JP2011136343A - ダイカスト用金型およびダイカスト方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無孔性ダイカスト法において、ダイカスト用金型の金型寿命をより長くさせることができるとともに、高品位な鋳造品を製造することを目的とする。
【解決手段】溶融金属をランナー14、15からゲート17、18を介して、活性ガスが充填されたキャビティ19に圧入させて製品を鋳造するためのダイカスト用金型10であって、前記ゲート17、18は、前記ランナー14、15から繋がるピンゲート17aと、前記ピンゲート17aから前記キャビティ19に繋がり前記キャビティ19に向かうに従って幅広に形成されたファンゲート18aとを有する。
【選択図】図1
【解決手段】溶融金属をランナー14、15からゲート17、18を介して、活性ガスが充填されたキャビティ19に圧入させて製品を鋳造するためのダイカスト用金型10であって、前記ゲート17、18は、前記ランナー14、15から繋がるピンゲート17aと、前記ピンゲート17aから前記キャビティ19に繋がり前記キャビティ19に向かうに従って幅広に形成されたファンゲート18aとを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ダイカスト用金型およびダイカスト方法に関するものである。特に、活性ガスが充填されたキャビティに溶融金属を圧入させて鋳造する無孔性ダイカスト法に用いられて好適である。
近年、鋳造して製品を得るダイカスト製法において、高品位の製品を鋳造することができる製造方法として、無孔性ダイカスト法が知られている(例えば、特許文献1参照)。無孔性ダイカスト法では、溶融した金属(溶湯)を活性ガスが充填されたキャビティに圧入させて鋳造する。このように鋳造することで、キャビティ内に充填された活性ガスが、溶湯と反応を起こし、キャビティ内が減圧状態となり、気孔の少なく、耐圧性に優れた製品が完成する。
ここで、関連実施形態として無孔性ダイカスト法に用いられるダイカスト用金型について図5および図6を参照して説明する。ダイカスト用金型40は、固定型41と可動型42とから構成されている。
図5は、可動型42を固定型41が密接する側から見た図である。図6は、図5のII−II線を矢印方向から見た拡大断面図であって、さらに固定型41を密接させた状態の図である。
図5は、可動型42を固定型41が密接する側から見た図である。図6は、図5のII−II線を矢印方向から見た拡大断面図であって、さらに固定型41を密接させた状態の図である。
図5に示すように、ダイカスト用金型40の可動型42は、ビスケット部43と、主ランナー44と、枝ランナー45と、湯溜め部46と、ピンゲート47と、キャビティ48とを含んで構成されている。なお、ダイカスト用金型40では、2つの製品を一度に鋳造することができるように、2つのキャビティ48が設けられている。また、固定型41も略同様に構成されている。
製品を鋳造するときは、図6に示すように、固定型41に可動型42を密接させた状態で、キャビティ48内に活性ガスを充填させる。その後、溶湯をビスケット部43から各ランナー44、45およびピンゲート47を介してキャビティ48に圧入させて、充填させる。
製品を鋳造するときは、図6に示すように、固定型41に可動型42を密接させた状態で、キャビティ48内に活性ガスを充填させる。その後、溶湯をビスケット部43から各ランナー44、45およびピンゲート47を介してキャビティ48に圧入させて、充填させる。
無孔性ダイカスト法では、活性ガスと溶湯との反応を十分に確保するために、溶湯をキャビティ48内に勢いよく噴霧させることが必要である。したがって、図5および図6に示すダイカスト用金型40では、キャビティ48に直近するピンゲート47は、例えば断面円形状のゲートにし、溶湯がピンゲート47を通過する速度を70〜100m/sになるように設計されている。このように、ピンゲート47を設計することで、溶湯がキャビティ48内で勢いよく噴霧され、活性ガスとの反応性が向上し、無孔性の製品を鋳造することができる。
しかしながら、溶湯がピンゲート47を通過する速度を高速にすることにより、また、溶湯と活性ガスとが反応するときに発生する反応熱も加わり、ピンゲート47の金型溶損が激しく発生してしまう。したがって、通常のダイカスト製法では例えば10万ショットを鋳造することができるのに対して、無孔性ダイカスト法では例えば6万ショットしか鋳造することができず、金型の寿命が短くなってしまうという問題がある。すなわち、無孔性ダイカスト法で鋳造した製品では、コスト上昇の一要因となってしまう。
また、図5および図6に示すダイカスト用金型40では、溶湯がピンゲート47を通過してキャビティ48内に噴霧されるときに、図5の破線矢印に示すように、溶湯同士が衝突して干渉し合い、乱流を引き起こし、溶湯が均一分散されないという問題がある。
また、図5および図6に示すダイカスト用金型40では、溶湯がピンゲート47を通過してキャビティ48内に噴霧されるときに、図5の破線矢印に示すように、溶湯同士が衝突して干渉し合い、乱流を引き起こし、溶湯が均一分散されないという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、無孔性ダイカスト法において、ダイカスト用金型の金型寿命をより長くさせることができるとともに、高品位な製品を鋳造することを目的とする。
本発明に係るダイカスト用金型は、溶融金属をランナーからゲートを介して、活性ガスが充填されたキャビティに圧入させて製品を鋳造するためのダイカスト用金型であって、前記ゲートは、前記ランナーから繋がるピンゲートと、前記ピンゲートから前記キャビティに繋がり前記キャビティに向かうに従って幅広に形成されたファンゲートとを有することを特徴とする。
また、前記溶融金属が前記ピンゲートを通過するゲート速度を略50m/sになるようにしたことを特徴とする。
また、前記ピンゲートの断面積と、前記ファンゲートにおける前記キャビティ直近の断面積と、を略同一にしたことを特徴とする。
また、前記ピンゲートは、前記ファンゲートの幅方向に沿って、複数設けられていることを特徴とする。
また、前記溶融金属が前記ピンゲートを通過するゲート速度を略50m/sになるようにしたことを特徴とする。
また、前記ピンゲートの断面積と、前記ファンゲートにおける前記キャビティ直近の断面積と、を略同一にしたことを特徴とする。
また、前記ピンゲートは、前記ファンゲートの幅方向に沿って、複数設けられていることを特徴とする。
本発明に係る無孔性ダイカスト方法は、溶融金属をランナーからゲートを介して、活性ガスが充填されたキャビティに圧入させて製品を鋳造する無孔性ダイカスト方法であって、前記溶融金属を、前記ランナーから繋がるピンゲートと、前記ピンゲートから前記キャビティに繋がり前記キャビティに向かうに従って幅広に形成されるファンゲートとを介して、前記キャビティに圧入させることを特徴とする。
本発明によれば、無孔性ダイカスト法において、ダイカスト用金型の金型寿命を長くすることができるとともに、高品位な製品を鋳造することができる。
本発明は、ダイカスト法で鋳造する技術に関するものであり、以下、その実施形態を説明する。図4は、無孔性ダイカスト法のダイカスト装置50の概要を示す図である。無孔性ダイカスト法は、ダイカスト装置50が溶湯51を注湯する前にダイカスト用金型10のキャビティ19内へ活性ガス導入管53から活性ガスとしての酸素を供給し、その後、溶湯51を射出プランジャ54にて圧入する方式である。
次に、本実施形態に係る無孔性ダイカスト法に用いられるダイカスト用金型について、図1および図2を参照して説明する。ダイカスト用金型10は、固定型11と可動型12とから構成されている。
図1は、可動型12を固定型11が密接する側から見た図である。図2は、図1のI−I線を矢印方向から見た拡大断面図であって、さらに固定型11を密接させた状態の図である。
図1は、可動型12を固定型11が密接する側から見た図である。図2は、図1のI−I線を矢印方向から見た拡大断面図であって、さらに固定型11を密接させた状態の図である。
図1に示すように、ダイカスト用金型10の可動型12は、ビスケット部13と、主ランナー14と、枝ランナー15と、湯溜め部16と、第1のゲート17と、第2のゲート18と、キャビティ19とを含んで構成されている。
本実施形態のダイカスト用金型10は、2つの製品を一度に鋳造することができるように、2つのキャビティ19が設けられている。キャビティ19は、例えば内燃機関に用いられる円柱状のピストンを鋳造できるように形成されている。
本実施形態のダイカスト用金型10は、2つの製品を一度に鋳造することができるように、2つのキャビティ19が設けられている。キャビティ19は、例えば内燃機関に用いられる円柱状のピストンを鋳造できるように形成されている。
また、本実施形態に係るダイカスト用金型10の固定型11にも、可動型12の構成部と同様のビスケット部13、主ランナー14、枝ランナー15、湯溜め部16、第1のゲート17、第2のゲート18およびキャビティ19が形成されている。各構成部は、固定型11と可動型12とが密接されることにより外部と遮断され、溶湯が充填可能となる。
ビスケット部13は、図4で説明した射出プランジャ54が溶湯を圧入したときに射出プランジャ54の先端に位置する部分である。
主ランナー14および枝ランナー15は、ビスケット部13から各キャビティ19に溶湯を流し込むための通路である。ここでは、枝ランナー15は、主ランナー14から分岐しているが、キャビティ19の数に合わせて適宜分岐の数を変更することができる。なお、キャビティ19の数が一つの場合、枝ランナー15を省略することができる。
主ランナー14および枝ランナー15は、ビスケット部13から各キャビティ19に溶湯を流し込むための通路である。ここでは、枝ランナー15は、主ランナー14から分岐しているが、キャビティ19の数に合わせて適宜分岐の数を変更することができる。なお、キャビティ19の数が一つの場合、枝ランナー15を省略することができる。
湯溜め部16は、枝ランナー15から流入した溶湯の流れを整える。
第1のゲート17は、枝ランナー15から湯溜め部16を介して第2のゲート18に繋がっている。第1のゲート17は、枝ランナー15よりも断面積が小さく断面形状が円形状または略円形状に形成された、いわゆるピンゲート17aである。ピンゲート17aは、各キャビティ19に対して2つ並列に配設されている。ピンゲート17aは、溶湯を噴霧状に射出させることができる。なお、断面積とは、溶湯の流動方向に対して直交する方向に切断したときの断面積である。
第1のゲート17は、枝ランナー15から湯溜め部16を介して第2のゲート18に繋がっている。第1のゲート17は、枝ランナー15よりも断面積が小さく断面形状が円形状または略円形状に形成された、いわゆるピンゲート17aである。ピンゲート17aは、各キャビティ19に対して2つ並列に配設されている。ピンゲート17aは、溶湯を噴霧状に射出させることができる。なお、断面積とは、溶湯の流動方向に対して直交する方向に切断したときの断面積である。
また、本実施形態の各ピンゲート17aは、溶湯がピンゲート17aを通過する速度(ゲート速度)が、関連実施形態よりも遅くなるような断面積に設定されている。具体的には、ゲート速度を略50m/sまたは50m/s以下になるように設定されている。このようにゲート速度を低速にするピンゲート17aを形成することで、溶湯の流速が遅くなりピンゲート17aの金型溶損を抑制することができる。
一方、ピンゲート17aから射出される溶湯の速度が遅くなることで、キャビティ19内での溶湯と活性ガスとの間の反応が低下しないように、ピンゲート17aとキャビティ19との間に第2のゲート18を形成している。
第2のゲート18は、第1のゲート17からキャビティ19に繋がっている。第2のゲート18は、溶湯の流動方向に対して直交する方向から見たとき、図1に示すように幅広(図1において上下方向)に形成されている。具体的には、第2のゲート18は、キャビティ19に向かうにしたがって徐々に幅広になるような扇形形状に形成された、いわゆるファンゲート18aである。本実施形態のファンゲート18aは、2つのピンゲート17aが並列に配設された方向と同方向に幅広な形状である。
第2のゲート18は、第1のゲート17からキャビティ19に繋がっている。第2のゲート18は、溶湯の流動方向に対して直交する方向から見たとき、図1に示すように幅広(図1において上下方向)に形成されている。具体的には、第2のゲート18は、キャビティ19に向かうにしたがって徐々に幅広になるような扇形形状に形成された、いわゆるファンゲート18aである。本実施形態のファンゲート18aは、2つのピンゲート17aが並列に配設された方向と同方向に幅広な形状である。
また、図2に示すように、ファンゲート18aは、ピンゲート17aに近接している部分が、厚み方向を広くした膨らみ部18bを有している。さらに、ファンゲート18aの厚みは、キャビティ19に向かうにしたがって徐々に薄くなるように形成されている。
このファンゲート18aは、ピンゲート17aによって噴霧状に射出された溶湯をキャビティ19内で均一に分散させることができる。したがって、関連実施形態よりも射出される溶湯のゲート速度が遅くなったとしても噴霧状の溶湯がキャビティ19内で均一に分散されるために、充填された活性ガスとの間で十分な反応性を確保することができる。なお、ファンゲートは、例えば特許文献2に開示されているが、無孔性ダイカスト法に用いられるものではない。すなわち、本実施形態のように溶湯のゲート速度を遅くし溶湯と活性ガスとの反応が低下するのを防止する、というために形成されたものではない。
このファンゲート18aは、ピンゲート17aによって噴霧状に射出された溶湯をキャビティ19内で均一に分散させることができる。したがって、関連実施形態よりも射出される溶湯のゲート速度が遅くなったとしても噴霧状の溶湯がキャビティ19内で均一に分散されるために、充填された活性ガスとの間で十分な反応性を確保することができる。なお、ファンゲートは、例えば特許文献2に開示されているが、無孔性ダイカスト法に用いられるものではない。すなわち、本実施形態のように溶湯のゲート速度を遅くし溶湯と活性ガスとの反応が低下するのを防止する、というために形成されたものではない。
また、本実施形態のダイカスト用金型10では、各キャビティ19において、ピンゲート17aの全断面積と、ファンゲート18aにおけるキャビティ19直近の断面積(ファンゲート18aとキャビティ19との境界18cの境界面積)とが略一致するように形成されている。したがって、溶湯がピンゲート17aを通過するゲート速度と、溶湯がファンゲート18aからキャビティ19内に射出される速度とを略同速度にすることができ、溶湯と活性ガスとの間の反応性が確保されると共に、ファンゲート18aの金型溶損を抑制することができる。
なお、図示を省略しているが、本実施形態のダイカスト用金型10では、ピンゲート17aの金型溶損が発生した場合に取り替えられるようにダイカスト用金型10に対してピンゲート17aの部位が入れ子状に構成されている。したがって、ピンゲート17aの金型溶損が発生した場合には、入れ子を取り替えるだけでよく、取り替えの利便性を向上させている。ただし、ピンゲート17aは、ダイカスト用金型10に直に形成してもよい。また、ピンゲート17aに限られず、ファンゲート18a、キャビティ19を入れ子状にしてもよい。
また、キャビティ19は、内燃機関用のピストンを鋳造する形状にしているが、所望する製品に応じた形状に形成される。所望する製品に合わせたキャビティに形成した場合、ファンゲート18aは、そのキャビティの大きさに合わせて幅広にして、溶湯がキャビティ19内全体に行き渡らせるようにする。
また、キャビティ19は、内燃機関用のピストンを鋳造する形状にしているが、所望する製品に応じた形状に形成される。所望する製品に合わせたキャビティに形成した場合、ファンゲート18aは、そのキャビティの大きさに合わせて幅広にして、溶湯がキャビティ19内全体に行き渡らせるようにする。
次に、ダイカスト装置50が上述したダイカスト用金型10を用いて製品を鋳造する動作について説明する。ダイカスト装置50は、キャビティ19内へ射出スリーブ52に設けてある活性ガス導入管53から酸素を供給し、その後、溶湯51を射出プランジャ54にて圧入する。
溶湯は、ダイカスト用金型10のビスケット部13、主ランナー14、枝ランナー15および湯溜め部16を経て各ピンゲート17aに流入する。
溶湯は、ダイカスト用金型10のビスケット部13、主ランナー14、枝ランナー15および湯溜め部16を経て各ピンゲート17aに流入する。
各ピンゲート17aに流入された溶湯は、それぞれ設定されたゲート速度50m/sで通過していき、ファンゲート18aに射出される。このとき、溶湯がファンゲート18aの膨らみ部18bに流入すると、膨らみ部18b内で溶湯が噴霧状に拡散する。膨らみ部18b内の噴霧状の溶湯は、ファンゲート18aの徐々に幅広となる形状に合わせ、キャビティ19に向かって拡開しながら流れが整えられ、キャビティ19内で図1の破線矢印で示すように均一に拡散して、充填される。このとき、キャビティ19内に充填された活性ガスと、キャビティ19内で均一に拡散された噴霧状の溶湯が反応しながら、キャビティ19内に溶湯が充填されていく。このように、均一に拡散された噴霧状の溶湯が満遍なく活性ガスと反応できるために、キャビティ19内で鋳造される製品は残留ガス量が非常に少ない高品位なものである。
図3は、ダイカスト用金型10で鋳造された製品を示す図である。ダイカスト用金型10によって製品30は、ダイカスト用金型10のビスケット部13、ランナー14、15、湯溜め部16、ゲート17、18およびキャビティ19の凹凸と逆の形状に鋳造される。キャビティ19によって鋳造された製品素材部32と、ファンゲート18aによって鋳造されたファンゲート部31との間の境界で切断(堰折作業)することで、キャビティ19によって鋳造された製品素材部32が製品として、後工程に移される。
(実施例)
次に、上述したダイカスト用金型のピンゲートの断面積およびファンゲートの形状を具体的に設計する場合について以下に例を挙げて説明する。
(1)鋳造条件
本実施例では、以下に示すような条件で製品を鋳造するものとする。
(a)射出プランジャのチップ径Φt=60mm
(b)射出プランジャのチップ面積St=π×(Φt/2)2=2826mm2
(c)射出プランジャの射出速度Vhp=1.942m/s
(d)活性ガスとして酸素を使用する。
次に、上述したダイカスト用金型のピンゲートの断面積およびファンゲートの形状を具体的に設計する場合について以下に例を挙げて説明する。
(1)鋳造条件
本実施例では、以下に示すような条件で製品を鋳造するものとする。
(a)射出プランジャのチップ径Φt=60mm
(b)射出プランジャのチップ面積St=π×(Φt/2)2=2826mm2
(c)射出プランジャの射出速度Vhp=1.942m/s
(d)活性ガスとして酸素を使用する。
(2)ピンゲートの断面積
上述した(1)鋳造条件にて、溶湯がピンゲートを通過するゲート速度Vgを50m/sになるように、ピンゲート径Φpを算出する。
まず、ゲート速度Vgと射出プランジャの射出速度Vhpとの比は、ピンゲート断面積Spと射出プランジャのチップ面積Stとの逆比となるために、次の計算式が成り立つ。
Vg=St/(Sp×n)×Vhp n:ピンゲートの数
したがって、
Sp=St×Vhp/Vg×1/n=109.7mm2×1/n
ここで、ピンゲートの数nを図1に示すようにn=4とすると、
ピンゲート断面積Sp=27.44mm2 に設定すればよい。
さらに、ピンゲートの断面が略真円とすると、ピンゲート径Φpとすると、次の計算式が成り立つ。
Sp=π×(Φp/2)2
したがって、
Φp=√(Sp/π×4)≒6mm
となり、ピンゲート径Φp=6mmに設定すればよい。
上述した(1)鋳造条件にて、溶湯がピンゲートを通過するゲート速度Vgを50m/sになるように、ピンゲート径Φpを算出する。
まず、ゲート速度Vgと射出プランジャの射出速度Vhpとの比は、ピンゲート断面積Spと射出プランジャのチップ面積Stとの逆比となるために、次の計算式が成り立つ。
Vg=St/(Sp×n)×Vhp n:ピンゲートの数
したがって、
Sp=St×Vhp/Vg×1/n=109.7mm2×1/n
ここで、ピンゲートの数nを図1に示すようにn=4とすると、
ピンゲート断面積Sp=27.44mm2 に設定すればよい。
さらに、ピンゲートの断面が略真円とすると、ピンゲート径Φpとすると、次の計算式が成り立つ。
Sp=π×(Φp/2)2
したがって、
Φp=√(Sp/π×4)≒6mm
となり、ピンゲート径Φp=6mmに設定すればよい。
(3)ファンゲートの形状
ファンゲートの形状を決定する場合、以下の点を考慮して決定する。
(a)溶湯がファンゲートを通過する速度は、ピンゲート速度と略同一になるようにする。
(b)溶湯がキャビティ内に均一に噴霧できるようにファンゲートとキャビティとの境界の幅は、できるだけ拡幅する。
(c)ファンゲートにおけるキャビティ直近の厚みt(図2を参照)を、略1mmとする。これは、ファンゲートを通過する速度が50m/sであったとしても、厚みtが1mmよりも薄い場合、金型溶損が発生しやすくなってしまうためである。また、厚みtが1mmよりも厚い場合、鋳造された製品のうちファンゲートによって鋳造された部分が厚くなり、堰折作業が困難になるためである。
上述した条件から、ファンゲートにおけるキャビティ直近の断面積Sfは次の計算式が成り立つ。
Sf×N=Sp×n N:ファンゲートの数、n:ピンゲートの数
ここで、図1に示すようにファンゲートの数NをN=2、ピンゲートの数nをn=4とすると、
断面積Sf=Sp×2=54.88mm2に設定すればよい。
ファンゲートの形状を決定する場合、以下の点を考慮して決定する。
(a)溶湯がファンゲートを通過する速度は、ピンゲート速度と略同一になるようにする。
(b)溶湯がキャビティ内に均一に噴霧できるようにファンゲートとキャビティとの境界の幅は、できるだけ拡幅する。
(c)ファンゲートにおけるキャビティ直近の厚みt(図2を参照)を、略1mmとする。これは、ファンゲートを通過する速度が50m/sであったとしても、厚みtが1mmよりも薄い場合、金型溶損が発生しやすくなってしまうためである。また、厚みtが1mmよりも厚い場合、鋳造された製品のうちファンゲートによって鋳造された部分が厚くなり、堰折作業が困難になるためである。
上述した条件から、ファンゲートにおけるキャビティ直近の断面積Sfは次の計算式が成り立つ。
Sf×N=Sp×n N:ファンゲートの数、n:ピンゲートの数
ここで、図1に示すようにファンゲートの数NをN=2、ピンゲートの数nをn=4とすると、
断面積Sf=Sp×2=54.88mm2に設定すればよい。
(4)製品の品質
次に、上述したように設定したダイカスト用金型を用いて無孔性ダイカスト法により製品を実際に鋳造した。
その結果、無孔性ダイカストの高品位の程度を示す製品の残留ガス量は、1.5cc〜2.5cc/100gAlであり、極めて少なく良好であった。このことにより、ピンゲート速度を50m/sにしても、本実施形態のようなファンゲートを設けることにより、溶湯と活性ガスとの反応は十分に確保されていることが確認できた。
また、ピンゲートのゲート速度を遅くしたことにより無孔性ダイカストの金型寿命とされる略6万ショットよりも多く鋳造することができダイカスト用金型の寿命延長が確認された。
次に、上述したように設定したダイカスト用金型を用いて無孔性ダイカスト法により製品を実際に鋳造した。
その結果、無孔性ダイカストの高品位の程度を示す製品の残留ガス量は、1.5cc〜2.5cc/100gAlであり、極めて少なく良好であった。このことにより、ピンゲート速度を50m/sにしても、本実施形態のようなファンゲートを設けることにより、溶湯と活性ガスとの反応は十分に確保されていることが確認できた。
また、ピンゲートのゲート速度を遅くしたことにより無孔性ダイカストの金型寿命とされる略6万ショットよりも多く鋳造することができダイカスト用金型の寿命延長が確認された。
このように、本実施形態によれば、ダイカスト用金型のゲートをランナーから繋がるピンゲートと、ピンゲートからキャビティに繋がるファンゲートと有することから、キャビティ内に噴霧状の溶湯を均一に射出することができるために、高品位な鋳造品を製造することができる。また、溶湯を均一に射出させて活性ガスとの反応性を高めることができるために、ピンゲートを通過する溶湯のゲート速度を遅くでき、ダイカスト用金型の金型寿命をより長くすることができる。
なお、上述した説明では、ピンゲートを2つ並列させて配設する場合についてのみ説明したが、この場合に限られず、鋳造する製品の大きさに合わせて、ピンゲートの数を1つにしてもよく、2つ以上にしてもよい。
また、ピンゲートおよびファンゲートは、ダイカスト用金型の固定型の一部と可動型の一部とに形成する場合について説明したが、この場合に限られず、固定型のみまたは可動型のみに形成してもよい。
また、ピンゲートおよびファンゲートは、ダイカスト用金型の固定型の一部と可動型の一部とに形成する場合について説明したが、この場合に限られず、固定型のみまたは可動型のみに形成してもよい。
10:ダイカスト用金型 11:固定型 12:可動型 17:第1のゲート 17a:ピンゲート 18:第2のゲート 18a:ファンゲート 18b:膨らみ部 18c:境界 19:キャビティ 50:ダイカスト装置 51:溶湯 52:射出スリーブ 53:活性ガス(酸素)導入管 54:射出プランジャ
Claims (5)
- 溶融金属をランナーからゲートを介して、活性ガスが充填されたキャビティに圧入させて製品を鋳造するためのダイカスト用金型であって、
前記ゲートは、前記ランナーから繋がるピンゲートと、前記ピンゲートから前記キャビティに繋がり前記キャビティに向かうに従って幅広に形成されたファンゲートとを有することを特徴とするダイカスト用金型。 - 前記溶融金属が前記ピンゲートを通過するゲート速度を略50m/sになるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト用金型。
- 前記ピンゲートの断面積と、前記ファンゲートにおける前記キャビティ直近の断面積と、を略同一にしたことを特徴とする請求項1または2に記載のダイカスト用金型。
- 前記ピンゲートは、前記ファンゲートの幅方向に沿って、複数設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のダイカスト用金型。
- 溶融金属をランナーからゲートを介して、活性ガスが充填されたキャビティに圧入させて製品を鋳造する無孔性ダイカスト方法であって、
前記溶融金属を、前記ランナーから繋がるピンゲートと、前記ピンゲートから前記キャビティに繋がり前記キャビティに向かうに従って幅広に形成されるファンゲートとを介して、前記キャビティに圧入させることを特徴とするダイカスト方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009296095A JP2011136343A (ja) | 2009-12-25 | 2009-12-25 | ダイカスト用金型およびダイカスト方法 |
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