JP2011150942A - 負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents

負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、充放電を繰り返した場合に充放電容量の減少を抑制できる負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質であって、炭素材料と、上記炭素材料の表面に生成されたリチウム塩由来の物質を含むリチウム塩皮膜とを有することを特徴とする負極活物質を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図4

Description

本発明は、負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法に関し、より詳しくは、充放電に伴う充放電容量の減少を抑制できる負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム二次電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム二次電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化した全固体リチウム二次電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
しかしながら、このような全固体リチウム二次電池においては、固体電解質層が負極層との間において還元分解する問題があった。この問題を解決する技術として、特許文献1においては、負極層と第1の固体電解質層との間に第2の固体電解質層を設けた全固体リチウム二次電池が開示されている。このリチウム二次電池においては、第2の固体電解質層によって、第1の固体電解質層の還元分解を抑制している。また、これに類似する技術が特許文献2に開示されている。
一方、特許文献1に開示された技術においては、第1の固体電解質層と負極層との界面全体を第2の固体電解質層により被覆したり、第2の固体電解質層の膜厚をより厚くする必要があった。このため、リチウムイオン伝導度が低下するという問題が生じていた。
そして、この問題を解決する技術として、特許文献3においては、負極層と固体電解質層との間に、LiNから構成されたLiイオン伝導体修飾層を設けた全固体リチウム二次電池が開示されている。この全固体リチウム二次電池においては、リチウムイオン伝導に対する抵抗を小さくし、出力を向上することができる。
特開2004−206942号公報 特開2005−353309号公報 特開2009−193803号公報
全固体リチウム二次電池においては、充放電の際に膨張収縮が生じる。また、全固体リチウム二次電池の負極層は、負極活物質及び固体電解質を混合した負極用合剤から構成されることが多い。そして、特許文献3に開示された全固体リチウム二次電池においては、Liイオン伝導体修飾層が硬質なLiNから構成される。このため、膨張収縮が生じた場合には、負極層において負極活物質及び固体電解質が移動することがある。この結果、全固体リチウム二次電池の充放電の際に、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じる。
また、全固体リチウム二次電池において、固体電解質は硫化物から構成され、負極活物質は炭素材料から構成されることが多い。この場合には、炭素材料と固体電解質との界面において、炭素材料の官能基と固体電解質との副反応が生じ、これにより固体電解質が劣化する場合がある。
そして、全固体リチウム二次電池においては、これらのパス切れ及び炭素材料の官能基による固体電解質の劣化を原因として、充放電を繰り返した場合に充放電容量が減少するという問題が生じていた。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、充放電を繰り返した場合に充放電容量の減少を抑制できる負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明においては、全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質であって、炭素材料と、上記炭素材料の表面に生成されたリチウム塩由来の物質を含むリチウム塩皮膜と、を有することを特徴とする負極活物質を提供する。
本発明によれば、上述した負極活物質がリチウム塩皮膜を有することにより、全固体リチウム二次電池の負極層において、充放電を繰り返した場合であっても、リチウム塩皮膜がクッション層として機能することにより、負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、リチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
上記発明においては、上記リチウム塩がフッ素を含むことが好ましい。上述したリチウム塩皮膜が、安定して形成されるからである。
上記発明においては、上記リチウム塩がLiPFであることがより好ましい。上述したリチウム塩皮膜が、より安定して形成されるからである。
また、本発明においては、正極層と、上記負極活物質及び固体電解質を含む負極層と、上記正極層及び上記負極層の間に挟持される固体電解質層と、を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池を提供する。
本発明によれば、上述した負極活物質及び固体電解質を含む負極層を用いることにより、負極層において、負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、負極活物質のリチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
上記発明においては、上記固体電解質が硫化物であることが好ましい。上記固体電解質が硫化物である場合には、上述した負極層中の炭素材料と固体電解質との界面において、炭素材料の官能基による副反応が生じる。このため、上述したリチウム塩皮膜によって、この副反応が生じることが防止され、充放電容量が減少する効果はより大きくなるからである。
また、本発明においては、全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質の製造方法であって、リチウム塩及び高沸点炭酸エステルが溶解した溶液に炭素材料を混合する混合工程と、上記炭素材料を混合した上記溶液を乾燥する乾燥工程と、を有し、当該乾燥工程によって得られる物質を負極活物質とすることを特徴とする負極活物質の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した方法によって得られた負極活物質を用いることにより、全固体リチウム二次電池の負極層において、負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、負極活物質のリチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
上記発明においては、上記リチウム塩がフッ素を含むことが好ましい。上述したリチウム塩皮膜が、より安定して形成されるからである。
上記発明においては、上記リチウム塩がLiPFであることがより好ましい。上述したリチウム塩皮膜が、より安定して形成されるからである。
上記発明においては、上記高沸点炭酸エステルがエチレンカーボネートであることが好ましい。エチレンカーボネートの変性物がリチウム塩皮膜に含まれることにより、リチウム塩皮膜がクッション層としてより効果的に機能し、上述したパス切れが生じることをより効果的に防止できる。これにより、充放電容量が減少することをより効果的に防止できる。
上記発明においては、上記溶液に上記高沸点炭酸エステルとしてさらにビニレンカーボネートを用いることが好ましい。ビニレンカーボネートの変性物がリチウム塩皮膜に含まれることにより、リチウム塩皮膜がクッション層としてさらに効果的に機能し、上述したパス切れが生じることをさらに効果的に防止できる。これにより、充放電容量が減少することをさらに効果的に防止できる。
また、本発明においては、上記負極活物質の製造方法によって、負極活物質を製造する負極活物質製造工程と、上記負極活物質及び固体電解質を含む負極層を形成する負極層形成工程と、上記負極層、固体電解質層及び正極層を、上記負極層、上記固体電解質層及び上記正極層の順で積層する積層工程と、を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した方法によって形成された負極層を用いることにより、全固体リチウム二次電池の負極層において、負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、負極活物質のリチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
上記発明においては、上記負極層を形成する際に用いられる上記固体電解質が硫化物であることが好ましい。上記固体電解質が硫化物である場合には、上述した負極活物質中の炭素材料と固体電解質との界面において、炭素材料の官能基による副反応が生じる。このため、上述したリチウム塩皮膜によって、この副反応が生じることが防止され、充放電容量が減少する効果はより大きくなるからである。
本発明においては、全固体リチウム二次電池の充放電に伴う充放電容量の減少を抑制できるといった効果を奏するものである。
本発明の負極活物質の製造方法の一例を説明する説明図である。 本発明の全固体リチウム二次電池の一例を示す概略断面図である。 本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法の一例を説明する説明図である。 実施例1〜4及び比較例1で製造した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価結果を示すグラフである。 実施例 で製造した負極活物質のX線光電子分光測定結果と電子顕微鏡による撮影結果を示した図である。 比較例1で製造した負極活物質のX線光電子分光測定結果と電子顕微鏡による撮影結果を示した図である。
以下、本発明における負極活物質及びその製造方法、並びに全固体リチウム二次電池及びその製造方法について、以下詳細に説明する。
A.負極活物質
まず、本発明における負極活物質について説明する。本発明の負極活物質は、全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質であって、炭素材料と、上記炭素材料の表面に生成されたリチウム塩由来の物質を含むリチウム塩皮膜とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した負極活物質がリチウム塩皮膜を有することにより、充放電を繰り返した場合であっても、全固体リチウム二次電池の負極層においてリチウム塩皮膜がクッション層として機能することにより、負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質との間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、リチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
このような、本発明の負極活物質は、上述したように、炭素材料と、上記炭素材料の表面に生成されたリチウム塩皮膜とを有する。以下、それぞれについて説明する。
1.リチウム塩皮膜
本発明におけるリチウム塩皮膜は、全固体リチウム二次電池の負極層において、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でクッション層として機能する。このため、負極活物質及び固体電解質の移動が防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることが防止される。また、リチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有している。以上により、全固体リチウム二次電池に用いられた場合は、Liイオン伝導性が低下することなく、充放電容量の減少が防止される。
本発明に用いられるリチウム塩皮膜はリチウム塩由来の物質を含むものである。このリチウム塩としては、リチウム塩皮膜がLiイオン伝導性を有するように生成され、かつ、クッション層として機能するように生成されるのであれば、どのようなリチウム塩でも用いることができる。このようなリチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF等の無機リチウム塩、およびLiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩等を挙げることができる。そして、このようなリチウム塩はフッ素を含むものであることが好ましい。上述したリチウム塩皮膜が、安定して形成されるからである。このようなフッ素を含むリチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO等を挙げることができる。
本発明においては、フッ素を含むリチウム塩が中でもLiPFであることがより好ましい。上述したリチウム塩皮膜が、より安定して形成されるからである。
さらに、本発明においては、上記リチウム塩皮膜は高沸点炭酸エステルの変性物が含まれていることが好ましい。高沸点炭酸エステルの変性物がリチウム塩皮膜に含まれている場合、リチウム塩皮膜がクッション層として特に効果的に機能する。このため、上述したパス切れが生じることを特に効果的に防止できる。これにより、充放電容量が減少することを特に効果的に防止できる。このような高沸点炭酸エステルとしては、例えばエチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)等を挙げることができる。
また、リチウム塩皮膜は、上述したように炭素材料の表面に生成されたものである。このリチウム塩皮膜は、炭素材料の表面の20〜100%の範囲内を覆っていることが好ましく、中でも50〜95%の範囲内であることが好ましい。なお、炭素材料の表面において中でも好ましいリチウム塩皮膜が覆っている範囲の上限値を95%にしたのは、この範囲がこの上限値よりも大きい場合には、電子伝導を阻害する可能性があるからである。
そして、このリチウム塩皮膜の膜厚は、リチウム塩皮膜がクッション層として機能することを条件に、適宜定めることができるが、この膜厚は、1〜200nmであることが好ましく、中でも10〜100nmの範囲内であることが好ましい。なお、この膜厚の上限値を100nmにしたのは、この膜厚がこの上限値よりも大きい場合には、リチウム塩皮膜のコートによるイオン伝導の低下が大きくなるからである。
なお、本発明におけるリチウム塩皮膜の製造方法は、特に限定されるものではないが、後述する負極活物質の製造方法を用いることができる。
2.炭素材料
本発明における炭素材料は、全固体リチウム二次電池の負極層において、負極活物質の機能を担うものであり、リチウムイオンを吸蔵・放出する。
本発明における炭素材料は、炭素材料の表面に上述したリチウム塩皮膜が生成されるものであれば、特に限定されるものではなく、どのようなものでも用いることができる。本発明において用いられる炭素材料としては、例えば、天然黒鉛(グラファイト)及びその改良体、人造黒鉛(例えばMCMB),低黒鉛化材料、難黒鉛化材料等を挙げることができる。
本発明において用いられる炭素材料の粒径は、1〜50μmであることがさらに好ましく、中でも2〜30μmの範囲内、特に5〜20μmの範囲内であることが好ましい。なお、炭素材料の粒径の範囲の上限値を50μmにしたのは、炭素材料の粒径がこの上限値よりも大きい場合には、Liイオンの受け渡しが不利になるからである。また、炭素材料の粒径の範囲の下限値を1μmにしたのは、炭素材料の粒径がこの下限値よりも小さい場合には、リチウム塩皮膜が炭素材料の表面に生成されにくくなるからである。
また、本発明における炭素材料は、一般の販売されているものをそのまま用いることができる。
3.負極活物質
本発明における負極活物質は、例えば、後述する全固体リチウム二次電池の負極層を構成する材料として用いることができる。
B.負極活物質の製造方法
次に、本発明における負極活物質の製造方法について説明する。本発明の負極活物質の製造方法は、全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質の製造方法であって、リチウム塩及び高沸点炭酸エステルが溶解した溶液に炭素材料を混合する混合工程と、上記炭素材料を混合した上記溶液を乾燥する乾燥工程と、を有し、当該乾燥工程によって得られる物質を負極活物質とすることを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した方法によって得られた負極活物質を用いることにより、全固体リチウム二次電池の負極層において、負極活物質及び固体電解質が移動することを防止し、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、負極活物質の炭素材料の表面に生成されるリチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。また、本発明によれば、上述したような簡便な方法で、上記効果を奏する負極活物質を得ることができるといった利点もある。さらに、本発明によれば、炭素材料表面に非常に薄くリチウム塩皮膜を形成できるといった利点もある。
図1は、本発明の負極活物質の製造方法の一例を説明する説明図である。図1に示される製造方法においては、まず、出発原料として、リチウム塩、高沸点炭酸エステル及び炭素材料を用意する。次に、上記リチウム塩及び高沸点炭酸エステルが溶解した溶液に上記炭素材料を混合する(混合工程)。次に、上記炭素材料を混合した上記溶液を乾燥する(乾燥工程)。そして、乾燥工程によって得られる物質を負極活物質とする。以下、本発明の負極活物質の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.混合工程
本発明における混合工程においては、リチウム塩及び高沸点炭酸エステルを溶媒に溶解し、これにより得られた溶液に炭素材料を加え、溶液と炭素材料とを混合する。
リチウム塩及び高沸点炭酸エステルを溶解する溶媒としては、リチウム塩及び高沸点炭酸エステルが溶解する溶媒であれば、特に限定されないが、このような溶媒としては、例えばエチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等を挙げることができる。
なお、リチウム塩については、上記「A.負極活物質 1.リチウム塩皮膜」の項目で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明における炭素材料については、上記「A.負極活物質 2.炭素材料」の項目で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本工程においては、さらに、高沸点炭酸エステルが用いられる。ここで、本発明における高沸点炭酸エステルとは、沸点が200℃以上の炭酸エステルを意味する。このような高沸点炭酸エステルをリチウム塩とともに溶媒に溶解させて用いることにより得られる負極活物質において、高沸点炭酸エステルの変性物がリチウム塩皮膜中に残存することにより、リチウム塩皮膜がクッション層としてより効果的に機能する。本発明において用いられる高沸点炭酸エステルとしては、溶媒にリチウム塩とともに溶解することにより、リチウム塩皮膜が生成可能となるのであれば、特に限定されないが、例えばエチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)等を挙げることができる。
本発明においては、上記高沸点炭酸エステルがエチレンカーボネート(EC)であることが好ましい。エチレンカーボネート(EC)の変性物がリチウム塩皮膜に含まれることにより、リチウム塩皮膜がクッション層としてより効果的に機能し、上述したパス切れが生じることをより効果的に防止できる。これにより、充放電容量が減少することをより効果的に防止できる。
リチウム塩及び高沸点炭酸エステルとして、LiPF及びエチレンカーボネート(EC)をそれぞれ用いた場合に、LiPF、エチレンカーボネート(EC)及び炭素材料を混合する割合は、負極活物質の炭素材料表面にリチウム塩皮膜が生成可能であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、重量比で、LiPF:エチレンカーボネート(EC):炭素材料=0.25〜2.5:0.5〜5:92.5〜99.25であることが好ましい。
さらに、本発明においては、上記溶液に上記高沸点炭酸エステルとしてさらにビニレンカーボネート(VC)を用いることが好ましい。ビニレンカーボネートの変性物がリチウム塩皮膜に含まれることにより、リチウム塩皮膜がクッション層としてさらに効果的に機能し、上述したパス切れが生じることをさらに効果的に防止できる。これにより、充放電容量が減少することをさらに効果的に防止できる。
そして、高沸点炭酸エステルとしてさらにビニレンカーボネート(VC)を用いる場合に、LiPF、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)及び炭素材料を混合する割合は、負極活物質の炭素材料表面にリチウム塩皮膜が生成可能であればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、重量比で、LiPF:エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):炭素材料=0.05〜2.5:0.5〜5:0.01〜0.1:92.4〜99.44であることが好ましい。
2.乾燥工程
上述した炭素材料を混合した溶液を乾燥する方法は、負極活物質の炭素材料表面にリチウム塩皮膜が生成可能であればよく、特に限定されるものではないが、混合後すぐに乾燥することが好ましい。リチウム塩が分解することを抑制できるからである。また、真空乾燥を行うことが好ましい。低温で乾燥することができるためリチウム塩が分解することをより効果的に抑制できるからである。本発明における乾燥温度は、50℃〜300℃の範囲内であることが好ましく、中でも100℃〜200℃の範囲内、特に150℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。本発明における乾燥時間は、0.3時間〜10時間の範囲内であることが好ましく、中でも0.5時間〜5時間の範囲内であることが好ましい。
3.負極活物質の製造方法
本発明における負極活物質の製造方法は、例えば、後述する全固体リチウム二次電池の製造方法における負極活物質製造工程において用いられる。
C.全固体リチウム二次電池
次に、本発明における全固体リチウム二次電池について説明する。本発明の全固体リチウム二次電池は、正極層と、上記負極活物質及び固体電解質を含む負極層と、上記正極層及び上記負極層の間に挟持される固体電解質層と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した負極活物質及び固体電解質を含む負極層を用いることにより、充放電を繰り返した場合であっても、負極層において負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、リチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
図2は、本発明の全固体リチウム二次電池の一例を示す概略断面図である。全固体リチウム二次電池10は、正極活物質を含有する正極層1と、負極活物質を含有する負極層2と、正極層1及び負極層2の間に形成された固体電解質層3とを有するものである。
以下、本発明の全固体リチウム二次電池について、構成ごとに詳細に説明する。
1.負極層
まず、本発明の負極層について説明する。負極層は、負極活物質及び固体電解質を含有する層である。
負極活物質としては、「A.負極活物質」で説明した負極活物質が用いられる。この負極活物質を用いることにより、充放電を繰り返した場合であっても、負極層において負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、リチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
本発明において用いられる固体電解質としては、Liイオン伝導性を有するものなら特に限定されないが、例えば、酸化物固体電解質材料、硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
本発明においては、中でも、固体電解質が硫化物固体電解質であることが好ましい。硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性が高く、負極層のイオン伝導性を向上させることができるからである。また、固体電解質が硫化物固体電解質である場合には、上述した負極活物質中の炭素材料と固体電解質との界面において、上述した炭素材料の官能基による副反応が生じるが、上述した負極活物質中のリチウム塩皮膜によって、この副反応が生じることが防止され、充放電容量が減少することをより効果的に防止できるからである。本発明において用いられる硫化物固体電解質としては、例えば、LiS‐P、LiS‐SiS、LiGe0.250.75、70LiS‐30P、75LiS‐25P、80LiS‐20P等を挙げることができる。
そして、負極層における硫化物固体電解質の割合は、全固体リチウム二次電池の種類によって異なるものであるが、例えば0.1体積%〜80体積%の範囲内、中でも1体積%〜60体積%の範囲内、特に10体積%〜50体積%の範囲内であることが好ましい。
また、負極層は導電化材を含有していてもよい。導電化材の添加により、負極層の導電性を向上させることができる。本発明に用いられる導電化材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。
さらに、負極層は結着材を含有していてもよい。本発明で用いられる結着材の種類としては、例えば、フッ素含有結着材等を挙げることができる。
また、負極層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
2.固体電解質層
次に、本発明の固体電解質層について説明する。本発明の固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含有する層である。固体電解質としては、Liイオン伝導性を有するものなら特に限定されないが、例えば、酸化物固体電解質材料、硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
本発明においては、中でも硫化物固体電解質であることが好ましい。硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性が高く、固体電解質層のイオン伝導性を向上させることができるからである。本発明において用いられる硫化物固体電解質としては、例えば、LiS‐P、LiS‐SiS、LiGe0.250.75、70LiS‐30P、75LiS‐25P、80LiS‐20P等を挙げることができる。
また、固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
3.正極層
次に、本発明の正極層について説明する。正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材及び結着材の少なくとも一つを含有していても良い。
正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等を挙げることができる。
なお、正極層に用いられる固体電解質材料および導電化材については、上述した負極層における場合と同様である。また、正極層の厚さは、0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
4.全固体リチウム二次電池
本発明における全固体リチウム二次電池は、エネルギー密度が高く、繰り返し充放電できるため、車載用電池として有用である。また、本発明における全固体リチウム二次電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができ、中でも角型およびラミネート型が好ましく、特にラミネート型が好ましい。
D.全固体リチウム二次電池の製造方法
次に、本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法について説明する。本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法は、上記負極活物質の製造方法によって、負極活物質を製造する負極活物質製造工程と、上記負極活物質及び固体電解質を含む負極層を形成する負極層形成工程と、上記負極層、固体電解質層及び正極層を、上記負極層、上記固体電解質層及び上記正極層の順で積層する積層工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した方法によって形成された負極層に含まれる負極活物質において、炭素材料表面にリチウム塩皮膜が生成されている。このため、充放電を繰り返した場合であっても、負極層において負極活物質及び固体電解質が移動することが防止され、負極活物質どうしの間や負極活物質と固体電解質の間でパス切れが生じることを防止できる。これにより、充放電容量が減少することを防止できる。また、リチウム塩皮膜はLiイオン伝導性を有しているので、負極層のLiイオン伝導性が低下することもない。
図3は、本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法の一例を説明する説明図である。図3に示される製造方法においては、まず、出発原料として、リチウム塩、炭素材料、正極活物質及び固体電解質を用意する。次に、リチウム塩及び炭素材料から、上述した負極活物質の製造方法によって、負極活物質を製造する(負極活物質製造工程)。次に、上記負極活物質及び上記固体電解質を含む負極層を形成する(負極層形成工程)。次に、上記負極層、固体電解質層及び正極層を、上記負極層、上記固体電解質層及び上記正極層の順で積層する(積層工程)。以下、本発明の負極活物質の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.負極活物質製造工程
本発明における負極活物質製造工程は、上記「B.負極活物質の製造方法」の項目で説明した方法と同様であるのでここでの説明は省略する。
2.負極層形成工程
負極層形成工程においては、「1.負極活物質製造工程」おいて製造した負極活物質及び固体電解質を混合する。本発明において用いられる固体電解質としては、Liイオン伝導性を有するものなら特に限定されないが、例えば、酸化物固体電解質材料、硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
本発明においては、中でも、固体電解質が硫化物固体電解質であることが好ましい。硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性が高く、負極層のイオン伝導性を向上させることができるからである。また、固体電解質が硫化物固体電解質である場合には、上述した負極活物質中の炭素材料と固体電解質との界面において、上述した炭素材料の官能基による副反応が生じるが、上述した負極活物質中のリチウム塩皮膜によって、この副反応が生じることが防止され、充放電容量が減少することをより効果的に防止できるからである。本発明において用いられる硫化物固体電解質としては、例えば、LiS‐P、LiS‐SiS、LiGe0.250.75、70LiS‐30P、75LiS‐25P、80LiS‐20P等を挙げることができる。
そして、負極活物質及び固体電解質を混合する割合は、負極層においてLiイオン伝導性を得ることが可能であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、重量比で、負極活物質:固体電解質=10〜90:10〜90であることが好ましく、特に30〜80:20〜70であることが好ましい。
また、固体電解質として特に硫化物系固体電解質を用いる場合、負極活物質及び硫化物系固体電解質を混合する割合は、負極層においてLiイオン伝導性を得ることが可能であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、重量比で、負極活物質:固体電解質=30〜90:10〜70であることが好ましく、特に40〜80:20〜60であることがさらに好ましい。
3.積層工程
本発明における積層工程では、上記負極層形成工程において形成した負極層、固体電解質層及び正極層を、負極層、固体電解質層及び正極層の順で積層する。また、固体電解質層としては、「C.全固体リチウム二次電池 2.固体電解質層」の項目で説明した固体電解質層を用いる。そして、正極層としては、「C.全固体リチウム二次電池 3.正極層」の項目で説明した正極層を用いる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
以下に、実施例1に係る全固体リチウム二次電池の作製方法について説明する。
まず、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DMC)を、1:1:1の重量比で混合して混合溶媒を生成した。
次に、1mol/LのLiPFをこの混合溶媒に溶解してリチウム塩溶液を生成した。次に、グラファイト1gに対して、このリチウム塩溶液を25mg加え、リチウム塩溶液とグラファイトを混合した。具体的には、重量比で、LiPF:エチレンカーボネート(EC):グラファイト=0.1:0.7:99.2となるように、LiPF、エチレンカーボネート(EC)、及びグラファイトを混合した。
次に、グラファイトを混合したリチウム塩溶液を真空乾燥し、乾燥後の物質を負極活物質とした。
次に、この負極活物質及び特開2005−228570に開示された方法で作製した固体電解質Li11を1:1の重量比で混合し、混合後の材料を負極合剤とした。
次に、LiCoOにLiNbOをコートして正極活物質とした。そして、この正極活物質及び固体電解質Li11を7:3の重量比で混合し、混合後の材料を正極合剤とした。
次に、全固体リチウム二次電池の負極層、固体電解質層、及び正極層を、上述した負極活物質、固体電解質Li11、及び正極活物質からそれぞれ形成することにより、上述した図1に示すような全固体リチウム二次電池10を作製した。
[実施例2]
グラファイト1gに対してリチウム塩溶液を100mg加えたこと以外は実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。具体的には、重量比で、LiPF:エチレンカーボネート(EC):グラファイト=0.4:2.8:96.8となるように、LiPF、エチレンカーボネート(EC)、及びグラファイトを混合したこと以外は実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。
[実施例3]
混合溶媒にビニレンカーボネート(VC)をさらに加え、混合溶媒のビニレンカーボネート(VC)の濃度を1重量%にした後に、1mol/LのLiPFを溶解したこと以外は実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。具体的には、重量比で、LiPF:エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):グラファイト=0.1:0.7:0.015:99.185となるように、LiPF、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)及びグラファイトを混合したこと以外は実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。
[実施例4]
混合溶媒にビニレンカーボネート(VC)をさらに加え、混合溶媒のビニレンカーボネート(VC)の濃度を1重量%にした後、1mol/LのLiPFを溶解したこと、及びグラファイト1gに対してリチウム塩溶液を100mg加えたこと以外は実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。具体的には、重量比で、LiPF:エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):グラファイト=0.4:2.8:0.085:96.715となるように、LiPF、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)及びグラファイトを混合したこと以外は実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。
[比較例1]
グラファイトをそのまま負極活物質としたこと以外は、実施例1と同様にして、負極活物質及び全固体リチウム二次電池を作製した。
[評価1]
(充放電測定評価)
実施例1〜4及び比較例1で作製した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価を行った。図4は、実施例1〜4及び比較例1で作製した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価結果を示すグラフである。図4に示したグラフでは、横軸及び縦軸が、充放電サイクル数及び放電容量維持率をそれぞれ示している。
実施例1〜4で作製した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価結果の全てにおいて、比較例1で作製した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価結果よりも、放電容量維持率は高くなった。また、実施例3〜4で作製した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価結果において、実施例1〜2で作製した全固体リチウム二次電池の充放電測定評価結果よりも、放電容量維持率は高くなった。
(電子顕微鏡による撮影及びX線光電子分光)
実施例4で用いた負極活物質及び比較例1で負極活物質としたグラファイトについて、電子顕微鏡による撮影及びX線光電子分光測定を行った。図5(a)は、実施例4で作製した負極活物質の電子顕微鏡による撮影結果を示した図である。図5(b)は、実施例4で作製した負極活物質のX線光電子分光測定結果を示した図である。図5(c)は、実施例4で作製した負極活物質の表面の炭素(C)の分布をX線光電子分光で測定した結果を示した図である。図5(d)は、実施例4で作製した負極活物質の表面のフッ素(F)の分布をX線光電子分光で測定した結果を示した図である。図6(a)は、比較例1で作製した負極活物質としたグラファイトの電子顕微鏡による撮影結果を示した図である。図6(b)は、比較例1で作製した負極活物質としたグラファイトのX線光電子分光測定結果を示した図である。図6(c)は、比較例1で作製した負極活物質の表面の炭素(C)の分布をX線光電子分光で測定した結果を示した図である。図6(d)は、比較例1で作製した負極活物質の表面のフッ素(F)の分布をX線光電子分光で測定した結果を示した図である。
図5(a)に示した電子顕微鏡による撮影結果において、グラファイト表面にリチウム塩皮膜と考えられる生成物が見受けられる。また、図5(b)に示したX線光電子分光測定結果では、炭素(C)及び酸素(O)のピークのみならず、フッ素(F)及びリン(P)のピークが表れている。さらに、図5(c)及び図5(d)に示した撮影結果からは、グラファイト表面に全体的にフッ素(F)が分布していることがわかる。これらの結果から、実施例4で作製した負極活物質のグラファイト表面には、LiPF由来の物質を含むリチウム塩皮膜が生成されていることが確認できた。
一方、図6(a)に示した電子顕微鏡による撮影結果において、グラファイト表面に生成物は見受けられない。また、図6(b)に示したX線光電子分光測定結果では、炭素及び酸素のピークのみが表れている。また、図6(d)に示した撮影結果からは、フッ素の分布は見受けられない。
以上のように、充放電測定評価の結果から、実施例1〜4で作製した全固体リチウム二次電池においては、充放電に伴う充放電容量の減少を防止できることが確認された。これは、電子顕微鏡による撮影及びX線光電子分光の結果を踏まえると、実施例1〜4で作製した負極活物質のグラファイト表面に、LiPF由来の物質及びエチレンカーボネート(EC)の変性物を含むリチウム塩皮膜が生成されたからであると考えられる。また、実施例3〜4で作製した全固体リチウム二次電池においては、実施例1〜2で作製した全固体リチウム二次電池よりも、充放電に伴う充放電容量の減少を効果的に防止できることが確認された。これは、実施例3〜4で作製した負極活物質のグラファイト表面に生成されたリチウム塩皮膜には、さらにビニレンカーボネート(VC)の変性物が含まれるからであると考えられる。
1 … 正極層
2 … 負極層
3 … 固体電解質層
10 … 全固体リチウム二次電池

Claims (12)

  1. 全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質であって、炭素材料と、前記炭素材料の表面に生成されたリチウム塩由来の物質を含むリチウム塩皮膜とを有することを特徴とする負極活物質。
  2. 前記リチウム塩がフッ素を含むことを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  3. 前記リチウム塩がLiPFであることを特徴とする請求項2に記載の負極活物質。
  4. 正極層と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の負極活物質及び固体電解質を含む負極層と、前記正極層及び前記負極層の間に挟持される固体電解質層と、を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  5. 前記固体電解質が硫化物であることを特徴とする請求項4に記載の全固体リチウム二次電池。
  6. 全固体リチウム二次電池に用いられる負極活物質の製造方法であって、リチウム塩及び高沸点炭酸エステルが溶解した溶液に炭素材料を混合する混合工程と、前記炭素材料を混合した前記溶液を乾燥する乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程によって得られる物質を負極活物質とすることを特徴とする負極活物質の製造方法。
  7. 前記リチウム塩がフッ素を含むことを特徴とする請求項6に記載の負極活物質の製造方法。
  8. 前記リチウム塩がLiPFであることを特徴とする請求項7に記載の負極活物質の製造方法。
  9. 前記高沸点炭酸エステルがエチレンカーボネートであることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法。
  10. 前記溶液に前記高沸点炭酸エステルとしてさらにビニレンカーボネートを用いることを特徴とする請求項9に記載の負極活物質の製造方法。
  11. 請求項6〜10のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法によって、負極活物質を製造する負極活物質製造工程と、
    前記負極活物質及び固体電解質を含む負極層を形成する負極層形成工程と、
    前記負極層、固体電解質層及び正極層を、前記負極層、前記固体電解質層及び前記正極層の順で積層する積層工程と、
    を有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法。
  12. 前記負極層を形成する際に用いられる前記固体電解質が硫化物であることを特徴とする請求項11に記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
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