JP2011132108A - 高濃度珪酸液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の(a)及び(b)の条件を満たすシリカ微粒子が、シリカ濃度20〜40質量%の範囲で、沸点が100℃以上且つ双極子モーメントが1.0〜4.2D(Debye)の範囲にある含窒素系溶媒を含む分散媒に分散してなる、高濃度珪酸液とする。
(a)前記シリカ微粒子の比表面積が700〜2000m2/gの範囲
(b)前記シリカ微粒子の分子量がポリスチレン換算分子量で100〜20000の範囲
【選択図】なし
Description
(1)下記の(a)及び(b)の条件を満たすシリカ微粒子が、シリカ濃度20〜40質量%の範囲で、沸点が100℃以上且つ双極子モーメントが1.0〜4.2D(Debye)の範囲にある含窒素系溶媒を含む分散媒に分散してなることを特徴とする高濃度珪酸液。
(a)前記シリカ微粒子の比表面積が700〜2000m2/gの範囲
(b)前記シリカ微粒子の分子量がポリスチレン換算分子量で100〜20000の範囲
(2)前記分散媒中に、前記含窒素系溶媒が50質量%以上含まれることを特徴とする前記(1)に記載の高濃度珪酸液。
(3)前記シリカ微粒子が、珪酸アルカリを原料として調製されたものであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の高濃度珪酸液。
(4)高濃度珪酸液におけるSiO2:M2O(Mはアルカリ金属を示す)の質量比が、100:0.002〜100:2の範囲であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高濃度珪酸液。
(5)前記含窒素系溶媒が、ジプロピルアミン、N−メチルホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン又はモノエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の高濃度珪酸液。
(6)前記分散媒が、水を含むことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の高濃度珪酸液。
(7)25℃での粘度が、1.5〜500mP・sの範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の高濃度珪酸液。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の高濃度珪酸液からなるセラミック成形体用バインダー。
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の高濃度珪酸液からなる充填材。
(10)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の高濃度珪酸液からなる黒色顔料。
前記高濃度珪酸液を塗料、保護膜、ハードコート剤などのフィラーとして塗料等に配合した場合、塗料への分散性がよく、得られる塗膜は緻密であるとともに基材との密着性に優れ、また粒子の凝集に基づくクラックの発生や透明性の低下などがほとんど起こることがない。このため、該高濃度珪酸液は、各種塗料、保護膜、ハードコート剤などの他、各種樹脂の充填剤として有用であり、たとえば磁気テープの充填剤、フィルムのブロッキング防止剤などの用途にも好適である。
本発明に係る高濃度珪酸液は、特定の比表面積と分子量を有するシリカ微粒子が、沸点が100℃以上且つ双極子モーメントが1.0〜4.2D(Debye)の範囲にある含窒素系溶媒を含む分散媒に分散してなるものであり、特にシリカ微粒子をシランなどで表面処理することなく、従来、高濃度化が難しかった微小で高比表面積のシリカ微粒子を高濃度で含む珪酸液に関するものである。
しかしながら、含窒素系溶媒を分散媒にした場合、含窒素系溶媒の窒素原子が、シリカ微粒子表面のシラノール基に配位するため、シラノール基同士の脱水縮合を阻害し、それにより高濃度化してもゲル化し難くなると考えられる。
本発明の高濃度珪酸液に分散されるシリカ微粒子は、珪酸アルカリを原料として得られるものである。前記珪酸アルカリとしては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等を好適に使用することができる。中でも、SiO2/M2O(MはNa又はKのアルカリ金属)の質量比が100:0.002〜100:2のものを好適に使用することができ、100:0.01〜100:1.9であることがより好ましく、100:0.05〜100:1.8であることが特に好ましい。SiO2100質量部に対し、M2Oが0.002質量部未満の場合、珪酸液の濃度が高くなるため、シリカ微粒子を高濃度に分散させることができなくなる場合がある。また、SiO2100質量部に対し、M2Oが2質量部を超えると、珪酸液の経時安定性が低下し、熱的変化が大きくなる場合がある。
前記シリカ微粒子を分散させる分散媒としては、沸点が100℃以上且つ双極子モーメントが1.00〜4.20D(Debye)の範囲にある含窒素系溶媒を用いることが好ましい。本明細書において、含窒素系溶媒とは、その構造中に窒素原子を含有する溶媒である。沸点が100℃以上の溶媒とするのは珪酸水溶液の水系溶媒と置換する際に、溶媒置換とするためである。また、本発明において、含窒素系溶媒の双極子モーメントは1.0〜4.2D(Debye)であることが好ましく、1.01〜4.09であることがより好ましい。含窒素系溶媒の双極子モーメントが1.0D未満であると、シリカ微粒子の安定性が低くなり、経時的に安定させることができなくなる場合がある。また、含窒素系溶媒の双極子モーメントが4.2Dを超えると、珪酸液の粘度が高くなるため、シリカ微粒子を高濃度に分散させることが出来なくなる場合がある。
例えば、まず、珪酸アルカリを溶解した水溶液をイオン交換処理、イオン交換処理等により脱アルカリし、珪酸水溶液を得る。次に、この珪酸水溶液を濃縮した後、含窒素溶媒を含む分散媒を加えて分散させることにより製造することができる。
[珪酸液中のシリカ成分の分子量]
連続角度光散乱光度計CALLS−100(大塚電子株式会社製)を使用して、光散乱法を利用して珪酸液中のシリカ成分の分子量を測定した。測定条件は次の通りである。
光源:ヘリウム−ネオンレーザー、検出器:2次元CCD検出器、セル室温度:15〜40℃、カメラ露光時間:0.1〜10秒、角度範囲10〜170度、分子量測定範囲:1×103〜2×107MW
下記(A)及び(B)の測定結果から、SiO2/Na2O比(質量比)を算定した。
(A)Naの含有量測定方法は以下の通りである。
1)高濃度珪酸液約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量する。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し,蒸発乾固する。
3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解する。
5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とする。
6)試料溶液中に存在するナトリウムの含有量を、原子吸光分光光度計(商品名:Z−5300、株式会社日立製作所製)により、測定モード:原子吸光測定波長範囲190〜900nm、検出波長:589.0nmで測定した。フレームにより試料を原子蒸気化し、その原子蒸気層に適当な波長の光を照射した際に、原子によって吸収された光の強さを測定し、これにより試料中の元素濃度を定量した。
(B)シリカ微粒子中のシリカ含有量測定
高濃度珪酸液10gに50%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量する。次に、秤量した固形物を微量の50%硫酸水溶液に溶かし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15分焼成後、冷却して秤量する。これらの重量差よりシリカ微粒子中のシリカ含有量を求めた。
(A)及び(B)の測定結果より、SiO2:Na2Oの質量比を算定した。
高濃度珪酸液50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30vol%/ヘリウム70vol%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、高濃度珪酸液の比表面積を算出した。
粘度計(東機産業株式会社製、TV−10)にて、室温で高濃度珪酸液の粘度測定を行った。粘度は、粘度計のローターの回転数60rpmにて測定した。各実施例及び比較例で調製した高濃度珪酸液(シリカ濃度35質量%)300gを円筒型のガラス製保存ビン(高さ20cm)に注入し、製造初期、25℃で30日保存時、及び、25℃で100日保存時に粘度を測定した。
測定用サンプル約50gをポリエチレン製のサンプル瓶に採取し、これを25℃の恒温槽に30分以上浸漬した後、pH4、7および9の標準液で更正が完了した株式会社堀場製作所製のpHメータF22のガラス電極を挿入して、pHを測定した。
シリカ濃度7質量%の珪酸ナトリウム(3号水硝子)の7,000gを限外モジュール(旭化成株式会社製,SIP−1013)に通液し濾水を回収し精製水硝子を得た。この精製水硝子のシリカ濃度が5質量%になるように純水を添加した。そして、このシリカ濃度5質量%の水硝子6,500gを強酸性陽イオン交換樹脂SK1BH(商品名、三菱化学株式会社製)に通液させることで珪酸水溶液6,650gを得た。得られた珪酸水溶液のシリカ濃度は4.5質量%であった。以下の実施例及び比較例では、この珪酸水溶液を使用した。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにNMP(N-メチルピロリドン)を209g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。続いて、NMPを加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにジプロピルアミンを209g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。続いて、ジプロピルアミンを加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにN−メチルホルムアミドを209g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。続いて、N−メチルホルムアミドを加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにN−メチルホルムアミドを52.3g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。続いて、イオン交換水を加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにトリエチルアミンを209g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。続いて、トリエチルアミンを加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにN−メチルアセトアミドを209g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。続いて、N−メチルアセトアミドを加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
珪酸水溶液(シリカ濃度4.5質量%)1300gにエチレングリコールを209g添加して10分間攪拌し、ロータリーエバポレーターを用いてバス温度80℃、減圧度740mmHgの条件でシリカ濃度37質量%まで濃縮した。つづいて、エチレングリコールを加えて希釈し、シリカ濃度35質量%の高濃度珪酸液を得た。この高濃度珪酸液について、シリカ微粒子の比表面積、SiO2/Na2O比(質量比)、分子量、pH、粘度を測定した。結果を表1に示す。
Claims (10)
- 下記の(a)及び(b)の条件を満たすシリカ微粒子が、シリカ濃度20〜40質量%の範囲で、沸点が100℃以上且つ双極子モーメントが1.0〜4.2D(Debye)の範囲にある含窒素系溶媒を含む分散媒に分散してなることを特徴とする高濃度珪酸液。
(a)前記シリカ微粒子の比表面積が700〜2000m2/gの範囲
(b)前記シリカ微粒子の分子量がポリスチレン換算分子量で100〜20000の範囲 - 前記分散媒中に、前記含窒素系溶媒が50質量%以上含まれることを特徴とする請求項1に記載の高濃度珪酸液。
- 前記シリカ微粒子が、珪酸アルカリを原料として調製されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高濃度珪酸液。
- 高濃度珪酸液におけるSiO2:M2O(Mはアルカリ金属を示す)の質量比が、100:0.002〜100:2の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液。
- 前記含窒素系溶媒が、ジプロピルアミン、N−メチルホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン又はモノエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液。
- 前記分散媒が、水を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液。
- 25℃での粘度が、1.5〜500mP・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液からなるセラミック成形体用バインダー。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液からなる充填材。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の高濃度珪酸液からなる黒色顔料。
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