えることができるとともに、形状凍結性に優れた成形品を得ることができる。また、成形と同時に焼入を行うため、製品の強度を1370MPa超級と非常に高くできることが特徴である。しかし、金型に冷却手段を接触させて該金型から抜熱して冷却することから、プレスの下死点で15〜30秒程度保持する必要がある。これにより、1分間あたりのプレス回数はせいぜい1〜2回程度にとどまり、冷間プレスの8〜15回/分に比べると著しく生産性が低いといわざるを得ない。
熱間プレスの生産性低下は、金型での焼き入れに起因するとの着目に基づいて、金型は成形のみの機能に特化し、焼入れは別工程で行う技術が特許文献1に開示されている。すなわち、特許文献1には、薄鋼板を850℃以上に加熱後、プレス金型にて高温成形するに際し、プレス金型から成形品を取り出して5秒以内に冷却速度30℃/秒以上で冷却する熱間プレス方法が開示されている。
また、特許文献2には、成形用の金型と焼き入れ用の金型とを備えたトランスファープレス装置による熱間プレス技術が開示され、これにより高速処理が可能であるとされている。
特開2005−288528号公報 特開2007−144495号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)以上の温度で金型から鋼材を取り出すため、金型から次工程の焼入れまでの搬送の過程でオーステナイトからフェライトやベイナイトへの変態に伴う形状変化が生じ、形状不良を発生する虞がある。また、特許文献2に記載の装置も、成形と焼入れとを別の金型でおこなうため、上記特許文献1と同様に搬送中の変態による形状変化にもとなう形状不良が生じる虞がある。また、トランスファープレス装置は設備費が嵩み、コストアップとなる問題もある。
そこで本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、良好な形状で高強度の部品を効率よく製造することが可能な熱間プレス方法、および該方法による成形品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下のような知見を得て本発明を完成させた。
図5は、従来の熱間プレス方法における温度履歴を説明する模式図である。熱間プレスによる高強度部材の製造は、成形される鋼材をオーステナイト域からMs点以下まで急冷することによりマルテンサイト組織を得ることにより行われる。すなわち、マルテンサイト変態に伴う形状変化を抑制しながら十分な硬度を確保するため、図5に示すように、当該成形される鋼材をプレス成形の金型下死点で15〜30秒間拘束保持(「拘束」、あるいは「保持」ともいう。)し、金型内にて100〜200℃程度にまで冷却した後、取り出している。
本発明者らは、熱間プレスによる製造プロセスを3段階に分割して検討した。すなわち、
(1)金型を用いて高温素材を所定形状に成形する処理(図5の符号101)
(2)オーステナイト域から急冷して焼き入れを行う処理(図5の符号102)
(3)焼入れ後の熱収縮に伴う寸法精度の低下を防止するために拘束して冷却をする処理(図5の符号103)
である。
上記(2)の処理は、焼入れに伴う変態による形状変化を抑制するために、金型内で行うことが重要である。一方、上記(3)の処理は、焼入れ後の冷却処理であり、冷却による熱収縮に伴う形状変形を防止することができればよく、焼入れに用いる金型を用いて冷却する必要はないと考えた。従って、(3)の処理では、成形および焼入れに用いた金型とは異なる冷却手段を用いれば、当該成形および焼き入れに用いた金型は(1)の処理に使用することができるので、生産性を高めることができる。
次に、本発明者らは、金型の下死点で成形品を保持する際の保持終了温度(以下、「下死点保持終了温度」と記載することがある。)と焼き入れにより得られる鋼材の到達硬度との関係に着目した。なお、保持終了温度を拘束終了温度ともいう。
具体的には、900℃に加熱した厚さ1.6mm、長さ280mm、幅70mmの鋼板を常温の金型に装入して、高さ70mmのハット形状断面部材に成形する試験を行った。成形時には、成形下死点で所定時間保持した後、ハット形状断面部材(成形品)を取り出し、該成形品の縦壁部分のビッカース硬度(HV)を測定した。ここで、使用した鋼板は、C:0.21質量%、Si:0.25%、Mn:1.20%の化学成分を含有し、Ac3点は823℃である。
このとき鋼板には板側面の縦壁中央予定部に熱電対を取り付け、加熱から成形に至るまでの温度履歴を測定した。なお、下死点保持終了温度をT1とする。また、金型の縦壁部における上型と下型のクリアランスは鋼板板厚+0.1mmに調整した。下死点保持開始時の成形品の温度は500℃程度であり、プレス成形開始から下死点保持終了までの平均冷却速度は70〜100℃/秒であった。
当該試験に使用したプレスは、下死点でクラッチ切断によりモーションを停止させる機能を有するクランクプレスである。また、下死点保持を行わない場合に1回の成形に要する時間(クランクモーションが1回転する時間)は約1秒である。
図4に、測定結果より得られた下死点保持終了温度T1と上記説明した成形品の縦壁部分のビッカース硬度(HV)との関係を示す。到達硬度は450HVでほぼ収束している。また、図4からわかるように、T1=300℃付近に変曲点を持ち、T1>300℃では著しく到達硬度が低下することがわかった。この鋼板のMs点は、冷却速度30℃/秒以上で420℃程度であり、T1がMs点に近いときには十分な到達硬度が得られず、T1を(Ms−120)℃とすることで十分な到達硬度が得られることがわかった。
次に、本発明者らは、下死点保持終了後、金型から取り出した後の成形品の形状変化について検討した。下死点保持終了温度T1が(Ms−120)℃以下であれば、成形品を金型から取り出し、速やかに正規形状に拘束して放冷すれば下死点で長時間保持したものと同等の寸法精度が確保されることがわかった。
すなわち、金型での下死点保持終了温度を到達硬度が収束する温度までとし、金型から取り出し後速やかに拘束治具などを用いて正規形状に拘束しつつ放冷することで金型による成形・焼入れの処理時間を短縮できる。加えて、得られる製品の硬度と寸法精度は確保できるため、生産性を向上させることができる。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、質量%にて、Cを0.08%以上0.45%以下、MnおよびCrの合計が0.5%以上3.0%以下、残部がC、Mn、Cr以外の任意の添加物、Fe、および不可避的不純物である化学成分からなり、Ac3点以上の温度に加熱された鋼板をAr3点以上のプレス開始温度から金型にてプレス成形する方法であって、鋼板を金型の下死点にて拘束しながら鋼板の臨界冷却速度以上の冷却速度で200℃以上(Ms−120)℃以下の温度にまで冷却し、次いで、鋼板を金型から取り出し、金型による下死点での拘束終了からの鋼板の温度降下量が15℃以上となる前に前記金型とは異なる手段で拘束を開始し、200℃未満の温度にまで冷却する過程を含むことを特徴とする熱間プレス成形方法である。
ここで、「Ms」はMs点を意味し、マルテンサイト変態開始温度である。また、「MnおよびCrの合計が0.5%以上3.0%以下」であるとは、Mn、Crのいずれかが0%であることも含むものとする。以下同様である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱間プレス成形方法において、200℃未満にまで冷却された鋼材の硬度が420HV以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、質量%にて、Cを0.08%以上0.45%以下、MnおよびCrの合計が0.5%以上3.0%以下、残部がC、Mn、Cr以外の任意の添加物、Fe、および不可避的不純物である化学成分からなり、Ac3点以上の温度に加熱された鋼板をAr3点以上のプレス開始温度から金型にてプレス成形して成形品を製造する方法であって、鋼板を金型の下死点にて拘束しながら鋼板の臨界冷却速度以上の冷却速度で200℃以上(Ms−120)℃以下の温度にまで冷却する工程、および該工程に次いで、鋼板を金型から取り出し、金型による下死点での拘束終了からの鋼板の温度降下量が15℃以上となる前に金型とは異なる手段で拘束を開始し、200℃未満の温度にまで冷却する工程を含む熱間プレス成形品の製造方法である。
本発明によれば、従来に比べ、下死点保持時間の大幅な短縮ができ、高強度で寸法精度に優れた成形品を効率よく製造することが可能となる。
1つの実施形態における温度推移を表わす模式図である。 実施例における温度推移を表わす模式図である。 実施例の成形品の形状凍結性評価を説明する図である。 測定結果より得られた下死点保持終了温度と成形品の到達硬度との関係を示すグラフである。 従来のプレス成形における温度推移を表わす模式図である。
本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
<鋼板>
鋼板の化学組成は、以下のように規定する。なお、鋼板の組成を規定する%は質量%を意味する。
Cの含有量は0.08%以上0.45%以下である。Cは、鋼板の焼き入れ性を高め、かつ成形品の強度を決定する重要な元素である。Cの含有量が0.08%未満ではその効果が十分でなく、C含有量が0.45%を超えると靭性や溶接性が劣化する虞がある。望ましいCの含有量は0.3%以下である。
MnおよびCrの合計含有量は0.5%以上3.0%以下である。ここで、当該範囲はMn、Crのいずれか一方が0%であってもよいことを含む概念ある。MnおよびCrは鋼板の焼き入れ性を高め、かつ成形品の強度を安定して確保するために有効な元素である。しかし、MnおよびCrの合計含有量が0.5%未満では、その効果は十分でなく、3.0%を超えるとその効果は飽和し、安定した強度確保が難しい。望ましい合計含有量は、0.8%以上2.0%以下である。
焼き入れ性の確保の観点からは上記したC、Mn、およびCrの含有量を確保すればよい。
さらに強度を高めるため、または強度を一層安定して確保するために、Siを0.5%以下、Pを0.05%以下、Sを0.05%以下、Alを1%以下、およびNを0.01%以下の1種以上を任意の添加物として含有させることもできる。残部はFe、上記C、Mn、Crおよび不可避的不純物である。
また、焼き入れ性を高め、靭性を向上させる観点から、Bを0.0002%以上0.01%以下、Niを2%以下、Cuを1%以下、Moを1%以下、Vを1%以下、Tiを1%以下、Nbを1%以下、の1種以上を任意の添加物として含有させることもできる。残部は、Fe、上記C、Mn、Crおよび不可避的不純物である。
上記化学成分を含有する鋼板の表面に亜鉛やアルミニウムのめっき層を形成した亜鉛めっき鋼板やアルミニウムめっき鋼板を用いることもできる。これらのめっき鋼板は、プレス時にスケールが発生せず、事後のスケール除去も不要となる。
鋼板の板厚は、厚すぎると金型による冷却で十分な焼き入れを行うことが困難になることから、2.6mm以下とするのが望ましい。板厚の下限値は、特に限定しないが、1.0mmとすることができる。
次に1つの実施形態にかかる熱間プレス方法、およびこれにより得られる成形品の製造方法について説明する。図1は、当該実施形態における温度推移を表わす模式図で、横軸が経過時間、縦軸が温度(℃)を表わしている。
<加熱>
鋼板はAc3点以上の温度に加熱される。Ac3点以上の温度に加熱された鋼板はオーステナイト単相となる。オーステナイト化をより確実なものとするために加熱温度は(Ac3+20)℃以上にすることが望ましい。一方、加熱温度が高温すぎると省エネルギーの面で問題がある他、裸材の場合には過剰なスケールの発生も懸念される。したがって、(Ac3+120)℃以下とすることが望ましい。上記温度域に加熱することができれば加熱方法は特に限定しない。ただし鋼板にめっき鋼板を用いる場合にはめっきが消失する懸念があるため、通電加熱のような急速加熱は適さない。裸材を用いる場合にはスケール防止のために酸素濃度の低い状態に雰囲気制御された炉を用いることが望ましい。
<搬送・プレス成形(プレス下降)・下死点保持>
オーステナイト単相域まで加熱された鋼板は速やかに金型に搬送され、フェライトまたはベイナイトへの変態が開始するAr3点以上の温度から金型にてプレスが開始され、所定の形状に成形される(プレス成形、プレス下降)。そして、下死点で保持されるとともに金型で急速に冷却されて焼入れされる。より詳しくは、下死点にて、金型との接触による抜熱により、臨界冷却速度以上の冷却速度で、下死点保持終了温度T1が(Ms−120)℃以下、かつ、200℃以上の温度範囲になるまで保持されて焼入れされる。これにより上記したような十分な到達硬度(例えば420HV)を得ることができる。
下死点保持終了温度T1が(Ms−120)℃を超えると、オーステナイトからマルテンサイトへの変態が不完全となり、未変態オーステナイトがその後の冷却によりフェライトやベイナイトに変態するため十分な硬度が得られない。一方、下死点保持終了温度T1が200℃未満では、強度は飽和するとともに、保持時間が長くなり、生産性が低下する。望ましくは、下死点保持終了温度T1は250℃以上(Ms−120)℃以下である。
冷却速度は、生産性を高める観点から速いほど望ましい。金型に冷却手段を接触して冷却することにより金型温度を十分低く保ち、60℃/秒以上の冷却速度を確保することが望ましい。なお、上記した鋼板の臨界冷却速度は30℃/秒程度であるが、金型としてSKD11やSKD61等の熱間金型用鋼材を用いた場合、金型温度が室温程度に保たれていれば上記臨界冷却速度は比較的容易に得ることができる。金型の材料は上記のように抜熱により成形品を十分に冷却できるものであれば特に限定されるものではない。ただし、熱間成形によって過度な摩耗や変形、破損などが生じないものであることがよい。また、成形回数が増えるにともなって金型に蓄熱して高温となり、成形品の焼入に必要な冷却効果が期待できなくなるおそれがあるときには、金型内部に水管を配して冷媒を循環させる等の方法により金型への蓄熱を防止することが望ましい。
<プレス上昇・搬送・二次拘束>
下死点保持終了温度T1が(Ms−120)℃以下の温度に到達した後、下死点保持を終了し、速やかに金型から成形品を取り出し(プレス上昇)、下死点保持終了からの鋼板の温度降下量が15℃以上となる前に成形品を正規の形状に保持拘束する拘束を開始し、保持拘束した状態で200℃未満に冷却を行う。すなわち、図1の「下死点保持終了」から「二次拘束開始」までの鋼板の温度降下量を15℃未満とする。これにより、熱収縮に伴う形状変化を小さく抑えることができ、寸法精度に優れた成形品を得ることが可能となる。
上述の下死点保持の間にマルテンサイト変態が十分に完了しており、金型から成形品を取り出した後は、変態に伴う形状の変化は発生しない。しかし、金型から成形品を取り出してから正規の形状に保持して拘束(二次拘束)するまでの鋼板の温度降下量が大きすぎると、非拘束中の冷却に伴う熱応力により形状変化が生じ、寸法精度が悪化する。従って、「下死点保持終了」から「二次拘束開始」までの温度降下量は、15℃未満とする。なお、下死点保持終了から二次拘束開始までの鋼板の冷却速度は、空冷の場合で1.5℃/秒程度であり、したがって、「下死点保持終了」から10秒以内に二次拘束を開始するのが望ましい。
なお、二次拘束における冷却速度は特に規定されないが、二次冷却における効率の観点からは、強制冷却などにより冷却速度を高めることが望ましい。
二次拘束に用いる治具は、寸法精度が要求される部位を正規の位置に保持できればその形態は問わない。すなわち、成形品断面の全部位を拘束可能な治具の他、一部の部位のみを拘束することが可能な治具であってもよい。
また、二次拘束の終了温度T3は、該温度が高すぎると、二次拘束終了後の冷却において形状変化が生じ、寸法精度が悪化する虞がある。従って、二次冷却終了温度T3は200℃未満が望ましい。一方、T3の下限値については特に限定はしないが、あまり低い温度まで拘束しておくのは拘束治具の使用効率の観点からは好ましくない。
以上ような熱間プレス方法により得られる成形品は、バンパービーム、ドアビームなど衝突部材、サイドメンバー、フロアメンバー、フロアクロスメンバー、ルーフクロスメンバー、サイドシルなど構造部材、ピラーやルーフなどの補強部材、シート骨格などの自動車用部品に好適に用いられる。
実施例では、図2に示したような温度推移において、その条件を変更して熱間プレス成形をおこなった。以下に詳しく説明する。
<鋼板>
鋼板はCを0.21質量%、Siを0.25%、Mnを1.20%含有し、板厚1.6mm、長さ280mm、幅70mmとした。当該鋼材のAc3点は823℃、およびMs点は冷却速度が30℃/秒以上のときに420℃である。すなわち、(Ms−120)℃は、300℃である。Ar3点は冷却速度により変動があるが、例えば1.6mmの厚さであるときに空冷すると610℃程度となる。
加熱は、鋼板を900℃に設定した大気雰囲気の電気炉で240秒間保持することによりおこなった。このときの鋼板の到達温度をTf(=900℃)とした。
出炉後速やかに常温の金型に装入して高さ70mmのハット形状にプレス成形し、下死点にてそのまま時間t1の間保持した。このときのプレス開始温度をTpで表した。また、プレス開始から下死点に達するまでの時間(プレス下降時間)は0.5秒、および下死点保持終了温度をT1とした。ここで、下死点保持の時間t1中における平均の冷却速度は30℃/秒以上である。なお、この金型の縦壁部における上型と下型のクリアランスは鋼板板厚+0.1mmに調整した。
下死点保持終了後、プレス上昇および成形品の搬送をおこない、成形金型と略同形状の常温の拘束治具にて二次拘束をしてそのまま温度T3になるまで空冷した。ここで、下死点保持終了から二次拘束開始までの時間をt2、二次拘束開始から二次拘束終了までの時間をt3、二次拘束開始温度をT2とした。鋼板の温度は、鋼板の側面における縦壁中央予定部に熱電対を貼付して測定するとともに、サーモグラフィや接触式温度計を併用した。
このようにして得られた成形品についてその硬度および形状凍結性を評価した。硬度はビッカース硬度計により測定し(荷重1kgf)、引張強度換算で1370MPaが得られる420HVを基準とし、これより大きいものを良(○)、これ以下のものを不良(×)とした。
また、形状凍結性は、図3に示した成形品10の部位のフランジ角度θを測定することにより評価した。フランジ角度が1.5°未満のものを良(○)、それ以上を不良(×)とした。なお、今回のプレス成形では全ての条件で縦壁が内側へ入り込むいわゆるスプリングゴー傾向を示しており、フランジ角度が大きいほどスプリングゴーが大きいことを示しており、0°の場合が正規形状である。
生産性はプレス成形開始から下死点保持終了までの所要時間で評価し、No.8の従来例を基準とし、これより短いものを生産性良好(○)、長いものを生産性不良(×)とした。なお、プレス成形開始から下死点保持開始までの時間は一定で、0.5秒である。
表1に条件および結果を示す。
表1からわかるように、No.1〜No.3は、下死点保持時間(t1)を5秒以下、硬度が420HV以上、フランジ角度が1.5°未満であり、生産性、硬度、寸法精度とも良好であった。No.4〜No.6は、いずれもフランジ角度が2°を超え、形状不良であった。No.7は下死点保持終了温度T1が350℃であり、硬度が420HV未満となった。No.8およびNo.9は二次拘束をしない従来例であり、硬度と寸法精度は良好であるが、下死点保持時間t2を10秒以上とる必要があり、生産性が低い。
以上より、No.4〜No.7の例では、寸法精度または硬度が不十分であり、No.8およびNo.9の従来例は生産性が低くなってしまう。これに対し、No.1〜No.3の例は、生産性が高く、硬度と寸法精度も良好であった。
10 成形品
T1 下死点保持終了温度

Claims (3)

  1. 質量%にて、Cを0.08%以上0.45%以下、MnおよびCrの合計が0.5%以上3.0%以下、残部が前記C、Mn、Cr以外の任意の添加物、Fe、および不可避的不純物である化学成分からなり、Ac3点以上の温度に加熱された鋼板をAr3点以上のプレス開始温度から金型にてプレス成形する方法であって、
    前記鋼板を前記金型の下死点にて拘束しながら前記鋼板の臨界冷却速度以上の冷却速度で200℃以上(Ms−120)℃以下の温度にまで冷却し、次いで、前記鋼板を前記金型から取り出し、前記金型による下死点での拘束終了からの鋼板の温度降下量が15℃以上となる前に前記金型とは異なる手段で拘束を開始し、200℃未満の温度にまで冷却する過程を含むことを特徴とする熱間プレス成形方法。
  2. 前記200℃未満にまで冷却された前記鋼材の硬度が420HV以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱間プレス成形方法。
  3. 質量%にて、Cを0.08%以上0.45%以下、MnおよびCrの合計が0.5%以上3.0%以下、残部が前記C、Mn、Cr以外の任意の添加物、Fe、および不可避的不純物である化学成分からなり、Ac3点以上の温度に加熱された鋼板をAr3点以上のプレス開始温度から金型にてプレス成形して成形品を製造する方法であって、
    前記鋼板を前記金型の下死点にて拘束しながら前記鋼板の臨界冷却速度以上の冷却速度で200℃以上(Ms−120)℃以下の温度にまで冷却する工程、および該工程に次いで、前記鋼板を前記金型から取り出し、前記金型による下死点での拘束終了からの鋼板の温度降下量が15℃以上となる前に前記金型とは異なる手段で拘束を開始し、200℃未満の温度にまで冷却する工程を含む熱間プレス成形品の製造方法。
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