JP6692249B2 - 眼鏡素材 - Google Patents

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本発明は、紫外線吸収剤を含有する眼鏡素材に係る発明である。本明細書及び特許請求の範囲において、紫外線吸収剤含有量を示す「質量%」は、樹脂100部に対する添加部数を意味する。
紫外線は、眼に入ると白内障や黄斑変性症を引き起こすおそれがある。このため、眼鏡素材は、眼に入る紫外線の透過を低減することのできるものが好ましい。
従来の眼鏡素材は、有機ガラス基材(基材レンズ)に紫外線吸収剤を配合することによって、紫外線の透過を低減可能なものとしている。
特許文献1及び2に記載の眼鏡素材では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することによって、紫外線の透過を低減可能なものとしている。
特開2010−84006号公報 特開2012−181268号公報
しかしながら、ベンゾトリアゾール系を含め、紫外線吸収剤は、眼鏡素材に含有させたときに眼鏡素材が黄変(黄色く変色すること。)するという問題があった。黄変した眼鏡素材は、紫外線劣化した樹脂を想起させられるため、眼鏡素材として好ましくない。また、眼鏡素材は、度付きレンズである場合が多く、内外周の厚みの差から色調に濃淡差が生じてしまい、外観上の問題が生じることもある。
特許文献1及び2に記載の眼鏡素材では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することによって、紫外線の透過を十分に低減可能なものとしているが、眼鏡素材が黄変するという問題まで考慮されているものではなかった。また、特許文献1及び2に記載の眼鏡素材において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量を、眼鏡素材が黄変しない範囲まで減らすと、紫外線の透過を十分に低減することができないおそれがあった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、紫外線の透過を十分に低減可能でありながら、眼鏡素材の黄変を抑え、眼鏡素材の内外周の厚みの差から生じる色調の濃淡差を抑えることができる眼鏡素材を提供することを目的とする。
本発明の眼鏡素材は、樹脂成形体である有機ガラス基材の眼鏡素材において、該有機ガラス基材が、チオウレタン系熱硬化性樹脂又はエピスルフィド系熱硬化性樹脂で成形され、下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することを特徴とするものである。
Figure 0006692249
(式中、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、Rは水酸基又はであり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はであり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基である。)
本願発明者らは、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、眼鏡素材に紫外線の透過を十分に低減可能な量を配合した際であっても、眼鏡素材の耐黄変性に優れることを発見した。本発明の眼鏡素材によれば、紫外線吸収剤が耐黄変性に優れているため、本発明の眼鏡素材は、紫外線の透過を十分に低減可能なものでありながら、黄変することがない。
ここで、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、分子量が300〜550であり、極大吸収波長が300〜350nmであるとすることができる。これによれば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、分子量が300〜550であることによって、樹脂への相溶性に優れ、極大吸収波長が300〜350nmであることによって、可視光の透過を阻害することなく紫外線の透過を低減することができる。
また、本発明の眼鏡素材は、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が0.3〜2.0質量%であることとすることができる。これによれば、眼鏡素材は黄変することなく紫外線の透過を低減することができる。
本発明の眼鏡素材によれば、紫外線吸収剤が耐黄変性に優れているため、本発明の眼鏡素材は、紫外線の透過を十分に低減可能なものでありながら、黄変を抑え、眼鏡素材の内外周の厚みの差から生じる色調の濃淡差を抑えることができる。
本発明のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の一般式(1)を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。実施形態の眼鏡素材は、樹脂成形体である有機ガラス基材の眼鏡素材において、該有機ガラス基材が、チオウレタン系熱硬化性樹脂又はエピスルフィド系熱硬化性樹脂で成形され、下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することを特徴とするものである。
Figure 0006692249
(式中、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、Rは水酸基又はであり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はであり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基である。)
実施形態の眼鏡素材では、眼鏡レンズとしての有機ガラス基材を例に採り説明する。もちろん、本発明は、眼鏡レンズの用途に限定されるものではなく、望遠鏡レンズ、建築又は車両用途の窓ガラスなどのあらゆる光学要素に対して適用することが可能なものである。
有機ガラス基材とは、レンズや窓ガラスなどの光学要素の基材として使用されるものであり、実施形態の眼鏡素材では、無機ガラスより軽量であることから有機ガラス(プラスチック)製であるものとする。
有機ガラス基材としては、ポリカーボネート(PC)系、ポリウレタン系、脂肪族アリルカーボネート系、芳香族アリルカーボネート系、ポリチオウレタン系、エピスルフィド系、(メタ)アクリレート系、透明ポリアミド(透明ナイロン)系、ノルボルネン系、ポリイミド系、ポリオレフィン系などの合成樹脂を使用することができる。中でも、チオウレタン系又はエピスルフィド系の熱硬化性合成樹脂が、高屈折率の合成樹脂であるため、より好んで使用することができる。
なお、チオウレタン系樹脂とは、ポリウレタン結合(-NHCOO-)の酸素原子の少なくとも1個が硫黄原子に入れ替わった結合(-NHCOS-、-NHCSO-、-NHCSS-)を有するポリマー(樹脂)を意味する。該樹脂材料としては、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、ポリイソチオシアネートチオイソシアネートより選ばれる1種または2種以上とイソシアネート成分と、ポリチオールおよび適宜ポリオールより選ばれる1種または2種以上の公知の活性水素化合物成分とを組み合わせた重合性成分を好適に使用できる。ここでポリイソシアネートとしては、脂肪族系、脂環式系、芳香族系及びそれらの誘導体さらにはそれらの炭素鎖の一部に硫黄を導入したスルフィド・ポリスルフィド・チオカルボニル(チオケトン)誘導体を母体化合物とするものを挙げることができる。これらのうちで、耐紫外線劣化の見地から、脂肪族系又は脂環式系のポリイソシアネートが望ましい。イソシアネートとして、2,5(又は2,6)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンビス(メチルイソシアネート)、m-キシリレンジイソシアネートなどを使用することができる。また、ポリチオールとしては、同様に脂肪族系、脂環式系、芳香族系及びそれらの誘導体さらにはそれらの炭素鎖の一部に硫黄を導入したスルフィド・ポリスルフィド・チオカルボニル(チオケトン)誘導体を母体化合物とするものを挙げることができる。ポリチオールとして、4,7(5,7又は4,8)-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチオ-1,11-ウンデカンジチオールなどを使用することができる。
エピスルフィド系樹脂とは、ジチオエポキシ化合物と硬化剤と、さらには、その他の重合性化合物とを反応させて得られるポリマー(樹脂)を意味し、直鎖アルキルスルフィド型ジチオエポキシ化合物を硬化させて得られる公知のものを使用できる。硬化剤としては、通常のエポキシ樹脂用硬化剤であるアミン類、有機酸類、又は無機酸類を使用することができる。エピスルフィド系樹脂として、下記一般式(2)で表されるエピスルフィド化合物を使用することができる。
Figure 0006692249
(式中、R6,R7,R8はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基又は水素基であり、YはO,S,Se又はTeであり、Xは炭素数1〜10の炭化水素基であり、nは0又は1であり、mは0〜5の整数である。)
エピスルフィド系樹脂として、具体的には、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドなどを使用することができる。
有機ガラス基材には、有機ガラスの樹脂劣化を防止する劣化防止剤、レンズ形状を成形する型枠からの離型性を向上させる内部離型剤、有機ガラスを硬化させる硬化剤を、有機ガラスの種類に応じて適したものを添加することができる。
劣化防止剤とは、有機ガラスの樹脂が分解・劣化し易い280〜320nmの光を吸収しつつ、有機ガラスの樹脂が光や熱によって分解・劣化する際に生じるアルキルラジカル(R・:Rはアルキル鎖)やパーオキシラジカル(ROO・)、過酸化物(ROOH)を捕捉または分解することで、樹脂の劣化が加速度的に進行するのを抑制するものである。劣化防止剤は、吸収ピーク波長が短波長側にあるため、有機ガラス基材に含有させたときに有機ガラス基材が黄変することがない。劣化防止剤としては、ベンゾフェノン系、ジフェニルアクリレート系、立体障害アミン系、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾエート系、シアノアクリレート系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等を挙げることができる。劣化防止剤は、有機ガラスの種類に応じて適したものを添加することができる。
内部離型剤とは、成形型を用いて、有機ガラスから有機ガラス基材を成形した後の脱型の際に、成形型からの抜けを良くするために加える添加剤であり、内部離型剤として汎用品を使用することができる。
硬化剤とは、有機ガラス基材を成形する有機ガラスを硬化(重合)させる添加剤であり、過酸化物系の重合開始剤など、有機ガラスの硬化に適したものを使用することができる。
有機ガラス基材の成形は、研磨法、注型成形法などの一般的な成形方法を使用することができる。研磨法は、有機ガラス基材を成形する合成樹脂を適した条件によりブロック状の樹脂に成形させた後に、ブロック状の樹脂を求めるレンズ設計に合わせて研磨する方法である。注型成形法は、凹凸レンズを例に採ると、凹面側モールドと凸面側モールドとを必要とする間隔をおいて、モールドの周面をテーピングやガスケットを用いてシールしキャビティを形成し、キャビティに有機ガラス基材を成形する合成樹脂を注入・硬化させ、必要に応じて、有機ガラス基材を研磨する方法である。
紫外線吸収剤には、ベンゾフェノン系、ジフェニルアクリレート系、立体障害アミン系、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾエート系、シアノアクリレート系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等の紫外線吸収剤を使用することができる。しかしながら紫外線吸収剤は、眼鏡素材(基材レンズ)に含有させたときに眼鏡素材が黄変(黄色く変色すること。)するという問題がある。黄変した眼鏡素材は、紫外線劣化した樹脂を想起させられるため、眼鏡素材として好ましくない。また、眼鏡素材は、度付きレンズである場合が多く、内外周の厚みの差から色調に濃淡差が生じてしまい、外観上の問題が生じることもある。
本願発明者らは、下記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、眼鏡素材に紫外線の透過を十分に低減可能な量を配合した際であっても、眼鏡素材の耐黄変性に優れることを発見したものである。
Figure 0006692249
(式中、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、Rは水酸基又はであり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はであり、Rは炭素数1〜10の炭化水素基である。)
上記一般式(1)のR5は、炭素数1〜10の炭化水素基であれば、実施形態の紫外線吸収剤として使用することができるが、炭素数8〜10の炭化水素基である上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がより好ましい。樹脂(有機ガラス基材)への分散性により優れるためである。この中でも、R5が炭素数8の炭化水素基であるものは、樹脂への分散性に最も優れるため、さらに好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤において、分子量が300〜550であるものをより好んで使用することができる。分子量が300〜550であることによって、樹脂への相溶性に優れるものとなるからである。分子量が300未満だと、樹脂(有機ガラス基材)の加熱硬化時に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が蒸散するおそれがあり、分子量が550を超えると、樹脂(有機ガラス基材)への分散性が劣るおそれがあるからである。より好ましくは、分子量が400〜530であり、さらに好ましくは、分子量が440〜510である。
さらに、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤において、極大吸収波長が300〜350nmであるものをより好んで使用することができる。極大吸収波長が300〜350nmであることによって、可視光の透過を阻害することなく紫外線の透過を低減することができるものとなるからである。
具体的な上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6'−t−ブチル−4'−メチル−2,2'−メチレンビスフェノールなどを使用することができる。
上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の有機ガラス基材に対する含有量は、0.3〜2.0質量%であることが好ましい。紫外線をカットすることができ、かつ、眼鏡素材の黄変を抑制することができるためである。紫外線吸収剤の含有量が0.3質量%未満の場合には、紫外線を十分にカットすることができないおそれがある。一方、2.0質量%を超えると、眼鏡素材が黄変するおそれがある。より好ましくは、0.5〜1.8質量%であり、さらに好ましくは、0.8〜1.6質量%である。
なお、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とを併用することもできる。この場合、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量より、上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が少ないことを要する。上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、上記一般式(1)におけるフェノール基の6位置結合原子(団)が炭素数1〜4のアルキル基又はHに置換された母核系のものが望ましい。具体的には、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールを使用することができる。また、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との合計の有機ガラス基材に対する含有量は、0.3〜1.6質量%であることが好ましい。紫外線をカットすることができ、かつ、眼鏡素材の黄変を抑制することができるためである。紫外線吸収剤の含有量が0.3質量%未満の場合には、紫外線を十分にカットすることができないおそれがある。一方、1.6質量%を超えると、眼鏡素材が黄変するおそれがある。より好ましくは、0.5〜1.4質量%であり、さらに好ましくは、0.8〜1.2質量%である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(UVA)の組成を表1に記載し、有機ガラス基材に使用する樹脂の組成を表2に記載し、有機ガラス基材の配合(試験例)を表3に記載する。なお、表1中のUVA1,2,3が上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。
Figure 0006692249
Figure 0006692249
Figure 0006692249
表3に記載の有機ガラス基材は、樹脂A,B,C(表2)ごとに以下のように調整した。なお、調整の際に紫外線吸収剤の溶解性を目視で確認した。
樹脂Aは、2,5(又は2,6)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンビス(メチルイソシアネート)を含有するポリイソシアネート組成物49.7質量部に、硬化触媒としてジブチルチンジクロライド0.05質量部、内部離型剤としてアルキルリン酸エステル(アルコールC8〜C12)塩0.1質量部に、表3に記載の紫外線吸収剤を規定量添加し、液温20℃、窒素ガス雰囲気下で1時間充分に撹拌した。その後に4,7(5,7又は4,8)-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチオ-1,11-ウンデカンジチオールを含有するポリチオール組成物25.9質量部と、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)24.4質量部を添加し、液温20℃、窒素ガス雰囲気下で1時間充分に撹拌した。そして、真空ポンプを用いて液温20℃、1.33×102 Pa (1 Torr)で撹拌しながら1時間脱気し、1μmフィルターでろ過して屈折率1.60のポリチオウレタン系レンズ樹脂Aを調製した。
樹脂Bは、m-キシリレンジイソシアネート50.6質量部に、硬化触媒としてジブチルチンジクロライド0.003質量部、内部離型剤としてアルキルリン酸エステル(アルコールC8〜C12)塩0.1質量部に、表3に記載の紫外線吸収剤を規定量添加し、液温20℃、窒素ガス雰囲気下で1時間充分に撹拌した。その後に4,7(5,7又は4,8)-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチオ-1,11-ウンデカンジチオールを含有するポリチオール組成物49.4質量部添加し、液温20℃、窒素ガス雰囲気下で30分間充分に撹拌した。そして、真空ポンプを用いて液温20℃、1.33×102 Pa (1 Torr)で撹拌しながら30分脱気し、1μmフィルターでろ過して屈折率1.67のポリチオウレタン系レンズ樹脂Bを調製した。
樹脂Cは、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド91質量部に、表3に記載の紫外線吸収剤を規定量添加し、液温20℃、窒素ガス雰囲気下で1時間充分に撹拌した。その後に4,7(5,7又は4,8)-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチオ-1,11-ウンデカンジチオールを含有するポリチオール組成物9質量部添加し、硬化触媒としてN,N-ジメチルシクロへキシルアミン0.05質量部とN,N-ジシクロヘキシルメチルアアミン0.1質量部を添加し、液温20℃、窒素ガス雰囲気下で30分充分に撹拌した。そして、真空ポンプを用いて液温20℃、1.33×102 Pa (1 Torr)で撹拌しながら30分脱気し、1μmフィルターでろ過して屈折率1.74のエピスルフィド系レンズ樹脂Cを調製した。
有機ガラス基材の成形は、注型成形法で行い、成形型は、凸面側モールドと凹面側モールドとをレンズの中心の間隔が2.0mmとなるように粘着テープ(PET)でテーピングをして、有機ガラス基材成形用のキャビティを有する成形型を作成した。
有機ガラス基材は、表3の配合で混合されたものが成形型に注入され、加熱硬化させることによって成形した。加熱条件は、樹脂Aが25℃から130℃まで16時間かけて昇温させ130℃で2時間保持した後に室温まで冷却する、樹脂Bが25℃から120℃まで16時間かけて昇温させ120℃で4時間保持した後に室温まで冷却する、樹脂Cが25℃から80℃まで19時間かけて昇温させ80℃で2時間保持した後に室温まで冷却するとした。
脱型した後、有機ガラス基材(樹脂レンズ)は、凹面と外周とが切削・研磨され、直径70mmのSPH(球面(D))が−8.00の眼鏡用素材(眼鏡レンズ)とした。これらについて、光学特性評価性能として、分光透過率(紫外線域、可視光域)、視感透過率を測定し、外観の評価として、黄色度(YI)、外周色差を測定した。
<分光透過率(紫外線域、可視光域)、視感透過率>
分光透過率曲線(眼鏡素材の波長ごとの光に対する透過率)を以下の装置及び規格に準拠して求め、分光透過率は、紫外線域の400nmと可視光域の420nmの各波長について、視感透過率は以下の規格に基づいて求めた。なお、測定位置は、光学特性の測定であることから、眼鏡素材の幾何中心とした。
・装置:分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
・規格:屈折補正用眼鏡レンズの透過率の仕様及び試験方法(JIS T 7333:2005)
分光透過率(紫外線域)は、以下のように評価した。◎:2%以下、○:2%を超え5%以下、△:5%を超え10%以下、×:10%を超える。紫外線は、目に入ると白内障や黄斑変性症を引き起こすおそれがあるため、分光透過率(紫外線域)は、その数値が低い方が良い評価となる。
分光透過率(可視光域)は、以下のように評価した。◎:80%以上、○:70%以上80%未満、△:60%以上70%未満、×:60%未満。分光透過率(可視光域)は、低いと視界が悪くなるため、その数値が高い方が良い評価となる。
視感透過率は、以下のように評価した。◎:85%以上、○:80%以上85%未満、△:70%以上80%未満、×:70%未満。視感透過率は、低いと視界が悪くなるため、視感透過率は、その数値が高い方が良い評価となる。
<黄色度(YI)>
色の三刺激値(XYZ)を以下の装置で測定し、以下の規格から黄色度(YI)を計算して求めた。測定位置は、眼鏡素材の幾何中心(中心)とした。
・装置:分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
・規格:プラスチック−黄色度及び黄変度の求め方(JIS K 7373:2006)
そして、黄色度(YI)は、以下のように評価した。◎:6未満、○:6以上8未満、△:8以上10未満、×:10以上。黄色度(YI)は、高いと黄みが増すため、黄色度(YI)は、その数値が低い方が良い評価となる。
<外周色差>
外周色差は、眼鏡素材の厚みが最も厚い外周の色と眼鏡素材の幾何中心(中心)の色との差を目視で比較した。比較方法は、眼鏡素材を、白色部と黒色部とから構成される“隠ぺい率試験紙(JIS K 5600−4−1)”の上に置いて比較した。そして、外周色差は、以下のように評価した。◎:目視で色差が確認できない、○:白色部で色差が僅かに確認できる、△:白色部で色差が確認できるが黒色部では確認できない、×:黒色部でも色差が確認できる。
以下に、試験例の結果を記載する。なお、試験例1〜7が実施例であり、試験例8〜11が比較例である。
(試験例1〜3)
試験例1〜3は、ベストモードとなる実施例であり、樹脂A(チオウレタン系熱硬化性樹脂)に、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA1,2,3を添加したものである。眼鏡素材は、紫外線吸収剤によって紫外線は十分にカットされているものの、可視光の透過率は高く、視感透過率も良好であった。また、眼鏡素材は、黄変することなく黄色度(YI)が小さく、外周色差も確認されなかった。
(試験例4〜6)
試験例4〜6は、樹脂B(チオウレタン系熱硬化性樹脂)に、UVA1と5,UVA2と5,UVA3と5をそれぞれ添加したものである。上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との組合せである。眼鏡素材は、紫外線吸収剤によって紫外線は十分にカットされているものの、可視光の透過率は高く、視感透過率も良好であった。また、眼鏡素材は、黄変することなく黄色度(YI)が小さく、外周色差も僅かに確認できる程度であった。
(試験例7)
試験例7は、樹脂C(エピスルフィド系熱硬化性樹脂)に、上記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA2と上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA5を添加したものである。眼鏡素材は、紫外線吸収剤によって紫外線は十分にカットされているものの、可視光の透過率は高く、視感透過率も良好であった。また、眼鏡素材は、黄変することなく黄色度(YI)が小さく、外周色差も僅かに確認できる程度であった。
(試験例8)
試験例8は、樹脂A(チオウレタン系熱硬化性樹脂)に、上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA5を添加したものである。試験例1〜3と比較して、紫外線のカットが十分でなかった。
(試験例9)
試験例9は、樹脂C(エピスルフィド系熱硬化性樹脂)に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤であるUVA6を添加したものである。試験例1〜3と比較して、外周色差が確認された。
(試験例10)
試験例10は、樹脂B(チオウレタン系熱硬化性樹脂)に、上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA5を添加したものである。UVA5の添加量が多いためか、UVA5は一部未溶解となり、光学特性評価を行うことができなかった。
(試験例11)
試験例11は、樹脂C(エピスルフィド系熱硬化性樹脂)に、上記一般式(1)以外のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA4を添加したものである。UVA4は一部未溶解となり、光学特性評価を行うことができなかった。

Claims (7)

  1. 樹脂成形体である有機ガラス基材の眼鏡素材において、
    該有機ガラス基材が、チオウレタン系樹脂で成形され、下記一般式(1)で表され極大吸収波長330〜350nmで分子量550以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(略号:BT系UVA)(以下、一般式(1)で表されるBT系UVAを「式(1)UVA」という。)を0.8〜1.8質量%含有するとともに、該チオウレタン系樹脂のポリイソシアネートが脂肪族系又は脂環式系であることを特徴とする眼鏡素材。
    Figure 0006692249

    (式中、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、Rは水酸基又はであり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はであり、Rは炭素数7〜10の炭化水素基である。)
  2. 前記ポリイソシアネートが、有橋脂環式系であることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡素材。
  3. 樹脂成形体である有機ガラス基材の眼鏡素材において、
    該有機ガラス基材が、チオウレタン系樹脂で成形され、
    下記一般式(1)で表され極大吸収波長330〜350nmで分子量550以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(略号:BT系UVA)(以下、一般式(1)で表されるBT系UVAを「式(1)UVA」という。)、及び、該式(1)UVAにおけるフェノール基の6位置結合原子(団)が炭素数1〜4のアルキル基又はであるBT系UVA(以下「母核UVA」という。)、を含有し
    該式(1)UVAと該母核UVAの合計含有量:0.6〜1.2質量%、各含有量:0.3質量%以上、かつ、該式(1)UVAの含有量≧該母核UVAの含有量の要件を満たすように含有し、さらに、
    前記チオウレタン系樹脂のポリイソシアネートが芳香族系であることを特徴とする眼鏡素材。
    Figure 0006692249

    (式中、R は炭素数1〜4の炭化水素基であり、R は水酸基又はHであり、R 及びR はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はHであり、R は炭素数7〜10の炭化水素基である。)
  4. 前記ポリイソシアネートが、芳香脂肪族系であることを特徴とする請求項3記載の眼鏡素材。
  5. 前記チオウレタン系樹脂のポリチオールが、4,7(5,7又は4,8)-ビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチオ-1,11-ウンデカンジチオールを含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡素材。
  6. 樹脂成形体である有機ガラス基材の眼鏡素材において、
    該有機ガラス基材が、エピスルフィド系樹脂で成形され、
    下記一般式(1)で表され極大吸収波長330〜350nmで分子量550以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(略号:BT系UVA)(以下、一般式(1)で表されるBT系UVAを「式(1)UVA」という。)、及び、該式(1)UVAにおけるフェノール基の6位置結合原子(団)が炭素数1〜4のアルキル基又はHであるBT系UVA(以下「母核UVA」という。)、を含有し
    該式(1)UVAと該母核UVAの合計含有量:0.6〜1.2質量%、各含有量:0.3質量%以上、かつ、該式(1)UVAの含有量≧該母核UVAの含有量の要件を満たすように含有することを特徴とする眼鏡素材。
    Figure 0006692249

    (式中、R は炭素数1〜4の炭化水素基であり、R は水酸基又はHであり、R 及びR はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はHであり、R は炭素数7〜10の炭化水素基である。)
  7. 前記エピスルフィド系樹脂のジチオエポキシ化合物が、分子内に1個以上のジスルフィド結合を含むものであることを特徴とする請求項6記載の眼鏡素材。
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