JP2011052720A - Frp製駆動シャフト - Google Patents

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Takahito Nakamura
崇人 中村
Naoki Kimoto
尚紀 木元
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Fujikura Composites Inc
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Abstract

【課題】FRP円筒と端部の金属製ジョイントとの結合強度を高めることができ、高い伝達トルクが得られるFRP製駆動シャフトを得ること。
【解決手段】FRP円筒10の両端部に、金属製の端部ジョイント20を結合してなるFRP製駆動シャフト100において、FRP円筒の両端部に、端部ジョイントより軟質な金属からなる突き合わせカラー30を位置させて、FRP円筒と突き合わせカラーの対向端面に互いに面接触する波形係合部11、31を形成し、端部ジョイントに、突き合わせカラーとFRP円筒内に跨って圧入されるセレーション部21aを設け、突き合わせカラーとFRP円筒に、波形係合部を覆って突き合わせカラーとFRP円筒の外周面に接触するアウタカラー40を嵌めた。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両のプロペラシャフト(ドライブシャフト)に用いられるFRP製駆動シャフトに関する。
FRP製駆動シャフトは、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチックス)円筒の両端部に金属製の端部ジョイントを結合してなるもので、軽量という利点がある。しかし、FRP円筒と端部ジョイントとの結合強度を如何にして高くするかが一つの技術的課題であり、従来各種の提案がなされている(特許文献1ないし3)。
実開平1-91118公報 実開平6-32726公報 特開2004-308700号公報
特許文献1は、FRP円筒と端部ジョイントを、両者間を径方向に貫通する締結部材を介して結合する構造を前提として、FRP円筒側の新たな繊維構造を提案している。しかし、径方向の貫通部材で結合する構造は貫通部分に応力集中が生じ、依然としてFRP円筒あるいは貫通部材の破損が生じやすい。
特許文献2は、端部ジョイントを、FRP円筒に挿入固定される金属ヨークと、FRP円筒の外周に嵌められてこの金属ヨークに溶接固定されるアウタカラーとから構成することを提案している。しかし、金属ヨークとアウタカラーとを溶接する際、FRP円筒が熱により損傷するおそれが高く、同文献に記載されているような機械的強度を得ることは全く困難である。
特許文献3は、FRP円筒と端部ジョイントとの間に中間円筒部材を介在させ、この中間円筒部材の外周面をFRP円筒にセレーション結合させ、内周面を端部ジョイントとスプライン結合させる構造を提案している。しかし、端部ジョイントからFRP円筒にトルクが伝達される際、FRP円筒自体が破損するおそれが高い。特にFRP円筒が、炭素繊維を熱硬化性樹脂シート中に含浸させてなる複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させた複数のFRP層からなる場合には、層間の剥離現象が生じ、破損に繋がるおそれがある。
本発明は、以上の問題意識に基づき、FRP円筒と端部の金属製ジョイントとの結合強度を高めることができ、高い伝達トルクが得られるFRP製駆動シャフトを得ることを目的とする。
本発明者らは、FRP製駆動シャフトにおけるFRP円筒の破損は、FRP円筒の両端部に挿入された端部ジョイントと該FRP円筒との間でトルクが伝達される際、FRP円筒には、該円筒内に挿入された端部ジョイントを介してその内周面に大きな力が加わるのに対し、外周面にはFRP円筒の肉厚を介して間接的に力が加わるに過ぎないため、内外周に大きな応力差、さらには層間の剥離現象が生じることが原因であるとの結論に達し、本発明に至ったものである。
本発明は、FRP円筒の両端部に、金属製の端部ジョイントを結合してなるFRP製駆動シャフトにおいて、FRP円筒の両端部に、上記端部ジョイントより軟質な金属からなる突き合わせカラーを位置させて、該FRP円筒と突き合わせカラーの対向端面に互いに面接触する波形係合部を形成し、上記端部ジョイントに、突き合わせカラーとFRP円筒内に跨って圧入されるセレーション部を設け、突き合わせカラーとFRP円筒に、波形係合部を覆って該突き合わせカラーとFRP円筒の外周面に接触するアウタカラーを嵌めたことを特徴としている。
アウタカラーは、軽量化のためには、FRP製とすることが望ましい。
端部ジョイントは、突き合わせカラーをFRP円筒の波形係合部との間に挟着して軸方向位置を定めて組立てるのが好ましい。
端部ジョイントは、その一態様では、セレーション部に続けて該セレーション部より大径のフランジ部を有する。
セレーション部と大径フランジ部を有する端部ジョイントは、一部材から構成することも、後に結合される大径フランジ部材とセレーション軸部材の二部材から構成することもできる。
FRP円筒と突き合わせカラーの対向端面に形成する波形係合部は、滑らかな曲線で輪郭を構成したU字状の係合歯を周方向に等間隔で形成することが望ましい。
また、上記セレーション部の有効セレーション長をL、上記係合歯の数をN、各係合歯の最大周方向長をS、軸方向長をDとしたとき、
(1/3)L≦D≦(2/3)L、2≦N≦10、π/N≦S/D≦4π/N
を満足することが好ましい。
本発明のFRP製駆動シャフトは、FRP円筒の構成、樹脂(例えば熱可塑性樹脂)、繊維を問わずに適用可能であるが、特に炭素強化繊維を熱硬化性樹脂シート中に含浸させてなる複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させた複数のCFRP層からなるCFRP円筒に適用したとき、CFRP層の層間剥離を防いで高強度のFRP製駆動シャフトを得ることができる。
本発明のFRP製駆動シャフトは、FRP円筒の両端部に、端部ジョイントより軟質な金属からなる突き合わせカラーを位置させて、該FRP円筒と突き合わせカラーの対向端面に互いに面接触する波形係合部を形成し、端部ジョイントに、突き合わせカラーとFRP円筒内に跨って圧入されるセレーション部を形成したから、端部ジョイントとFRP円筒との間でトルクが伝達されるとき、面接触する波形係合部を介してFRP円筒の内外に同時にトルクが加わる。このため、FRP円筒に加わる内外の荷重差(トルク差)に起因する破損が生じにくい。また、突き合わせカラーとFRP円筒に、波形係合部を覆って該突き合わせカラーとFRP円筒の外周面に接触するアウタカラーを嵌めたから、波形係合部の係合が外れることがない。特にFRP円筒が複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させた複数のFRP層からなる場合には、複数のFRP層に大きな剥離荷重が加わることがないため、剥離破損を防止することができる。
本発明の一実施の形態に係るFRP製駆動シャフトを示す分解斜視図である。 同アウタカラーを透視して描いた組立状態の斜視図である。 端部ジョイントの別の例を示す図である。
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るFRP駆動シャフト100の構成を示している。FRP駆動シャフト100は、FRP円筒10の両端部に金属製の端部ジョイント20を結合してなる。図1及び図2ではFRP製駆動シャフト100の一方の端部のみを描いているが、他方の端部も同一の構成となっている(同一の構成によりFRP円筒10に端部ジョイント20が結合されている)。
FRP円筒10は、炭素強化繊維を熱硬化性樹脂シート中に含浸させてなる複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させた複数のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチックス)層からなる。FRP円筒10の端部には、端部ジョイント20より軟質な金属からなる突き合わせカラー30が位置しており、FRP円筒10の突き合わせカラー30との対向端面には、波形係合部11が形成されている。突き合わせカラー30のFRP円筒10との対向端面には、波形係合部31が形成されており、シャフト組立時には、FRP円筒10の波形係合部11と突き合わせカラー30の波形係合部31が互いに面接触して係合する(図2)。
FRP円筒10の波形係合部11と突き合わせカラー30の波形係合部31はともに、滑らかな曲線で輪郭を構成したU字状の係合歯を周方向に等間隔で形成してなる。FRP円筒10の波形係合部11と突き合わせカラー30の波形係合部31の係合面は、半径方向において均一に面接触する面とする。好ましくは、その係合面と、軸の中心軸と垂直に交わる平面との交線とが、半径方向の線となるように係合面形状を定めるのがよい。
端部ジョイント20は、セレーション軸部材21と、このセレーション軸部材21に結合される大径フランジ部材22からなる。セレーション軸部材21のセレーション部21aは、突き合わせカラー30の内周面32とFRP円筒10の内周面12に跨って圧入されている。大径フランジ部材22は、セレーション軸部材21のセレーション部21aに続けて、このセレーション部21aよりも大径の大径フランジ部22aを有している。
FRP円筒10の波形係合部11及び突き合わせカラー30の波形係合部31は、セレーション部21aの有効セレーション長をL、波形係合部11、31の係合歯の数をN、各係合歯の最大周方向長をS、同軸方向長をDとしたとき、(1/3)L≦D≦(2/3)L、2≦N≦10、π/N≦S/D≦4π/Nを満足させることが好ましい。有効セレーション長とは、セレーション部21aのうち先端のテーパ部を除くFRP円筒10の内周面12と噛み合う部分の軸方向長を意味する。Dが(1/3)L未満ではセレーション部21aと波形係合部11、31との係合長が短すぎて十分な結合強度が得られず、(2/3)Lを超えると、同係合長が不必要に長くなりすぎる。Nが11以上では、歯元への応力集中が大きくなり、強度が下がる。S/Dがこの範囲を外れると、波形係合部11、31の係合面の係合強度を十分に保つことが困難になる。尚、Nが1、すなわち波形係合部11、31の係合歯の数を1とすることも可能である。
アウタカラー40は、金属製とすることも可能であるが、FRP円筒と同様のFRP製の円筒状部材とすることが軽量化の観点から好ましい。図2に示すシャフト組立時には、アウタカラー40は、FRP円筒10の波形係合部11と突き合わせカラー30の波形係合部31を覆って、突き合わせカラー30の外周面33とFRP円筒10の外周面13に接触するように嵌められる。
以上の構成のFRP製駆動シャフト100を組立てる場合、まずFRP円筒10の両端部の波形係合部11に突き合わせカラー30の波形係合部31を互いに面接触させて係合させる。次にこの係合状態で、FRP円筒10の波形係合部11と突き合わせカラー30の波形係合部31を覆って、突き合わせカラー30の外周面33とFRP円筒10の外周面13に接触するようにアウタカラー40を嵌めて接着固定する。最後に、突き合わせカラー30の内周面32とFRP円筒10の内周面12に跨って端部ジョイント20のセレーション部21aを圧入する。このとき、例えば端部ジョイント20に固定したジグ(図示せず)を用いた圧入操作により、端部ジョイント20は、突き合わせカラー30をFRP円筒10の波形係合部11との間に挟着して軸方向位置を定めて組立てられる。
本FRP製駆動シャフト100を車両のプロペラシャフトとして用いる態様では、両端の大径フランジ部22aがエンジン回転部とディフェレンシャルギヤ(図示せず)にそれぞれ接続され、FRP製駆動シャフト100に回転トルクが加わると、端部ジョイント20とFRP円筒10の間で回転トルクが伝達される。
本実施形態では、FRP円筒10の両端部に、端部ジョイント20より軟質な金属からなる突き合わせカラー30を位置させて、FRP円筒10と突き合わせカラー30の対向端面に互いに面接触する波形係合部11、31を形成し、端部ジョイント20に、突き合わせカラー30とFRP円筒10内に跨って圧入されるセレーション部21aを形成したから、端部ジョイント20とFRP円筒10との間でトルクが伝達されるとき、面接触する波形係合部11、31を介してFRP円筒10の内外に同時にトルクが加わる。このため、FRP円筒10に加わる内外の荷重差(トルク差)に起因する破損が生じにくい。
また、突き合わせカラー30とFRP円筒10に、波形係合部31、11を覆って突き合わせカラー30とFRP円筒10の外周面に接触するアウタカラー40を嵌めたから、波形係合部31、11の係合が外れることがない。すなわち、波形係合部31、11の係合面は、セレーション部21aとアウタカラー40により内外から押さえ付けられてずれることがない。特にFRP円筒10が複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させた複数のFRP層からなる場合には、複数のFRP層に大きな剥離荷重が加わることがないため、剥離破損を防止することができる。
以上の実施形態では、端部ジョイント20が、セレーション部21aに続けてセレーション部21aより大径の大径フランジ部22aを有する場合を例示して説明したが、端部ジョイントの形状はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、端部ジョイント50を、セレーション部51の径が最大径の棒状圧入ジョイントとすることもできる。シャフト組立時には、端部ジョイント50に固定したジグ(図示せず)を用いた圧入操作により、突き合わせカラー30をFRP円筒10(波形係合部11)との間に挟着して軸方向位置を定める。
以上の実施形態では、端部ジョイント20をセレーション軸部材21と大径フランジ部材22の二部材から構成したが、これらを一部材として端部ジョイントを構成することもできる。
以上の実施形態では、FRP円筒をプリプレグ法で作成した多層円筒としており、多層円筒の場合に層間剥離を防止するという効果が得られる。しかし、本発明は、FRP円筒の構成及び製法は問わずに適用することができる。例えば、フィラメントワインディング法などで製造したあらゆる構成のFRP円筒を適用可能である。
100 FRP製駆動シャフト
10 FRP円筒
11 波形係合部
12 円筒内周面
13 円筒外周面
20 端部ジョイント
21 セレーション軸部材
21a セレーション部
22 大径フランジ部材
22a 大径フランジ部
30 突き合わせカラー
31 波形係合部
32 突き合わせカラー内周面
33 突き合わせカラー外周面
40 アウタカラー
50 端部ジョイント(棒状圧入ジョイント)
51 セレーション部

Claims (9)

  1. FRP円筒の両端部に、金属製の端部ジョイントを結合してなるFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記FRP円筒の両端部に、上記端部ジョイントより軟質な金属からなる突き合わせカラーを位置させて、該FRP円筒と突き合わせカラーの対向端面に互いに面接触する波形係合部を形成したこと、
    上記端部ジョイントに、突き合わせカラーとFRP円筒内に跨って圧入されるセレーション部を設けたこと、及び
    上記突き合わせカラーとFRP円筒に、上記波形係合部を覆って該突き合わせカラーとFRP円筒の外周面に接触するアウタカラーを嵌めたこと、
    を特徴とするFRP製駆動シャフト。
  2. 請求項1記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記アウタカラーは、FRP製円筒であるFRP製駆動シャフト。
  3. 請求項1または2記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記端部ジョイントは、上記突き合わせカラーをFRP円筒の波形係合部との間に挟着して軸方向位置を定めて組立てられるFRP製駆動シャフト。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記端部ジョイントは、上記セレーション部に続けて該セレーション部より大径のフランジ部を有するFRP製駆動シャフト。
  5. 請求項4記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記端部ジョイントは、セレーション部を有するセレーション軸部材と、このセレーション軸部材に結合される大径フランジ部材とからなるFRP製駆動シャフト。
  6. 請求項4記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記端部ジョイントは、セレーション部と大径フランジ部を一体に有する一部材からなるFRP製駆動シャフト。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    FRP円筒と突き合わせカラーの対向端面に形成した波形係合部は、滑らかな曲線で輪郭を構成したU字状の係合歯を周方向に等間隔で形成してなるFRP製駆動シャフト。
  8. 請求項7記載のFRP製駆動軸において、
    上記セレーション部の有効セレーション長をL、上記係合歯の数をN、各係合歯の最大周方向長をS、軸方向長をDとしたとき、
    (1/3)L≦D≦(2/3)L、2≦N≦10、π/N≦S/D≦4π/N
    を満足するFRP製駆動シャフト。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項記載のFRP製駆動シャフトにおいて、
    上記FRP円筒は、炭素強化繊維を熱硬化性樹脂シート中に含浸させてなる複数のプリプレグを筒状に巻回して熱硬化させた複数のCFRP層からなるFRP製駆動シャフト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016142363A (ja) * 2015-02-03 2016-08-08 Ntn株式会社 動力伝達シャフト

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