JP2011131097A - インターベンショナルmri用の磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

インターベンショナルmri用の磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】治療時に、穿刺ターゲットと穿刺開始位置や穿刺経路を容易に把握できるようにする。
【解決手段】被検体内に挿入するデバイスの操作を伴うインターベンショナルMRIに用いられると共に、所定のパルスシーケンスに基づく磁場を被検体に印加することで得られるMR信号を用いて断面の画像を得る磁気共鳴イメージング装置において、術前計画手段と、出力手段とを備える。術前計画手段は、デバイスの操作に関する計画を前記画像を用いて操作前に立てる。出力手段は、術前計画手段により立てられた計画を被検体に関連させて出力する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、インターベンショナルMRI(磁気共鳴イメージング)と呼ばれるイメージングを実施するための磁気共鳴イメージング装置に関する。
磁気共鳴イメージングは、均一な静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをそのラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号から画像を再構成するイメージング法である。
この磁気共鳴イメージング法は近年、様々な医療分野で使用されるようになっている。その1つに、磁気共鳴イメージングを行いながら又はそのような磁気共鳴イメージングが可能な環境下で、被検体に対して、体外から穿刺針による穿刺、カテーテルの操作、さらには手術などを行う治療や検査がある。このような治療や検査において実施される磁気共鳴イメージングは、インターベンショナルMRIと呼ばれ、近年富みに注目されている。
このインターベンショナルMRIでは、患者に挿入されたカテーテル等のデバイスの位置を術者に実時間で且つ正確に伝えることが重要であり、そのための方法が現在、研究中である。術者がデバイスの位置を実時間で正確に知ることは、手術の安全性と迅速化に不可欠である。
このカテーテル等のデバイスの位置を把握する1つの方法として、通常の磁気共鳴イメージング法を用いるものが知られている。つまり、通常の磁気共鳴イメージングを行ってカテーテルの位置を直接、画像化し、術者にその位置を表示する手法である。この手法の場合、カテーテルを直接に画像化してはいるが、物理的な側面からみれば、カテーテルの磁場に対する影響を間接的に虚像として収集し、これを画像上で認識させる手法である。
また、別の方法として、カテーテルの位置を直接に測定する手法が知られている。この場合、カテーテルの先端には微小なRF受信(検出)コイルが設けられる。測定時には、イメージング用RF励起に伴うRF受信コイル近傍のMR信号を3軸方向それぞれの傾斜磁場を印加しながら検出し、その信号の周波数を測定することにより、カテーテル先端位置を3次元的に算出し、その先端位置を表示器に表示させるものである。
このRF受信コイルを用いた測定法は、例えば、非特許文献1に示されている。
非特許文献1に記載の測定法によれば、パルスシーケンスの実行に際し、最初に、RFパルスで診断部位全体が励起され、次いで、Xチャンネルの傾斜磁場を変化させて、エコー信号が検出される。このエコー信号がFFT(Fast Fourier Transform)処理に付されることで、周波数スペクトラムのピーク値の共鳴周波数からのずれ量が算出される。このずれ量と傾斜磁場強度とからX軸方向のRF検出コイル(カテーテル先端)の位置情報が求められる。続けて、Yチャンネル、Zチャンネルについても、同様に、RF励起が行われた後、傾斜磁場を変化させて、各チャンネルのRF検出コイルの位置情報が算出される。これにより、カテーテル先端の3次元位置情報を得ることができる。
さらに、このRF受信コイルを用いた直接測定の別の例として、カテーテルに複数のRF受信コイルを装着し、カテーテル全体位置を把握・表示する技術も知られている。
一方、インターベンショナルMRIでは、例えば、腫瘍などのターゲットに向けて穿刺針などのデバイスを徐々に刺していく穿刺作業が行われる。この場合、穿刺針が予定した方向に進んでいるか、さらには穿刺針がターゲットに到達したか否かなどの穿刺状態を逐次、確認する必要がある。
この穿刺状態を確認するには、従来では、穿刺開始前に撮像した穿刺開始位置とターゲットとを含む撮像断面を用いている。つまり、穿刺作業中には、ターゲットと穿刺針を含む面を連続的に撮像するとともに、既に穿刺開始前に撮像してある撮像断面を基準面として参照しながら、穿刺状態を監視するようにしている。
しかしながら、上述した従来技術には、以下のような未解決の課題があった。
まず、カテーテル等のデバイスの位置検出に関する課題がある。
第1に、従来の通常イメージング法に拠る位置検出の場合、デバイスの磁場に対する影響を間接的に画像化する手法であるため、イメージング方法、カテーテルの位置、方向、およびその材質、並びに、撮像方向に応じて画像上でのデバイスの形状、位置ずれ、および/又は輝度が変化し、正確なデバイスの先端位置を術者に提示することは困難であった。さらに、イメージング用のパルスシーケンスを用いるため、ある時刻の位置を得るには1回の通常撮像分の時間が必ず必要になり、したがって、デバイスの先端位置の表示分解能が低いという問題もあった。
第2に、RF受信コイルをカテーテルなどのデバイスの先端に取り付ける従来法の場合、画像にはコイル位置のみの1点(点状物体)しか表示されない。このため、デバイス全体の位置を把握し難いし、デバイスの現在向いている方向と、この後に穿刺する方向との把握が難しいという問題がある。また、この場合、カテーテルの先端が手ぶれ等に因り、空間的に僅かにずれただけで、正確な位置判断ができなくなる。
第3に、複数個のRF受信コイルをデバイスに取り付ける手法の場合、それらの位置検出をコイル数分、行う必要があるため、システムが複雑化するとともに、位置測定に時間が掛かるという問題がある。
一方、穿刺針などのデバイスの穿刺状態の監視に関しては以下のような未解決の問題があった。
第1に、従来の穿刺状態の監視法にあっては、穿刺開始前に求めた基準面(穿刺開始位置とターゲットとを含む撮像断面)が患者の呼吸や体動などに因ってずれてしまうことが多い。このため、予定していた経路での穿刺をスムーズに行うことができず、穿刺作業に多大な時間と労力が掛かる。場合によっては、治療や検査に支障が出ることもあった。
第2に、術者が穿刺針を基準面とは異なる方向に進めてしまった場合、針先が基準面から外れてしまい、画像には映らなくなる。このため、従来の監視法は、微細な作業を伴う穿刺作業には適していなかった。
第3に、術前計画と実際の治療時との隔たりの問題がある。通常、穿刺開始前には、事前に撮像しておいた参照画面を元に穿刺開始位置および穿刺経路などの穿刺計画(術前計画)が立てられる。しかし、この計画位置や穿刺経路はあくまで画面上でのことであって、実際に穿刺する患者体表上の位置とは感覚的に隔たりがある。このため、術者が穿刺開始位置や穿刺経路などの位置関係を把握するのに必要以上に時間が掛かり、患者スループットが低下するとともに、穿刺状態が計画した穿刺開始位置や経路からずれてしまうことも頻発していた。
本発明は、上述した従来の様々な問題に鑑みてなされたもので、インターベンショナルMRIにおけるデバイスの位置検出およびその提示、デバイスの穿刺状態の確認、並びに、術前計画に関して以下のような改善を行うことを目的する。
具体的には、本発明の目的は、治療時に、穿刺ターゲットと穿刺開始位置や、穿刺経路を容易に把握できるようにすることである。
一実施形態では、被検体内に挿入するデバイスの操作を伴うインターベンショナルMRIに用いられると共に、所定のパルスシーケンスに基づく磁場を前記被検体に印加することで得られるMR信号を用いて断面の画像を得る磁気共鳴イメージング装置において、デバイスの操作に関する計画を前記画像を用いて操作前に立てる術前計画手段と、この術前計画手段により立てられた計画を被検体に関連させて出力する出力手段とを備える。
これにより例えば、被検体の体表に、穿刺開始位置などの穿刺計画情報が実際に指し示される。この指示は例えば、投光器を用いて光を体表上に投影することで行われる。これにより、術者は、実際の作業対象である被検体の体表上で、例えば、穿刺ターゲット、穿刺開始位置、穿刺経路などの穿刺に必要な項目を容易に目視により確認し、把握することができる。
磁気共鳴イメージング装置の1つの態様によれば、例えば、被検体の実際の体表上に穿刺計画で立てた情報を投影・指示するので、術者は単に画面だけを参考にした場合に比べて、穿刺開始位置や穿刺ターゲットの位置を直感的に認識でき、より確実で迅速な検査および治療の作業を行うことができる。
第1の実施形態に係るオープン型の磁気共鳴イメージング装置の概略構成を示すブロック図。 カテーテル先端の軌跡表示処理の概要を示すフローチャート。 カテーテル先端の軌跡表示の一例に係るモニタ画面の図。 カテーテル先端の位置検出に使用されるパルスシーケンスの概要図。 カテーテル先端の軌跡表示の一例を示す図。 カテーテル先端の軌跡表示の別の例を示す図。 カテーテル先端の軌跡表示の別の例を示す図。 第2の実施形態に係る、参照像を伴ったカテーテル先端の軌跡表示の一例を示す図。 第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の概略構成を示すブロック図。 穿刺針に対する位置センサの取付け位置を示す図。 穿刺針に対する位置センサの取付け状態を示す別の図。 穿刺針に対する位置センサの取付け状態を示す別の図。 穿刺針に対する位置センサの取付け状態を示す別の図。 穿刺針に対する位置センサの取付け状態を示す別の図。 第4の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置において実施される、穿刺開始位置などの穿刺計画情報を患者体表に直接示す構成を説明する図。 穿刺計画を立てるときに表示する画像の模式図。 穿刺開始位置を指示する構成の変形例を説明する図。 投光器の取付け状態の他の例を説明する図。 第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置で実行される術前計画の概要を説明するフローチャート。 第5の実施形態における術前計画を説明する模式図。 術者によるデバイスの初期挿入角度の設定をアシストする処理を示す概要フローチャート。 治療・検査用のデバイスとしてのカテーテルに対する位置センサの取付け状態を説明する図。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る各種の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜4を参照して、第1の実施形態を説明する。この実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置は、所謂、オープン型のシステムとして構成されている。このオープン型のシステムは、被検体へのアクセスが容易なため、インターベンショナルMRIには好適である。
この磁気共鳴イメージング装置の概略構成を図1に示す。この磁気共鳴イメージング装置は、被検体としての患者を静磁場中に置くためのオープン型ガントリGNを備える。このガントリGNは、横磁石配列の例えば超伝導磁石で構成される静磁場磁石1を有し、この磁石1を4本柱で支持する構造になっている。静磁場磁石1は、対向する1対の円板状磁石をその上下の構造体にそれぞれ有し、それらの間の診断用空間に、静磁場電源2からの電源を受けて駆動して均一強度の静磁場を発生させる。この診断用空間に、寝台16の天板16Aに寝かされた患者が挿入される。
磁石1の診断空間側の壁位置には、傾斜磁場コイル3および送信RFコイル7Tが設置されている。また、天板16A上の被検体Pの診断部位近傍には、受信RFコイル7Rが配置される。磁石1の診断空間側の壁位置に取り付けるRFコイルが送信および受信の両方を兼ねる構成であってもよい。
傾斜磁場コイル3は、与えられたパルスシーケンスに基づいて静磁場に重畳するスライス方向、位相エンコード方向、および読み出し方向の傾斜磁場パルスを発生させるx、y、およびzコイル(図示せず)から成る。この傾斜磁場コイル3は傾斜磁場アンプ4に接続されている。傾斜磁場アンプ4はシーケンサ(シーケンスコントローラ)5から与えられるX軸、Y軸、Z軸(ガントリGNに設定される物理軸)方向の傾斜磁場に対する制御信号を受けてx,y,zコイルに供給するパルス電流の印加を制御する。これにより、スライス方向、位相エンコード方向、および読み出し方向の傾斜磁場が制御される。
送信RFコイル7Tおよび受信RFコイル7Rは送信器8Tおよび受信器8Rにそれぞれ接続されている。この送信器8Tおよび受信器8Rもまたシーケンサ5に接続されている。送信器8Tはシーケンサ5から送られてきた制御信号を受け、これに応答して送信電流パルスを送信RFコイル7Tに送る。これにより、RFコイル7TからRF磁場パルスが発生し、患者の診断部位を含む、例えば全身領域に印加される。
このRF磁場パルスの印加に呼応して発生したMR信号は、受信RFコイル7Rにより受信され、対応するRF電流として受信器8Rに送られる。受信器8Rは、受信RF電流に増幅、検波、デジタル化などの所定の受信処理を施し、デジタル量のMRデータとしてシーケンサ5を介して演算ユニット10に送る。
シーケンサ5はCPUおよびメモリを備えており、スキャン時には、ホスト計算機6から渡されるパルスシーケンス情報に基づいて傾斜磁場アンプ5および送信器8Tの駆動を制御する。
ホスト計算機6はCPUとメモリを備えて構成され、装置全体の駆動タイミング制御、撮像のためのスキャン制御などの処理を実行する。ホスト計算機6には、記憶装置11、表示器12、および入力器13が接続されている。ホスト計算機6は、スキャン制御として、パルスシーケンス情報を演算してシーケンサ5に渡す。
ホスト計算機6およびシーケンサ5にはまた、演算器10が接続されている。演算器10は、画像の再構成処理および後述するカテーテルの移動軌跡表示処理を行う。再構成処理として、演算器10は、シーケンサ5を介して受信MRデータを取り込み、2次元又は3次元のk空間(フーリエ空間または周波数空間)に配置した後、2次元又は3次元のフーリエ変換を施して実空間の画像データに再構成する。また、演算器は、カテーテルの移動軌跡表示処理を行う。即ち、シーケンサ5を介して受信MRデータを入力し、このデータに基づいてカテーテルの全体像を表示する処理を行う。
一方、この磁気共鳴イメージング装置のガントリGNは、上述した如くオープン型であるので、インターベンショナルMRIを実施するのに都合がよい。本実施形態では、インターベンショナルMRIとして、カテーテル17を被検体Pの内部に挿入して必要な処置を行う態様について説明する。
カテーテル17の先端には、微小なRF検出コイル18が取り付けられている。このRF検出コイル18は、送信RFコイル7Tに対して受信コイルとして機能する。このRF検出コイル18は細いケーブル19を介して、その受信信号が受信器8Rに送られるようになっている。
また、カテーテル17の手元部には、時刻のデータに目印を付けるために入力装置20が装着されている。このため、オペレータがこの入力装置20を操作すると、その操作信号がシーケンサ5を介して演算器10に送られるようになっている。
なお、カテーテル17はインターベンショナル・デバイスの代表例として説明されるもので、その他のインターベンショナル・デバイスとしては、例えば、穿刺針、ガイドワイヤ、内視鏡スコープなどであってもよい。
続いて、ホスト計算機6、シーケンサ5、および演算器10が協働して実行する図2に示すカテーテルの移動軌跡の表示処理を中心に、この磁気共鳴イメージング装置の動作を説明する。
まず、ホスト計算機6の管理下において、カテーテル17の位置を表示するための参照画像が通常のMRイメージング、即ち、送信RFコイル7Tおよび受信RFコイル7Rを使ったイメージングが実施される(ステップS1)。
次いで、カテーテル17の先端位置の3次元位置データが、ホスト計算機6の管理下で、シーケンサ5および演算器10と共に検出される(ステップS2)。この3次元位置検出は、図4に示すように、Xチャンネル、Yチャンネル、Zチャンネルそれぞれについて、RF励起、傾斜磁場パルスの印加(グラジェントエコーの発生)、エコー信号の収集、エコー信号のフーリエ変換処理(共鳴周波数からのずれ量演算)、および各軸方向の位置データへの変換を行うことで行われる(ステップS2)。
次いで、演算器10はカテーテル17の手元部に在る入力装置20からの操作信号の入力を判断することで、時刻のデータに目印を付けるか否かを判断する(ステップS3)。この判断がYESのときには、その時点の時刻のデータに、例えばフラグを立てることで目印を付ける(ステップS4)。この目印処理は、オペレータが入力装置20を操作する適宜なタイミング毎に実施される。オペレータは表示器12に表示された、カテーテルのモニタ画面を見ながら、適宜なタイミングで入力装置20を操作する。
次いで、演算器10は、時系列における前回の目印と今回の目印の間に収集されたカテーテル17の先端の3次元位置データが1つのグループデータとして設定される(グループ化)(ステップS5)。
この後、演算器10は、グループ化された3次元位置データが記憶装置11に保存する(ステップS6)。なお、上述のステップS3において、目印を付ける旨の操作信号が無いとき(NOの場合)も、収集した3次元位置データは記憶装置11に保存される(ステップS6)。
さらに、演算器10は、時刻データの更新(時刻の再計算)を行った後(ステップS7)、データ表示の属性(輝度、カラーなど)に対する値を計算し(ステップS8)、データ表示の属性を更新させる(ステップS9)。
このデータ表示の属性更新は、位置データのグループ毎に表示状態を変えて、カテーテル17の先端部の位置を際立たせると共に、その全体像をも表示するために実施される。例えば、位置データ収集から表示までの所要時間に反比例した輝度を計算し、この輝度値を位置データのグループ毎に割り当てる。これにより、時系列的に最も新しいグループの位置データには最も高い輝度が割り当てられ、次に新しいグループの位置データにその次に高い輝度が割り当てられる。つまり、収集された時刻が旧くなるほど、位置データの輝度がグループ毎に下げられる。
このように、カテーテル17の先端位置を表す3次元位置データの表示情報が揃うと、この位置データを参照画像に重ねて表示する(ステップS10)。この後、再び、ステップS2に戻り、カテーテル先端の位置検出が行われる。以下、上述した位置検出および表示の処理が繰り返される。
この繰返しによって、表示器12には、例えば図3に示すカテーテル像がモニタ画像として表示される。参照画像IMrefを背景として、これにカテーテル17の軌跡が重畳表示される。カテーテル17の軌跡は、微小時間毎に定期的に実行される先端位置出検処理(図2、ステップS2)によって取得された位置データの集合体として表示される。この軌跡の画像は、入力装置20をオペレータが操作して出力された操作信号に呼応して、適宜なタイミング毎にグループ化(G1,G2,G3)されている。そして、グループ毎に表示状態が異なっている。ここでは、時系列的に最も新しいグループG1の軌跡の輝度が最も高く、次に新しいグループG2のそれがその次に高く、最も旧いグループG3のそれが最も低い輝度になっている。
これにより、カテーテル17の先端位置は勿論のこと、その全体像も容易に把握することができる。
なお、上記実施形態において、時刻の目印処理によってグループ化された位置データについては、上述した輝度調整に加えて、又は、上述した輝度調整とは別に、非表示の処理、再表示の処理、新たに輝度を調整する処理、色相を調整する処理、位置を補正する処理を行うようにしてもよい。これにより、カテーテルを引き戻したり、進める場合にも、カテーテルの先端位置およびその全体を確実に観察することができる。また、上述した目印処理によるグループ化表示において、輝度調整に代えて、色相と輝度の両方を変えるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、時刻の目印処理によって位置データをグループ化して表示するようにしたが、このグループ化は必須ではない。つまり、前述した実施形態のように、カテーテル先端の位置データを連続的に検出して時系列に記憶するとともに、この記憶した位置データを最新の時刻を基準とした所定の表示態様で変調することによっても、カテーテル先端の軌跡を表示することができる。
この表示例を図5〜7に示す。図5に、輝度を時刻に応じて変調する態様でカテーテル先端の軌跡を表示した例を示す。この表示例の場合、一例として、現時点(最新の時刻)で検出された位置データは最高の輝度に変調され、それよりも旧い時刻で検出された位置データは一括して最高輝度よりもやや低い輝度で変調される。なお、かかる旧い時刻で検出された位置データであっても、時刻の旧さに応じて輝度を徐々に下げるように変調してもよい。
また、図6に、色相を時刻に応じて変調する態様でカテーテル先端の軌跡を表示した例を示す。この表示例の場合、一例として、現時点(最新の時刻)で検出された位置データは所定の色相(例えば赤)に変調され、それよりも旧い時刻で検出された位置データは一括して別の色相(例えば青)で変調される。この場合も、かかる旧い時刻で検出された位置データであっても、時刻の旧さに応じて色相を赤系統から青系統の色に徐々に変えるように変調してもよい。
また、図7に、位置データを間引くことによりカテーテル先端の軌跡を点線状に表示した例を示す。この表示例の場合、一例として、検出時刻が過去に遡るほど、位置データの間引き率は大きく設定される。これにより、現在の先端位置になるほど、点線表示における点の密度が濃くなって、その軌跡が明瞭になる。
なお、図5〜7に示す表示態様の処理において、カテーテルの進む方向を位置データの時間差分により計算し、その方向がカテーテルを引き戻す方向に動いた場合、その対応する位置までの表示を消去するか、又は、表示態様を変化させるようにしてもよい。
以上の図5〜7の表示例によれば、時刻に応じて位置データの輝度、色相、又は間引き率を変えることで、現時点におけるカテーテル先端の位置が、過去の先端位置に対して、差別化して明瞭に表示されるとともに、それまでの先端位置の軌跡情報も合わせて提示される。
このため、過去から現在まで全て同じ状態で表示されることはなく、カテーテル先端の現在の位置および過去の位置を容易に判別することができ、カテーテルを簡便でより正確に操作できる。カテーテルを操作する場合、カテーテルの先端をある位置で前後左右に少しずつ動かすことがよくある。また、手振れなどが原因で、カテーテルの先端がそのように動いてしまうことも多い。かかる事態において、カテーテルの過去の先端位置と現在の先端位置とが重なった場合でも、術者はどの表示位置が現在のカテーテル先端を表しているかについて直ぐに且つ正確に判断できる。
さらに、カテーテル先端部の位置を検出する構成として、微小なRF検出コイルをその先端部に複数個、設けてもよい。一方、かかる検出構成の別の例として、通常撮像のMR画像の画像値から先端位置を画像処理で求めるようにしてもよい。この画像処理を行うときに好適な位置検出センサとして、NMR信号源となり得る物質(水、PVA,オイルなど)を含んだマーカー体を、かかる先端部に取り付けるようにしてもよい。
また、なお、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、ガントリが筒状タイプであっても実施可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態を、図8を参照して説明する。この実施形態で用いられる磁気共鳴イメージング装置もインターベンショナルMRIに適用される。この装置の構成要素は、第1の実施形態のものと同等又は同様であるので、同一符号を用いて記載し、その説明を省略する。
この実施形態で実行する処理は、デバイスとしてカテーテルを用い、そのカテーテルを被検体内に挿入して操作したときのカテーテルの追尾に関する。
上述の第1の実施形態で説明したように、微小なRF検出コイル(マイクロコイル)を用いて操作中のカテーテルの先端を追尾する場合、かかるRF検出コイルからの信号を処理した小さい領域(点状の領域)のみが追尾軌跡として表示される。しかしながら、このような小領域の表示だけでは、カテーテル先端の周りの組織や血管との位置関係が分からず、カテーテルを操作すべきその後の位置や方向を判断し難いこともある。
そこで、本実施形態では、ホスト計算機6、シーケンサ5、演算器10、記憶装置11、および表示器12は協働して以下に示す処理を行う。最初に、事前準備として、カテーテルの操作を行う経路を含んだ断面(スライス)のMR画像(例えばコロナル像)を予め参照像として撮像して保管する。次いで、インターベンショナルMRIを行うときに、前述のようにして検出したカテーテル先端の位置データを、読み出した参照像に重畳して表示する。
図8に、この表示例を示す。同図において、符号Gは血管Bを含む参照像を示し、符号CTはカテーテル先端を示す。
このように表示することで、術者は、微小なRF検出コイルからの信号だけでは分かり難い、カテーテル先端CTの周りの組織や血管との位置関係を容易に把握でき、より正確なカテーテル操作に繋げることができる。例えば、血管の走行方向を案内役にして、カテーテルを操作できる。
なお、この参照像を用いたカテーテル先端位置の表示法において、参照像は、間欠的に更新(例えば毎秒1回)して表示するようにしてもよい。この場合、シーケンサ5および演算器10は、カテーテル先端位置の検出処理の間に、参照像のイメージング処理を割込み方式で実行させればよい。これにより、例えば、カテーテル先端の位置情報は毎秒20フレームで更新され、その一方で、参照像(例えばコロナル像)は毎秒1回更新される。この結果、実際にカテーテルを操作するとき又は操作している最中に例えば患者が動いた場合でも、参照像に表示される周囲組織は、新しく動いた位置における周囲組織に自動的にかつ定期的に更新される。
さらに、この参照像の更新表示において、更新に使用する断面は、所謂、断面追尾の手法で撮像することが望ましい。つまり、微小なRF検出コイルからの信号を用いて、前述のように、このRF検出コイルの位置(つまりカテーテル先端位置)(x,y,z)を演算し、更新断面が常にこの位置(x,y,z)を含むように周知の手法で撮像のパラメータを設定する。これにより、カテーテルの先端位置がほぼリアルタイムに追尾され、表示画面の参照像は常にカテーテル先端を含む画像で更新される。したがって、画面上の参照像からカテーテルの先端位置が見えなくなってしまうという事態を解消でき、デバイスの操作の容易性および正確性をより向上させることができる。
また、第2の実施形態で用いる参照像は、必ずしもコロナル像に限定されるものではなく、アキシャル像やサジタル像であってもよい。また、この参照像として、ターゲットとカテーテル先端とを含む任意のオブリーク面、または、ターゲットと過去のカテーテル経路とを含む任意のオブリーク面の画像を表示させるようにしてもよい。
さらに、参照像として撮像する断面の数は、必ずしも1面に限定する必要性は無く、撮像する断面数に応じて画像更新レートは下がるものの、カテーテル先端とターゲットを含む面及びこの面に直交する2断面、または、カテーテル先端を含む直交3断面に設定することもできる。
(第3の実施形態)
第3の実施の形態を図9〜10に基づき説明する。この実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、インターベンショナルMRIにおいて、撮像断面をデバイスとしての穿刺針に自動追尾させることを特徴とする。この実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置の概略構成を図9に示す。
この磁気共鳴イメージング装置は、被検体としての患者を静磁場中に置くためのガントリ51を備える。このガントリ51は、例えば超伝導磁石で構成される静磁場磁石52を有する。この磁石52が作る空間の一部には均一な強度の静磁場の診断用空間が形成される。磁石52が略円筒状の場合、患者は、図示しない寝台に寝かされた状態で、その体の少なくとも一部が診断用空間に入るように位置させられる。また、磁石52がオープンタイプの場合、患者は、例えば座位または立位で、その体の少なくとも一部が診断用空間に入るように位置させられる。
磁石52の壁体には傾斜磁場コイル53が設置されるとともに、磁石52の内側空間には撮像用のRFコイル54が設置されている。傾斜磁場コイル53は、与えられたパルスシーケンスに基づいて静磁場に重畳するスライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の傾斜磁場パルスを発生させるx、y、およびzコイルから成る。この傾斜磁場コイル53のユニットは傾斜磁場アンプ55に接続されている。傾斜磁場アンプ55はシーケンサ56から与えられるX軸、Y軸、Z軸(ガントリ52に設定される物理軸)方向の傾斜磁場に対する制御信号SGx、SGy、SGzを受けてx,y,zコイルに供給するパルス電流の印加を制御する。これにより、スライス方向、位相エンコード方向、および読出し方向の傾斜磁場が制御される。
RFコイル14は、例えば送信コイルおよび受信コイルを兼用した構造を成し、送信器57および受信器58に接続されている。この送信器57および受信器58もまたシーケンサ56に接続されている。送信器57はシーケンサから送られてきた制御信号Sfを受け、これに応答して送信電流パルスをRFコイル54に送る。これにより、RFコイル54からRF磁場パルスが発生し、患者の診断部位(例えば頭部)に印加される。2次元撮像の場合、この印加と並行してスライス用傾斜磁場も印加されるので、診断部位の所望スライスが選択励起され、このスライスから磁気共鳴現象に因るMR信号が発生する。
発生したMR信号はRFコイル54により受信され、対応するRF電流信号として受信器58に送られる。受信器58は、受信したRF電流信号に増幅、検波、デジタル化などの所定の受信処理を施し、デジタル量のMRデータとしてシーケンサ54を介してホスト計算機57に送る。
シーケンサ56はCPUおよびメモリを備えており、スキャン時には、ホスト計算機57から渡されるパルスシーケンス情報に基づいて傾斜磁場アンプ55および送信器57に与える制御信号SGx,SGy,SGz,Sfを制御する。また、シーケンサ56は、ホスト計算機59から渡される情報に基づいて、X軸、Y軸、およびZ軸方向の傾斜磁場Gx,Gy,Gzを傾斜磁場アンプ55にΔGx,ΔGy,ΔGzだけ調整させ、送信RF信号の周波数fを送信器57にΔfだけ調整させ、さらに受信器58に制御信号Sφを送り、受信器内の位相検波の参照位相φをΔφだけ調整させることができる。
ホスト計算機59はCPUとメモリを備えて構成され、装置全体の駆動タイミング制御、撮像のためのスキャン制御、画像再構成処理、撮像断面を穿刺針などのデバイスに追尾させる制御などを行う。なお、画像再構成処理は専用のプロセッサに任せる構成も採りうる。ホスト計算機59には入力器60、表示器61、および記憶装置62が接続されている。ホスト計算機59は、スキャン制御として、パルスシーケンス情報を演算してシーケンサ56に渡す。また、画像再構成処理として、受信したMRデータを一度、2次元または3次元のk空間(フーリエ空間または周波数空間)に配置した後、2次元または3次元のフーリエ変換を施して実空間の画像データに再構成する。
続いて、図9のブロック構成における、撮像断面を穿刺針に自動追尾させるためのユニット部を説明する。
静磁場磁石52の診断用空間に入れられた又は寝かされた患者Pに対し、穿刺針70を用いて穿刺や検査などの治療が行われるものとする。穿刺針70は固い材料で成る細い針体を有する。この針体の所定2点の位置には、針体の位置を検出するための位置センサ71a,71bが夫々設置されている。
位置センサ71a,71bは、一例として、微小なRF検出コイル(マイクロコイル)、磁気センサ、又は光センサであるパッシブ素子又はアクティブ素子で成り、穿刺作業中(即ち、撮像中でもある)に、磁気的又は光学的な位置信号を発生するか、または、磁気的又は光学的な位置信号を受信して電気的な信号を発生する。
なお、この位置センサとして、NMR信号源(水、PVA、オイルなど)と微小なRF検出コイルとを一体化した受信素子を使用してもよい。この受信素子のNMR信号源の磁化スピンがRF信号により励起されると、MR信号が発生し、この信号がRF検出コイルにより電流パルス(位置検出信号)として検出される。RF検出コイル自体の感度領域は非常に狭小に設定されているが、その感度領域内にNMR信号源が必ず位置しているため、微小なRF検出コイルだけを用いる従来の位置検出コイルに比べて、格段に高強度の位置検出信号を得ることができる。また、かかる一体化により、RF検出コイルの感度領域は依然として狭小に設定できるので、高い位置検出能が保持される。
位置センサ71a,71bの位置検出信号は、夫々、位置情報演算回路78a,78bに送られる。この位置情報演算回路78a,78bは、一例として専用のCPUを有し、その入力した位置検出信号の夫々を、例えばX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に1次元フーリエ変換を施して、針体、即ち穿刺針70の空間位置情報を演算する。これらの位置情報はホスト計算機59に送られ、撮像領域を自動追尾させる処理に用いられる。
ホスト計算機59は、穿刺針70上の2点の位置情報から穿刺針70を含む撮像断面の位置を演算する。これにより、穿刺針70が撮像断面から動いた場合でも、その穿刺針を常に含んだ撮像断面の位置が演算される。ホスト計算機59は、さらに、この演算した撮像断面位置に応じて傾斜磁場アンプ55、送信器57、および受信器58に送る撮像パラメータ(撮像条件)を調整する。この撮像パラメータには、RF励起パルスのキャリア周波数、X軸、Y軸、およびZ軸の傾斜磁場成分、受信位相検波用の参照信号の周波数および位相が含まれる。
この撮像パラメータの調整は、同一撮像断面を繰り返し高速に撮像・表示する、所謂、フルオロ撮像・表示法に基づいて実行される。これにより、撮像断面が穿刺針70を自動追尾するスキャン制御が実行され、穿刺針70の空間位置がモニタされる。
この撮像断面の自動追尾において、位置センサの数が2個であるので、撮像断面を決定するには、もう1つの位置情報が必要であるが、本実施形態では、ホスト計算機59が、位置センサ71a,71bの2点を含む直交3断面を表示し、又は、その内の少なくとも1断面を自動的に選択して、表示器61に表示する。
したがって、本実施形態によれば、インターベンショナルMRIの環境下で、治療中の患者が動いたことに因って撮像断面が体内において相対的にずれてしまったり、術者が自分の意思で任意方向に穿刺針を動かした場合でも、モニタしている断面像には常に穿刺針70が映っている。これにより、非常に微細な針操作が必要な穿刺作業であっても、これを容易に且つ確実に行うことが可能になる。
なお、上述の実施形態に係る位置センサおよびその取付け構造は、さらに種々の形態に変形してもよい。
これを説明すると、例えば、図11に示す如く、位置センサは必ずしも針体上に設置しなくてもよい。同図の例によれば、穿刺針70を持ち易いように取付けており且つ針体自体と一定の位置関係に固定されたグリップ部(把持部)70A上に、2個の位置センサ71a,71bを設置してある。
また、図12に示す取付け構造の場合、穿刺針70を2次元面に沿った一定範囲内で動かすことが可能なように支持する支持具(支持部)72が穿刺針70に取付けられている。この支持具72にも位置センサを取付ける。図12の例では、穿刺針70の針体上に2個の位置センサ71a,71bを、支持具72上に1個の位置センサ71cをそれぞれ取り付けた合計3個のセンサ構造を成している。これにより、2個の位置センサ71a,71bの2点A,Bのみならず、支持具72上の位置センサ71cの1点Cの位置情報も加味することで、直交3断面ではなく、支持具72を含む断面を撮像できる。したがって、術者が穿刺針70をより直感的に操作することが可能になる。この例で示す如く、位置センサは穿刺針の針体、グリップ部、若しくは支持具に取り付けてあってもよく、又は、それらの取付け位置の組み合わせであってもよい。
なお、上述した図12の支持具72には、操作ボタンから成る指示器73が設けられている。この指示器73は、術者が磁気共鳴イメージング装置に対して、フルオロ撮像の開始、停止、およびその他の指示を出すために使用される。これにより、穿刺作業を行いながら、フルオロ撮像などの必要なMRスキャンの指示を出すことができる。なお、この指示器73の代わりに、フットスイッチやボイスコントローラを用いることもできる。
さらに、位置センサは必ずしも上述した如く、自ら位置信号を出力するアクティブ素子である必要はない。例えば、図13に示す如く、NMR信号源となる物質を含んだマーカ81(81a,81b)を、前述の実施形態と同様に、少なくとも2個、穿刺針70の針体上に取り付けるようにしてもよい。この場合、予め腫瘍などのターゲットと穿刺開始位置とを含む断面(図14に示す中央の断面82)を決定しておき、その断面82内に、それらの少なくとも2個のマーカ81a,81bが常に含まれるように、術者が撮像断面を見ながら穿刺針の位置を手動でコントロールする。このとき、図14に示す如く、複数枚のマルチスライス撮像を行うようにしてもよい。
(第4の実施形態)
続いて、図15〜16に基づき、第4の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を説明する。この実施形態において、第3の実施形態のMRI装置における構成要素と同一または同等の構成要素には同一符号を付してその説明を省略または簡略化する。
この磁気共鳴イメージング装置は、腫瘍などのターゲットと穿刺開始位置との空間的な位置関係を術者に簡単に把握させるための術前計画の機能を有することを特徴とする。
この磁気共鳴イメージング装置の全体構成は、大略、前述したものと同じであるが、図15に示すように、ホスト計算機59からの制御信号に応答して自動的に投光動作を行う投光器85a,85bをさらに備えている。この投光器85a,85bのそれぞれは、例えばレーザ装置から成る。この投光器は、とくに、オープン形マグネットに好適であり、そのマグネットの天井面に取り付けられる。
この磁気共鳴イメージング装置によれば、図16及び17に示す如く、術前において術前計画が立てられる。この術前計画は、穿刺の場合には、予め撮像してある複数枚の画像IM〜IMを用いて、腫瘍などのターゲットの位置、穿刺経路、および穿刺開始位置を決定する作業である。なお、この術前計画は、ホスト計算機59が予め記憶装置62に格納してあるプログラムを読み出し、このプログラムを逐一実行することで、入力器60及び表示器61を介して、術者との間でインターラクティブに行うようになっている。
例えば、図16に示すように、被検体Pの3枚の断層像IM〜IMが予め収集されており、この真中の画像IMに腫瘍などのターゲットDが含まれているとする。
表示器61の画面上には、ホスト計算機6による表示処理によって、例えば3枚の断層像IM〜IMをスクロール表示又は分割表示できるようになっている。このため、術者は入力器13を介して3枚の断層像IM〜IMを例えば順送りに表示させて観察し、ターゲットDが映り込んでいる真中の画像IMを見つけると、この画像IMを指定する情報を入力器60に与える。この指定情報はホスト計算機59に送られる。
ホスト計算機59は、この断層像を指定する情報に基づいて、2つの投光器85a及び85bのうち、一方の投光器85aの投光位置を演算し、この演算量に対応した制御信号を投光器85aに送る。これにより、投光器85aは、図15に示す如く、断層像毎にスライス位置及び範囲を示す光を患者Pの体表上に直接に投射する。これにより、いま対象となっている複数枚の断層像IM〜IMの体軸方向における位置が体表上で指示される。
このとき、術者が表示器61の画面上で選択した真中の断層像IMが図15に示すように、この断層像のスライス部分が強調して投影される。これにより、強調されたスライスにターゲットDが含まれていることを容易に認識できる。
次いで、表示器61の画面上には、ターゲットDを含む断層像IMが表示される。そこで、術者は、図16に示すように、入力器13を操作して、カーソルなどによりターゲットD上に目標ポイント87をマークし、次いで所望の穿刺経路Rを決める。この穿刺経路Rを決めると、穿刺開始位置Eが決まるので、術者は再度、この穿刺開始位置E上に目標ポイント88をマークする。
このように決まる穿刺計画情報に基づき、ホスト計算機59は別の投光器85bに制御信号を送る。これにより、その投光器85bは穿刺開始位置Eを表すマークを体表上に投影する(図15参照)。
そこで、術者は、投光マークで表された体表上の穿刺開始位置Eから穿刺を開始する一方で、画像の撮像モードをフルオロ(連続撮像)モードに切り替える。この撮像モード切り替えにより、真中の断面の断層像IMが参照画像として表示される。このため、術者は、この参照画面を見ながらターゲットDまで穿刺針の穿刺を進める。
このように、患者Pの体表上に直接、穿刺計画情報を光情報として投影してやることで、単に画面上で計画した穿刺計画情報を用いて穿刺作業を行う場合とは異なり、穿刺開始位置や穿刺方向をより直接的に術者が伝えることができる。したがって、実際の患者に対する穿刺開始又は穿刺中の状態を短時間で且つ正確に認識でき、穿刺作業をより正確に且つ迅速に行うことができる。
なお、参照画像には、計画した穿刺経路Rを重畳表示することが望ましい。これにより、術者は穿刺開始位置Eおよび穿刺経路Rを目視して容易に把握することができる。
上述した第4の実施形態はさらに種々の態様に変形して実施することができる。
例えば、穿刺計画を立てるために事前に行う撮像において、上述した投光器85a,85bを用い、直接、患者Pに光を投影させながら、撮像位置を決定するようにしてもよい。この場合、投光器の投光位置は、シールドルーム内で使用可能なタッチパネル式サブコンソールやフットスイッチを用いて変更する構成を採用することができる。また、投光器として、投光位置を手動で容易に変更可能なハンディタイプの投光器を用いることもできる。
また、上述した実施形態では、穿刺経路が同一断面内に設定される例を説明したが、当然に、他の断面(スライス)に跨って位置するように設定することもできる。
さらに、図17(a),(b)に示す如く、ポインティングデバイス89を用いて、穿刺開始位置Eを被検体上に直接に指定するようにしてもよい。この場合、ポインティングデバイス89は、その先端の位置情報を磁気センサや光センサを用いて検出できるものであればよい。また、例えば、第3の実施形態で説明した穿刺針を用い、2つの位置センサの位置と針体先端までの距離を予め測っておくことで、別のポインティングデバイスを用いずに、穿刺針の先端で直接、穿刺位置を決定することができる。穿刺針をモニタするためのフルオロ撮像および表示は、画像上で指定したマーク87と穿刺開始位置Eとを含む断面で行う。これにより、穿刺作業が容易になる。
さらに、本発明は、図18に示す如く、寝台に取付けられた取付け治具90を用いて穿刺計画情報を体表上に直接に指示するようにしてもよい。この場合、投光器91a,91bは取付け治具90に取り付けられる。また別の例として、投光器の代わりに、メカニカルな指示ニードル、又は、穿刺針を通す穿刺ガイド穴などで、穿刺開始位置および穿刺針挿入方向などを直接に指示する機構を設けてもよい。
(第5の実施形態)
続いて、図19,20に基づき、第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を説明する。この磁気共鳴イメージング装置は、上述した第4の実施形態と同様に、インターベンショナルMRIにおける術前計画の別の例に特徴を有する。
ホスト計算機59は、入力器60及び表示器61を介して、予め格納しているプログラムを実行することで、インターラクティブな術前計画の処理を行うことができる。この術前計画の処理の一例を図19に示す。
この術前計画に際し、被検体である患者を寝台に寝かせた状態でガントリ51の内部にセットし、腫瘍や狭窄などのターゲットを含む部位を例えばマルチスライス法により撮像する(図19、ステップS11)。これにより、術前計画用の画像が収集される。この撮像後、このMRイメージングのために載置させた患者の状態、即ち、寝台上に寝た状態を保持したまま、引き続き、上述の如く撮像した画像を用いた術前計画に移行する。
いま、術前計画は穿刺の計画であるとする。まず、ホスト計算機59のインターラクティブな表示処理によって、そのままシールドルーム内の液晶モニタで、事前に撮像したマルチスライス像を順に表示される(ステップS12)。そこで、術者は表示される複数枚の画像の中からターゲットを含む画像を探す(ステップS13)。これにより、術者は、ターゲットを含む画像が見つかると、入力器60を介してホスト計算機59に操作信号を送り、画面上のターゲットをポイントなどで指定させる(ステップS14)。ホスト計算機59は、この指定に応じてターゲットポイントの位置を記録する(ステップS15)。
次に、ホスト計算機59は術者の指示に応答して液晶モニタ上に、事前に撮像してあるマルチスライスの各画像を順に表示させる(ステップS16)。そこで、術者は、この各画像を観察しながら、デバイスとしての穿刺針の挿入開始ポイントに適した位置を有するスライス(断面)を探す(ステップS17)。かかるスライスが見つかると、術者は、入力器60を介して、ホスト計算機59に、その画像上で穿刺針の挿入開始ポイントをポインタで指定させる(ステップS18)。
このようにターゲットポイントと挿入開始ポイントの2点が決まると、ホスト計算機59はこの2点を結ぶ3次元画像データ(マルチスライスデータ)内の直線を演算する(ステップS19)。この直線は穿刺針の穿刺経路を示すガイドラインになる。
このようにして決まるガイドラインRの一例を図20に模式的に示す。同図において、符号Dがターゲットを、符号87がターゲットポイントを、符号88が挿入開始ポイントをそれぞれ示す。この術前計画によれば、ターゲットポイント87と挿入開始ポイント88を別々のスライス上に指定することができるので、ガイドラインRの設定の自由度も高くなる。
なお、デバイスとしてカテーテルが用いられ、そのカテーテル操作の対象が血管である場合、予め撮像したMRA(MRアンギオグラフィ)像を用いて、その血管の走行に応じた曲線がガイドラインとして求められる。
このようにして、患者セッティングに引き続いて術前計画が実行されると、ホスト計算機59は投光器85a,85bの一方又は両方を駆動させ、少なくとも挿入開始ポイント88を患者Pの体表に光ビームで投影し、そのポイントを指示する(ステップS20)。なお、投光器の代わりに、投射機、プロジェクタを用いてもよい。
この穿刺針70の挿入開始ポイントは、好適には、その他の光による指示位置と区別し易いように、ハイライト表示又は色相を変えた表示に処せられる。また、この挿入開始ポイントの指示と一緒に、投光器85a,85bの一方により、ターゲットポイントを含む断面をハイライト表示するようにしてもよい。これにより、穿刺針70を容易に挿入開始できるようになる。
次いで、術者は、MRイメージング環境下におけるデバイス操作、すなわち、この場合には穿刺作業を行うことになる。
このデバイス操作において、挿入開始ポイントにおける穿刺針70の初期挿入角度の状態を知らせる信号を音、光などの物理量で発令するようにしてもよい。
この発令の処理はホスト計算機59によって行われ、その概略を図21に示す。ホスト計算機59は、位置情報演算回路78a,78bから出力される穿刺針70の位置情報(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)を受けて、それらの位置情報から穿刺針70の現在の角度(挿入角度)を演算する(ステップS31)。次いで、術前計画で演算されているガイドラインを読み出し、そのガイドラインの初期挿入角度と現在の穿刺針70の角度との差分を演算する(ステップS32)。次いで、ホスト計算機59は、この差分値が少ないほど、発令する物理量が大きくなるように設定した駆動信号を図示しない警報器(スピーカ、LEDなど)に出力する(ステップS33)。
この結果、デバイス操作において、実際に挿入しようとするデバイスの挿入開始ポイントにおける初期挿入角度が予め定めたガイドラインのそれに近くなるほど、大きな音量や大きな輝度の光が術者に提供される。実際の挿入開始角度がガイドラインの角度に近くなるにつれて、音程を変えるようにしてもよい。このように音や光によって、デバイスの初期挿入がアシストされるので、術者は、予め術前計画で定めたガイドラインに沿って、より正確にデバイスを被検体内に挿入可能になる。
さらに、MRイメージング環境下におけるデバイス操作において、液晶眼鏡などのヘッド・マウンティド・ディスプレイ(HMD)などの視覚機器をホスト計算機59と連動させるようにしてもよい。例えば、液晶眼鏡の場合、一方の側(例えば左目)のディスプレイを透明レンズにして、対象物(患者)を直接観察できるようにし、もう一方の側(たとえば右目)のディスプレイを、ホスト計算機59からの操作経路を示す画像(MR画像)を表示するようにする。術者はこの液晶眼鏡を掛けて作業を行うことで、被検体の体表からの反射像(実体)と被検体内部を透かして見た像とを脳裏で合成して見ることができ、デバイスの挿入作業の途中においても有効なアシストが得られる。
また、この液晶眼鏡において、その両側のディスプレイに共に操作経路を示すMR像をステレオで表示するようにしてもよい。両側の液晶ディスプレイを透明モードと画像表示モードとの間で高速に切り換え、上述と同様に、被検体の体表の反射像(実体)と操作経路を示す計算画像(MR画像)とをオーバーラップさせて見せる画像を提供でき、デバイス操作を強力に助けることができる。
また、前述した第3〜第5の実施形態にあっては、インターベンショナルMRIに用いる治療・検査用のデバイスは穿刺針である場合を説明したが、このデバイスは必ずしも穿刺針にされず、図22に示すように、カテーテル101であってもよい。このカテーテル101に位置センサ71a,71bを取り付けることで、前述した穿刺針と同様の作用効果を得ることができる。
また、第3〜第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、ガントリが筒状タイプであっても、またオープンタイプであっても実施可能である。
上記した各実施形態の一態様によれば、立てた的確な術前計画に基づきMRイメージングのガイド下で手術(インターベンショナルMRI)を行うことができる。術中は、必要に応じて、又は、常時、MRイメージングを行うことができる。MRイメージングの場合には、X−CTに拠るイメージングを用いる手術に比べて、X線被曝の心配が無いことや、手術の進行状態や患部の確認のために、その場で簡単にイメージングを行うことができるという優位さがある。また、このインターベンショナルMRIの場合には、X−CTの場合とは違って、単に形態情報だけでは無く、機能情報をも術中に収集して、臓器の機能などをその場で確認できるというメリットもある。
GN,51 ガントリ
1,52 静磁場磁石
2 静磁場電源
3,53 傾斜磁場コイル
4,54 傾斜磁場アンプ
5,56 シーケンサ
6,59 ホスト計算機
7T,7R,54 RFコイル
8T,57 送信器
8R,58 受信器
10 演算器
11,62 記憶装置
12,61 表示器
13,60 入力器
17 カテーテル(インターベンショナル・デバイス)
18 RF検出コイル
20 入力装置(操作手段)
70 穿刺針
70A グリップ部
71a〜71c 位置センサ
72 支持具
78a〜78b 位置情報演算回路
81a〜81b 位置センサ
85a,85b 投光器
89 ポインティングデバイス
90 取付け治具
91a,91b 投光器
101 カーソル

Claims (6)

  1. 被検体内に挿入するデバイスの操作を伴うインターベンショナルMRIに用いられると共に、所定のパルスシーケンスに基づく磁場を前記被検体に印加することで得られるMR信号を用いて断面の画像を得る磁気共鳴イメージング装置において、
    前記デバイスの操作に関する計画を、前記画像を用いて操作前に立てる術前計画手段と、
    前記術前計画手段により立てられた計画を前記被検体に関連させて出力する出力手段と
    を備えていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記術前計画手段は、前記デバイスを前記被検体内に挿入するときに必要なターゲットの位置、当該被検体の体表上の挿入開始位置、及び、そのターゲットの位置と挿入開始位置とを結ぶ経路を立案する手段であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記出力手段は、少なくとも前記デバイスの挿入開始位置を前記被検体の体表上に指示する手段であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記出力手段は、前記少なくとも前記デバイスの挿入開始位置を示す光を前記体表上に投光する投光器を備えていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記デバイスは穿刺針であり、前記計画はその穿刺針を穿刺するための計画であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記術前計画手段は、表示手段に分割表示される複数枚の断層像において、前記ターゲットの位置、前記被検体の体表上の挿入開始位置、前記ターゲットの位置と挿入開始位置とを結ぶ経路、のいずれかを指定する手段であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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