JP2016069479A - ポリオレフィン系難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
難燃剤には臭素系難燃剤とノンハロゲン系難燃剤があり、特にポリオレフィンについては、ポリオレフィン自身の難燃性が著しく低いため、難燃化効果が高いデカブロモジフェニルオキシド、臭素化ビスフェノールA誘導体、臭素化ビスフェノールS誘導体、臭素化イソシアヌレート誘導体などの臭素系難燃剤を使用する場合が多い。しかしながら、デカブロモジフェニルオキシドに関しては、これを配合した樹脂からダイオキシンが発生するといった報告がなされてから、ヨーロッパを中心として使用制限が叫ばれており、我が国でも問題視されていることから、デカブロモジフェニルオキシド以外の臭素系難燃剤が使用されている。
また、直射日光や蛍光灯にさらされる部品に使用する用途では、耐候・耐光性が必要となるため、ポリオレフィンには、ベンゾエート系、サリチレート系、トリアゾール系、ヒンダードアミン系化合物などの耐候剤を配合するのが一般的であるが、臭素系難燃剤を配合したポリオレフィンに、耐候剤を配合しても、耐候・耐光性は大きく向上せず、また、難燃剤と耐候剤の併用で樹脂が変色するといった問題も発生する。これらの問題を解決する検討が行われているが、未だ不十分である(特許文献1、2)。
さらに、一般に臭素系難燃剤は熱的に不安定で、成形加工時に難燃剤の分解による焼けが起こり、変色するといった問題がある。これは成形品の外観不良を引き起し、商品性を損なうという欠点を有する。臭素系難燃剤が熱分解した時に、臭化水素を発生し、これが樹脂を着色させていると考えられ、その対策として、亜鉛化合物、アルミニウム化合物やアルカリ土類金属の有機酸塩、及びハイドロタルサイトなどが難燃剤の安定剤として作用し、効果があるとされているが、未だ不十分である(特許文献3、4)。
[1](A)ポリオレフィン系樹脂 100質量部に、
(B)トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート 1〜50質量部、
(C)式(I)に示すビス(トリブロモネオペンチル)−モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェートを(C)/(B)=0.1/99.9〜3/97(質量比)の量含有する樹脂組成物。
[3]更に、(D)難燃助剤として、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウムから選ばれる1種以上を0.05〜20質量部添加する上記[1]又は[2]の樹脂組成物。
[4]更に、(E)紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系耐候剤を、0.01〜1.5質量部添加する上記[1]〜[3]のいずれかの樹脂組成物。
[5]更に、(F)ハイドロタルサイト類を0.01〜5質量部添加する上記[1]〜[4]のいずれかの樹脂組成物。
また、本発明の難燃性樹脂組成物においては、ハイドロタルサイトを特定量添加すると、難燃性が向上し、耐候性及び成形加工時の耐熱性がより一層向上する。
2種類以上のポリオレフィン系樹脂を含む場合、その混合方法は特に限定されない。例えば、共重合を伴う混合であってもよく、溶融混練による混合であってもよい。
プロピレンの単独重合体としては、特に制限はないが、軽量かつ成形性に優れるという観点から、230℃でのメルトマスフローレートが0.1〜200g/10分であるプロピレン単独重合体が好ましい。さらに難燃性樹脂組成物としたときの剛性や耐衝撃性の観点から、230℃でのメルトマスフローレートが0.2〜60g/10分以下であるプロピレン単独重合体がより好ましい。
プロピレンを主成分とする共重合体のなかでも、軽量かつ成形性に優れるという観点から、230℃でのメルトマスフローレート0.1〜200g/10分であるプロピレン共重合体が好ましい。さらに難燃性樹脂組成物からの成形体の剛性や耐衝撃性の観点から230℃でのメルトマスフローレートが0.2〜60g/10分以下であるプロピレン共重合体がより好ましい。
プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
エチレンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられるが、軽量かつ成形性に優れるという観点から、密度が0.910〜0.965g/cm3、190℃でのメルトマスフローレートが0.01〜200g/10分であるエチレン単独重合体が好ましい。190℃でのメルトマスフローレートがこの範囲内であれば、難燃性樹脂組成物としたときの流動性及び成形体の表面外観に不具合が生じるおそれがなく、0.01〜60g/10分以下であることがより好ましい。
エチレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が挙げられる。
前記ジエン系ゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム〔アクリロニトリル−ブタジエン共重合体〕等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートの配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜50質量部であり、好ましくは、3〜30質量部である。トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートの配合比が1質量部未満では、難燃性が低下し、50質量部を超えると、耐候性、耐衝撃性が低下し、比重の増加などがあるだけではなく、安定的混練作業が困難となる。
酢酸触媒下、ペンタエリスリトールと臭化水素及び塩化水素の反応により、ジブロモ-クロロネオペンチルアルコールを合成し、精製を繰返して、ジブロモ-クロロネオペンチルアルコールの高純度品100%が得られる。次いで、オキシ塩化リンと、トリブロモネオペンチルアルコール及びジブロモ-クロロネオペンチルアルコールを、特開平3−193793の製造方法により反応し、精製を繰り返すことにより、純度100%のビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェートが得られる。
ビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェートの配合量は、ビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェート/トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート=0.1/99.9〜3/97(質量比)であり、好ましくは、0.2/99.8〜2.9/97.1(質量比)であり、より好ましくは、0.3/99.7〜2.8/97.2(質量比)である。ビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェートのトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートに対する質量比が0.1/99.9未満では、耐候性及び成形加工時の耐熱性が低下する。また、該質量比が3/97を超えると難燃性が低下する。
炭素−臭素と、炭素−塩素の結合解離エネルギーは、炭素−塩素の方が高いため、塩素を含んだ方が、安定で、耐候性と耐熱性が良好になると考えられる。さらに塩素が多くなると、より安定になり、耐候性と耐熱性が一層良好となるが、逆に、結合解離エネルギーが高くなるために難燃性が低下する。塩素を少し含む(C)成分の構造が、難燃性、耐候性と耐熱性のバランスに優れると考えられる。
これらの中で、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛がより好ましく、難燃性樹脂組成物の成形時の熱安定性の観点から、三酸化アンチモン、四酸化アンチモンがさらに好ましく、三酸化アンチモンが特に好ましい。
難燃助剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.05〜20質量部であり、好ましくは、0.1〜18質量部であり、より好ましくは、0.2〜15質量部である。難燃助剤の上記含有割合が0.05質量部以上で難燃性向上の効果があり、20質量部以下であれば比重が増加することなく耐衝撃性が低下しない。
具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系耐候剤の配合割合はポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.03〜4質量部であり、より好ましくは、0.05〜3質量部である。
紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系耐候剤が0.01質量部未満では、耐候性の向上効果が得られず、5質量部を超えると、成形品表面にブリードする。
そのような添加剤としては、酸化防止剤、滑剤、結晶核剤、軟化剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、抗菌・抗カビ剤、顔料、充填剤等が挙げられる。
添加剤の含有量は、本発明の難燃性樹脂組成物の特性が損なわれない範囲であれば特に制限はない。
具体的には、アルキル置換ベンジリデンソルビトール等のソルビトール類(1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−メチルベンジリデン2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール等)、リン系核剤(リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、有機リン酸塩系複合品等)、安息香酸ナトリウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3−ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
窒素化合物系金属不活性化剤としては、N,N’−ビス{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4,−トリアゾール、酸アミド系金属不活性化剤、メラミン等が挙げられる。
亜リン酸エステル系金属不活性化剤としては、トリス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5−t−ブチル)フェニル−5−メチル]ホスファイト等が挙げられる。
これらの金属不活性化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
天然物有機系抗菌・抗カビ剤としては、イソチオシアン酸アリル等が挙げられる。
無機物系抗菌・抗カビ剤としては、銀を担持したシリカゲル、銀を担持したゼオライト、銀イオンを担持したヒドロキシアパタイト、銀イオンを担持した水ガラス、銀イオンを担持したリン酸ジルコニウム、銀イオンを担持したポリリン酸アンモニウム、銀及び銅イオンを担持したゼオライト、亜鉛を担持したゼオライト等が挙げられる。
これらの抗菌・抗カビ剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アルミナホワイト、黄色酸化鉄、カドミウムレッド、朱、黄鉛、モリブデートオレンジ、石膏、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、鉛白、群青、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、エメラルドグリーン、紺青、カーボンブラック、アルミニウム粉、亜鉛粉等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、酸性染料レーキ、塩基性染料レーキ、縮合多環顔料等が挙げられる。
これらの顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、例えば、各原料を溶融混練し、ペレタイザーにてペレットに調製することができる。このときの配合及び混練は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラー等で予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常180〜250℃の範囲で適宜選択すればよい。
(A)成分:ポリオレフィン
A1)ポリプロピレン
プライムポリマー社製、ホモポリプロピレン「J−700GP」[密度=0.905g/cm3、MFR=6.8g/10分(230℃、2.16kg)]
A2)ポリエチレン
プライムポリマー社製、高密度ポリエチレン「1300J」[密度=0.961g/cm3、MFR=12g/10分(190℃、2.16kg)]
(B)成分:トリ(トリブロモネオペンチル)ホスフェート
特開平3−193793の製造方法により合成し、精製を繰り返すことにより、純度100%のトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートを得た。
(C)成分:ビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェート(前記式(I))
以下のようにして合成した。
酢酸触媒下、ペンタエリスリトールと臭化水素及び塩化水素の反応により、ジブロモ-クロロネオペンチルアルコールを合成し、精製を繰返して、ジブロモ-クロロネオペンチルアルコールの純度100%品を得た。
(2)ビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェートの合成
オキシ塩化リンと、トリブロモネオペンチルアルコール及びジブロモ-クロロネオペンチルアルコールを、特開平3−193793の製造方法により反応し、精製を繰り返し、ビス(トリブロモネオペンチル)-モノ(ジブロモ-クロロネオペンチル)ホスフェートの純度100%品を得た。
日本精鉱社製、三酸化アンチモン「PATOX-KF」(平均粒子径0.8μm)
(E)成分:耐候剤
E1)紫外線吸収剤
シプロ化成社製「ケミソーブ73」[2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール]
E2)ヒンダードアミン系耐候剤(N−H型HALS)
ADEKA社製「アデカスタブLA−77」[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート]
E3)ヒンダードアミン系耐候剤(N−CH3型HALS)
ADEKA社製「アデカスタブLA-52」[テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート]
(F)成分:ハイドロタルサイト
協和化学工業社製「DHT-4A」
各成分を混合し、押出機により溶融混練して難燃性樹脂組成物のペレットを得、成形して試験片を作製した。以下、試験片作製工程及び評価方法を詳細に説明する。
ポリプロピレン100質量部に対して、表1〜3の配合表の各成分、及び、分散剤(堺化学社製 ステアリン酸カルシウム)0.2質量部、フェノール系酸化防止剤 ADEKA社製「アデカスタブAO60」(ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.2質量部、リン系酸化防止剤 ADEKA社製「アデカスタブ2112」(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト)0.2質量部をそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。
(2)溶融混練
上記予備混合で得られた混合物を、二軸混練機(池貝鉄鋼社製「PCM45」)を用いて180〜250℃で溶融混練して溶融混練物を作製し、ストランドカットを用いてペレット化した。
(3)成形
こうして得られた組成物ペレットを、日精樹脂工業社製の射出成形機「NEX110III」及び東芝機械社製の射出成形機「EC100」を用いてシリンダー温度190〜210℃、金型温度50℃で射出成形して試験片を作製し、その特性を下記の評価方法で評価した。結果を第1表に示す。
なお、難燃性試験片は「EC100」射出成形機を用いて作製し、耐候性試験片及び加工耐熱性試験片は「NEX110III」射出成形機を用いて作製した。
4-1)難燃性評価(UL−94V)
試験機:Atlas社製、HVULプラスチックUL燃焼テストチャンバーを用いた。
試験法:試験片の厚み1/16インチについて、UL−94V規格に従って垂直燃焼試験を行った。
5本の試験片について、それぞれ1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクのいずれにも該当しないものはnot−Vとした。
試験機:スガ試験機製サンシャインウェザーオメーター(SWOM.と略記する)を使用した。
試験法:試験片の厚み1/8インチについて、紫外線カーボンアークによる光照射、ブラックパネル63℃、雨有りの条件で促進試験を行い、表面微小クラックが発生するまでの時間を測定した。また、光照射2000時間での色相変化(ΔE)を、カラーコンピュータにて測定した。
色相変化(ΔE)の値が小さいもの程、耐候性が良好であることを示す。
また、表面微小クラックが発生するまでの時間が長い程、樹脂が劣化し難いことを表わし、耐候性が良好であることを示す。
試験法:射出成形機(日精樹脂工業社製「PS−40」)のシリンダー内で、組成物を250℃で10分間滞留させ、続いて射出成形し、厚み1/8インチの成形品(プレート)の表面の焼けの程度を下記の基準により目視により判定した。また、成形品表面の色相変化(ΔE)をスガ試験機社製「SMカラーコンピューターSM−3」で測定した。
2:焼けが多い
3:焼けが中程度である
4:焼けが少ない
5:焼けがごくわずかである
また、加工耐熱性試験において、色相変化(ΔE)の値が小さいもの程、耐熱性が良好であることを示す。
前記したように、予備混合、溶融混練、成形することで得た試験片について、前記の評価を行い、その結果を表1〜3に示した。
しかしながら、(C)成分及び(F)成分の両方が配合されている実施例11の方が、UL94V難燃性試験において、全燃焼時間が短く、難燃性が向上しており、また、耐熱性及び耐候性も一層向上しており、(C)成分と(F)成分の組合せの効果が表われている。
Claims (5)
- (A)成分がポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 更に、(D)難燃助剤として、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウムから選ばれる1種以上を0.05〜20質量部添加する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 更に、(E)紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系耐候剤を、0.01〜1.5質量部添加する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 更に、(F)ハイドロタルサイト類を0.01〜5質量部添加する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
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