JP2011152773A - 改質木材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた難燃性、防炎性及び防煙性を有する改質木材が簡便な工程で得られる改質木材の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の改質木材の製造方法は、珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体(I)を木材1に含浸させる珪酸化合物含浸工程(A1)と、珪酸化合物をゲル化剤の作用によりゲル化させて珪酸化合物ゲルとするゲル化工程(B1)と、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種の燃焼抑制剤を含む燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程と、を備える。また、珪酸化合物がシリカ又はアルカリ珪酸塩であり、ゲル化剤が酸性反応剤又は金属塩反応剤である改質木材の製造方法とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は改質木材の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、簡便な方法により、優れた難燃性、防炎性及び防煙性等を有する改質木材を得ることができる改質木材の製造方法に関する。
従来の改質木材の製造方法としては、例えば、木材にアルキルシリケート化合物の溶液を含浸させ、その後、このアルキルシリケート化合物を加熱硬化させて改質する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、リン酸化合物系難燃剤を含む溶液とシリカ溶液とを木材に順次含浸させ、その後、加熱加圧処理して改質木材を得る方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、(1)二酸化珪素、酸化アルミニウム等の不燃性無機物の超微粒子を飽水処理木材中に拡散させるか、又は(2)混合により不燃性無機物(リン酸塩、ホウ酸塩等)を生じさせる複数の液体を木材に順次含浸させ、その後、この不燃性無機物の脱落を防ぐためにシリカゾル、珪酸リチウム等の固定化剤を含浸させ、硬化させて加工木材を得る方法も知られている(例えば、特許文献3参照。)。また、木材内部の空気を二酸化炭素で置換し、この木材に二酸化炭素と反応して不燃性無機化合物を生じる無機化合物の水溶液を含浸させて加工木材を得る方法も知られている(例えば、特許文献4参照。)。更に、珪酸化合物を含浸させ、固定させる改質木材の製造方法も知られている(例えば、特許文献5〜7参照。)。
特公平4−4122号公報 特開平8−25314号公報 特開昭62−144902号公報 特開平3−51104号公報 特開2001−1306号公報 特開2002−120204号公報 特開2006−346902号公報
特許文献1には、アルキルシリケート化合物を、その沸点近傍まで加熱して硬化させる方法が開示されている。しかし、木材中に含浸させた溶液が漏出し、原料アルキルシリケート化合物の無駄が多いという問題がある。また、特許文献1には、アルキルシリケート化合物を加水分解させ、硬化させる方法も開示されている。これは、アルキルシリケートの加水分解液を木材に含浸させる方法であると考えられるが、この加水分解液は経時とともにゲル化するため、可使時間の制約があり、作業性及び経済性の観点で問題がある。
また、特許文献2、3に記載の方法では、2種以上の液体を木材に順次含浸させるため、2液目以降の含浸液は、前工程で既に木材に含浸された液の液戻りにより汚染され、2液目以降の含浸液の寿命が短く、実質上、2液目以降の含浸液を再利用できないという問題がある。また、2液目以降の含浸液の拡散は液−液拡散に頼っており、拡散に長時間を要し、木材の深部まで拡散させることが困難である。更に、特許文献4では、木材に含まれる二酸化炭素量に限りがあり、十分な難燃性を付与するだけの不燃性無機化合物の生成が困難であるという問題がある。また、この方法では木材が白化することもある。
また、特許文献5乃至7は、本発明者によるものであるが、これらの改質木材の製造方法では、酸無水物ガスを使用し、液−気拡散を利用しているため、酸無水物ガスを速やかに拡散させることができ、且つ木材の深部までゲル化させることができ、優れた改質方法である。
本発明は、前記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、簡便な工程であって、作業性が良好であり、経済性の観点でも有利であり、且つ木材により優れた難燃性を付与することができる改質木材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、以前、アルカリ珪酸塩、コロイダルシリカ等の珪酸化合物を木材に含浸させ、これらを酸無水物ガスによってゲル化させる方法によって、前記の問題を解決し得ることを見出した(特許文献5)。また、レーザー加工により木材に浸透孔を設けることにより、珪酸化合物の浸透性を向上させ得ることを見出した(特許文献6)。更に、ゲル化させた後、例えば、リン系燃焼抑制剤等の燃焼抑制剤を含浸させることによって、より優れた難燃性が付与され、更には発煙及び火炎の発生が十分に抑えられる改質木材が得られることを見出した(特許文献7)。また、改質木材の製造方法について引き続き検討した結果、木材に含浸させた珪酸化合物を、酸無水物ガスではなく、酸性反応剤や金属塩反応剤等のゲル化剤を用いてゲル化させることによって、より簡便な工程で、作業性及び経済性等に優れ、且つ十分な難燃性が付与され、更には発煙及び火炎も十分に抑えられる改質木材が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
本発明は以下のとおりである。
1.珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体(I)を木材に含浸させる珪酸化合物含浸工程(A1)と、前記珪酸化合物含浸工程(A1)を経た木材に含浸されている前記珪酸化合物を、前記ゲル化剤の作用によりゲル化させて珪酸化合物ゲルとするゲル化工程(B1)と、前記ゲル化工程を経た木材に、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種の燃焼抑制剤を含む燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程(C1)と、を備えることを特徴とする改質木材の製造方法。
2.前記珪酸化合物がシリカ又はアルカリ珪酸塩であり、且つ前記ゲル化剤が酸性反応剤又は金属塩反応剤である前記1.に記載の改質木材の製造方法。
3.前記液体(I)が前記木材に浸透することを補助する浸透孔を該木材に形成する浸透孔形成工程を備え、該浸透孔形成工程は前記珪酸化合物含浸工程(A1)の前に行う前記1.又は2.に記載の改質木材の製造方法。
4.前記珪酸化合物含浸工程(A1)を経る前の木材を乾燥させる珪酸化合物含浸前乾燥工程を備え、該珪酸化合物含浸前乾燥工程は前記珪酸化合物含浸工程(A1)の前に行う前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
5.前記燃焼抑制剤含浸工程(C1)を経る前の木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸前乾燥工程を備え、該燃焼抑制剤含浸前乾燥工程は前記ゲル化工程(B1)の後、且つ前記燃焼抑制剤含浸工程(C1)の前に行う前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
6.前記燃焼抑制剤含浸工程(C1)後に、該燃焼抑制剤含浸工程(C1)を経た木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸後乾燥工程と、該燃焼抑制剤含浸後乾燥工程を経た木材に、シランカップリング剤を浸透させるシランカップリング剤処理工程及び反応性樹脂化合物を含む処理液を浸透させる塗装前下地処理工程と、を備える前記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
7.珪酸化合物を含む液体(II)を木材に含浸させる珪酸化合物含浸工程(A2)と、前記珪酸化合物含浸工程(A2)を経た木材にゲル化剤を含浸させ、前記木材に含浸されている前記珪酸化合物をゲル化させて珪酸化合物ゲルとするゲル化工程(B2)と、前記ゲル化工程(B2)を経た木材に、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種の燃焼抑制剤を含む燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程(C2)と、を備えることを特徴とする改質木材の製造方法。
8.前記珪酸化合物がシリカ又はアルカリ珪酸塩であり、且つ前記ゲル化剤が酸性反応剤又は金属塩反応剤である前記7.に記載の改質木材の製造方法。
9.前記液体(II)が前記木材に浸透することを補助する浸透孔を該木材に形成する浸透孔形成工程を備え、該浸透孔形成工程は前記珪酸化合物含浸工程(A2)の前に行う前記7.又は8.に記載の改質木材の製造方法。
10.前記珪酸化合物含浸工程(A2)を経る前の木材を乾燥させる珪酸化合物含浸前乾燥工程を備え、該珪酸化合物含浸前乾燥工程は前記珪酸化合物含浸工程(A2)の前に行う前記7.乃至9.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
11.前記ゲル化工程(B2)を経る前の木材を乾燥させるゲル化前乾燥工程を備え、該ゲル化前乾燥工程は前記珪酸化合物含浸工程(A2)の後、且つ前記ゲル化工程(B2)の前に行う前記7.乃至10.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
12.前記燃焼抑制剤含浸工程(C2)を経る前の木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸前乾燥工程を備え、該燃焼抑制剤含浸前乾燥工程は前記ゲル化工程(B2)の後、且つ前記燃焼抑制剤含浸工程(C2)の前に行う前記7.乃至11.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
13.前記燃焼抑制剤含浸工程(C2)後に、該燃焼抑制剤含浸工程(C2)を経た木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸後乾燥工程と、該燃焼抑制剤含浸後乾燥工程を経た木材に、シランカップリング剤を浸透させるシランカップリング剤処理工程及び反応性樹脂化合物を含む処理液を浸透させる塗装前下地処理工程と、を備える前記7.乃至12.のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体(I)を用いる本発明の改質木材の製造方法では、珪酸化合物がゲル化するまでの可使時間を調整し、流動性があるうちに木材に浸透させ、含浸させることを特徴とする。一方、珪酸化合物を含む液体(II)を用いる他の本発明の改質木材の製造方法では、後工程で含浸されるゲル化剤により珪酸化合物をゲル化させる。いずれの方法であっても、簡便な工程で、優れた難燃性、防炎性及び防煙性等が付与された改質木材を得ることができる。また、珪酸化合物ゲルが形成された後、燃焼抑制剤液を含浸させるため、多孔性であり、吸着性に優れた珪酸化合物ゲルが燃焼抑制剤を強固に保持し、湿度や雨水等の影響を受け難く、木材に安定した難燃性を付与することができ、難燃性を低下させることなく木材の耐熱性を大幅に向上させることもできる(この耐熱性の向上は示差熱分析の結果からも読み取れる。)。更に、珪酸化合物ゲルが形成された後、燃焼抑制剤液を含浸させるため、液体(I)等と燃焼抑制剤液との混合が生じず、両液を循環使用する等により再利用することができる。また、従来より用いられている燃焼抑制剤では、十分な難燃性を発現させるため多量に含有させた場合、木材表面に染みが発生し、塗装時に問題になることが多い。しかし、本発明及び他の本発明では、珪酸化合物のゲル化物の存在により、難燃性を低下させることなく、燃焼抑制剤の使用量を10〜40%程度減少させることができ、塗装時に問題が発生することもない。
また、本発明及び他の本発明の改質木材の製造方法において、珪酸化合物がシリカ又はアルカリ珪酸塩であり、且つゲル化剤が酸性反応剤又は金属塩反応剤である場合は、木材内部において、珪酸化合物ゲルを容易に形成させることができる。
更に、本発明及び他の本発明の改質木材の製造方法において、浸透孔形成工程を備える場合は、浸透孔が形成されるために、珪酸化合物を含む液体の浸透性が向上し、短時間で木材のより深部まで珪酸化合物を含浸させることができる。
尚、浸透孔の形成の他、液体(1)等の加圧含浸及び加熱等の操作も有効であり、これらの操作により、液体(1)等を可使時間内に短時間で木材内部深くにまで浸透させ、含浸させることができ、且つゲル化させることができる。また、珪酸化合物のゲル化が不十分なときでも、ゲル化後の乾燥により水分を揮散させ、濃縮させることで更にゲル化させることができる。
また、本発明及び他の本発明の改質木材の製造方法において、珪酸化合物含浸前乾燥工程を備える場合は、珪酸化合物を含む液体の浸透性が向上し、短時間で木材のより深部まで珪酸化合物を含浸させることができる。
更に、本発明及び他の本発明の改質木材の製造方法において、燃焼抑制剤含浸前乾燥工程を備える場合は、燃焼抑制剤液の浸透性が向上し、短時間で木材のより深部まで燃焼抑制剤を含浸させることができる。
また、本発明及び他の本発明の改質木材の製造方法において、燃焼抑制剤含浸後乾燥工程、並びにシランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程を備える場合は、改質木材に、より長期に亘って優れた寸法安定性が付与され、燃焼抑制剤の再溶出が抑えられる。
更に、他の本発明の改質木材の製造方法において、ゲル化前乾燥工程を備える場合は、木材内部に空洞が形成され、ゲル化剤が特に速やかに浸透し、木材のより深部においても珪酸化合物をゲル化させることができる。従って、より深部においても燃焼抑制剤が十分に保持され、特に優れた難燃性を付与することができる。
本発明の製造工程の一例を説明する工程図である。 他の本発明の製造工程の一例を説明する工程図である。 浸透孔の一例を説明する模式的な斜視図(A)及びa−a’断面図(B)である。 浸透孔の他例を説明する模試的な斜視図(A)及びa−a’断面図(B)である。 浸透孔の方向を説明する模式的な斜視図である。 浸透孔の更に他例を説明する模試的な斜視図(A)及びa−a’断面図(B)である。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]本発明の改質木材の製造方法
本発明の改質木材の製造方法は、珪酸化合物含浸工程(A1)と、ゲル化工程(B1)と、燃焼抑制剤含浸工程(C1)と、を備える(図1参照)。
[1−1]珪酸化合物含浸工程(A1)
前記「珪酸化合物含浸工程(A1)」は、珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体(I)を木材に含浸させる工程である。
(1)木材
前記「木材」は特に限定されず、全ての天然木材及び加工木材を用いることができる。また、木材の形態も限定されず、例えば、柱材、板材等の他、合板、繊維板、パーティクルボード、フローリング、集成材及び積層材等が挙げられる。更に、木材は、そのまま用いてもよいが、珪酸化合物含浸工程前に十分に乾燥させて用いることが好ましい。乾燥させることで木材の収縮及び反り等が除かれ、強度が十分に向上する。
乾燥の程度は特に限定されず、例えば、木材の水分率は、通常、屋外保存では平衡水分率で約15質量%、室内保存では8〜15質量%、平均では12質量%程度であるが、珪酸化合物含浸工程前の木材は、水分率0〜5質量%にまで乾燥させることが好ましい。これにより、組織内の導管や細胞壁等の強度が向上し、液体(I)の含浸圧等に耐え得る木材組織とすることができる。更に、生材では水分率が50〜100質量%程度と高いが、高周波加熱、過熱蒸気加熱、熱板加熱等により急速に乾燥させることができる。これにより、脂分が除去されて細胞壁孔が貫通し、液体(I)の木材への浸透性が向上する。また、生材では、前記の各種の急速乾燥をした後、更に通常の乾燥を行うこともできる。
(2)液体(I)
前記「液体(I)」は、珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体である。即ち、珪酸化合物及びゲル化剤が同一の媒体にそれぞれ溶解又は分散している液体である。
前記「珪酸化合物」は、ゲル化剤によりゲル化させることができる珪酸系の化合物である。この珪酸化合物としては、コロイダルシリカに含有されるシリカ及びアルカリ珪酸塩等が挙げられる。
(a)コロイダルシリカ
コロイダルシリカは、一般式MeO・nSiO[MeはNa、RN又はRN(Rは水素原子又はコリン、モノメチルトリエタノールアンモニウム等の有機基)であり、nは50〜300である。]で表され、粒径50μm以下(好ましくは20μm以下、通常5nm以上)の前記「シリカ」(アルカリ珪酸塩とは異なり、SiOのモル比が50〜300と高い。)が媒体に分散したコロイドである。シリカの濃度は特に限定されないが、SiO濃度20〜50質量%(好ましくは20〜40質量%)のコロイドを用いることができ、水分散系のコロイダルシリカ(以下、「水性コロイダルシリカ」という。)と有機媒体分散系のコロイダルシリカ(以下、「オルガノコロイダルシリカ」という。)とがある。これらはいずれか一方のみを用いてもよく、併用してもよい。
水性コロイダルシリカを用いる場合は、SiO濃度20〜50質量%(好ましくは20〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%)、シリカの粒径20μm以下(好ましくは15μm以下)の低粘度品を用いることが好ましい。また、前記一般式におけるMeがRNである水性コロイダルシリカ(アンモニウムシリケート)は、他のコロイドに比べて溶液中のSiO濃度が比較的高い(例えば、40質量%程度)場合でも低粘度であり、且つ結合力が強い等の特長を有するため、本発明において好適に用いられ、良好な結果が得られる。
オルガノコロイダルシリカを用いる場合は、SiO濃度20〜40質量%(好ましくは20〜30質量%)、シリカの粒径20μm以下(好ましくは15μm以下)の低粘度品を用いることが好ましい。媒体がメタノール、イソプロパノール又はキシレン−ブタノール混合媒体等である場合は、粘度が低く、且つSiO濃度の高いコロイドとすることができ、いずれも本発明において好適に用いられ、良好な結果が得られる。
また、水性コロイダルシリカ及びオルガノコロイダルシリカともに、低粘度(好ましくは1〜50cps/25℃、より好ましくは1〜30cps/25℃)であることが好ましく、このように低粘度であれば、木材への浸透性に優れる。更に、コロイダルシリカに分散しているシリカは小粒径であることが好ましく、例えば、前記のように粒径20μm以下であることが好ましい。粒径が20μm以下であれば、木材の細胞壁孔と同程度であるため、木材の細胞壁の内部にまで珪酸化合物を含浸させることができる。
尚、改質効果の観点では、SiO含有量の多いコロイダルシリカがより好ましい。
更に、液体(I)に、アルカリ珪酸塩が含まれ、このアルカリ珪酸塩が変色し易いものである場合は、コロイダルシリカを併用することが好ましい。これにより、アルカリ金属による変色を著しく抑えることができる。アルカリ珪酸塩とコロイダルシリカとを併用する場合、珪酸化合物の合計量を100質量%とした場合に、アルカリ珪酸塩(固形分での割合)は50質量%以下、特に30質量%以下、更に10質量%以下であることが好ましい。
(b)アルカリ珪酸塩
前記「アルカリ珪酸塩」は、一般式MeO・nSiO[Meは、Na、K、Li、RN、又はRN(Rは、コリン、モノメチルトリエタノールアンモニウム等の有機基、又は水素原子)であり、nは0.5〜10の数である。]で表される珪酸化合物の塩である。具体的には、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、第3級アミン珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩等が挙げられる。これらのうちでは、珪酸ナトリウム、珪酸リチウム及び珪酸カリウムのうちの少なくとも1種であることが好ましく、珪酸ナトリウム及び珪酸リチウムの少なくとも一方であることがより好ましい。また、珪酸ナトリウムと珪酸リチウムとを併用した場合、低粘度となり、且つ木材への浸透性に優れるため特に好ましい。更に、改質木材の変色を抑制するという観点では、珪酸リチウム、第3級アミン珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩が好ましい。これらのアルカリ珪酸塩は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アルカリ珪酸塩を用いる場合、液体(I)におけるアルカリ珪酸塩の含有量は特に限定されないが、液体(I)の全量を100質量%とした場合に、10〜50質量%、特に15〜30質量%であることが好ましい。この範囲の含有量であれば、十分に高い濃度でありながら、適度な粘度となり、木材への浸透性に優れる。また、この範囲の含有量では、ゲル化しない程度の加温により、粘度を低下させ、更に浸透性を向上させることもできる。即ち、1回の処理で、より多くの珪酸化合物を含浸させることができる。更に、より多く含浸させるため、加圧と減圧とを繰り返すこともできる。
アルカリ珪酸塩として珪酸ナトリウムを使用し、媒体として水を用いる場合は、前記のように、珪酸リチウムを併用することが好ましい。特に、アルカリ金属元素に対してより多くのケイ素を含有し、ケイ素を効率よく木材に含浸させることができるため、アルカリ珪酸塩としては、JIS3号又はJIS4号の珪酸ナトリウムを用いることが好ましい。但し、これらの珪酸ナトリウムのみで前記のアルカリ珪酸塩濃度の液体(I)を調製しようとすると粘度が高くなる。この場合に、水を媒体としたときに低粘度である珪酸リチウムを併用することで、粘度を低下させることができる。このときの液体(I)の粘度は、例えば、5〜250cps/25℃、特に10〜150cps/25℃とすることができる。
(c)ゲル化剤
前記「ゲル化剤」は、珪酸化合物をゲル化させることができればよく、珪酸化合物の種類によって適宜選択して用いることができる。このゲル化剤は固形でもよく、液状でもよい。ゲル化剤としては、例えば、酸性反応剤及び金属塩反応剤等が挙げられる。酸性反応剤としては、硫酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸、酢酸、炭酸、蟻酸及びその塩であり、酸性を呈する化合物、ホウ酸及びその塩であり、酸性を呈する化合物、リン酸塩又はホウ酸塩で熱分解等により酸性を呈する化合物などを用いることができる。具体例としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素カルシウム、アルキル基安定化重リン酸アルミニウム等が挙げられる。また、金属塩反応剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属の塩等を用いることができる。具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
ゲル化剤としては、例えば、前記の酸性反応剤又は金属塩反応剤を用いることができる。これらのうち、酸性反応剤としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム等が好ましい。また、金属塩反応剤としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が好ましい。更に、珪酸化合物がシリカの場合(コロイダルシリカを用いるとき)は、液体(I)の水素イオン指数(pH)を、最も不安定なpH4.0〜7.0の領域を避け、可使時間を長くすることができる酸性域、又はアルカリ性域のいずれかの安定域となるようにpHを調整した後、液体(1)を木材に含浸させ、次いで、ゲル化剤を分解させる、又は次工程でゲル化剤を含浸させてゲル化させる(後記の他の本発明の場合)こともできる。また、アルカリ珪酸塩、例えば、水ガラスを用いる場合は、最も不安定なpH6.5〜8.5の中性域を避け、可使時間を長くすることができる酸性域で酸性シリカゾル分散液として木材に含浸させ、その後、液体(1)に含まれるゲル化剤を分解させ、pHを不安定な中性域に調整してゲル化させる、又は次工程でゲル化剤を含浸させ、ゲル化させる(後記の他の本発明の場合)ことができる。更に、アルカリ珪酸塩を用いる場合は、ゲル化剤として、金属塩反応剤を除く他のゲル化剤、例えば、酸性反応剤が用いられる。
(d)媒体等
液体(I)の調製に用いる媒体は特に限定されず、水を用いてもよく、有機媒体を用いてもよく、水と有機媒体との混合媒体を用いてもよい。媒体は水系媒体であることが好ましく、水又は水と親水性の高い有機媒体との混合媒体が好ましい。混合媒体の場合、用いる有機媒体としては、炭素数1又は2のアルコール、特に炭素数1のメタノールが好ましく、この混合媒体を用いた場合、浸透性をより向上させることができる。混合媒体における炭素数1又は2のアルコールの含有量は特に限定されないが、媒体の全量を100質量%とした場合に、50質量%以下、特に10〜40質量%であることが好ましい。
液体(I)の可使時間は、珪酸化合物含浸工程(A1)に要する時間よりも長ければよく、特に限定されない。この可使時間は、通常、2〜50日であり、10日間以上であることが好ましく、特に50日間以上であることがより好ましい。この可使時間が10日間以上であれば、操作性に優れ、液体(I)を木材に十分に含浸させる時間がとれ、且つ何回も継続使用することができるという利点がある。また、この可使時間はpH調整で制御することができ、木材に浸透させ、含浸させた後、乾燥工程で水分を除去し、濃縮させてゲル化させる、ゲル化剤を加熱分解させてpHを中性域に調整してゲル化させる、又は次工程でゲル化剤を含浸させてゲル化させる(後記の他の本発明の場合)ことができる。
珪酸化合物とゲル化剤とを含有する液体(1)の可使時間が長く、含浸、ゲル化等の操作がし易いのが本発明の特徴であるが、液体(1)のより具体的な可使時間は下記のとおりである。
(1)30質量%のシリカを含有するコロイダルシリカとアルキル基安定化重リン酸アルミニウムとを使用し、コロイダルシリカ70質量部、アルキル基安定化重リン酸アルミニウム30質量部及び水10質量部を含有する液体(1)とした場合、室温(例えば、20〜30℃)で6ヶ月以上安定であり、コロイダルシリカ50質量部及びアルキル基安定化重リン酸アルミニウム50質量部を含有する液体(1)とした場合、5〜6日安定である。(2)30質量%のシリカを含有するコロイダルシリカと、シュウ酸二水和物を使用し、コロイダルシリカ100質量部及びシュウ酸二水和物4質量部を含有する液体(1)とした場合、室温で4日目にゲル化し始め、ゾルを2℃/分で昇温させたときは84℃でゲル化し始める。
(3)30質量%のシリカを含有するコロイダルシリカと、1Kケイ酸カリウムを使用し、コロイダルシリカ100質量部及び1Kケイ酸カリウム10質量部を含有する液体(1)とした場合、室温で17日目にゲル化し始め、コロイダルシリカ100質量部及び1Kケイ酸カリウム25質量部を含有する液体(1)とした場合、3日目にゲル化し始める。(4)30質量%のシリカを含有するコロイダルシリカと、2Kケイ酸カリウムを使用し、コロイダルシリカ80容量部及び2Kケイ酸カリウム20容量部を含有する液体(1)とした場合、室温で2日目にゲル化し始め、コロイダルシリカ50容量部及び2Kケイ酸カリウム50容量部を含有する液体(1)とした場合、16時間でゲル化し始め、可使時間が少し短いが、実用可能である。
(5)30質量%のシリカを含有するコロイダルシリカと、蟻酸アンモニウムを使用し、コロイダルシリカ100質量部及び蟻酸アンモニウム0.5質量部を含有する液体(1)とした場合、室温で3日目にゲル化し始める。(6)30質量%のシリカを含有するコロイダルシリカと、酢酸アンモニウムを使用し、コロイダルシリカ100質量部及び酢酸アンモニウム0.5質量部を含有する液体(1)とした場合、室温で6日目にゲル化し始め、ゾルを100℃で5分間加熱するとゲル化し始める。
更に、珪酸化合物がコロイダルシリカである場合、pHが8.0〜11.0、特に8.5〜10.0の範囲では、可使時間が短く、不安定で極めて使用し難いため、塩基性化合物系のゲル化剤によりpHを調整し、可使時間を制御して用いることが好ましい。また、珪酸化合物がアルカリ珪酸塩である場合、pH3.5〜10.0、特に4.5〜9.5の範囲では、可使時間が短く、不安定で極めて使用し難いため、硫酸、リン酸等を用いて安定性が高く、且つ低粘度で可使時間を長くすることができる酸性ゾル(pH1.0〜2.5)に変換し、木材に含浸させた後、pHを6.0〜8.0に調整してゲル化させる方法が好ましい。
この液体(I)の調製方法は、珪酸化合物及びゲル化剤を同一の媒体にそれぞれ溶解又は分散させることができる限り特に限定されない。具体的には、コロイダルシリカ等の珪酸化合物の分散液又はアルカリ珪酸塩等の珪酸化合物の溶液と、ゲル化剤とを混合して調製することができる。
(3)含浸条件
液体(I)を木材に含浸させる条件は特に限定されないが、液体(I)のポットライフを勘案して含浸させることが好ましい。例えば、窒素ガス等を用いて加圧しながら含浸させる加圧含浸でもよく、加圧せずに含浸させる常圧含浸でもよいが、加圧含浸が好ましい。加圧することにより、木材の組織内(導管や細胞壁等の内部)にまで、より多くの珪酸化合物及びゲル化剤を含浸させることができる。また、含浸時、加熱してもよく、加熱しなくてもよいが、加熱することが好ましい。加熱することにより、浸透速度を大きくすることができ、特に、常圧又は低圧力であっても十分な浸透速度とすることができる。但し、特に可使時間が短い液体(1)を加熱するときは、含浸時にゲル化してしまうことがあるため、十分に注意する必要がある。
加圧する場合、加圧方法は特に限定されない。例えば、気体を反応容器内に圧入して加圧してもよく、加熱により加圧してもよく、これらを組み合わせて加圧してもよい。加圧条件も特に限定されないが、例えば、木材の種類、水分率、真空度、木目の状態及び種類、木材の寸法及び形状等により適宜設定することが好ましい。但し、通常、圧力は10MPa以下、特に8MPa以下、更に6MPa以下(通常、0.2MPa以上)であることが好ましい。特に、年輪が認められない木材では、軟質系及び硬質系のいずれの木材であっても10MPaまでは加圧することができる。また、年輪が認められる軟質系の木材では、3MPa以下(通常0.5MPa以上)とすることが好ましい。更に、年輪が認められる硬質系の木材では、5MPa以下(通常1.5MPa以上)とすることが好ましい。これにより、木材の種類及び形状等に影響されることなく、反り、変形及び割れなどを十分に防止することができる。
尚、軟質系の木材とは、JIS Z 2101により測定した温度25℃、且つ含水率7質量%以下における密度が0.56kg/m未満である木材をいうものとする。例えば、杉、檜及びラワン等の針葉樹の木材が挙げられる。
液体(1)は、加熱して含浸させることもできる。加熱する場合、液体(I)を加熱してもよく、含浸工程に用いる処理容器全体を加熱してもよく、これらの加熱を併用してもよい。液体(I)は、例えば、液体(I)を含浸させる処理容器とは別の加熱容器を用いて加熱することができる。また、処理容器と加熱容器との間で液体(I)を循環させることもできる。更に、この加熱による液体(I)の温度は特に限定されないが、180℃未満、特に40〜150℃、更に60〜120℃)であることが好ましい。この範囲の液温であれば、浸透速度を十分に向上させることができ、且つ木材の損傷、液体の変質等を防止することもできる。また、このように液温を上昇させることにより、室温(例えば、20〜30℃)で含浸させるときと比べて、浸透速度を2〜5倍に向上させることができ、珪酸化合物含浸工程に要する時間を大幅に短縮することができる。
(4)珪酸化合物の含浸量
珪酸化合物の含浸量も特に限定されないが、十分な難燃効果を得るために、珪酸化合物含浸工程前の木材の質量を100質量部とした場合に、SiOの含有量として、40〜200質量部、特に50〜150質量部、更に60〜〜120質量部含浸させることが好ましい。
(5)ゲル化剤の混合量
ゲル化剤の混合量も特に限定されないが、珪酸化合物を十分にゲル化させることができる配合量が必要である。この混合量は、ゲル化剤の種類によっても異なり、少量でよいゲル化剤もあるし、より多量に混合させる必要があるゲル化剤もある。例えば、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等では、0.2〜1.0質量部(珪酸化合物を100質量部とする。以下、同様である。)、特に0.3〜0.7質量部程度でよく、アルキル基安定化重リン酸アルミニウム、シュウ酸、1K(2K)珪酸カリウム等では、1〜40質量部、特に2〜30質量部とすることができる。このように、ゲル化剤の混合量は種類によって設定する必要があるが、0.2〜40質量部。特に0.3〜30質量部、更に0.5〜25質量部であることが好ましい
尚、珪酸化合物とゲル化剤の各々の組み合わせによっても、好ましい混合範囲があるため、十分な可使時間となる混合量とすることが好ましい。
また、ゲル化剤の混合量とは、酸性反応剤のみを含む(金属塩反応剤を含まない。)液体(I)では、珪酸化合物100質量部に対する酸性反応剤の質量割合を表す。また、金属塩反応剤のみを含む(酸性反応剤を含まない。)液体(I)では、珪酸化合物100質量部に対する金属塩反応剤の質量割合を表す。更に、酸性反応剤と金属塩反応剤とを含む液体(I)では、珪酸化合物100質量部に対する酸性反応剤と金属塩反応剤との合計質量割合を表す。
[1−2]珪酸化合物含浸工程(A1)前に行う他の工程
本発明の改質木材の製造方法では、珪酸化合物含浸工程(A1)前に行う他の工程を備えていてもよい。この他の工程としては、浸透孔形成工程及び珪酸化合物含浸前乾燥工程が挙げられる。
(1)浸透孔形成工程
前記「浸透孔形成工程」は、珪酸化合物等を含む液体(I)が木材に浸透し、含浸されることを補助する浸透孔を木材に形成する工程である。浸透孔の形成方法は特に限定されないが、例えば、レーザーにより孔設してもよく、ドリル等の木工加工機により孔設してもよく、その他の方法で孔設してもよく、これらの方法のうちの2種以上を併用してもよい。これらのうち、レーザーにより孔設する場合、用いるレーザーの種類は特に限定されないが、炭酸ガスレーザーが好ましい。また、レーザーの波長、出力等についても限定されず、木材の種類、浸透孔の形状及び深さ等により設定することが好ましい。レーザーを用いた場合、他の方法、例えば、木工加工機を用いたときと比べて、より容易に寸法精度の高い浸透孔を形成することができる。
前記「浸透孔」は、木材に形成された孔であり、この浸透孔は木材を貫通している孔でもよく、貫通していない有底の孔でもよい。また、開口面等の横断面及び縦断面の各々の形状、即ち、浸透孔の形状は特に限定されない。例えば、横断面の形状が略円形(図3参照)のスポット孔(円柱孔、内部へ向かって窄まる円錐孔等)、及び横断面の形状が四角形等の多角形のスポット孔(角柱孔、内部へ向かって窄まる角錐孔等)、横断面の形状が直線状(図4参照)、折線状、曲線状等のスリット孔などの形態が挙げられる。これらは同形状の1種のみであってもよく、2種以上の異なる形状の孔が併設されていてもよい。
更に、浸透孔の方向も特に限定されない。例えば、木目と交差する孔(例えば、略垂直に交差する孔)であってもよく、木目と略平行の孔であってもよく、これらの孔が併設されていてもよい。これらのうちでは、木目と交差する孔を有することが好ましい。例えば、スポット孔の場合、図5において、板目面に対して上方から下方へ木目と交差するように(垂直に)形成されていることが好ましい。また、直線状のスリット孔の場合、図5において、板目面に対して垂直方向に形成されていることが好ましい。
また、浸透孔の大きさも特に限定されないが、例えば、スポット孔であり、開口面等の横断面の形状が略円形の浸透孔の場合、開口径(直径又は最大径)は0.5〜1mmであることが好ましい。このような浸透孔では、1個の孔により、通常、孔の周囲25〜75mmの範囲に液体(I)を浸透させ、含浸させることができる。更に、スリット孔の場合、図4のように、横方向全体に亘る長い1本のスリット孔とすることができる。また、木材の強度保持のため、図6のように、両端部及び中央部、少なくとも両端部に孔を形成しない部分を残してスリット孔を設けることもできる。更に、直線状のスリット孔を形成した場合は、液体(I)の浸透速度が特に大きく、浸透孔を形成しない場合に比べて処理時間を1/20〜1/50程度に短縮することができる。
更に、浸透孔を形成する箇所、孔数及び孔密度等も特に限定されない。これらの浸透孔に係る種々の条件は、木材の性質、用途等により設定することが好ましい。例えば、木材の裏面や木端等の目立たない箇所に所要数の浸透孔を形成すれば、木材の変形及び強度の低下等がなく、且つ外観も殆ど変化することなく、且つ容易に液体(I)を木材に浸透させ、含浸させることができる。また、浸透孔を形成する場合、木の硬さ、木目(年輪)の密度、板目、柾目等の状況を確認したうえで、浸透孔に係る種々の条件を適宜設定することが好ましい。
浸透孔を形成することにより、珪酸化合物等を含む液体(I)の浸透性が向上し、厚い木材、長い木材又は大面積の木材、及び木目の詰まった堅い木材等のように、加圧や加熱をしても、液体(I)を内部深くにまで浸透させ、含浸させるのが容易ではない木材であっても、木材表面部のみならず、浸透孔からも液体(I)が浸透し、含浸され、木材内部にまで液体(I)を容易に(例えば、低圧力、短時間で)浸透させ、含浸させることができる。
(2)珪酸化合物含浸前乾燥工程
前記「珪酸化合物含浸前乾燥工程」は、珪酸化合物含浸工程(A1)を行う前に、木材を乾燥させる工程である。珪酸化合物含浸工程(A1)前に木材を乾燥させることにより、液体(I)の浸透性をより向上させることができる。乾燥方法は特に限定されず、吸引減圧乾燥でもよく、加熱乾燥でもよく、自然乾燥でもよく、その他の方法でもよく、これらのうちの2種以上を組み合わせた方法でもよい。これらのうちでは、少なくとも吸引減圧乾燥を用いることが好ましい。乾燥工程における乾燥の程度は特に限定されないが、水分率が0〜5質量%、好ましくは0〜2%となる程度に乾燥させることが好ましい。
更に、吸引減圧乾燥を用いた場合は、木材中の空気の一部又は全部(通常、一部)を除去することもできる。即ち、水分と空気とを実質的に除去することができる。このように、加熱乾燥のみ又は自然乾燥のみの場合と比べて、水分に加えて空気(木材に他の気体が含有される場合は、この他の気体も含め)をも除去することができる。そのため、木材の導管や組織細胞内等に、より多くの空隙を形成することができ、浸透性がより向上(より深部まて浸透する)し、且つ浸透速度もより大きくすることができる。
尚、吸引減圧乾燥の場合、木材を収容した耐圧容器内の圧力を140Pa以下、好ましくは70Pa以下(通常、1×10−6Pa以上)の真空度とすることが好ましい。
[1−3]ゲル化工程(B1)
前記「ゲル化工程(B1)」は、珪酸化合物含浸工程(A1)で木材に含浸した珪酸化合物を、液体(I)に含まれるゲル化剤の作用によりゲル化させて珪酸化合物ゲルとする工程である。このゲル化工程におけるゲル化方法は特に限定されず、液体(I)のポットライフに応じて所定時間放置することによりゲル化してもよく、加熱処理してゲル化を促進してもよい。特に、液体(I)のポットライフに余裕がある場合、即ち、珪酸化合物含浸工程(A1)に要する時間よりもポットライフの方が十分に長い場合は、加熱処理によりゲル化を促進させて、効率良くゲル化させることが好ましい。
加熱処理の条件は、液体(I)の性状により適宜設定することができる。具体的には、加熱温度は、30〜120℃、特に40〜120℃、更に50〜105℃であることが好ましい。この範囲の加熱温度であれば、木材に含浸された珪酸化合物を十分にゲル化させることができる。また、加熱時間は加熱温度にもよるが、加熱温度が高いときは相対的に短時間、加熱温度が低いときは相対的に長時間とすることが好ましく、例えば、加熱時間が40〜120℃である場合、加熱時間は30〜300分間であることが好ましい。この範囲の加熱温度及び加熱時間であれば、木材に含浸された液体(1)を木材中で濃縮させ、且つ珪酸化合物を十分にゲル化させることができる。このように、本発明の改質木材の製造方法では、珪酸化合物に可使時間の異なるゲル化剤を配合することで、作業性、経済性等を考慮して、一液で、且つ簡易な工程で珪酸化合物をゲル化させることができる。
本発明の改質木材の製造方法では、珪酸化合物とともに予め液体(I)に配合されたゲル化剤の作用により珪酸化合物をゲル化させる。そのため、珪酸化合物のみを含浸させる工程とは別にゲル化剤のみを含浸させる工程が不要であり、改質木材をより効率よく製造することができる。
[1−4]燃焼抑制剤含浸工程(C1)
本発明の改質木材の製造方法は、珪酸化合物ゲルが含まれる木材に燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程(C1)を備える。
(1)燃焼抑制剤
前記「燃焼抑制剤」は、木材の燃焼を抑える作用を有し、且つ液化(溶液又は分散液)できる化合物であればよく、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種が用いられる。
前記「リン系燃焼抑制剤」は、リン元素を有する化合物のみからなるか、リン元素を有する化合物と他の化合物(特に窒素系燃焼抑制助剤等)との混合物からなる。このリン系燃焼抑制剤は、通常、脱水炭化作用により燃焼抑制効果を発揮する化合物である。この脱水炭化作用とは、加熱時に、木材を構成するセルロースを脱水させ、水と炭素とに分離させる作用である。リン系燃焼抑制剤としては、リン酸及びリン酸塩等が挙げられる。リン酸は、メタリン酸でもよく、ポリリン酸でもよい。リン酸化合物としては、リン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、リン酸メラミン、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。リン系燃焼抑制剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、合成品でもよく、天然品でもよく、加工天然品でもよく、これらの混合物であってもよい。
また、リン系燃焼抑制剤に混合して用いられる窒素系燃焼抑制助剤は、窒素元素を有する化合物からなる。この窒素系燃焼抑制助剤としては、硝酸アンモニウム、尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、塩化アンモニウム等の窒素元素を有する各種の化合物が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、合成品でもよく、天然品でもよく、加工天然品でもよく、これらの混合物であってもよい。窒素系燃焼抑制助剤を併用することにより、燃焼抑制効果がより効果的に発揮される。
前記「ホウ素系燃焼抑制剤」は、ホウ素元素を含有する化合物のみからなるか、ホウ素元素を有する化合物と他の化合物との混合物からなる。このホウ素系燃焼抑制剤は、通常、加熱により脱水分解され、その後、溶融し、ガラス状となって木材表面を覆うことにより燃焼が抑制される。ホウ素系燃焼抑制剤としては、ホウ酸及びホウ酸塩等が挙げられる。ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム(ホウ酸ソーダ、ホウ砂)等が挙げられる。ホウ素系燃焼抑制剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、合成品でもよく、天然品でもよく、加工天然品でもよく、これらの混合物であってもよい。
前記「ハロゲン系燃焼抑制剤」は、ハロゲン元素を有する化合物のみからなるか、ハロゲン元素を有する化合物と他の化合物との混合物からなる。ハロゲン元素のなかでも、特に臭素元素及び塩素元素が好ましい。このハロゲン系燃焼抑制剤は、通常、木材の熱分解時に、分解成分と結合して不燃性成分又は難燃性成分を形成する。ハロゲン系燃焼抑制剤としては、各種ハロゲン化物を用いることができ、例えば、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化アンチモン及び塩化パラフィン等が挙げられる。ハロゲン系燃焼抑制剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、合成品でもよく、天然品でもよく、加工天然品でもよく、これらの混合物であってもよい。
燃焼抑制剤としては、リン系燃焼抑制剤とホウ素系燃焼抑制剤とを併用することが好ましく、各々の燃焼抑制剤を単独で用いた場合と比べて、より高い耐熱性と難燃性とを有する改質木材とすることができる。このことは、改質木材を示差熱分析したときに、単独で用いた場合と比べて、併用したときは、昇温時の残留重量がより多いことによっても理解される。
前記「燃焼抑制剤液」は、燃焼抑制剤を媒体に溶解させた液体、燃焼抑制剤を媒体に分散させた液体、及びこれらの混合液のうちのいずれかの液体である。この燃焼抑制剤液の調製に用いられる媒体は特に限定されず、水を用いてもよく、有機媒体を用いてもよく、水と有機媒体との混合媒体を用いてもよい。媒体は水系媒体であることが好ましく、水又は水と親水性の高い有機媒体との混合媒体が好ましい。混合媒体の場合、用いる有機媒体としては、炭素数1又は2のアルコール、特に炭素数1のメタノールが好ましく、この混合媒体を用いた場合、浸透性をより向上させることができる。混合媒体における炭素数1又は2のアルコールの含有量は特に限定されないが、媒体の全量を100質量%とした場合に、50質量%以下、特に10〜40質量%であることが好ましい。
(2)含浸条件
ゲル化工程(B1)を経た木材に燃焼抑制剤を含浸させる条件は特に限定されない。例えば、加圧しながら含浸させる加圧含浸でもよく、加圧せずに含浸させる常圧含浸でもよい。これらのうちでは加圧含浸が好ましい。加圧することにより、木材の組織内(導管や細胞壁等の内部)、及びゲル化工程で木材の内部に形成され、固定された珪酸化合物ゲルの内部にまで、より多くの燃焼抑制剤を浸透させ、含浸させることができる。また、燃焼抑制剤含浸工程(C1)では、加熱してもよく、加熱しなくてもよいが、加熱することが好ましい。加熱することにより、燃焼抑制剤の浸透速度を大きくすることができ、特に、低圧力下でも大きな浸透速度とすることができる。
加圧含浸の場合の加圧条件は特に限定されない。加圧条件は、例えば、木材の水分率、真空度、木材の種類、木目の状態及び種類、木材の寸法及び形状等により適宜設定することができる。また、加圧時の圧力については、前記の珪酸化合物液含浸工程における加圧時の圧力をそのまま適用することができる。
更に、加熱する場合、燃焼抑制剤液を加熱してもよく、含浸工程に用いる処理容器(燃焼抑制剤液が収容されている。)全体を加熱してもよく、木材を加熱してもよく、これらの少なくとも2種以上の加熱を併用してもよい。また、例えば、燃焼抑制剤液を含浸させる処理容器とは別の加熱容器を用いて加熱することもでき、処理容器と加熱容器との間で燃焼抑制剤液を循環させて加熱することもできる。更に、加熱して調製された燃焼抑制剤液の温度は特に限定されないが、180℃未満、特に20〜150℃、更に40〜100℃であることが好ましい。この範囲の温度であれば、浸透速度を十分に向上させることができるとともに、木材の損傷、燃焼抑制剤液の変質等を防止することもできる。このように、燃焼抑制剤液の液温を上昇させることにより、常温(20〜35℃、特に20〜25℃程度)で用いるときに比べて浸透速度を向上させることができ、特に、冬期、気温が10℃以下となったときに加熱すれば、浸透速度を2〜5倍に向上させることができ、燃焼抑制剤含浸工程に要する時間を大幅に短縮することができる。
尚、燃焼抑制剤液を加熱して含浸させるときの液温は、燃焼抑制剤中のアンモニア等の分解、揮散、及び木材の酸化などが生じる温度以下に止めることが好ましい。
(3)含浸させる燃焼抑制剤量
燃焼抑制剤含浸工程(C1)における燃焼抑制剤の含浸量は特に限定されないが、燃焼抑制剤含浸工程前の木材に含浸された珪酸化合物ゲルを100質量部とした場合に、燃焼抑制剤は40〜200質量部であることが好ましい。また、例えば、木材に含浸された珪酸化合物ゲルが、木材の質量を100質量部とした場合に、100質量部以上である場合、含浸された珪酸化合物ゲルを100質量部とした場合に、燃焼抑制剤は10〜150質量部、特に30〜100質量部であることが好ましい。また、木材に含有される珪酸化合物ゲルが、木材の質量を100質量部とした場合に、50質量部以下である場合、含有される珪酸化合物ゲルを100質量部とした場合に、燃焼抑制剤は20〜300質量部、特に35〜210質量部であることが好ましい。この範囲の含浸量であれば、十分な燃焼抑制効果が得られる。
従来、水溶性の燃焼抑制剤が多用されているが、木材に直接含浸させた場合、使用時の乾湿サイクルや雨水等により、燃焼抑制剤が木材の表面に溶出することがあった。しかし、本発明の製造方法では、吸着性に優れた珪酸化合物ゲルにより、燃焼抑制剤が木材内に強固に固定されるため、溶出が防止され、耐水性が向上する。
[1−5]燃焼抑制剤含浸工程前に行う他の工程
本発明の改質木材の製造方法では、燃焼抑制剤含浸工程(C1)前に行う他の工程を備えていてもよい。この他の工程としては、燃焼抑制剤含浸前乾燥工程が挙げられる。
前記「燃焼抑制剤含浸前乾燥工程」は、燃焼抑制剤含浸工程前に、燃焼抑制剤含浸工程を経る前の木材を乾燥させる工程である。燃焼抑制剤含浸工程前に木材を乾燥させることにより、珪酸化合物ゲルが収縮して木材内部に空隙を生じるため、燃焼抑制剤液の浸透性をより向上させることができる。
燃焼抑制剤含浸前乾燥工程における乾燥方法は特に限定されず、吸引減圧乾燥でもよく、加熱乾燥でもよく、自然乾燥でもよく、その他の方法でもよく、これらのうちの2種以上を併用した方法でもよい。これらのうち、吸引減圧乾燥の場合、その条件については珪酸化合物含浸工程前乾燥工程における吸引減圧乾燥の条件をそのまま適用することができる。また、珪酸化合物含浸工程前乾燥工程の場合と同様に、水分に加えて空気(木材に他の気体が含有される場合は、この他の気体も含め)をも除去することができ、同様の効果が得られる。更に、加熱乾燥の場合、加熱温度は特に限定されないが、40℃以上、特に50℃以上(通常、105℃以下)に加熱することが好ましく、より低温で減圧乾燥することが特に好ましい。また、この乾燥工程では、燃焼抑制剤液の調製に用いた媒体の沸点を超える温度にまで加熱することもできる。更に、乾燥の程度も特に限定されないが、木材の質量(珪酸化合物を除く)に対して水分が15質量%以下、特に12質量%以下、更に7質量%以下となる程度に乾燥させることが好ましく、0〜2質量%程度に乾燥させることがより好ましい。
[1−6]燃焼抑制剤含浸後乾燥工程
本発明の改質木材の製造方法では、燃焼抑制剤含浸工程(C1)後に、木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸後乾燥工程を備えていてもよい。燃焼抑制剤含浸工程(C1)を経た木材は、例えば、水分率1〜40質量%程度に乾燥させることにより、難燃性の加工木材として用いることができる。下記の下地処理工程前に行う燃焼抑制剤含浸後乾燥工程は、前記の珪酸化合物含浸前乾燥工程及び前記の燃焼抑制含浸前乾燥工程等と同様に、吸引減圧により、同様の条件で行うことが好ましい。
[1−7]シランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程
本発明の改質木材の製造方法では、燃焼抑制剤含浸後乾燥工程後、シランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程を備えていてもよい。
(1−7−1)シランカップリング剤処理工程
木材は多くのヒドロキシル基を有しており、木材内部に形成された珪酸化合物ゲル(シリカゲル等)は多くのシラノール基を有している。そこで、木材内部で生成した珪酸化合物ゲルのシラノール基と、木材のヒドロキシル基と、燃焼抑制剤の官能基との3者を、シランカップリング剤と反応させ、固化させる。これにより、木材中における水分移動の抑制による寸法安定性及び燃焼抑制剤の再溶出防止性能を付与することができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、3−メタリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等の代表的なシランカップリング剤、又はシラン縮合物等を用いることができる。このシラン縮合物としては、エポキシシランとアミノシランとの縮合反応によるシラン縮合物、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーやエポキシ樹脂等の反応性基含有プレポリマーとシランとの縮合反応によるシラン縮合物等が挙げられる。
また、特に好ましい市販のシランカップリング剤としては、アミノシラン系シランカップリング剤である商品名「KBP−43」、「KBP−41」、「KBP−40」、イソシアネート基を有するシランカップリング剤である商品名「X−12−413」、「KBE9007」、イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤である商品名「X−12−965」、酸無水物基を有するシランカップリング剤である商品名「X−12−967」(以上、いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、短時間で硬化し、塗料の接着性を向上させる効果が高く、より優れた耐水性及び耐候性等を有する加工木材を製造することができる。
シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を有機媒体等で希釈して木材に浸透させることにより、珪酸化合物ゲルの表面が改質され、ゲルと木材組織及び塗料等の有機材料との接着性を著しく向上させることができる。希釈液におけるシランカップリング剤の含有量は特に限定されないが、希釈液を100質量%とした場合に、5〜50質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。
(1−7−2)塗装前下地処理工程
木材は多くのヒドロキシル基を有しており、木材内部に形成された珪酸化合物ゲル(シリカゲル等)は多くのシラノール基を有している。そこで、木材内部で生成した珪酸化合物ゲルのシラノール基や木材のヒドロキシル基と、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂及びそれらの前駆体等の反応性樹脂化合物とを反応させ、固化させる下地処理を行い、珪酸化合物ゲルと木材とを化学的に結合させ、塗装前下地処理することができる。これにより、木材への水分浸入による変形の防止、及び仕上げ塗装時の塗料の密着性を向上させることができる。
反応性樹脂化合物としては、前記の各種の樹脂が挙げられ、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ブタジエンポリオール、アルキッドポリオール、エポキシポリオール及びひまし油ポリオール等の各種のポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させてなるポリイソシアネートオリゴマーが特に有用である。また、市販品として、商品名「X−24−9296」(吸水防止剤)、「X−24−9373M」(表面処理剤)(以上、いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。これらの反応性樹脂化合物は、水等の媒体に分散した、又は熔解した処理液として用いられる。
塗装前下地処理は、ゲル化工程後の木材を適度に乾燥させて実施することが好ましい。この乾燥は、ゲル化工程後の木材の水分率が1〜50質量%、特に2〜40質量%となる程度であることが好ましい。また、下地処理剤としてエポキシ樹脂を基体とする水分散型及び水溶液型の反応性樹脂化合物を用いる場合は、残存水分率が比較的高くてもよいが(例えば、20〜40質量%)、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂等の水分に敏感でゲル化し易い化合物を下地処理剤として用いる場合は、過剰水分によるイソシアネート基の加水分解を抑えるため、木材の水分率を5〜30質量%に調整することが好ましい。
尚、このように水分を残存させることで、珪酸化合物ゲルに含まれる水分による吸熱作用(2244J/g)により、難燃性をより向上させることができる。
[2]他の本発明の改質木材の製造方法
他の本発明の改質木材の製造方法は、珪酸化合物含浸工程(A2)と、ゲル化工程(B2)と、燃焼抑制剤含浸工程(C2)と、を備える(図2参照)。
[2−1]珪酸化合物含浸工程(A2)
前記「珪酸化合物含浸工程(A2)」は、珪酸化合物を含む液体(II)を木材に含浸させる工程である。
前記「木材」については、前記の本発明の改質木材の製造方法における木材に係る記載をそのまま適用することができる。
(1)液体(II)
前記「液体(II)」は、珪酸化合物を含む液体であり、珪酸化合物を媒体に溶解させた液体、珪酸化合物を媒体に分散させた液体、及びこれらの混合液のうちのいずれかの液体である。例えば、珪酸化合物を媒体に溶解させた液体としては、アルカリ珪酸塩溶液等が挙げられる。また、珪酸化合物を媒体に分散させた液体としては、コロイダルシリカ等が挙げられる。
液体(II)の調製に用いる媒体は特に限定されず、前記の本発明の改質木材の製造方法の液体(I)の調製に用いる媒体に係る記載をそのまま適用することができる。
また、前記「珪酸化合物」は、ゲル化剤によりゲル化させることができる珪酸系の化合物であり、この珪酸化合物としては、コロイダルシリカに含有されるシリカ及びアルカリ珪酸塩等が挙げられる。更に、コロイダルシリカ及びアルカリ珪酸塩の種類及び液体(I)における含有量等については、各々、前記の製造方法(I)におけるコロイダルシリカ及びアルカリ珪酸塩に係る記載をそのまま適用することができる。
(2)液体(II)の含浸条件
珪酸化合物を含み、ゲル化剤を含まない液体(II)を木材に含浸させる条件は特に限定されず、珪酸化合物及びゲル化剤を含む前記液体(I)の場合と同様の条件で含浸させることができる。即ち、加圧含浸でもよく、常圧含浸でもよく、この加圧含浸、常圧含浸、並びに加圧する場合の加圧方法及び加圧条件については、前記液体(I)の含浸条件に係る記載をそのまま適用することができる。また、液体(II)は、液体(I)の場合と同様に加熱して含浸させることもでき、加熱する場合の方法及び液体(II)の温度については、前記液体(I)の加熱に係る記載をそのまま適用することができる。
(3)珪酸化合物の含浸量
液体(II)を含浸させた場合、珪酸化合物とゲル化剤とが木材に含浸される液体(I)のときとは異なり、珪酸化合物のみが含浸されるが、この珪酸化合物の含浸量は特に限定されず、前記液体(I)の場合の珪酸化合物の含浸量に係る記載をそのまま適用することができる。更に、珪酸化合物換算による含浸量についても、前記液体(I)の場合の珪酸化合物換算による含浸量に係る記載をそのまま適用することができる。
[2−2]珪酸化合物含浸工程(A2)前に行う他の工程
他の本発明の改質木材の製造方法では、珪酸化合物含浸工程(A2)を行う前に他の工程を備えていてもよい。この他の工程としては、浸透孔形成工程及び珪酸化合物含浸前乾燥工程が挙げられる。
浸透孔形成工程における浸透孔の形成方法、浸透孔の形状、浸透孔の形成方向、浸透孔の大きさ、並びに浸透孔を形成する箇所、孔数及び孔密度等については、各々、前記製造方法(I)における浸透孔形成工程に係る記載をそのまま適用することができる。また、珪酸化合物含浸前乾燥工程における乾燥方法、乾燥の程度及び吸引減圧乾燥の場合の圧力等については、それぞれ、前記の本発明の改質木材の製造方法における珪酸化合物含浸前乾燥工程に係る記載をそのまま適用することができる。
[2−3]ゲル化工程(B2)
前記「ゲル化工程(B2)」は、珪酸化合物含浸工程(A2)を経た木材にゲル化剤を含浸させ、このゲル化剤により、珪酸化合物含浸工程(A2)で予め木材に含浸された珪酸化合物をゲル化させ、珪酸化合物ゲルとする工程である。
前記「ゲル化剤」は、珪酸化合物をゲル化させることができればよく、珪酸化合物の種類によって適宜選択して用いることができる。ゲル化剤は固形でもよく、液状でもよい。このゲル化剤としては、例えば、酸性反応剤及び金属塩反応剤等が挙げられ、酸性反応剤及び金属塩反応剤の種類等については、各々、前記の本発明の改質木材の製造方法における酸性反応剤及び金属塩反応剤に係る記載をそのまま適用することができる。また、pHの調整によってゲル化させ得ることについても、前記の本発明の製造方法における酸性反応剤及び金属塩反応剤に係る記載をそのまま適用することができる。更に、ゲル化剤は媒体に分散させて用いられるが、媒体は特に限定されず、この媒体については、前記の本発明の改質木材の製造方法の液体(I)の調製に用いる媒体に係る記載をそのまま適用することができる。
また、ゲル化剤を木材に含浸させる条件は特に限定されず、珪酸化合物及びゲル化剤を含む前記液体(I)の場合と同様の条件で含浸させることができる。即ち、加圧含浸でもよく、常圧含浸でもよく、この加圧含浸、常圧含浸、並びに加圧する場合の加圧方法及び加圧条件については、前記液体(I)の含浸条件に係る記載をそのまま適用することができる。更に、ゲル化剤は、液体(I)の場合と同様に加熱して含浸させることもでき、加熱する場合の方法及びゲル化剤を含む分散液の温度については、前記液体(I)の加熱に係る記載をそのまま適用することができる。
[2−4]ゲル化工程前に行う他の工程
他の本発明の改質木材の製造方法では、ゲル化工程(B2)を行う前に他の工程を備えていてもよい。この他の工程としては、ゲル化工程(B2)を経る前の木材を乾燥させるゲル化前乾燥工程が挙げられる。
前記「ゲル化前乾燥工程」は、ゲル化工程(B2)前に、珪酸化合物含浸工程(A2)を経た木材を乾燥させる工程である。ゲル化工程(B2)前に木材を乾燥させることにより、液体(II)が収縮して木材内部に空隙が生じるため、ゲル化工程においてゲル化剤を木材の深部にまで容易に含浸させることができ、木材の深部までより確実にゲル化させることができる。但し、このゲル化前乾燥工程における乾燥とは、木材に含有される媒体(水分等)の全てを除去する乾燥を除く意味である。
乾燥方法は特に限定されず、加熱乾燥でもよく、自然乾燥でもよく、吸引減圧乾燥でもよく、その他の方法でもよく、これらのうちの2種以上を組み合わせた方法でもよい。これらのうちでは、加熱乾燥又は自然乾燥が好ましく、加熱乾燥がより好ましい。また、加熱乾燥の場合、木材に含有される液体(II)の調製に用いた媒体の沸点を超えない温度であることが好ましい。更に、予め低温(例えば、95℃程度)で加熱して表面を乾燥させ、その後、昇温(例えば、100〜110℃程度)させて乾燥することもできる。これにより、木材の表面に液体(II)が滲出することがなく、より容易に乾燥させることができる。また、ゲル化前乾燥工程における乾燥の程度は特に限定されないが、木材に含有される全水分量のうちの1〜20質量%、特に1〜10質量%が残留する程度に乾燥させることが好ましい。
[2−5]燃焼抑制剤含浸工程(C2)
他の本発明の改質木材の製造方法は、珪酸化合物ゲルが含まれる木材に、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種の燃焼抑制剤を含む燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程を備える。
前記「燃焼抑制剤含浸工程(C2)」において用いられ前記「リン系燃焼抑制剤」の種類及び併用される燃焼抑制助剤、前記「ホウ素系燃焼抑制剤」及び前記「ハロゲン系燃焼抑制剤」の各々の種類等については、前記の本発明の改質木材の製造方法における燃焼抑制剤に係る記載をそのまま適用することができる。また、木材に燃焼抑制剤を含浸させる条件、加圧含浸の場合の加圧条件、加熱する場合の加熱条件、及び燃焼抑制剤の含浸量についても、前記の本発明の改質木材の製造方法における燃焼抑制剤の含浸方法及び含浸量に係る記載をそのまま適用することができる。
[2−6]燃焼抑制剤含浸工程前に行う他の工程
他の本発明の改質木材の製造方法は、燃焼抑制剤含浸工程(C2)を行う前に他の工程を備えていてもよい。この他の工程としては、燃焼抑制剤含浸前乾燥工程が挙げられる。
前記「燃焼抑制剤含浸前乾燥工程」における乾燥方法、吸引減圧乾燥の場合の条件、及び加熱乾燥の場合の加熱温度等については、前記の本発明の改質木材の製造方法における燃焼抑制剤含浸前乾燥工程に係る記載をそのまま適用することができる。
[2−7]燃焼抑制剤含浸後に行う他の工程
他の本発明の改質木材の製造方法は、燃焼抑制剤含浸工程(C2)後に行う他の工程を備えていてもよい。この他の工程としては、燃焼抑制剤含浸後乾燥工程が挙げられる。
前記「燃焼抑制剤含浸後乾燥工程」における乾燥の程度、乾燥方法及びその条件等については、前記の本発明の改質木材の製造方法における燃焼抑制剤含浸後乾燥工程に係る記載をそのまま適用することができる。
[2−8]シランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程
他の本発明の改質木材の製造方法は、燃焼抑制剤含浸後乾燥工程後、シランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程を備えていてもよい。
前記「シランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程」における処理方法については、前記の本発明の改質木材の製造方法におけるシランカップリング剤処理工程及び塗装前下地処理工程に係る記載をそのまま適用することができる。また、処理前に木材を適度に乾燥せることが好ましいこと、乾燥後の木材の水分率についても、前記の本発明の改質木材の製造方法における記載をそのまま適用することができる。更に、シランカップリング剤の種類、シランカップリング剤は希釈して用いることが好ましいこと、及び希釈液におけるシランカップリング剤の好ましい含有量、並びに反応性樹脂化合物の種類、及びこれを含む処理液等についても、前記の本発明の改質木材の製造方法におけるシランカップリング剤及び反応性樹脂化合物に係る記載をそのまま適用することができる。
[3]表面塗装について
本発明の改質木材の製造方法及び他の本発明の改質木材の製造方法により製造された改質木材は、ウレタン系、アクリル系、フッ素系、シリコーン系、アミノアルキッド系、不飽和ポリエステル系及びフェノール系等の塗料のうちの少なくとも1種を用いて、一般的な各種の方法により表面塗装することができる。また、この表面塗装及び前記の下地処理は必須ではないが、これらの工程を実施した場合は、塗料及び下地処理剤によって木材の表面等が覆われ、木材内の水分移動等が抑えられ、長期に亘って十分な難燃性及び寸法安定性等を有する改質木材とすることができる。一方、例えば、改質木材をチップとし、不燃化加工して敷物等を製造する場合は、表面塗装及び下地処理は特に必要とされない。
[4]改質木材の用途
本発明の改質木材の製造方法及び他の本発明の改質木材の製造方法により製造された改質木材は、優れた難燃性及び寸法安定性を有し、防腐性、防虫性も十分であり、且つ高強度であるため、例えば、以下の用途において用いることができる。
(1)建築用内装材
改質木材は、建築材のうち、天井材、間仕切材、壁材、床材等の内装材として用いることができる。これらの内装材は、薄物の板材が主体であるため、珪酸化合物を含む液体[液体(I)又は(II)]を含浸させ易く、目的に応じてJIS A 1321やJIS A 5801等に合格するよう含浸量を調整して加工することができる。珪酸化合物を含む液体の含浸量は、乾燥木材を100質量部とした場合に、珪酸化合物換算で40〜160質量部であることが好ましい。
(2)建築用構造材
改質木材は、建築材のうち、柱、梁、床、壁等の構造材として用いることができる。これらの用途向けの改質木材としては、水分率を低下させて木材組織の強度を向上させる前処理、及び脱脂により細胞壁孔を貫通させて珪酸化合物を含む液体[液体(I)又は(II)]の浸透性を向上させる前処理を施した木材を用いることが好ましい。また、目的に応じてJIS A 1301に合格するよう含浸量を調整して加工することができる。珪酸化合物を含む液体の含浸量は、乾燥木材を100質量部とした場合に、珪酸化合物換算で40〜160質量部であることが好ましい。
尚、大型の構造材では、経済性を考慮して、表面から所定の深さまでの範囲に珪酸化合物を含む液体を含浸させてもよい。この場合も十分な難燃性等を付与することができる。
(3)建築用開口部材
改質木材は、建築材のうち、戸、窓、階段等の開口部材としても用いることができる。これらの開口部材は、柱状、板状等の種々の形状のものがある。更に、防火戸、防火戸木枠、木製サッシ、階段等の開口部材については、JIS A 1301やJIS A 1311の試験に合格するように珪酸化合物を含む液体を十分に含浸させることが必要である。より具体的には、乾燥木材を100質量部とした場合に、珪酸化合物換算で50〜170質量部含浸させることが好ましい。また、アルミサッシの中空部分に、珪酸化合物を含む液体を十分に含浸させて製造した改質木材を嵌装させることにより、アルミサッシの強度及び耐熱性を向上させるという使用方法も有用である。
以下、本発明の改質木材の製造方法について実施例により具体的に説明する。
尚、以下における「部」及び「%」は、特に記載のない場合は質量基準である。
実施例1〜5の改質木材の製造及び比較例1
実施例1
(1)浸透孔形成工程
出発木材として、北海道産のスギ材(気乾比重;0.30〜0.34)の単板(長さ;500mm、幅;100mm、厚さ;18mm)を用いた。この単板を強制循環式恒温乾燥器により105℃で24時間乾燥させ、その後、炭酸ガスレーザー加工機(三菱電機社製、型式「ML3020D」)を用いてレーザーを照射し、開口径0.5mm、深さ15mmのスポット孔を、100mmの面積当たり81個、等間隔に形成した(各々の孔の中心間の距離は10mmになる。)(図3、(A)、(B)参照)。次いで、浸透孔が形成された単板を100×100mmの寸法に裁断し、5日間以上デシケーター内に保存して試料とした。
(2)液体(I−1)含浸前乾燥工程
前記(1)で水分調整した(水分率;1.0%)単板をステンレス製バット(内寸法;長さ350mm×幅350mm×高さ200mm)内に収容し、その後、このバットを減圧・加圧式注入装置内にセットし、内圧を6.0kPa(−760mmHg)にまで減圧にし、60分間保持し、単板中の水分及び空気の各々の一部を吸引除去した。
(3)コロイダルシリカとゲル化剤とを含む液体(I−1)の含浸、ゲル化工程
前記(2)で乾燥させた後、減圧・加圧式注入装置内を常圧に戻し、30%のシリカを含有するコロイダルシリカ(日本化学工業社製、商品名「シリカドール30」)80部と、アルキル基安定化重リン酸アルミニウム(ゲル化剤、P;33%、Al;8%)30部とを混合してなる液体(I−1)をバット内に注入し、単板を液体に浸漬させた。その後、窒素ガスを用いて減圧・加圧式注入装置内の圧力を約3MPa(30kg/cm)にまで加圧し、常温で、この加圧状態を180分間保持し、液体を単板に含浸させた。次いで、常圧に戻し、単板をバットから取り出し、2日間風乾させた。
前記(3)で液体(I−1)を含浸させ、風乾させた単板を、強制循環式恒温乾燥器に収容し、50℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、105℃で24時間保持して乾燥させた。この乾燥により液体(I−1)は濃縮され、コロイダルシリカがゲル化してシリカゲルが生成した。単板におけるシリカゲルの含浸量は140%であった。
(4)燃焼抑制剤含浸前乾燥工程
前記(3)でコロイダルシリカ等を含浸させ、ゲル化させた単板をバット内に収容し、その後、このバットを減圧・加圧式注入装置内にセットし、内圧を6.0kPa(−760mmHg)にまで減圧にし、60分間保持し、単板中の水分及び空気の各々の一部を吸引除去した。
(5)燃焼抑制剤液含浸工程
前記(4)で乾燥させた後、常圧に戻し、燃焼抑制剤であるカルバミルポリリン酸アンモニウム組成物(50%水溶液)(丸菱油化社製)をバットに投入し、単板を燃焼抑制剤液に浸漬させた。その後、窒素ガスを用いて減圧・加圧式注入装置内の圧力を約3MPa(30kg/cm)にまで加圧し、この加圧状態を300分間保持し、燃焼抑制剤液を単板に含浸させた。
(6)燃焼抑制剤含浸後乾燥工程
前記(5)で燃焼抑制剤を含浸させた単板を、常圧に戻し、単板をバットから取り出し、2日間風乾させた。その後、風乾させた単板を、強制循環式恒温乾燥器に収容し、50℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、105℃で24時間保持して乾燥させた。乾燥後の単板における燃焼抑制剤の含浸量は135%であった。単板は、乾燥後、デシケーター内に保存し、試料とした。
(7)シランカップリング剤処理工程
前記(6)でデシケーター内に保存しておいた単板に、予め用意しておいたシランカップリング剤溶液(信越シリコーン社製、商品名「KBE−9007」、イソシアネート系、有効成分15%)を、塗布量40〜250g/mを目途に、単板に吸収させながら繰り返しスプレー塗布した。また、シランカップリング剤溶液が十分に吸収された時点で塗布を止め、大気中に600分間程度放置して湿気硬化させた。
(8)塗装前下地処理工程
前記(7)で吸収させたシランカップリング剤の反応性が残っている段階で、単板に、予め用意しておいた反応性樹脂化合物を含有するプライマー溶液(信越シリコーン社製、商品名「KBP−44」、イソシアネート系、有効成分14%)を、塗布量40〜120g/mを目途に繰り返しスプレー塗布した。
このように、シランカップリング剤処理とプライマー処理(塗装前下地処理)とを行うことで、木材からの燃焼抑制剤の再溶出を防止することができる。
(9)塗装工程
前記(7)のシランカップリング剤処理と、前記(8)のプライマー処理とをした後、反応性が残っている段階で、表1に記載の、下塗り、着色、上塗りの3工程により、塗装した。塗装にはスプレーを使用し、いずれもの工程における目付も40〜60g/mとなるように塗装した。
尚、反応性塗料を用いているため、重ね塗りの時間調整に注意が必要である。また、表1に記載の材料名称は、いずれも玄々化学社製の商品名である。
Figure 2011152773
実施例2
30%のシリカを含有するコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「スノーテックス30」)100部と、シュウ酸二水和物(ゲル化剤)4部とを混合してなる液体(I−2)を用いた他は、実施例1と同様にして改質木材を製造した。シリカゲルの含浸量は150%であり、燃焼抑制剤の含浸量は145%であった。
実施例3
30%のシリカを含有するコロイダルシリカ(日本化学工業社製、商品名「シリカドール30」)80部と、2Kケイ酸カリウム(ゲル化剤、SiO;20.5%、KO;9.0%)20部とを混合してなる液体(I−3)を用いた他は、実施例1と同様にして改質木材を製造した。シリカゲルの含浸量は140%であり、燃焼抑制剤の含浸量は135%であった。
尚、液体(I−3)の可使時間は約48時間であり、作業性は良好であった。また、コロイダルシリカを70部、ゲル化剤を30部とした場合の可使時間は約36時間と短くなるが、これでも作業性は十分に良好である。
実施例4
30%のシリカを含有するコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「スノーテックス30」)100部と、蟻酸アンモニウム(ゲル化剤)0.5部とを混合してなる液体(I−4)を使用し、珪酸化合物含浸前乾燥工程における乾燥後の単板の水分率を1.5%とし、単板を液体に浸漬させた後の加圧時間を240分間とし、液体(I−4)を含浸させ、風乾させた単板を、40℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、乾燥させてゲル化させ、燃焼抑制剤液を含浸させ、風乾させた単板を、40℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、乾燥させた他は、実施例1と同様にして改質木材を製造した。シリカゲルの含浸量は165%であり、燃焼抑制剤の含浸量は147%であった。
実施例5
30%のシリカを含有するコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「スノーテックス30」)100部と、(NH)HPO(ゲル化剤、太平化学産業社製)0.5部とを混合してなる液体(I−5)を使用し、単板を液体に浸漬させた後の加圧時間を210分間とし、液体(I−5)を含浸させ、風乾させた単板を、40℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、乾燥させてゲル化させた他は、実施例1と同様にして改質木材を製造した。シリカゲルの含浸量は145%であり、燃焼抑制剤の含浸量は138%であった。
実施例6
30%のシリカを含有するコロイダルシリカ(日本化学工業社製、商品名「シリカドール30」)80部と、アルキル基安定化重リン酸アルミニウム(ゲル化剤、P;33%、Al;8%)30部とを混合してなる液体(I−6)を使用し、単板を液体に浸漬させた後の加圧時の圧力を約2.5MPa(25kg/cm)、加圧時間を200分間とし、且つ風乾を1日間とし、液体(I−6)を含浸させ、風乾させた単板を、40℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、乾燥させてゲル化させ、燃焼抑制剤液を含浸させるときの圧力を2.5MPa(25kg/cm)とし、且つ風乾を1日間とし、燃焼抑制剤液を含浸させ、風乾させた単板を、40℃から1℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、乾燥させた他は、実施例1と同様にして改質木材を製造した。シリカゲルの含浸量は144%であり、燃焼抑制剤の含浸量は139%であった。
実施例7
酸性シリカゾル製造装置を用いて、珪酸ナトリウム3号(愛知珪曹工業社製、29%のシリカを含有する。)23リットルと、硫酸とリン酸とを1:2の質量比で混合してなる混酸6リットルと、残部水で合計100リットルの酸性シリカゾルを製造し、このゾルを単板に含浸させた。単板をゾルに浸漬させた後の加圧時の圧力を2MPa、加圧時間を200分間とし、その後、単板を取り出し、表面に過剰に付着しているゾルを布で拭き取り、20%に希釈した珪酸ナトリウム溶液中に1時間浸漬し、表面付近のゾルのゲル化を目視で確認し、次いで、強制循環式恒温乾燥器に収容し、40℃から2℃/分の速度で105℃にまで昇温させ、105℃で24時間保持して乾燥させた。その後、リン酸二水素アンモニウム、リン酸グアニジン、8ホウ酸ナトリウム及びホウ酸を7:3:2:1の質量比で含有する30%濃度の燃焼抑制剤液を使用し、燃焼抑制剤液を含浸させるときの圧力を2.0MPa(20kg/cm)とし、且つ時間を200分間とし、燃焼抑制剤液を含浸させた単板を、15時間風乾させ、且つ40℃から105℃にまで昇温させ、乾燥させた他は、実施例1と同様にして改質木材を製造した。シリカゲルの含浸量は83%であり、燃焼抑制剤の含浸量は168%であった。
(7)実施例1〜7の改質木材の評価
ISO.5660−1に従い、実施例1〜7の改質木材、並びに珪酸化合物の含浸、ゲル化及び燃焼抑制剤の含浸をしていない単板に、シランカップリング剤処理、塗装前下地処理及び塗装をした比較例1の木材について燃焼試験を実施した。試験には、コーンカロリーメータ(東洋精機製作所製、型式「ConeIII」、輻射熱強度;50kW/m)を用いた。結果は表2のとおりである。表2における総発熱量の評価欄の「○」は総発熱量が8MJ/m未満で、難燃性が優れていることを表し、「×」は総発熱量が8MJ/mを超え、難燃性が劣っていることを表す。
Figure 2011152773
表2の結果によれば、実施例1〜7では、20分経過後も改質木材から発生するガスに着火せず、20分経過後の総発熱量は8MJ/m未満であり、優れた難燃性を有していることが分かる。また、リン系燃焼抑制剤とホウ素系燃焼抑制剤とを併用した実施例7では、より多くの燃焼抑制剤が含浸されており、より優れた難燃性を有することが推察される。一方、無処理の木材である比較例1では、9秒で改質木材から発生するガスに着火し、5分後の総発熱量が24MJ/mであり、10分後には63MJ/mになったため、20分後の試験は中止した。このように、比較例1では難燃性が劣っている。
尚、本発明においては、前記の具体的な実施例に限られず、目的、用途等に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、前記のような種類の塗装であれば、十分に難燃処理された木材を用いた場合、塗料の種類、及び目付(例えば、40〜150g/m)によらず、不燃材料としての基準を満たすことが可能である。
本発明及び他の本発明の改質木材の製造方法は、建築用等の広範な用途の木材加工分野において利用することができる。また、建築用に限られず、電柱、ベンチ、木冊、庭園橋及びガードレール等の各種の用途に用いられる木材の加工においても利用することができる。
1:木材(単板)、2:浸透孔、3:木目、4;減圧・加圧式注入装置、51;珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体、52;珪酸化合物を含む液体、53;ゲル化剤を含む液体、6;燃焼抑制剤液、7;強制循環式恒温乾燥器、8;ステンレス製バット。

Claims (13)

  1. 珪酸化合物とゲル化剤とを含む液体(I)を木材に含浸させる珪酸化合物含浸工程(A1)と、
    前記珪酸化合物含浸工程(A1)を経た木材に含浸されている前記珪酸化合物を、前記ゲル化剤の作用によりゲル化させて珪酸化合物ゲルとするゲル化工程(B1)と、
    前記ゲル化工程を経た木材に、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種の燃焼抑制剤を含む燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程(C1)と、を備えることを特徴とする改質木材の製造方法。
  2. 前記珪酸化合物がシリカ又はアルカリ珪酸塩であり、且つ前記ゲル化剤が酸性反応剤又は金属塩反応剤である請求項1に記載の改質木材の製造方法。
  3. 前記液体(I)が前記木材に浸透することを補助する浸透孔を該木材に形成する浸透孔形成工程を備え、該浸透孔形成工程は前記珪酸化合物含浸工程(A1)の前に行う請求項1又は2に記載の改質木材の製造方法。
  4. 前記珪酸化合物含浸工程(A1)を経る前の木材を乾燥させる珪酸化合物含浸前乾燥工程を備え、該珪酸化合物含浸前乾燥工程は前記珪酸化合物含浸工程(A1)の前に行う請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
  5. 前記燃焼抑制剤含浸工程(C1)を経る前の木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸前乾燥工程を備え、該燃焼抑制剤含浸前乾燥工程は前記ゲル化工程(B1)の後、且つ前記燃焼抑制剤含浸工程(C1)の前に行う請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
  6. 前記燃焼抑制剤含浸工程(C1)後に、該燃焼抑制剤含浸工程(C1)を経た木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸後乾燥工程と、該燃焼抑制剤含浸後乾燥工程を経た木材に、シランカップリング剤を浸透させるシランカップリング剤処理工程及び反応性樹脂化合物を含む処理液を浸透させる塗装前下地処理工程と、を備える請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
  7. 珪酸化合物を含む液体(II)を木材に含浸させる珪酸化合物含浸工程(A2)と、
    前記珪酸化合物含浸工程(A2)を経た木材にゲル化剤を含浸させ、前記木材に含浸されている前記珪酸化合物をゲル化させて珪酸化合物ゲルとするゲル化工程(B2)と、
    前記ゲル化工程(B2)を経た木材に、リン系燃焼抑制剤、ホウ素系燃焼抑制剤及びハロゲン系燃焼抑制剤のうちの少なくとも1種の燃焼抑制剤を含む燃焼抑制剤液を含浸させる燃焼抑制剤含浸工程(C2)と、を備えることを特徴とする改質木材の製造方法。
  8. 前記珪酸化合物がシリカ又はアルカリ珪酸塩であり、且つ前記ゲル化剤が酸性反応剤又は金属塩反応剤である請求項7に記載の改質木材の製造方法。
  9. 前記液体(II)が前記木材に浸透することを補助する浸透孔を該木材に形成する浸透孔形成工程を備え、該浸透孔形成工程は前記珪酸化合物含浸工程(A2)の前に行う請求項7又は8に記載の改質木材の製造方法。
  10. 前記珪酸化合物含浸工程(A2)を経る前の木材を乾燥させる珪酸化合物含浸前乾燥工程を備え、該珪酸化合物含浸前乾燥工程は前記珪酸化合物含浸工程(A2)の前に行う請求項7乃至9のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
  11. 前記ゲル化工程(B2)を経る前の木材を乾燥させるゲル化前乾燥工程を備え、該ゲル化前乾燥工程は前記珪酸化合物含浸工程(A2)の後、且つ前記ゲル化工程(B2)の前に行う請求項7乃至10のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
  12. 前記燃焼抑制剤含浸工程(C2)を経る前の木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸前乾燥工程を備え、該燃焼抑制剤含浸前乾燥工程は前記ゲル化工程(B2)の後、且つ前記燃焼抑制剤含浸工程(C2)の前に行う請求項7乃至11のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
  13. 前記燃焼抑制剤含浸工程(C2)後に、該燃焼抑制剤含浸工程(C2)を経た木材を乾燥させる燃焼抑制剤含浸後乾燥工程と、該燃焼抑制剤含浸後乾燥工程を経た木材に、シランカップリング剤を浸透させるシランカップリング剤処理工程及び反応性樹脂化合物を含む処理液を浸透させる塗装前下地処理工程と、を備える請求項7乃至12のうちのいずれか1項に記載の改質木材の製造方法。
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