JP2011159534A - リチウム電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、拘束圧が低い状態においても、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制できるリチウム電池を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム電池素子と、上記リチウム電池素子に拘束圧を与える拘束部材とを有するリチウム電池であって、上記正極活物質層が、正極活物質と、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料と、炭素材料とを含有し、上記拘束圧が、100kgf/cm以下であることを特徴とするリチウム電池を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、拘束圧が低い状態においても、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制できるリチウム電池に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
また、全固体リチウム電池においては、正極活物質層に、Liイオン伝導性を向上させるために硫化物固体電解質材料を添加し、電子伝導性を向上させるために導電化材を添加することが知られている。例えば、非特許文献1、2には、80LiS−20Pからなるガラスセラミックス(硫化物固体電解質材料)および炭素繊維(VGCF)を含有する正極活物質層を備えた全固体リチウム電池が開示されている。
一方、全固体リチウム電池素子に、拘束圧を与える技術が知られている。例えば、特許文献1においては、正極と負極の間に固体電解質層を介在させてなる全固体電池素子の全面を均一に加圧した全固体電池が開示されている。この技術は、素子の腫れを抑制し、繰り返し充放電での耐久性の高い全固体電池を得ることを目的としたものである。
特開2008−103284号公報
上述したように、非特許文献1、2には、正極活物質の他に、硫化物固体電解質材料および導電化材を含有する正極活物質層が開示されている。しかしながら、80LiS−20Pからなるガラスセラミックス(硫化物固体電解質材料)は、後述するように、通常LiSが残留しているため、反応性が高い(化学的安定性が低い)と考えられる。そのため、正極活物質層において、硫化物固体電解質材料および導電化材(VGCF)が反応し、性能劣化が生じるという問題がある。
また、上述したように、全固体リチウム電池素子に拘束圧を与える技術は知られている。一方、全固体リチウム電池素子は、液系のリチウム電池に比べて、省スペース化が可能であり、省スペース化によりエネルギー密度の向上を図れるいう利点を有している。この利点を活かすためには、素子の拘束を行う拘束部材のスペースや重量を低減させる必要があり、それに伴って、印加できる拘束圧の上限が従来よりも低くなる場合が考えられる。そのため、上記利点を活かすためには、拘束圧の低い条件でも性能を安定化させる技術が必要となる。
ところが、拘束圧を低くすると、充放電による正極活物質層の膨張収縮に伴って、正極活物質層に含まれる材料が移動しやすくなることが想定される。特に、80LiS−20P等の反応性が高い硫化物固体電解質材料を用いた場合、硫化物固体電解質材料および導電化材が、充放電の度に、新たな接触部位(まだ劣化していない部位)で反応し、性能劣化がより顕著になると考えられる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、拘束圧が低い状態においても、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制できるリチウム電池を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム電池素子と、上記リチウム電池素子に拘束圧を与える拘束部材とを有するリチウム電池であって、上記正極活物質層が、正極活物質と、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料と、炭素材料とを含有し、上記拘束圧が、100kgf/cm以下であることを特徴とするリチウム電池を提供する。
本発明によれば、正極活物質層の固体電解質材料として、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料を用いることにより、硫化物固体電解質材料は導電化材(炭素材料)と反応しなくなる。そのため、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制することができる。
上記発明においては、上記炭素材料が、炭素繊維であることが好ましい。繊維形状であり、電子伝導パスを形成しやすいからである。
上記発明においては、上記正極活物質層における上記炭素材料の含有量が、0.1重量%〜3重量%の範囲内であることが好ましい。炭素材料の含有量が少なすぎると、炭素材料の効果が生じにくく、炭素材料の含有量が多すぎると、電子伝導パスは十分に確保されるものの、逆に、正極活物質層内のLiイオン伝導パスを阻害する可能性があるからである。
上記発明においては、上記硫化物固体電解質材料が、LiSおよびPを含有する原料組成物を用いてなるものであることが好ましい。Liイオン伝導性に優れた硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
上記発明では、上記原料組成物において、上記LiSおよび上記Pの合計に対する上記LiSの割合が、モル基準で、72%〜78%の範囲内であることが好ましい。オルト組成またはその近傍を含む範囲とすることで、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
上記発明においては、上記硫化物固体電解質材料が、メカニカルミリング法により合成されたものであることが好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
上記発明においては、上記正極活物質が、酸化物正極活物質であることが好ましい。エネルギー密度の高いリチウム電池素子を得ることができるからである。
本発明のリチウム電池は、拘束圧が低い状態においても、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制できるという効果を奏する。
本発明のリチウム電池の一例を示す概略断面図である。 本発明のリチウム電池の一例を示す概略平面図である。 本発明のリチウム電池の製造フローを示すフロー図である。 実施例1、比較例1〜3で得られた評価用電池の直流抵抗測定の結果である。 実施例2−1〜2−3、比較例4で得られた評価用電池の放電比容量の結果である。 参考例2で得られた評価用サンプルのラマン分光測定の結果である。 参考例1で得られた評価用サンプルのラマン分光測定の結果である。
以下、本発明のリチウム電池について、詳細に説明する。
本発明のリチウム電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム電池素子と、上記リチウム電池素子に拘束圧を与える拘束部材とを有するリチウム電池であって、上記正極活物質層が、正極活物質と、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料と、炭素材料とを含有し、上記拘束圧が、100kgf/cm以下であることを特徴とするものである。
図1は、本発明のリチウム電池の一例を示す概略断面図である。また、図2は、本発明のリチウム電池の一例を示す概略平面図である。図1、図2に示されるリチウム電池30は、リチウム電池素子10と、そのリチウム電池素子10に拘束圧を与える拘束部材20とを有するものである。リチウム電池素子10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5とを有している。また、拘束部材20は、2枚の支持板11と、2枚の支持板11を貫通する連結棒12と、支持板11の位置を固定するボルト13とを有している。本発明においては、正極活物質層1が、正極活物質と、特定の硫化物固体電解質材料と、炭素材料とを含有することを特徴の一つとする。また、本発明においては、拘束部材20により与えられる拘束圧が、特定の値以下であることを特徴の一つとする。
このように、本発明によれば、正極活物質層の固体電解質材料として、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料を用いることにより、硫化物固体電解質材料は導電化材(炭素材料)と反応しなくなる。そのため、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制することができる。上述したように、拘束圧を低くすると、従来の硫化物固体電解質材料は、充放電の度に、導電化材と新たな接触部位(まだ劣化していない部位)で反応し、性能劣化がより顕著になる。これに対して、本発明においては、導電化材と反応しない硫化物固体電解質材料を用いることで、拘束圧が低い状態においても、性能劣化を抑制することができる。
以下、本発明のリチウム電池について、構成ごとに説明する。
1.リチウム電池素子
まず、本発明におけるリチウム電池素子について説明する。本発明におけるリチウム電池素子は、少なくとも、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を有するものである。なお、本発明においては、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を有する部材を、発電要素と称する場合がある。また、リチウム電池素子は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、負極活物質層の集電を行う負極集電体、および外装体の少なくとも一つをさらに有していても良い。
(1)正極活物質層
本発明における正極活物質層は、正極活物質と、硫化物固体電解質材料と、炭素材料とを少なくとも含有するものである。さらに、正極活物質層は、結着材を含有していても良い。
(i)硫化物固体電解質材料
本発明における硫化物固体電解質材料は、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない材料である。ここで、「架橋硫黄」とは、硫化物固体電解質材料の合成反応によって生じる架橋硫黄をいう。例えば、LiSおよびPが反応してなるSP−S−PSユニットの架橋硫黄が該当する。このような架橋硫黄は、化学安定性が低く、後述する炭素材料と反応しやすい。さらに、「架橋硫黄を実質的に含有しない」ことは、ラマン分光スペクトルの測定により、確認することができる。例えば、LiS−P系の硫化物系固体電解質材料の場合、SP−S−PSユニットのピークが、通常402cm−1に表れる。そのため、このピークが検出されないことが好ましい。また、PSユニットのピークは、通常417cm−1に表れる。本発明においては、402cm−1における強度I402が、417cm−1における強度I417よりも小さいことが好ましい。より具体的には、強度I417に対して、強度I402は、例えば70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。また、LiS−P系以外の硫化物系固体電解質材料についても、架橋硫黄を含有するユニットを特定し、そのユニットのピークを測定することにより、架橋硫黄を実質的に含有していないことを判断することができる。
また、本発明における硫化物固体電解質材料は、LiSを実質的に含有しないことを一つの特徴とする。LiSは化学安定性が低く、後述する炭素材料と反応しやすい。さらに、「LiSを実質的に含有しない」ことは、X線回折により確認することができる。具体的には、LiSのピーク(2θ=27.0°、31.2°、44.8°、53.1°)を有しない場合は、LiSを実質的に含有しないと判断することができる。
また、硫化物系固体電解質材料が、LiSおよび架橋硫黄を実質的に含有しない場合、通常、硫化物系固体電解質材料は、オルト組成またはその近傍の組成を有している。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本発明においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。例えば、LiS−P系ではLiPSがオルト組成に該当する。また、LiS−P系では、オルト組成を得るLiSおよびPの割合は、モル基準で、LiS:P=75:25である。オルト組成を基準にして、LiSの割合が大きすぎると、硫化物系固体電解質材料がLiSを含有する傾向にあり、LiSの割合が小さすぎると、硫化物系固体電解質材料が架橋硫黄を含有する傾向にある。そのため、上述した非特許文献1、2に記載された80LiS−20Pは、通常、化学的安定性の低いLiSが残留している。
また、本発明における硫化物固体電解質材料は、LiSおよびPを含有する原料組成物を用いてなるものであることが好ましい。原料組成物に含まれるLiSは、不純物が少ないことが好ましい。副反応を抑制することができるからである。LiSの合成方法としては、例えば特開平7−330312号公報に記載された方法等を挙げることができる。さらに、LiSは、WO2005/040039に記載された方法等を用いて精製されていることが好ましい。また、Pについても、副反応抑制の観点から、不純物が少ないことが好ましい。
原料組成物におけるLiSおよびPの割合は、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料を得ることができる割合であれば特に限定されるものではない。本発明においては、LiSおよびPの合計に対するLiSの割合が、モル基準で、72%〜78%の範囲内であることが好ましく、73%〜77%の範囲内であることがより好ましく、74%〜76%の範囲内であることがさらに好ましい。オルト組成またはその近傍を含む範囲とすることで、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
本発明においては、原料組成物に非晶質化処理を行うことで、ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることができる。非晶質化処理としては、例えばメカニカルミリング法および溶融急冷法を挙げることができ、中でもメカニカルミリング法が好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。さらに、メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。所望の硫化物固体電解質材料を効率良く得ることができるからである。
メカニカルミリングの各種条件は、十分に非晶質化した硫化物固体電解質材料を得ることができる程度に設定することが好ましい。例えば、遊星型ボールミルにより硫化物固体電解質材料を合成する場合、ポット内に、原料組成物および粉砕用ボールを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。一般的に、回転数が大きいほど、硫化物固体電解質材料の生成速度は速くなり、処理時間が長いほど、原料組成物から硫化物固体電解質材料への転化率は高くなる。遊星型ボールミルを行う際の回転数としては、例えば200rpm〜500rpmの範囲内、中でも250rpm〜400rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、例えば1時間〜100時間の範囲内、中でも1時間〜50時間の範囲内であることが好ましい。
また、本発明における硫化物固体電解質材料は、結晶質であっても良い。結晶質の硫化物固体電解質材料は、例えば、ガラス状(非晶質)の硫化物固体電解質材料に対して、熱処理を行うことで得ることができる。熱処理の温度は、例えば270℃以上が好ましく、280℃以上であることがより好ましく、285℃以上であることがさらに好ましい。一方、熱処理の温度は、例えば310℃以下が好ましく、300℃以下であることがより好ましく、295℃以下であることがさらに好ましい。また、熱処理の時間は、例えば、1分間〜2時間の範囲内であり、30分間〜1時間の範囲内であることがより好ましい。
本発明における硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導度の値が高いことが好ましい。室温でのLiイオン伝導度は、例えば10−5S/cm以上であることが好ましく、10−4S/cm以上であることがより好ましい。また、本発明における硫化物固体電解質材料は、通常粉末状であり、その平均径は例えば0.1μm〜50μmの範囲内である。
また、正極活物質層における硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば30重量%〜90重量%の範囲内であることが好ましく、40重量%〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。硫化物固体電解質材料の含有量が少なすぎると、十分なLiイオン伝導パスが形成されない可能性があり、硫化物固体電解質材料の含有量が多すぎると、相対的に、正極活物質の含有量が低下し、容量が低くなる可能性があるからである。
(ii)炭素材料
本発明における炭素材料は、所定の導電性を有し、導電化材として機能するものである。炭素材料としては、例えば、炭素粒子および炭素繊維等を挙げることができ、中でも炭素繊維が好ましい。繊維形状であり、電子伝導パスを形成しやすいからである。また、炭素繊維は、電子伝導パスを形成しやすいことから、炭素粒子に比べて使用量を低減させることができ、高容量化に適している。
炭素繊維とは、繊維状の炭素物質をいう。本発明においては、炭素繊維が、VGCF(気相成長炭素繊維)であることが好ましい。導電性に優れているからである。炭素繊維の繊維径は、例えば10nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、50nm〜1μmの範囲内であることがより好ましい。また、炭素繊維の繊維長は、例えば10nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。さらに、炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、例えば1〜200の範囲内であることが好ましく、3〜50の範囲内であることがより好ましい。
また、炭素粒子としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭および黒鉛などを挙げることができる。炭素粒子の粒径(一次径)としては、例えば1nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、3nm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
また、正極活物質層における炭素材料の含有量は、特に限定されるものではないが、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、1重量%以上であることがさらに好ましい。炭素材料の含有量が少なすぎると、炭素材料の効果が生じにくいからである。一方、炭素材料の含有量は、4重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、2.5重量%以下であることがさらに好ましい。炭素材料の含有量が多すぎると、電子伝導パスは十分に確保されるものの、逆に、正極活物質層内のLiイオン伝導パスを阻害する可能性があるからである。
(iii)正極活物質
本発明における正極活物質は、リチウム電池素子に使用可能なものであれば特に限定されるものではないが、酸化物正極活物質が好ましい。エネルギー密度の高いリチウム電池素子を得ることができるからである。このような酸化物系正極活物質としては、例えば、一般式Li(Mは遷移金属元素であり、x=0.02〜2.2、y=1〜2、z=1.4〜4)で表される正極活物質を挙げることができる。上記一般式において、Mは、Co、Mn、Ni、V、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、Co、NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。このような酸化物系正極活物質としては、具体的には、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O、LiFeSiO、LiMnSiO等を挙げることができる。また、上記一般式Li以外の正極活物質としては、LiFePO、LiMnPO等のオリビン型正極活物質を挙げることができる。
正極活物質の形状としては、例えば粒子形状を挙げることができ、中でも真球状または楕円球状であることが好ましい。また、正極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径は、例えば0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
また、正極活物質の表面は、酸化物により被覆されていることが好ましい。正極活物質と硫化物固体電解質材料とが反応することを抑制できるからである。中でも、上記酸化物はイオン伝導性酸化物であることが好ましい。イオン伝導性酸化物の内部をイオンが伝導することにより、正極活物質の表面における抵抗を低くすることができるからである。これにより、界面抵抗の低いリチウム電池素子を得ることができる。本発明においては、イオン伝導性酸化物が、Li元素と、M元素(Mは金属元素)と、O元素とを有することが好ましい。上記Mは、特に限定されるものではないが、例えば、Nb、Ti、Zr等を挙げることができる。さらに、このようなイオン伝導性酸化物の具体例としては、LiNbO、LiTi12、LiTiO、LiZrO等を挙げることができる。一方、上記酸化物は、イオン伝導性を有しないものであっても良い。このような酸化物を用いた場合、界面抵抗の初期特性を向上させることはできないものの、正極活物質と硫化物固体電解質材料との反応は抑制することができる。イオン伝導性を有しない酸化物としては、例えば、TiO、ZrO等を挙げることができる。
正極活物質を被覆する酸化物の厚さは、例えば1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、2nm〜100nmの範囲内であることがより好ましい。酸化物は、正極活物質の表面の多くを被覆していることが好ましく、具体的には、被覆率が40%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。正極活物質を酸化物で被覆する方法としては、例えば、転動流動コーティング法(ゾルゲル法)、メカノフュージョン法、CVD法およびPVD法等を挙げることができる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、例えば10重量%〜99重量%の範囲内であることが好ましく、20重量%〜90重量%の範囲内であることがより好ましい。
(iv)正極活物質層
本発明における正極活物質層は、結着材を含有していても良い。可撓性に優れた正極活物質層とすることができるからである。結着材としては、例えばフッ素含有結着材等を挙げることができる。また、正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内である。
(2)負極活物質層
本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。特に、本発明においては、負極活物質層に含まれる固体電解質材料が、硫化物固体電解質材料であることが好ましい。Liイオン伝導性が高いからである。さらに、この硫化物固体電解質材料は、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない材料であることが好ましい。化学的安定性が高く、耐久性に優れたリチウム電池素子とすることができるからである。負極活物質層における硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば20重量%〜80重量%の範囲内であることが好ましく、30重量%〜70重量%の範囲内であることがより好ましい。
また、負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。また、負極活物質の表面は、正極活物質の表面と同様に、上述した酸化物により被覆されていることが好ましい。負極層における負極活物質の含有量は、例えば10重量%〜90重量%の範囲内であることが好ましく、20重量%〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明における負極活物質層は、結着材を含有していても良い。可撓性に優れた負極活物質層とすることができるからである。結着材としては、例えばフッ素含有結着材等を挙げることができる。また、負極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内である。
(3)固体電解質層
本発明における固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。固体電解質層に用いられる固体電解質材料は、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、硫化物固体電解質材料であることが好ましい。Liイオン伝導性が高いからである。さらに、この硫化物固体電解質材料は、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない材料であることが好ましい。化学的安定性が高く、耐久性に優れたリチウム電池素子とすることができるからである。固体電解質層における硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば10重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。特に、本発明においては、固体電解質層が硫化物固体電解質材料のみから構成されていることが好ましい。また、固体電解質層は、結着材を有していても良い。可撓性に優れた固体電解質層とすることができるからである。固体電解質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
(4)集電体
本発明におけるリチウム電池素子は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質の集電を行う負極集電体を有することが好ましい。なお、例えば、後述する拘束部材が集電体の機能を兼ね備えている場合は、正極集電体および負極集電体を設けなくても良い。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
(5)外装体
本発明におけるリチウム電池素子は、その一部または全部を被覆する外装体を有していても良い。外装体を設けることにより、例えば、硫化物固体電解質材料が水(水分)と接触した場合であっても、硫化水素のリークを抑制することができる。外装体の材料は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等の樹脂、および金属等を挙げることができる。
(6)リチウム電池素子
本発明におけるリチウム電池素子は、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有するものである。また、本発明のリチウム電池素子は、いわゆるバイポーラ型の素子であっても良い。リチウム電池素子を製造する方法は、所望の素子を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を採用することができる。
2.拘束部材
次に、本発明における拘束部材について説明する。本発明における拘束部材は、リチウム電池素子に拘束圧を与える部材である。また、本発明においては、拘束圧が所定の値以下であることを一つの特徴とする。
上記拘束圧は、通常、100kgf/cm以下であり、中でも90kgf/cm以下であることが好ましく、75kgf/cm以下であることがより好ましい。拘束圧が低い状態でも性能劣化を防止できることから、拘束部材の簡略化を図ることができ、結果として、エネルギー密度の高いリチウム電池を得ることができるからである。一方、上記拘束圧は、0.1kgf/cm以上であることが好ましく、0.5kgf/cm以上であることがより好ましく、5kgf/cm以上であることがさらに好ましい。拘束圧が低すぎると、Liイオン伝導パスおよび電子伝導パスが形成されにくくなり、低抵抗化を図ることが困難になる可能性があるからである。
また、本発明における拘束部材は、リチウム電池素子に対して所望の圧力を付与できるものであれば特に限定されるものではない。中でも、拘束部材は、リチウム電池素子の表面全体に均一に拘束圧を与える部材であることが好ましい。素子の表面に均一に圧力を付与することにより、素子の腫れ等を防止できるからである。このような拘束部材としては、具体的には、少なくとも支持板を有する部材を挙げることができる。さらに、本発明においては、リチウム電池素子の両面から均一に拘束圧を与えることができるように、支持板を2枚同時に用いることが好ましい。
特に、本発明における拘束部材は、少なくとも1枚の支持板と、支持板の可動方向を規定するガイド部材と、支持板の位置を固定する固定部材とを有することが好ましい。ガイド部材の最も典型的な例としては、支持板を貫通する連結棒を挙げることができる。連結棒を設けることにより、支持板の可動方向を連結棒の長さ方向に限定することができる。また、固定部材は、支持板の位置を固定することで、リチウム電池素子に所望の拘束圧を与える。このような固定部材としては、例えば、ボルト等を挙げることができる。拘束部材を構成する各部材の材料は、特に限定されるものではないが、所定の圧力に耐えられる材料である必要がある。このような材料としては、金属、樹脂、ゴム等を挙げることができる。なお、本発明における拘束部材は、単一のリチウム電池素子のみに対して圧力を付与するものであっても良く、複数のリチウム電池素子に対して同時に圧力を付与するものであっても良い。
3.リチウム電池
本発明のリチウム電池は、上述したリチウム電池素子および拘束部材を有するものである。本発明のリチウム電池は、二次電池であることが好ましい。また、リチウム電池の用途は特に限定されるものではないが、中でも車載用であることが好ましい。拘束圧が低い状態においても、硫化物固体電解質材料および導電化材の反応による性能劣化を抑制できることから、省スペース化や高エネルギー密度化が要求される車載用リチウム電池として特に有用だからである。
また、本発明のリチウム電池は、その一部または全部を被覆する外装体を有していても良い。外装体を設けることにより、例えば、硫化物固体電解質材料が水(水分)と接触した場合であっても、硫化水素のリークを抑制することができる。外装体の材料は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等の樹脂、および金属等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[合成例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS)と五硫化リン(P)とを用いた。これらの粉末をアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、xLiS・(100−x)Pの組成において、x=75のモル比となるように秤量し、メノウ乳鉢で混合し、原料組成物を得た。次に、得られた原料組成物1gを45mlのジルコニアポットに投入し、さらにジルコニアボール(Φ10mm、10個)を投入し、ポットを完全に密閉した。このポットを遊星型ボールミル機に取り付け、回転数370rpmで40時間メカニカルミリングを行い、硫化物固体電解質材料(75LiS−25P)を得た。この75LiS−25Pは、架橋硫黄およびLiSを含有しない材料である。
[合成例2]
xLiS・(100−x)Pの組成において、x=70としたこと以外は、合成例1と同様にして硫化物固体電解質材料(70LiS−30P)を得た。この70LiS−30Pは、架橋硫黄を含有する材料である。
[合成例3]
金属源としてリチウムエトキシドおよびペンタエトキシニオブを用意し、これらの金属源を、エタノール中で、LiNbOにおける化学量論比と一致させるように混合した。さらに、この溶液にエタノールを追加し、LiNbOの前駆体溶液を作製した。次に、前駆体溶液を、転動流動層を用いたコート装置にて、LiCoO(酸化物正極活物質、D50=10μm)の表面上に塗布した。その後、大気中、350℃の条件で熱処理を行い、LiNbOで被覆したLiCoOを得た。LiCoOを被覆するLiNbOは、被覆率70%、平均厚さ7nmであった。
[実施例1]
図3に示す手順に従って、評価用電池を作製した。まず、正極合材の調製を行った。正極活物質として、合成例3で合成した、LiNbOで被覆したLiCoOを用意し、固体電解質材料として、合成例1で合成した75LiS−25Pを用意し、導電化材として、VGCF(昭和電工社製、繊維径150nm、アスペクト比10)を用意した。次に、75LiS−25PおよびVGCFを、75LiS−25P:VGCF=27:3(重量比)で秤量し、両者を乳鉢で混合し、混合物を得た。次に、得られた混合物4.86mgに、LiNbOで被覆したLiCoOを11.34mg添加し混合することで、正極合材を得た。なお、正極活物質および混合物の割合は、正極活物質:混合物=70:30(重量比)とした。
次に、負極合材の調製を行った。負極活物質として、グラファイト(三菱化学社製MF3b)を用意し、固体電解質材料として、合成例1で合成した75LiS−25Pを用意した。次に、グラファイト6.0mgおよび75LiS−25P6.0mgを混合することで、負極合材を得た。
次に、固体電解質層に用いられる固体電解質材料として、合成例1で合成した75LiS−25Pを用意した。次に、75LiS−25P65mgをプレス機のセルの中に添加し、1.0t/cmの圧力でプレスすることにより、固体電解質層を形成した。次に、得られた固体電解質層の表面に正極合材を添加し、1.0t/cmの圧力でプレスすることにより、正極活物質層を形成した。次に、正極活物質層が形成されていない側の固体電解質層の表面に負極合材を添加し、4.3t/cmの圧力でプレスすることにより、負極活物質層を形成し、発電要素を得た。次に、得られた発電要素の両面に集電体を配置し、さらに支持板でリチウム電池素子を挟み、支持板の位置をボルトで固定し、リチウム電池素子に75kgf/cmの拘束圧を加えた。これにより、評価用電池を得た。
[比較例1]
正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層に含まれる75LiS−25Pを、全て、合成例2で合成した70LiS−30Pに変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価用電池を得た。
[比較例2]
拘束圧を450kgf/cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用電池を得た。
[比較例3]
拘束圧を450kgf/cmに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、評価用電池を得た。
[評価1]
実施例1、比較例1〜3で得られた評価用電池を用いて、直流抵抗を測定した。まず、評価用電池に対して、以下の充放電条件で30サイクル充放電を行った。
<充放電条件>
・0.1Cの電流でCC充放電(カット電圧 上限4.1V、下限3.0V)
・25℃の恒温槽使用
また、直流抵抗の値は、SOC80%の状態でインピーダンス測定(印加電圧10mV、測定周波数10mHz〜1MHz)を行うことにより求めた。測定には、ソーラトロン社製12068W型電気化学測定システムを用いた。その結果を図4に示す。図4は、初期の直流抵抗に対する30サイクル後の直流抵抗の増加分を示すものである。
図4に示されるように、実施例1および比較例1を比べると、実施例1では、直流抵抗の値が低くなった。これは、比較例1の70LiS−30PがVGCFと反応することによって、抵抗増加が生じたのに対して、実施例1の75LiS−25PはVGCFと反応しなかったため、抵抗増加が生じなかったためであると考えられる。また、比較例1および比較例3を比べると、比較例3では拘束圧が高く、比較例1では拘束圧が低い。ここで、通常は、拘束圧を低くすると直流抵抗は増加すると考えられ、VGCFで電子伝導パスを補うことによって、抵抗増加を抑制できる。しかしながら、比較例1では、VGCFが有する抵抗増加抑制効果よりも、70LiS−30PおよびVGCFの反応による抵抗増加効果の方が大きいため、結果的に、比較例1では、比較例3に対して直流抵抗が高くなったと考えられる。これに対して、実施例1では、75LiS−25PはVGCFと反応しないため、75LiS−25PおよびVGCFの反応による抵抗増加効果は生じず、VGCFが有する抵抗増加抑制効果のみが発現したものと考えられる。
[実施例2−1〜2−4、比較例4]
正極合材における、正極活物質、固体電解質材料および導電化材の割合を、下記表1に記載する内容に変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価用電池を得た。
Figure 2011159534
[評価2]
実施例2−1〜2−4、および比較例4で得られた評価用電池を用いて、耐久試験後の放電比容量を調べた。ここで、耐久試験として、以下の充放電条件で30サイクル充放電を行った。充放電条件は、上述した評価1における充放電条件と同様である。その結果を図5に示す。
図5に示されるように、実施例2−1〜2−3では、比較例4よりも放電比容量の値が高かった。一方、実施例2−4では、比較例4よりも放電比容量の値が低くなった。これは、導電化材の含有量が多すぎた結果、正極活物質層内のLiイオン伝導パスが阻害されたためであると考えられる。
[参考例1]
合成例1で合成した75LiS−25Pと、実施例1で使用したVGCFとを、75LiS−25P:VGCF=50:50(重量比)の割合で混合し、ペレット化することにより、評価用サンプルを得た。
[参考例2]
合成例2で合成した70LiS−30Pと、実施例1で使用したVGCFとを、70LiS−30P:VGCF=50:50(重量比)の割合で混合し、ペレット化することにより、評価用サンプルを得た。
[評価3]
参考例1および参考例2で得られた評価用サンプルを用いて、ラマン分光測定を行った。測定のタイミングは、評価用サンプルを作製した時(保存前)、および評価用サンプルを、アルゴン雰囲気下、25℃、露点温度−70℃の環境に30日間保存した時(保存後)とした。その結果を図6および図7に示す。図6に示すように、保存前の参考例2では、架橋硫黄を含有する70LiS−30Pを用いているため、P 4−(SP−S−PS)のピークが確認された。さらに、保存後の参考例2では、P 4−のピークが減少し、P 4−のピークが新たに生じていることが確認された。これは、70LiS−30Pと、VGCFとが反応したためであると考えられる。一方、図7に示すように、保存前の参考例1では、架橋硫黄を含有しない75LiS−25Pを用いているため、安定なPS 3−のピークのみが確認された。さらに、保存後の参考例1でも、安定なPS 3−のピークに変化は見られなかった。従って、本発明における硫化物固体電解質材料は、炭素材料と反応しないことが確認された。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
10 … リチウム電池素子
11 … 支持板
12 … 連結棒
13 … ボルト
20 … 拘束部材
30 … リチウム電池

Claims (7)

  1. 正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム電池素子と、
    前記リチウム電池素子に拘束圧を与える拘束部材とを有するリチウム電池であって、
    前記正極活物質層が、正極活物質と、Li、PおよびSを含有し、架橋硫黄およびLiSを実質的に含有しない硫化物固体電解質材料と、炭素材料とを含有し、
    前記拘束圧が、100kgf/cm以下であることを特徴とするリチウム電池。
  2. 前記炭素材料が、炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池。
  3. 前記正極活物質層における前記炭素材料の含有量が、0.1重量%〜3重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリチウム電池。
  4. 前記硫化物固体電解質材料が、LiSおよびPを含有する原料組成物を用いてなるものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のリチウム電池。
  5. 前記原料組成物において、前記LiSおよび前記Pの合計に対する前記LiSの割合が、モル基準で、72%〜78%の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載のリチウム電池。
  6. 前記硫化物固体電解質材料が、メカニカルミリング法により合成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のリチウム電池。
  7. 前記正極活物質が、酸化物正極活物質であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のリチウム電池。
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