JP2011161344A - 分離膜支持体ならびにそれを用いた分離膜および流体分離素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分離膜支持体は、分離膜の製膜面側に配置される繊維が、分離膜の非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である不織布からなるもので、分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35〜90°であり、非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が0〜35°で、両者の繊維配向度差が5°以上であることが好ましい態様である。
【選択図】なし
Description
製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度より5°以上大きければ、製膜後に分離膜支持体が製膜面側にカールすることを抑制し、流体分離素子製造時のトラブルを防ぐことができる。製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度よりも10°以上大きいことがより好ましく、15°以上大きいことがさらに好ましい態様である。
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
ここで、η:ポリマー溶液の粘度
η0:オルソクロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm3)
t0:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
d0:オルソクロロフェノールの密度(g/cm3)
ついで、相対粘度ηrから下記式、
IV=0.0242ηr+0.2634
により固有粘度IVを算出した。
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で100〜1000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、不織布の長手方向(縦方向)を0°とし、不織布の幅方向(横方向)を90°としたときの角度を測定し、それらの平均値を小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度を求めた。
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値を小数点以下第一位を四捨五入して求めた。
30cm×50cmの不織布を3個採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入した。
JIS L 1906(2000年版)の5.1に基づいて、直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向1mあたり等間隔に10点を0.01mm単位で厚さを測定し、その平均値の小数点以下第三位を四捨五入した。
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔が20cmで、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点について強力と伸度を測定し、破断したときの強力と伸度を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の引張強力と引張伸度とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を、それぞれ不織布の引張強力と引張伸度とした。
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の測定を実施し、得られた強伸度曲線から5%伸長時の強力を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の5%伸長時応力とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を不織布の5%伸張時応力とした。
[ポリスルホン膜]
50cm幅の各分離膜支持体を、12m/minの速度で巻き出し、その上にポリスルホン(ソルベイアドバンスドポリマーズ社製の“Udel”(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド溶液(キャスト液)をキャスト幅46cm、50μm厚みで、室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温(20℃)で10秒間浸漬した後、75℃の温度の純水中に120秒間浸漬し、続いて90℃の温度の純水中に120秒間浸漬し、100N/全幅の張力で巻き取り、ポリスルホン膜を作製した。
5点:キャスト液の裏抜けが全く見られない。
4点:わずかにキャスト液の裏抜けが見られる(面積比率5%未満)。
3点:キャスト液の裏抜けが見られる(面積比率5〜50%)。
2点:大部分でキャスト液の裏抜けが見られる(面積比率51〜80%)。
1点:ほぼ全面でキャスト液の裏抜けが見られる。
前記(9)で作製したポリスルホン膜から約50cmの長さのサンプルを水に濡れた状態で3枚カットし、製膜面を上にして平らな床面に広げ、3枚それぞれについて両端部の床面から離れ持ち上がっている部分の高さを測定し、それら6点の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入してカール高さとした。同じく床面から離れ持ち上がっている部分の膜の長さを測定し、それら6点の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入してカール長さとした。
メッシュ状織物からなる供給液流路材、上記の海水淡水化用逆浸透膜、耐圧シート、および下記の透過液流路材を用い、有効膜面積40m2のスパイラル型の流体分離素子(エレメント)を作製した。
溝幅が200μmで、溝深さが150μmで、溝密度が40本/インチで、そして厚さが200μmのポリエステル製シングルトリコットを用いた。
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%で、融点が230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と270℃の温度で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分とし、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分として、口金温度300℃、鞘成分比率20質量%で細孔から紡出した後、不織布幅方向にスリットを有する矩形エジェクターにより紡糸速度4400m/分で紡糸して、同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、該フィラメント群を垂線に対し15°後方に噴射させ、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対の金属製フラットロール間に通し、各フラットロール表面温度が140℃で、線圧が60kg/cmで予備熱圧着し繊維配向度が28°で、繊維径が10μmで、目付が35g/m2で、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(a)を製造した。
フィラメント群の噴射角度を垂線に対し10°とした他は実施例1のスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が33°で、繊維径が10μmで、目付が35g/m2で、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(c)を製造した。
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%で、融点が230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と270℃の温度で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分とし、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分として、口金温度300℃、鞘成分比率20質量%で細孔から紡出した後、パイプ状の丸形エジェクターにより紡糸速度4400m/分で紡糸して、同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、丸形エジェクターの先端部を、前方を中心とし26°の振り角度で毎秒4回振幅させながら、該フィラメント群を垂線に対し20°の角度で噴射させ、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対の金属製フラットロール間に通し、各フラットロール表面温度が140℃で、線圧が60kg/cmで予備熱圧着し繊維配向度が43°で、繊維径が13μmで、目付が35g/m2で、厚さが0.17mmのスパンボンド不織布(e)を製造した。
フィラメント群の噴射角度を垂線に対し25°とした他は、実施例1のスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が20°で、繊維径が10μmで、目付が35g/m2で、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(f)を製造した。
目付を23g/m2とした他は実施例1のスパンボンド不織布(b)と同様の条件とし、繊維配向度が40°で、繊維径が10μmで、厚さが0.13mmのスパンボンド不織布(h)を製造した。
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を、295℃の温度で溶融し、口金温度300℃で細孔から紡出した後、不織布幅方向にスリットを有する矩形エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して、同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、該フィラメント群を垂線に対し15°後方に噴射させ、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。このスパンボンド不織布層(イ)の目付は30g/m2となるように吐出量を調整した。
融点が260℃のポリエチレンテレフタレート樹脂からなる、繊維配向度が45°で、繊維径が10μmで、目付が35g/m2で、厚さが0.15mmの抄紙不織布(甲)と、融点が260℃のポリエチレンテレフタレート樹脂からなる、繊維配向度が25°で、繊維径が13μmで、目付が35g/m2で、厚さが0.17mmの抄紙不織布(乙)を用意した。
実施例1のスパンボンド不織布(a)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/m2で、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表2に示す。
実施例1のスパンボンド不織布(a)と実施例1のスパンボンド不織布(b)を、スパンボンド不織布(a)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/m2で、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表2に示す。
実施例1のスパンボンド不織布(b)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/m2で、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 不織布からなる分離膜支持体において、分離膜の製膜面側に配置される繊維が、分離膜の非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である不織布からなることを特徴とする分離膜支持体。
- 分離膜の製膜面側と非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度差が5°以上である不織布からなることを特徴とする請求項1記載の分離膜支持体。
- 分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35〜90°であり、非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が0〜35°であることを特徴とする請求項1または2記載の分離膜支持体。
- 不織布が、繊維配向度が35〜90°の不織布Aと、繊維配向度が0〜35°の不織布Bをそれぞれ少なくとも1層含み、かつ前記不織布Aを分離膜の製膜面側に配置し、前記不織布Bを非製膜面側に配置し、合計2〜5層積層された積層不織布であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜支持体。
- 不織布が長繊維不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜支持体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜支持体の表面上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜。
- 請求項6に記載の分離膜を構成要素として含む流体分離素子。
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