JP6099039B2 - 複合容器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合容器の製造方法に関する。
従来の複合容器の製造方法として、特許文献1に記載されたものが知られている。この製造方法では、中空のライナーに対して、硬化性樹脂が含浸された炭素繊維束を巻回して、強化層を形成している。炭素繊維束を巻き終えたら、容器を加熱することによって硬化性樹脂を熱硬化している。
特開2008−304038号公報
ここで、従来の製造方法によって製造された複合容器においては、強化層中の繊維に波打ちや緩みが発生することで、複合容器の強度に影響が及ぼされる場合があった。また、製造条件によっては、繊維と繊維との間に空隙が形成され、複合容器の強度に影響が及ぼされる場合があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複合容器の強度を向上することができる複合容器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る複合容器の製造方法は、容器を形作るライナーに硬化性樹脂が予め含浸された繊維を巻き付けることによって、強化層を備えた複合容器を製造する複合容器の製造方法であって、ライナーに繊維を巻き付けることによってフープ層を形成するフープ層形成工程と、ライナーに繊維を巻き付けることによってヘリカル層を形成するヘリカル層形成工程と、を備え、フープ層形成工程における条件は、ヘリカル層形成工程における条件よりも、硬化性樹脂の粘度が高くなる条件である。
本発明に係る複合容器の製造方法では、フープ層を形成するフープ層形成工程における条件は、ヘリカル層形成工程における条件よりも、繊維に含浸された硬化性樹脂の粘度が高くなる条件である。すなわち、フープ層形成工程での硬化性樹脂の粘度が高くなり、ヘリカル層形成工程での硬化性樹脂の粘度が低くなる。ここで、ヘリカル層は繊維と繊維が交差することによって空隙ができ易い層であるが、硬化性樹脂の粘度を低くすることで繊維と硬化性樹脂を馴染み易くすることができ、空隙を抑制できる。また、フープ層はヘリカル層に締め付けられることにより、繊維に波打ちや緩みが発生し易い層であるが、硬化性樹脂の粘度を高くすることで繊維の波打ちや緩みを抑制することができる。以上によって、複合容器の強度を向上できる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、硬化性樹脂は、熱によって硬化し、フープ層形成工程では、第1の温度条件にて繊維の巻き付けが行われ、ヘリカル層形成工程では、第2の温度条件にて繊維の巻き付けが行われ、第1の温度条件は、第2の温度条件よりも高い温度であってよい。フープ層形成工程における第1の温度条件を、第2の温度条件よりも高い温度とすることで、フープ層形成工程における硬化性樹脂の粘度を高くすることができる。このように、フープ層形成工程とヘリカル層形成工程とで温度条件を変化させることにより、容易に硬化性樹脂の粘度を調整することが可能となる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、第1の温度条件は、硬化性樹脂の粘度が高くなり得る温度であってよい。これによって、硬化性樹脂の粘度を高くした状態でフープ層形成工程を行うことができる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、第2の温度条件は、常温よりも硬化性樹脂の粘度が低くなる温度であってよい。これにより、硬化性樹脂の粘度を低くした状態でヘリカル層形成工程を行うことができる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、第1の温度条件は、80〜150℃であってよい。当該温度範囲とすることで、硬化性樹脂の粘度を高くした状態でフープ層形成工程を行うことができる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、第2の温度条件は、40℃〜80℃であってよい。当該温度範囲とすることで、硬化性樹脂の粘度を低くした状態でヘリカル層形成工程を行うことができる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、硬化性樹脂は、光によって硬化し、フープ層形成工程では、第1の光照射条件にて繊維の巻き付けが行われ、ヘリカル層形成工程では、第2の光照射条件にて繊維の巻き付けが行われ、第1の光照射条件は、第2の光照射条件よりも照射される総光量が多い条件であってよい。フープ層形成工程における第1の光照射条件を、第2の光照射条件よりも照射される総光量が多い条件とすることで、フープ層形成工程における硬化性樹脂の粘度を高くすることができる。このように、フープ層形成工程とヘリカル層形成工程とで光照射条件を変化させることにより、容易に硬化性樹脂の粘度を調整することが可能となる。
本発明に係る複合容器の製造方法において、繊維は、トウプリプレグであってよい。また、繊維は、レジンバス法によって硬化性樹脂が含浸されてよい。
本発明によれば、複合容器の強度を向上できる。
本発明の実施形態に係る製造方法によって作成される複合容器1を示す図である。 レジンバス法で用いられる製造装置の模式的な概念図である。 トウプリプレグを用いてFWを行う製造装置の模式的な概念図である。 本実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置の構成の一例を示す図である。 図1に示すV−V線に沿った断面を模式的に示した図である。 フープ層とヘリカル層を説明するための模式図である。 温度と粘度の関係を示す模式的な粘度曲線である。 変形例に係る製造方法に用いられる製造装置の構成の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る製造方法によって作成される複合容器1を示す図である。図1に示すように、複合容器1は、円筒形状のライナー2と、ライナー2の外面側を覆うように設けられた強化層3と、を備えている。ライナー2の両端部2aはドーム状に形成されており、当該両端部2aの先端には、口金4が取り付けられている。ライナー2の材料は特に限定されないが、用途によって、樹脂製、金属製が選択される。樹脂製のライナー2としては、高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を回転成形やブロー成形にて容器形状に賦形されたものに、金属製の口金4が付けられているものが挙げられる。金属製のライナー2は、例えば、アルミニウム合金製や鋼鉄製等からなるパイプ形状や板形状からスピニング加工等により容器形状を形成したあとで、口金4の形状を形成するものが挙げられる。強化層3は、ライナーに硬化性樹脂が予め含浸された繊維10を巻き付けることによって形成される。強化層3の構造の詳細については後述する。
複合容器1は、特に用途は限定されないが、例えば、水素や天然ガスなどの燃料ガスを高圧で貯蔵するための容器である。複合容器1は、据え置き型として用いられてもよく、移動体に搭載されて用いられてもよい。複合容器1は、例えば、全長が2〜4m、直径が40〜60mm程度に設定され、使用時には、20〜90MPa程度の圧力に耐えることができる。
本実施形態では、繊維10に含浸される硬化樹脂は、熱で硬化する熱硬化性樹脂である。このような熱で硬化する硬化性樹脂の種類としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、熱で硬化する硬化性樹脂の分子構造としては、例えば、エポキシ樹脂の場合、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、熱で硬化する硬化性樹脂に加える硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン等の脂肪族アミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンまたはジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン、ピペリジンまたはジアザピシクロウンデセン等の第一、第三アミン、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
また、本実施形態に用いられる繊維10としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ポリエチレン繊維、スチール繊維、ザイロン繊維、ビニロン繊維等が挙げられるが、特に高強度、高弾性率かつ軽量な炭素繊維を用いてよい。
また、本実施形態の繊維10の繊維数(フィラメント)は、特に制限されるものではないが1000フィラメント〜50000フィラメント、好ましくは3000フィラメント〜30000フィラメントの範囲である。なお、繊維10の繊維数が、1000フィラメントより低いと繊維中に含まれる熱硬化性樹脂の含有量が少なくなる場合があり、50000フィラメントを超えると繊維が太くなり、巻きつけるのが困難になる。
ライナー2に硬化性樹脂が予め含浸された繊維10を巻き付ける方法は特に限定されないが、例えば、FW(フィラメントワインディング)法を採用することができる。FW法には、予め硬化性樹脂を含浸した繊維10を用意し、これをライナー2に巻き付けて成形する方法(DryFW法)と、繊維に低粘度の硬化性樹脂を含浸させながら、ライナー2に巻き付けて成形する方法(Wet FW法)とがある。更にこのWet FW法は、ストランドに低粘度樹脂を含浸させる方法の種類によって、キスタッチ法、浸漬法その他の方法に分類されている。図2及び図3を参照して、ライナー2に硬化性樹脂を含浸させた繊維10を巻き付ける方法の一例について説明する。
図2は、Wet法のうち、レジンバス法で用いられる製造装置100の模式的な概念図を示す。図2に示すように、製造装置100は、繊維10を巻廻した供給部101と、硬化性樹脂102を収納したレジンバス103と、レジンバス103内に回転可能に設けられた回転ロール104と、硬化性樹脂102を含浸させた繊維をライナー2で巻き取るように当該ライナー2を回転する回転機構(不図示)とを有する。
複数の供給部101から供給された繊維10はレジンバス103内へと案内される。レジンバス103内の繊維10は回転ロール104の周縁を案内されながら硬化性樹脂102が含浸される。樹脂含有量調ロール106によって余剰の硬化性樹脂102が搾り取られ、樹脂含有量の調整がなされる。樹脂含有量の調整がなされた繊維10は、巻付張力調整部107により、巻き付け時の張力が調整されながらライナー2に巻き付けられる。
図3は、予め硬化性樹脂が含浸された繊維(トウプリプレグ)を用いてFWを行う、いわゆるDry法で用いられる製造装置200の模式的な概念図を示す。ここで、「トウプリプレグ」とは、繊維束に樹脂を含浸し、半硬化状態としたものを意味する。
製造装置200は、繊維10(トウプリプレグ)を巻廻した供給部201と、巻付張力調整部207と、硬化性樹脂102を含浸させた繊維をライナー2で巻き取るように当該ライナー2を回転する回転機構(不図示)とを有する。
供給部201から供給された繊維10は、すでに硬化性樹脂が含浸されているため、レジンバスを通過することなく、巻付張力調整部207により、巻き付け時の張力が調整されながらライナー2に巻き付けられる。
ここで、本実施形態に係る製造方法では、ライナー2に繊維10を巻き付けているときに、温度制御がなされる。このような温度制御可能な製造装置300のより詳細な構成の一例について図4を参照して説明する。なお、図4では繊維10としてトウプリプレグを用いた場合の構成を例にしているが、レジンバス法を採用してもよい。図4に示すように、製造装置300は、供給部11と、巻付張力調整部12と、速度センサプーリ13と、デリバリーアイ14と、ライナ−2を回転させる駆動部16と、ライナー2を内部から加熱する内部加熱部17と、ライナー2を外部から加熱する外部加熱部18と、温度を検出する温度検出部19と、装置内の各構成要素を制御する制御部20とを有する。
供給部11は、繊維10を供給する装置であり、繊維10が巻廻された複数の供給部11を有する。供給部11からの繊維10の供給速度は制御部20により制御される。巻付張力調整部12及び速度センサプーリ13は供給部11とライナー2との間に配置されている。巻付張力調整部12は、ライナー2に巻き付ける繊維10に所要の巻付張力を付与することができるように構成されており、制御部20によって付与する巻付張力が制御される。速度センサプーリ13は、繊維10の線速度を感知する速度センサである。速度センサプーリ13で検出された繊維10の線速度は、不図示の信号送信器から制御部20に送信される。制御部20は、信号送信器からの信号に基づき、供給部11からの繊維10の供給速度を制御する。すなわち、繊維10の線速度は、速度センサプーリ13により常時測定され、リアルタイムで信号送信器から制御部20にフィードバックされるため、例えば、デリバリーアイ14の折り返し時に速度が低下した際も、あるいは、巻き始めから巻き終わりまでにおけるワインディング成形体の径が変化した場合でも、樹脂供給量が制御され、繊維10に対する樹脂含浸量は終始一定に制御されてFW成形が実施される。デリバリーアイ14は、供給部11から供給された繊維10を集束させ、FWでライナ−2に巻きつける装置であり、ライナ−2の軸方向と平行な方向に往復移動可能に設けられている。繊維10の配向角度は、ライナ−2の回転速度とデリバリーアイ14の移動速度の比により決定される。デリバリーアイ14の移動速度は制御部20により制御される。駆動部16は、ライナー2の口金4を軸として、ライナー2を回転する。駆動部16は、制御部20によって制御される。
内部加熱装置16は、ライナー2を内側から加熱するように構成されており、例えば、ライナー2内に一方の口金4から温風HAを供給し、他方の口金4から排出することによって、ライナー2を内側から加熱できる。なお、内部加熱装置6の構成は特に限定されず、例えばライナー2内にヒータを配置することで加熱してもよい。外部加熱装置18は、ライナー2を外側から加熱するように構成されており、例えば、容器の表面に温風などを供給する(「容器」とは、ライナー2に対して繊維を巻き付けている途中の完成前の複合容器1を示し、「容器の表面」とは、ライナー2の外周面または完成前の途中の状態の強化層3の表面を指すものとして、以下の説明を行う)。なお、外部加熱装置18の構成は特に限定されず、ライナー2の外部にヒータを配置することで加熱してもよい。これにより、加熱部17,18は繊維10を加熱することによって、当該繊維10に含浸された熱硬化する硬化性樹脂の粘度を適切なものに設定することができる。加熱装置17,18は、それぞれ制御部20により制御される。温度検出部19は、例えばサーモカメラなどによって構成されており、容器の表面の温度を取得することができる。温度検出部19は、取得した温度を制御部20へ送信する。なお、温度検出部19は、温度制御が可能となるならば、容器表面のみならず、どこの温度を検出してもよい。
制御部8は、上述したように、速度センサプーリ13及び温度検出部19から各種情報を取得すると共に、供給部11、巻付張力調整部12、デリバリーアイ14、駆動部16、及び加熱装置17,18等を駆動制御する。
次に、強化層3の構成について図5及び図6を参照して説明する。図5は、図1に示すV−V線に沿った断面を模式的に示した図である。図6は、フープ層31とヘリカル層32を説明するための模式図である。図5に示すように、強化層3は、複数のフープ層31と複数のヘリカル層32とを交互に形成することによって構成されている。なお、フープ層31とヘリカル層32の形成の順序は特に限定されない。すなわち、ライナー2上にフープ層31、ヘリカル層32、フープ層31…の順序で形成してもよく、ライナー2上にヘリカル層32、フープ層31、ヘリカル層32…の順序で形成してもよい。
図6(a)に示すように、フープ層31は、ライナー2に対して繊維10を周方向に巻き付けることによって形成される層である。このとき、フープ層31の繊維は、ライナー2の径方向から見たときに、ライナー2の軸線CLと略垂直となるように巻き付けられる。なお、フープ層31を形成するときは、繊維10で容器の外周面を覆うことで一の層(なお、フープ層31やヘリカル層32と区別するため、このような層を「単層」と称して以下の説明を行う)を形成した後、その単層の上に繊維10を巻き付けて更に単層を形成する。このような単層を複数形成することによって、フープ層31が形成される。フープ層31内の単層の数は、1〜10程度に設定される。フープ層31は、主にライナー2を径方向に支持する機能を有する。
図6(b)に示すように、ヘリカル層32は、ライナー2に対して繊維10を傾斜させた状態で周方向に取り囲むように巻き付けることによって形成される層である。このとき、ヘリカル層32の繊維は、ライナー2の径方向から見たときに、ライナー2の軸線CLにたいして傾斜するように巻き付けられる。軸線CLに対する傾斜角は、10〜80°程度に設定される。ヘリカル層32においては、繊維10がライナー2の一方のドーム状の端部2aから他方のドーム状の端部2aにて、たすきがけ状に巻き付けられる。なお、ヘリカル層32を形成するときは、繊維10で容器の外周面を覆うことで一の単層を形成した後、その単層の上に繊維10を巻き付けて更に単層を形成する。このような単層を複数形成することによって、ヘリカル層32が形成される。ヘリカル層32内の単層の数は、2〜20程度に設定される。ヘリカル層32は、主にライナー2を軸方向に支持する機能を有する。
ここで、ヘリカル層32は、繊維10と繊維10とがクロスする部分(例えば、図6(b)でCEで示す部分)を有する。従って、ヘリカル層32は、フープ層31に比して内部に空隙が形成され易い。ヘリカル層32を形成するときの硬化性樹脂の粘度が高い場合、ヘリカル層32の内部に空隙が形成され易くなる。従って、ヘリカル層32を形成するときは、硬化性樹脂の粘度は低い方が好ましい。これによって、繊維10と硬化性樹脂の馴染みが良くなり、空隙を出来にくくすることができる。
これに対して、フープ層31は、径方向において複合容器1を支持できるように、繊維10の波打ちや緩みを少なくする必要がある。複合容器1に耐圧性能を越えて圧力が付与された時は、軸方向の破壊(両端側で破壊)よりも、径方向での破壊が先行することが好ましい。従って、フープ層31が緩みなく巻き付けられることで、フープ層31は複合容器1の径方向の変形による荷重を直ちに付与され、軸方向よりも早く破壊されるようにすることができる。フープ層31を形成するときの硬化性樹脂の粘度が低い場合、ヘリカル層32に締め付けられることで、フープ層31を構成する繊維10に波打ちや緩みが発生し易くなる。従って、フープ層31を形成するときは、硬化性樹脂の粘度は高いことが好ましい。これによって、フープ層31を構成する繊維10の波打ちや緩みを抑制することができる。
以上のような観点から、本実施形態では、フープ層31とヘリカル層32とで、硬化樹脂の粘度を変化させて各層を形成している。フープ層31を形成するフープ層形成工程では、ヘリカル層32を形成するヘリカル層形成工程における条件よりも、硬化樹脂の粘度が高くなる条件にて、繊維10の巻き付けが行われる。
具体的には、フープ層31を形成するフープ層形成工程では、硬化性樹脂の粘度の下限値が、0.3Pa・sとなるような条件を設定することが好ましい。硬化性樹脂の粘度を当該下限値以上とすることによって、フープ層31内の繊維10の波打ちや緩みを抑制することができる。また、フープ層形成工程では、硬化性樹脂の粘度の上限値が、0.3Pa・sとなるような条件を設定することが好ましい。当該上限値より粘度に設定した場合、容器の表面の単層と、新たに巻き付けられる繊維10との硬化性樹脂との粘着性が悪くなる(ただし、既に巻き付けられてフープ層31の内周側に配置される各単層では、完全に硬化していてもよい)。なお、ここで示している粘度は、上層に新しいトウが重なる時における硬化性樹脂の粘度である。
具体的には、ヘリカル層32を形成するヘリカル層形成工程では、硬化性樹脂の粘度の上限値が、0.3Pa・sとなるような条件を設定することが好ましい。硬化性樹脂の粘度を当該上限値以下とすることによって、ヘリカル層32内部の空隙の発生を抑制することができる。また、ヘリカル層形成工程では、硬化性樹脂は材料に応じて可能な範囲で粘度を低くしてよく、硬化性樹脂の粘度の下限値は特に限定されない。なお、ここで示している粘度は、上層に新しいトウが重なる時における硬化性樹脂の粘度である。
本実施形態では、硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を用いているため、フープ層形成工程における温度条件(第1の温度条件)と、ヘリカル層形成工程における温度条件(第2の温度条件)と、を変化させることによって強化層3を形成している。フープ層形成工程における第1の温度条件は、ヘリカル層形成工程における第2の温度条件よりも高い温度である。第1の温度条件でフープ層形成工程に加熱を行うことで、硬化性樹脂を上述で説明したような高い粘度とすることができる。また、第2の温度条件でヘリカル層形成工程に加熱を行うことで、硬化性樹脂を上述で説明したような低い粘度とすることができる。
ここで、図7を参照して、硬化性樹脂の粘度と温度の関係について説明する。図7は、X軸を温度に設定し、Y軸を粘度に設定した、温度と粘度の関係を示す模式的な粘度曲線である。なお、図7はあくまでも説明のための模式的な図であり、実際の粘度曲線とは異なる。図7に示す粘度曲線は、硬化性樹脂を所定の加熱時間、設定された温度で加熱したときの粘度を示しているため、加熱時間が変わると、粘度曲線の態様も変わる。図7に示すように、硬化性樹脂は、加熱することによって、常温よりも粘度が低くなる。更に温度を高くすることで順次粘度が下がってゆく。極小値となる温度T1よりも高い温度で加熱すると温度が高くなるに従って粘度が高くなる。それ以降は完全硬化へ向かって粘度が高くなってゆく。
なお、上述のように、加熱時間が変わると粘度曲線の態様も変わるため、極小値となる温度T1も変わる。加熱時間が長くなると、極小値となる温度T1は低くなり、加熱温度が短くなると、極小値となる温度T1は高くなる。ここで、所定の温度より低い温度の場合は、加熱時間を長く(複合容器1の製造において想定される最長の加熱時間であり、例えば20時間程度である)しても粘度が高くならない。すなわち、硬化性樹脂の加熱温度が当該温度(図7において温度T2で示す)以上である場合は、想定される加熱時間だけ加熱すると、硬化性樹脂の粘度が高くなり得る。このような温度T2以上の温度を、「(加熱時間によって)硬化性樹脂の粘度が高くなり得る温度」とする。
一方、所定の温度(図7において温度T3で示す)以上の場合は、加熱時間を短く(例えば10分程度である)しても直ちに硬化性樹脂の粘度が高くなる。このような温度T3以上の温度を、「(加熱時間によらず)硬化性樹脂の粘度が直ちに高くなる温度」とする。
フープ層31を形成するフープ層形成工程における第1の温度条件は、少なくともヘリカル層形成工程における第2の温度条件よりも高い温度である。第1の温度条件は、第2の温度条件よりも、硬化性樹脂の粘度を高くする温度である。また、第1の温度条件は、常温よりも硬化性樹脂の粘度が高くなる温度である。また、第1の温度条件は、少なくとも、所定の加熱時間において硬化性樹脂の粘度が上昇する温度である(すなわち、図7において、極小値となる温度T1よりも高い温度領域HEにおける温度)。また、第1の温度条件は、硬化性樹脂の粘度が高くなり得る温度であってもよい(すなわち、図7に示す温度T2以上の温度)。ただし、温度T2〜温度T3の間の温度は、加熱時間によっては硬化性樹脂の温度が低くなる場合があるため、第1の温度条件は、硬化性樹脂の粘度が直ちに高くなる温度であってもよい(すなわち、図7に示す温度T3以上の温度)。なお、過剰に熱が供給されることを防止するため、第1の温度条件は、硬化性樹脂が直ちに(10分程度)完全硬化する温度以下とすることが好ましい。
なお、第1の温度条件による加熱時間(フープ層形成工程の開始から終了までの時間)は、10分〜2時間である。なお、フープ層32の一の単層に対する加熱時間(一の単層を形成するのに要する時間)は、1分〜5分である。なお、フープ層形成工程では、繊維を巻き付けている最中は第1の温度条件以外の温度条件に設定しておき、巻き付けが終了した後、第1の温度条件で所定時間、保持してもよい。あるいは、繊維を巻き付けている最中も第1の温度条件で加熱してもよい(このとき、巻き付け終了後に、第1の温度条件で所定時間保持してもよく、保持することなく次のヘリカル層形成工程へ移行してもよい)。
第1の温度条件は、硬化性樹脂の材料によって好適な範囲が変わるため、上述のような条件を満たす温度を適宜選択して設定する。なお、具体的な第1の温度条件を例示すると、例えば、硬化性樹脂材料としてエポキシ樹脂を採用した場合、第1の温度条件の下限値は、80℃、90℃に設定されることが好ましく、上限値は、150℃、130℃に設定されることが好ましい。例えば、フェノール樹脂を採用した場合、第1の温度条件の下限値は、130℃、140℃に設定されることが好ましく、上限値は、170℃、150℃に設定されることが好ましい。
ヘリカル層32を形成するヘリカル層形成工程における第2の温度条件は、少なくともフープ層形成工程における第1の温度条件よりも低い温度である。第2の温度条件は、第1の温度条件よりも、硬化性樹脂の粘度を低くする温度である。また、第2の温度条件は、常温よりも硬化性樹脂の粘度が低くなる温度である。また、第2の温度条件は、少なくとも、所定の加熱時間において硬化性樹脂の粘度が下降する温度である(すなわち、図7において、極小値となる温度T1以下の温度領域LEにおける温度)。また、第2の温度条件は、(加熱時間によっては)直ちに硬化性樹脂の粘度が高くならない温度であってもよい(すなわち、図7に示す温度T3より低い温度)。ただし、温度T2〜温度T3の間の温度は、加熱時間によっては硬化性樹脂の温度が低くなる場合があるため、第2の温度条件は、(加熱時間によらず)硬化性樹脂の粘度が高くならない温度であってもよい(すなわち、図7に示す温度T2より低い温度)。
なお、第2の温度条件による加熱時間(ヘリカル層形成工程の開始から終了までの時間)は、10分〜2時間である。なお、フープ層32の一の単層に対する加熱時間(一の単層を形成するのに要する時間)は、1分〜10分である。
第2の温度条件は、硬化性樹脂の材料によって好適な範囲が変わるため、上述のような条件を満たす温度を適宜選択して設定する。なお、具体的な第2の温度条件を例示すると、例えば、硬化性樹脂材料としてエポキシ樹脂を採用した場合、第2の温度条件の下限値は、常温、40℃、50℃に設定されることが好ましく、上限値は、80℃、90℃に設定されることが好ましい。また、例えば、硬化性樹脂材料としてフェノール樹脂を採用した場合、第2の温度条件の下限値は、40℃、50℃に設定されることが好ましく、上限値は、90℃、100℃に設定されることが好ましい。なお、第2の温度条件を常温とする場合は、容器の加熱を行わずにヘリカル層形成工程を行う。ただし、ヘリカル層形成工程における硬化性樹脂の粘度を下げるために、加熱を行うことがより好ましい。
次に、本実施形態に係る複合容器1の製造方法について説明する。ここでは、図4に示す製造装置300を用いて複合容器1を製造する場合を例にして説明する。ただし、当該製造方法に限定されるものではない。
まず、ライナー2を駆動部16にセットして所定の回転速度(10rpm〜45rpm)にて回転させる。温度検出部19で温度を検出しながら、加熱装置17,18でライナー2を加熱する(なお、出力が足りるならば、加熱装置17,18の一方のみで加熱してもよい)。ライナー2の表面が設定された第1の温度条件となったら、供給部11から繊維10を供給しながらライナー2に巻き付けることでフープ層31を形成する(フープ層形成工程)。これによって、硬化性樹脂が高い粘度となった状態で、フープ層31が形成される。なお、一層分のフープ層31が完成した後、所定時間保持して、第1の温度条件での加熱を継続することで、フープ層31の硬化性樹脂を硬化させてもよい。または、フープ層31が完成した後、直ちに外部加熱装置18を停止し、ヘリカル層形成工程へ移行してもよい。
次に、温度検出部19で温度を検出しながら、設定された第2の温度条件とする。このとき、容器を加熱装置17,18の一方のみで加熱してもよく、加熱装置17,18を組み合わせて用いてもよい(ただし、フープ層形成工程の時より出力は低い)。容器の表面が設定された第2の温度条件となったら、供給部11から繊維10を供給しながらライナー2に巻き付けることでヘリカル層32を形成する(ヘリカル層形成工程)。これによって、硬化性樹脂が低い粘度となった状態で、ヘリカル層32が形成される。
その後、フープ層形成工程、ヘリカル層形成工程を上述と同様な方法にて繰り返し実行する。所望の数のフープ層31及びヘリカル層32が形成されたら、複合容器1全体を硬化炉に入れて強化層3全体を硬化させてよい。あるいは、フープ層形成工程を実行しているときに強化層3の硬化を同時に行ってもよく(フープ層形成工程での温度や加熱時間を調整することで、フープ層31を完全硬化させると共に、ヘリカル層32も完全硬化させる)、その場合は硬化炉で硬化する工程を省略できる。
次に、本実施形態に係る複合容器1の製造方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る複合容器1の製造方法では、フープ層31を形成するフープ層形成工程における条件は、ヘリカル層32を形成するヘリカル層形成工程における条件よりも、繊維10に含浸された硬化性樹脂の粘度が高くなる条件である。すなわち、フープ層形成工程での硬化性樹脂の粘度が高くなり、ヘリカル層形成工程での硬化性樹脂の粘度が低くなる。ここで、ヘリカル層32は繊維10と繊維10が交差することによって空隙ができ易い層であるが、硬化性樹脂の粘度を低くすることで繊維10と硬化性樹脂を馴染み易くすることができ、空隙を抑制できる。また、フープ層31はヘリカル層32に締め付けられることにより、繊維10に波打ちや緩みが発生し易い層であるが、硬化性樹脂の粘度を高くすることで繊維10の波打ちや緩みを抑制することができる。以上によって、複合容器1の強度を向上できる。
本実施形態に係る複合容器1の製造方法において、硬化性樹脂は、熱によって硬化し、フープ層形成工程では、第1の温度条件にて繊維10の巻き付けが行われ、ヘリカル層形成工程では、第2の温度条件にて繊維10の巻き付けが行われる。また、第1の温度条件は、第2の温度条件よりも高い温度である。フープ層形成工程における第1の温度条件を、第2の温度条件よりも高い温度とすることで、フープ層形成工程における硬化性樹脂の粘度を高くすることができる。このように、フープ層形成工程とヘリカル層形成工程とで温度条件を変化させることにより、容易に硬化性樹脂の粘度を調整することが可能となる。
本実施形態に係る複合容器1の製造方法において、第1の温度条件は、硬化性樹脂の粘度が高くなり得る温度であってよい。これによって、硬化性樹脂の粘度を高くした状態でフープ層形成工程を行うことができる。
本実施形態に係る複合容器1の製造方法において、第2の温度条件は、常温よりも硬化性樹脂の粘度が低くなる温度であってよい。これにより、硬化性樹脂の粘度をより低くした状態でヘリカル層形成工程を行うことができる。
本実施形態に係る複合容器1の製造方法において、第1の温度条件は、80〜150℃であってよい。当該温度範囲とすることで、硬化性樹脂の粘度を高くした状態でフープ層形成工程を行うことができる。
本実施形態に係る複合容器1の製造方法において、第2の温度条件は、40℃〜80℃であってよい。当該温度範囲とすることで、硬化性樹脂の粘度を低くした状態でヘリカル層形成工程を行うことができる。
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、上述の実施形態では硬化性樹脂に熱を与えることによって硬化させていたが、光を照射することによって硬化させてもよい。
図8は、光によって硬化性樹脂を硬化させる場合に用いられる製造装置400の一例を示している。図8に示すように、製造装置400は、図4に示す製造装置300の加熱装置17,18及び温度検出部19に代えて、光照射部48を有している。光照射部48は、ライナー2上全体に均一に光が当たるようにすると、ライナー2が回転するたびに硬化部分に均一に当たるため望ましい。また、光源はライナー2に対して一方向ではなく、ライナー2の直径方向に対して複数の角度で照射してもよい。
本実施形態において、フープ層形成工程では、第1の光照射条件にて繊維の巻き付けが行われ、ヘリカル層形成工程では、第2の光照射条件にて繊維の巻き付けが行われる。第1の光照射条件は、第2の光照射条件よりも照射される総光量が多い条件である。フープ層形成工程における総光量を多くすることで、フープ層形成工程における硬化性樹脂の粘度を、ヘリカル層形成工程よりも高くすることができる。なお、各工程における、好適な硬化性樹脂の粘度範囲は、熱硬化性の硬化性樹脂を用いた場合と同様の範囲を設定可能であり、そのような粘度となるように総光量を調整する。なお、総光量を変化させる場合、ライナー2の回転速度を一定とし、フープ層形成工程のときの光照射部48の出力をヘリカル層形成工程よりも高くすることで容器に照射される総光量を多くしてもよい。または、光照射部48の出力を一定とし、フープ層形成工程のときのライナー2の回転速度をヘリカル層形成工程よりも遅くすることで容器に照射される総光量を多くしてもよい。または、ライナー2の回転速度と光照射部48の出力の両方を調整してもよい。
本実施形態において、硬化に用いられる光照射部48の露光光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ及びレーザー光線等が挙げられるが、300nm〜400nm付近の紫外線を放射する高圧水銀灯、超高圧水銀灯又はメタルハライドランプを光源とした露光装置を用いることが好ましい。これらの光照射の条件は、4000〜8000mJ/cm2 、好ましくは5000〜6500mJ/cm2 である。
本実施形態で用いる光硬化性の硬化性樹脂は、主成分としてエポキシ樹脂の硬化性樹脂を含む。使用できるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、ナフタレン型樹脂、ビフェニル型樹脂、グリシジルアミン型樹脂、ジシクロペンタジエン型樹脂、フェノールノボラック型樹脂、脂環式エポキシ樹脂、上記エポキシ樹脂のプレポリマー、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
本実施形態で用いる光硬化性の硬化性樹脂は、光重合開始剤(光硬化剤)を含む。光重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生する光カチオン重合開始剤、又は光照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤のいずれであってもよいし、併用してもよい。使用できる光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレン錯体化合物、ピリジニウム、アルミニウム錯体/シラノール塩、ハロゲン化アルキル置換トリアジン誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、ベンゼンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、メタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また使用量としては、硬化性樹脂(c)100重量部に対して1重量部以上、20重量部以下が好ましい。
本実施形態においては、硬化性樹脂と光重合開始剤のほかに任意の成分を配合することができる。一般的な有機・無機フィラーや酸化防止剤、着色剤のほかに、必要に応じて保持安定剤等を使用することができる。
以下に実施例を説明する。但し、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[比較例1]
比較例1では、硬化性樹脂が含浸された繊維としてトウプリプレグを用いた。繊維に含浸させる硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂50重量部、及び、ビスフェノールF型エポキシ樹脂50重量部に、ジシアンジアミド(DICY)18重量部、及び、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチルウレア(DCMU)9重量部を混合した組成物を用いた。この組成物を東レ(株)製炭素繊維T800SCの24000フィラメントに含浸し、ボビンに巻取り、樹脂含有率29%のトウプリプレグとした。
上述のトウプリプレグを55Lのアルミ製のライナーにフィラメントワインディング(FW)した。フープ層形成工程における回転数を45rpmとし、張力を40Nとし、6層の単層を形成することで一層のフープ層とした。ヘリカル層形成工程における回転数を30rpmとし、張力を40Nとし、10層の単層を形成することで一層のヘリカル層とした。このようなフープ層及びヘリカル層を交互に形成し、フープ層とヘリカル層で合計60層とした。温度条件は、フープ層形成工程及びヘリカル層形成工程の両方において加熱は行わず、常温とした。繊維の巻き付けが完了したら、硬化炉に複合容器を入れて加熱し、硬化性樹脂を完全硬化させた。
[比較例2]
比較例2では、レジンバス法を用いて繊維に硬化性樹脂を含浸させたこと以外は、比較例1と同様な条件とした。比較例2で用いた硬化性樹脂の常温における粘度は、比較例1で用いた硬化性樹脂の常温における粘度よりも低かった。なお、比較例2の硬化性樹脂の常温における粘度は、比較例1の硬化性樹脂の40〜45℃のときの粘度に相当する。なお、比較例2と比較例1の硬化性樹脂の種類は異なっているが、硬化性樹脂の材料の違いによる強度への影響は少ない。
比較例2で用いた繊維に含浸させる硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂80重量部、及び、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン20重量部に、ジシアンジアミド(DICY)18重量部、及び、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチルウレア(DCMU)9重量部を混合した組成物を用いた。この組成物をレジンバスに投入した。東レ(株)製炭素繊維T800SCの24000フィラメントを用いた。温度条件は、フープ層形成工程及びヘリカル層形成工程の両方において加熱は行わず、常温とした。
[比較例3]
比較例3では、繊維を巻き付けながら加熱することで、巻き付けと硬化性樹脂の硬化を同時に行ったこと以外は、比較例1と同様な条件とした。
温度条件は、フープ層形成工程及びヘリカル層形成工程の両方において同様な温度条件にて加熱を行った(なお、内部加熱及び外部加熱の両方を行った)。温度条件は、容器の表面が100〜120℃となるように加熱した(なお、FW前にライナーの表面が120℃となるように加熱装置の出力を設定し、出力を一定にした状態でFWを行ったため、容器の表面の温度には変動がある)。繊維の巻き付けが完了したら、硬化炉に複合容器を入れて加熱し、硬化性樹脂を完全硬化させた。
[実施例]
実施例では、フープ層形成工程と、ヘリカル層形成工程とで、温度条件を変更して加熱したこと以外は、比較例1と同様な条件とした。
フープ層形成工程では、容器の表面が40℃で一定になるように内部加熱装置と外部加熱装置を制御して加熱した。また、一層のフープ層の形成が完了したら、110℃で20分保持した。これにより、硬化性樹脂を完全硬化させた。ヘリカル層形成工程では、容器の表面が40℃で一定になるように内部加熱装置を制御して加熱した。繊維の巻き付けが完了したら、硬化炉に複合容器を入れて加熱し、硬化性樹脂を完全硬化させた。
(外観観察)
各複合容器の横断面の外観を、軸方向から観察した。ヘリカル層形成工程において硬化性樹脂の粘度の高い比較例3に係る複合容器が、最もヘリカル層の空隙が多くなった。ヘリカル層形成工程において硬化性樹脂の粘度が最も低い比較例2に係る複合容器が、最もヘリカル層の空隙が少なかった。実施例に係る複合容器も低い粘度にてヘリカル層形成工程を行ったため、ヘリカル層の空隙が少なかった。
1…複合容器、2…ライナー、3…強化層、4…口金、31…フープ層、32…ヘリカル層、100,200,300,400…製造装置。

Claims (9)

  1. 容器を形作るライナーに硬化性樹脂が予め含浸された繊維を巻き付けることによって、強化層を備えた複合容器を製造する複合容器の製造方法であって、
    前記ライナーに前記繊維を巻き付けることによってフープ層を形成するフープ層形成工程と、
    前記ライナーに前記繊維を巻き付けることによってヘリカル層を形成するヘリカル層形成工程と、を備え、
    複数の前記フープ層と複数の前記ヘリカル層とは、径方向に沿って交互に存在し、
    複数の前記フープ層と複数の前記ヘリカル層とが交互に存在する箇所において、前記フープ層形成工程における条件は、前記ヘリカル層形成工程における条件よりも、前記硬化性樹脂の粘度が高くなる条件である、複合容器の製造方法。
  2. 前記硬化性樹脂は、熱によって硬化し、
    前記フープ層形成工程では、第1の温度条件にて前記繊維の巻き付けが行われ、
    前記ヘリカル層形成工程では、第2の温度条件にて前記繊維の巻き付けが行われ、
    前記第1の温度条件は、前記第2の温度条件よりも高い温度である、請求項1に記載の複合容器の製造方法。
  3. 前記第1の温度条件は、前記硬化性樹脂の粘度が高くなり得る温度である、請求項2に記載の複合容器の製造方法。
  4. 前記第2の温度条件は、常温よりも前記硬化性樹脂の粘度が低くなる温度である、請求項2又は3に記載の複合容器の製造方法。
  5. 前記第1の温度条件は、80〜150℃である、請求項2〜4の何れか一項に記載の複合容器の製造方法。
  6. 前記第2の温度条件は、40℃〜80℃である、請求項2〜5の何れか一項に記載の複合容器の製造方法。
  7. 前記硬化性樹脂は、光によって硬化し、
    前記フープ層形成工程では、第1の光照射条件にて前記繊維の巻き付けが行われ、
    前記ヘリカル層形成工程では、第2の光照射条件にて前記繊維の巻き付けが行われ、
    前記第1の光照射条件は、前記第2の光照射条件よりも照射される総光量が多い条件である、請求項1に記載の複合容器の製造方法。
  8. 前記繊維は、トウプリプレグである、請求項1〜7の何れか一項に記載の複合容器の製造方法。
  9. 前記繊維は、レジンバス法によって前記硬化性樹脂が含浸される、請求項1〜7の何れか一項に記載の複合容器の製造方法。
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