JP2011149019A - シリコンインゴット用水性切削液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水混和性溶媒(A)、特定の化学構造を有するアミン(B)、カルボン酸(C)、および水(W)を必須成分として含有し、水(W)を10〜50重量%含有し、pHが5.0〜9.0であることを特徴とする固定砥粒ワイヤーによるシリコンインゴットスライス用水性切削液。
【選択図】 なし
Description
さらに、加工中や加工後に水とシリコンの反応により水素が発生するという問題があった。
すなわち、本発明は、水混和性溶媒(A)、分子内に下記一般式(1)で表される化学構造(a)および/または下記一般式(2)で表される化学構造(b)を有するアミン(B)、カルボン酸(C)、および水(W)を必須成分として含有し、該アミン(B)を0.01〜5重量と水(W)を10〜50重量%含有し、pHが5.0〜9.0であることを特徴とするシリコンインゴット用水性切削液;これを用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハ;このシリコンウエハを用いて製造された電子材料である。
さらに、アミン(B)の含有量が0.01〜5重量%かつ水(W)の含有量が10〜50重量%であり、水性切削液のpHが5.0〜9.0である必要がある。
また、水混和性溶媒(A)は1種類でもよく2種類以上の混合物であってもよい。
HLB値は有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB≒10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
[式中、R1とR2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基;AOは、1種または2種以上の炭素数が2〜4のオキシアルキル基を表す。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表す。]
アルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
R1とR2として好ましいのは、水素原子、メチル基、エチル基である。
(AO)nは1種のアルキレンオキサイドまたは2種以上のアルキレンオキサイドの付加形式を表し、異種の場合の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。
さらに好ましくは、オキシアルキレン基の炭素数が2〜3であるアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールおよびこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテルである。
特に好ましくは、1,2−プロピレングリコール(HLB40.0)、ジエチレングリコール(HLB27.5)、1,2−プロピレングリコールモノメチルエーテル(HLB14.3)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(HLB14.0)である。
また、アミン(B)は1種類でもよく2種類以上の混合物であってもよい。
従って、アミン(B)の含有量は、使用時の切削液の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%以下である。0.01重量%未満では耐腐食性が不十分であり、5重量%を超えると水とシリコンとが反応して、水素発生量が多くなる。
また、脂肪族、脂環式、芳香族のいずれのカルボン酸でもよいし、(メタ)アクリル酸などの(共)重合物などのポリカルボン酸重合体でもよい。また、官能基、例えば水酸基を含有したオキシカルボン酸でもよく、切削液のpHが5.0〜9.0を満足すれば特に限定されない。
10重量%未満では、アミン(B)とカルボン酸(C)の溶解性が悪化し、50重量%を超えるとシリコンと水との水素発生反応が起こりやすくなる。
このようなpH調整剤としては、金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)などの塩基性化合物;無機酸(例えば塩酸、硝酸、硫酸など)などの酸性化合物等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸またはその塩[例えばブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ソルビン酸、オブツシル酸、カプロレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シトラコン酸、メサコン酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロリデンコハク酸、2,4−ヘキサンジエン二酸、またはこれらの塩];
高級アルコールのリン酸エステルまたはその塩[例えばオクチルアルコールリン酸エステル、ラウリルアルコールリン酸エステル、ステアリルアルコールリン酸エステル、またはこれらの塩];
高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物のリン酸エステルまたはその塩[例えばノニルフェノールのプロピレンオキサイド(2モル)付加物のリン酸エステル、セチルアルコールのエチレンオキサイド(6モル)付加物のリン酸エステル、ラウリルアルコールのプロピレンオキサイド(4モル)付加物のリン酸エステル、オクチルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物のリン酸エステル、またはこれらの];
高級アルコールの硫酸エステルまたはその塩[例えばオクチルアルコール硫酸エステル、ラウリルアルコール硫酸エステル、ステアリルアルコール硫酸エステル、またはこれらの塩];
高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステルまたはその塩[例えばノニルフェノールのエチレンオキサイド(2モル)付加物の硫酸エステル、セチルアルコールのプロピレンオキサイド(6モル)付加物の硫酸エステル、ラウリルアルコールのプロピレンオキサイド(4モル)付加物の硫酸エステル、オクチルアルコールのエチレンオキサイド(10モル)付加物の硫酸エステル、またはこれらの塩]などが挙げられる。
なお、これらの塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアなどの無機アルカリとの塩;アミン、第4級アンモニウムなどの有機塩が挙げられる。
潤滑剤の含有量は、使用時の切削液に対して、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%、さらに好ましくは0.001〜0.5重量%である。0.001重量%未満では潤滑性が不十分であり、10重量%を超えると抑泡性が不十分である。
分散剤の含有量は、使用時の切削液に対して、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。0.01重量%以上であれば分散効果がさらに発揮されやすく、5重量%以下であれば切粉が凝集しにくい傾向にある。
また、本発明の水性切削液は、加工中または加工後のpHの変化を抑える事ができるため、シリコンと水との反応による水素の発生を長時間にわたって抑えることができる。
表1記載の配合比(重量部)で各成分を配合し、実施例1〜7及び比較例1〜5の水性切削液を調製した。
また、表中の記号のPGはプロピレングリコール、DEGはジエチレングリコール、DBUは1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、BTAは1,2,3−ベンゾトリアゾールを表す。
なお、pHメーターは堀場製作所製F−12を使用した。
(1)被めっき物の調製
Feのテストピース(商品名:SPCC,SD、テストピース社製、厚さ0.6mm)を、縦2.0cm×横0.8cmに切断し、金属表面を紙やすり(商品名:Wetordry Tri−M−ite Paper #1000、3M社製)及び平均粒径1μmのアルミナ砥粒(商品名:A−32、日本軽金属社製)で研磨した後、38kHzの超音波洗浄機(イオン交換水、25℃、5分間)および、200kHzの超音波洗浄機(イオン交換水、25℃、5分間)で浸漬洗浄を行った後、窒素気流で乾燥させて、被めっき物を作成した。
硫酸ニッケル六水和物18重量部、塩化ニッケル六水和物3.5重量部、ホウ酸2重量部及びイオン交換水76.5重量部の配合部数で作成した金属めっき液50gを50mlのビーカーに秤量し、被めっき物を浸漬させ、陰極電流密度0.44A/dm3×10分間の条件で、電解めっきを行うことにより、金属めっき物を作成した。
金属めっき物を恒温恒湿機を用い、50℃の条件下で各水性切削液50gに48時間浸漬させた試験片の耐腐食性を、微細欠陥可視化検査装置(機器名:Micro−Max(VMX−4100Napier、VISION PSYTEC社製)で観察、目視にて評価した。めっき表面の変化が全くないものを○、一部に変化が確認されるものを△、全面が変化したものを×と判定した。
(1)各水性切削液100gにシリコン粉末(高純度化学研究所製、純度99%、平均粒径1μm)を10g加えホモミキサー(特殊機化工業製TK−ROBOMICS)を用いて5000rpmで1時間撹拌してスラリーを得た。
(2)得られたスラリーをサンプル瓶に移し、ガラス管を通したゴム栓をして60度の恒温高温槽に72時間静置し、その間発生する水素を水上置換法にてメスシリンダーに回収して水素発生量を測定した。
○:水素ガス発生量が50ml未満
△:水素ガス発生量が50〜100ml
×:水素ガス発生量が100ml以上
一方、アミンとしてトリエタノールアミンを用いた比較例1は耐腐食性が劣る。アミンの配合量の多い比較例2、酸として無機酸の塩酸を用いた比較例3は水素発生量が多い。KOHの配合量が多いためpHの高い比較例4、水分量が多い比較例5は水素発生量が多く、耐腐食性が劣る。
また、本発明の水性切削液は、pHによって腐食や溶解の可能性がある金属、ガラス等の切削にも有用である。
本発明の水性切削液を用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハを用いて製造される電子材料としては、例えばメモリー素子、発振素子、増幅素子、トランジスタ、ダイオード、CCD 、太陽電池、IC、LSI等が挙げられ、例えば太陽光発電装置、ディスプレイ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー等に使用する事ができる。
また、本発明の水性切削液は、水晶、炭化ケイ素、サファイヤ、ガーネットなどの硬質な被加工物を切削する際に使用する切削液としても有用である。
Claims (9)
- 固定砥粒ワイヤーを用いてシリコンインゴットを切断する請求項1記載の水性切削液。
- 該アミン(B)が、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、1,2,3−トリアジン、1,2,3−トリアゾールおよび1,2,3−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の水性切削液。
- 該アミン(B)とカルボン酸(C)の重量比(B)/(C)が20/80〜80/20である請求項1〜3いずれか記載の水性切削液。
- 該カルボン酸(C)がクエン酸である請求項1〜4いずれか記載の水性切削液。
- 該水混和性溶媒(A)が、HLBが10〜45のポリオキシアルキレン付加物(A1)である請求項1〜5いずれか記載の水性切削液。
- 該ポリオキシアルキレン付加物(A1)が下記一般式(3)で表される請求項6記載の水性切削液。
R1O−(AO)n−R2 (3)
[式中、R1とR2はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基;AOは、1種または2種以上の炭素数が2〜4のオキシアルキル基を表す。nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表す。] - 請求項1〜7いずれか記載の水性切削液を用いてシリコンインゴットをスライスして製造されたシリコンウエハ。
- 請求項8に記載のシリコンウエハを用いて製造された電子材料。
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