JP2004268339A - 繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気密性の高い繊維強化プラスチック製筒体を得ることができる繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法を提供する。
【解決手段】繊維強化プラスチック製プロペラシャフトは、繊維強化プラスチック製筒体11の両端部内周に金属製ヨークの外周面に設けたセレーションを圧入させることによって一体に接合される。この繊維強化プラスチック製筒体11は、熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維をマンドレル20の外周に筒状に巻き付けた後、マンドレル20側から加熱して繊維に含浸された樹脂を硬化させることにより形成される。
【選択図】 図3
【解決手段】繊維強化プラスチック製プロペラシャフトは、繊維強化プラスチック製筒体11の両端部内周に金属製ヨークの外周面に設けたセレーションを圧入させることによって一体に接合される。この繊維強化プラスチック製筒体11は、熱硬化性樹脂を含浸させた強化繊維をマンドレル20の外周に筒状に巻き付けた後、マンドレル20側から加熱して繊維に含浸された樹脂を硬化させることにより形成される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プロペラシャフトに繊維強化プラスチック製筒体を使用することで車両を軽量化して燃費の向上を図る技術が、例えば、特許文献1にて提案されている。このプロペラシャフトでは、繊維強化プラスチック製筒体の端部に対して、表面にセレーション加工された金属製ヨークが圧入により接合されている。そして、繊維強化プラスチック製筒体の端部と金属製ヨークとの間にはシール剤が塗布され、金属製ヨークのセレーション部への水分の浸入が防止されている。
【0003】
このような繊維強化プラスチック製筒体の製造方法として、特許文献2に提案される方法がある。この製造方法では、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をマンドレル30の外周に筒状に巻き付けた後、図6に示されるように、その筒状体をマンドレル30とともに加熱装置内に収容し、その筒状体を外周から加熱することにより、繊維に含浸された樹脂が硬化して繊維強化プラスチック製筒体31が形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−65538号公報
【特許文献2】
特開昭62−116129号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示されるように、特許文献2に開示された繊維強化プラスチック製筒体31は、筒状体の外周から加熱されるため、熱硬化性樹脂は繊維強化プラスチック製筒体31の外部から内部に向かって硬化が進行する。そのため、繊維強化プラスチック製筒体31の加熱時に熱硬化性樹脂から発生する気泡32が繊維強化プラスチック製筒体31の外部に放出されにくくなり、気泡32は繊維強化プラスチック製筒体31内に閉じこめられることとなる。このような気泡32が繊維強化プラスチック製筒体31の内表面から外表面までつながると気孔となり、繊維強化プラスチック製筒体31の気密性が低下する。このように形成された繊維強化プラスチック製筒体31を使用して繊維強化プラスチック製プロペラシャフトが製造されると、繊維強化プラスチック製筒体31の気孔を介して繊維強化プラスチック製筒体31内に水分が浸入し金属製ヨークのセレーション部が腐食するおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、気密性の高い繊維強化プラスチック製筒体を得ることができる繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、繊維強化プラスチック製筒体の両端部内周に金属部品の接合部に設けたセレーションを圧入させることによって、前記繊維強化プラスチック製筒体と前記金属部品とを一体に接合させた繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をマンドレルの外周に筒状に巻き付けた後、前記マンドレル側から加熱して前記繊維に含浸された樹脂を硬化させることにより前記繊維強化プラスチック製筒体を形成するようにした。
【0008】
上記構成によれば、筒状体はマンドレル側から加熱されるため、筒状体の熱硬化性樹脂は内部から外部に向かって硬化が進行する。そのため、繊維強化プラスチック製筒体の加熱時に熱硬化性樹脂から発生する気泡が外部に放出されるようになり、形成された繊維強化プラスチック製筒体はその内部に気泡を含まないものとなる。従って、繊維強化プラスチック製筒体は気密性の高いものとなり、水分の浸入を確実に防止することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、前記マンドレルは、その内部に加熱手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、樹脂含浸した筒状体を収容して加熱するような加熱装置が必要なくなり、製造装置の小型化を図ることができるようになる。
また、請求項3のように、加熱手段をヒートコイルとしてもよい。
【0011】
また、請求項4のように、加熱手段を、加熱流体を通過させる流路としてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態におけるプロペラシャフト10は繊維強化プラスチック(FRP)製の筒体11と、該筒体11の両端部に接合された金属製ヨーク(継手)12とを有する。筒体11と金属製ヨーク12は、セレーション結合されている。FRP製筒体11の端部13と金属製ヨーク12との間にはシール剤14が塗布され、金属製ヨーク12のセレーション12cへの水分の浸入が防止されている。なお、金属製ヨーク12は、筒体11の両端部に結合されるが、両端部における筒体11の構造とその両端部に結合されている金属製ヨーク12の構成は同じである。従って、本実施形態では、説明の便宜上、エンジン駆動軸側の金属製ヨーク12と筒体11の結合について述べ、従動軸側の金属製ヨーク12と筒体11の結合についてはエンジン駆動軸側と同一として説明を省略する。
【0013】
FRP製筒体11は、ほぼ一定の肉厚の円筒からなり、例えば図2に示されるように、フィラメントワインディング法によって成形されている。すなわち、FRP製筒体11は、エポキシ樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させたカーボン繊維などの強化繊維21を給糸ノズル22を介して供給し、マンドレル20の外周に樹脂含浸した強化繊維21を層状に巻き付けて筒状体を成形し、その筒状体を加熱硬化させたものである。
【0014】
FRP製筒体11は、所定の等ピッチでマンドレル20の軸方向となす角度(巻付け角度)が規定された角度となるように斜めに強化繊維21が巻き付けられたヘリカル巻層11aと、各端部13に設けられたフープ巻層11bとを備えている。このヘリカル巻層11aの巻付け角度は、車両に組付けて使用される際に要求される曲げ、捩り、振動等の特性を満足するため、45°以下の角度に規定された値に設定される。ここでは、例えば巻付け角度がほぼ±10°前後に設定されている。フープ巻層11bは、ヘリカル巻層11aと異なり、強化繊維21を巻付け角度が略90°で巻き付けられたものである。
【0015】
図3に示されるように、マンドレル20のマンドレル本体20aは中空円筒状に形成され、マンドレル本体20a内には加熱手段としてのヒートコイル23が内蔵されている。このマンドレル20に対する筒状体の成形後、ヒートコイル23に通電加熱することにより、熱硬化性樹脂が加熱硬化されてFRP製筒体11が形成される。
【0016】
この加熱工程において、図4に示されるように、FRP製筒体11はマンドレル20側から加熱されるため、熱硬化性樹脂は内部から外部に向かって硬化が進行する。FRP製筒体11の加熱工程において熱硬化性樹脂から気泡24が発生するものの、その気泡24は未だ硬化していない外部側の樹脂中を浮上してFRP製筒体11の外部に放出されるようになり、加熱硬化されたFRP製筒体11はその内部に気泡24を含まないものとなる。従って、FRP製筒体11はその内表面から外表面をつなぐような気孔が形成されることはなく、気密性の高いものとなる。
【0017】
金属製ヨーク12はユニバーサルジョイントと接続する部材であり、ユニバーサルジョイントを取り付けるための孔部12aが形成されている。金属製ヨーク12の接合部としての圧入軸部12bは円柱状に形成されて、その外周面にはFRP製筒体11の内周面に接触する部分に、軸方向に延びるセレーション12cが形成されている。
【0018】
そして、金属製ヨーク12の圧入軸部12bを公知の方法でFRP製筒体11の端部13の開口部に圧入させ、その圧入軸部12bのセレーション12cが端部13の内周面に切り込まれることによって、金属製ヨーク12とFRP製筒体11とは図1に示すように一体に接合される。
【0019】
上記実施形態のFRP製筒体11の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
・ FRP製筒体11の加熱工程において、FRP製筒体11をマンドレル20内のヒートコイル23の発熱によりマンドレル20側から加熱し熱硬化性樹脂を内部から外部に向かって硬化させるようにしている。そのため、加熱時に熱硬化性樹脂から発生する気泡が外部に放出されるようになり、FRP製筒体11はその内部に気泡を含まず、FRP製筒体11にはその内表面から外表面をつなぐような気孔が形成されることはなく、気密性の高いものとなる。従って、このように形成されたFRP製筒体11を使用して製造された繊維強化プラスチック製プロペラシャフト10は、FRP製筒体11内への水分の浸入を確実に防止することができる。
【0020】
・ 本実施形態のマンドレル20は、その内部にヒートコイル23よりなる加熱手段を備えているため、樹脂含浸した筒状体を収容して加熱するような加熱装置が必要なくなり、FRP製筒体11の製造装置の小型化を図ることができる。
【0021】
なお、実施の形態は、次のように変更してもよい。
・ 図5に示されるように、マンドレル25のマンドレル本体25aを加熱流体26を通過させる流路とし、FRP製筒体11の加熱時においてマンドレル本体25a内に加熱流体26を流してFRP製筒体11を内部から加熱するように構成してもよい。
【0022】
・ 上記実施形態において、FRP製筒体11の強化繊維として、アラミド繊維、ガラス繊維等の高弾性・高強度を有する繊維を採用したり、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を採用したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態におけるプロペラシャフトの端部構成説明図。
【図2】一実施形態におけるファイバーワインディング法を示す説明図。
【図3】一実施形態のマンドレルを示す一部破断断面図。
【図4】繊維強化プラスチック製筒体の部分拡大断面図。
【図5】別のマンドレルを示す一部破断断面図。
【図6】従来の繊維強化プラスチック製筒体の部分断面図。
【符号の説明】
10…繊維強化プラスチック製プロペラシャフト、11…FRP(繊維強化プラスチック)製筒体、12…金属部品としての金属製ヨーク、12c…セレーション、13…端部、20,25…マンドレル、21…強化繊維、23…加熱手段としてのヒートコイル、25a…流路としてのマンドレル本体、26…加熱手段としての加熱流体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プロペラシャフトに繊維強化プラスチック製筒体を使用することで車両を軽量化して燃費の向上を図る技術が、例えば、特許文献1にて提案されている。このプロペラシャフトでは、繊維強化プラスチック製筒体の端部に対して、表面にセレーション加工された金属製ヨークが圧入により接合されている。そして、繊維強化プラスチック製筒体の端部と金属製ヨークとの間にはシール剤が塗布され、金属製ヨークのセレーション部への水分の浸入が防止されている。
【0003】
このような繊維強化プラスチック製筒体の製造方法として、特許文献2に提案される方法がある。この製造方法では、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をマンドレル30の外周に筒状に巻き付けた後、図6に示されるように、その筒状体をマンドレル30とともに加熱装置内に収容し、その筒状体を外周から加熱することにより、繊維に含浸された樹脂が硬化して繊維強化プラスチック製筒体31が形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−65538号公報
【特許文献2】
特開昭62−116129号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示されるように、特許文献2に開示された繊維強化プラスチック製筒体31は、筒状体の外周から加熱されるため、熱硬化性樹脂は繊維強化プラスチック製筒体31の外部から内部に向かって硬化が進行する。そのため、繊維強化プラスチック製筒体31の加熱時に熱硬化性樹脂から発生する気泡32が繊維強化プラスチック製筒体31の外部に放出されにくくなり、気泡32は繊維強化プラスチック製筒体31内に閉じこめられることとなる。このような気泡32が繊維強化プラスチック製筒体31の内表面から外表面までつながると気孔となり、繊維強化プラスチック製筒体31の気密性が低下する。このように形成された繊維強化プラスチック製筒体31を使用して繊維強化プラスチック製プロペラシャフトが製造されると、繊維強化プラスチック製筒体31の気孔を介して繊維強化プラスチック製筒体31内に水分が浸入し金属製ヨークのセレーション部が腐食するおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、気密性の高い繊維強化プラスチック製筒体を得ることができる繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、繊維強化プラスチック製筒体の両端部内周に金属部品の接合部に設けたセレーションを圧入させることによって、前記繊維強化プラスチック製筒体と前記金属部品とを一体に接合させた繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をマンドレルの外周に筒状に巻き付けた後、前記マンドレル側から加熱して前記繊維に含浸された樹脂を硬化させることにより前記繊維強化プラスチック製筒体を形成するようにした。
【0008】
上記構成によれば、筒状体はマンドレル側から加熱されるため、筒状体の熱硬化性樹脂は内部から外部に向かって硬化が進行する。そのため、繊維強化プラスチック製筒体の加熱時に熱硬化性樹脂から発生する気泡が外部に放出されるようになり、形成された繊維強化プラスチック製筒体はその内部に気泡を含まないものとなる。従って、繊維強化プラスチック製筒体は気密性の高いものとなり、水分の浸入を確実に防止することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、前記マンドレルは、その内部に加熱手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、樹脂含浸した筒状体を収容して加熱するような加熱装置が必要なくなり、製造装置の小型化を図ることができるようになる。
また、請求項3のように、加熱手段をヒートコイルとしてもよい。
【0011】
また、請求項4のように、加熱手段を、加熱流体を通過させる流路としてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態におけるプロペラシャフト10は繊維強化プラスチック(FRP)製の筒体11と、該筒体11の両端部に接合された金属製ヨーク(継手)12とを有する。筒体11と金属製ヨーク12は、セレーション結合されている。FRP製筒体11の端部13と金属製ヨーク12との間にはシール剤14が塗布され、金属製ヨーク12のセレーション12cへの水分の浸入が防止されている。なお、金属製ヨーク12は、筒体11の両端部に結合されるが、両端部における筒体11の構造とその両端部に結合されている金属製ヨーク12の構成は同じである。従って、本実施形態では、説明の便宜上、エンジン駆動軸側の金属製ヨーク12と筒体11の結合について述べ、従動軸側の金属製ヨーク12と筒体11の結合についてはエンジン駆動軸側と同一として説明を省略する。
【0013】
FRP製筒体11は、ほぼ一定の肉厚の円筒からなり、例えば図2に示されるように、フィラメントワインディング法によって成形されている。すなわち、FRP製筒体11は、エポキシ樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させたカーボン繊維などの強化繊維21を給糸ノズル22を介して供給し、マンドレル20の外周に樹脂含浸した強化繊維21を層状に巻き付けて筒状体を成形し、その筒状体を加熱硬化させたものである。
【0014】
FRP製筒体11は、所定の等ピッチでマンドレル20の軸方向となす角度(巻付け角度)が規定された角度となるように斜めに強化繊維21が巻き付けられたヘリカル巻層11aと、各端部13に設けられたフープ巻層11bとを備えている。このヘリカル巻層11aの巻付け角度は、車両に組付けて使用される際に要求される曲げ、捩り、振動等の特性を満足するため、45°以下の角度に規定された値に設定される。ここでは、例えば巻付け角度がほぼ±10°前後に設定されている。フープ巻層11bは、ヘリカル巻層11aと異なり、強化繊維21を巻付け角度が略90°で巻き付けられたものである。
【0015】
図3に示されるように、マンドレル20のマンドレル本体20aは中空円筒状に形成され、マンドレル本体20a内には加熱手段としてのヒートコイル23が内蔵されている。このマンドレル20に対する筒状体の成形後、ヒートコイル23に通電加熱することにより、熱硬化性樹脂が加熱硬化されてFRP製筒体11が形成される。
【0016】
この加熱工程において、図4に示されるように、FRP製筒体11はマンドレル20側から加熱されるため、熱硬化性樹脂は内部から外部に向かって硬化が進行する。FRP製筒体11の加熱工程において熱硬化性樹脂から気泡24が発生するものの、その気泡24は未だ硬化していない外部側の樹脂中を浮上してFRP製筒体11の外部に放出されるようになり、加熱硬化されたFRP製筒体11はその内部に気泡24を含まないものとなる。従って、FRP製筒体11はその内表面から外表面をつなぐような気孔が形成されることはなく、気密性の高いものとなる。
【0017】
金属製ヨーク12はユニバーサルジョイントと接続する部材であり、ユニバーサルジョイントを取り付けるための孔部12aが形成されている。金属製ヨーク12の接合部としての圧入軸部12bは円柱状に形成されて、その外周面にはFRP製筒体11の内周面に接触する部分に、軸方向に延びるセレーション12cが形成されている。
【0018】
そして、金属製ヨーク12の圧入軸部12bを公知の方法でFRP製筒体11の端部13の開口部に圧入させ、その圧入軸部12bのセレーション12cが端部13の内周面に切り込まれることによって、金属製ヨーク12とFRP製筒体11とは図1に示すように一体に接合される。
【0019】
上記実施形態のFRP製筒体11の製造方法によれば、以下の効果が得られる。
・ FRP製筒体11の加熱工程において、FRP製筒体11をマンドレル20内のヒートコイル23の発熱によりマンドレル20側から加熱し熱硬化性樹脂を内部から外部に向かって硬化させるようにしている。そのため、加熱時に熱硬化性樹脂から発生する気泡が外部に放出されるようになり、FRP製筒体11はその内部に気泡を含まず、FRP製筒体11にはその内表面から外表面をつなぐような気孔が形成されることはなく、気密性の高いものとなる。従って、このように形成されたFRP製筒体11を使用して製造された繊維強化プラスチック製プロペラシャフト10は、FRP製筒体11内への水分の浸入を確実に防止することができる。
【0020】
・ 本実施形態のマンドレル20は、その内部にヒートコイル23よりなる加熱手段を備えているため、樹脂含浸した筒状体を収容して加熱するような加熱装置が必要なくなり、FRP製筒体11の製造装置の小型化を図ることができる。
【0021】
なお、実施の形態は、次のように変更してもよい。
・ 図5に示されるように、マンドレル25のマンドレル本体25aを加熱流体26を通過させる流路とし、FRP製筒体11の加熱時においてマンドレル本体25a内に加熱流体26を流してFRP製筒体11を内部から加熱するように構成してもよい。
【0022】
・ 上記実施形態において、FRP製筒体11の強化繊維として、アラミド繊維、ガラス繊維等の高弾性・高強度を有する繊維を採用したり、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を採用したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態におけるプロペラシャフトの端部構成説明図。
【図2】一実施形態におけるファイバーワインディング法を示す説明図。
【図3】一実施形態のマンドレルを示す一部破断断面図。
【図4】繊維強化プラスチック製筒体の部分拡大断面図。
【図5】別のマンドレルを示す一部破断断面図。
【図6】従来の繊維強化プラスチック製筒体の部分断面図。
【符号の説明】
10…繊維強化プラスチック製プロペラシャフト、11…FRP(繊維強化プラスチック)製筒体、12…金属部品としての金属製ヨーク、12c…セレーション、13…端部、20,25…マンドレル、21…強化繊維、23…加熱手段としてのヒートコイル、25a…流路としてのマンドレル本体、26…加熱手段としての加熱流体。
Claims (4)
- 繊維強化プラスチック製筒体の両端部内周に金属部品の接合部に設けたセレーションを圧入させることによって、前記繊維強化プラスチック製筒体と前記金属部品とを一体に接合させた繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、
熱硬化性樹脂を含浸させた繊維をマンドレルの外周に筒状に巻き付けた後、前記マンドレル側から加熱して前記繊維に含浸された樹脂を硬化させることにより前記繊維強化プラスチック製筒体を形成するようにした
ことを特徴とする繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法。 - 請求項1に記載の繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、
前記マンドレルは、その内部に加熱手段を備える
ことを特徴とする繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法。 - 請求項2に記載の繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、
前記加熱手段は、ヒートコイルである
ことを特徴とする繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法。 - 請求項2に記載の繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法において、
前記加熱手段は、加熱流体を通過させる流路である
ことを特徴とする繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003060378A JP2004268339A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | 繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法 |
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JP2003060378A JP2004268339A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | 繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004268339A true JP2004268339A (ja) | 2004-09-30 |
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ID=33122936
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JP2003060378A Pending JP2004268339A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | 繊維強化プラスチック製プロペラシャフトの製造方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004268339A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010107119A1 (ja) * | 2009-03-19 | 2010-09-23 | 新日本石油株式会社 | 複合容器の製造方法及び製造装置 |
JP2010221401A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Kyushu Univ | 複合容器の製造方法及び複合容器の製造装置 |
JP2011136491A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Jx Nippon Oil & Energy Corp | 複合容器の製造方法 |
KR101126837B1 (ko) * | 2009-07-30 | 2012-03-23 | 현대자동차주식회사 | 차량의 추진축과 그 제조장치 및 그 제조방법 |
KR101818626B1 (ko) * | 2016-06-30 | 2018-01-16 | 한국과학기술원 | 신뢰성과 생산성이 향상된 하이브리드 프로펠러 샤프트의 제조 방법 |
-
2003
- 2003-03-06 JP JP2003060378A patent/JP2004268339A/ja active Pending
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