JP2011136491A - 複合容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 容器を形作るライナー1を回転させつつ、繰出装置17から、熱硬化性の樹脂が予め含浸された繊維Fを繰り出させることで、ライナー1に繊維Fを巻付ける。この際、ヒータ22により、ライナー1の内部から加熱することで、前記繊維Fに含浸された樹脂をライナー1の表面に近い側から離れる側に向けて徐々に硬化させ、この硬化に伴って前記樹脂を発熱させる。前記熱硬化性の樹脂配合物中には多官能性樹脂を配合するとよい。
【選択図】 図1
Description
複合材料の製造方法には、繊維強化材に未硬化のマトリックス樹脂を含浸させてプリプレグとし、該プリプレグを成形硬化させる方法が広く採用されている。一方で、フィラメントワインディング(FW)による中空物の成形方法、いわゆるFW法も、複合材料の製造方法として多く採用されている。
ウエット法は低粘度の樹脂を使用するために、厚みのある繊維層、例えばCFRP(炭素繊維強化プラスチック)層を形成しようとすると、炭素繊維の巻き緩みや巻き崩れが生じてしまう。このため、FW成形中に装置を一旦停止して、樹脂を硬化させ、再度装置を稼働する、といった制御を繰り返す必要がある。
トウプリプレグを用いたドライ法によれば、ウエット法の問題であるFW成形中の炭素繊維の巻き緩みや巻き崩れを防ぐことができる。
そのため、厚みのある繊維層を形成するためには、硬化反応発熱が蓄積しない厚み程度にFW成形し硬化させ、再度FW成形するといった手法を取らざるを得ないため、容器製造時間が長時間に及ぶものとなる。
これによれば、ライナーへの繊維の巻付けと同時に、繊維に含浸された樹脂を加熱して硬化を促すことができるので、製造に要する時間を大幅に削減することができる。
本発明は、このような実状に鑑み、複合容器のより効率的な製造方法を提供することを課題とする。
また、前記熱硬化性の樹脂が予め含浸された繊維は、トウプリプレグであるとよいが、レジンバス法によって含浸された繊維であってもよい。ライナーへ巻付けながら硬化させるため、ウエット法での巻き緩みや巻き崩れを回避できるからである。
また、樹脂硬化時の発熱を徐々に蓄えながらFW成形が実施できるため、樹脂硬化時の発熱を樹脂硬化に利用できる。
樹脂硬化時の発熱を有効に利用するため、ここで用いる樹脂配合物には、高い反応性や発熱のポテンシャルを有する成分を添加すると好ましい。例えば、添加する成分として、多官能グリシジルアミン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、及び、テトラグリシジル−1、3−ビス(ビスアミノエチル)シクロヘキサンなどの多官能性化合物を用いることができる。
図1〜図3は本発明の一実施形態として複合容器の製造に用いるFW装置を示し、図1は平面図、図2は正面図、図3は図2のA−A断面図である。
このFW装置は、容器を形作る円筒状のライナー1を、側枠11a、11b間に水平に支持しつつ、その中心軸線周りに回転させ、ライナー1の中心軸線と平行に移動可能な繰出装置17から熱硬化性の樹脂が予め含浸された繊維Fを繰り出すことにより、回転するライナー1の外周面に繊維Fを巻付けるものである。
FW装置の支持部は、ベース台10と、ベース台10の一側から立上がってライナー1の一端側(口金部3a側)を支持する側枠11aと、ベース台10の他側から立上がってライナー1の他端側(口金部3b側)を支持する側枠11bと、から構成される。
繰出装置17は、台車(スライダ)18上に設けられている。台車18は、ベース台10上をその延在方向(すなわちライナー1の回転軸線と平行な方向)に移動可能である。ここでは、台車18は、側枠11a、11b間に差し渡した2本のガイド部材19、20によって案内され、これらのガイド部材19、20のうち、少なくとも1つを送りネジとして、図示しないモータにより回転させることで、ガイド部材19、20の延在方向に移動されるようになっている。
トウプリプレグの場合、繰出装置17は、トウプリプレグをロール状に巻回したリール(図示せず)を備え、このリールからトウプリプレグを繰出口21を介して繰り出すようにすればよい。
次にライナー1内部からの加熱装置について説明する。
また、FW成形しながら、樹脂を硬化させるため、トウプリプレグ(ドライ法)の場合はもちろん、レジンバス法(ウエット法)であっても、巻き緩みや巻き崩れを生じることはなく、FW成形中に装置を停止・運転を繰り返すこともない。従って、この点でも製造時間を短縮できる。
従って、樹脂硬化時の発熱が一気に蓄積されることがなく、樹脂硬化時の発熱による反応の暴走を抑制することができる。
特に、樹脂配合物中に多官能性樹脂を配合することにより、樹脂硬化時の発熱が大きくなり、効果的である。
〔実施例1〕
実施例1では、以下の条件において、本発明の複合容器の製造方法により円筒管を製造し、そのCFRP層厚み方向の温度分布測定を実施した。
〔実施例2〕
実施例2では、実施例1と同様の条件にて円筒管を製造し、その際のCFRP層厚み方向の温度分布測定を実施した。
〔実施例3〕
実施例3では、実施例1と同様の条件にてレジンバス法にて円筒管を製造し、その際のCFRP層厚み方向の温度分布測定を実施した。
〔比較例1〕
比較例1では、以下の条件において、内部加熱を行わずに円筒管を作製し、樹脂硬化のために加熱炉で硬化させた。
ここで作製したCFRP層が硬化済みの円筒管に、ライナー温度が135℃になるように熱風を送り込み、CFRP層厚み方向の温度分布測定を実施したところ、表1の比較例1の欄に示すようになった。
比較例2では、以下の条件において、内部加熱を行わずに円筒管を作製し、樹脂硬化のために加熱炉で硬化させた際の温度分布測定を実施した。
比較例2では、実施例1と同じトウプリプレグを使用し、内部加熱条件以外は同じ条件で円筒管にFWを実施した。本比較例ではFW内部加熱による硬化を行わなかったため、FW終了後に加熱炉にて室温から2℃/minの昇温速度で130℃まで加熱し、2時間保持した後に放冷した。その際のCFRP層厚み方向の温度分布を測定したところ、表1の比較例2の欄に示すようになった。
また、実施例2、3では、実施例1に対し、樹脂配合物中に多官能性樹脂(実施例2では、多官能性グリシジルアミン、実施例3では、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン20)を用いることにより、各位置で2〜5℃高くなり、樹脂硬化時の発熱をより有効に利用できることがわかる。
2a、2b 鏡板
3a、3b 口金部
10 ベース台
11a、11b 側枠
12a、12b チャック部
13a、13b 軸受部
14a、14b モータ
15a、15b 出力軸
16a、16b ベルト
17 繰出装置
18 台車(スライダ)
19、20 ガイド部材(送りネジ)
21 繰出口
22 ヒータ
23a、23b 保持部(電極部)
Claims (4)
- 容器を形作るライナーに熱硬化性の樹脂が予め含浸された繊維を巻付けて繊維層を形成する工程と、
前記ライナーの内部から加熱することで前記ライナーに巻付けられる前記繊維に含浸された前記樹脂を前記ライナーの表面に近い側から離れる側に向けて徐々に硬化させ、この硬化に伴って前記樹脂を発熱させる工程と、
を含む複合容器の製造方法。 - 前記ライナーに前記繊維を巻付ける際の内部加熱温度が、80℃以上、150℃以下である請求項1記載の複合容器の製造方法。
- 前記熱硬化性の樹脂が予め含浸された繊維は、トウプリプレグ、もしくはレジンバス法によって含浸された繊維である請求項1又は請求項2記載の複合容器の製造方法。
- 前記熱硬化性の樹脂配合物中には多官能性樹脂が配合されている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の複合容器の製造方法。
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