JP2011134593A - リチウムイオン二次電池用集電体 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池の容量維持率の向上に貢献する集電体を提供する。
【解決手段】銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材表面上に直接又は間接的に設けられ、外側に向かって突出した導電性繊維を有する最外めっき層とを備えたリチウムイオン二次電池用集電体。
【選択図】図1
【解決手段】銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材表面上に直接又は間接的に設けられ、外側に向かって突出した導電性繊維を有する最外めっき層とを備えたリチウムイオン二次電池用集電体。
【選択図】図1
Description
本発明は銅又は銅合金基材を用いたリチウムイオン二次電池用集電体に関する。
銅箔にはその製法から圧延銅箔と電解銅箔の2種類に大別され、用途に応じて使い分けられている。何れの銅箔においても樹脂及び他の材質との良好な接着性が要求される場合がある。例えば、リチウムイオン二次電池用の負極においては集電体としての銅箔と負極活物質との密着性が要求される。リチウムイオン二次電池の負極用の集電体銅箔と活物質層との密着性等を改善するために、予め粗化処理と呼ばれる銅箔表面に凹凸を形成する表面処理を施すことが一般に行われている。
粗化処理の方法としては、ブラスト処理、粗面ロールによる圧延、機械研磨、電解研磨、化学研磨及び金属粒のめっき等の方法が知られており、これらの中でも特に金属粒のめっきは多用されている。この技術は、例えば特許文献1に開示されているように、硫酸銅酸性めっき浴を用いて、銅箔表面に樹枝状又は小球状に銅を多数電着せしめて平板状の凹凸を形成し、投錨効果による密着性の改善を狙ったり、SnやSiなどの体積変化の大きな活物質の膨張時に活物質層の凹部に応力を集中させて亀裂を形成せしめ、集電体界面に応力が集中することによる剥離を防ぐことを狙ったりして行われている。
しかしながら、硫酸銅酸性めっき浴によって得られた粗化粒子は、不均一で粗度が高いという問題がある。粗化粒子の粗度が高いと投錨効果が弱くなり、集電体銅箔と負極活物質の高い密着性が得られなくなってしまう。密着性が低いと、電池のサイクルが進行するにつれて集電体銅箔と負極活物質が剥離し、電池容量が低下してしまう。
一方で、カーボンナノチューブを用いた複合めっき技術が近年開発されている。例えば、特許文献2及び非特許文献1には、基板に銅とカーボンナノチューブを複合めっきしたことが記載されている。特許文献2には、カーボンナノチューブを金属中に混入した複合材料が各種摺動材や放熱材において使用されており、このような複合材料が溶融金属中にカーボンナノチューブを添加し、撹拌、混合するという手法で製造されてきたことが記載されている。そして、このような手法では、金属とカーボンナノチューブの比重の差によってカーボンナノチューブを均一に溶融金属中に分散するのは極めて困難であるという課題や、カーボンナノチューブへの熱的負荷が大きいという課題があったことが記載されている。そこで、特許文献2は金属中にカーボンナノチューブもしくはその誘導体を常温で均一に混入させためっき構造物を開示している。また、特許文献2には、カーボンナノチューブを用いた複合めっき技術が、電界放出用エミッタ、微小な機械部品、回路基板、放熱体、導電性樹脂が製造可能であることが開示されている。非特許文献1にはカーボンナノチューブを用いた複合めっき技術及びその特徴が記載されている。
新井進、遠藤守信著、「カーボンナノチューブ複合めっき」、表面技術、(社)表面技術協会、Vol.57,No.7,p471−474、2006
本発明の課題は、リチウムイオン二次電池の容量維持率の向上に貢献する集電体を提供することである。本発明の別の課題は、そのような集電体を備えたリチウムイオン二次電池負極を提供することである。本発明の更に別の課題は、そのような負極を備えたリチウムイオン二次電池を提供することである。
集電体に活物質を塗布し、充放電を繰り返すと体積膨張によって活物質に亀裂が入り、場合によって活物質が脱落し、電池特性が低下する。そのため、従来は集電体の表面を粗くしたり、集電体の表面に粗いめっき(粗化)処理をしたりすることで活物質の密着性を上げ、できるかぎり活物質の脱落を防止することに傾注されてきた。本発明者は上記課題を解決するために、従来のように活物質層と集電体の結合を強化するのではなく、発想を転換して、活物質層と集電体が剥離しても、導通を確保して電池容量の低下を防ぐことができないかという観点から検討した。その結果、銅又は銅合金箔基材の表面上に直接又は間接的にめっき層を設け、該めっき層の外側に向かって突出した導電性繊維を有するめっき構造物を負極集電体として使用すると、リチウムイオン二次電池の容量維持率が有意に向上することを見出した。
特許文献1はおろか、特許文献2及び非特許文献1にも、導電性繊維を集電体表面に配置することで集電体と活物質との通電を確保するという技術的思想は示唆されていない。
上記知見を基礎として完成した本発明は一側面において、銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材表面上に直接又は間接的に設けられ、外側に向かって突出した導電性繊維を有する最外めっき層とを備えたリチウムイオン二次電池用集電体である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の一実施形態においては、前記めっき層は導電性繊維を共析させた複合めっき層である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の別の一実施形態においては、前記めっき層の平均厚さが8μm以下である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、集電体表面のSEM観察において導電性繊維は平均本数密度が0.02〜1.5本/μm2である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、集電体表面のSEM観察において導電性繊維の本数密度が200本/100μm2以上の箇所が10000μm2の面積当たり3箇所以下である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、集電体断面のSEM観察において最外めっき層の平均厚さに比べて8μm以上厚い凸状部が3個所以下である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、導電性繊維の一部がめっき層内部に入り込んでいる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、導電性繊維が炭素繊維である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、導電性繊維の平均繊維径が20〜500nmであり、平均繊維長が2〜20μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、前記基材は粗化処理された基材である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、前記めっき層が平均粒径1〜5μmの金属粒子で形成されている。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の更に別の一実施形態においては、前記金属粒子が銅又は銅合金である。
本発明は別の一側面において、本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体と、当該集電体表面上に形成された負極活物質層とを備えたリチウムイオン二次電池用負極である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の一実施形態においては、導電性繊維の一部が前記負極活物質層内部に入り込んでいる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極の別の一実施形態においては、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池である。
理論によって本発明が制限されることを意図しないが、本発明によれば、たとえ充放電により活物質層と集電体が剥離したとしても、導電性繊維が活物質と集電体の間の電気的な結合を維持することができる。また、電気的な結合のみならず物理的な結合も強化されるので、剥離しにくくなる。その結果、容量維持率の向上したリチウムイオン二次電池を得ることが可能となる。
1.基材
本発明に使用する銅又は銅合金箔基材は電解銅箔及び圧延銅箔の何れを用いてもよく、要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば、圧延銅箔は特に高強度や耐屈曲性が要求される場合に使用するとよい。リチウム二次電池負極の集電体として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高容量の電池を得ることができるが、薄肉化すると強度低下による破断の危険性が生じることから、このような場合には電解銅箔よりも強度に優れている圧延銅箔を使用するのが好ましい。
本発明に使用する銅又は銅合金箔基材は電解銅箔及び圧延銅箔の何れを用いてもよく、要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば、圧延銅箔は特に高強度や耐屈曲性が要求される場合に使用するとよい。リチウム二次電池負極の集電体として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高容量の電池を得ることができるが、薄肉化すると強度低下による破断の危険性が生じることから、このような場合には電解銅箔よりも強度に優れている圧延銅箔を使用するのが好ましい。
銅又は銅合金箔基材に使用する銅又は銅合金の種類には特に制限はなく、要求特性に応じて適宜選択すればよい。例えば、限定的ではないが、高純度の銅(無酸素銅やタフピッチ銅等)の他、Sn入り銅、Ag入り銅、Ni、Si等を添加したCu−Ni−Si系銅合金、Cr、Zr等を添加したCu−Cr−Zr系銅合金のような銅合金が挙げられる。
銅又は銅合金箔基材の厚さも特に制限はなく、要求特性に応じて適宜選択すればよい。一般的には1〜100μmであるが、リチウム二次電池負極の集電体として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高容量の電池を得ることができる。そのような観点から、典型的には2〜50μm、より典型的には5〜20μm程度である。
銅又は銅合金箔基材は粗化処理がなされていてもよい。粗化処理の方法としては、公知の任意の方法を用いることができるが、例えばブラスト処理、粗面ロールによる圧延、機械研磨、電解研磨、化学研磨及び金属粒のめっきが挙げられる。
容量維持率の向上効果の観点からは、粗化処理の中でも金属粒のめっきによる粗化処理が好ましい。金属粒のめっきは活物質層の厚さにもよるが、金属粒子が大きすぎると正極と合わせたときに凹凸が大きいことによる接圧不均一になり、特性のバラツキの原因となる。一方で、金属粒子が小さすぎると、活物質層の応力緩和が不十分となる。従って、前記金属粒子の平均粒径は1〜5μmとするのが好ましく、2〜3μmとするのがより好ましい。金属粒子の材料としては、特に制限はないが、導電率、コスト等の理由により、Ni、Cu、Ag、Feが好ましく、Ni、Cuがより好ましく、Cuが更により好ましい。
2.めっき層
銅又は銅合金箔基材の表面上に直接又は間接的に最外めっき層が設けられる。すなわち、銅又は銅合金箔基材と最外めっき層の間に別のめっき層が設けられていても良い。最外めっき層は外側に向かって突出した導電性繊維を有する。このような構造は、銅又は銅合金箔基材の表面に最外めっき層を形成した後、導電性繊維を分散させた液に漬けて取り出すことにより、或いは、銅又は銅合金箔基材の表面上に最外層として導電性繊維を共析させる複合めっきを施すことにより形成することが可能である。
銅又は銅合金箔基材の表面上に直接又は間接的に最外めっき層が設けられる。すなわち、銅又は銅合金箔基材と最外めっき層の間に別のめっき層が設けられていても良い。最外めっき層は外側に向かって突出した導電性繊維を有する。このような構造は、銅又は銅合金箔基材の表面に最外めっき層を形成した後、導電性繊維を分散させた液に漬けて取り出すことにより、或いは、銅又は銅合金箔基材の表面上に最外層として導電性繊維を共析させる複合めっきを施すことにより形成することが可能である。
導電性繊維とめっき層の結合力の観点からは複合めっきが好ましい。そして、金属粒のめっきによる粗化層を有する基材に対して、更に導電性繊維を共析させる複合めっきを行うと、容量維持率の向上がとりわけ顕著である。これは、粗化処理によって金属粒が活物質の膨張応力を緩和することに加えて、導電性繊維が活物質と集電体間の導通確保及び結合強化の役割を果たすためである。導電性繊維との複合めっきを構成する金属粒の平均粒径は、先と同様の理由により1〜5μmとするのが好ましく、2〜3μmとするのがより好ましい。
複合めっき層の厚さは、厚すぎると金属粒が粗大になりやすくなり、また、めっき皮膜が硬く脆くなって剥離しやすくなるので、平均8μm以下とすべきであり、平均4μm以下とするのが好ましい。一方で、複合めっき層の厚さが薄すぎても導電性繊維がめっき層内に入り込む余地が少なくなり、耐剥離性や導通の点で効果が弱くなるので、平均0.3μm以上とするのが好ましく、平均0.5μm以上とするのがより好ましい。
なお、本発明に係る集電体の表面をSEM観察した場合に観察される金属粒子は複合めっきによる金属粒子であり、基材が金属粒のめっきによる粗化処理を施されていたとしてもその金属粒子は下方に隠れておりほとんど観察できないが、集電体の断面をSEM観察することで基材が粗化処理を施されているかどうか判別することができる。具体的には、基材が粗化処理されているかどうかは集電体の断面のSEM観察において、両者の結晶組織の相違によって判定することが可能である。
3.導電性繊維
リチウムイオン二次電池の充放電に伴って負極活物質は収縮を繰り返すため、負極活物質層と集電体が剥離しやすくなる。負極活物質層と集電体が剥離すると両者間の電気抵抗が大きくなるため、電池容量が低下してしまう。近年、高容量化の観点から、負極活物質として従来の黒鉛に変わって合金系材料が検討されているが、合金系材料は特に体積変化が大きいので剥離の問題が生じやすく、容量維持率は極端に低い。
リチウムイオン二次電池の充放電に伴って負極活物質は収縮を繰り返すため、負極活物質層と集電体が剥離しやすくなる。負極活物質層と集電体が剥離すると両者間の電気抵抗が大きくなるため、電池容量が低下してしまう。近年、高容量化の観点から、負極活物質として従来の黒鉛に変わって合金系材料が検討されているが、合金系材料は特に体積変化が大きいので剥離の問題が生じやすく、容量維持率は極端に低い。
しかしながら、本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体は、銅又は銅合金箔基材表面に導電性繊維が突出した構成を有しているため、負極活物質層を集電体上に積層したときに導電性繊維が集電体と負極活物質層を連結する役目を果たし、負極活物質層と導電性繊維が一部剥離しても導電性繊維が両者間の導通を確保するので、充放電の繰り返しによる電池容量の低下を抑制することが可能となる。そして、好ましい態様においては、導電性繊維の一部が前記基材の表面内部に入り込んでいる。これにより、集電体と活物質層の結合強化の効果が更に得られる。導電性繊維の一部が前記基材の表面内部に入り込んでいることは、断面のSEM観察によって確認することができる。
導電性繊維としては、特に制限はないが、炭素繊維、金属繊維及び金属めっき繊維が挙げられる。炭素繊維は、炭素の成分量を増加させる観点で、固相炭素化、液相炭素化及び気相炭素化の三種類に大別でき、原料の観点で、繊維(特にPAN)系、ピッチ系及び炭化水素ガスの三種類に大別できるが、特に制限はない。カーボンナノチューブも使用可能である。金属繊維としては、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅又は銅合金繊維が挙げられる。金属めっき繊維としては、ガラス繊維、有機繊維又は無機繊維を銀、銅、錫等の各種金属でめっきした繊維が挙げられる。導電率の観点からは金属繊維又は金属めっき繊維が好ましいが、めっき浴中で溶解するおそれや、充放電の繰り返しにより溶出するおそれがあるため、炭素繊維がより好ましい。
導電性繊維は、繊維径が細すぎると取り扱いが不便となる一方で、太すぎると集電体の内部に入り込みにくくなることや負極表面の凹凸原因となる。そこで、導電性繊維の繊維径を20〜500nmとするのが好ましく、50〜200nmとするのがより好ましい。また、導電性繊維は負極活物質層に入り込むことによって、負極活物質層の脱落防止機能を奏することができるが、繊維長が短すぎると負極活物質層に十分に入り込んで行かずに負極活物質層の脱落防止の効果が不充分となる。一方で、導電性繊維が長すぎると負極活物質層を突き抜けてショートの原因となることや、導電性繊維が絡まって凝集してしまう。従って、導電性繊維の繊維長は負極活物質の厚みや集電体に対する導電性繊維の付着方向に応じて設定すればよいが、例えば合金系負極活物質を集電体上に直接形成する薄膜負極の場合、活物質層の厚みが10μm程度であるため、2〜20μmの繊維長とすることができる。逆に活物質層の厚みが100μmと厚ければ、導電性繊維の繊維長は20〜200μmとすることができる。一般的には活物質層の厚みの20〜200%の繊維長を有する導電性繊維を使用すればよい。
導電性繊維が銅又は銅合金箔基材表面に占める割合が小さ過ぎると活物質層との導電性確保が不十分となること及び結合強化効果が不十分となる一方で、大き過ぎても凝集して粗大化する傾向や活物質層と集電体層の間に隙間が生じて強度が低下し、また、活物質層形成がめっきの場合はめっき液が残留する等の不具合が発生しやすい。従って、集電体表面からSEM観察すると、観察視野中で1μm2面積あたりの平均的な導電性繊維の本数は0.02〜1.5本とするのが好ましく、0.05〜0.8本であるのがより好ましく、0.1〜0.6本であるのが更により好ましい。
また、導電性繊維は局所的に凝集していないことが本発明の効果を高める上で望ましい。具体的には、集電体表面からSEM観察したときに、導電性繊維の本数密度が200本/100μm2以上の凝集箇所ができるだけ存在しないことが望ましい。従って、導電性繊維の本数密度が200本/100μm2以上の箇所は10000μm2の面積当たり3箇所以下とするのが好ましく、1箇所以下とするのがより好ましい。
また、電池に組んだときにセパレータを突き破ってショートする可能性があることや接触圧力のムラが生じることから、集電体断面のSEM観察において最外めっき層の平均厚さに比べて8μm以上厚い凸状部が3個所以下であるのが好ましく、1箇所以下であるのがより好ましく、0箇所であるのが更により好ましい。
4.集電体の製造方法
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の製造方法は、導電性繊維が添加された各種金属の電気めっき浴中に銅又は銅合金箔基材を浸漬させることにより、銅又は銅合金箔基材に複合めっきすることを含み、複合めっきの際に、電気めっき浴を撹拌することで導電性繊維の該めっき浴中での分散を促進する一方で、銅又は銅合金箔基材表面へ当たるめっき液の流速を調整することが望ましい。例えば、めっき面近傍の流速が弱くなるよう阻流板を設けることができる。めっき面近傍での流速が大きいと導電性繊維が共析しにくくなるからである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用集電体の製造方法は、導電性繊維が添加された各種金属の電気めっき浴中に銅又は銅合金箔基材を浸漬させることにより、銅又は銅合金箔基材に複合めっきすることを含み、複合めっきの際に、電気めっき浴を撹拌することで導電性繊維の該めっき浴中での分散を促進する一方で、銅又は銅合金箔基材表面へ当たるめっき液の流速を調整することが望ましい。例えば、めっき面近傍の流速が弱くなるよう阻流板を設けることができる。めっき面近傍での流速が大きいと導電性繊維が共析しにくくなるからである。
複合めっきすることで、金属粒子が銅又は銅合金箔基材表面に電着するときに導電性繊維がこの金属粒子内部に一部が入り込んだ状態で共析する。これにより、導電性繊維とめっき層間、ひいては導電性繊維と集電体間で強固な結合が生じ、導通も確保されることになる。金属粒子の材料としては、特に制限はないが、導電率、コスト等の理由により、Ni、Cu、Ag、Feが好ましく、Ni、Cuがより好ましく、Cuが更により好ましい。これらの金属を含む合金でもよい。
導電性繊維がめっき浴中で凝集してしまうと、基材表面に局所的に分布するようになるので、厚く析出した箇所では導電性繊維がセパレータを突き破るという事態が生じ、電池がショートしてしまう虞がある。よって、めっき浴を撹拌することで導電性繊維はめっき浴中で均一に分散した状態を保持することが必要となる。撹拌は公知の任意の手段を用いることができるが、例えばメカニカルスターラーやマグネチックスターラーを使用すればよい。めっき浴の撹拌強度は導電性繊維のめっき浴中での分散状態を見ながら適宜調節すればよい。
めっき浴には、導電性繊維を均一に分散させるために分散剤を添加することもできる。分散剤としては、特に制限はないが、例えばカチオン系又はアニオン系の界面活性剤を用いることができる。
導電性繊維のめっき浴における濃度は、材料によって異なるが、炭素繊維の場合、0.5〜5g/Lが好ましく、より好ましくは1〜3g/Lであり、更により好ましくは1.5〜2.5g/Lである。導電性繊維のめっき浴における濃度をこのような範囲とすることにより、好ましい分散状態となる。導電性繊維の濃度が0.5g/L未満であると、分散量が不足し、集電体と活物質の導通確保の効果が低くなる。逆に5g/Lを超えると粘性が上昇してめっきが出来なくなる問題が生じやすくなる。
めっき浴の液温は、例えば15〜30℃に設定され、電気めっきは、例えば30〜240秒間行う。電気めっきの電流密度は、0.5A/dm2未満ではめっきが十分に形成されないので、0.5A/dm2以上とするのが好ましく、例えば0.5〜3A/dm2とすることができる。
めっき浴は、それ自体公知のものを使用することができるが、例えば有機酸浴(例えば、フェノールスルホン酸浴、アルカンスルホン酸浴及びアルカノールスルホン酸浴)、硼フッ酸浴、ハロゲン浴、硫酸浴、ピロリン酸浴等の酸性浴、或いはカリウム浴やナトリウム浴等のアルカリ浴を用いることができる。
銅又は銅合金箔基材は複合めっきの前に表面を清浄処理しておくことが好ましい。銅又は銅合金箔基材表面の清浄処理としては、それ自体公知の任意の方法を使用することができ、特に制限はないが、例えば、脱脂処理及び酸洗処理が挙げられる。脱脂処理は、例えば、液温が30〜70℃程度のアルカリ溶液で、電流密度を3〜10A/dm2程度とし、約30〜60秒間程度行う電解脱脂処理等である。酸洗処理は、例えば、約50〜200g/L程度の室温の硫酸中に、30〜60秒間程度浸漬する処理である。
銅又は銅合金箔基材をめっきする部分は必要に応じて選択すればよく、特に制限はないが、例えば銅又は銅合金箔基材の片面又は両面を被覆することができ、側面(厚み部分)も含めて全面を被覆することもできる。部分的に被覆する方法は当業者に知られている任意の技術を使用することができる。例えば、被覆しない部分をテープ等でマスキングし、残部をめっきする方法がある。
このようにして得られた集電体の表面に負極活物質を形成することで、リチウムイオン二次電池用負極を製造することができる。負極活物質としては、黒鉛の他、合金系材料を使用することができる。合金系材料としては、アンチモン系(SbSn、InSb、CoSb3、Ag3Sb、Ni2MnSb等)、スズ系(Sn2Fe、Sn2Co、V2Sn3、CeSn2、Sn/Cu6Sn5、Sn/Ag3Sn等)、シリコン系(シリコン酸化物、Si/C複合粉末等)が挙げられる。
負極活物質層を形成する方法としては、公知の任意の方法を使用すればよいが、例えば、スラリーに混ぜて活物質を集電体に塗工することができるほか、湿式めっき法(無電解めっき、電気めっき)、スパッタリング法、蒸着法及び化学的気相成長(CVD)法などの薄膜形成法を使用することもできる。これらの中でも、活物質と集電体との導通が問題になる、薄膜合金系負極の形成では、成膜速度が高い湿式めっき法が実用上好ましい。
集電体表面には導電性繊維が突出しているため、負極活物質層をその表面に形成する過程で、負極活物質層内部に自然と導電性繊維の一部が入り込むようになる。その結果、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極では、例えば図1に示す模式図のように、導電性繊維12が負極活物質11と集電体14表面に形成された複合めっき層13とを連結するので、両者間の物理的及び電気的な結合を強化することになる。導電性繊維の一部が負極活物質層内部に入り込んでいることは、負極断面のSEM観察により確認することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極を使用し、慣用手段によってリチウムイオン二次電池を作製することができる。
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<特性の測定方法>
各種特性値は以下の測定方法で測定した。
(1)炭素繊維の平均繊維径及び平均繊維長
SEMにより、基材を酸で溶かして炭素繊維だけを取り出してSEM観察する。平均繊維径は30μm角視野中に存在する任意の繊維10本についてそれぞれ中央付近の直径を測定し、この測定を三視野について行い、合計30本の繊維の径の平均値をもって測定値とする。平均繊維長は30μm角視野中に存在する任意の10本についてその長さを測定し、この測定を三視野について行い、合計30本の繊維の長さの平均値をもって測定値とする。
(2)めっき層の金属粒子の平均粒径
SEMによる表面観察で、10μm角の面積中の粒径をJIS H0501の切断法に準じて測定した平均値である。具体的には、10μm角視野中で縦横それぞれ等間隔に9本の線分を引き、各線分によって完全に仕切られる粒子の数を数え、その切断長さの任意の3視野の平均値を測定値とする。
(3)炭素繊維の平均本数密度
SEMによる表面観察で、10μm角視野中に存在する炭素繊維の本数を面積(100μm2)で割った値を求め、3視野の平均値を測定値とする。視野中で、炭素繊維が一部でも確認できるものはその全体が視野内にあるかどうかにかかわらず1本としてカウントした。
(4)10000μm2の視野当たりの炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上の箇所の数
SEMによる表面観察で、100μm角視野中で縦横それぞれ等間隔に10等分になるように線分を引いて10μm角の視野100個を形成し、それぞれについて導電性繊維の本数が200本以上である視野数を求める。これを任意の100μm角で3回繰り返したときの、導電性繊維が200本以上である視野数の平均値を測定値とする。
(5)複合めっき層(最外めっき層)平均厚
SEMによる断面観察で、1μmおきに測定した10箇所の平均厚さとした。なお、複合めっき層と粗化層は断面をSEM観察すると両者の結晶組織の相違によりめっき層間に境界が見られるので、区別することができる。
(6)複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上の凸状部の箇所
SEMによる断面観察を行い、低倍で100μm角における凸状部の個数を数える。具体的には、SEM写真上で複合めっき層の平均厚みから8μm高い地点を結ぶ直線を描き、この地点以上凸になっている箇所の数を数える。凸が連続していても、8μm以上にいったん隆起した後8μm未満に次に降下するまでを一つの凸状部として捉える。3箇所の個数の平均を測定値とする。
各種特性値は以下の測定方法で測定した。
(1)炭素繊維の平均繊維径及び平均繊維長
SEMにより、基材を酸で溶かして炭素繊維だけを取り出してSEM観察する。平均繊維径は30μm角視野中に存在する任意の繊維10本についてそれぞれ中央付近の直径を測定し、この測定を三視野について行い、合計30本の繊維の径の平均値をもって測定値とする。平均繊維長は30μm角視野中に存在する任意の10本についてその長さを測定し、この測定を三視野について行い、合計30本の繊維の長さの平均値をもって測定値とする。
(2)めっき層の金属粒子の平均粒径
SEMによる表面観察で、10μm角の面積中の粒径をJIS H0501の切断法に準じて測定した平均値である。具体的には、10μm角視野中で縦横それぞれ等間隔に9本の線分を引き、各線分によって完全に仕切られる粒子の数を数え、その切断長さの任意の3視野の平均値を測定値とする。
(3)炭素繊維の平均本数密度
SEMによる表面観察で、10μm角視野中に存在する炭素繊維の本数を面積(100μm2)で割った値を求め、3視野の平均値を測定値とする。視野中で、炭素繊維が一部でも確認できるものはその全体が視野内にあるかどうかにかかわらず1本としてカウントした。
(4)10000μm2の視野当たりの炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上の箇所の数
SEMによる表面観察で、100μm角視野中で縦横それぞれ等間隔に10等分になるように線分を引いて10μm角の視野100個を形成し、それぞれについて導電性繊維の本数が200本以上である視野数を求める。これを任意の100μm角で3回繰り返したときの、導電性繊維が200本以上である視野数の平均値を測定値とする。
(5)複合めっき層(最外めっき層)平均厚
SEMによる断面観察で、1μmおきに測定した10箇所の平均厚さとした。なお、複合めっき層と粗化層は断面をSEM観察すると両者の結晶組織の相違によりめっき層間に境界が見られるので、区別することができる。
(6)複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上の凸状部の箇所
SEMによる断面観察を行い、低倍で100μm角における凸状部の個数を数える。具体的には、SEM写真上で複合めっき層の平均厚みから8μm高い地点を結ぶ直線を描き、この地点以上凸になっている箇所の数を数える。凸が連続していても、8μm以上にいったん隆起した後8μm未満に次に降下するまでを一つの凸状部として捉える。3箇所の個数の平均を測定値とする。
(比較例:No.1)
試験片としてCu−3.0質量%Ni−0.65質量%Si−0.15質量%Mgの組成を有する60mm×45mm×18μmの寸法の銅合金箔基材(日鉱金属社製圧延銅箔:品名C7025)を必要数用意した。
試験片としてCu−3.0質量%Ni−0.65質量%Si−0.15質量%Mgの組成を有する60mm×45mm×18μmの寸法の銅合金箔基材(日鉱金属社製圧延銅箔:品名C7025)を必要数用意した。
次に、これらの試験片に対し、脱脂剤:ユケン工業(株)製商標「パクナP105」、脱脂剤濃度:40g/L、アノード:SUS、電流密度:5A/dm2、温度:60℃、時間:30秒の各条件による脱脂処理を行った。
続いて、脱脂処理を行った試験片に対し、常温で濃度100g/Lの硫酸に、30秒間浸漬する酸洗処理を行った。
上記のようにして脱脂・酸洗処理を行った銅合金箔基材の全面に対して、以下の条件でSn−Co合金めっきすることで、負極活物質層を形成した。めっきの厚みはSEMでの断面観察により、めっき厚を10点平均することで測定した。
<Sn−Co合金めっき条件>
アノード:カーボン
めっき浴組成:Sn−Coめっき浴
めっき浴温度:45℃
電流密度:2A/dm2
めっき時間:10分
めっき厚み:5.0μm
<Sn−Co合金めっき条件>
アノード:カーボン
めっき浴組成:Sn−Coめっき浴
めっき浴温度:45℃
電流密度:2A/dm2
めっき時間:10分
めっき厚み:5.0μm
次いで、対極をLiにしたコインセルを作製し、充放電試験を実施して容量維持率を評価した。充放電条件は電流密度0.5mA/cm2、充電3mV(vs Li/Li+)、放電2.0V(vs Li/Li+)で20サイクルまでの充放電とした。1サイクル目放電容量に対する30サイクル目の放電容量を容量維持率とした。
(比較例:No.2)
脱脂・酸洗処理を行った後の銅合金箔基材に対して、以下の条件で銅電着粒による粗化処理を行った他は、No.1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性を評価した。
<粗化処理条件>
基材全面にCuめっきすることで実施した。Cuめっきは下地めっき2.3A/dm2×118s、粗化めっき4.6A/dm2×77s、カブセめっき2.3A/dm2×94sの順で実施した。めっき浴は硫酸銅20g/L、硫酸100g/Lの組成を有し、浴温度38℃とした。アノードはTi−Ptとした。これにより、銅合金箔基材表面にCu粒子が付着して構成された粗化めっき層を形成した。得られたCu粒子を基材表面からSEMで観察して平均粒径を測定したところ1.9μmであった。
脱脂・酸洗処理を行った後の銅合金箔基材に対して、以下の条件で銅電着粒による粗化処理を行った他は、No.1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性を評価した。
<粗化処理条件>
基材全面にCuめっきすることで実施した。Cuめっきは下地めっき2.3A/dm2×118s、粗化めっき4.6A/dm2×77s、カブセめっき2.3A/dm2×94sの順で実施した。めっき浴は硫酸銅20g/L、硫酸100g/Lの組成を有し、浴温度38℃とした。アノードはTi−Ptとした。これにより、銅合金箔基材表面にCu粒子が付着して構成された粗化めっき層を形成した。得られたCu粒子を基材表面からSEMで観察して平均粒径を測定したところ1.9μmであった。
(発明例:No.3)
脱脂・酸洗処理を行った後の銅合金箔基材に対して、以下の複合めっき条件で炭素繊維を表面に分散させた他は、No.1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。この例で得られた集電体表面のSEM像を図2に示す。
<複合めっき条件>
アノード:Ti−Pt
めっき浴組成:硫酸銅 20g/L
硫酸 100g/L
PAA 0.1g/L
*PAA:ポリアクリルアミド
炭素繊維 2.0g/L
*VGCF(昭和電工製、繊維径150nm、繊維長10〜20μm)
めっき浴温度:25℃
電流密度:2A/dm2
めっき時間:2分
撹拌:導電性繊維はめっき浴中で均一に分散するように攪拌子によって強攪拌したが、めっき面近傍の流速が弱くなるよう阻流板を設置した。
集電体表面の炭素繊維の本数は0.42本/μm2であった。
炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上である箇所の数は10000μm2の視野当たり0箇所であった。
複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上凸な箇所は存在しなかった。
複合めっき層のCu粒子の平均粒径は1.3μmであった。
複合めっき層の平均厚は0.6μmであった。
脱脂・酸洗処理を行った後の銅合金箔基材に対して、以下の複合めっき条件で炭素繊維を表面に分散させた他は、No.1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。この例で得られた集電体表面のSEM像を図2に示す。
<複合めっき条件>
アノード:Ti−Pt
めっき浴組成:硫酸銅 20g/L
硫酸 100g/L
PAA 0.1g/L
*PAA:ポリアクリルアミド
炭素繊維 2.0g/L
*VGCF(昭和電工製、繊維径150nm、繊維長10〜20μm)
めっき浴温度:25℃
電流密度:2A/dm2
めっき時間:2分
撹拌:導電性繊維はめっき浴中で均一に分散するように攪拌子によって強攪拌したが、めっき面近傍の流速が弱くなるよう阻流板を設置した。
集電体表面の炭素繊維の本数は0.42本/μm2であった。
炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上である箇所の数は10000μm2の視野当たり0箇所であった。
複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上凸な箇所は存在しなかった。
複合めっき層のCu粒子の平均粒径は1.3μmであった。
複合めっき層の平均厚は0.6μmであった。
(発明例:No.4)
No.2と同様の粗化処理を行った後の銅合金箔基材に対して、No.5と同様の複合めっき条件で炭素繊維を表面に分散させた他は、No.1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。この例で得られた集電体表面のSEM像を図3に示す。
集電体表面の炭素繊維の本数は0.35本/μm2であった。
炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上である箇所の数は10000μm2の視野当たり0.3箇所であった。
複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上凸な箇所は存在しなかった。
複合めっき層のCu粒子の平均粒径は2.4μmであった。
複合めっき層の平均厚は0.6μmであった。
No.2と同様の粗化処理を行った後の銅合金箔基材に対して、No.5と同様の複合めっき条件で炭素繊維を表面に分散させた他は、No.1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。この例で得られた集電体表面のSEM像を図3に示す。
集電体表面の炭素繊維の本数は0.35本/μm2であった。
炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上である箇所の数は10000μm2の視野当たり0.3箇所であった。
複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上凸な箇所は存在しなかった。
複合めっき層のCu粒子の平均粒径は2.4μmであった。
複合めっき層の平均厚は0.6μmであった。
(発明例:No.5)
阻流板を設置しなかったほかは、発明例No.3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。
集電体表面の炭素繊維の本数は0.01本/μm2であった。
炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上である箇所の数は10000μm2の視野当たり0箇所であった。
複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上凸な箇所は存在しなかった。
複合めっき層のCu粒子の平均粒径は1.0μmであった。
複合めっき層の平均厚は0.6μmであった。
阻流板を設置しなかったほかは、発明例No.3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。
集電体表面の炭素繊維の本数は0.01本/μm2であった。
炭素繊維の本数密度が200本/100μm2以上である箇所の数は10000μm2の視野当たり0箇所であった。
複合めっき層の平均厚さに比べて8μm以上凸な箇所は存在しなかった。
複合めっき層のCu粒子の平均粒径は1.0μmであった。
複合めっき層の平均厚は0.6μmであった。
上記測定結果を、表1に示す。
<考察>
比較例No.1は基材の表面処理を行わなかった例であり、1サイクルで集電体から負極活物質層が剥離してしまった。
比較例No.2は基材に粗化処理を行った例であり、密着性が向上した結果No.1よりも容量維持率は改善したものの、10サイクルで集電体から負極活物質層が剥離してしまった。
発明例No.3は、基材表面に複合めっきによって銅粒子と共に炭素繊維を共析させた例である。炭素繊維が基材表面に突出し、優れた容量維持率を得ることができた。
発明例No.4は、予め粗化処理された基材表面に複合めっきによって銅粒子と共に炭素繊維を共析させた例である。この場合、No.3よりも優れた容量維持率を得ることができた。
発明例No.5は、複合めっき時に阻流板を設けなかったことから複合めっき層への炭素繊維の取り込みが少なかったが、比較例No.1よりは容量維持率が向上した。
比較例No.1は基材の表面処理を行わなかった例であり、1サイクルで集電体から負極活物質層が剥離してしまった。
比較例No.2は基材に粗化処理を行った例であり、密着性が向上した結果No.1よりも容量維持率は改善したものの、10サイクルで集電体から負極活物質層が剥離してしまった。
発明例No.3は、基材表面に複合めっきによって銅粒子と共に炭素繊維を共析させた例である。炭素繊維が基材表面に突出し、優れた容量維持率を得ることができた。
発明例No.4は、予め粗化処理された基材表面に複合めっきによって銅粒子と共に炭素繊維を共析させた例である。この場合、No.3よりも優れた容量維持率を得ることができた。
発明例No.5は、複合めっき時に阻流板を設けなかったことから複合めっき層への炭素繊維の取り込みが少なかったが、比較例No.1よりは容量維持率が向上した。
<No.6〜8>
めっき浴中の炭素繊維濃度を表2のように変化させた他は発明例No.3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。結果を表2に示す。
めっき浴中の炭素繊維濃度を表2のように変化させた他は発明例No.3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、容量維持率を評価した。結果を表2に示す。
Claims (15)
- 銅又は銅合金箔基材と、該銅又は銅合金箔基材表面上に直接又は間接的に設けられ、外側に向かって突出した導電性繊維を有する最外めっき層とを備えたリチウムイオン二次電池用集電体。
- 前記めっき層は導電性繊維を共析させた複合めっき層である請求項1記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 前記めっき層の平均厚さが8μm以下である請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 集電体表面のSEM観察において導電性繊維は平均本数密度が0.02〜1.5本/μm2である請求項1〜3何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 集電体表面のSEM観察において導電性繊維の本数密度が200本/100μm2以上の箇所が10000μm2の面積当たり3箇所以下である請求項1〜4何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 集電体断面のSEM観察において最外めっき層の平均厚さに比べて8μm以上厚い凸状部が3個所以下である請求項1〜5何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 導電性繊維の一部がめっき層内部に入り込んでいる請求項1〜6何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 導電性繊維が炭素繊維である請求項1〜7何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 導電性繊維の平均繊維径が20〜500nmであり、平均繊維長が2〜20μmである請求項1〜8何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 前記基材は粗化処理された基材である請求項1〜9何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 前記めっき層が平均粒径1〜5μmの金属粒子で形成されている請求項1〜10何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 前記金属粒子が銅又は銅合金である請求項11記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
- 請求項1〜12何れか一項記載のリチウムイオン二次電池用集電体と、当該集電体表面上に形成された負極活物質層とを備えたリチウムイオン二次電池用負極。
- 導電性繊維の一部が前記負極活物質層内部に入り込んでいる請求項13記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項13又は14記載のリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池。
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---|---|---|---|
JP2009293098A JP2011134593A (ja) | 2009-12-24 | 2009-12-24 | リチウムイオン二次電池用集電体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015043309A (ja) * | 2013-07-23 | 2015-03-05 | 国立大学法人信州大学 | 電池用電極及びその製造方法 |
CN105336916A (zh) * | 2014-06-20 | 2016-02-17 | 东莞新能源科技有限公司 | 锂离子电池极片及其制备方法 |
WO2023243554A1 (ja) * | 2022-06-16 | 2023-12-21 | 株式会社村田製作所 | 二次電池用電極および二次電池 |
-
2009
- 2009-12-24 JP JP2009293098A patent/JP2011134593A/ja not_active Withdrawn
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CN105336916A (zh) * | 2014-06-20 | 2016-02-17 | 东莞新能源科技有限公司 | 锂离子电池极片及其制备方法 |
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