JP2011144133A - 乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】角質細胞間脂質に類似の液晶構造を形成し、皮膚に塗布されている間も液晶構造と均一なリポソーム構造を安定に保持し、高いスキンケア効果を発揮する化粧料を提供すること。
【解決手段】水を70質量%以上含む組成物であって、
(A)レシチン 1.5〜6質量%
(B)多価アルコール 3〜27質量%
(C)コレステロール 0.1〜1質量%
(D)ポリオキシエチレンステロール (C)1質量部に対して1〜20質量部
を含有することを特徴とする乳化組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、使用感触がなめらかなスキンケア効果に優れた乳化組成物、化粧料(特に、化粧水、美容液)に関する。
乳化系の化粧料は、主に、油が界面活性剤により乳化ミセルを形成し、連続相である水相に分散した水中油型(以下O/W型)構造である。これらを皮膚に塗布した場合、連続相である水は、蒸発飛散および皮膚に吸収され、又皮膚上で塗布するときの物理的な作用により、乳化が破壊されるため、含有する保湿剤や皮膚栄養剤がそのままの性状で皮膚上に存在するため、十分に皮膚内部へ浸透させることができず、望むべき効果を発揮させることが難しい。
一方、化粧料には、連続相である油相に水が分散した油中水型(以下W/O型)構造も見られるが、これは、肌に塗布した状態は油相が皮膚上に存在することになり、皮膚閉塞により保湿効果による効果であり本来の保湿作用ではない。
これらの問題を解決するため、皮膚に対し親和性が大きく保湿効果や荒れ肌改善効果に優れた、角質細胞間脂質と類似の液晶構造をもつ液晶型の化粧料が提案されている。例えば特許文献1(特開平06−345633号)では、セラミドに高級脂肪酸、高級アルコール、糖脂質、コレステロールなどの両親媒性物質を組み合わせて、角質細胞間脂質に近い液晶構造を形成させている。しかし、セラミドは、天然品および合成品も含めて結晶化しやすく、製剤化が難しく、しかも、経時的に製剤中で結晶化し、品質を損なうなどの問題を生じる。さらに高価であり、乳化力がない。
また、特許文献2(特開2008−115162号)には、ステロール、ポリオキシエチレンステロール類およびレシチンを含有することで、皮膚に塗布した際も液晶構造を安定に保持し乳化剤が開示されている。しかし、リポソームを皮膚上で安定に、かつ液晶構造を保持する技術は見出されていない。したがって、肌の乾燥などの外部環境から保護し、予防、改善し、リポソームで有効成分を送達しうる化粧料が望まれる。
特開平06−345633号公報 特開2008−115162号公報
本発明は角質細胞間脂質に類似の液晶構造を形成し、皮膚に塗布されている間も液晶構造とリポソーム構造を安定に保持し、高いスキンケア効果を発揮する化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らは、安定な液晶形成リポソームを見出すために鋭意研究を行った結果、以下の組成物が目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
水を70質量%以上含む組成物であって、
(A)レシチン 1.5〜6質量%
(B)多価アルコール 3〜27質量%
(C)コレステロール 0.1〜1質量%
(D)ポリオキシエチレンステロール (C)1質量部に対して1〜20質量部を含有することを特徴とする乳化組成物に関する。
本発明の乳化組成物は、皮膚に塗布した時に水分の蒸散を抑えることにより優れたスキンケア効果、皮膚状態改善効果を実現するとともに、優れた使用感触を示した。
本発明品及び比較品を塗布することによる、塗布部位の皮膚コンダクタンスの経時変化を表すグラフである。
本発明に使用される(A)レシチンとは、大豆または卵黄由来のレシチン及びそれらのレシチンを酵素処理したものをいい、水素添加などの化学処理が施されてもよい。大豆レシチンとは、大豆中に含まれるリン脂質成分であり、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)を主成分としている。本発明の乳化剤に含まれるレシチンは、ホスファチジルコリン換算で組成物中1.5〜6質量%含有することが好ましく、さらに好ましくは1.7〜4質量%である。また、レシチン中のホスファチジルコリン量は、65質量%以上が好ましく、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは70〜90質量%である。
本発明に使用される(B)多価アルコールは、分子中に2個以上の水酸基を有する化粧品に使用可能なアルコールのことである。多価アルコールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールが挙げられる。特に、水溶性の2価のアルコールが好ましく、さらに好ましくは、1,3ブチレングリコール、ジプロピレングリコールである。これら多価アルコールは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。(B)多価アルコールは、乳化組成物中3〜27質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは8〜20質量%である。
本発明に使用される(C)コレステロールは、天然物の組織から精製したものが好ましく、特にラノリンやイカなどの生物から得られるものが好ましい。水素添加などの化学処理を施したもの(コレスタノール)も本発明におけるコレステロールに含まれる。
本発明に使用される(D)ポリオキシエチレンステロールとしては、ポリオキシエチレン(POE)コレステロールなどの動物性ステロールにエチレンオキサイドを付加したものや、ポリオキシエチレンポリオキシエチレン(POE)大豆ステロールのように植物性ステロールにエチレンオキサイドを付加したものを挙げることができる。付加するエチレンオキサイドのモル数(n)は、3〜100が好ましくは、より好ましくは5〜50、さらに好ましくはn=10〜30、特に好ましくは20〜30である。ポリオキシエチレン(POE)コレステロールは、市販されているものを使用することができ、例えば日本エマルション社のEMALEX CS-10、EMALEX CS-15、EMALEX CS-20、EMALEX CS-24、EMALEX CS-30を挙げることができる。また、ポリオキシエチレン(POE)大豆ステロールとしては、日光ケミカルズ社のNIKKOL BPS-10、NIKKOL BPS-20、NIKKOL BPS-25、NIKKOL BPS-30が挙げられる。
本発明において、(C)コレステロールと(D)ポリオキシエチレンステロールの成分の比率(質量比)は、(C)成分1質量部に対して、(D)成分1〜20質量部であり、好ましくは(D)成分1〜10質量部、さらに好ましくは(D)成分1〜5質量部である。(A)レシチンは、リポソームの形成のし易さの点から(C)コレステロール1質量部に対して1.5〜15質量部が好ましく、2〜10質量部がさらに好ましい。
本発明は、使用感の点から水を乳化組成物中70質量%以上含有することを特徴とする。より好ましくは乳化組成物中75質量%以上、特に好ましくは80〜90質量%である。
本発明の乳化組成物の液晶構造は、偏光顕微鏡で観察することで確認することができる。また、透過型電子顕微鏡(TEM)において樹脂泡埋超薄切法や凍結切片法を用いることで液晶構造を確認することができる。
本発明の乳化組成物は、一般に化粧品に使用される界面活性剤、油相成分、油脂、高級アルコール、脂肪酸、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、ビタミン類、色素、香料などを併用することができる。
本発明の乳化組成物は、多価アルコールにレシチン、ポリオキシエチレンコレステロールおよびコレステロールを溶解し、これに水相を加えてよく分散させ、エクストリューダー(加圧することで均一な細孔を有するフィルターを通過させる)を使用して均一な粒子径のリポソームを製造することができる。
本発明の乳化組成物は、内水相中に様々な有用成分を内包させる目的からリポソーム含有組成物又はW/O/W型組成物であることが好ましい。リポソーム含有組成物にあっては、その粒子径は、後述する測定方法により250nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは200nm以下である。
W/O/W型組成物とは、水中油中水型乳化組成物を意味し、水性成分中に油中水型乳化物を含む複合乳化組成物である。W/O/W型組成物は、逆ヘキサゴナル構造(ヘキサゴナルII)を有する組成物も含まれる。
本発明の乳化組成物は、保湿美容液、保湿ローション、エモリエント乳液などのスキンケア化粧料などに好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(製造例1)
(1)乳化組成物の調製
下記表1に示す乳化組成物を調製した。すなわち、ステンレス製混合容器中で、水素添加大豆レシチン(ホスファチジルコリン量70質量%)、コレステロール、POE(30)コレステロール、1,3−ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール(DPG)を95〜105℃で攪拌しながら混合、溶解後、85〜90℃に加温した水を混合、攪拌しながら(攪拌速度1000rpm)均一に分散させた。さらに、65〜70℃で30分間攪拌した後、65〜70℃に加温したエクストリューダー(押し出し式装置)(野村マイクロサイエンス株式会社製、高圧整粒システム LP-25-10)に200nmのポリカーボネートメンブランを用いて加圧通過させ、冷却し乳化組成物を得た。乳化組成物の調製スケールは、500gとした。比較例の乳化組成物も表1に示す成分を用い同様にして調製した。
(2)液晶構造の確認
乳化組成物をスライドガラス上に薄く延ばした試料を、偏光顕微鏡を用いて観察を行った(倍率100倍)。試料のマルターゼクロス(Maltese Cross)像を観察し、マルターゼクロス像を明確に確認できるものを◎、確認できるものを○、できないものを×とした。
(3)粒子径の確認
乳化組成物をガラス製プローブに入れ、動的光散乱(DLS)測定装置を用いて測定をった。液晶形成リポソームの平均粒子径が250nm以下のものを○、250nmを超えるものを×とした。
測定にはPhotal FPAR-1000K(大塚電子製)を用い、ガラス製セルに試料を10mL加え、プローブを差込み、積算時間60秒、繰返し操作1回にて測定した。解析方法はcontin法を用いた。
(4)皮膚上での液晶構造の確認
乳化組成物を、前腕部内側に塗布して(20μg/cm2)、室温で6時間放置した後、スライドガラス上に転写し試料とした。それを(2)の方法により偏光顕微鏡観察を行い、液晶構造の有無を確認した。また、スライドガラス上に転写した試料を水で希釈し(3)の方法で粒子径を確認した。
Figure 2011144133
その結果、表1に示すように、実施例1〜6は、光学異方性をもつ液晶構造を有していた。また、実施例1〜6は、皮膚に塗布して6時間後も液晶構造を安定に保っていた。さらに本発明の乳化組成物は、皮膚に塗布して6時間後も粒子径を安定に保っていた。この液晶構造は安定性が高く、皮膚上での変形も極めて少ないと判断される。一方、比較例3、5は、光学異方性をもつ液晶構造を確認できず、本発明にはコレステロール、ポリオキシエチレンステロール、レシチンが必須であることが推測された。また、比較例1のようにレシチンが少なすぎたり、比較例4の様にレシチンが6%を超えた場合には、皮膚上で液晶構造やリポソームを確認することができなかった。また、比較例1のように配合する多価アルコールの量が多くなった場合(水分量が少ない場合)にも液晶構造を確認できなかった。
(試験例1)
表1に示す実施例3の乳化組成物と注射用蒸留水を用いて、保湿試験を行った。方法は、22℃、相対湿度50%に調整した恒温・恒湿室で20分間待機したボランティア男女5名(25−40歳)の前腕部内側に、実施例3の乳化組成物と注射用蒸留水をそれぞれ5.7cm2、11.4μL塗布した。塗布後、同条件で15、30、45、60分経過後の塗布部位の皮膚コンダクタンスを、SKICON 200により測定することで保湿効果を評価した。
その結果、図1に示すように、試料塗布1時間後の皮膚コンダクタンスは、実施例3で71.9μS±19.2であり、本発明品の優れた保湿効果が確認された。
本発明により、皮膚に塗布されている間も液晶構造と均一なリポソーム構造を安定に保持可能な乳化組成物の提供が可能となり、優れたスキンケア効果や皮膚改善効果を示す化粧料を得ることができた。

Claims (8)

  1. 水を70質量%以上含む組成物であって、
    (A)レシチン 1.5〜6質量%
    (B)多価アルコール 3〜27質量%
    (C)コレステロール 0.1〜1質量%
    (D)ポリオキシエチレンステロール (C)1質量部に対して1〜20質量部を含有することを特徴とする乳化組成物。
  2. リポソーム含有液である請求項1記載の乳化組成物。
  3. W/O/W型液剤である請求項1記載の乳化組成物。
  4. (A)成分中のホスファチジルコリン含有量が70質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
  5. リポソームの粒径が、250nm以下である請求項2記載の乳化組成物。
  6. (A)成分が、(C)成分1質量部に対して1.5〜15質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の乳化組成物。
  7. 化粧料である請求項1〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
  8. 化粧水または美容液である請求項7記載の乳化組成物。
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