JP4135041B2 - 樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、或る種の化合物を紫外線吸収剤として組み合わせて用いることにより、400nmから200nmの紫外線領域の波長光を吸収し、かつ長期にわたりブリードせず、かつ耐NOx性に優れた透明性を有した樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂やその他プラスチックスに耐候安定性を付与するために、紫外線吸収剤と光安定剤を併用し添加することは一般的によく知られている。また、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系等があり、光安定剤としてはヒンダードアミン系がよく使用される。
【0003】
また、紫外線領域の波長光を吸収し、隠蔽するための処方として、微粒子酸化亜鉛や酸化チタン等の無機化合物を添加することもよく知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これまで検討を重ねた結果、特定のトリアジン系、ベンゾトリアゾール系等を組み合わせることにより380nmから200nmの紫外線領域の波長光を吸収することは可能である。
しかしながら、紫外線吸収剤を使用し400nmから200nmの紫外線領域の波長光を吸収するためには、通常使用されているベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系等の紫外線吸収剤では400nmから380nmの波長光を吸収することができない。また、ポリオレフィン系樹脂の薄いフィルムにおいては多量の添加が必要となり、また、ポリオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤や光安定剤は相溶し難く、成形加工時のプレートアウトやブリードアウト、保存時のブリードアウト等が生じ、長期にわたり品質の安定した製品を得ることができない。
【0005】
また、微粒子酸化亜鉛や酸化チタン等の無機化合物を添加する処方では、紫外線により電子の励起等が発生し、それらの添加剤が光触媒反応の核になり、樹脂等の劣化を引き起こす原因となる。また多量に添加すると透明性が失われる。
【0006】
そこで、上記従来の問題点を解消し、400nmから200nmの紫外線領域の波長光を吸収し、添加剤のプレートアウトやブリードアウトが生じず、かつ透明性を有する樹脂組成物およびその成形物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂(a)と、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)と、ヒンダードアミン系光安定剤(f)と、フォスファイト系抗酸化剤(g)とを必須成分とし、さらにその必須成分に、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)又はベンゾエート系紫外線吸収剤(e)を加えた樹脂組成物が良好な特性を示すことを見出し本発明をなすに至った。
【0011】
即ち、第1の発明は、この様な樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹脂(a)99.90〜96.90重量%、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)0.02〜0.70重量%、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)0.02〜0.50重量%分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)0.02〜0.07重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(f)0.02〜0.70重量%、フォスファイト系抗酸化剤(g)0.02〜0.50重量%とからなる樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、第2の発明は、この様な樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹脂(a)99.90〜96.70重量%、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)0.02〜0.70重量%分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)0.02〜0.70重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤(e)0.02〜0.70重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(f)0.02〜0.70重量%、フォスファイト系抗酸化剤(g)0.02〜0.50重量%とからなる樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
さらに、第3の発明は、この様な組成物において、ポリオレフィン系樹脂(a)99.88〜96.20重量%、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)0.02〜0.70重量%、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)0.02〜0.50重量%分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)0.02〜0.70重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤(e)0.02〜0.70重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(f)0.02〜0.70重量%、フォスファイト系抗酸化剤(g)0.02〜0.50重量%とからなる樹脂組成物を提供するものである
【0022】
そして、上記の樹脂組成物自体を用い、またはこの樹脂組成物を含有させた成形用素材を用いることによってシート、フィルム、筺体等の各種の成形物を得ることができ、それらは、長期にわたって400nmから200nmの紫外線領域の波長光を吸収し、プレートアウトやブリードアウトが生じず、かつ耐NOx性に優れ、透明性を有するものとすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の典型的なものおよび最良の状態は後記する実施例に具体的に示されるが、本発明を実施する上で選択可能な各種構成要件について以下に詳細に説明する。
【0024】
本発明の樹脂組成物ポリオレフィン系樹脂(a)と、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)と、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)と、ヒンダードアミン系光安定剤(f)と、フォスファイト系抗酸化剤(g)とを必須成分とし、さらにその必須成分に、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)又はベンゾエート系紫外線吸収剤(e)を加えた樹脂組成物である。
【0025】
本発明の樹脂組成物において、前記(b)成分の配合比率は、樹脂組成物中0.02〜0.70重量%である。(b)成分の配合比率が、0.02重量%未満であると十分な紫外線領域の波長光に対する吸収特性が得られず、0.70重量%を超えるとプレートアウトが生ずる。また、前記(d)成分の配合比率は、樹脂組成物中0.02〜0.70重量%である。(d)成分の配合比率が、0.02重量%未満であると十分な紫外線領域の波長光に対する吸収特性が得られず、0.70重量%を超えるとプレートアウトが生ずる。さらに、前記(f)成分の配合比率は、樹脂組成物中0.02〜0.70重量%であり、前記(g)成分の配合比率は、樹脂組成物中0.02〜0.50重量%である。これらの(f)成分および(g)成分の配合により耐候安定性および加工時の耐熱安定性さらに耐NOx性を向上することができる。
【0026】
本発明の樹脂組成物においては、上記の(a)成分、(b)成分、(d)成分、(f)成分および(g)成分の他に、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)又はベンゾエート系紫外線吸収剤(e)を配合する。前記(c)成分を配合する場合の配合比率は、樹脂組成物中0.02〜0.50重量%である。(c)成分の配合比率が、0.02重量%未満であると十分な紫外線領域の波長光に対する吸収特性が得られず、0.50重量%を超えるとブリードアウトが生ずる。また、前記(e)成分を配合する場合の配合比率は、樹脂組成物中0.02〜0.70重量%である。(e)成分の配合比率が、0.02重量%未満であると十分な紫外線領域の波長光に対する吸収特性が得られず、0.70重量%を超えるとプレートアウトが生ずる。
【0027】
本発明の樹脂組成物において、ポリオレフィン系樹脂(a)の樹脂組成物中の配合比率は、前記(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分、(f)成分および(g)成分の配合比率の合計を樹脂組成物100重量%から差し引いた残部となる。具体的には、必須成分である(a)成分、(b)成分、(d)成分、(f)成分および(g)成分に加え、(c)成分を配合した場合の(a)成分の配合比率は、樹脂組成物中99.90〜96.90重量%である。また、必須成分である(a)成分、(b)成分、(d)成分、(f)成分および(g)成分に加え、(e)成分を配合した場合の(a)成分の配合比率は、樹脂組成物中99.90〜96.70重量%である。さらに、必須成分である(a)成分、(b)成分、(d)成分、(f)成分および(g)成分に加え、(c)成分および(e)成分を配合した場合の(a)成分の配合比率は、樹脂組成物中99.88〜96.20重量%である。
【0030】
(a)成分として用いられるポリオレフィン系樹脂としては透明性を有するポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂が使用可能である
【0031】
また、(a)成分として好適であるポリオレフィン系樹脂としては、ブリードし難いホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂が最も好適である。また、これらポリプロピレンの耐寒性、柔軟性等を改善するために、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ポリプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体およびその水添化合物等を添加した組成物、および無水マレイン酸等により変性されたポリプロピレンやポリエチレン系の各種樹脂を添加した組成物も好適である。
【0032】
(c)成分として用いられる分子中にトリアジンを含有する化合物としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、分子量が400〜2000であることがより好適である。分子量が400以下であるとブリードし易く、2000以上であると相溶性に欠けるため樹脂強度が低下する。紫外線領域の波長光の吸収特性から2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールあるいは2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノールが最も好適である。
【0033】
(d)成分として用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ブリードし難いことから、分子量は400以上である。このベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の中でも、紫外線領域の波長光の吸収特性から2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]あるいは2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールが最も好適である。
【0034】
(e)成分として用いられるベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−t−オクチルフェニルサリシレート等が好適である。ブリードし難い点で分子量が400以上のものがより好適である。ブリードし難い2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートが最も好適である。
【0035】
(f)成分として用いられるヒンダードアミン系光安定剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ポリ{[6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノヘキサメチレン][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が好適である。特にコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ポリ{[6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノヘキサメチレン][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}が好適である。また、ブリードし難い点で分子量が1500以上のものであることがより好適である。
【0036】
(g)成分として用いられるフォスファイト系抗酸化剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエテル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジフォスフォナイト等が好適である。特に分子量が600〜1500であることが、ブリードおよび相溶性からより好適である。
【0037】
本発明の樹脂組成物において、光安定剤等の添加剤(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)を請求項1からの比率でより高濃度化する事が可能である。こうして得られたマスターバッチを熱可塑性樹脂に添加し使用することができる。
【0038】
また、本発明の樹脂組成物と微粉酸化亜鉛や酸化チタンと併用し使用することができる。これにより微粉酸化亜鉛や酸化チタンの使用量を低減することができ、透明性を向上することが可能となる。
【0039】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系、チオエーテル系等の酸化防止剤、ヒドラジン化合物等の金属不活性化剤等の安定剤類、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シリコーン系、脂肪酸アマイド等の離型剤および滑剤、金属石鹸、脂肪酸アマイド等の分散剤、界面活性剤等の帯電防止剤、アルキル置換ジベンジリデンソルビトール、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム等の核剤、染料や有機系および無機系顔料等の着色剤、デカブロモジフェニールエーテル、デカブロモジフェニールエタン、1,2-ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂難燃剤、ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロピルオキシフェニル)スルフォン等の臭素含有難燃剤、1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14-ドデカクロロ-1,4,4a,5,6,6a,7,10,10a,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,4,7,10-ジメタノジベンゾ(a,e)シクロオクテン等の塩素含有難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等金属水和物、シアヌル酸メラミン等のチッソ含有難燃剤、縮合リン酸エステル等のリン含有難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ジンクボーレート等の難燃助剤等を添加することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、Tダイ、インフレーション等の押出成形や射出成形等の加工が容易であるので、該樹脂組成物自体を用い、または該樹脂組成物を含有させた成形用素材を用いることによって、シート、フィルム、筺体等の各種の成形物を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物は、長期にわたって400nmから200nmの紫外線領域の波長光を吸収し紫外線領域の波長光を透過せず、プレートアウトやブリードアウトが生じず、かつ耐NOx性に優れ、透明性を有することから防虫駆除農業用フィルム、化粧品等の包装フィルム、ショーウィンドウ、紫外線保護容器、建築材料等幅広い分野で使用することができる。また、他の素材との組み合わせにより、より広い用途に使用可能である。
【0041】
【実施例】
以下本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における%表示は、すべて重量基準である。
【0042】
実施例1〜11,比較例1〜13
表1〜に記載した成分および配合比率で、タンブラーにより混合した後、30mmφの二軸ベント式押出機で溶融混練後、ペレット化した。このペレットを用いて、Tダイ押出により成形し、0.3mm厚のシート状試験片を作成した。各特性の評価は以下の方法で実施し、評価結果は表1〜に併せて記載した。
【0043】
(1)成形性:Tダイにて230℃で押出試験を実施し、加工性を評価した。
(2)ブリード試験:シートを40℃のギヤ式オーブンに7日間放置し、ブリードの有無を目視にて確認した。
(3)紫外線透過:400〜200nmの紫外線領域の波長光の透過率を0.3mm厚シートで測定。透過する波長の有無と透過波長(単位nm)を表示。
(4)黄変試験:JIS L 0855弱試験に準拠して実施した。
【0044】
表1〜で明らかなように、実施例1〜11の本発明の樹脂組成物では、0.3mm厚のシートにおいて400nmから200nmの紫外線領域の波長光での透過は見られない。また、ヒンダードアミン系光安定剤およびフォスファイト系抗酸化剤の添加により、耐NOxによる黄変特性が改良される。
【0045】
2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェンを添加しないと400nmから380nmの波長光は吸収することができない。
【0046】
分子中にトリアジンを含有する化合物、およびフォスファイト系抗酸化剤とも、0.60重量%添加でブリードアウト現象を生ずる。また、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤とも0.80重量%添加するとプレートアウト現象を生ずる。また、ヒンダードアミン系光安定剤単独では1.0重量%添加しても紫外線領域の波長光すべてを吸収することはできない。
【0047】
微粉酸化亜鉛は紫外線領域の波長光すべてを吸収するが、1.0重量%の添加では十分な性能を得ることができず、かつ透明性を得ることができない。
【0048】
しかしながら、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン、分子中にトリアジンを含有する化合物、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤およびフォスファイト系抗酸化剤と微粉酸化亜鉛を併用することにより、透明でかつ紫外線領域の波長光すべてを吸収する組成物を得ることができる。
【0049】
ベンゾトリアゾー系紫外線吸収剤で分子量が400未満である2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を添加すると、ブリード現象を生ずる。
【0050】
表中の略号の説明
PP:メルトインデックス4(230℃、2.16kg)、比重0.91のホモポリプロピレン
PE:メルトインデックス3(190℃、2.16kg)、比重0.92の低密度ポリエチレン
OB:2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン
TA1:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール
TA2:2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノール
BT1:2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]
BT2:2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール
BT3:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
BA:2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート
HALS1:ポリ{[6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノヘキサメチレン][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}
HALS2:コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物
HALS3:ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]
P1:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
P2:2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン
P3:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト
ZnO:微粒子酸化亜鉛(粒子径0.010μm〜0.030μm)
【0051】
【表1】
Figure 0004135041
【0052】
【表2】
Figure 0004135041
【0053】
【表3】
Figure 0004135041
【0054】
【表4】
Figure 0004135041
【0055】
【表5】
Figure 0004135041

Claims (10)

  1. ポリオレフィン系樹脂(a)99.90〜96.90重量%、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)0.02〜0.70重量%、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)0.02〜0.50重量%分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)0.02〜0.70重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(f)0.02〜0.70重量%、フォスファイト系抗酸化剤(g)0.02〜0.50重量%とからなる樹脂組成物。
  2. ポリオレフィン系樹脂(a)99.90〜96.70重量%、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)0.02〜0.70重量%分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)0.02〜0.70重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤(e)0.02〜0.70重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(f)0.02〜0.70重量%、フォスファイト系抗酸化剤(g)0.02〜0.50重量%とからなる樹脂組成物。
  3. ポリオレフィン系樹脂(a)99.88〜96.20重量%、2,5−ビス[5−t−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(b)0.02〜0.70重量%、分子中にトリアジンを含有する化合物(c)0.02〜0.50重量%分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)0.02〜0.70重量%、ベンゾエート系紫外線吸収剤(e)0.02〜0.70重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(f)0.02〜0.70重量%、フォスファイト系抗酸化剤(g)0.02〜0.50重量%とからなる樹脂組成物。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂(a)がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 分子中にトリアジンを含有する化合物(c)が2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールあるいは2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノールの単独あるいは併用であることを特徴とする請求項又はに記載の樹脂組成物。
  6. 前記分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(d)が2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]あるいは2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールの単独あるいは併用であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. ベンゾエート系紫外線吸収剤(e)が2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートであることを特徴とする請求項又はに記載の樹脂組成物。
  8. ヒンダードアミン系光安定剤(f)がコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物あるいはポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]あるいはポリ{[6−モルフォリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノヘキサメチレン][4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}の単独あるいは併用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. フォスファイト系抗酸化剤(g)がトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトあるいは2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミンあるいはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイトの単独あるいは併用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 上記請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物を使用してなる成形体。
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