JP3185650B2 - 難燃性木質材料およびその製造法 - Google Patents

難燃性木質材料およびその製造法

Info

Publication number
JP3185650B2
JP3185650B2 JP04003396A JP4003396A JP3185650B2 JP 3185650 B2 JP3185650 B2 JP 3185650B2 JP 04003396 A JP04003396 A JP 04003396A JP 4003396 A JP4003396 A JP 4003396A JP 3185650 B2 JP3185650 B2 JP 3185650B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame
wood material
water
inorganic
wood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04003396A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09225903A (ja
Inventor
俊夫 蘆谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP04003396A priority Critical patent/JP3185650B2/ja
Publication of JPH09225903A publication Critical patent/JPH09225903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3185650B2 publication Critical patent/JP3185650B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は住宅の天井、壁、
柱、床等に使用される建材や家具、建具、更には住宅建
設等の土木基礎材等に利用される難燃性を有する木質材
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】木材の難燃化方法としては、 (1)P、N、B系難燃化薬剤溶液とこれら薬剤と混合
しても沈殿を生成しない無機塩水溶液を組み合せて透明
な含浸溶液を調整し、減圧後加圧、或いは加圧すること
により木質材料の主として仮道管内(木質材料の縦方向
に走る連通管を指し、難燃化薬剤が進入し得る連通管で
あればよく、この他道管等をも含み、これらを総称して
以下、仮道管と称する)に該混合液を含浸させた後乾燥
させて難燃化する方法(例えば特開昭59−20605
号公報、特開昭62−231074号公報、特開昭64
−87203号公報、特開平1−186302号公報、
特開平2−265701号公報、特開平4−17310
2号公報、特公平4−6739号公報、特公平5−47
362号公報等) (2)水溶性多価カチオン溶液および該溶液と反応して
不溶性沈殿を生成する多価アニオン溶液を準備し、木質
材料の仮道管内に対し何れか一方を含浸させた後他方を
含浸させ、木質材料の仮道管内部で不溶成沈殿を生成さ
せ木材を難燃化する方法(例えば特開平4−14587
号公報、特開平2−301401号公報、特公平4−2
403号公報等) (3)木質材料の仮道管中の空気を炭酸ガスで置換した
後、炭酸ガスと反応して不溶性沈殿を生成する水溶性無
機化合物を含浸させ木材を難燃化する方法(例えば特開
平3−51104号公報) (4)木質材料の仮道管内に直径0.1μmより微細な
無機微粒子スラリーを充填し木材を難燃化する方法(例
えば特開平1−320101号公報) (5)木質材料の仮道管内にアルキルシリケート溶液を
含浸させ木質材料を難燃化する方法(例えば特公平4−
4122号公報) (6)難燃化薬剤溶液を木質材料表面に塗布する方法
(例えば特開昭49−135491号公報、特開平1−
320101号公報、特公平5−8081号公報等) 等の種々の方法が知られている。
【0003】上記方法に於いて、(1)の方法は「処理
コストが安価である」という利点を有するものの、使用
する薬剤が水に可溶性であるため、処理後の該木材が風
雨に曝されると薬剤が溶出し難燃効果が低下するという
欠点を有する。また本方法は木質材料の仮道管内に溶液
を含浸させた後、これを乾燥、固化するため、固化後の
薬剤は導管内壁に付着し中空状態を呈し、酸素遮断機能
が不十分であるという欠点をも有する。
【0004】(2)の方法は、水に不溶性の沈殿物を生
成するので使用時に該木質材料が風雨に曝されても薬剤
が溶出し難いとの利点を有するが、木質材料の仮道管内
に最初に含浸させた液を乾燥せずに、次の溶液を含浸さ
せる方法では、木口面近傍で緻密な沈殿物を形成し、よ
り内部に後で含浸させる溶液が侵入できず、木質材料の
仮道管内に十分な不溶性沈殿物が生成されず十分な難燃
性が発揮できないとの欠点を有する。他方、最初の液を
木質材料の仮道管内に含浸後乾燥し、次いで後の液を含
浸する方法も考えられるが、この方法では最初に含浸、
乾燥、固化した液が仮道管内壁に付着するため後で含浸
した溶液も乾燥すると、最初に含浸、乾燥、固化、形成
した仮道管内壁被着物上に積層形成され、仮道管中心部
には沈殿物が殆ど存在しない充填構造となり酸素遮断性
能が低下するとの欠点を有する。
【0005】(3)の方法は、木質材料中心部まで薬剤
が浸透できるとの利点を有するものの、仮道管中に封入
できる炭酸ガス量が少ないため、該炭酸ガスと反応し生
成する不溶性沈殿量も必然的に少なく高い難燃効果は望
めない。
【0006】また(4)及び(5)の方法は原料コスト
が高く、大量消費材には適用し難い。更に(6)の方法
は処理コストが安いとの利点は有するものの、木質材料
内部は難燃化されておらず、自ずとその難燃性に限界が
ある。
【0007】このように従来公知の難燃化処理剤を木質
材料の仮道管中に含浸、固化させる方法においては、風
雨に曝される場所での使用に於いても、長期間、木質材
料の仮道管内部への酸素遮断性能に優れ、高い難燃性を
付与する方法は提供されていなかった。また他の方法は
処理コストが高く、大量消費材には適用し難いため、当
業界に於いて廉価で酸素遮断性に優れ、高い難燃性を有
する木質材料およびその製造法の開発が嘱望されてい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情下に鑑み、
本発明者は廉価で酸素遮断性に優れ、高い難燃性を有す
る木質材料の処理方法を見出すべく検討していたとこ
ろ、ジャーナル オブ コロイド アンド インターフ
ェイス サイエンス 第166巻、309頁〜315頁
(1994年)〔Jarnal of Colloid
and Interface Science 16
6,309−315(1994)〕中に リマ(Lim
a)等の「ポリ燐酸アルミニウム水溶液からの熱可逆性
ゲルの生成」と題し、その概要が「ポリ燐酸ナトリウム
とアルミニウム塩溶液の混合物は、P/Alモル比を特
定の範囲(1.5〜2.0)に調整する時、常温では溶
液であるが加熱するとゲル化し、冷却すると再び透明溶
液になるという熱可逆性ゲルの性質を示す」との記載を
見出し、かかる性質の熱可逆性ゲルを難燃性付与剤とし
て木質材料の仮道管中に含浸、適用する場合には、従来
の難燃性付与剤の如く乾燥処理による体積収縮により仮
道管中心部が中空になり酸素遮断性能が低下するという
不都合が解消し得るものと推測し、さらに鋭意検討した
結果、廉価で酸素遮断性に優れ、高い難燃性を有する木
質材料並びにその製造法を見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は無機質
熱可逆性ゲルと該ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成し
得る水溶性無機物質を木質材料の仮道管中に充填してな
る難燃性木質材料を提供するものである。また本発明は
熱可逆性ゲルの性質を有する無機質水溶液を乾燥木質材
料に含浸し、次いで該無機質水溶液含浸後の木質材料を
該無機質水溶液の熱ゲル化温度以上で乾燥し、更に乾燥
後の木質材料に該ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成し
得る水溶性無機物質を含浸せしめた後、上記ゲルの熱ゲ
ル化温度以上で乾燥してなる難燃性木質材料の製造法を
提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明は無機質熱可逆性ゲルと該ゲルと反応し水
不溶性沈殿物を生成し得る水溶性無機物質を木質材料の
仮道管中に充填してなる難燃性木質材料を提供するにあ
り、木質材料の仮道管内に難燃化薬剤溶液を含浸させた
後、これを乾燥し木質材料内部に沈殿を生成させる従来
公知の方法に於いて、難燃化薬剤溶液として無機質熱可
逆性ゲル溶液を用いる点、並びに該溶液を木質材料中に
存在する仮道管中に含浸後、該溶液のゲル化温度以上の
温度で乾燥した後、更に該ゲルと反応し水不溶性沈殿物
を生成し得る水溶性無機物質を木質材料中の仮道管中に
含浸、充填させる点で従来方法と異なる。
【0011】本発明に用いる無機質熱可逆性ゲルとはP
/Alモル比0.8〜2.0のアルミニウム塩とポリ燐
酸塩の組成物である。P/Alのモル比が0.8未満の
場合には加熱してもゲル化せず、他方2.0を超える場
合には常温でゲル化するため木質材料の仮道管中に含
浸、充填させることができない。
【0012】木質材料の仮道管中に充填せしめる無機質
熱可逆性ゲルの量は、乾体基準で木質材料の重量に対し
約20重量%以上、普通には約30重量%〜約95重量
%である。充填量が上記範囲より少ない場合には難燃効
果が少なく、他方上限は目的とする難燃度により、また
対象とする木質材料により異なり一義的ではないが、仮
道管内に充填可能な範囲で使用すればよく充填量が多い
程難燃効果は上昇する。
【0013】かかる無機質熱可逆性ゲルの木質材料中へ
の充填方法としては特に制限されるものではないが、例
えば、熱可逆性ゲルの性質を有する無機質水溶液を乾燥
木質材料に含浸し、次いで該無機質水溶液含浸後の木質
材料を該無機質水溶液の熱ゲル化温度以上で乾燥するこ
とにより得られる。
【0014】上記方法に於いて無機質水溶液は、酸性ア
ルミニウム塩7〜11重量%、ポリ燐酸塩4〜9重量%
を含有し、且つP/Alモル比が0.8〜2.0となる
ようにアルミニウム塩、ポリ燐酸塩の組成比を調整した
溶液をもちいれば良い。
【0015】酸性アルミニウム塩としては特に制限され
るものではないが、硫酸アルミニウムまたはポリ塩化ア
ルミニウムが使用される。またポリ燐酸塩としても特に
制限されるものではないが、ポリ燐酸アンモニウムまた
はポリ燐酸ナトリウムを使用すればよい。
【0016】該無機質水溶液の木質材料への含浸に際
し、予め該水溶液中に公知の可溶性難燃化薬剤、防蟻剤
および防腐剤の少なくとも1種を含有させて処理しても
よい。この場合には当然ではあるが難燃性効果の他に添
加した処理剤の効果、例えば防蟻、防腐等の効果をも有
する木質材料を得ることが可能である。
【0017】該無機質水溶液の木質材料への含浸に際
し、処理に供する木質材料は予め乾燥しておくことが好
ましい。乾燥方法は天日乾燥、加熱炉を用いた強制乾燥
の何れでもよく、また乾燥の程度も従来公知の難燃性薬
剤含浸処理に適用される範囲であればよく、通常、木材
に反り、割れが生じない範囲で可能な限り乾燥し使用さ
れる。
【0018】含浸処理方法は公知の方法と特に変わるも
のではなく、乾燥後の木質材料を無機質水溶液に浸漬し
た後、減圧処理し、木質材料中の仮道管の空気を吸引、
除去、減少せしめた後大気圧まで戻すことにより木質材
料の仮道管中に無機質水溶液を含浸せしめるか、或いは
乾燥後の木質材料を無機質水溶液に浸漬した後、加圧し
て木質材料の仮道管中に無機質水溶液を含浸せしめる
か、この両者を併用する、つまり減圧処理後、加圧する
ことにより木質材料の仮道管中に無機質水溶液を含浸せ
しめるかの何れの方法をも採用可能であるが、含浸量か
らは併用法が推奨される。該処理に於いて真空(減圧)
度は約0.1mmHg以上、通常約10mmHg〜約2
00mmHg、また加圧は1kg/cm2 以上、通常2
〜15kg/cm2 程度で実施されるが特に制限される
ものではない。
【0019】含浸処理後の木質材料は次いで乾燥され
る。該木質材料の乾燥温度は含浸させた溶液の熱ゲル化
温度以上、通常約50℃〜約90℃、好ましくは約60
〜約70℃で行い、乾燥の程度は無機質水溶液を含浸し
た木質材料の乾燥減量が含浸溶液量の約30〜約90重
量%の範囲となるように行う。乾燥炉は熱ゲル化温度以
上に加熱できるものであればよく、例えば熱風式乾燥
炉、赤外線式乾燥炉等が使用される。
【0020】熱可逆性ゲル充填後の木質材料は次いで該
ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成し得る水溶性無機物
質を木質材料の仮道管中に充填する。本発明に使用する
無機質熱可逆性ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成し得
る水溶性無機物質としては特に制限されないが、例えば
ホウ素化合物、燐酸塩および炭酸塩のいずれか1種以上
を適用することが推奨される。
【0021】上記に於いて、より具体的にはホウ素化合
物としてはほう酸または硼砂が、燐酸塩としては燐酸3
アンモニウム、燐酸水素2アンモニウム、燐酸2水素1
アンモニウム、ポリ燐酸アンモニウム、燐酸ナトリウ
ム、燐酸水素2ナトリウム、燐酸2水素ナトリウムおよ
びポリ燐酸ナトリウムの群れから選ばれた少なくとも1
種、また炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素アンモニウムおよび炭酸アンモニウム
の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。これら
水溶性無機物質の充填量は、先に充填した熱可逆性ゲル
の充填程度により一義的ではないが、通常木材重量(乾
体基準)に対し、約10重量%以上、普通には約15重
量%〜70重量%の範囲で実施される。
【0022】水溶性無機物質の充填方法としては先に記
述した熱可逆性ゲルの性質を有する無機質水溶液を乾燥
木材に充填させる方法と実質的に変わるものではなく、
熱可逆性ゲルを充填、乾燥後の木質材料を無機質熱可逆
性ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成し得る水溶性無機
物質の水溶液中に浸漬し、(a)減圧処理する方法、
(b)加圧処理方法、(c)減圧処理後加圧処理方法
の何れかの方法で該溶液を木質材料中の仮道管に含浸処
理すればよい。この場合は特に(c)の方法が推奨され
る。含浸条件は熱可逆性ゲルの充填時と同一範囲より選
択される。含浸処理終了後、木質材料は乾燥処理に供す
る。乾燥は常温〜約90℃、好ましくは約50〜約70
℃で行い、乾燥の程度は水溶性無機物質が有する水分量
の40重量%以上、好ましくは60重量%以上の範囲と
なるように行う。乾燥炉は特に制限されないが例えば熱
風式乾燥炉、赤外線式乾燥炉等が使用される。
【0023】該無機質水溶液の木質材料への含浸に際
し、予め該水溶液中に公知の可溶性難燃化薬剤、防蟻剤
及び防腐剤の少なくとも1種を含有させて処理してもよ
い。この場合には当然ではあるが難燃性効果の他に添加
した処理剤の効果、例えば防蟻、防腐等の効果をも有す
る木質材料を得ることが可能である。
【0024】乾燥後の木質材料はそのまま建材、家具材
または土木基礎材として使用してもよく、またその木質
材料表面を防水塗装して用いることも勿論可能である。
【0025】本発明の難燃性木質材料がなにゆえ、酸素
遮断性、難燃性に優れているのかその理由は詳らかでは
ないが、従来公知の難燃化薬剤溶液を用いた場合は乾燥
により水分が蒸発すると含浸溶液の体積が減少するため
木質材料の仮道管中央部は空洞となり固形分は仮道管壁
に偏って付着する。従って仮道管径は細くはなるが空洞
があるため酸素遮断機能が劣る。これに対し本発明の無
機質熱可逆性ゲル溶液を含浸させた場合には、該溶液は
常温では透明な溶液であるため、木質材料内部の仮道管
に該溶液が容易に浸透する点は従来公知の溶液と同じで
あるが、乾燥時、仮道管中に浸透した溶液はゲル化し、
これが仮道管壁面に偏って付着するのではなく、ゲルが
ポーラスになりながら乾燥が進行するため、仮道管内は
ポーラスなゲルで充填された状態となっている。従って
乾燥後も仮道管に空洞が生じず酸素遮断機能は従来法に
比較し著しく改良される。加えて本発明では該ゲル形成
後さらに該ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成しえる水
溶性無機物質を充填し、先に存在するゲルの空洞を充足
するためその木材に存在する仮道管の酸素遮断機能は一
層強化される。それゆえ従来法に比較し酸素遮断機能が
優れ、また充填物が無機物質であることより高い難燃効
果を発揮するものと推測される。
【0026】
【実施例】以下本発明を実施例、比較例を用い更に詳細
に説明する。尚、実施例に於ける難燃性試験は以下の方
法で実施した。 難燃性試験:図1に示す如く架台の上に金網を載せ、下
部にバーナーを載置した後、金網上に7cm×7cm×
1.5cmの試料(木質材料)を載せ、次いで木質材料
の火炎側面が750℃となるように調製したバーナーを
着火し、10分間加熱し試料上面の最高温度、着火の有
無、発煙量、重量減少、テスト終了後の試料の収縮変形
状況(保形性)を調査した。
【0027】実施例1 ポリ燐酸ナトリウム7.1重量%、硫酸アルミニウム1
0.7重量%、残部水よりなるP/Alモル比=1.3
の組成を有する無機質水溶液を木材含浸装置の容器に満
たした後、100gの乾燥杉材を該溶液内に重りをつけ
て浸漬し真空(真空度10mmHg)で30分脱気した
後常圧に戻し8時間浸漬した。浸漬後の杉材重量は22
5.1gであった。得られた杉材を70℃で12時間乾
燥後秤量すると140gであった(固体分含浸量22.
3g/100g杉材)。この乾燥杉材を更に燐酸3アン
モニウム9.4重量%、ほう酸7.9重量%、残部水よ
りなる水溶液を満たした木材含浸装置の容器中に重りを
つけて浸漬し真空(真空度10mmHg)で1時間脱気
した後常圧に戻し8時間浸漬した。浸漬後の杉材重量は
185.9gであった。得られた杉材を60℃で24時
間乾燥後秤量すると145gであった。このサンプルを
40℃で更に120時間乾燥した後難燃性試験を実施し
た。その結果を表1に示す。通常含浸固形分が40%以
上ないと酸素遮断機能が十分発現しないとされている
が、本実施例では固形分30.2重量%で極めて優れた
難燃性を示した。
【0028】実施例2 実施例1の方法に於いて無機質水溶液をポリ燐酸ナトリ
ウム4.8重量%、硫酸アルミニウム7.2重量%、残
部水よりなるP/Alモル比=1.3の組成を有する無
機質水溶液に換えた他は実施例1と同様の方法で浸漬処
理を行った。浸漬処理後の杉材重量は229.5gであ
り、乾燥後のそれは149.8gであった(固体分含浸
量15.5g/100g杉材)。この乾燥杉材を炭酸水
素アンモニウム10重量%、ほう酸10重量%、残部水
よりなる水溶液を満たした木材含浸装置の容器中で実施
例1と同様の方法で浸漬処理した。浸漬後の杉材重量は
217.5gであった。得られた杉材を60℃で24時
間乾燥後秤量すると155gであった(固体分含浸量2
9.1g/100g杉材)。このサンプルを40℃で更
に120時間乾燥した後難燃性試験を実施した。その結
果を表1に示す。このサンプルを40℃*120時間乾
燥した後750℃でバーナーテストした結果を第1表に
示す。通常含浸固形分が40%以上ないと酸素遮断機能
が十分発現しないとされているが、本実施例では固形分
23.9重量%で優れた難燃性を示した。
【0029】比較例1 実施例1で用いた乾燥杉材を何ら処理することなく40
℃で120時間乾燥した後、実施例1と同一の難燃性試
験を実施した。その結果を表2に示す。
【0030】比較例2 実施例1の方法に於いて難燃性薬剤を17%グアニジン
燐酸塩溶液([NH2C(:NH)NH2 2 ・H3
4 )に代えた他は実施例1と同一の方法で浸漬処理し
た。浸漬処理後の杉材重量は、237.0gであった。
得られた杉材を70℃で12時間乾燥後秤量すると14
8.6gであった(固体含浸量23.3g/100g杉
材)。このサンプルを40℃で更に120時間乾燥した
後、難燃性試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0031】比較例3 実施例1の方法に於いて難燃性薬剤を16.7%ほう酸
溶液(水916gにNaHCO3 84gを溶解しついで
ほう酸200gを添加し溶解した水溶液)に代えた他は
実施例1と同一の方法で浸漬処理した。浸漬処理後の杉
材重量は、326.7gであった。得られた杉材を70
℃で12時間乾燥後秤量すると205.1gであった
(固体含浸量53.8g/100g杉材)。このサンプ
ルを40℃で更に120時間乾燥した後、難燃性試験を
実施した。その結果を表2に示す。
【0032】比較例4 実施例1の方法に於いて難燃性薬剤を3号水ガラス2倍
希釈溶液(SiO2 14.5重量%、Na2 O4.67
重量%)に代えた他は実施例1と同一の方法で浸漬処理
した。浸漬処理後の杉材重量は、246.1gであっ
た。得られた杉材を70℃で12時間乾燥後秤量すると
134.6gであった(固体含浸量28.0g/100
g杉材)。このサンプルを40℃で更に120時間乾燥
した後、難燃性試験を実施した。その結果を表2に示
す。
【0033】比較例5 実施例1の方法に於いて難燃性薬剤を燐酸3アンモニウ
ム9.4重量%、ほう酸7.9重量%、残部水よりなる
無機質水溶液に代え、また脱気時間を30分より1時間
に代えた他は実施例1と同一の方法で浸漬処理した。浸
漬処理後の杉材重量は、211.8gであった。得られ
た杉材を60℃で24時間乾燥後秤量すると132.6
gであった(固体含浸量19.3g/100g杉材)。
このサンプルを40℃で更に120時間乾燥した後、難
燃性試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】 表中の記号 ◎優良 ○良 □やや良 △やや不良 ×不良
【0036】
【発明の効果】本発明は、木質材料の仮道管中に無機質
熱可逆性ゲルと該ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生成し
得る水溶性無機物質を充填する方法を採用することによ
り、廉価で酸素遮断性に優れ、高い難燃性を有する木質
材料の提供を可能としたものでその産業的価値は頗る大
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 難燃性試験に用いた装置の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−73597(JP,A) 特開 昭50−152591(JP,A) 特開 昭52−82898(JP,A) 特開 平3−112602(JP,A) 特開 平2−258201(JP,A) 特開 平3−166904(JP,A) 特開 昭63−159006(JP,A) 特開 昭63−51102(JP,A) 特開 平6−254817(JP,A) 特開 昭53−21253(JP,A) 特開 平6−55507(JP,A) 特開 平5−50407(JP,A) 特開 平4−173102(JP,A) 特開 平1−190401(JP,A) 特開 平2−6101(JP,A) 特表 平4−506323(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 3/00 - 3/32

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質熱可逆性ゲルと該ゲルと反応し水
    不溶性沈殿物を生成し得る水溶性無機物質を木材の仮道
    管中に充填してなる難燃性木質材料。
  2. 【請求項2】 無機質熱可逆性ゲルがP/Alモル比
    0.8〜2.0のアルミニウム塩とポリ燐酸塩の組成物
    である請求項1記載の難燃性木質材料。
  3. 【請求項3】 無機質熱可逆性ゲルの木材仮道管中への
    充填量が木材重量に対し20重量%以上である請求項1
    または2記載の難燃性木質材料。
  4. 【請求項4】 無機質熱可逆性ゲルと反応し水不溶性沈
    殿物を生成し得る水溶性無機物質がホウ素化合物、燐酸
    塩および炭酸塩の少なくとも1種である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の難燃性木質材料。
  5. 【請求項5】 無機質熱可逆性ゲルと該ゲルと反応し水
    不溶性沈殿物を生成し得る水溶性無機物質に加え更に、
    水可溶性難燃化剤、防蟻剤および防腐剤の少なくとも1
    種を木材の仮道管中に充填してなる請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の難燃性木質材料。
  6. 【請求項6】 表面を防水塗装してなる請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の難燃性木質材料。
  7. 【請求項7】 ホウ素化合物がほう酸または硼砂の何れ
    かであることを特徴とする請求項4記載の難燃性木質材
    料。
  8. 【請求項8】 燐酸塩が燐酸3アンモニウム、燐酸水素
    2アンモニウム、燐酸2水素1アンモニウム、ポリ燐酸
    アンモニウム、燐酸ナトリウム、燐酸水素2ナトリウ
    ム、燐酸2水素ナトリウムおよびポリ燐酸ナトリウムの
    群れから選ばれた少なくとも1種である請求項4記載の
    難燃性木質材料。
  9. 【請求項9】 炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
    リウム、炭酸水素アンモニウムおよび炭酸アンモニウム
    の群から選ばれた少なくとも1種である請求項4記載の
    難燃性木質材料。
  10. 【請求項10】 熱可逆性ゲルの性質を有する無機質水
    溶液を乾燥木材に含浸し、次いで該無機質水溶液含浸後
    の木材を該無機質水溶液の熱ゲル化温度以上で乾燥し、
    更に乾燥後の木材に該ゲルと反応し水不溶性沈殿物を生
    成し得る水溶性無機物質を含浸せしめた後、上記ゲルの
    熱ゲル化温度以上で乾燥してなる難燃性木質材料の製造
    法。
  11. 【請求項11】 乾燥木材に対する熱可逆性ゲルの性質
    を有する無機質水溶液の含浸量が、乾燥木材100重量
    部に対し40重量部以上である請求項10記載の難燃性
    木質材料の製造法。
  12. 【請求項12】 乾燥木材に対する該ゲルと反応し水不
    溶性沈殿物を生成し得る水溶性無機物質の含浸量が、乾
    燥木材100重量部に対し40重量部以上である請求項
    10または11記載の難燃性木質材料の製造法。
  13. 【請求項13】 熱可逆性ゲルの性質を有する無機質水
    溶液が、酸性アルミニウム塩7〜11重量%、ポリ燐酸
    塩4〜9重量%を含有し、且つP/Alモル比が0.8
    〜2.0となるようアルミニウム塩、ポリ燐酸塩の組成
    比を調製した溶液である請求項10〜12のいずれか1
    項に記載の難燃性木質材料の製造法。
  14. 【請求項14】 酸性アルミニウム塩が硫酸アルミニウ
    ムまたはポリ塩化アルミニウムである請求項13記載の
    難燃性木質材料の製造法。
  15. 【請求項15】 ポリ燐酸塩がポリ燐酸アンモニウムま
    たはポリ燐酸ナトリウムである請求項13記載の難燃性
    木質材料の製造法。
  16. 【請求項16】 無機質水溶液の乾燥木材への含浸法
    が、無機質水溶液中に木材を浸漬し(a)減圧処理する
    方法、(b)加圧処理方法、(c)減圧処理後加圧処理
    方法 の何れかである請求項10〜15のいずれか1項
    に記載の難燃性木質材料の製造法。
  17. 【請求項17】 無機質熱可逆性ゲルと反応し水不溶性
    沈殿物を生成し得る水溶性無機物質が、ホウ素化合物、
    燐酸塩および炭酸塩の少なくとも1種である請求項10
    〜16のいずれか1項に記載の難燃性木質材料の製造
    法。
  18. 【請求項18】 ホウ素化合物がほう酸または硼砂の何
    れかである請求項17記載の難燃性木質材料の製造法。
  19. 【請求項19】 燐酸塩が燐酸3アンモニウム、燐酸水
    素2アンモニウム、燐酸2水素1アンモニウム、ポリ燐
    酸アンモニウム、燐酸ナトリウム、燐酸水素2ナトリウ
    ム、燐酸2水素ナトリウムおよびポリ燐酸ナトリウムの
    群れから選ばれた少なくとも1種である請求項17記載
    の難燃性木質材料の製造法。
  20. 【請求項20】 炭酸塩が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
    トリウム、炭酸水素アンモニウムおよび炭酸アンモニウ
    ムの群から選ばれた少なくとも1種である請求項17記
    載の難燃性木質材料の製造法。
  21. 【請求項21】 熱可逆性ゲルの性質を有する無機質水
    溶液および/または無機質熱可逆性ゲルと反応し水不溶
    性沈殿物を生成し得る水溶性無機物質に可溶性難燃化
    剤、防蟻剤および防腐剤の少なくとも1種を混合する請
    求項10〜20のいずれか1項に記載の難燃性木質材料
    の製造法。
JP04003396A 1996-02-27 1996-02-27 難燃性木質材料およびその製造法 Expired - Fee Related JP3185650B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04003396A JP3185650B2 (ja) 1996-02-27 1996-02-27 難燃性木質材料およびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04003396A JP3185650B2 (ja) 1996-02-27 1996-02-27 難燃性木質材料およびその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09225903A JPH09225903A (ja) 1997-09-02
JP3185650B2 true JP3185650B2 (ja) 2001-07-11

Family

ID=12569610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04003396A Expired - Fee Related JP3185650B2 (ja) 1996-02-27 1996-02-27 難燃性木質材料およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3185650B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NO318253B1 (no) * 2002-07-26 2005-02-21 Wood Polymer Technologies Asa Furanpolymer-impregnert tre, fremgangsmate for fremstilling av samme og anvendelse av samme
JP2007055271A (ja) * 2004-12-03 2007-03-08 Hidetomo Sekikawa 不燃木材板の製造方法及び耐火剤溶液
JP2011031405A (ja) * 2009-07-29 2011-02-17 Forest Blue Inc 木質材料処理組成物、木質材料の処理方法及びそれにより処理された木質材料
KR101908948B1 (ko) * 2016-12-16 2018-10-18 주식회사 인터아이즈 비할로겐계 및 비인계 수용성 난연액

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09225903A (ja) 1997-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006346902A (ja) 改質木材の製造方法
JP3185650B2 (ja) 難燃性木質材料およびその製造法
JP5468924B2 (ja) 改質木材の製造方法
JP3166598B2 (ja) 難燃性木質材料およびその製造方法
CN1490137A (zh) 木材抗流失型阻燃剂及其制备方法
JPH02116505A (ja) 改質合板
JPS6239201A (ja) 改質木材の製法
JPS62275703A (ja) 改質木材の製法
JPH0351104A (ja) 難燃化木材の製法
JP2620164B2 (ja) 改良木質繊維板及びその製造方法
JPH0655507A (ja) 改良木質繊維板及びその製造方法
JPS63137802A (ja) 改質木材の製法
JP2001001306A (ja) 改質木材の製造方法
JPS63134202A (ja) 改質木材の製法
JPS63178001A (ja) 改質木材の製法
JPS6253801A (ja) 改質木材の製法
JPS62144902A (ja) 改質木材の製法
JPH0374884B2 (ja)
JPH028002A (ja) 改質木材の製法
JPH0649131B2 (ja) 無機質調湿材
JPH02258201A (ja) 改質木材の製法
JPH01297203A (ja) 改質木材の製法
JPH0560763B2 (ja)
JPS61270106A (ja) 改質木材の製法
JPS62249707A (ja) 改質木材

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080511

Year of fee payment: 7

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D05

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090511

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees