JP2011145341A - 眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な防眩性および視認性が奏されて眼鏡や偏光眼鏡用の使用に耐えるプラスチックレンズを提供する。
【解決手段】ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とし、テトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素を配合し、重合開始剤として10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物を配合し、前記レンズ材料を重合させかつ脱泡および硬化させてなり、波長565nm〜605nmに可視光分光透過率の主吸収ピークを有する。
【選択図】なし
【解決手段】ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とし、テトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素を配合し、重合開始剤として10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物を配合し、前記レンズ材料を重合させかつ脱泡および硬化させてなり、波長565nm〜605nmに可視光分光透過率の主吸収ピークを有する。
【選択図】なし
Description
この発明は、光吸収性能を有する眼鏡用プラスチックレンズおよび偏光眼鏡用プラスチックレンズに関し、詳しくは偏光眼鏡などの眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズおよびその製造方法に関するものである。
一般に、眼鏡用プラスチックレンズに有機系色素を配合することにより、防眩性や視認性の良い機能を付与できることが知られている。
例えば、眩しさを感じやすい波長帯を選択的に遮光することにより、眩しさに関係する不快感、視覚疲労などを軽減することを目的にして波長585nm付近の可視光を遮光するプラスチック製眼鏡レンズが知られている。
眼鏡レンズに使用される樹脂は、例えばアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂の他にもアリルジグリコールカーボネート樹脂(CR−39樹脂、またはADC樹脂とも称される。)、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が知られている。
このような熱硬化性樹脂は、原料モノマーに対し触媒、硬化剤および必要に応じて離型剤、樹脂改質剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤などを配合した原料組成物を調製し、脱気混合した後、ガラス型や金属型であるモールド内に注入した後、重合硬化することにより成形されたレンズ素材となり、この重合硬化には通常、加熱処理がなされる。
重合硬化に使用可能な触媒としては、有機過酸化物が知られており、大別するとジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどの化合物系が挙げられる。
CR−39樹脂は、モノマーであるジエチレングリコールビスアリルカーボネートに触媒としてパーオキシジカーボネート系の過酸化物(例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート)を配合した組成物を硬化して得られる。
CR−39樹脂は、モノマーであるジエチレングリコールビスアリルカーボネートに触媒としてパーオキシジカーボネート系の過酸化物(例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート)を配合した組成物を硬化して得られる。
特定の種類の熱硬化性プラスチックレンズ材料に対し、製品レンズが可視光吸収分光スペクトルにおいて565nm〜605nmの間に主吸収ピークを有するように、アザポルフィリン化合物などの有機系色素を配合し、防眩性と視認性のバランスをとって実用性と色調付けの両立した機能を持たせたものが知られている(特許文献1)。
しかし、上記した光吸収性能を有する眼鏡用機能性プラスチックレンズは、有機系色素としてテトラアザポルフィリン化合物を採用し、レンズ材料となる熱硬化性樹脂としては特定の樹脂を使用したものに過ぎない。
すなわち、有機系色素としてテトラアザポルフィリン化合物を配合するためのプラスチックレンズ材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリチオウレタン樹脂または熱硬化性アクリル樹脂でなければテトラアザポルフィリン化合物の光吸収性能を阻害する可能性があった。
特許文献1の段落0053には、有機系色素としてアザポルフィリン化合物を採用した眼鏡レンズ材料として、「熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂またはポリアミド樹脂」を用いることが限定的に開示されている。
通常、眼鏡レンズ材料として汎用される熱硬化性樹脂のジエチレングリコールビスアリルカーボネートのモノマー(CR−39)を採用し、有機系色素としてアザポルフィリン化合物を採用して眼鏡用レンズを製造するときには、重合反応および硬化(架橋)反応などの過程でアザポルフィリン化合物が分解され、レンズには所期した光吸収能である波長585nm付近の遮光が不充分になるという問題点があった。
なお、このような問題が起こらないように重合反応を制限するような温度、時間、触媒を用いる対策は、通常ではレンズとしての適当な硬度を低下させる可能性があるために好ましくない。
このような種々の制限のある条件下において、眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズに所期した所定波長域の光吸収機能を確保し、かつ防眩性および視認性に関わる機能性を充分に高めることは容易なことではなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とする眼鏡用プラスチックレンズについて、可視光吸収分光スペクトルがアザポルフィリン化合物を含む色素を配合することによって565nm〜605nmの間に主吸収ピークを有するものであり、この色素による良好な防眩性および視認性が奏されて眼鏡や偏光眼鏡用の使用に耐えるプラスチックレンズとすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とし、テトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素を配合し、重合開始剤として10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物を配合し、前記レンズ材料を重合・硬化させてなる波長565nm〜605nmに可視光分光透過率の主吸収ピークを有する眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズとしたのである。
上記したように構成されるこの発明の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズは、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とし、所定の重合開始剤として、10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物を配合したことによって、レンズ材料であるモノマーを重合・硬化したときに有機系色素のテトラアザポルフィリン化合物が分解せず、また変性することがない。
そのようにしてテトラアザポルフィリン化合物を含むアリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズであっても、テトラアザポルフィリン化合物の有機系色素としての特性が充分に発揮されて波長565nm〜605nmに可視光分光透過率の吸収性能が低下することがない樹脂製レンズになる。
このような所定波長域に充分な透過率で主吸収ピークを有するものであれば、その他の吸収ピークについては限定されるものではなく、必要に応じて例えば紫外線吸収性色素もしくは赤外線吸収性色素または両色素を併用した有機系色素である上記の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズとすることもできる。
このようなレンズとして、特に好ましいものは、可視光分光透過率の主吸収ピークが、透過率10%以下の主吸収ピークとなる上記した眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズである。
このようなレンズでは、パーオキシエステル系過酸化物として、t-ヘキシル パーオキシベンゾエート、t-ブチル パーオキシベンゾエート、t-へキシル パーオキシイソプロピルモノカーボネートまたはt-ブチル パーオキシアセテートを採用することができる。
また、上記したレンズにおいて、パーオキシケタール系過酸化物が、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンであってもよい。
さらに、上記した眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズは、偏光フィルム層を有する偏光レンズであってもよい。
さらに、上記した眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズは、偏光フィルム層を有する偏光レンズであってもよい。
このような偏光レンズにおける偏光フィルムは、ポリビニルアルコールからなり、かつ偏光剤がヨウ素系偏光剤であることが、より優れた防眩性と視認性のバランスをとって実用性と色調付けの両立した機能を持たせた眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズとするために好ましい。
この発明は、レンズ材料としてジエチレングリコールビスアリルカーボネートを採用した場合に、テトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素と共に、重合開始剤として所定の有機過酸化物を配合したので、アザポルフィリン化合物を含む色素を配合することによる565nm〜605nmに充分な主吸収ピークを有するという可視光吸収分光スペクトルを発揮するものになり、この特定の色素による良好な防眩性および視認性が確実に奏される眼鏡用レンズまたは偏光眼鏡用レンズとなる利点がある。
この発明の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズは、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とし、テトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素を配合し、さらに重合開始剤として10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物を配合する。
レンズ材料のジエチレングリコールビスアリルカーボネートは、1940年以降PPG社より開発され、全世界で年間2万トンにも生産される周知の樹脂レンズ材料(モノマー)である。
このようなジエチレングリコールビスアリルカーボネートを用いてプラスチックレンズを製造する際の代表的な重合方法としては注型重合法が挙げられる。その場合は樹脂レンズ材料および有機系色素その他所要の添加物からなる樹脂原料組成物を、眼鏡レンズを製造するためにガスケットあるいはテープを介して配列された2枚のガラス型あるいは金属型のモールド内に注入した後、所定の重合条件で重合硬化させ、次いでガラス型あるいは金属型から離型して、硬化したプラスチックレンズ素材を得る。
重合硬化するには、レンズ注型用鋳型に注入し、このレンズ注型用鋳型をオーブンまたは水中等で所定の温度プログラムにて数時間から数十時間かけて加熱し、重合硬化反応を行なって眼鏡レンズを成型する。
重合硬化は、樹脂原料の組成、触媒、モールドの形状等に応じて温度調整されるが、20〜100℃程度の温度で1〜48時間かけて加熱する処理であり、硬化成形終了後は、レンズ注型用鋳型からレンズを取り出せばプラスチック眼鏡レンズ素材を得ることができる。
重合硬化は、樹脂原料の組成、触媒、モールドの形状等に応じて温度調整されるが、20〜100℃程度の温度で1〜48時間かけて加熱する処理であり、硬化成形終了後は、レンズ注型用鋳型からレンズを取り出せばプラスチック眼鏡レンズ素材を得ることができる。
この発明に用いる有機系色素のうち、必須成分のテトラアザポルフィリン化合物は、下記の化1の式で示される周知なものであり、さらに化2の式で示されるものの市販品として、三井化学社製:PD−311S、山田化学工業社製:TAP−2、TAP−9などを採用することができる。
[化1中、A1〜A8は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のモノアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、炭素数7〜20のジアルキルアミノ基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ヘテロアリール基、炭素数6〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基を表し、連結基を介して芳香族環を除く環を形成しても良く、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、2価の1置換金属原子、4価の2置換金属原子、又はオキシ金属原子を表す。]
[化2中、Cuは2価の銅を、t−C4H9はターシャリーブチル基を表し、その4個の置換基の置換位置は化1におけるそれぞれA1とA2、A3とA4、A5とA6及びA7とA8のいずれかひとつの位置に置換されていている位置異性体構造を表す。]
また、この発明に用いる重合開始剤は、10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物である。
このようなパーオキシエステル系過酸化物の具体例としては、t-ヘキシル パーオキシベンゾエート、t-ブチル パーオキシベンゾエート、t-へキシル パーオキシイソプロピルモノカーボネートまたはt-ブチル パーオキシアセテートが挙げられる。また、同様にパーオキシケタール系過酸化物は、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが挙げられる。
このような重合開始剤によって、色素としてテトラアザポルフィリン化合物を含むアリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズであっても、テトラアザポルフィリン化合物の有機系色素としての特性が充分に発揮されて波長565nm〜605nmに可視光分光透過率の主吸収ピークを充分な吸収率(透過率に同じ)で有する樹脂製レンズになる。
この発明でいう主吸収ピークを充分な吸収率(透過率に同じ)は、眼鏡レンズに期待される性能に合わせて調整することも可能であるが、できれば可視光分光透過率の主吸収ピークが、透過率10%以下の主吸収ピークであることが好ましい。このような主吸収ピークであれば、色素による良好な防眩性および視認性が極めて充分に奏されているといえる。
また、この発明に用いる有機系色素としては、上記したテトラアザポルフィリン化合物以外にも、必要に応じて紫外線吸収性色素もしくは赤外線吸収性色素または両色素などを併用して添加可能である。
紫外線吸収性色素としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
(1) 2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
(2) 4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン
(3) 2−2´−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
(1) 2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
(2) 4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン
(3) 2−2´−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
これらの紫外線吸収剤を用いる際には、波長の長いUV−A(315〜400nm)と波長の短いUV−B(280〜315nm)とそれ以下のUV−C(100〜280nm)の全ての紫外線を吸収させることが好ましい。
たとえば溶接光の青色炎を消す為には、波長380〜450nmを吸収する必要があり、偏光フィルムと赤外線吸収剤を使用する場合は、染料を入れなくても吸収するが、偏光フィルムを使用しない場合には、樹脂に青色を吸収する黄色染料、橙染料、赤染料及びそれらの混合物を使用する。
そして、眼鏡用レンズをブラウン系の色調にするには、黄色染料、橙色染料、赤色染料等やこれらの混合物を使用する。
レンズを着色せず、レンズ成形後に染色することも可能である。
そして、眼鏡用レンズをブラウン系の色調にするには、黄色染料、橙色染料、赤色染料等やこれらの混合物を使用する。
レンズを着色せず、レンズ成形後に染色することも可能である。
赤外線吸収剤としては、波長780〜2500nmの範囲に渡って赤外線を吸収する赤外線吸収剤を選定すればよく、周知の赤外線吸収色素を採用できるが、例えば下記のようなものを使用することが好ましい。
(1) N,N,N´,N´−テトラキス(p-置換フェニル)-p−フェニレンジアミン類、ベンジジン類及びそれらのアルミニウム塩、ジイモニウム塩からなる赤外線吸収剤。
(2) N,N,N´,N´−テトラアリールキノンジイモニウム塩類。
(3) ビス−(p-ジアルキルアミノフェニル)〔N,N-ビス(p-ジアルキルアミノフェニル
)p-アミノフェニル〕アミニウム塩。
(2) N,N,N´,N´−テトラアリールキノンジイモニウム塩類。
(3) ビス−(p-ジアルキルアミノフェニル)〔N,N-ビス(p-ジアルキルアミノフェニル
)p-アミノフェニル〕アミニウム塩。
眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズが、偏光フィルム層を有する偏光レンズである場合、偏光フィルムは、周知製法に従って得られる。例えばポリビニルアルコール製フィルムにヨウ素もしくはヨウ素化合物または染料を含浸等によって含ませ、一軸延伸したものを採用することが好ましい。
偏光眼鏡用レンズは、レンズ材料のジエチレングリコールビスアリルカーボネートの重合反応を伴うインサート成形により偏光フィルムの両側に例えば1〜2mmの間隙を開けて配置した偏光フィルムに接する間隙を上記のレンズ材料で埋め、偏光フィルムを眼鏡用レンズ基材と一体化させてレンズ素材を製造し、レンズ度数の必要に応じて研削や研磨を経て製品化することができる。その他にも、偏光眼鏡用レンズは、予め成形しておいた2枚のレンズ基材の間に偏光フィルムをラミネートする周知の手法などを適宜に採用できることができるのは勿論である。
[実施例1〜5、比較例1〜5]
実施例1〜5および比較例1〜5に用いた重合開始剤である有機過酸化物の化学名と構造式を以下の表中にまとめて示した。
実施例1〜5および比較例1〜5に用いた重合開始剤である有機過酸化物の化学名と構造式を以下の表中にまとめて示した。
先ず、ADC樹脂の液体モノマーであるCR−39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)100重量部に対して、有機系色素として前記化2に示されるテトラアザポルフィリン化合物(三井化学社製:PD−311S)を0.03重量部、紫外線吸収剤(シプロ化成社製:SEESORB100、CASNo.131-56−6)0.4重量部、重合開始剤として表1に示すものを同表に示す添加量で配合し、さらにアセトン(溶媒)を1.0重量部配合し、これらを混合攪拌してレンズ材料組成物を調製した。
また、別途、偏光フィルムを以下のように製造した。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(通称ビニロンフィルム)を4倍に一軸延伸した後、ヨウ素0.1重量%を含む水溶液(染料液)に浸漬し、その後にホウ酸3重量%を含有する水溶液に浸漬し、液切りした後、70℃で5分間加熱処理して複数枚の偏光フィルム(厚さ30μm)を製造した。
得られた偏光フィルムを球面ガラスに当てて球面に成形し、その両面にウレタン系接着剤(東洋ポリマー社製:ポリオネート1000)を塗布し乾燥した。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(通称ビニロンフィルム)を4倍に一軸延伸した後、ヨウ素0.1重量%を含む水溶液(染料液)に浸漬し、その後にホウ酸3重量%を含有する水溶液に浸漬し、液切りした後、70℃で5分間加熱処理して複数枚の偏光フィルム(厚さ30μm)を製造した。
得られた偏光フィルムを球面ガラスに当てて球面に成形し、その両面にウレタン系接着剤(東洋ポリマー社製:ポリオネート1000)を塗布し乾燥した。
これをガスケットの中央にセットして両サイドにガラスモールドを配置し、偏光フィルムとガラスモールドの間に前記したレンズ材料組成物の混合攪拌したものを注入し、これらを常温から緩やかに昇温し、硬化(キュア)温度を100℃として保持すると共に、緩やかに降温し、全工程48時間をかけて加熱および降温した後、脱型し眼鏡用偏光レンズを得た。
得られた眼鏡用偏光レンズについて、分光透過率を日立製作所社製:U−2000スペクトロフォトメーターで測定し、波長と透過率の関係を図1〜11に示した。また波長580〜585nm付近の分光透過率の主吸収ピークの透過率(%)を表1中に併記した。
表1および図1〜11を参照しながら結果をみると、比較例1〜4は、10時間半減期温度が90℃未満の重合開始剤を使用しており、比較例1では波長580〜585nm付近に分光透過率の主吸収ピークが見られず、殆ど吸収性能がないと認められた。
比較例2は、レンズとしての硬度が不足し、複数の吸収ピークが見られて変色が激しく眼鏡レンズとしての適性が低かった。比較例3は、所定波長域での分光透過率の主吸収ピークが20.61%と高く、充分な視認性は期待できるものではなかった。また比較例4は、所定波長域での分光透過率の主吸収ピークが15.1%と高く、これも充分な視認性は期待できなかった。
比較例5は低い発泡がみられ、成形体中に泡が白濁しレンズとして充分に脱泡できるものではなかった。
比較例2は、レンズとしての硬度が不足し、複数の吸収ピークが見られて変色が激しく眼鏡レンズとしての適性が低かった。比較例3は、所定波長域での分光透過率の主吸収ピークが20.61%と高く、充分な視認性は期待できるものではなかった。また比較例4は、所定波長域での分光透過率の主吸収ピークが15.1%と高く、これも充分な視認性は期待できなかった。
比較例5は低い発泡がみられ、成形体中に泡が白濁しレンズとして充分に脱泡できるものではなかった。
一方、所定条件を満足する実施例1〜5は、565nm〜605nmの間に透過率10%以下の主吸収ピークを有するものであり、アザポルフィリン化合物を含む色素による良好な防眩性および視認性が奏されて眼鏡や偏光眼鏡用の使用に耐えるプラスチックレンズであった。
[実施例6]
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(通称ビニロンフィルム)を4倍に一軸延伸した後、ヨウ素0.1重量%、直接染料のダイレクトファストオレンジ0.04重量%とシリアススカーレットB0.02重量%、反応性染料のミカロンイエローRS0.01重量%とダイアミラレッドB0.012重量%を含有する水溶液(染料液)に浸漬し、その後にホウ酸3重量%を含有する水溶液に浸漬し、液切りした後、70℃で5分間加熱処理して複数枚の偏光フィルム(厚さ30μm)を製造した。
得られた偏光フィルム(1枚)のUCS色空間における色の座標値L、a、bを日本電色工業社製のΣ90カラーメジャリングシステムとZ−IIオプティカルセンサーを組み合わせた装置で計測すると共に、波長410〜750nmを含む範囲の分光透過率を日立製作所社製:U−2000スペクトロフォトメーターで測定し、さらに偏光膜の偏光軸を直交状態に配置して2枚重ねた際の分光透過率を測定した。
その結果は、偏光フィルム(1枚)のL=54.71、a=+2.20、b=+14.42であり、前記波長範囲の光透過率(T%)の変動をみると、平均値が30%であり、しかも2枚の偏光膜を直交した場合の波長410〜750nmの透過率が0.0〜0.8%(2%以下)であって、ブラウン色の偏光眼鏡に使用可能であった。
前記得られた偏光フィルムを球面ガラスに当てて球面に成形し、その両面にウレタン系接着剤(東洋ポリマー社製:ポリオネート1000)を塗布し乾燥した。
前記得られた偏光フィルムを球面ガラスに当てて球面に成形し、その両面にウレタン系接着剤(東洋ポリマー社製:ポリオネート1000)を塗布し乾燥した。
これをガスケットの中央にセットして両サイドにガラスモールドを配置し、偏光膜とガラスモールドの間にADC樹脂(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)の液体モノマーおよびその触媒、t-ブチル パーオキシベンゾエート(日本油脂社製:パーブチルZ)を3重量%及びテトラアザポルフィリン化合物(三井化学社製:PD−311S)を0.03重量%とを混合攪拌したものを注入し、これらを20℃から100℃まで一定の昇温速度で12時間かけて加熱し、眼鏡用偏光レンズを製造した。
得られた偏光レンズ(1枚)の色の座標値L、a、bと波長410〜750nmを含む範囲の分光透過率を測定すると共に、偏光レンズを2枚重ねてそれぞれの偏光軸を直交状態に配置してその際の分光透過率を測定した。
その結果、1枚の偏光レンズのL=32.5、a=+0.87、b=−1.76となり
波長580〜600nmで可視光分光透過率10%以下の主ピークを有し、2枚の偏光膜を直交した場合の410〜750nmの透過率が0.0〜0.2%(2%以下)であり、赤色の物体を見た場合に鮮明に判別できた。すなわち、テトラアザポルフィリン化合物による良好な防眩性および視認性が確実に奏され、かつヒトが肉眼で眩しさを感ずることがないことに加えて、単なる中性色ではなく特定波長の透過光量をも規制された光となり、色彩を誤認することなく、裸眼で見た場合と同様に色を確実に判別できるため、偏光眼鏡として優れた性能を有するものであった。
波長580〜600nmで可視光分光透過率10%以下の主ピークを有し、2枚の偏光膜を直交した場合の410〜750nmの透過率が0.0〜0.2%(2%以下)であり、赤色の物体を見た場合に鮮明に判別できた。すなわち、テトラアザポルフィリン化合物による良好な防眩性および視認性が確実に奏され、かつヒトが肉眼で眩しさを感ずることがないことに加えて、単なる中性色ではなく特定波長の透過光量をも規制された光となり、色彩を誤認することなく、裸眼で見た場合と同様に色を確実に判別できるため、偏光眼鏡として優れた性能を有するものであった。
Claims (8)
- ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ材料とし、テトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素を配合し、さらに重合開始剤として10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物を配合し、前記レンズ材料を重合・硬化させてなる波長565nm〜605nmに可視光分光透過率の主吸収ピークを有する眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- 有機系色素が、紫外線吸収性色素もしくは赤外線吸収性色素または両色素を併用した有機系色素である請求項1に記載の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- 可視光分光透過率の主吸収ピークが、透過率10%以下の主吸収ピークである請求項1または2に記載の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- パーオキシエステル系過酸化物が、t-ヘキシル パーオキシベンゾエート、t-ブチル パーオキシベンゾエート、t-へキシル パーオキシイソプロピルモノカーボネートまたはt-ブチル パーオキシアセテートである請求項1〜3のいずれかに記載の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- パーオキシケタール系過酸化物が、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンである請求項1〜3のいずれかに記載の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- 眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズが、偏光フィルム層を有する偏光レンズである請求項1〜5のいずれかに記載の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- 偏光フィルムが、ポリビニルアルコールからなり、かつ偏光剤がヨウ素系の偏光剤である請求項6に記載の眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ。
- レンズ材料としてジエチレングリコールビスアリルカーボネートに、重合開始剤として10時間半減期温度が90〜110℃のパーオキシエステル系過酸化物またはパーオキシケタール系過酸化物およびテトラアザポルフィリン化合物を含む有機系色素を配合し、攪拌混合したものを眼鏡レンズ成形用モールドに注入した後、加熱硬化させることからなる眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズの製造方法。
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JP2010004066A JP2011145341A (ja) | 2010-01-12 | 2010-01-12 | 眼鏡用アリルジグリコールカーボネート樹脂製レンズ |
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