JP2011135835A - ダンマラン系トリテルペン類含有組成物及び呈味改善方法 - Google Patents

ダンマラン系トリテルペン類含有組成物及び呈味改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールに特有な渋味や収斂味を低減し、糖代謝改善作用等の生理活性を有する飲食品として好適に摂取可能な組成物、並びに前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールの少なくともいずれかの呈味改善方法の提供。
【解決手段】(A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを含有する組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかを含有する組成物、並びに前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールの少なくともいずれかの呈味改善方法に関する。
ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物は、抗ガン作用(特許文献1〜2参照)、皮膚疾患に対する抗炎症作用(特許文献3参照)、尿中アルブミンの排泄抑制作用(特許文献4参照)等の様々な生理活性を有することが知られている。
前記ダンマラン系トリテルペン類に属するプロトパナキサジオール及びプロトパナキサトリオールは、白色の粉末であり、有機溶媒には溶解されるものの、水に対しては不溶であり、更に構造的に不安定であり、液系、特に低pH系においては分単位で分解してしまう。また、粉末状態でも常温以上の温度条件下では、日単位でその分解が進んでしまい、安定性が悪いという問題がある。
一方、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であるパナキサジオール及びパナキサトリオールは、プロトパナキサジオール及びプロトパナキサトリオールと比較して安定性が高い。また、本発明者らは、以前にパナキサジオール及びパナキサトリオールが糖代謝改善作用を有することを見出した。
しかし、パナキサジオール及びパナキサトリオールは、渋味や収斂味が強く、食品に適用するには呈味の面で問題があった。
したがって、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールに特有な渋味や収斂味を低減し、糖代謝改善作用等の生理活性を有する飲食品として好適に摂取可能な組成物、並びに前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールの少なくともいずれかの呈味改善方法の速やかな提供が求められているのが現状である。
特表2005−504799号公報 特開昭58−57399号公報 特開2007−008896号公報 特開平10−212296号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールに特有な渋味や収斂味を低減し、糖代謝改善作用等の生理活性を有する飲食品として好適に摂取可能な組成物、並びに前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールの少なくともいずれかの呈味改善方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、(A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを混合することにより、前記(A)成分に特有な渋味や収斂味が前記(B)成分にマスキングされ緩和されること、またその呈味改善作用は、リノール酸が最も高く、次いでパルミチン酸が高いこと、これにより飲食品として好適に摂取可能であることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを含有することを特徴とする組成物である。
<2> (A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかの含有量が90質量%〜99質量%であり、かつ(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかの含有量が1質量%〜10質量%である前記<1>に記載の組成物である。
<3> 飲食品である前記<1>から<2>のいずれかに記載の組成物である。
<4> 錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、トローチ剤、タブレット剤、及びゼリー剤の少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の組成物である。
<5> (A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを混合し、前記(A)成分の呈味を改善することを特徴とする呈味改善方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールに特有な渋味や収斂味を低減し、糖代謝改善作用等の生理活性を有する飲食品として好適に摂取可能な組成物、並びに前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールの少なくともいずれかの呈味改善方法を提供することができる。
(ダンマラン系トリテルペン類含有組成物)
本発明の組成物は、パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれか(以下、「(A)成分」と称することがある。)と、リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれか(以下、「(B)成分」と称することがある。)とを少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
<(A)成分>
前記(A)成分である前記パナキサジオールは、下記構造式(1)で表される化合物であり、前記パナキサトリオールは、下記構造式(2)で表される化合物である。
前記パナキサジオール及びパナキサトリオールは、ダンマラン系トリテルペン類に属する化合物であり、植物由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、側鎖が閉環し、アグリコン体になったものである。前記(A)成分は、糖代謝改善作用等の生理活性を有するものの、特有な渋味や収斂味を有しているため、飲食品としてそのまま摂取することは困難である。
前記パナキサジオール及びパナキサトリオールを入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物から抽出する方法、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記組成物における前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90質量%〜99質量%が好ましく、95質量%〜99質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、90質量%未満であると、パナキサジオールやパナキサトリオールの糖代謝改善作用等の生理活性が充分に得られないことがあり、99質量%を超えると、呈味改善作用が得られないことがある。
<(B)成分>
前記(B)成分である前記リノール酸及び前記パルミチン酸の少なくともいずれかは、前記(A)成分に特有な渋味及び収斂味をマスキングし、前記(A)成分の呈味を改善する目的で配合される。
前記(B)成分としては、前記(A)成分の呈味改善作用が高い点で、リノール酸が特に好ましい。
前記(B)成分を入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物から抽出する方法、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記組成物における前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜10質量%が好ましく、5質量%〜10質量%がより好ましい。前記(B)成分が、1質量%未満であると、呈味改善作用が得られないことがあり、10質量%を超えると、前記(A)成分の安定性が悪くなることがある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲食品を製造するにあたって通常用いられる補助的原料又は添加物などが挙げられる。
前記補助的原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。また、前記(B)成分を除く脂肪酸を含有してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<飲食品>
前記組成物は、経口摂取できる飲食品の形態であることが好ましい。前記組成物は、そのまま摂取してもよく、その他の飲食品に配合する食品原料として使用してもよい。
ここで、前記その他の飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記組成物が食品原料として使用される場合、該食品原料を含有する前記その他の飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、トローチ剤、タブレット剤、ゼリー剤等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
前記その他の飲食品における前記食品原料としての前記組成物の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、対象となる飲食品の種類に応じて適宜配合することができる。
<製造方法>
前記組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて前記その他の成分とを混合する方法などが挙げられる。
前記組成物は、混合物そのものであってもよく、エタノール、水、グリセリン等の溶液に混合した混合溶液であってもよく、該混合溶液を濾過したものであってもよく、該混合溶液を、凍結乾燥、噴霧乾燥、加熱乾燥等により減圧濃縮した濃縮液又は乾固した固形物であってもよい。
<剤型>
前記組成物の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口半固形剤、及び経口液剤などが挙げられる。
−経口固形剤−
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、タブレット剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤に、賦形剤を加えることにより製造することができる。
前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味/矯臭剤などが挙げられる。
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
−経口半固形剤−
前記経口半分固形剤としては、液剤と固形剤の中間に位置するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記経口半固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分に、ゲル化剤、増粘剤、安定剤などを加えることにより製造することができる。
前記ゲル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、寒天、ゼラチン、澱粉、ジェランなどが挙げられる。
前記増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キサンタン、カラギーナン、ローカスト、グァー、タマリンド、ペクチンなどが挙げられる。
前記安定剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ガティゴムなどが挙げられる。
−経口液剤−
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分に、添加剤を加えることにより製造することができる。
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、矯味/矯臭剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
<摂取>
前記組成物の摂取方法、摂取量、摂取時期、及び摂取対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記摂取量としては、特に制限はなく、摂取対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記摂取対象となる動物種としては、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、トリ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。
<用途>
本発明の組成物は、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかを含有し、前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールに特有な渋味や収斂味が低減されているため摂取しやすく、健康維持のための飲食品として好適に利用可能である。
(呈味改善方法)
本発明の呈味改善方法は、(A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを少なくとも混合し、前記(A)成分の呈味を改善する方法である。
前記(A)成分と、前記(B)成分とを混合する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分と、前記(B)成分とを単に混合する方法、前記(A)成分と、前記(B)成分とをエタノール、水、グリセリン等の溶液に混合する方法などが挙げられる。これらの中でも、前記(A)成分と、前記(B)成分とをエタノールに混合する方法が好ましい。
前記(A)成分と、前記(B)成分の混合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記(A)成分が90質量%〜99質量%に対して、前記(B)成分を1質量%〜10質量%の割合で混合することが好ましく、(A)成分が95質量%〜99質量%に対して、前記(B)成分を5質量%〜10質量%の割合で混合することがより好ましい。前記混合量が前記好ましい範囲外であると、前記(A)成分に対する呈味改善作用が充分に得られないことがある。
本発明の呈味改善方法は、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールに特有な渋味や収斂味等の呈味を改善できるため、前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールを含有する健康維持のための飲食品の製造に好適に利用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(参考例1:PPT、PT、PPD、及びPDの安定性の評価)
<方法>
プロトパナキサトリオール(以下、「PPT」と称することがある。)(LKT Laboratories社製)5mg、パナキサトリオール(以下、「PT」と称することがある。)(LKT Laboratories社製)5mg、プロトパナキサジオール(以下、「PPD」と称することがある。)(LKT Laboratories社製)5mg、及びパナキサジオール(以下、「PD」と称することがある。)(LKT Laboratories社製)5mgを、それぞれスクリューキャップ付褐色ビンに入れ、40℃、相対湿度75%の条件下で、3週間静置した。その後、PPT、PT、PPD、及びPDを、それぞれ約1mg使用し、高速液体クロマトグラフ用エタノール(純度99.5質量%:和光純薬工業株式会社製)1mLに溶解し、下記条件にて高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。また、前記条件で3週間静置する前のPPT、PT、PPD、及びPDを同様にして高速液体クロマトグラフィーにより分析し、3週間静置後のそれぞれの残存率を算出した。
−分析条件−
装置: 1200 シリーズ高速液体クロマトグラフ(アジレント・テクノロジー株式
会社製)
カラム: TSKgel ODS−80Ts、内径4.6mm、長さ15cm(東ソー
株式会社製)
カラム温度: 40℃
溶離液: 水:アセトニトリル=50:50(PPT、PT分析時)
水:アセトニトリル=30:70(PPD、PD分析時)
測定波長: 196nm
流速: 1mL/分間
注入量: 10μL
<結果>
前記分析の結果、前記条件で3週間静置後の残存率は、PTが99.8質量%であり、PDが99.7質量%であった。一方、PPT及びPPDは検出されなかった。
これらの結果より、PPT及びPPDは、非常に安定性が悪いことがわかった。
(実施例1〜10)
実施例1〜10は、表1に示す配合量に従い、(A)成分と、(B)成分とをエタノール 100mLに溶解後、減圧濃縮し、1gの乾燥残分として実施例1〜10の組成物を得た。
(実施例11〜14)
実施例11〜14の配合量は、表2に示す配合量に従い、実施例1〜10において、(B)成分単独での使用に代えて、(B)成分と(B’)成分とを併用した以外は、実施例1〜10と同様の方法で、1gの乾燥残分として実施例11〜14の組成物を得た。
(比較例1〜2)
比較例1〜2の配合量は、表3に示す配合量に従い、実施例1〜10において、(B)成分を添加しない以外は、実施例1〜10と同様の方法で、1gの乾燥残分として比較例1〜2の組成物を得た。
(比較例3〜16)
比較例3〜16の配合量は、表3〜4に示す配合量に従い、実施例1〜10において、(B)成分に代えて、(B’)成分を使用した以外は、実施例1〜10と同様の方法で、1gの乾燥残分として比較例3〜16の組成物を得た。
<味の評価>
パネラー男女6名に実施例1〜14及び比較例1〜16の組成物を試食させ、渋味及び収斂味について下記評点に従い官能評価を行い、6名の平均値を算出し、下記評価基準に従い評価した。結果を表1〜4に示す。
[評点]
5点:渋味、収斂味がほとんど感じられず、非常に良好。
4点:わずかに渋味、収斂味があるものの良好。
3点:やや渋味、収斂味が感じられる。
2点:渋味、収斂味が感じられる。
1点:強く渋味、収斂味が感じられ、口の中に残存し、飲食できない。
[評価基準]
◎:パネラー6名の評点の平均点が4.5点以上。
○〜◎:パネラー6名の評点の平均点が3.5点以上4.5点未満。
○:パネラー6名の評点の平均点が2.5点以上3.5点未満。
△:パネラー6名の評点の平均点が1.5点以上2.5点未満。
×:パネラー6名の評点の平均点が1.5点未満。
なお、前記評価は、◎〜○(2.5点以上)を有効とする。
PD又はPTに、リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかを含有させることにより呈味が改善し、PD及びPTを飲食品として摂取すること、また食品原料としての他の食品への配合が可能となった。
また、脂肪酸単独での作用では、リノール酸が最も呈味改善作用が高く(実施例1、3)、次いでパルミチン酸が高かった(実施例2、4)。更に、脂肪酸を組み合わせて配合した場合は、リノール酸又はパルミチン酸と、他の脂肪酸とを組合せて配合した場合(実施例11〜14)と比較して、リノール酸と、パルミチン酸とを組合せて配合した場合(実施例9、10)に最も呈味改善作用が高く、特にこの組合せが好適であることがわかった。
これらの結果より、PD及びPTの呈味は、脂肪酸の中でも、特にリノール酸、パルミチン酸、及びこれらの組合せにより改善可能であることがわかった。
なお、前記実施例1〜14及び比較例1〜16に使用した原料は、表5に示すとおりである。
本発明の組成物は、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかを含有し、前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールに特有な渋味や収斂味が低減されているため摂取しやすく、健康維持のための飲食品として好適に利用可能である。
また、本発明の呈味改善方法は、前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールに特有な渋味や収斂味等の呈味を改善できるため、前記パナキサジオール及び前記パナキサトリオールを含有する健康維持のための飲食品の製造に好適に利用可能である。

Claims (4)

  1. (A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを含有することを特徴とする組成物。
  2. (A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかの含有量が90質量%〜99質量%であり、かつ(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかの含有量が1質量%〜10質量%である請求項1に記載の組成物。
  3. 飲食品である請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
  4. (A)パナキサジオール及びパナキサトリオールの少なくともいずれかと、(B)リノール酸及びパルミチン酸の少なくともいずれかとを混合し、前記(A)成分の呈味を改善することを特徴とする呈味改善方法。
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