JP2011145271A - 管台取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】管台の取り付けを容易に行うこと。
【解決手段】半球凹形状の内面を有する原子炉容器10の内外に貫通する管台20を取り付ける管台取付構造において、原子炉容器10の半球凹形状の内面の法線Nを中心とした対称形状に原子炉容器10の内面側の母材12が除去された除去凹部17と、管台20に設けられており法線Nを中心として除去凹部17と同じ対称形状に形成されて除去凹部17に挿入されるフランジ部25と、法線Nを中心として設けられてフランジ部25を原子炉容器10に溶接する溶接部18と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、原子炉容器に管台を取り付ける管台取付構造に関する。
原子炉容器には管台が設けられている。管台は、ステンレス鋼やNi基合金などで形成されている。この管台は、原子炉冷却材の高温高圧水が存在する腐食環境において、引張応力の作用により、応力腐食割れが発生するおそれがある。このため、管台や、管台を原子炉容器に固定する溶接部が損傷する可能性がある。したがって、必要に応じて補修を行い、管台を取り替える。
従来、例えば、特許文献1では、原子炉容器の下鏡溶接部に対して溶接より固定支持された管台を取り替える方法が示されている。この方法は、原子炉容器の下鏡溶接部に固定支持された管台を、溶接部の上下方でそれぞれ切断して上部管台および下部管台を取り除いた後、原子炉容器の溶接部分を残存管台と共に除去し、次に除去部分を肉盛溶接して元に復旧させ、続いて下部管台を原子炉容器の貫通孔から挿入して溶接にて原子炉容器に固定すると共に下部管台の挿入先端を上部管台に溶接により固定する。
特許第2530011号公報
ところで、原子炉容器の下鏡の内面は、半球凹面形状であり、既設の溶接部が複雑な3次元形状とされていることから、この溶接部を復元しようとすると複雑な3次元形状部分に肉盛溶接しなければならない。しかも、原子炉容器の内部は、水中環境または放射線線量の高い気中環境であるから、溶接作業を人手で行うことを避けて遠隔自動装置で行うことが好ましい。しかし、遠隔自動装置を用いて複雑な形状への肉盛溶接は困難であり、管台の取り付けを容易に行えない。
本発明は上述した課題を解決するものであり、管台の取り付けを容易に行うことのできる管台取付構造を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の管台取付構造は、半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、前記原子炉容器の半球凹形状の内面の法線を中心とした対称形状に前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、前記管台に設けられており前記法線を中心として前記除去凹部と同じ対称形状に形成されて前記除去凹部に挿入されるフランジ部と、前記法線を中心として設けられて前記フランジ部を前記原子炉容器に溶接する溶接部と、を備えることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、原子炉容器の半球凹形状の内面の法線を中心として、除去凹部の開先加工、フランジ部での管台の位置決め、およびフランジ部の原子炉容器に対する溶接を行えるので、管台の取り付けを容易に行うことができる。
また、本発明の管台取付構造では、前記管台は、前記フランジ部を含み前記原子炉容器の外側に至る外側管台と、前記フランジ部を含まず前記原子炉容器の内側に配置される内側管台とに分割され、互いに接続されていることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、溶接部を設ける場合、外側管台から内側管台が分割されていると、法線を中心とした対称形状に溶接を行う軌跡に内側管台が存在しないので、作業を容易に行うことができる。しかも、管台は、原子炉容器の内側に林立されており、隣接する管台の間が狭隘な環境にあるため、外側管台から内側管台が分割されていることで、作業空間を広く確保することができ、作業を容易に行うことができる。このため、管台の取り付けをさらに容易に行うことができる。
また、本発明の管台取付構造では、半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、前記管台の中心線を中心とした対称形状に基づき前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、前記管台に設けられており前記中心線を中心とした対称形状に形成されて前記除去凹部に挿入されると共に前記除去凹部の外部に突出するフランジ部と、前記中心線を中心として前記原子炉容器の内面に設けられたクラッド部の表面および前記除去凹部の外部に突出する前記フランジ部の外周を覆って溶接された肉盛溶接部と、前記フランジ部を前記中心線を中心として前記肉盛溶接部に溶接する継手溶接部と、を備えることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、管台の中心線を中心として、除去凹部の開先加工、フランジ部での管台の位置決め、およびフランジ部の原子炉容器に対する溶接を行えるので、管台の取り付けを容易に行うことができる。しかも、肉盛溶接部が、クラッド部の表面および除去凹部の外部に突出するフランジ部の外周を覆って溶接され、除去凹部の母材に接しないことから、熱処理作業を要さないので、作業工数を減らすことができ、管台の取り付けをさらに容易に行うことができる。
また、本発明の管台取付構造では、半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、前記管台の中心線を中心とした対称形状に基づき前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、前記中心線を中心として設けられて前記除去凹部に挿入された管台を前記原子炉容器に溶接する溶接部と、を備えることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、管台の中心線を中心として、除去凹部の開先加工、管台の位置決め、および管台の原子炉容器に対する溶接を行えるので、管台の取り付けを容易に行うことができる。
また、本発明の管台取付構造では、前記管台は、前記継手溶接部による溶接箇所を含み前記原子炉容器の外側に至る外側管台と、前記継手溶接部による溶接箇所を含まず前記原子炉容器の内側に配置される内側管台とに分割され、互いに接続されていることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、継手溶接部を設ける場合、外側管台から内側管台が分割されていると、中心線上に内側管台が存在しないので、継手溶接の作業を容易に行うことができる。しかも、管台は、原子炉容器の内側に林立されており、隣接する管台の間が狭隘な環境にあるため、外側管台から内側管台が分割されていることで、作業空間を広く確保することができ、作業を容易に行うことができる。このため、管台の取り付けをさらに容易に行うことができる。
また、本発明の管台取付構造では、半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、前記管台の中心線を中心とした対称形状に基づき前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、前記管台に設けられており前記中心線を中心とした対称形状に基づき形成されて前記除去凹部に挿入されるフランジ部と、前記中心線を中心として前記原子炉容器の内面に設けられたクラッド部と前記フランジ部との間を塞ぐ閉塞部と、前記原子炉容器の貫通孔に前記管台を固定する固定部と、を備えることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、管台の中心線を中心として、除去凹部の開先加工、フランジ部での管台の位置決め、およびフランジ部の原子炉容器へのシールおよび固定を行えるので、管台の取り付けを容易に行うことができる。しかも、閉塞部および固定部を備えることで、肉盛溶接を行わないことから、肉盛溶接作業および熱処理作業を要さないので、作業工数を減らすことができ、管台の取り付けを容易に行うことができる。
特に、この管台取付構造によれば、継手溶接や肉盛溶接および熱処理がなく、水中環境のまま施工を行えることから、気中環境を作る作業を要さないので、作業工数を大幅に減らすことができ、管台の取り付けをさらに容易に行うことができる。
また、本発明の管台取付構造では、前記固定部は、前記管台の外面と前記貫通孔の内面との螺合によることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、管台の取り付け作業を容易に行える。
また、本発明の管台取付構造では、前記固定部は、拡管した前記管台の外面と前記貫通孔の内面との密着によることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、管台の取り付け作業を容易に行える。
また、本発明の管台取付構造では、前記閉塞部は、シール溶接によることを特徴とする。
この管台取付構造によれば、クラッド部とフランジ部との間を確実に塞ぐことができる。
本発明によれば、管台の取り付けを容易に行うことができる。
図1は、取り替え以前の管台取付構造の概略図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る管台取付構造の概略図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る管台取付構造の他の例の概略図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る管台取付構造の他の例の概略図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る管台取付構造の他の例の概略図である。 図6は、本発明の実施の形態2に係る管台取付構造の概略図である。 図7は、本発明の実施の形態3に係る管台取付構造の概略図である。 図8は、本発明の実施の形態4に係る管台取付構造の概略図である。 図9は、本発明の実施の形態4に係る管台取付構造の他の例の概略図である。 図10は、本発明の実施の形態4に係る管台取付構造の他の例の概略図である。 図11は、本発明の実施の形態4に係る管台取付構造の他の例の概略図である。 図12は、本発明の実施の形態5に係る管台取付構造の概略図である。 図13は、本発明の実施の形態5に係る管台取付構造の他の例の概略図である。
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
以下に説明する管台取付構造は、原子炉容器における半球形状の下部鏡に取り付けられた管台を補修により取り替えるものである。図1に示すように、取り替え以前の管台取付構造は、原子炉容器10の底部である半球形状に形成された下部鏡11に対し、原子炉容器10の内外に貫通して管台20が取り付けられている。
原子炉容器10は、母材12が炭素鋼または低合金鋼で形成されている。原子炉容器10の内面は、ステンレス鋼で肉盛溶接されたクラッド部13により被覆されている。この原子炉容器10は、管台20を取り付ける位置に、管台20を貫通させる貫通孔14が垂直に設けられている。貫通孔14は、原子炉容器10の内側に開口する部分に、溶接部15が設けられている。溶接部15は、原子炉容器10の内側の母材12に開先加工が施され、この開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接されている(肉盛溶接部15a)。さらに、溶接部15は、肉盛溶接部15aに開先加工が施され、この開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が継手溶接されている(継手溶接部15b)。この継手溶接部15bにより、貫通孔14に貫通された管台20が原子炉容器10に対して固定されている。また、貫通孔14は、原子炉容器10の外側に開口する部分に、溶接部16が設けられている。溶接部16は、ステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接されている。
管台20は、本実施の形態では、例えば、原子炉容器10の炉内の中性子束を計測する検出器を挿入して装着するための炉内計装管として構成されている。この管台20は、ステンレス鋼またはNi基合金で形成されている。管台20は、原子炉容器10の貫通孔14に貫通されて、原子炉容器10の外側に延在する下端に、セーフエンド部21が設けられている。セーフエンド部21は、管台20の下端にステンレス鋼またはNi基合金の継手溶接により固定されている(継手溶接部22)。このセーフエンド部21は、コンジェットチューブ23と接続されるものである。セーフエンド部21とコンジェットチューブ23とは、ステンレス鋼の継手溶接により接続されている(継手溶接部24)。
[実施の形態1]
図2は、本実施の形態に係る管台取付構造を示す。図2に示すように、本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台20を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、管台20を取り外した後の原子炉容器10の内面側において、貫通孔14の開口部分の母材12が溶接部15と共に除去された除去凹部17を備えている。除去凹部17は、開先として加工され、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の内面の法線Nを中心とした対称形状に形成されている。法線Nを中心とした対称形状には、法線Nを中心として外径が円形状のものや、法線Nを中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、新しい管台20において、フランジ部25を備えている。フランジ部25は、除去凹部17に挿入されるもので、前記法線Nを中心として除去凹部17と同じ対称形状に形成されている。
また、管台取付構造は、フランジ部25を原子炉容器10に溶接する溶接部18を備えている。溶接部18は、除去凹部17の内面に溶接された肉盛溶接部18aと、除去凹部17に挿入されたフランジ部25を肉盛溶接部18aに溶接する継手溶接部18bとで構成されている。肉盛溶接部18aは、除去凹部17の開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接され、継手溶接部18bは、肉盛溶接部18aの開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が継手溶接されている。
この管台取付構造を施す方法は、まず、原子炉容器10の内部の水中環境を気中環境に変える。
次に、既設の管台20を取り外した後、除去凹部17を形成する。具体的には、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の内面の法線Nを中心として切削加工装置を配置し、貫通孔14の開口部分の母材12を溶接部15と共に切削する。その後、切削した開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、前記法線Nを中心とした対称形状に除去凹部17が形成される。除去凹部17は、前記法線Nを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、溶接部18の肉盛溶接部18aを設ける。具体的には、除去凹部17において貫通孔14が開口する部分に裏当プラグを取り付け、肉盛溶接が貫通孔14に侵入する事態を防ぐ。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面に沿ってヒータを取り付け、肉盛溶接前の予熱(例えば150℃以上)を行う。その後、前記法線Nを中心として溶接装置を配置して肉盛溶接する。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面、および肉盛溶接部18aの表面に沿ってヒータを取り付け、熱処理(例えば230℃〜290℃)を行う。その後、貫通孔14の中心に対してプラグ切削除去装置を心出しおよび位置決めし、裏当プラグを切削除去すると共に、貫通孔14の加工を行う。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面、および肉盛溶接部18aの表面に沿ってヒータを取り付け、かつ貫通孔14の内部にヒータを配置し、肉盛溶接後の熱処理(例えば595℃〜710℃)を行う。なお、前記の肉盛溶接をテンパービード溶接方法で施工することにより、前記の溶接後熱処理を不要とすることも考えられる。その後、前記法線Nを中心として切削加工装置を配置して開先を加工する。その後、開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、除去凹部17の内部に、前記法線Nを中心とした対称形状に肉盛溶接部18aが形成される。肉盛溶接部18aは、前記法線Nを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、原子炉容器10の内側から貫通孔14に新たな管台20を挿入し、フランジ部25を肉盛溶接部18aに嵌め込む。フランジ部25は、工場などで別途形成されており、高い精度を確保することが可能である。
次に、溶接部18の継手溶接部18bを設ける。具体的には、前記法線Nを中心として溶接装置を配置して継手溶接する。その後、カメラによって管台20に倒れがないか確認する。その後、前記法線Nを中心として仕上装置を配置して仕上加工を行う。その後、継手溶接のPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、フランジ部25と肉盛溶接部18aとの間に、前記法線Nを中心とした対称形状に継手溶接部18bが形成される。継手溶接部18bは、前記法線Nを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。この結果、新たな管台20が原子炉容器10に取り付けられる。
このように、上述した実施の形態1の管台取付構造は、原子炉容器10の半球凹形状の内面の法線Nを中心とした対称形状に原子炉容器10の内面側の母材12が除去された除去凹部17と、管台20に設けられており前記法線Nを中心として除去凹部17と同じ対称形状に形成されて除去凹部17に挿入されるフランジ部25と、前記法線Nを中心として設けられてフランジ部25を原子炉容器10に溶接する溶接部18とを備える。
この管台取付構造によれば、原子炉容器10の半球凹形状の内面の法線Nを中心として、除去凹部17の開先加工、フランジ部25での管台20の位置決め、およびフランジ部25の原子炉容器10に対する溶接を行えるので、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。
また、上述した実施の形態1の管台取付構造では、溶接部18が肉盛溶接部18aおよび継手溶接部18bにより構成されている形態を説明したが、この限りではない。例えば、実施の形態1の他の例として、図3に示すように、溶接部18を継手溶接部18bのみで構成することも可能である。
この場合、管台取付構造を施す方法は、まず、原子炉容器10の内部の水中環境を気中環境に変える。
次に、既設の管台20を取り外した後、除去凹部17を形成する。具体的には、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の内面の法線Nを中心として切削加工装置を配置し、貫通孔14の開口部分の母材12を溶接部15と共に切削する。その後、切削した開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、前記法線Nを中心とした対称形状に除去凹部17が形成される。除去凹部17は、前記法線Nを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、原子炉容器10の内側から貫通孔14に新たな管台20を挿入し、フランジ部25を除去凹部17に嵌め込む。なお、管台20は、工場などで別途形成されており、フランジ部25を含み高い精度を確保することが可能である。
次に、溶接部18の継手溶接部18bを設ける。具体的には、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面に沿ってヒータを取り付け、肉盛溶接前の予熱(例えば150℃以上)を行う。その後、前記法線Nを中心として溶接装置を配置して継手溶接する。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面、および管台20の周囲である原子炉容器10の外側面に沿ってヒータを取り付け、継手溶接後の熱処理(例えば595℃〜710℃)を行う。その後、カメラによって管台20に倒れがないか確認する。その後、前記法線Nを中心として仕上装置を配置して仕上加工を行う。その後、継手溶接のPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、フランジ部25と除去凹部17との間に、前記法線Nを中心とした対称形状に継手溶接部18bが形成される。継手溶接部18bは、前記法線Nを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。この結果、新たな管台20が原子炉容器10に取り付けられる。
この管台取付構造によれば、肉盛溶接部18a(肉盛溶接)を要さないので、作業工数を減らすことができ、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
また、実施の形態1の他の例として、図4および図5に示すように、管台20は、フランジ部25を含み原子炉容器10の外側に至る外側管台20aと、フランジ部25を含まず原子炉容器10の内側に配置される内側管台20bとに分割され、互いに接続されていることが好ましい。外側管台20aと内側管台20bとの接続は、図4および図5に示すネジ接合26が好ましい。その他、外側管台20aと内側管台20bとの接続は、溶接、かしめなど、一般に管同士を接続する形態でよい。
溶接部18の継手溶接部18bを設ける場合、外側管台20aから内側管台20bが分割されていると、前記法線Nを中心とした対称形状に継手溶接を行う軌跡に内側管台20bが存在しないので、作業を容易に行うことが可能になる。しかも、管台20は、原子炉容器10の内側に林立されており、隣接する管台20の間が狭隘な環境にあるため、外側管台20aから内側管台20bが分割されていることで、作業空間を広く確保することができ、作業を容易に行うことが可能になる。このため、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。なお、前記法線Nを中心とした対称形状に継手溶接を行う軌跡に内側管台20bを存在させないため、外側管台20aと内側管台20bとの分割位置は、限りなくフランジ部25に近いことが好ましい。
なお、外側管台20aと内側管台20bとを分割せず、図2および図3に示すように、管台20が一体に構成されている場合では、上述の外側管台20aと内側管台20bとを接続する作業を要さない利点がある。
[実施の形態2]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図6に示すように、本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台20を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、管台20を取り外した後の原子炉容器10の内面側において、貫通孔14の開口部分の母材12が溶接部15と共に除去された除去凹部17を備えている。除去凹部17は、管台20(施工時は貫通孔14)の中心線Sを中心とした対称形状に基づき形成されている。中心線Sを中心とした対称形状には、中心線Sを中心として外径が円形状のものや、中心線Sを中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、新しい管台20において、フランジ部25を備えている。フランジ部25は、除去凹部17に挿入されると共に除去凹部17の外部に突出するもので、前記中心線Sを中心として除去凹部17と同じ対称形状に基づき形成されている。
また、管台取付構造は、フランジ部25を原子炉容器10に溶接する溶接部18を備えている。溶接部18は、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づき原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13の表面、および除去凹部17の外部に突出するフランジ部25の外周を覆って溶接された肉盛溶接部18aと、フランジ部25を肉盛溶接部18aに溶接する継手溶接部18bとで構成されている。肉盛溶接部18aは、ステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接され、継手溶接部18bは、肉盛溶接部18aの開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が継手溶接されている。
この管台取付構造を施す方法は、まず、原子炉容器10の内部の水中環境を気中環境に変える。
次に、既設の管台20を取り外した後、除去凹部17を形成する。具体的には、貫通孔14の中心線Sを中心として切削加工装置を配置し、貫通孔14の開口部分の母材12を溶接部15と共に切削する。その後、切削した開先面、および後に肉盛溶接部18aを設けるクラッド部13の表面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の部分に、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づく除去凹部17が形成される。除去凹部17は、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、溶接部18の肉盛溶接部18aを設ける。具体的には、除去凹部17が開口する部分に裏当プラグを取り付け、肉盛溶接が除去凹部17に侵入する事態を防ぐ。その後、前記中心線Sを中心として溶接装置を配置してクラッド部13の表面に肉盛溶接する。その後、貫通孔14の中心線Sに対してプラグ切削除去装置を心出しおよび位置決めし、裏当プラグを切削除去すると共に、肉盛溶接部18aおよび貫通孔14の加工を行う。その後、前記中心線Sを中心として切削加工装置を配置して開先を加工する。その後、開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、除去凹部17の外縁であってクラッド部13の表面に、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づき肉盛溶接部18aが形成される。肉盛溶接部18aは、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、原子炉容器10の内側から貫通孔14に新たな管台20を挿入し、フランジ部25を肉盛溶接部18a内に嵌め込む。なお、管台20は、工場などで別途形成されており、フランジ部25を含み高い精度を確保することが可能である。
次に、溶接部18の継手溶接部18bを設ける。具体的には、前記中心線Sを中心として溶接装置を配置して継手溶接する。その後、カメラによって管台20に倒れがないか確認する。その後、前記中心線Sを中心として仕上装置を配置して仕上加工を行う。その後、継手溶接のPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、フランジ部25と肉盛溶接部18aとの間に、前記中心線Sを中心とした対称形状に継手溶接部18bが形成される。継手溶接部18bは、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。この結果、新たな管台20が原子炉容器10に取り付けられる。
このように、上述した実施の形態2の管台取付構造は、管台20の中心線Sを中心とした対称形状に基づき原子炉容器10の内面側の母材12が除去された除去凹部17と、管台20に設けられており前記中心線Sを中心とした対称形状に形成されて除去凹部17に挿入されると共に除去凹部17の外部に突出するフランジ部25と、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づき原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13の表面および除去凹部17の外部に突出するフランジ部25の外周を覆って溶接された肉盛溶接部18aと、フランジ部25を前記中心線Sを中心として肉盛溶接部18aに溶接する継手溶接部18bとを備える。
この管台取付構造によれば、管台20の中心線Sを中心として、除去凹部17の開先加工、フランジ部25での管台20の位置決め、およびフランジ部25の原子炉容器10に対する溶接を行えるので、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。しかも、肉盛溶接部18aが、クラッド部13の表面および除去凹部17の外部に突出するフランジ部25の外周を覆って溶接され、除去凹部17の母材12に接しないことから、熱処理作業を要さないので、作業工数を減らすことができ、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
[実施の形態3]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図7に示すように、本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台20を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、管台20を取り外した後の原子炉容器10の内面側において、貫通孔14の開口部分の母材12が溶接部15と共に除去された除去凹部17を備えている。除去凹部17は、管台20(施工時は貫通孔14)の中心線Sを中心とした対称形状に基づき形成されている。中心線Sを中心とした対称形状には、中心線Sを中心として外径が円形状のものや、中心線Sを中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、新たな管台20を原子炉容器10に溶接する溶接部18を備えている。溶接部18は、前記中心線Sを中心として除去凹部17の内面に溶接された肉盛溶接部18aと、管台20を前記中心線Sを中心として肉盛溶接部18aに溶接する継手溶接部18bとで構成されている。肉盛溶接部18aは、ステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接され、継手溶接部18bは、肉盛溶接部18aの開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が継手溶接されている。
この管台取付構造を施す方法は、まず、原子炉容器10の内部の水中環境を気中環境に変える。
次に、既設の管台20を取り外した後、除去凹部17を形成する。具体的には、貫通孔14の中心線Sを中心として切削加工装置を配置し、貫通孔14の開口部分の母材12を溶接部15と共に切削する。その後、切削した開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の部分に、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づく除去凹部17が形成される。除去凹部17は、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、溶接部18の肉盛溶接部18aを設ける。具体的には、除去凹部17において貫通孔14が開口する部分に裏当プラグを取り付け、肉盛溶接が貫通孔14に侵入する事態を防ぐ。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面に沿ってヒータを取り付け、肉盛溶接前の予熱(例えば150℃以上)を行う。その後、前記中心線Sを中心として溶接装置を配置して肉盛溶接する。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面、および肉盛溶接部18aの表面に沿ってヒータを取り付け、熱処理(例えば230℃〜290℃)を行う。その後、貫通孔14の中心に対してプラグ切削除去装置を心出しおよび位置決めし、裏当プラグを切削除去すると共に、貫通孔14の加工を行う。その後、除去凹部17の外縁であって下部鏡11の内面、および肉盛溶接部18aの表面に沿ってヒータを取り付け、かつ貫通孔14の内部にヒータを配置し、肉盛溶接後の熱処理(例えば595℃〜710℃)を行う。なお、前記の肉盛溶接をテンパービード溶接方法で施工することにより、前記の溶接後熱処理を不要とすることも考えられる。その後、前記中心線Sを中心として切削加工装置を配置して開先を加工する。その後、開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、除去凹部17の内部に、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づき肉盛溶接部18aが形成される。肉盛溶接部18aは、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、原子炉容器10の内側から貫通孔14に新たな管台20を挿入する。
次に、溶接部18の継手溶接部18bを設ける。具体的には、前記中心線Sを中心として溶接装置を配置して継手溶接する。その後、カメラによって管台20に倒れがないか確認する。その後、前記中心線Sを中心として仕上装置を配置して仕上加工を行う。その後、継手溶接のPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、管台20と肉盛溶接部18aとの間に、前記中心線Sを中心とした対称形状に継手溶接部18bが形成される。継手溶接部18bは、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。この結果、新たな管台20が原子炉容器10に取り付けられる。
このように、上述した実施の形態3の管台取付構造は、管台20の中心線Sを中心とした対称形状に基づき原子炉容器10の内面側の母材12が除去された除去凹部17と、前記中心線Sを中心として除去凹部17の内面に溶接された肉盛溶接部18aと、除去凹部17に挿入された管台20を前記中心線Sを中心として肉盛溶接部18aに溶接する継手溶接部18bとを備える。
この管台取付構造によれば、管台20の中心線Sを中心として、除去凹部17の開先加工、管台20の位置決め、および管台20の原子炉容器10に対する溶接を行えるので、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。
また、実施の形態3の管台取付構造では、図7に示すように、管台20は、継手溶接部18bによる溶接箇所を含み原子炉容器10の外側に至る外側管台20aと、継手溶接部18bによる溶接箇所を含まず原子炉容器10の内側に配置される内側管台20bとに分割され、互いに接続されていることが好ましい。外側管台20aと内側管台20bとの接続は、ネジ接合26が好ましい。その他、外側管台20aと内側管台20bとの接続は、溶接、かしめなど、一般に管同士を接続する形態でよい。
溶接部18の継手溶接部18bを設ける場合、外側管台20aから内側管台20bが分割されていると、中心線S上に内側管台20bが存在しないので、継手溶接の作業を容易に行うことが可能になる。しかも、管台20は、原子炉容器10の内側に林立されており、隣接する管台20の間が狭隘な環境にあるため、外側管台20aから内側管台20bが分割されていることで、作業空間を広く確保することができ、作業を容易に行うことが可能になる。このため、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。なお、継手溶接の作業を容易に行うため、外側管台20aと内側管台20bとの分割位置は、限りなく継手溶接部18bに近いことが好ましい。
なお、外側管台20aと内側管台20bとを分割せず、図には明示しないが、管台20が一体に構成されている場合では、上述の外側管台20aと内側管台20bとを接続する作業を要さない利点がある。
ところで、上述した実施の形態3では、溶接部18が、前記中心線Sを中心として除去凹部17の内面に溶接された肉盛溶接部18aと、管台20を前記中心線Sを中心として肉盛溶接部18aに溶接する継手溶接部18bとで構成されているがこの限りではない。例えば、溶接部18は、中心線Sを中心として設けられて除去凹部17に挿入された新たな管台20を原子炉容器10に溶接するものであってもよい。具体的には、溶接部18は、継手溶接部18bが、管台20を原子炉容器10に固定する態様で継手溶接され、肉盛溶接部18aが、除去凹部17において継手溶接部18bがなく原子炉容器10の内側に表れる母材12の表面を覆う態様で肉盛溶接される。この構成であっても、上述した実施の形態3の効果を得ることが可能である。
[実施の形態4]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図8に示すように、本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台20を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、管台20を取り外した後の原子炉容器10の内面側において、貫通孔14の開口部分の母材12が溶接部15と共に除去された除去凹部17を備えている。除去凹部17は、管台20(施工時は貫通孔14)の中心線Sを中心とした対称形状に基づき形成されている。中心線Sを中心とした対称形状には、中心線Sを中心として外径が円形状のものや、中心線Sを中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、新しい管台20において、フランジ部25を備えている。フランジ部25は、除去凹部17に挿入され、原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13と面一となるもので、前記中心線Sを中心として除去凹部17と同じ対称形状に基づき形成されている。
また、管台取付構造は、クラッド部13とフランジ部25との間を閉塞する閉塞部19を備えている。閉塞部19は、前記中心線Sを中心としてクラッド部13とフランジ部25との間にシール溶接されたシール溶接部として構成されている。その他、閉塞部19は、クラッド部13とフランジ部25との隙間に充填される充填材であってもよい。充填材としては、例えば、樹脂材がある。
また、管台取付構造は、貫通孔14の内面に管台20の外面を固定する固定部27を備えている。本実施の形態での固定部27は、管台20の外面と貫通孔14の内面とを螺合により固定するネジ構造とされている。
この管台取付構造を施す方法は、まず、原子炉容器10の内部を水中環境のままとする。
次に、既設の管台20を取り外した後、除去凹部17を形成する。具体的には、貫通孔14の中心線Sを中心として切削加工装置を配置し、貫通孔14の開口部分の母材12を溶接部15と共に切削する。その後、固定部27を形成する。具体的には、貫通孔14に雌ネジ部を加工する。その後、切削した開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の部分に、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づく除去凹部17、および固定部27が形成される。除去凹部17および固定部27の雌ネジ部は、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、原子炉容器10の内側から貫通孔14に新たな管台20を挿入し、フランジ部25を除去凹部17内に嵌め込むと共に、固定部(雌ネジ部および雄ネジ部)27により管台20を貫通孔14に固定する。その後、カメラによって管台20に倒れがないか確認する。なお、管台20は、工場などで別途形成されており、フランジ部25および固定部(雄ネジ部)27を含み高い精度を確保することが可能である。
次に、閉塞部(シール溶接部)19を設ける。具体的には、前記中心線Sを中心として溶接装置を配置してシール溶接する。その後シール溶接の検査を行う。これにより、フランジ部25とクラッド部13との間が閉塞される。シール溶接は、前記中心線Sを中心として施工されるので高い精度を確保することが可能である。この結果、新たな管台20が原子炉容器10に取り付けられる。
このように、上述した実施の形態4の管台取付構造は、管台20の中心線Sを中心とした対称形状に基づき原子炉容器10の内面側の母材12が除去された除去凹部17と、管台20に設けられており前記中心線Sを中心とした対称形状に基づき形成されて除去凹部17に挿入されるフランジ部25と、前記中心線Sを中心として原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13とフランジ部25との間を塞ぐ閉塞部19と、原子炉容器10の貫通孔14に管台20を固定する固定部27とを備える。
この管台取付構造によれば、管台20の中心線Sを中心として、除去凹部17の開先加工、フランジ部25での管台20の位置決め、およびフランジ部25の原子炉容器10へのシールおよび固定を行えるので、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。しかも、閉塞部19および固定部27を備えたことで、肉盛溶接を行わないことから、肉盛溶接作業および熱処理作業を要さないので、作業工数を減らすことができ、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。
特に、実施の形態4の管台取付構造は、上述した実施の形態1〜3のような継手溶接や肉盛溶接および熱処理がなく、水中環境のまま施工を行えることから、気中環境を作る作業を要さないので、作業工数を大幅に減らすことができ、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
また、実施の形態4の他の例として、フランジ部25を図9に示すように構成することが好ましい。具体的に、フランジ部25は、前記中心線Sを中心として除去凹部17と同じ対称形状に基づき形成されている点は上述と同じである。異なるのは、フランジ部25が前記中心線Sを中心とした対称形状とされている点である。このフランジ部25は、除去凹部17に挿入され、管台20が固定部27により固定された場合、原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13から一部が突出する。そして、閉塞部19は、クラッド部13とフランジ部25との境に設けられる。
このように、フランジ部25を、前記中心線Sを中心とした対称形状とすることで、ネジ構造の固定部27により管台20を貫通孔14に固定した場合、ねじ込み位置に係わらず、閉塞部19によりクラッド部13とフランジ部25との間を閉塞することが可能である。この結果、作業性が向上するので、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
また、実施の形態4の他の例として、図10および図11に示すように、管台20は、フランジ部25を含み原子炉容器10の外側に至る外側管台20aと、フランジ部25を含まず原子炉容器10の内側に配置される内側管台20bとに分割され、互いに接続されていることが好ましい。外側管台20aと内側管台20bとの接続は、図10および図11に示すネジ接合26が好ましい。その他、外側管台20aと内側管台20bとの接続は、溶接、かしめなど、一般に管同士を接続する形態でよい。
閉塞部19を設ける場合、外側管台20aから内側管台20bが分割されていると、中心線S上に内側管台20bが存在しないので、閉塞部19の施工を容易に行うことが可能になる。しかも、管台20は、原子炉容器10の内側に林立されており、隣接する管台20の間が狭隘な環境にあるため、外側管台20aから内側管台20bが分割されていることで、作業空間を広く確保することができ、作業を容易に行うことが可能になる。このため、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。なお、閉塞部19の施工を容易に行うため、外側管台20aと内側管台20bとの分割位置は、限りなくフランジ部25に近いことが好ましい。
なお、外側管台20aと内側管台20bとを分割せず、図8および図9に示すように、管台20が一体に構成されている場合では、上述の外側管台20aと内側管台20bとを接続する作業を要さない利点がある。
[実施の形態5]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図12に示すように、本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台20を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、管台20を取り外した後の原子炉容器10の内面側において、貫通孔14の開口部分の母材12が溶接部15と共に除去された除去凹部17を備えている。除去凹部17は、管台20(施工時は貫通孔14)の中心線Sを中心とした対称形状に基づき形成されている。中心線Sを中心とした対称形状には、中心線Sを中心として外径が円形状のものや、中心線Sを中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、新しい管台20において、フランジ部25を備えている。フランジ部25は、除去凹部17に挿入され、原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13と面一となるもので、前記中心線Sを中心として除去凹部17と同じ対称形状に基づき形成されている。
また、管台取付構造は、クラッド部13とフランジ部25との間を閉塞する閉塞部19を備えている。閉塞部19は、前記中心線Sを中心としてクラッド部13とフランジ部25との間にシール溶接されたシール溶接部として構成されている。その他、閉塞部19は、クラッド部13とフランジ部25との隙間に充填される充填材であってもよい。充填材としては、例えば、樹脂材がある。
また、管台取付構造は、貫通孔14の内面に管台20の外面を固定する固定部27を備えている。本実施の形態での固定部27は、管台20を拡管し、この拡管した管台20の外面と貫通孔14の内面とを密着により固定する構造とされている。
この管台取付構造を施す方法は、まず、原子炉容器10の内部を水中環境のままとする。
次に、既設の管台20を取り外した後、除去凹部17を形成する。具体的には、貫通孔14の中心線Sを中心として切削加工装置を配置し、貫通孔14の開口部分の母材12を溶接部15と共に切削する。その後、切削した開先面について、カメラによって外観確認すると共に、寸法計測およびPT検査(浸透探傷試験)を行う。これにより、原子炉容器10の下部鏡11における半球凹形状の部分に、前記中心線Sを中心とした対称形状に基づく除去凹部17が形成される。除去凹部17は、前記中心線Sを中心として加工されるので高い精度を確保することが可能である。
次に、原子炉容器10の内側から貫通孔14に新たな管台20を挿入し、フランジ部25を除去凹部17内に嵌め込むと共に、固定部(拡管)27により管台20を貫通孔14に固定する。その後、カメラによって管台20に倒れがないか確認する。なお、管台20は、工場などで別途形成されており、フランジ部25および固定部(拡管)27を設ける部分を含み高い精度を確保することが可能である。
次に、閉塞部(シール溶接部)19を設ける。具体的には、前記中心線Sを中心として溶接装置を配置してシール溶接する。その後シール溶接の検査を行う。これにより、フランジ部25とクラッド部13との間が閉塞される。シール溶接は、前記中心線Sを中心として施工されるので高い精度を確保することが可能である。この結果、新たな管台20が原子炉容器10に取り付けられる。なお、上述した管台20の固定とシール溶接は、どちらを先に行ってもよい。
このように、上述した実施の形態5の管台取付構造は、管台20の中心線Sを中心とした対称形状に基づき原子炉容器10の内面側の母材12が除去された除去凹部17と、管台20に設けられており前記中心線Sを中心とした対称形状に基づき形成されて除去凹部17に挿入されるフランジ部25と、前記中心線Sを中心として原子炉容器10の内面に設けられたクラッド部13とフランジ部25との間を塞ぐ閉塞部19と、原子炉容器10の貫通孔14に管台20を固定する固定部27とを備える。
この管台取付構造によれば、管台20の中心線Sを中心として、除去凹部17の開先加工、フランジ部25での管台20の位置決め、およびフランジ部25の原子炉容器10へのシールおよび固定を行えるので、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。しかも、閉塞部19および固定部27を備えたことで、肉盛溶接を行わないことから、肉盛溶接作業および熱処理作業を要さないので、作業工数を減らすことができ、管台20の取り付けを容易に行うことが可能になる。
特に、実施の形態5の管台取付構造は、上述した実施の形態1〜3のような継手溶接や肉盛溶接および熱処理がなく、水中環境のまま施工を行えることから、気中環境を作る作業を要さないので、作業工数を大幅に減らすことができ、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
また、実施の形態5の他の例として、図13に示すように、管台20は、フランジ部25を含み原子炉容器10の外側に至る外側管台20aと、フランジ部25を含まず原子炉容器10の内側に配置される内側管台20bとに分割され、互いに接続されていることが好ましい。外側管台20aと内側管台20bとの接続は、図13に示すネジ接合26が好ましい。その他、外側管台20aと内側管台20bとの接続は、溶接、かしめなど、一般に管同士を接続する形態でよい。
閉塞部19を設ける場合、外側管台20aから内側管台20bが分割されていると、中心線S上に内側管台20bが存在しないので、閉塞部19の施工を容易に行うことが可能になる。しかも、管台20は、原子炉容器10の内側に林立されており、隣接する管台20の間が狭隘な環境にあるため、外側管台20aから内側管台20bが分割されていることで、作業空間を広く確保することができ、作業を容易に行うことが可能になる。このため、管台20の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。なお、閉塞部19の施工を容易に行うため、外側管台20aと内側管台20bとの分割位置は、限りなくフランジ部25に近いことが好ましい。
なお、外側管台20aと内側管台20bとを分割せず、図12に示すように、管台20が一体に構成されている場合では、上述の外側管台20aと内側管台20bとを接続する作業を要さない利点がある。
[実施の形態6]
本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、図には明示しないが、管台を取り外した後の原子炉容器の内面側において、貫通孔の開口部分の母材が溶接部と共に除去された除去凹部を備えている。除去凹部は、管台(施工時は貫通孔)の中心線を中心とした対称形状に基づき形成されている。中心線を中心とした対称形状には、中心線を中心として外径が円形状のものや、中心線を中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、新しい管台において、フランジ部を備えている。フランジ部は、除去凹部に挿入され、原子炉容器の内面に設けられたクラッド部と面一となるもので、前記中心線を中心として除去凹部と同じ対称形状に基づき形成されている。
また、管台取付構造は、管台を原子炉容器に溶接する溶接部を備えている。溶接部は、原子炉容器の外面側の既存の溶接部16(図1参照)の外面に、原子炉容器の下部鏡における半球凸形状の外面の法線を基準として溶接された肉盛溶接部と、溶接部16から突出する管台と肉盛溶接部とが前記法線を基準として溶接された継手溶接部とで構成されている。肉盛溶接部は、溶接部16の外面にステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接され、継手溶接部は、肉盛溶接部の開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が継手溶接されている。
この実施の形態6の管台取付構造によれば、管台の中心線を中心として、除去凹部の加工、フランジ部での管台の位置決めを行え、かつ下部鏡の外面の法線を基準として管台の原子炉容器への溶接を行えるので、管台の取り付けを容易に行うことが可能になる。特に、実施の形態6の管台取付構造によれば、原子炉容器の内側での溶接作業を要さず、原子炉容器の外側での溶接作業となるため、管台の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
[実施の形態7]
本実施の形態の管台取付構造は、図1に示す原子炉容器10から管台20を取り外し、新しい管台を原子炉容器10に取り付けたものである。
この管台取付構造は、図には明示しないが、管台を取り外した後の原子炉容器の内面側において、貫通孔を拡径して母材が溶接部と共に除去された大径貫通孔を備えている。大径貫通孔は、管台(施工時は貫通孔)の中心線を中心とした対称形状に基づき形成されている。中心線を中心とした対称形状には、中心線を中心として外径が円形状のものや、中心線を中心として外径が正多角形状のものが含まれる。
また、管台取付構造は、スリーブ部を備えている。スリーブ部は、前記中心線を中心として大径貫通孔の内面と同じ対称形状に基づき形成された筒体である。スリーブ部は、大径貫通孔に挿通され、大径貫通孔の内周面に沿うと共に、原子炉容器の内面に設けられたクラッド部、および原子炉容器の外面と面一となる。
また、管台取付構造は、新しい管台において、フランジ部を備えている。フランジ部は、大径貫通孔に挿入されたスリーブ部の内部に嵌入され、原子炉容器の内面側および外面側に突出するもので、前記中心線を中心としてスリーブ部の内面と同じ対称形状に基づき形成されている。
また、管台取付構造は、管台を原子炉容器に溶接する溶接部を備えている。溶接部は、原子炉容器の外面側であって溶接部16(図1参照)を除去した外面に、原子炉容器の下部鏡における半球凸形状の外面の法線を基準として溶接された肉盛溶接部と、大径貫通孔から突出する管台と肉盛溶接部とが前記法線を基準として溶接された継手溶接部とで構成されている。肉盛溶接部は、原子炉容器の外面にステンレス鋼またはNi基合金が肉盛溶接され、継手溶接部は、肉盛溶接部の開先加工部分にステンレス鋼またはNi基合金が継手溶接されている。
この実施の形態7の管台取付構造によれば、管台の中心線を中心として、大径貫通孔の加工、フランジ部での管台の位置決めを行え、かつ下部鏡の外面の法線を基準として管台の原子炉容器への溶接を行えるので、管台の取り付けを容易に行うことが可能になる。特に、実施の形態7の管台取付構造によれば、原子炉容器の内側での溶接作業を要さず、原子炉容器の外側での溶接作業となるため、管台の取り付けをさらに容易に行うことが可能になる。
以上のように、本発明に係る管台取付構造は、管台の取り付けを容易に行うことに適している。
10 原子炉容器
11 下部鏡
12 母材
13 クラッド部
14 貫通孔
17 除去凹部
18 溶接部
18a 肉盛溶接部
18b 継手溶接部
19 閉塞部
20 管台
20a 外側管台
20b 内側管台
25 フランジ部
26 ネジ接合
27 固定部
N 法線
S 中心線

Claims (9)

  1. 半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、
    前記原子炉容器の半球凹形状の内面の法線を中心とした対称形状に前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、
    前記管台に設けられており前記法線を中心として前記除去凹部と同じ対称形状に形成されて前記除去凹部に挿入されるフランジ部と、
    前記法線を中心として設けられて前記フランジ部を前記原子炉容器に溶接する溶接部と、
    を備えることを特徴とする管台取付構造。
  2. 前記管台は、前記フランジ部を含み前記原子炉容器の外側に至る外側管台と、前記フランジ部を含まず前記原子炉容器の内側に配置される内側管台とに分割され、互いに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の管台取付構造。
  3. 半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、
    前記管台の中心線を中心とした対称形状に基づき前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、
    前記管台に設けられており前記中心線を中心とした対称形状に形成されて前記除去凹部に挿入されると共に前記除去凹部の外部に突出するフランジ部と、
    前記中心線を中心として前記原子炉容器の内面に設けられたクラッド部の表面および前記除去凹部の外部に突出する前記フランジ部の外周を覆って溶接された肉盛溶接部と、
    前記フランジ部を前記中心線を中心として前記肉盛溶接部に溶接する継手溶接部と、
    を備えることを特徴とする管台取付構造。
  4. 半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、
    前記管台の中心線を中心とした対称形状に基づき前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、
    前記中心線を中心として設けられて前記除去凹部に挿入された管台を前記原子炉容器に溶接する溶接部と、
    を備えることを特徴とする管台取付構造。
  5. 前記管台は、前記継手溶接部による溶接箇所を含み前記原子炉容器の外側に至る外側管台と、前記継手溶接部による溶接箇所を含まず前記原子炉容器の内側に配置される内側管台とに分割され、互いに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の管台取付構造。
  6. 半球凹形状の内面を有する原子炉容器の内外に貫通する管台を取り付ける管台取付構造において、
    前記管台の中心線を中心とした対称形状に基づき前記原子炉容器の内面側の母材が除去された除去凹部と、
    前記管台に設けられており前記中心線を中心とした対称形状に基づき形成されて前記除去凹部に挿入されるフランジ部と、
    前記中心線を中心として前記原子炉容器の内面に設けられたクラッド部と前記フランジ部との間を塞ぐ閉塞部と、
    前記原子炉容器の貫通孔に前記管台を固定する固定部と、
    を備えることを特徴とする管台取付構造。
  7. 前記固定部は、前記管台の外面と前記貫通孔の内面との螺合によることを特徴とする請求項6に記載の管台取付構造。
  8. 前記固定部は、拡管した前記管台の外面と前記貫通孔の内面との密着によることを特徴とする請求項6に記載の管台取付構造。
  9. 前記閉塞部は、シール溶接によることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の管台取付構造。
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