JP2011145462A - 波長選択スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】透過帯域を拡大するとともに、入出力ポート数を増加させることができる波長選択スイッチを提供する。
【解決手段】第1偏向素子40に入射する信号光と第2偏向素子50から出射する信号光は、光軸が互いに平行であり進行方向が互いに逆向きであり、対となる第1偏向素子40のSWミラー41〜44と第2偏向素子50の偏向チップ51〜54が、入出力ポートの組み合わせに応じて複数配置されている。これより、第1,第2偏向素子40,50をZ方向にオフセットさせたり、このオフセットにより偏向素子ペア間の光路長差を低減したり、入力ミラーおよび出力ミラー上でのビームサイズをほぼ一致させたりすることができる。結果として、MEMSミラー上におけるビームのサイズばらつきや、入出力ポートの組み合わせに依存するビームのサイズばらつきを、実用上問題ない範囲に低減することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の波長の光信号を一本の伝送路に多重して伝送する波長多重通信技術に関するものであり、特に、波長信号毎に接続ポートを切り替えることができる波長選択スイッチに関するものである。
近年、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術は、二地点間の伝送容量を増やすためだけでなく、リング型ネットワークにおいて任意のノード間に特定波長からなる光信号の経路、すなわち波長パスを接続するためにも用いられるようになっている。特に、波長パスを柔軟に再構成できるROADM(ROADM:Reconfigurable Optical Add/drop Multiplexer)リングネットワーク(以下、「ROADMリング」と呼ぶ。)は、ネットワークの保守コストや管理コストを劇的に削減し、波長パスを有効利用できるので、研究開発が盛んに行われている。
ROADMリングの各ノードは、任意の波長信号を任意のポートに接続する機能が必要であるが、この機能を実現するための装置として、空間光学系に光回折素子と光偏向素子を組み込んだ波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)が用いられている。空間光学系のWSSは、導波路系のWSSと比較すると、広帯域性や低損失性に優れているため、最近急激に普及しつつある。この空間光学系のWSSで用いられる光偏向素子は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により作製された鏡面反射型と、LCoS(R)(Liquid crystal on silicon)技術により作製された波面整形型に大別され、前者は主に大規模用、後者は主に帯域可変用というように、目的に応じて使い分けられている。なお、以下において、空間光学系のWSSを単に「WSS」と呼ぶ。また、現在普及しているWSSは、入力ポートが1つで出力ポートが複数のいわゆるDROP型と、入力ポートが複数で出力ポートが1つのいわゆるADD型があるが、これらを総称して「1xN型WSS」と呼ぶ。
今後、ROADMリングは、複数のROADMリングを連結した全光WDMメッシュネットワークに発展していくと予想されるが、ROADMリング間の接続ノード(以下、「WXCノード」と呼ぶ。)は、入力ポートも出力ポートも複数有することになるため、複数の入力ポートから同一波長信号が入力されてもその信号をブロックさせない機能(以下、「ノンブロック機能」と呼ぶ。)が必要になる。ところが、WXCノードを1xN型WSSで構成すると多数のWSSが必要になるため、サイズ、コストおよび損失が増大してしまう。そこで今後は、複数の入力ポートと複数の出力ポートを有し、複数の1xN型WSSの機能を単一の光学系に統合した次世代WSSへの需要が高まると予想される。なお、以下において、この次世代WSSを「MxN型WSS」と呼ぶ。
一例として、WXCノードが2つの入力ポートと4つの出力ポートを必要とする場合について説明する。これを、1xN型WSSで実現しようとする場合には、図30に示すように、入力ポートが1つ、出力ポートが4つの1x4DROP型WSS1001,1002と、入力ポートが2つ、出力ポートが1つの2x1ADD型WSS1011〜1014という、6つの1xN型WSSが必要となる。これに対して、MxN型WSSの場合は、入力ポートが2つ、出力ポートが4つの2x4型WSS1021のみで実現することができる。したがって、MxN型WSSでは、図31に示すように、1xN型WSSと比較して、主要光学部品数を約1/6、モジュールサイズを約1/6に削減することができるので、ファイバ余長処理スペース、ファイバ結合損およびコネクタ接続損を大幅に削減可能であり、結果として、WXCノードのサイズ、コスト、損失を劇的に低減させることができる。
<MxN型WSSの構成>
このようなMxN型WSSの光学系の一例を図32に示す(例えば、特許文献1参照。)。なお、この図32に示すMxN型WSS2000は、特許文献1のFIG.6およびFIG.7の記載に基づくものであるが、可動偏向素子としてMEMSミラーアレイ、回折素子として透過型回折格子を用いており、入力ポートと出力ポートが2つずつ設けられた2x2型WSSを示すものである。なお、一般的なWSSにおいて広帯域化を目的として付与されているアナモルフィック光学系を追加している。
MxN型WSS2000は、光軸がZ軸方向に沿って配設された光ファイバアレイ2100と、マイクロレンズアレイ2200と、Y整形レンズアレイ2310およびX整形レンズ2320からなるアナモルフィック光学系2300と、SWレンズ2400と、回折格子2500と、合分波レンズ2600と、MEMSミラーアレイ2700とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。また、MEMSミラーアレイ2700に対してZ軸方向に直交するY軸方向には、折り返しミラー2800が設けられている。
ここで、光ファイバアレイ2100は、各々の光軸をZ軸方向に沿わせた複数の光ファイバ2101〜2104を、Z軸と直交するY軸方向に並設した構成を有する。光ファイバ2101〜2104のマイクロレンズアレイ2200側の端部は、光入出力ポートとして動作する。ここで、光ファイバ2102は、光信号を出射する入力ポート(以下、「第1入力ポート」と呼ぶ。)として動作する。同様に、光ファイバ2103は、光信号を出射する入力ポート(以下、「第2入力ポート」と呼ぶ。)として動作する。一方、光ファイバ2101は、光信号を受光する出力ポート(以下、「第1出力ポート」と呼ぶ。)として動作する。同様に、光ファイバ2104は、光信号を受光する出力ポート(以下、「第2出力ポート」と呼ぶ。)として動作する。
マイクロレンズアレイ2200は、複数のマイクロレンズ2201〜2204をY軸方向に並設したものである。このようなマイクロレンズアレイ2200は、図32に示すように光ファイバアレイ2100に対してZ軸方向の正の側に、各マイクロレンズ2201〜2204が対応する光入出力ポートと対向するように配設される。
アナモルフィック光学系2300は、マイクロレンズアレイ2200に対してZ軸方向の正の側に設けられたY整形レンズアレイ2310と、このY整形レンズアレイ2310に対してZ軸方向の正の側に設けられたX整形レンズ2320とを備えている。
ここで、Y整形レンズアレイ2310は、Z軸およびY軸と直交するX軸方向に軸線が沿った円柱の形状を有するレンズ2311〜2314を、Y軸方向に並設した構成を有する。このレンズ2311〜2314は、対応するマイクロレンズ2201〜2204と対向するように配設される。
また、X整形レンズ2320は、軸線がY軸方向に沿った円柱の形状を有する。
SWレンズ2400は、公知のレンズから構成され、アナモルフィック光学系2300に対してZ軸方向の正の側に設けられる。なお、光学レイアウトによっては、凹面ミラーなどが用いられる場合もある。
回折格子2500は、光信号を合分波する公知の回折格子から構成され、SWレンズ2400に対してZ軸方向の正の側に設けられ、波長分散軸がX軸方向に沿うように配設されている。
合分波レンズ2600は、公知のレンズから構成され、回折格子2500に対してZ軸方向の正の側に設けられる。なお、光学レイアウトによっては、凹面ミラーなどが用いられる場合もある。
MEMSミラーアレイ2700は、X軸方向およびこのX軸方向に直交する軸方向に並設され、少なくともX軸回りに回動可能に支持された複数のMEMSミラー2711〜2717,2721〜2727,2731〜2737,2741〜2747から構成されている。これらのMEMSミラー2711〜2747は、マトリクス状に行方向(X軸)に7個、列方向(Y軸)に4個配列されている。ここで、Y軸方向における最も負の側の行のMEMSミラー(以下、「第1出力ミラー」と呼ぶ。)2711〜2717には、第1出力ポートに出力される光信号が入射する。また、Y軸方向における最も正の側の行のMEMミラー(以下、「第2出力ミラー」と呼ぶ。)2741〜2747には、第2出力ポートに出力される光信号が入射する。また、MEMSミラー2711〜2717に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第1入力ミラー」と呼ぶ。)2721〜2727には、第1入力ポートから入射した光信号が入射する。また、MEMミラー2741〜2747に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第2入力ミラー」と呼ぶ。)2731〜2737には、第2入力ポートから入射した光信号が入射する。これらのMEMSミラーは、同一平面上に配置されており、この平面は、XZ平面をX軸回りに45度回転させたもの、すなわち、Z軸に対して45度傾斜したものとなっている。
折り返しミラー2800は、平面状のミラーから構成されており、MEMSミラーアレイ2700に対してY軸方向の正の側に設けられ、XZ平面に対してほぼ平行になるように配設されている。
<MxN型WSSの動作>
このようなMxN型WSS2000において、光ファイバ2102,2103に入力された波長多重された信号光は、第1,第2入力ポートから出射され、マイクロレンズアレイ2200のマイクロレンズ2202,2203で平行光とされる。この平行光とされた信号光は、Y整形レンズアレイ2310とX整形レンズ2320からなるアナモルフィック光学系2300により、X軸方向およびY軸方向に収束され、光路途中に楕円形状の強度プロファイルを有するビームウェスト(以下、楕円ビームウェストと呼ぶ)を形成する。
なお、楕円ビームウェストが形成される面のうち、ファイバ直近の面を、便宜上「共焦点面」と呼ぶ。共焦点面および回折格子2500はSWレンズ2400の、回折格子2500およびMEMSミラーアレイ2700は合分波レンズ2600の前後の焦点面にそれぞれ配設されており、これらの光学素子の全体が4f光学系を構成している。以下において、光ファイバアレイ2100から共焦点面までの光学系を「入出力光学系」、共焦点面から回折格子2500までの光学系を「合波光学系」、回折格子2500からMEMSミラーアレイ2700までの光学系を「分波光学系」と呼ぶ。
共焦点面を通過した光信号は、SWレンズ2400により収束され、回折格子2500に到達する。この回折格子2500を通過する際、信号光は、信号波長に応じてX方向に分散され、合分波レンズ2600により互いに平行な光軸を有する信号光群となり、各信号波長に対応してX方向にアレイ化されている別々の第1入力ミラー2721〜2727または第2入力ミラー2731〜2737に入射し、この入力ミラー付近に、再び楕円ビームウェストを形成する。
第1入力ミラー2721〜2727または第2入力ミラー2731〜2737に到達した信号光は、その入力ミラーにより反射され、折り返しミラー2800を経由して対応する第1出力ミラー2711〜2717または第2出力ミラー2741〜2747に到達する。このとき、信号光は、第1入力ミラー2721〜2727または第2入力ミラー2731〜2737のX軸回りの角度にしたがって、第1出力ポートに対応する第1出力ミラー2711〜2717または第2出力ポートに対応する2741〜2747に選択的に反射される。一方、第1出力ミラー2711〜2717または第2出力ミラー2741〜2747は、X軸回りの角度を調整し、折り返しミラー2800から入射した光信号をZ軸と平行にさせてZ軸方向の負の側に反射させる。第1出力ミラー2711〜2717または第2出力ミラー2741〜2747により所定の方向に反射された信号光群は、合分波レンズ2600により収束され、回折格子2600により合波され、SWレンズ2400により楕円ビームウェストが形成され、アナモルフィック光学系2300により再び第1,第2入力ポートから出射されたときのビーム形状に戻される。続いて、マイクロレンズアレイ2200のマイクロレンズ2201,2204で収束されて、第1,第2出力ポートに入射される。この入射した信号光は、光ファイバ2101,2104を伝播してゆく。
なお、「入出力光学系」は、入力ポートと出力ポートの合計数だけ行方向にアレイ化されているので、以上の説明は任意の入力ポートと任意の出力ポートの組み合わせにおいて成り立つ。したがって、このMxN型WSS2000は、WXCノードに必要なノンブロック機能を実現できる光学系となっている。
米国特許第6819823号(FIG.6,FIG.7)
しかしながら、上述したようなMxN型WSSでは、透過帯域を拡大したり、入出力ポート数を拡張したりする際に、いくつかの課題が発生する。
第1の課題は、MEMSミラー上における光信号のビームのサイズばらつきである。上述したように、一般的なWSSでは、透過帯域を拡大するために、MEMSミラー上に楕円ビームウェストが形成されるようにアナモルフィック光学系が設けられており、その楕円ビームの短軸が、いわゆる波長分散軸であるX軸と一致するように設計されている。1xN型WSSの場合は、MEMSミラーが1つに限られているため、楕円ビームウェストをMEMSミラー上に形成させることが可能であり、透過帯域を最大限拡大することができた。ところが、MxN型WSSの場合、入力側と出力側のそれぞれにMEMSミラーが存在するので、どちらか一方のMEMSミラーにしか楕円ビームウェストを形成できず、透過帯域を最大限拡大することができなくなってしまう。
例えば、図33に示すように、入力ミラー2724に楕円ビームウェストを配置させると第1出力ミラー2714のX軸方向のビームサイズが大きくなってしまう。一方、第1出力ミラー2717に楕円ビームウェストを配置させると第1入力ミラー2727のX軸方向のビームサイズが大きくなってしまう。また、第1入力ミラー2721と第1出力ミラー2711を結ぶ光路の中間に楕円ビームウェストを配置させると、2つのミラー上のビームサイズはほぼ同じ大きさになるが、ミラー上のX軸方向のビームサイズが楕円ビームウェストのビームサイズよりも大きくなってしまう。このように、いずれの場合も、全てのMEMSミラー上に楕円ビームウェストを配置することができず、1xN型WSSと比べた場合、透過帯域が減少してしまっていた。
第2の課題は、入出力ポートの組み合わせに依存するビームのサイズばらつきである。例えば、図34に示すように、第1入力ミラー2721〜2727に入射した伝搬ビームは、第1出力ミラー2711〜2717へ伝搬される場合と、第2出力ミラー2741〜2747へ伝搬される場合とがあるが、光路長を比較すると、前者の方が後者よりも長い。したがって、第1入力ミラー上に楕円ビームウェストが配置されている場合、第2出力ミラー上のビームサイズより、第1出力ミラー上のビームサイズが大きくなってしまう。したがって、第1入力ポートから第2出力ポートへのポート接続時よりも、第1入力ポートから第1出力ポートへのポート接続時の方が、透過帯域が減少してしまう。なお、図34では、入力ポートと出力ポートがそれぞれ2つの場合を例を示しているが、入出力ポート数が増加すると、透過帯域のポート間ばらつきはより顕著になる。
第3の課題は、ポート数を拡張する際のMEMSミラー回転角への制約である。上述したように、MEMSミラー近傍に楕円ビームウェストが形成されるため、MEMSミラー形状は矩形とされる場合が多い。MEMSミラーは、ミラー下部の電極に電圧を印加して発生させる静電気力によって回動する。例えば、図35に示す出力ミラー2711の場合、ミラー2711aは、その下部に配設された4つの電極2711b〜2711eに電圧を印加することで発生する静電気力によって回動する。その静電気力は、主にミラーと電極間のギャップ、ならびに、ミラーの面積および印加電圧に依存する。これらのうち、ミラー面積は光学設計により、印加電圧は電気回路部品により制約を受けるので、最大回動角を拡大するには、ミラーと電極間のギャップを適切に設定する必要がある。そのギャップは、大きすぎると静電気力が減少し、小さすぎると回動スペースが減少するので、最大回転角を増大させることができなくなる。また、矩形の形状を有するミラーの場合、回動方向によって最大回転角への制約が異なる。一定のギャップ条件の下で比較した場合、電極と物理的に干渉するようになるため、ミラー短軸よりミラー長軸が回転しにくくなってしまう。図35の場合では、ポート選択に使用する回動方向であるθx方向の回動が制約を受けることになってしまう。すなわち、入出力ポート数を拡張するため、MEMSミラーの回動角を増大させることが困難になってしまう。
そこで、本願発明は上述したような課題を解決するためになされたものであり、透過帯域を拡大するとともに、入出力ポート数を増加させることができるMxN型波長選択スイッチを提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る波長選択スイッチは、入出力ポートと、入射される光を任意の方向に偏向させる複数の可動偏向素子から構成される可動偏向素子アレイと、入出力ポートと可動偏向素子アレイとの間に配設され、多重化された光信号を波長毎に分波して所定の可動偏向素子に入射させるとともに、可動偏向素子によって反射された少なくとも1つの所定波長の光を合波して出力する合分波光学系と、入出力ポートと合分波光学系との間に設けられ、合分波光学系から出力された光信号を、光軸を平行移動させて再び合分波光学系に入力させる偏向光学系とを備えた波長選択スイッチであって、可動偏向素子アレイは、入出力ポートから入力され合分波光学系によって分波された光信号を任意の方向に反射して、所定の偏向光学系に入力させる入力可動偏向素子と、偏向光学系によって偏向され合分波光学系によって分波された光信号を任意の方向に反射して合分波光学系に入力し、入出力ポートに合波された光信号を出力させる出力可動偏向素子とから構成されることを特徴とするものである。
上記波長選択スイッチにおいて、合分波光学系は、回折素子と、この回折素子と偏向光学系との間に配設された第1の集光素子と、回折素子と可動偏向素子アレイとの間に配設された第2の集光素子とから構成され、第2の集光素子の一方の焦点面には、回折素子が配設され、第2の集光素子の他方の焦点面には、可動偏向素子アレイが配設されるようにしてもよい。ここで、可動偏向素子は、回折素子の波長分散方向に光線を偏向させるようにしてもよい。また、第1の集光素子は、回折素子の波長分散方向に複数配設されるようにしてもよい。
また、上記波長選択スイッチにおいて、偏向光学系は、合分波光学系から光信号が入力される第1の偏向素子と、この第1の偏向素子に入力された光信号を合分波光学系に出力する第2の偏向素子とからなる偏向素子対を備えるようにしてもよい。
ここで、第1の偏向素子は、プリズムおよびミラーの何れか一方から構成され、第2の偏向素子は、プリズムおよびミラーの何れか一方から構成されるようにしてもよい。
また、第1の偏向素子および第2の偏向素子は、一体形成されているようにしてもよい。
また、偏向光学系は、第1の偏向素子に入力された光信号を第2の偏向素子に向けて偏向させる第3の偏向素子をさらに備えるようにしてもよい。
また、偏向光学系は、任意の偏向素子対に対して、少なくとも他の偏向素子対が合分波光学系の方向にオフセット配置されているようにしてもよい。
また、上記波長選択スイッチにおいて、入力可動偏向素子および出力可動偏向素子は、同一平面上に配設されるようにしてもよい。
また、上記波長選択スイッチにおいて、入出力ポートと偏向光学系との間に配設され、入出力ポートから入力された光信号のビーム強度分布を楕円形状に整形するアナモルフィック光学系をさらに備えるようにしてもよい。
本発明によれば、
入出力ポートと、入射される光を任意の方向に偏向させる複数の可動偏向素子から構成される可動偏向素子アレイと、入出力ポートと可動偏向素子アレイとの間に配設され、多重化された光信号を波長毎に分波して所定の可動偏向素子に入射させるとともに、可動偏向素子によって反射された少なくとも1つの所定波長の光を合波して出力する合分波光学系と、入出力ポートと合分波光学系との間に設けられ、合分波光学系から出力された光信号を、光軸を平行移動させて再び合分波光学系に入力させる偏向光学系とを備えた波長選択スイッチであって、可動偏向素子アレイは、入出力ポートから入力され合分波光学系によって分波された光信号を任意の方向に反射して、所定の偏向光学系に入力させる入力可動偏向素子と、偏向光学系によって偏向され合分波光学系によって分波された光信号を任意の方向に反射して合分波光学系に入力し、入出力ポートに合波された光信号を出力させる出力可動偏向素子とを備えることにより、可動偏向素子上でのビームサイズを最小化することができるとともに、可動偏向素子の回動角も確保することができるので、透過帯域を拡大し、入出力ポート数を拡張することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る波長選択スイッチの構成を示す図である。 図2は、図1の波長選択スイッチにおける光信号の伝搬概念を説明するための図である。 図3は、図1の波長選択スイッチにおける各光信号の伝搬を説明するための図である。 図4は、第1偏向素子および第2偏向素子の具体例を示す図である。 図5は、第1偏向素子の具体例を示す図である。 図6は、第2偏向素子の具体例を示す図である。 図7は、第2偏向素子の変形例を示す図である。 図8は、本発明の第2の実施の形態に係る波長選択スイッチの構成を示す図である。 図9は、図8における第1偏向素子の構成を示す図である。 図10は、図8における第2偏向素子の構成を示す図である。 図11は、本発明の第3の実施の形態に係る波長選択スイッチの構成を示す図である。 図12は、偏向素子ブロックの構成を示す図である。 図13は、偏向素子ブロックの変形例を示す図である。 図14は、本発明の第4の実施の形態に係る波長選択スイッチの構成を示す図である。 図15は、偏向素子ブロックの構成を示す図である。 図16は、偏向素子ブロックの構成を示す図である。 図17は、偏向素子ブロックの構成を示す図である。 図18は、本発明の第5の実施の形態に係る波長選択スイッチの構成を示す図である。 図19は、偏向素子ブロックの構成を示す図である。 図20は、本発明の第6の実施の形態に係る波長選択スイッチの構成を示す図である。 図21は、偏向素子ブロックの構成を示す図である。 図22は、回折角の変化を説明するための図である。 図23は、回折角の補正動作を説明するための図である。 図24は、回折角の補正動作を説明するための図である。 図25は、SWレンズアレイの変形例を示す図である。 図26は、アナモルフィック光学系の変形例を示す図である。 図27は、アナモルフィック光学系の変形例を示す図である。 図28は、回折格子の変形例を示す図である。 図29は、回折格子の変形例を示す図である。 図30は、1xN型WSSで構成されるWXCノードを説明するための図である。 図31は、MxN型WSSで構成されるWXCノードを説明するための図である。 図32は、MxN型WSSの構成を模式的に示す図である。 図33は、光信号とMEMSミラーの配置との関係を説明するための図である。 図34は、光信号の光路長とMEMSミラーの配置との関係を説明するための図である。 図35は、MEMSミラーの構成を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
<波長選択スイッチの構成>
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る波長選択スイッチ1は、MxN型WSS光学系、すなわち、入力ポートおよび出力ポートがそれぞれ2個の2x2型WSS光学系からなる。このような波長選択スイッチ1は、光軸がZ軸方向に沿って配設された光ファイバアレイ10と、マイクロレンズアレイ20と、Y整形レンズアレイ31およびX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30と、第1偏向素子40と、第2偏向素子50と、SWレンズアレイ60と、回折格子70と、合分波レンズ80と、MEMSミラーアレイ90とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。
ここで、光ファイバアレイ10は、各々の光軸をZ軸方向に沿わせた複数の光ファイバ11〜14を、Z軸と直交するY軸方向に並設した構成を有する。光ファイバ11〜14のマイクロレンズアレイ20側の端部は、光入出力ポートとして動作する。ここで、光ファイバ12は、光信号を出射する入力ポート(以下、「第1入力ポート」と呼ぶ。)として動作する。同様に、光ファイバ13は、光信号を出射する入力ポート(以下、「第2入力ポート」と呼ぶ。)として動作する。一方、光ファイバ11は、光信号を受光する出力ポート(以下、「第1出力ポート」と呼ぶ。)として動作する。同様に、光ファイバ14は、光信号を受光する出力ポート(以下、「第2出力ポート」と呼ぶ。)として動作する。
マイクロレンズアレイ20は、複数のマイクロレンズ21〜24をY軸方向に並設したものである。このようなマイクロレンズアレイ20は、光ファイバアレイ10に対してZ軸方向の正の側に、各マイクロレンズ21〜24が対応する光入出力ポートと対向するように配設される。
アナモルフィック光学系30は、マイクロレンズアレイ20に対してZ軸方向の正の側に設けられたY整形レンズアレイ31と、このY整形レンズアレイ31に対してZ軸方向の正の側に設けられたX整形レンズ32とを備えている。
ここで、Y整形レンズアレイ31は、Z軸およびY軸と直交するX軸方向に軸線が沿った円柱の形状を有するレンズ31a〜31dを、Y軸方向に並設した構成を有する。このレンズ31a〜31dは、対応するマイクロレンズ21〜24と対向するように配設される。
また、X整形レンズ32は、軸線がY軸方向に沿った円柱の形状を有する。
第1偏向素子40は、Z軸方向の正の側に反射面を有し、X軸方向における光ファイバ11〜14の光軸の両側の、Y軸方向における第1入力ポートと第2入力ポートと同じ位置に設けられた4個のSWミラー41〜44を備えている。具体的には、SWミラー41は、光ファイバ11〜14の光軸からX軸方向における正の側で、第1入力ポートと同じY座標に配設されている。また、SWミラー42は、SWミラー41とX軸方向における同じ位置で、第2の入力ポートと同じY座標に配設されている。また、SWミラー43は、光ファイバ11〜14の光軸からX軸方向における負の側で、第2入力ポートと同じY座標に配設されている。また、SWミラー44は、SWミラー43とX軸方向における同じ位置で、第1の入力ポートと同じY座標に配設されている。
第2偏向素子50は、プリズム等、入射光を所定の方向に偏向させる偏向チップからなり、X軸方向における光ファイバ11〜14の光軸の両側の、Y軸方向における第1出力ポートと第2出力ポートと同じ位置に設けられた4個の偏向チップ51〜54を備えている。具体的には、偏向チップ51は、光ファイバ11〜14の光軸からX軸方向における正の側で、第1出力ポートとY軸方向における同じ位置に配設されている。また、偏向チップ52は、偏向チップ51とX軸方向における同じ位置で、第2の出力ポートとY軸方向における同じ位置に配設されている。また、偏向チップ53は、光ファイバ11〜14の光軸からX軸方向における負の側で、第1出力ポートとY軸方向における同じ位置に配設されている。また、偏向チップ54は、偏向チップ53とX軸方向における同じ位置で、第2の出力ポートとY軸方向における同じ位置に配設されている。
ここで、SWミラー41と偏向チップ52、SWミラー42と偏向チップ51、SWミラー43と偏向チップ54、および、SWミラー44と偏向チップ53は、対をなして互いに対応付けられており、SWミラーにより反射された信号光が対応する偏向チップに入射するように形成されている。
SWレンズアレイ60は、同一焦点距離を有するレンズをX軸方向に3個並設したものから構成される。
回折格子70は、透過型回折格子、反射型回折格子、プリズムおよびこれらを組み合わせた回折光学ブロックなど光信号を合分波する公知の回折格子から構成され、SWレンズアレイ60に対してZ軸方向の正の側に設けられ、波長分散軸がX軸方向に沿うように配設されている。
合分波レンズ80は、公知のレンズから構成され、回折格子70に対してZ軸方向の正の側に設けられている。なお、光学レイアウトによっては凹面ミラーなどで構成してもよい。
MEMSミラーアレイ90は、X軸方向およびこのX軸方向に直交する軸方向に並設され、少なくともY軸回りに回動可能に支持された複数のMEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94gから構成されている。これらのMEMSミラー91a〜94gは、XY平面にマトリクス状に配設されており、行方向(X軸)に7個、列方向(Y軸)に4個設けられている。ここで、Y軸方向における最も負の側の行のMEMSミラー(以下、「第1出力ミラー」と呼ぶ。)91a〜91gには、第1出力ポートに出力される光信号が入射する。また、Y軸方向における最も正の側の行のMEMミラー(以下、「第2出力ミラー」と呼ぶ。)94a〜94gには、第2出力ポートに出力される光信号が入射する。また、MEMSミラー91a〜91gに隣接する行のMEMSミラー(以下、「第1入力ミラー」と呼ぶ。)92a〜92gには、第1入力ポートから入射した光信号が入射する。また、MEMSミラー94a〜94gに隣接する行のMEMSミラー(以下、「第2入力ミラー」と呼ぶ。)93a〜93gには、第2入力ポートから入射した光信号が入射する。
なお、図32を参照して説明した従来のMxN型WSS光学系の場合と同様、楕円ビームウェストが形成される面のうち、ファイバ直近の面を、便宜上「共焦点面」と呼ぶ。共焦点面および回折格子70はSWレンズアレイ60の、回折格子70およびMEMSミラーアレイ90は合分波レンズ80の前後の焦点面にそれぞれ配設されており、これらの光学素子の全体が4f光学系を構成している。以下において、光ファイバアレイ10から共焦点面までの光学系を「入出力光学系」、共焦点面から回折格子70までの光学系を「合波光学系」、回折格子70からMEMSミラーアレイ90までの光学系を「分波光学系」と呼ぶ。
<光信号の伝搬概念>
次に、図2を参照して、波長選択スイッチ1における光信号の伝搬概念について説明する。なお、図2において、紙面に対して左側は回折素子70の波長分散方向に垂直方向の平面(YZ面)から見た光路図、紙面に対して右側は回折素子70の波長分散方向の平面(XZ面)から見た光路図を示している。なお、図2においては、一般的な特徴についてのみ説明する。
光ファイバアレイ10とマイクロレンズアレイ20は、光学系外部の光信号と、光学系内部の光信号を相互変換する。アナモルフィック光学系30を構成するY整形レンズアレイ31とX整形レンズ32は、円筒レンズなどで構成されており、円形の強度プロファイルを有する光信号と楕円形の強度プロファイルを有する光信号を相互変換する。このアナモルフィック光学系30により、光信号のビームウェストが共焦点面に配置されるようになっている。また、YZ面よりもXZ面の方がビームウェストサイズが小さくなるように設定されている。
共焦点面からMEMSミラーアレイ90までの光路には、SWレンズアレイ60、回折格子70、合分波レンズ80が配置されており、これらはいわゆる4f光学系を構成するように光学設計されている。共焦点面からSWレンズアレイ60までの距離、SWレンズアレイ60から回折格子70までの距離は、いずれもSWレンズの焦点距離(Ld)に等しくなるように設定されている。このため、回折格子70上にも楕円形の強度プロファイルが照射されるが、共焦点面とは逆に、XZ面よりもYZ面の方がビームサイズが小さくなる。
回折格子70から合分波レンズ80までの距離、合分波レンズ80からMEMSミラーアレイ90までの距離は、いずれも合分波レンズ80の焦点距離(Ld)に等しくなるように設定されている。このため、MEMSミラー上にも共焦点面と同じサイズの楕円形の強度プロファイルを有するビームウェストが形成されることとなる。また、回折格子70において信号波長に応じて所定の角度で分散された光信号は、合分波レンズ80によりその伝搬方向が互いに平行になるように位置および角度が変換される。さらに、各信号波長に対応するように配置された別々のMEMSミラーに入射し、信号毎に伝搬ビームの偏向方向が制御されることとなる。
<波長選択スイッチの動作>
次に、波長選択スイッチ1の動作について説明する。まず、図1を参照して、信号光の伝搬動作の概略について説明した後、図3を参照して、各信号光の伝搬動作について説明する。
≪伝搬動作の概略≫
光ファイバ12,13に入力された波長多重された信号光は、第1,第2入力ポートから出射され、マイクロレンズアレイ20のマイクロレンズ22,23で平行光とされる。この平行光とされた信号光は、Y整形レンズアレイ31とX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30により、X軸方向およびY軸方向に収束され、光路途中に楕円形状の強度プロファイルを有する楕円ビームウェストを形成する。
共焦点面を通過した光信号は、SWレンズアレイ60の中央のレンズにより再び平行光となり、回折格子70に到達する。この回折格子70を通過する際、信号光は、信号波長に応じてX方向に分散され、合分波レンズ80により互いに平行な光軸を有する信号光群となり、各信号波長に対応してX方向にアレイ化されている別々の第1入力ミラー92a〜92gまたは第2入力ミラー93a〜93gに入射し、この入力ミラー付近に、再び楕円ビームウェストを形成する。
本実施の形態において、第1入力ミラー92a〜92gおよび第2入力ミラー93a〜93gは、Y軸回りに回動する。これにより、第1入力ミラー92a〜92gまたは第2入力ミラー93a〜93gに到達した信号光は、Y軸回りの角度において、そのミラーに入射した角度とは異なる角度で反射される。したがって、その信号光は、YZ面内においては入力光路と同じ光路、XZ面内においては入力光路と異なる光路を経て分波光学系、合波光学系を逆向きに伝搬することとなる。具体的には、第1入力ミラー92a〜92gまたは第2入力ミラー93a〜93gにより反射された信号光群は、合分波レンズ80により収束され、回折格子70により合波され、SWレンズアレイ60の1つのレンズにより収束される。
続いて、信号光は、入力ミラーによる反射角度に応じて、SWミラー41〜44の何れかに入射する。上述したように、SWミラー41,44は第1入力ポート、SWミラー42,43は第2入力ポートとY軸方向で同じ位置に設けられており、かつ、SWミラー41〜44はX軸方向における光ファイバ11〜14の光軸の両側に設けられている。したがって、第1入力ミラー92g〜92gにより反射された信号光はSWミラー41またはSWミラー44に、第2入力ミラー93g〜93gにより反射された信号光はSWミラー42またはSWミラー43に入射することが可能となる。
SWミラー41〜44に入射した信号光は、このSWミラー41〜44により反射され、対となる偏向チップ51〜54に入射する。この偏向チップ51〜54に入射した信号光は、所定の方向に偏向され、再び合波光学系、分波光学系を経て、第1または第2の出力ミラーに入射する。具体的には、光信号は、SWレンズアレイ60の1つのレンズにより再び平行光となり、回折格子70に到達し、この回折格子70を通過する際に信号波長に応じてX方向に分散され、合分波レンズ80により互いに平行な光軸を有する信号光群となり、各信号波長に対応してX方向にアレイ化されている別々の第1出力ミラー91a〜91gまたは第2出力ミラー94a〜94gに入射し、この出力ミラー付近に、再び楕円ビームウェストを形成する。
本実施の形態においては、第1出力ミラー91a〜91gおよび第2出力ミラー94a〜94gもY軸回りに回動する。これにより、第1出力ミラー91a〜91gまたは第2出力ミラー94a〜94gに到達した信号光は、Y軸回りの角度において、そのミラーに入射した角度とは異なる角度で反射される。したがって、その信号光は、YZ面内においては出力ミラーに対する入力光路と同じ光路、XZ面内においては出力ミラーに対する入力光路と異なる光路を経て分波光学系、合波光学系を逆向きに伝搬することとなる。なお、XZ面内においては、入力ミラーに対する入力光路と同じ光路を経て伝搬する。
具体的には、第1出力ミラー91a〜91gまたは第2出力ミラー94a〜94gにより反射された信号光群は、合分波レンズ80により収束され、回折格子70により合波され、SWレンズアレイ60の中央のレンズにより楕円ビームウェストとされる。この楕円ビームウェストとされた信号光は、アナモルフィック光学系30により再び第1,第2入力ポートから出射されたときのビーム形状に戻される。続いて、マイクロレンズアレイ20のマイクロレンズ21,24で収束されて、第1,第2出力ポートに入射される。この入射した信号光は、光ファイバ11,14を伝播してゆく。
このように、本実施の形態は、第1偏向素子40に入射する信号光と第2偏向素子50から出射する信号光について、これらの光軸が互いに平行であり進行方向が互いに逆向きであること、および、対となる第1偏向素子40のSWミラー41〜44と第2偏向素子50の偏向チップ51〜54が、入出力ポートの組み合わせに応じて複数配置されていることを特徴とするものである。対となるSWミラー41〜44と偏向チップ51〜54(以下、「偏向素子ペア」と呼ぶ。)は、合波光学系に配置されているので、波長信号毎に偏向素子ペアを準備する必要が無い。また、信号光の一本のビームに波長多重信号が重ねられており、それが楕円ビームウェストとなり、ビームサイズが縮小されるため、複数のビームを空間的に分離する光学設計が可能である。したがって、第1,第2偏向素子40,50をZ方向にオフセットさせ、このオフセットにより偏向素子ペア間の光路長差を低減し、それにより入力ミラーおよび出力ミラー上でのビームサイズをほぼ一致させることができる。結果として、MEMSミラー上におけるビームのサイズばらつきや、入出力ポートの組み合わせに依存するビームのサイズばらつきを、実用上問題ない範囲に低減することができる。
また、本実施の形態のように、第1偏向素子40が平面ミラーであり、第2偏向素子50がプリズムから構成される場合には、偏向素子ペア間の光路長差を低減するため、第1偏向素子40を共焦点面に配置し、第2偏向素子をSWレンズに近接させるように配置するのが望ましい。一方、第1偏向素子40も第2偏向素子50も平面ミラーから構成される場合には、偏向素子ペア間の光路長差を低減するため、第1偏向素子40と第2偏向素子50でコーナーキューブリフレクタを構成するように配置し、そのコーナーキューブリフレクタを共焦点面からSWレンズ側に必要量だけZ軸方向にオフセットさせるのが望ましい。
さらに、本実施の形態では、MEMSミラーのY軸回り(θy)に回動、すなわちミラー短軸方向への回動により接続ポートを選択するため、ミラーと電極間のギャップがあまり大きくない場合でも、回転角への制約が小さくなる。すなわち、従来よりも入出力ポート数を拡張できるため、MEMSミラーの回転角を増大させることが容易になる。
なお、第1集光素子60と第2集光素子80の焦点距離は、必ずしも同一でなくてもよい。両者の焦点距離が同一であれば、MEMSミラーアレイ90におけるMEMSミラーのY軸方向のピッチと入出力ポートのY軸方向のピッチがほぼ同一となるが、入出力ポートのピッチをMEMSミラーのピッチよりも拡大したい場合には、第1集光素子の焦点距離を第2集光素子よりも長く設計すればよい。
≪各信号光の伝搬動作≫
次に、図3を参照して、各信号光の伝搬動作について説明する。なお、図3は、紙面に対して左側はYZ平面から見た波長選択スイッチ1における信号光の光路を模式的に示す図、中央はXZ平面から見た第1入力ポートから出射された信号光の光路を模式的に示す図、右側はXZ平面から見た第2入力ポートから出射された信号光の光路を模式的に示す図である。
まず、左側の光路図に示すように、本実施の形態において、入出力ポートは、Y軸方向の正の側(「上」と呼ぶ。)から順に第1出力ポート、第1入力ポート、第2入力ポート、第2出力ポートに相当し、MEMSミラーは、上から順に第2出力ミラー、第2入力ミラー、第1入力ミラー、第1出力ミラーに相当する。
第1入力ポートまたは第2入力ポートから出射された信号光は、マイクロレンズアレイ20およびアナモルフィック光学系30を通過した後、SWレンズアレイ60の中央のレンズにより偏向されて、回折格子70に斜め入射する。続いて、合分波レンズ80により再度偏向され、Z軸を法線にもつ第1入力ミラーまたは第2入力ミラーにその主表面に対して垂直に入射する。第1入力ミラーまたは第2入力ミラーは、Y軸を回動中心として回動し入射してきた信号光を偏向させる。このとき、YZ面内では、入射してきた信号光と同一の光路を逆向きに伝搬し共焦点面付近まで到達する。共焦点面に配置された第1偏向素子40および第2偏向素子50により、信号光は、その光軸のY方向座標が変換され、第1または第2出力ミラーに入射する光路を伝搬してゆく。第1または第2出力ミラーは、Y軸を回動中心として回動して入射してきた信号光を偏向させる。このとき、YZ面内では、入射してきた信号光と同一の光路を逆向きに伝搬し、共焦点面を通過して、第1または第2出力ポートに結合することとなる。
このように、第1または第2入力ポートから出射された信号光は、第1または第2出力ポートに結合するまでに回折格子を4回通過し、この何れの場合も斜め入射する。したがって、強度プロファイルの変化や回折格子の実効分散能力の変化が発生するため、YZ面内における入射角はできるだけ小さい方が望ましい。
次に、図3の中央および右側の光路図を参照して説明する。この光路図では、MEMSミラーが7ch分設けた場合を示しており、複数の入力ポートから1つの出力ポートに同一波長信号が出力されないようにMEMSミラーが回動している様子を示している。具体的には、第1入力ミラー92a〜92gはY軸に対して時計回りに回動することにより、第1出力ポートへの光路に接続され、逆に反時計回りに回動することにより、第2出力ポートへの光路に接続される。一方、第2入力ミラー93a〜93gはY軸に対して反時計回りに回動することにより、第2出力ポートへの光路に接続され、逆に時計回りに回転することにより、第1出力ポートへの光路に接続される。
ここで、第1入力ポートから第1出力ポートへの光路接続動作について以下に説明するが、その他の入出力ポートの光路接続動作も、ミラーの回動方向や信号光のY座標を除いて、基本的に同様である。
第1入力ポートから入射した信号光αは、入出力光学系、合波光学系、分波光学系を経て、信号波長毎に別々の第1入力ミラー92a〜92gに入射する。そのうち、第1出力ポートに結合される信号波長に対応するMEMSミラーは、Y軸に対して時計回りに回動して、入射した信号光を偏向させる。この偏向された信号光は、合分波レンズ80により再度偏向され、回折格子70に入射する。この回折格子70もMEMSミラーも合分波レンズ80の焦点距離に配置されているので、回折格子70により回折され、再度合波光学系に入射した信号光(以下、「第2合波ビーム」と呼ぶ。)の光軸は、最初に合波光学系を通過したときの信号光(以下、「第1合波ビーム」と呼ぶ。)の光軸と互いに平行となっている。ただし、第1合波ビームと第2合波ビームのX座標は異なっており、このX座標は第1入力ミラーの回動角によって決定される。第1出力ポートを目指す第2合波ビームβのX座標には、SWレンズアレイ60の1つのレンズ、第1偏向素子44、第2偏向素子53が配置されており、第1偏向素子44に入射する第2合波ビームβは、共焦点面付近で再度楕円ビームウェストを形成する。なお、出力ポート毎に別々のX座標に、SWレンズアレイ60のそれぞれのレンズ、第1偏向素子40、第2偏向素子50が配置されているため、これらの素子はそれぞれ同一面内にアレイ化された状態で配置されている。
第1偏向素子44および第2偏向素子53により、第2合波ビームの光軸はX座標を維持したままY座標のみシフトされる。再度合波光学系を通過する光信号(以下、「第3合波ビーム」と呼ぶ。)は、SWレンズアレイ60の1つのレンズ、回折格子70を経て分波され第1出力ミラーへ入射する分波ビームγとなる。第1出力ミラーは第1入力ミラーと同じ方向に回動し、第1出力ミラーで反射されて偏向された分波ビームγは、回折格子70を経て他の波長信号と合波され再度合波光学系を通過する伝搬ビーム(以下、「第4合波ビーム」と呼ぶ。)となり、共焦点面を通過して、入出力光学系を経て第1出力ポートに結合される。
以上の説明を、合波ビームの光軸座標の観点から整理すると、光軸のX座標が一致しているのは、第1合波ビームと第4合波ビーム、および、第2合波ビームと第3合波ビームであり、光軸のY座標が一致しているのは、第1合波ビームと第2合波ビーム、および、第3合波ビームと第4合波ビームである。すなわち、出力ポートを選択するには光信号の光軸のY座標を変換する必要があるが、これは、合波光学系に配置された第1偏向素子40および第2偏向素子50により実現されている。また、第1偏向素子40および第2偏向素子50は、入出力ポートの組み合わせ毎に異なるX座標に配置されているので、合波ビームの光軸のX座標を選択する必要があるが、これは、信号波長毎配置された入出力ミラーのY軸回りの回動動作により実現されている。
なお、本実施の形態では、7ch分の信号波長に対応するMEMSミラーアレイ90を適用した場合を例に説明したが、チャネル数は7に限定されず適宜自由に設定することができる。ここで、透過帯域を拡大するため、X方向のMEMSミラーのサイズは、隣接するミラーと物理的に干渉しない範囲で可能な限り大きくすることが望ましい。
<第1偏向素子および第2偏向素子の具体例>
次に、図4〜図6を参照して、本実施の形態における第1偏向素子40および第2偏向素子50の具体例について説明する。
第1偏向素子40は、SWミラー41〜44と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板45とから構成される。本実施の形態においては、2つの入力ポートおよび2つの出力ポートの組み合わせに対応して、合計4個のSWミラーが配置されており、それらの偏向角は全て異なる。第1偏向素子40は共焦点面付近に配置されているためビームサイズは十分小さく、ミラーチップの有効サイズも十分小さくすることが可能であり、高密度にミラーチップを配置することが可能である。
第2偏向素子50は、プリズムチップからなる偏向チップ51〜54と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板55とから構成される。本実施の形態においては、2つの入力ポートおよび2つの出力ポートの組み合わせに対応して、合計4個の偏向チップが配置されており、それらの偏向角は全て異なる。異なる入力ポートからの信号光を同じ出力ポートの信号光に変換するため、Y軸方向の光軸座標をそろえ、入力ポートに応じた各X座標に、偏向角の異なるプリズムチップが配置されている。YZ方向から見た場合、図4の左側の光路は2つの光路が交差する「X字」型、右側の光路は2つの光路が交差しない「ハの字」型の光路となっている。なお、プリズムは偏向機能とともに分散機能を有しているが、本実施の形態では、第2偏向素子50は合波光学系に配置されているため、ビームが分散されるのは望ましくない。したがって、プリズム硝材はできるだけ分散能の小さなものを利用するのが望ましい。また、偏向角が大きくなると分散の影響が大きくなるため、偏向角を小さくするため、第2偏向素子50はできるだけSWレンズアレイ60側に配置するのが望ましい。
次に、第2偏向素子の変形例について図7を参照して説明する。この図7に示す第2偏向素子50’は、ミラーブロックから構成されている。この場合、第2偏向素子50の偏向チップ51〜54に対応する箇所、および、入力ポートから入射した信号光の光軸上に開口を設け、偏向チップ51〜54に対応する箇所の上面または下面の角度を、入射してきた信号光を所定の方向に反射させるように設定すればよい。このように、第2偏向素子としてプリズムの代わりにミラーを利用する場合、ミラーは分散機能を有していないため第2偏向素子でビームが分散されることは無い。したがって、第2偏向素子の材料や配置位置の設計自由度を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、可動偏向素子アレイとして、MEMS技術を応用したミラーアレイを適用した場合を例に説明したが、可動偏向素子アレイはMEMSミラーアレイに限定されず、例えば、電圧印可時の屈折率変化を利用した液晶セルアレイ方式、LCoS(R)(Liquid crystal on silicon)技術やDMD(Digital Micromirror Device)技術に代表されるようなビームの波面を整形して伝搬方向を変化させるフェーズドアレイ方式などを用いるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図8に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る波長選択スイッチ2は、入力ポートが2個、出力ポートが4個のMxN型WSS光学系からなる。このような波長選択スイッチ4は、光ファイバ11〜16を備えた光ファイバアレイ10と、マイクロレンズ21〜26を備えたマイクロレンズアレイ20と、レンズ31a〜31fを備えたY整形レンズアレイ31およびX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30と、第1偏向素子140と、第2偏向素子150と、SWレンズアレイ60と、回折格子70と、合分波レンズ80と、MEMSミラーアレイ90とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。
ここで、光ファイバアレイ10は、各々の光軸をZ軸方向に沿わせた複数の光ファイバ11〜16を、Z軸と直交するY軸方向に並設した構成を有する。光ファイバ11,12,15,16は、光信号を受光する出力ポート(第1〜第4出力ポート)として動作し、光ファイバ13,14は、光信号を出射する入力ポート(第1,第2入力ポート)として動作している。
第1偏向素子140は、図9に示すように、SWミラー141〜148と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板149とから構成される。ここで、SWミラー141〜144は、この順番でX軸方向の正の側から負の側に向かって並設され、第1入力ポートと同じY座標に配設されている。SWミラー145〜148は、この順番でX軸方向の正の側から負の側に向かって並設され、第2入力ポートと同じY座標に配設されている。また、SWミラー141とSWミラー145、SWミラー142とSWミラー146、SWミラー143とSWミラー147、SWミラー144とSWミラー148は、それぞれ同じX座標に配設されている。さらに、XZ面内において、SWミラー142とSWミラー143との間には、光ファイバ11〜16から入出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。このように、本実施の形態においては、2つの入力ポートおよび4つの出力ポートの組み合わせに対応して、合計8個のSWミラー141〜148が配置されており、それらの偏向角は全て異なる。
第2偏向素子150は、図10に示すように、プリズムチップからなる偏向チップ151〜158と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板159とから構成される。ここで、偏向チップ151〜154は、この順番でX軸方向の正の側から負の側に向かって並設されており、偏向チップ151,154は第1出力ポート、偏向チップ152,153は第2出力ポートと同じY座標に配設されている。偏向チップ155〜158は、この順番でX軸方向の正の側から負の側に向かって並設され、偏向チップ155,158は第4出力ポート、偏向チップ156,157は第3出力ポートと同じY座標に配設されている。また、偏向チップ151とSWミラー155、偏向チップ152と偏向チップ156、偏向チップ153と偏向チップ157、偏向チップ154と偏向チップ158は、それぞれ同じX座標に配設されている。さらに、XZ面内において、偏向チップ152と偏向チップ153との間には、光ファイバ11〜16から入出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。本実施例においては、2つの入力ポートと4つの出力ポートの組み合わせに対応して、合計8個の偏向チップ151〜158が配置されており、それらの偏向角は全て異なる。
ここで、SWミラー141と偏向チップ155、SWミラー142と偏向チップ156、SWミラー143と偏向チップ153、SWミラー144と偏向チップ154、SWミラー145と偏向チップ151、SWミラー146と偏向チップ152、SWミラー147と偏向チップ157、SWミラー148と偏向チップ158は、対をなして互いに対応付けられており、SWミラーにより反射された信号光が対応する偏向チップに入射するように形成されている。
MEMSミラーアレイ90は、X軸方向およびこのX軸方向に直交する軸方向に並設され、少なくともY軸回りに回動可能に支持された複数のMEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,から構成されている。これらのMEMSミラー91a〜96gは、XY平面にマトリクス状に配設されており、行方向(X軸)に7個、列方向(Y軸)に6個設けられている。
ここで、Y軸方向における最も負の側の行のMEMSミラー(以下、「第1出力ミラー」と呼ぶ。)91a〜91gには、第1出力ポートに出力される光信号が入射する。
また、この第1出力ミラー91a〜91gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第2出力ミラー」と呼ぶ。)92a〜92gには、第2出力ポートに出力される光信号が入射する。
また、この第2出力ミラー92a〜92gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第1入力ミラー」と呼ぶ。)93a〜93gには、第1入力ポートから出射した光信号が入射する。
また、この第1入力ミラー93a〜93gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第2入力ミラー」と呼ぶ。)94a〜94gには、第2入力ポートから出射した光信号が入射する。
また、この第2入力ミラー94a〜94gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第3出力ミラー」と呼ぶ。)95a〜95gには、第3出力ポートに出力される光信号が入射する。
また、この第3出力ミラー95a〜95gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第4出力ミラー」と呼ぶ。)96a〜96gには、第4出力ポートに出力される光信号が入射する。
このような本実施の形態は、上述した第1の実施の形態と比較すると、出力ポートの数が2つ増えて4つになっている点が特徴であるが、基本的な動作原理は第1の実施の形態と同等であるので省略する。なお、本実施の形態は、入力ポートが2つ、出力ポートが4つの場合を例に示しているが、光信号の進行方向を逆転させれば、入力ポートが4つ、出力ポートが2つの光学系としても成立する。以降、入出力ポートの数が異なる実施例においても、同様である。
XZ面内の光路を第1の実施の形態と比較すると、本実施の形態では、MEMSミラーの回転角が増大し、合分波レンズ80の有効径が拡大し、SWレンズ60のアレイ数が増加し、第1および第2偏向素子の数が増加している点が特徴である。したがって、本実施の形態においてポート数を拡大するには、合分波レンズ80を大口径化および低収差化して、MEMSミラーの駆動電圧増大または電極とミラー間ギャップの拡大などが必要になる。また、可動偏向素子としてはLCoS技術よりも偏向角の拡大設計が容易なMEMS技術を採用するのが望ましい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、第2の実施の形態における第1偏向素子40および第2偏向素子50が単一の偏向素子ブロックで形成されたものである。したがって、上述した第2の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付して適宜説明を省略する。
図11に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る波長選択スイッチ3は、入力ポートが2個、出力ポートが4個のMxN型WSS光学系からなり、光ファイバ11〜16を備えた光ファイバアレイ10と、マイクロレンズ21〜26を備えたマイクロレンズアレイ20と、レンズ31a〜31fを備えたY整形レンズアレイ31およびX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30と、偏向素子ブロック200と、SWレンズアレイ60と、回折格子70と、合分波レンズ80と、MEMSミラーアレイ90とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。
ここで、偏向素子ブロック200は、図12に示すように、偏向角度が90度のミラーチップから構成される16個の偏向素子211,212,221,222,231,232,241,242,251,252,261,262,271,272,281,282と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板290とから構成される。このような偏向素子ブロック200のZ座標は共焦点面とほぼ一致しているが、偏向素子間の光路長増大分をキャンセルするため、多少SWレンズアレイ60側にオフセットして配置するのが望ましい。
偏向素子211,212は、同じX座標上に配設されており、偏向素子211は第1入力ポートと同じY座標、偏向素子212は第3出力ポートと同じY座標に配設されている。このような偏向素子211,212は、対をなして互いに対応付けられており、第1入力ミラーからの信号光が偏向素子211により反射されて偏向素子212に入射し第3出力ミラーに出射するように形成されている。
偏向素子221,222、231,232は、偏向素子211,212のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、偏向素子221は第2出力ポート、偏向素子222は第1入力ポート、偏向素子231は第2入力ポート、偏向素子232は第3出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、偏向素子221,222は、対をなして互いに対応付けられており、第1入力ミラーからの信号光が偏向素子222により反射されて偏向素子221に入射し第2出力ミラーに出射するように形成されている。また、偏向素子231,232は、対をなして互いに対応付けられており、第2入力ミラーからの信号光が偏向素子231により反射されて偏向素子232に入射し第3出力ミラーに出射するように形成されている。
偏向素子241,242は、偏向素子221〜232のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、偏向素子241は第1入力ポート、偏向素子242は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、偏向素子241,242は、対をなして互いに対応付けられており、第1入力ミラーからの信号光が偏向素子241により反射されて偏向素子242に入射し第4出力ミラーに出射するように形成されている。
偏向素子251,252は、偏向素子241〜242のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、偏向素子251は第1出力ポート、偏向素子252は第2入力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、XZ面内において、偏向素子241,242と偏向素子251,252との間には、光ファイバ11〜16から入出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。ここで、偏向素子251,252は、対をなして互いに対応付けられており、第2入力ミラーからの信号光が偏向素子252より反射されて偏向素子251に入射し第1出力ミラーに出射するように形成されている。
偏向素子261,262、271,272は、偏向素子251,252のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、偏向素子261は第1出力ポート、偏向素子262は第1入力ポート、偏向素子271は第2入力ポート、偏向素子272は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、偏向素子261,262は、対をなして互いに対応付けられており、第1入力ミラーからの信号光が偏向素子262により反射されて偏向素子261に入射し第1出力ミラーに出射するように形成されている。また、偏向素子271,272は、対をなして互いに対応付けられており、第2入力ミラーからの信号光が偏向素子271により反射されて偏向素子272に入射し第4出力ミラーに出射するように形成されている。
このように偏向素子ブロック上に高密度に偏向素子を配置することで、入出力ミラーに要求される偏向角増大量を最小限としてポート切り替えを実現することができる。また、全ての偏向素子を単一の偏向素子ブロックに形成しているため、部品点数を削減することができる。
<偏向素子ブロックの変形例>
なお、偏向素子ブロック200は、上述したような構成に限定されず、例えば、図13に示すような構成を採るようにしてもよい。この図13に示す偏向素子ブロック300は、偏向角度が90度のミラーチップから構成される第1偏向素子311〜318と、この第1偏向素子311〜318よりもX軸方向の長さが長い第2偏向素子321〜328と、YZ面に沿った反射面を有する第3偏向素子331〜334と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板340とから構成される。
第1偏向素子311〜318は、Y座標上の位置が同一の入力ポートと光路を結ぶ入力ミラーから入射する光信号を、対応付けられた第2偏向素子321〜328または第3偏向素子331〜334に向けて反射させる。
第2偏向素子321〜328は、対応付けられた第1偏向素子311〜318または第3偏向素子331〜334から入射する信号光を、Y座標上の位置が同一の出力ポートと光路を結ぶ出力ミラーに向けて反射させる。
第3偏向素子331〜334は、対応付けられた第1偏向素子313〜316から入射した信号光を、対応付けられた第2偏向素子323〜326に向けて反射する。
このような第1偏向素子311〜318,第2偏向素子321〜328および第3偏向素子331〜334の具体的な配置は以下の通りである。
第1偏向素子311,312および第2偏向素子321,322は、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子311は第1入力ポート、第1偏向素子312は第2入力ポート、第2偏向素子321は第2出力ポート、第2偏向素子322は第3出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。
ここで、第1偏向素子311と第2偏向素子321は、対をなして互いに対応付けられている。したがって、第1入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子311により反射されて第2偏向素子321に入射し第2出力ミラーに向かって伝播する。
また、第1偏向素子312と第2偏向素子322は、対をなして互いに対応付けられている。したがって、第2入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子312により反射されて第2偏向素子322に入射し第3出力ミラーに向かって伝播する。
第1偏向素子313,314および第2偏向素子323,324は、第1偏向素子311のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子313は第1入力ポート、第1偏向素子314は第2入力ポート、第2偏向素子323は第1出力ポート、第2偏向素子324は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、第3偏向素子331は、第1偏向素子313のX軸方向における正の側の近傍に配設され、第3偏向素子332は、第1偏向素子314のX軸方向における負の側の近傍に配設されている。
ここで、第1偏向素子313、第2偏向素子324および第3偏向素子332は、互いに対応付けられている。したがって、第1入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子313により反射されて第3偏向素子332に入射し、この第3偏向素子332により反射されて第2偏向素子324に入射し第4出力ミラーに向かって伝播する。このとき、この信号光は、平面視略「く」の字状の光路を描くこととなる。
また、第1偏向素子314、第2偏向素子323および第3偏向素子331は、互いに対応付けられている。したがって、第2入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子314により反射されて第3偏向素子331に入射し、この第3偏向素子331により反射されて第2偏向素子323に入射し第1出力ミラーに向かって伝播する。このとき、この信号光は、平面視略「く」の字状の光路を描くこととなる。
第1偏向素子315,316および第2偏向素子325,326は、第1偏向素子313のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子315は第1入力ポート、第1偏向素子316は第2入力ポート、第2偏向素子325は第2出力ポート、第2偏向素子326は第3出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、第3偏向素子333は、第1偏向素子315のX軸方向における正の側の近傍に配設され、第3偏向素子334は、第1偏向素子316のX軸方向における負の側の近傍に配設されている。さらに、XZ面内において、第3偏向素子332と第3偏向素子333との間には、光ファイバ11〜16から出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。
ここで、第1偏向素子315、第2偏向素子326および第3偏向素子334は、互いに対応付けられている。したがって、第1入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子315により反射されて第3偏向素子334に入射し、この第3偏向素子334により反射されて第2偏向素子316に入射し第3出力ミラーに向かって伝播する。このとき、その信号光は、平面視略「く」の字状の光路を描くこととなる。
また、第1偏向素子316、第2偏向素子325および第3偏向素子333は、互いに対応付けられている。したがって、第2入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子316により反射されて第3偏向素子333に入射し、この第3偏向素子333により反射されて第2偏向素子325に入射し第2出力ミラーに向かって伝播する。このとき、その信号光は、平面視略「く」の字状の光路を描くこととなる。
第1偏向素子317,318および第2偏向素子327,328は、第1偏向素子315のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子317は第1入力ポート、第1偏向素子318は第2入力ポート、第2偏向素子327は第1出力ポート、第2偏向素子328は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。
ここで、第1偏向素子317と第2偏向素子327は、対をなして互いに対応付けられている。したがって、第1入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子317により反射されて第2偏向素子327に入射し第1出力ミラーに向かって伝播する。
また、第1偏向素子318と第2偏向素子328は、対をなして互いに対応付けられている。したがって、第2入力ミラーからの信号光は、第1偏向素子318により反射されて第2偏向素子328に入射し第4出力ミラーに向かって伝播する。
偏向素子ブロック200では、対となる偏向素子間の光路が長くなると、光路が干渉するので、同一X座標に1つの偏向素子ペアしか配置できない場合があった。これに対して、偏向素子ブロック300では、第1および第2偏向素子間の光路が長くても、その光路上に第3の偏向素子を配置し、光路を「く」の字状に屈曲させることにより、光路干渉を回避するレイアウトを実現することができる。これにより、全てのX座標に複数の偏向素子ペアを配置し、より高密度に偏向素子を配置することができる。結果として、入出力ポート数が増えても、入出力MEMSミラーに要求される偏向角増大量を最小限に抑制することができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明に係る第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、上述した第1〜第3の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図14に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る波長選択スイッチ4は、入力ポートが3個、出力ポートが3個のMxN型WSS光学系からなる。このような波長選択スイッチ4は、光ファイバ11〜16を備えた光ファイバアレイ10と、マイクロレンズ21〜26を備えたマイクロレンズアレイ20と、レンズ31a〜31fを備えたY整形レンズアレイ31およびX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30と、偏向素子ブロック400と、SWレンズアレイ60と、回折格子70と、合分波レンズ80と、MEMSミラーアレイ90とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。
ここで、光ファイバアレイ10は、各々の光軸をZ軸方向に沿わせた複数の光ファイバ11〜16を、Z軸と直交するY軸方向に並設した構成を有する。光ファイバ11,13,15は、光信号を受光する出力ポート(第1〜第3出力ポート)として動作し、光ファイバ12,14,16は、光信号を出射する入力ポート(第1〜第3入力ポート)として動作する。
MEMSミラーアレイ90は、X軸方向およびこのX軸方向に直交する軸方向に並設され、少なくともY軸回りに回動可能に支持された複数のMEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,から構成されている。これらのMEMSミラー91a〜96gは、XY平面にマトリクス状に配設されており、行方向(X軸)に7個、列方向(Y軸)に6個設けられている。
ここで、Y軸方向における最も負の側の行のMEMSミラー(以下、「第1出力ミラー」と呼ぶ。)91a〜91gには、第1出力ポートに出力される光信号が入射する。
また、この第1出力ミラー91a〜91gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第1入力ミラー」と呼ぶ。)92a〜92gには、第1入力ポートから出射した光信号が入射する。
また、この第1入力ミラー92a〜92gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第2出力ミラー」と呼ぶ。)93a〜93gには、第2出力ポートに出力される光信号が入射する。
また、この第2出力ミラー93a〜93gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第2入力ミラー」と呼ぶ。)94a〜94gには、第2入力ポートから出射した光信号が入射する。
また、この第2入力ミラー94a〜94gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第3出力ミラー」と呼ぶ。)95a〜95gには、第3出力ポートに出力される光信号が入射する。
また、この第3出力ミラー95a〜95gにY軸方向の正の側に隣接する行のMEMSミラー(以下、「第3入力ミラー」と呼ぶ。)96a〜96gには、第3入力ポートから出射した光信号が入射する。
偏向素子ブロック400は、図15に示すように、偏向角度が90度のミラーチップから構成される第1偏向素子411〜419と、この第1偏向素子411〜419よりもX軸方向の長さが長い第2偏向素子421〜429と、YZ面に沿った反射面を有する第3偏向素子431,432と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板440とから構成される。
第1偏向素子411〜419は、Y座標上の位置が同一の入力ポートと光路を結ぶ入力ミラーから入射する光信号を、対応付けられた第2偏向素子421〜429または第3偏向素子431,432に向けて反射させる。
第2偏向素子421〜429は、対応付けられた第1偏向素子411〜419または第3偏向素子431,432から入射する信号光を、Y座標上の位置が同一の出力ポートと光路を結ぶ出力ミラーに向けて反射させる。
第3偏向素子431,432は、対応付けられた第1偏向素子411,412から入射した信号光を、対応付けられた第2偏向素子421,422に向けて反射する。
このような第1偏向素子411〜419,第2偏向素子421〜429および第3偏向素子431,432の具体的な配置は以下の通りである。なお、上述した第3の実施の形態における偏向素子ブロック300に関する説明からもわかるように、偏向素子の具体的な配置と偏向素子間の対応付けがわかれば、偏向素子、入出力ポートおよび入出力ミラーを結ぶ光路は一意にわかるので、以下においてその光路の説明を省略する。
第1偏向素子411,412および第2偏向素子421,422は、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子411は第2入力ポート、第1偏向素子412は第3入力ポート、第2偏向素子421は第1出力ポート、第2偏向素子422は第2出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、第3偏向素子431は、X座標が第2偏向素子422よりもX軸方向の正の側で、Y座標が第1入力ポートと第2出力ポートの間の位置に配設され、第3偏向素子432は、X座標が第3偏向素子431と同じで、Y座標が第2入力ポートと第3出力ポートの間の位置に配設されている。
ここで、第1偏向素子411、第2偏向素子421および第3偏向素子431は、互いに対応付けられている。また、第1偏向素子412、第2偏向素子422および第3偏向素子432は、互いに対応付けられている。
また、第1偏向素子413,414および第2偏向素子423,424は、第1偏向素子411のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子413は第1入力ポート、第1偏向素子414は第2入力ポート、第2偏向素子423は第2出力ポート、第2偏向素子424は第3出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子413と第2偏向素子423は、対をなして互いに対応付けられている(偏向素子ペア)。また、第1偏向素子414と第2偏向素子424は、対をなして互いに対応付けられている。
また、第1偏向素子415〜417および第2偏向素子425〜427は、第1偏向素子413のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子415は第1入力ポート、第1偏向素子416は第2入力ポート、第1偏向素子417は第3入力ポート、第2偏向素子425は第1出力ポート、第2偏向素子426は第2出力ート、第2偏向素子427は第3出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、XZ面内において、第1偏向素子413,414および第2偏向素子423,424と第1偏向素子415〜417および第2偏向素子425〜427との間には、光ファイバ11〜16から入出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。
ここで、第1偏向素子415と第2偏向素子425は、対をなして互いに対応付けられている。また、第1偏向素子416と第2偏向素子426は、対をなして互いに対応付けられている。さらに、第1偏向素子417と第2偏向素子427は、対をなして互いに対応付けられている。
また、第1偏向素子418および第2偏向素子428は、第1偏向素子415〜417のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子418は第1入力ポートと同じY座標に配設されており、第2偏向素子428は第3出力ポートと同じY座標に配設されている。このような第1偏向素子418および第2偏向素子428は、互いに対応付けられている。
また、第1偏向素子419および第2偏向素子429は、第1偏向素子418のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子419は第3入力ポートと同じY座標に配設されており、第2偏向素子429は第1出力ポートと同じY座標に配設されている。このような第1偏向素子419および第2偏向素子429は、互いに対応付けられている。
本実施の形態と上述した第3の実施の形態とを比較すると、入出力ポート数の総量は同じであるが、本実施の形態の方がSWレンズアレイ60のアレイ数が多く、入出力MEMSミラーに要求される偏向角も大きくなっている。これは、第3の実施の形態が入力ポート数が2個、出力ポート数が4個であり、偏向素子ペアの数が8個であるのに対して、本実施の形態は入力ポート数が3個、出力ポート数が3個であり、偏向素子ペアの数が9個に増えているためである。
また、本実施の形態においては、入力ポートと出力ポートが交互に配置されているため、第1偏向素子と第2偏向素子とが近接して配置される割合が高くなっている。したがって、同一X座標に複数の偏向素子ペアを集積しやすくなっている。本実施の形態では、最大3つの偏向素子ペアが同一X座標に配置されている。
<偏向素子ブロックの変形例1>
なお、偏向素子ブロック400は、上述したような構成に限定されず、例えば、図16に示すような構成を採るようにしてもよい。この図16に示す偏向素子ブロック401は、上述した偏向素子ブロック400における第1偏向素子419と平板440との間にオフセット419aを、第2偏向素子429と平板440との間にオフセット429aをそれぞれ設けたものである。このオフセット419a,429aは、Z軸方向に同じ長さを有する柱状の形状を有する。これにより、第1偏向素子419および第2偏向素子429は、Z軸方向の正の側にオフセット419a,429aの長さ分だけ移動することとなる。
図15に示した偏向素子ブロック400の場合、隣接する入出力ポート間を結合する偏向素子ペア(例えば第1出力ポートと第1入力ポート)と、隣接しない入出力ポート間を結合する偏向素子ペア(例えば第1出力ポートと第3入力ポート)とでは、第1偏向素子と第2偏向素子とを結ぶ光路長を比較すると、後者の方が長くなってしまう。すでに述べたように、この偏向素子ブロックは共焦点面付近に配置されるため、光路長差はデフォーカスとなり、出力ミラー上に結像するビームサイズのばらつき要因となってしまい、最終的には、入出力ポートの組み合わせによって透過帯域のばらつきを発生させてしまう。
そこで、図16に示す偏向素子ブロック401のように、光路長が比較的長い入出力ポートに対応する第1偏向素子および第2偏向素子を、あらかじめZ軸方向にオフセットさせ、光路長差を相殺させることにより、上述した光路長差による透過帯域のばらつきを補正することができる。
<偏向素子ブロックの変形例2>
偏向素子ブロック400の別の変形例を、図17に示す。この図17に示す偏向素子ブロック402は、上述した偏向素子ブロック401におけるそれぞれオフセットを設けた第1偏向素子419と第2偏向素子429とを、第1偏向素子418および第2偏向素子428と同じX座標上に設けたものである。
第1偏向素子および第2偏向素子のZ軸方向へのオフセットは、上述したような光路長差をキャンセルする効果だけでなく、他の偏向素子ペアとの光路干渉を回避できる効果ももたらす。例えば、図17に示すように、第3入力と第1出力を結ぶ偏向素子ペア(第1偏向素子419と第2偏向素子429)をZ軸方向にオフセットさせるとともに、X軸方向の正の側にもオフセットさせて、第1入力と第3出力を結ぶ偏向素子ペア(第1偏向素子418と第2偏向素子428)と同一X座標に配置することができる。これにより、図16に示す偏向素子ブロック401では、入出力MEMSミラーに要求される偏向角が3水準であったが、図17に示す偏向素子ブロック402では2水準に低減することができる。このように、特定の偏向素子ペアをZ軸およびX軸方向にオフセットさせることにより、入出力MEMSミラーに要求される偏向角増大量を抑制することができる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明に係る第5の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、上述した第1〜第4の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図18に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る波長選択スイッチ5は、入力ポートが4個、出力ポートが4個のMxN型WSS光学系からなる。このような波長選択スイッチ5は、光ファイバ11〜18を備えた光ファイバアレイ10と、マイクロレンズ21〜28を備えたマイクロレンズアレイ20と、レンズ31a〜31hを備えたY整形レンズアレイ31およびX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30と、偏向素子ブロック500と、SWレンズアレイ60と、回折格子70と、合分波レンズ80と、MEMSミラーアレイ90とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。
ここで、光ファイバアレイ10は、各々の光軸をZ軸方向に沿わせた複数の光ファイバ11〜18を、Z軸と直交するY軸方向に並設した構成を有する。光ファイバ11,13,15,17は、光信号を受光する出力ポート(第1〜第4出力ポート)として動作し、が形成され、光ファイバ12,14,16,18は、光信号を出射する入力ポート(第1〜第4入力ポート)として動作する。
MEMSミラーアレイ90は、X軸方向およびこのX軸方向に直交する軸方向に並設され、少なくともY軸回りに回動可能に支持された複数のMEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,97a〜97g,98a〜98gから構成されている。これらのMEMSミラー91a〜96gは、XY平面にマトリクス状に配設されており、行方向(X軸)に7個、列方向(Y軸)に8個設けられている。以下において、これらのMEMSミラーは、上述した第1〜第4の実施の形態の場合と同様、入出力ポートと結ぶ光路の関係に基づき、MEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,97a〜97g,98a〜98gの順番で、第1出力ミラー、第1入力ミラー、第2出力ミラー、第2入力ミラー、第3出力ミラー、第3入力ミラー、第4出力ミラー、第4入力ミラーと呼ぶこととする。
偏向素子ブロック500は、図19に示すように、偏向角度が90度のミラーチップから構成される第1偏向素子511〜526と、この第1偏向素子511〜526よりもX軸方向の長さが長い第2偏向素子531〜546と、YZ面に沿った反射面を有する第3偏向素子551〜554と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板560とから構成される。
第1偏向素子511〜526は、Y座標上の位置が同一の入力ポートと光路を結ぶ入力ミラーから入射する光信号を、対応付けられた第2偏向素子531〜546または第3偏向素子551〜554に向けて反射させる。
第2偏向素子531〜546は、対応付けられた第1偏向素子511〜526または第3偏向素子551〜554から入射する信号光を、Y座標上の位置が同一の出力ポートと光路を結ぶ出力ミラーに向けて反射させる。
第3偏向素子551〜554は、対応付けられた第1偏向素子520〜523から入射した信号光を、対応付けられた第2偏向素子540〜543に向けて反射する。
このような第1偏向素子511〜526,第2偏向素子531〜546および第3偏向素子551〜554の具体的な配置は以下の通りである。なお、上述した第3の実施の形態における偏向素子ブロック300に関する説明からもわかるように、偏向素子の具体的な配置と偏向素子間の対応付けがわかれば、偏向素子、入出力ポートおよび入出力ミラーを結ぶ光路は一意にわかるので、以下においてその光路の説明を省略する。
第1偏向素子511〜514および第2偏向素子531〜534は、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子511〜514は同じ順番の第1〜第4出力ポートと同じY座標に配設され、第2偏向素子531〜534は同じ順番の第1〜第4入力ポートと同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子511と第2偏向素子531、第1偏向素子512と第2偏向素子532、第1偏向素子513と第2偏向素子533、第1偏向素子514と第2偏向素子534は、それぞれ対応付けられており偏向素子ペアを構成している。
第1偏向素子515,516および第2偏向素子535,536は、第1偏向素子511のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子515は第2入力ポート、第1偏向素子516は第4入力ポート、第2偏向素子535は第1出力ポート、第2偏向素子536は第3出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子515と第2偏向素子535、および、第1偏向素子516と第2偏向素子536は、それぞれ対応付けられており偏向素子ペアを構成している。
第1偏向素子517〜519および第2偏向素子537〜539は、第1偏向素子515のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子517は第1入力ポート、第1偏向素子518は第3入力ポート、第1偏向素子519は第4入力ポート、第2偏向素子537は第1出力ポート、第2偏向素子538は第2出力ポート、第2偏向素子539は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子517と第2偏向素子539、第1偏向素子518と第2偏向素子538、および、第1偏向素子519と第2偏向素子537は、それぞれ対応付けられており偏向素子ペアを構成している。なお、第1偏向素子517と第2偏向素子539には、それぞれ1段のオフセット(517a,539a)が設けられている。また、第1偏向素子519と第2偏向素子537には、それぞれ2段のオフセット(519a,519b、537a,537b)が設けられている。
第1偏向素子520,521および第2偏向素子540,541は、第1偏向素子517のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子520は第3入力ポート、第1偏向素子521は第4入力ポート、第2偏向素子540は第1出力ポート、第2偏向素子541は第2出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、第3偏向素子551は、X座標が第2偏向素子541からX軸方向の正の側の所定距離移動した位置に、Y座標が第2出力ポートと第2入力ポートの間の位置に配設されておいる。第3偏向素子552は、X座標が第3偏向素子551と同じ位置、Y座標が第3出力ポートと第3入力ポートの間の位置に配設されている。さらに、XZ面内において、第3偏向素子551,552と第1偏向素子517〜519および第2偏向素子537〜539との間には、光ファイバ11〜18から入出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。
ここで、第1偏向素子520、第2偏向素子540および第3偏向素子551は、互いに対応付けられている。また、第1偏向素子521、第2偏向素子541および第3偏向素子552は、互いに対応付けられている。
第1偏向素子522,523および第2偏向素子542,543は、第1偏向素子520のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子522は第1入力ポート、第1偏向素子523は第2入力ポート、第2偏向素子542は第3出力ポート、第2偏向素子543は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、第3偏向素子553は、X座標が第1偏向素子520のX座標と第1偏向素子522のX座標の間の位置、Y座標が第3偏向素子551と同じY座標の位置に配設されている。第3偏向素子554は、X座標が第3偏向素子553と同じ位置、Y座標が第3偏向素子552と同じ位置に配設されている。
ここで、第1偏向素子522、第2偏向素子542および第3偏向素子553は、互いに対応付けられている。また、第1偏向素子523、第2偏向素子543および第3偏向素子554も互いに対応付けられている。
第1偏向素子524〜526および第2偏向素子544〜546は、第1偏向素子522のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子524は第1入力ポート、第1偏向素子525は第2入力ポート、第1偏向素子526は第3入力ポート、第2偏向素子544は第2出力ポート、第2偏向素子545は第3出力ポート、第2偏向素子546は第4出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。
ここで、第1偏向素子524と第2偏向素子544、第1偏向素子525と第2偏向素子545、第1偏向素子526と第2偏向素子546は、それぞれ対応付けられており偏向素子ペアを構成している。
本実施の形態と上述した第4の実施の形態とを対比すると、入出力ポート数の総量は6から8に増加したが、SWレンズアレイ60のアレイ数や入出力ミラーに要求される最大偏向角は維持されている。これは、偏向素子ペアを高密度に偏向素子ブロック500に集積しているためである。
[第6の実施の形態]
次に、本発明に係る第6の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、第5の実施の形態におけるMEMSミラーアレイ90において、入力ポートを中央部に集約配置したものである。したがって、上述した第5の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
図20に示すように、本発明の第6の実施の形態に係る波長選択スイッチ6は、入力ポートが4個、出力ポートが4個のMxN型WSS光学系からなる。このような波長選択スイッチ6は、光ファイバ11〜18を備えた光ファイバアレイ10と、マイクロレンズ21〜28を備えたマイクロレンズアレイ20と、レンズ31a〜31hを備えたY整形レンズアレイ31およびX整形レンズ32からなるアナモルフィック光学系30と、偏向素子ブロック600と、SWレンズアレイ60と、回折格子70と、合分波レンズ80と、MEMSミラーアレイ90とを備えており、これらをこの順番でZ軸方向に沿って配列した構成を有する。
ここで、光ファイバアレイ10は、各々の光軸をZ軸方向に沿わせた複数の光ファイバ11〜18を、Z軸と直交するY軸方向に並設した構成を有する。光ファイバ11,12,17,18は、光信号を受光する出力ポート(第4〜第1出力ポート)として動作し、光ファイバ13〜16は、光信号を出射する入力ポート(第4〜第1入力ポート)として動作する。
MEMSミラーアレイ90は、X軸方向およびこのX軸方向に直交する軸方向に並設され、少なくともY軸回りに回動可能に支持された複数のMEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,97a〜97g,98a〜98gから構成されている。これらのMEMSミラー91a〜96gは、XY平面にマトリクス状に配設されており、行方向(X軸)に7個、列方向(Y軸)に8個設けられている。以下において、これらのMEMSミラーは、入出力ポートと結ぶ光路の関係に基づき、MEMSミラー91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,97a〜97g,98a〜98gの順番で、第4出力ミラー、第3出力ミラー、第4入力ミラー、第3入力ミラー、第2入力ミラー、第1入力ミラー、第2出力ミラー、第1出力ミラーと呼ぶこととする。
偏向素子ブロックは、図21に示すように、偏向角度が90度のミラーチップから構成される第1偏向素子611〜622と、この第1偏向素子611〜622よりもX軸方向の長さが長い第2偏向素子631〜642と、第1偏向素子611〜622と同等の形状を有し偏向角度が90度より小さい第4偏向素子651〜654と、第2偏向素子631〜642と同様の形状を有し偏向角度が90度より大きい第5偏向素子661〜664と、これらを貼り付けたガラス等の光学的に透明な平板670とから構成される。
第1偏向素子611〜622は、Y座標上の位置が同一の入力ポートと光路を結ぶ入力ミラーから入射する光信号を、対応付けられた第2偏向素子631〜642に向けて反射させる。
第2偏向素子631〜642は、対応付けられた第1偏向素子611〜622から入射する信号光を、Y座標上の位置が同一の出力ポートと光路を結ぶ出力ミラーに向けて反射させる。
第4偏向素子651〜654は、Y座標上の位置が同一の入力ポートと光路を結ぶ入力ミラーから入射する光信号を、対応付けられた第5偏向素子661〜664に向けて反射させる。
第5偏向素子661〜664は、対応付けられた第4偏向素子651〜654から入射した信号光を、Y座標上の位置が同一の出力ポートと光路を結ぶ出力ミラーに向けて反射させる。
このような偏向素子の具体的な配置は以下の通りである。なお、上述した第3の実施の形態における偏向素子ブロック300に関する説明からもわかるように、偏向素子の具体的な配置と偏向素子間の対応付けがわかれば、偏向素子、入出力ポートおよび入出力ミラーを結ぶ光路は一意にわかるので、以下においてその光路の説明を省略する。
第1偏向素子611,612および第2偏向素子631,632は、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子611は第3入力ポート、第1偏向素子612は第2入力ポート、第2偏向素子631は第3出力ポート、第2偏向素子632は第2出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子611および第2偏向素子631、第1偏向素子612および第2偏向素子632は、それぞれ対応付けられており偏向素子ペアを構成している。
第1偏向素子613〜616および第2偏向素子633〜636は、第1偏向素子6111のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子613は第4入力ポート、第1偏向素子614は第3入力ポート、第1偏向素子615は第2入力ポート、第1偏向素子616は第1入力ポート、第2偏向素子633は第4出力ポート、第2偏向素子634は第3出力ポート、第2偏向素子635は第2出力ポート、第2偏向素子636は第1出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子613と第2偏向素子633、第1偏向素子614と第2偏向素子636、第1偏向素子615と第2偏向素子634、第1偏向素子616と第2偏向素子635は、それぞれ対応付けられており偏向素子ペアを構成している。なお、第1偏向素子613,614には、ゲート型オフセット613c、614cが設けられている。このゲート型オフセットとは、Y軸方向に沿った貫通孔が設けられている。この貫通孔を設けることにより、例えば第1偏向素子615により反射された信号光は、その貫通孔を通過できるので、第2偏向素子634に到達することができる。また、第2偏向素子633および第1偏向素子636には、それぞれオフセット633a,636aが設けられている。
第4偏向素子651,652および第5偏向素子661,662は、第1偏向素子613のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第4偏向素子651は第4入力ポート、第4偏向素子652は第1入力ポート、第5偏向素子661は第4出力ポート、第5偏向素子662は第1出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第4偏向素子651と第5偏向素子662、および、第4偏向素子652と第5偏向素子661は、互いに対応付けられており偏向素子ペアを構成している。なお、第5偏向素子661,662には、オフセット(661a,662a)が設けられており、対応する第5偏向素子662,661とZ座標が異なってしまうが、上述したように第4偏向素子の偏向角度が90度より小さく、第5偏向素子の偏向角度が90度より大きく設定されているので、偏向素子ペア間で光路を接続することができる。
第1偏向素子617〜620および第2偏向素子637〜640は、第4偏向素子651のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子617は第4入力ポート、第1偏向素子618は第3入力ポート、第1偏向素子619は第2入力ポート、第1偏向素子620は第1入力ポート、第2偏向素子637は第4出力ポート、第2偏向素子638は第3出力ポート、第2偏向素子639は第2出力ポート、第2偏向素子640は第1出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。また、XZ面内において、第1偏向素子617〜620および第2偏向素子637〜640と第4偏向素子651,652および第5偏向素子661,662との間には、光ファイバ11〜18から入出力される信号光の光軸が位置するように設定されている。
ここで、第1偏向素子617と第2偏向素子638、第1偏向素子618と第2偏向素子639、第1偏向素子619と第2偏向素子637、第1偏向素子620と第2偏向素子640は、互いに対応付けられている。
なお、第1偏向素子617,618および第2偏向素子638,639には、ゲート型オフセット(617c、618c、638c、639c)が設けられている。
第4偏向素子653,654および第5偏向素子663,664は、第1偏向素子617のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第4偏向素子653は第4入力ポート、第4偏向素子654は第1入力ポート、第5偏向素子663は第3出力ポート、第5偏向素子664は第2出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第4偏向素子653と第5偏向素子664、および、第4偏向素子654と第5偏向素子663は、互いに対応付けられている。なお、第4偏向素子653,654には、オフセット653a,654aが設けられている。
第1偏向素子621,622および第2偏向素子641,642は、第4偏向素子653のX座標よりもX軸方向の負の側における、同じX座標上に配設されており、第1偏向素子621は第3入力ポート、第1偏向素子622は第2入力ポート、第2偏向素子641は第4出力ポート、第2偏向素子642は第1出力ポートとそれぞれ同じY座標に配設されている。ここで、第1偏向素子621と第2偏向素子641、第1偏向素子622と第2偏向素子642は、互いに対応付けられている。
本実施の形態では、入力ポートを中央部に集約配置することにより、第1合波ビームの回折格子入射角のθx成分ばらつきを抑制することができる。このθx成分ばらつきは、回折格子70の分散角ばらつき要因であり、最終的に透過帯域シフトの入出力ポートばらつきをもたらすため、できるだけ抑制するのが望ましい。
また、本実施の形態と第5の実施の形態とを対比すると、偏向素子ブロックにおいて、第1偏向素子と第2偏向素子間の最長光路長、第1偏向素子と第2偏向素子間の最短光路長の出現頻度、第3の偏向素子の有無などの点で相違する。具体的には、第1偏向素子と第2偏向素子間の光路長は、第5の実施の形態の場合、第4入力ポートと第1出力ポートを結ぶ偏向素子ペアが最長であり、7ポート分離れていたが、本実施の形態では、第4入力ポートと第1出力ポートとを結ぶ偏向素子ペアが最長であり、5ポート分しか離れていない。また、第5の実施の形態では、1ポート分しか離れていない偏向素子ペアが7組存在したが、本実施の形態では、1ポート分しか離れていない偏向素子ペアが2組しか存在しない。さらに、第5の実施の形態では、第3の偏向素子が4箇所配置されていたが、本実施の形態では、第3の偏向素子が配置されていない。
また、第5の実施の形態では、第3の偏向素子が配置されている場合を除き、第1偏向素子および第2偏向素子による偏向角は全て90度であった。これに対して、本実施の形態では、偏向素子ペアの一部において、偏向角が90度より小さい第4偏向素子と、偏向角が90度より小さい第5偏向素子を用いることにより、第3の偏向素子を配置しなくても偏向素子ペア間の光路干渉を回避することができ、同一X座標に複数の偏向素子ペアを配置することができる。
また、本実施の形態では、ゲートオフセットを用いている。第5の実施の形態においては、Z方向にオフセットさせた偏向素子ペアを同一X座標に複数集積する場合、短い光路長の偏向素子ペアを長い光路長の偏向素子ペアで包含する構成を取らざるを得ず、光路長が同一である偏向素子ペアを同一X座標に集積することができなかった。これに対して、本実施の形態によれば、上記ゲートオフセットが、そのZ軸方向の下部を他のビームが通過できる貫通孔を有する構造となっている。なお、他のビームが通過できればよいので、物理的なゲート構造のみならず、光学透明な部材で偏向素子をZ方向にオフセットさせて、その表面をARコートするようにしてもよい。これにより、偏向素子ペア間の光路干渉を回避することができ、光路長が同一である偏向素子ペアでも、同一X座標に複数の偏向素子ペアを配置することができる。
なお、上述した第1〜第6の実施の形態では、同一の回折格子70に信号光が4回通過するため、この信号光の通過時にその入射角(出射角)のθy成分が変化すると回折角も変化してしまう。その回折角変化は各波長信号光がMEMSミラーに入射する位置の変化をもたらし、最終的に透過帯域を減少させてしまう。この現象について、図22を参照して説明する。なお、図22において、実線は回折格子通過前の分波ビームおよび第2合波ビーム、点線は第3合波ビームおよび回折格子通過後の分波ビーム、一点鎖線は第1合波ビーム、第4合波ビームおよび回折格子通過前後の分波ビームを示している。
図22において、第1合波ビームと第2合波ビームの入出射角θy成分は同じであり、第3合波ビームと第4合波ビームの入出射角θy成分は同じであるが、第1合波ビームと第3合波ビームの入出射角θy成分は異なっている。この入出射角θy成分の変化量は、入力ポートと出力ポートの物理的な離間距離にほぼ比例しているため、ポート数を増加させていくと、入出射角θy成分の変化量が大きくなる入出力ポートの組み合わせが増加し、最終的に透過帯域のポート間ばらつきが発生してしまう。図22は、第1合波ビームよりも第3合波ビームの分散能が大きくなってしまった場合の光路図を示しており、短波側(または長波側)の分波ビームに注目すると、入力ミラーへの入射X位置(第1合波ビームの回折光)と出力MEMSミラーへの入射X位置(第3合波ビームの回折光)が一致せず、透過帯域が減少してしまう。
そこで、このような課題を解決するには、回折格子を通過する信号光の入出射角のθy成分の変化に伴う分散能の変化を、θx成分の変化でキャンセルする手法が考えられる。基本的には、回折格子への入射角度のみオフセットさせ入射位置はオフセットさせないようにする必要があるが、SWレンズで位置や角度が変換されることに注意が必要である。すなわち、図24に示すように、第1偏向素子に入射する信号光と第2偏向素子から出射される信号光を、その光軸角度が互いに平行であるように維持しつつ、光軸位置のみX軸方向にオフセットさせることにより、回折格子への入射角度のみオフセットさせることができる。より具体的には、図24(a)に示す状態から、第1偏向素子に入射する伝播ビームと第2偏向素子から出射される伝播ビームについて、その光軸角度は互いに平行であるように維持しつつ、光軸位置のみX方向にオフセットさせて、図24(b)に示すような状態とすることにより、第1および第2偏向素子の偏向角を調整すればよい。
また、第1〜第6の実施の形態では、SWレンズアレイ60は同一焦点距離を有するレンズをX方向に3つアレイ化した場合の例で説明したが、レンズの数量は3つに限定されず、入出力ポート数やMEMSミラーの回転角水準数の変化に伴って適宜自由に設定することができる。なお、レンズ系内部における多重反射による各種の悪影響を回避するには、平凸レンズよりも両凸レンズを採用する方が望ましい。
また、SWレンズアレイ60の構成についても適宜自由に設定することができる。例えば、図25に示すように、軸線がY方向に沿った1枚の円筒レンズと、軸線がX方向に沿った3枚の円筒レンズを組み合わせた構成を有するSWレンズアレイ61を採用するようにしてもよい。このSWレンズアレイ61は、表面と背面の円筒レンズを別々に製造し、別途貼り合わせことにより製造することができるが、表面と裏面の集光パワーが直交しているため、貼り合わせ時のXY方向の公差は非常に大きく、レンズ製造歩留まりを向上させることができる。
また、第1〜第6の実施の形態では、アナモルフィック光学系30として、Y方向の円筒レンズアレイとX方向の円筒レンズを組み合わせた場合を例に説明したが、その円筒レンズの替わりにアナモルフィックプリズムを組み合わせた光学系を用いるようにしてもよい。また、可動偏向素子としてLCoSなどを採用する場合、必要に応じて偏波ダイバーシティ光学系を挿入するようにしてもよい。また、入出力ポートのY方向ピッチによっては、マイクロレンズアレイまたはY方向の円筒レンズアレイのどちらか一方を省略するようにしてもよい。例えば、図26に示す光学系31のように、Y方向の円筒レンズアレイとX方向の円筒レンズを一体化するようにしてもよい。これにより、レンズ歩留まり向上を実現することができる。また、図27に示す光学系32のように、マイクロレンズアレイを省略するようにしてもよい。これにより、部品点数削減による部材や調芯コスト低減を実現することができる。
また、第1の実施の形態では、回折格子70はX方向に3つアレイ化した場合の例で説明したが、入出力ポート数やMEMSミラーの回転角水準数の増加に伴って、アレイ数も増加させるようにしてもよい。回折格子上のビームサイズが十分小さく、X方向のピッチが十分大きい場合には、図28に示す回折格子71のように、実際にビームが通過する領域にのみ回折格子を配置するようにしてもよい。これにより、回折格子の総面積を必要最小限に抑制し、結果として部材コストを低減することができる。一方、図29に示すように、回折格子上のビームサイズが相対的に大きくなり、X方向のピッチが相対的に小さい場合には、回折格子上のビームが重なる領域が発生する。このような場合は、回折格子を分割せず、X方向の有効径が十分大きい単一の矩形回折格子72を利用するのが望ましい。
本発明は、波長多重通信等に用いることができる。
1〜6…波長選択スイッチ、10…光ファイバアレイ、11〜18…光ファイバ、20…マイクロレンズアレイ、30…アナモルフィック光学系、31…Y整形レンズアレイ、31a〜31h…レンズ、32…X整形レンズ、40…第1偏向素子、41〜44…SWミラー、50…第2偏向素子、51〜54…偏向チップ、60…SWレンズアレイ、70…回折格子、80…合分波レンズ、90…MEMSミラーアレイ、91a〜91g,92a〜92g,93a〜93g,94a〜94g,95a〜95g,96a〜96g,97a〜97g,98a〜98g…ミラー、140…第1偏向素子、141〜148…SWミラー、149…平板、150…第2偏向素子150、151〜158…偏向チップ、159…平板、211,212,221,222,231,232,241,242,251,252,261,262,271,272,281,282…偏向素子、300…偏向素子ブロック、311〜318…第1偏向素子、321〜328…第2偏向素子、331〜334…第3偏向素子、340…平板、400〜402…偏向素子ブロック、411〜419…第1偏向素子、421〜429…第2偏向素子、419a,429a…オフセット、431,432…第3偏向素子、440…平板、500…偏向素子ブロック、511〜526…第1偏向素子、531〜546…第2偏向素子、551〜554…第3偏向素子、560…平板、600…偏向素子ブロック、611〜622…第1偏向素子、631〜642…第2偏向素子、651〜654…第4偏向素子、661〜664…第5偏向素子、670…平板。

Claims (11)

  1. 入出力ポートと、
    入射される光を任意の方向に偏向させる複数の可動偏向素子から構成される可動偏向素子アレイと、
    前記入出力ポートと前記可動偏向素子アレイとの間に配設され、多重化された光信号を波長毎に分波して所定の前記可動偏向素子に入射させるとともに、前記可動偏向素子によって反射された少なくとも1つの所定波長の光を合波して出力する合分波光学系と、
    前記入出力ポートと前記合分波光学系との間に設けられ、前記合分波光学系から出力された光信号を、光軸を平行移動させて再び前記合分波光学系に入力させる偏向光学系と
    を備えた波長選択スイッチであって、
    前記可動偏向素子アレイは、
    前記入出力ポートから入力され前記合分波光学系によって分波された光信号を任意の方向に反射して、所定の前記偏向光学系に入力させる入力可動偏向素子と、
    前記偏向光学系によって偏向され前記合分波光学系によって分波された光信号を任意の方向に反射して前記合分波光学系に入力し、前記入出力ポートに合波された光信号を出力させる出力可動偏向素子と
    から構成されることを特徴とする波長選択スイッチ。
  2. 前記合分波光学系は、回折素子と、この回折素子と前記偏向光学系との間に配設された第1の集光素子と、前記回折素子と前記可動偏向素子アレイとの間に配設された第2の集光素子とから構成され、
    前記第2の集光素子の一方の焦点面には、前記回折素子が配設され、
    前記第2の集光素子の他方の焦点面には、前記可動偏向素子アレイが配設される
    ことを特徴とする請求項1記載の波長選択スイッチ。
  3. 前記可動偏向素子は、前記回折素子の波長分散方向に光線を偏向させる
    ことを特徴とする請求項2記載の波長選択スイッチ。
  4. 前記第1の集光素子は、前記回折素子の波長分散方向に複数配設される
    ことを特徴とする請求項2記載の波長選択スイッチ。
  5. 前記偏向光学系は、前記合分波光学系から光信号が入力される第1の偏向素子と、この第1の偏向素子に入力された光信号を前記合分波光学系に出力する第2の偏向素子とからなる偏向素子対を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の波長選択スイッチ。
  6. 前記第1の偏向素子は、プリズムおよびミラーの何れか一方から構成され、
    前記第2の偏向素子は、プリズムおよびミラーの何れか一方から構成される
    ことを特徴とする請求項5記載の波長選択スイッチ。
  7. 前記第1の偏向素子および前記第2の偏向素子は、一体形成されている
    ことを特徴とする請求項5記載の波長選択スイッチ。
  8. 前記偏向光学系は、前記第1の偏向素子に入力された光信号を前記第2の偏向素子に向けて偏向させる第3の偏向素子をさらに備える
    ことを特徴とする請求項5記載の波長選択スイッチ。
  9. 前記偏向光学系は、任意の前記偏向素子対に対して、少なくとも1つの他の前記偏向素子対が前記合分波光学系の方向にオフセット配置されている
    ことを特徴とする請求項5記載の波長選択スイッチ。
  10. 前記入力可動偏向素子および前記出力可動偏向素子は、同一平面上に配設される
    ことを特徴とする請求項1記載の波長選択スイッチ。
  11. 前記入出力ポートと前記偏向光学系との間に配設され、前記入出力ポートから入力された光信号のビーム強度分布を楕円形状に整形するアナモルフィック光学系をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1記載の波長選択スイッチ。
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