JP2011133493A - 試料加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料基板から観察すべき領域を含む試料片をイオンビームスパッタ法により分離し、試料を押し込んで保持し、引き抜いて分離するための、根元に比較して先端が細く、該先端部が割れている形状で、該形状により得られる試料片を保持する部位の弾性変形による力で試料片を保持する棒状部材からなるはり部材を用いて、前記試料片を試料基板から摘出し、試料片を載置するための載置台上へ移動させた後、前記はり部材と前記試料片を分離することで該試料片の格納を行う。
【選択図】 図3
Description
第1は、試料片摘出時に試料片および試料基板に対し汚染を生じさせる問題である。従来の技術に示した国際公表特許W099/05506に記載の発明では、前記プローブ先端を前記試料基板の観察領域近傍に固定接続する際、イオンビームアシストデポジション膜(以下、デポ膜)またはイオンビームスパッタ粒子再付着膜を介して両者間の接続固定を行う。このため、デポ膜の原料となるアシストガス供給時に試料片の観察領域およびその近傍の領域をアシストガスで汚染させてしまうという新たな問題が生じた。一度、汚染された領域は範囲を特定することが困難である。また、次工程以降では不良発生の原因ともなる。更に、工程によっては汚染領域を拡大させる場合もあり、次工程以降での観察、分析には使用できないと言う問題があつた。
上記課題に対して、本発明の目的は、微小な試料片およびまたはその周辺領域を汚染せずに、確実かつ高スループットで、安定的に微小試料片の分離、摘出、格納を行う装置および方法を提供することにある。
この膜により接続固定させた後に、試料保持機構を動作させる。相対的移動によりはり部材と試料片を分離する。試料片の一部を載置台に接続固定した状態で、試料片を保持しているはり部材の一部をイオンビームスパッタ法により切除する。これにより試料片とはり部材を分離することも可能とする方法を用いることが出来る。以上のステップまでを真空容器中で実施することも可能とする。即ち、試料基板から観察領域を決定し、その必要な部分を試料片として試料基板から物理的力で保持して取り出しTEM用試料として薄膜化する部分までを真空容器内で加工することを可能とした。
また、真空容器内で試料片を分離、摘出、格納することも可能となった。
図1中の1は観察すべき領域を含んだ試料基板であり、例えば、半導体ウェハ、半導体チップまたは、ガラス基板や結晶基板でも良い。本実施例では、試料基板1として半導体ウェハを例に説明する。図1中2は、試料基板1を載置し、移動可能なステージを示す。本実施例ではX、Y、Z、回転、チルトの5軸を有するユーセントリック動作が可能なステージを使用した。図1中3はイオンビームを発生させるイオン源とイオンビームを所定の位置に照射するためのイオンビーム光学系からなるイオンビーム照射光学装置であり、試料基板1から観察領域を含む試料片を分離、または分離摘出した試料片の加工を行うためのイオンビーム21を供給するものである。図1中4は試料片を保持する試料保持機構で、その先端には、根元に比較して先端が細く、該先端部が試料を保持するための割れている形状を有する棒状部材からなるはり部材5(以下、はり部材5)が取りつけられている。試料片はこの棒状部材自身の弾性変形力により保持される。さらに、試料保持機構4は、はり部材5を回転させる機能を備えており、試料片の保持、摘出時のはり部材5と試料片の位置合わせ等に用いる。図1中6は試料保持機構4を試料基板1に対して移動させる移動機構であり、本実施例ではX、Y、Zの3軸を有する移動機構を使用した。図1中7はステージ2を内包し、イオンビーム照射光学装置3および移動機構6が取りつけられた真空容器であり、図示しない真空排気装置により所望の真空を維持する機能を有している。また、移動機構6は試料保持機構4を分離脱着可能な機能を有し、試料保持機構4の分離脱着時に真空容器7の真空度を維持できるよう開閉式のバルブ(図示しない)を備えている。また、図中41は試料片を格納するための載置台であり、本実施例ではステージ2の試料基板1が搭載される面に配置されている。
第1に、はり部材5の構造が簡素なため、非常に微小な試料片保持のための保持手段を構造が複雑になることなく簡単に得ることができる。第2に、試料片を保持する分岐はり18は金属はり14先端に溝17を加工することで得られる。二枚枚の金属片を位置合わせしながら張り合わせて形成した溝に対し、一体金属からビーム加工で作り出された分岐はり18は先端の位置合わせが不要となる。第3に、試料片は溝17に挿入され、分岐はり18に押し込まれることで保持されるため、単純な動作で試料片を保持できる。第4に、分岐はり18の弾性変形により試料片を保持するための保持力を得ることができるため、試料片を安定的かつ、確実に保持できる。第5に、摘出する試料片の特性に合わせて、はり部材5を選択することで、多種類の試料片の摘出に対応できる。第6に、分岐はり18の形状を摘出する試料片に合わせて選択することで様々な形状の試料片の摘出に対応できる。
第1に、試料片を保持する際の試料片と試料片を挿入する溝の位置合わせを小さい回転量で回転させることにより行うことができる。第2に、試料片を保持固定する溝により分割された「はり」として、より細い分岐したはりを得ることができる。このため、試料片保持時の分岐はりの変位量を大きく取ることができ、一つの試料片を保持する手段で広範囲の大きさの試料片に対応が可能である。第3に、試料片と分岐はりの接触点を多くとることが出来るため、より安定的な試料片の保持が可能となる。第4に、溝28と29の溝幅を異なる幅とし、試料片に対してどちらか一方の溝幅を選択することで、異なる幅を有する試料片の保持を一つの試料片を保持する手段で行うが出来る。第5に、溝28と29の溝幅を異なる幅とすることで、一つの試料片を保持する手段で断面形状の異なる分岐はりを得ることができるため、試料片保時の分岐はりの弾性変形量を選択でき、結果的に試料片の保持力を選択することが可能となる。また、本実施例では溝により分割された分岐はり30として、4つに分岐したはりを例に説明したが、分岐はりの数および形成される溝の数および幅の種類は、任意に選択できることは言うまでもない。したがって、溝により分割された分岐はりが3つ股である場合や、それ以上の数に分岐した分岐はりにおいても上記発明の効果を得ることが出来る。
まず、金属はり14を電解研磨法またはエッチング法により金属はり14の根元に比較して先端が細い形状16に加工する (図6a) 。本実施例では金属はり14にφ50μmのタングステンを使用し、電解研磨法により先端が数μm程度に細くなるように形状16を加工した。先端が形状16に加工された金属はり14を前述の試料保持機構4にホルダ8を介して取り付ける。先端が円錐形の金属はりは実施例1で説明の試料加工装置としてのイオンビーム加工装置に装着した後、FIB21の照射範囲内に設置する。続いて、円錐形金属はり14の形状16先端にFIB21を照射、走査する。
これにより溝28が形成され、溝28により分割された分岐はり30'が形成される (図6b) 。この段階で、実施例1図3bに示した2分割の分岐はりの形状が形成される。図6bの溝28、分岐はり30'がそれぞれ図3bの溝17、分岐はり18に対応する。次に金属はり14を図示しない試料保持機構4に設けられた回転機構を用いて90度回転させ、さらに、FIB21を照射、走査し、溝29を形成し、溝29により分割された分岐はり30が形成される。以上により、先端が2つの溝28、29により分割された4つの分岐はり30を得る。また、必要に応じて、FIB21を分岐梁の外形部である形状16に照射、走査することで、分岐はりの形状を整形して所望の形状を得る。
図7aは、図7b中に点線で示した仮想平面65を矢印66方向からみた断面図を模式化したものである。図7a中の記号Hは分岐はり根元の高さ、Lは分岐はりの長さ、Bは分岐はりの幅、Yは分岐はり先端を基準として分岐はり長さ方向Xの位置における分岐はりの高さを示す。上記の各記号で表される寸法が下記の式により定まるはりの形状を平等強さはりといい、はりの先端に荷重Wが加わったときに、はりの任意の断面に生じる曲げ応力が等しくなるはりである。
H = ( 6・W・L / B・σ)1/2-----------(数2)
V = 8・W・(L/H)3 / B・E------------(数3)
ただし、ここで、σは、はりに生じる一応な曲げ応力を示し、本実施例では金属はりを構成する材料の0.2%耐力に相当する。また、数3Vははり先端の変位量、数1,2,3中のWは変位量Vが生じたときに、はり先端に生じる荷重を示している。
試料片の保持時に分岐はりに生じる曲げ応力が、分岐はりの各断面で一様であり、かつ、分岐はりを構成する材料の0.2%耐力以下となるように、上記の条件を近似的に満たす分岐はりを製作し、繰り返し安定的な試料片の保持が可能な分岐はりを得ている。このような平等強さはりは外形が理想形状で有るがこれに近い外形形状でも例えば図3dのような電解研磨で作られた先端から根元にかけて単調増加のカーブ形状であっても良い。本実施例で製作した分岐はりは、例えば、電解研磨を用い分岐はりの材質としてタングステンとし、外形が先端から根元にかけて単調増加した分岐はりは、根元高さ(H寸法)3.3μm、分岐はり長さ(L寸法)29.5μm、B寸法に近似的に相当する寸法として分岐はりの根元部の幅を4.4μmとして、分岐はり先端の変位を0.5μmの条件で、分岐はりの弾性変形による試料片保持力(分岐梁1本当たり)が1.3x10-5kgを得ることが出来る分岐はりである。
第1に、試料片の載置の工程は、試料片の取り出しに対しイオンビームアシストデポジション膜によりはり部材を接着することがないため汚染する要因がない。
載置台が試料基板と同じ真空容器内または試料基板の近くに配置されていても、試料基板を汚染することが無い。
第2に、試料片を摘出する装置は物理力を利用している。イオンビームアシストデポジション膜のような化学反応によらないため装置の周囲に対してもほとんど汚染が少ない。内に汚染となる要因を持ち込まずに試料片を載置できるため、装置自体を汚染する要因がない。第3に、本実施例に示した方法は載置台上に設けた溝に試料片を挿入固定するだけの簡便な方法によりTEM観察試料片を得られるため、TEM観察試料片を短時間で容易に製作が可能である。
さらに、保持はりの一方が弾性変形せずに、他方の保持はりの弾性変形による保持力のみによって試料片の保持を行ってもよい。図中55は載置台41上に設けられた突起部であり、試料片25と試料片25を保持したはり部材5(図示せず)の分離の際に、はり部材5を該突起部55方向に移動させ、試料片の一端を該突起部55に接触させることで、試料片が隙間54から外れないように規制する役割を果たす。
第1に、試料片の接続固定の際に、載置台に特別な加工等を施すの必要がなく、任意形状の載置台に試料片を載置することが可能である。第2に、試料片と載置台の接続固定にイオンビームアシストデポジション膜を用いることで、両者の高い接続強度を得ることが出来るため、試料片とはり部材の分離の工程が確実かつ、安定的に行え、さらに、試料片を載置した状態での載置台のハンドリングが容易となる。第3に、載置台の形状を選ばず、任意形状の載置台を用いることが出来るため、載置台を安価に供給でき、さらに、任意のTEM装置等に容易に取り付けが可能となる。
さらに、電子線ビーム等による観察は必ずしも、実施例1で説明した本発明の試料加工装置を使用する必要はなく、実施例1で説明したように試料片25を試料保持機構4ごと他の走査電子線顕微鏡(SEM)等の分析装置へ再装着して実施してもよい。
(1)観察すべき薄片部のアシストガスによる汚染がなく、クリヤな像が得られる。
(2)摘出した試料片は載置台、グリッドに容易に設置できるため、TEM試料作製時間が短い。
(3)実施例1の試料作製法に比べて、薄片部完成まですべて試料基板内でのFIB加工によるもので、FIB自動加工によって多数個の薄片試料を無人で作製しやすい。
(4)グリッドは市販品が利用できるため安価でTEM試料が作製できる。
などの効果が得られる。
部材、6…移動機構、7…真空容器、8…ホルダ、9…ベースブロック、10…保護管、11…Oリング、12…回転駆動機構部、13…端子、14,14'…金属梁、15…金属梁固定軸、16…形状
、17…溝、18…分岐梁、20…矩形穴、21…集束イオンビーム、22…垂直溝、23…仮保持部
、24…傾斜溝、25…試料片、26…矢印、27…切欠き部、28、29…溝、30…分岐梁、31…駆動ロッド、32…ワイヤ、33…プーリー、34…転がり玉軸受け、35…プーリー、36…板バネ
、37…回転駆動ロッド、38、39…自在継ぎ手、40…スライダ、41…載置台、42…溝、43、44…矢印、45…切欠き部、46…板バネ、47…溝、48…壁面、49…溝、50…原料ガス、51…イオンビームアシストデポジション膜、52、53…保持梁、55…突起部、56…切欠き部、57
、58…溝、59…部位、60…損失部位、61…レーザビーム源、62…レーザビーム、63…レーザ光学系、64…筐体、65…仮想平面、66…矢印、151…試料基板、152…観察すべき箇所、153…デポ膜、154…FIB、155…溝、156…穴、157…加工側面、158…端部、159…試料片、160a…底部、160b…端面、160c…支え部、161…試料片、161a…厚幅部、162…薄片部、16
3…分岐梁、164…梁部材、165…試料片、167…載置台、168…溝、170…グリッド、171…
開口部。
Claims (8)
- 試料を載置する試料ステージと、
前記ステージを少なくとも内部に有する真空容器と、
前記試料にイオンビームを照射するイオンビーム照射光学系と、
前記試料にイオンビームを照射して前記試料からTEM観察用の試料片を摘出する試料保持機構と、
前記試料保持機構を移動させる移動手段とを有し、
前記試料保持機構は、その先端に溝で分岐された分岐梁を脱着可能な構造であり、
前記試料保持機構は、前記分岐梁を軸中心に回転させる回転機構を備えていることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1記載の試料加工装置において、
前記試料保持機構は、前記試料保持機構の位置をX,Y,Zの3軸に移動させる駆動系を有することを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1又は2記載の試料加工装置において、
前記分岐梁の軸中心は、前記試料保持機構の軸に対して、角度を有することを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1〜3のいずれか記載の試料加工装置において、
前記分岐梁は前記試料ステージ面に対して15度から65度の範囲で傾斜していることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1〜4のいずれか記載の試料加工装置において、
さらに、前記分岐梁を格納する保護管を備えていることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1〜5のいずれか記載の試料加工装置において、
前記試料保持機構は、前記試料片を保持するために前記分岐梁を軸中心に回転させることを特徴とする試料加工装置。 - 請求項1〜6のいずれか記載の試料加工装置において、
さらに、前記真空容器内に、摘出された前記試料片を載置する載置台を備え、
前記試料台には前記試料片が載置される前に当該試料片に合わせた溝が加工され、
前記試料保持機構は、前記載置台に加工された溝に前記試料片を挿入できる姿勢になるよう前記分岐梁を軸中心に回転させることを特徴とする試料加工装置。 - 試料を載置する試料ステージと、
前記ステージを少なくとも内部に有する真空容器と、
前記試料にイオンビームを照射するイオンビーム照射光学系と、
前記試料にイオンビームを照射して前記試料からTEM観察用の試料片を摘出する試料保持機構と、
前記試料保持機構を移動させる移動手段とを有し、
前記試料保持機構は、その先端に溝で分岐された分岐梁を脱着可能な構造であることを特徴とする試料加工装置。
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