JP2011148920A - ポリプロピレン樹脂組成物及びポリプロピレン樹脂製フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時の発煙やロール汚れを抑制するとともに、紫外線の広い波長範囲で吸収性能を有するポリプロピレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂94.2〜99.69重量%、トリアジン系紫外線吸収剤0.3〜5重量%及びベンゾエート系紫外線吸収剤0.01〜0.8重量%を含むポリプロピレン樹脂組成物(ただしポリプロピレン樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾエート系紫外線吸収剤の合計を100重量%とする)。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物及びポリプロピレン樹脂製フィルムに関する。
ポリプロピレン樹脂に紫外線吸収性能を付与するために、紫外線吸収剤を添加することは一般的によく知られている。例えば特許文献1のように、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選択される1種または2種以上の紫外線吸収剤をポリプロピレン樹脂に添加することも知られている。これら紫外線吸収剤は、その構造によって吸収する紫外線の波長が異なり、混ぜる樹脂や、使用目的に応じて選択される。特許文献2には、ポリプロピレン樹脂にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とベンゾエート系紫外線吸収剤をある分量で混合することにより、長期にわたりブリードせず、かつ耐NOx性に優れる樹脂組成物が得られることが記載されている。
特開平11−228760 特開2000−159945
しかしながら、紫外線吸収剤およびポリプロピレン樹脂を含む樹脂組成物を高温で押出し成形すると、紫外線吸収剤の種類や添加量によっては、成形中に紫外線吸収剤が揮発して煙が発生して作業環境が悪化したり、紫外線吸収剤がブリードして冷却ロールに付着し、汚れを生じたりすることがあった。
本発明は、これまでのポリプロピレン樹脂に紫外線吸収剤を添加したときに問題となっていた成形時の発煙やロール汚れを抑制するとともに、紫外線の広い波長範囲で吸収性能を有するポリプロピレン樹脂組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、ポリプロピレン樹脂94.2〜99.69重量%、トリアジン系紫外線吸収剤0.3〜5重量%及びベンゾエート系紫外線吸収剤0.01〜0.8重量%を含むポリプロピレン樹脂組成物(ただしポリプロピレン樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾエート系紫外線吸収剤の合計を100重量%とする)である。
本発明は、成形時の発煙やロール汚れを抑制すると伴に、紫外線の広い波長範囲で吸収性能を有するポリプロピレン樹脂組成物である。
本発明におけるポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ヘプテン共重合体、プロピレン−1−ノネン共重合体、プロピレン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ウンデセン共重合体、プロピレン−1−ドデセン共重合体、プロピレン−1−トリデセン共重合体、プロピレン−1−テトラデセン共重合体、プロピレン−1−ペンタデセン共重合体、プロピレン−1−ヘキサデセン共重合体、プロピレン−1−ヘプタデセン共重合体、プロピレン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−ナノデセン共重合体、プロピレン−1−エイコセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体等が挙げられるが、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体である。これらポリプロピレン樹脂は、1種でも2種以上併用してもよい。
中でもポリプロピレン単独重合体が特に好ましい。20℃におけるキシレン可溶分(CXS)が1重量%以下であるポリプロピレン単独重合体であることが好ましい。ポリプロピレン単独重合体のCXSは、より好ましくは0.8重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。
本発明におけるトリアジン系紫外線吸収剤としては、2,6−ジフェニル−4−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、または、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−混合オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが好ましく、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが特に好ましい。
本発明におけるベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−t−オクチルフェニルサリシレート等が好ましい。より好ましくは2,4−ジ−t−アミルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである。
本発明の樹脂組成物は、トリアジン系紫外線吸収剤として2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ベンゾエート系紫外線吸収剤として2,4−ジ−t−アミルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートを含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物に含まれるポリプロピレン樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾエート系紫外線吸収剤の合計を100重量%とするとき、ポリプロピレン樹脂94.2〜99.69重量%、トリアジン系紫外線吸収剤0.3〜5重量%及びベンゾエート系紫外線吸収剤0.01〜0.8重量%を含む。
トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、0.3〜5重量%が好ましく、0.5〜1重量%がより好ましい。0.3重量%未満の場合は、紫外線吸収性能の発現が不十分である。5重量%を超える場合は、フィルムが着色したり、経時によるブリードが懸念される。また、長時間フィルム製膜を実施する場合に冷却ロールに付着し、汚れを生じるおそれもある。
ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量は、0.01〜0.8重量%が好ましく、0.05〜0.1重量%がより好ましい。0.01重量%未満の場合は、紫外線吸収性能の発現が不十分である。0.8重量%を超える場合は、フィルム製膜加工時に発煙やロール汚れを生じることが考えられ、ロングラン加工する場合に特に影響が大きくなることが懸念される。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、本発明の効果を著しく抑制しない範囲で、1種類以上の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、加工安定剤、造核剤、透明化核剤、帯電防止剤、滑剤、加工助剤、金属石鹸、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料)、発泡剤、抗菌剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤が上げられる。酸化防止剤としては、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。帯電防止剤は、中でも酸化防止剤が好ましく用いられる。例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤等が挙げられる。特に好ましくは、フェノール系酸化防止剤が用いられる。
本発明に用いられるポリプロピレン樹脂組成物は、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜200g/10分の範囲内であることが好ましく、0.5〜15g/10分の範囲内であることがさらに好ましい。MFRがこの範囲内にあるポリプロピレン樹脂組成物を用いることにより、押出機に大きな負担をかけることなく、均一なポリプロピレンフィルムを得ることができる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂と紫外線吸収剤を混練して得ることができる。混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機、ハンバリーミキサー、熱ロール等の混練機を用いる方法が挙げられる。押出機には、フィルターを装着して使用することが好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤とベンゾエート系紫外線吸収剤は、プロピレン系重合体に対して融点が低く溶融混練時に揮発減少する可能性があるため、なるべくプロピレン系重合体の融点近く(140〜170℃)で溶融混練することが好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を使用して、ポリプロピレン樹脂製フィルムを製膜することができる。製膜には、Tダイ押出し製膜機、インフレーション製膜機等を使用することができるが、特に指定されるものではない。ポリプロピレン樹脂製フィルムを光学用途に使用する場合には、フィルムに透明性を求められるため、Tダイ押出し製膜機による製膜が好ましい。
Tダイ押出し製膜機にてポリプロピレンフィルムを製膜するときの押出し樹脂温度は、250℃以上310℃以下が好ましく、270℃以上300℃以下がより好ましい。成形時の冷却ロール温度は低いほど得られるフィルムの透明性は上がる傾向にあるが、作業環境の湿度によりロールへの結露が発生する恐れがあるため、10℃以上30℃以下が好ましく、15℃以上25℃以下がより好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物からなるポリプロピレン樹脂製フィルムの厚さは、1〜500μmが好ましく、2〜200μmがより好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂製フィルムを偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム等の光学用途に用いる場合、該フィルムは透明性に優れていることが好ましく、具体的には、JIS K 7105に従って測定される全ヘイズ値が10%以下、好ましくは7%以下、更に好ましくは2%以下である。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[評価項目]
(発煙)
樹脂温度275℃にてTダイ法で製膜実施したときに、Tダイ部(樹脂押し出し出口)にて発煙が目視で見えるかどうか確認した。発煙が無い場合を○、発煙が見えた場合を×とした。
(ロール汚れ)
同じく樹脂温度275℃にてTダイ法にて製膜実施したときに、フィルム加工後チルロール表面を手で触ってみて付着物の無い場合○、ある場合×とした。
(紫外線吸収特性)
フィルムをUV透過率測定器(島津製作所製UV3150)にて測定。測定波長20〜400nm間の平均透過率が50%未満の場合○、50%以上の場合×とした。
[マスターバッチの作成]
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、MFR8g/10min)90重量%、紫外線吸収剤 10重量%、フェノール系酸化防止剤0.15重量%をシリンダー径50mmの押出機にて溶融混練してストランドを作成し、冷却、カットして約2mmのマスターバッチペレットを作成した。(マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は10重量%)
トリアジン系紫外線吸収剤としては、日本サイテック インダストリーズ(株)社製「サイアテックUV−1164」 (2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン)を用いた。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、住化ケムテックス(株)社製「ケミソーブ113」(2,4−ジ−t−アミルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート)を用いた。
[実施例1]
トリアジン系紫外線吸収剤のマスターバッチ10重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤のマスターバッチ1重量%をポリプロピレン樹脂(住友化学(株)社製「ノーブレンFLX80E4」)89重量%とブレンドし、シリンダー径50mmの単軸押出し機へ供給し、樹脂温度275℃、引取り速度 8m/分、冷却ロール18℃でエアーチャンバーを用いて押出し成形を行い、平均厚さ75μmのフィルムを得た。フィルム成形時には、Tダイ付近での発煙は認められず、ロール汚れも発生していなかった。得られたフィルムの紫外線透過率は、波長250〜400nmの平均値で16.8%だった。
[実施例2]
トリアジン系紫外線吸収剤マスターバッチ5重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤マスターバッチ5重量%をブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。フィルム成形時には、Tダイ付近での発煙は認められず、ロール汚れも発生していなかった。得られたフィルムの紫外線透過率は、波長250〜400nmの平均値で22.4%だった。
[比較例1]
トリアジン系紫外線吸収剤マスターバッチ1重量%をブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。フィルム成形時には、Tダイ付近での発煙は認められず、ロール汚れも発生していなかった。得られたフィルムの紫外線透過率は、波長250〜400nmの平均値で57.1%だった。
[比較例2]
トリアジン系紫外線吸収剤マスターバッチ10重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤マスターバッチ10重量%をブレンドした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。フィルム成形時には、Tダイ付近で発煙がはっきりと見られ、加工後チルロール表面にべたつきが見られた。得られたフィルムの紫外線透過率は、波長250〜400nmの平均値で17.0%だった。

Claims (4)

  1. ポリプロピレン樹脂94.2〜99.69重量%、トリアジン系紫外線吸収剤0.3〜5重量%及びベンゾエート系紫外線吸収剤0.01〜0.8重量%を含むポリプロピレン樹脂組成物(ただしポリプロピレン樹脂、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾエート系紫外線吸収剤の合計を100重量%とする)。
  2. トリアジン系紫外線吸収剤が、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンである請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. ベンゾエート系紫外線吸収剤が、2,4−ジ−アミルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物からなるポリプロピレン樹脂製フィルム。
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