JP2011127024A - 樹脂組成物、硬化物及びそれを用いた回路基板 - Google Patents

樹脂組成物、硬化物及びそれを用いた回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化後の反りと反発性が抑制され、耐熱性に優れる硬化膜を与える樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)の構造を有するポリアミド酸と、熱架橋性官能基を有する化合物と、を含むことを特徴とする。
【化1】
Figure 2011127024

(式(1)中、Z1及びZ2は4価の有機基を表し、R1、R2、R3、R4、及びR5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、m、n、及びqは1〜20の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、ボンディングシート、プリント配線板用保護絶縁膜として有用な耐熱性の樹脂組成物、硬化物及びそれを用いた回路基板に関する。
半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、プリント配線板用保護絶縁膜としては、耐熱性に優れていることから、ポリイミドが用いられるようになってきている。特に、ポリイミドを含む樹脂組成物をフレキシブル配線回路に適用する場合、硬化後の反りが少ないことが求められている。耐熱性に優れ、且つ、硬化後の反りを防止した樹脂組成物としては、エステル末端オリゴマー及びアミン末端オリゴマーからなるポリイミド系インクが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このようなポリイミド系インクに用いられる樹脂組成物は、ポリアミド酸のイミド化のために少なくとも250℃以上で熱処理する必要があり、形成されるポリイミド樹脂の収縮が大きく加工性に問題がある。また、回路材料に銅箔を用いた場合には、カルボキシル基と配線材料との反応が起こり、配線材料の酸化が発生するという問題がある。
一方、低温で硬化を行うことができ、また、硬化後の反りを抑制するためにポリオキシアルキレンジアミン成分を使用したポリアミド酸が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これらのポリアミド酸を熱処理後に得られたポリイミド樹脂膜は、耐熱性が不十分であった。
また、ポリオキシアルキレンジアミン成分を用い、感光性ドライフィルムレジスト用途にポリアミド酸を部分イミド化したポリイミド前駆体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの部分イミド化したポリイミド前駆体からなる硬化物は柔軟性が不十分であった。
特開平2−145664号公報 特開平10−330479号公報 特開2006−321924号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、熱硬化後の反りと反発性が抑制され(柔軟性に優れ)、耐熱性に優れる硬化膜を与える樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するポリアミド酸と、熱架橋性官能基を有する化合物と、を含む樹脂組成物が、その課題の解決に適合しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)の構造を有するポリアミド酸と、熱架橋性官能基を有する化合物と、を含むことを特徴とする。
Figure 2011127024
(式(1)中、Z1及びZ2は4価の有機基を表し、R1、R2、R3、R4、及びR5は炭素数1〜炭素数10のアルキレン基を表し、m、n、及びqは1〜20の整数を表す。)
本発明の樹脂組成物においては、前記熱架橋性官能基を有する化合物が、トリアジン化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びブロックイソシアネート化合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記ポリアミド酸100質量部と、前記熱架橋性官能基を有する化合物を1質量部〜40質量部と、を含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記ポリアミド酸のポリマー主鎖の末端が、モノアミン誘導体またはカルボン酸誘導体を含む末端封止剤で末端封止されていることが好ましい。
本発明のプリント回路基板の保護膜形成用材料は、上記樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明の硬化物は、上記樹脂組成物を熱硬化して得られることを特徴とする。
本発明の回路基板は、配線を有する基材と、前記基材の表面を被覆する上記硬化物と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、熱硬化後の反りと反発性が抑制され、耐熱性に優れる硬化膜を与える樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、特定構造を有するポリアミド酸と、熱架橋性官能基を有する化合物と、を含有する。本発明に係る樹脂組成物は、特定構造を有するポリアミド酸を含むことにより、熱硬化後硬化物のガラス転移温度と弾性率とを制御することができ、反りが少なく、低反発性を発現できる。そして、本発明に係る樹脂組成物は、熱硬化後に熱架橋性官能基を有する化合物により架橋が形成される。このように、特定構造を有するポリアミド酸と熱架橋性官能基を有する化合物との間で化学的な架橋が形成されると共に、特定構造を有するポリアミド酸がポリオキシアルキレン鎖を有するので、高分子鎖間の局部的な相互作用が顕著となり、三次元的なネットワークが形成され、耐熱性を発現できる。
(A)ポリアミド酸
特定構造を有するポリアミド酸は、下記一般式(1)の構造を有するポリアミド酸である。
Figure 2011127024
(式(1)中、Z1及びZ2は4価の有機基を表し、R1、R2、R3、R4、及びR5は炭素数1〜炭素数10のアルキレン基を表し、m、n、及びqは1〜20の整数を表す。)
上記一般式(1)で表されるポリアミド酸は、下記一般式(2)で表されるジアミンと酸二無水物とを反応させて得られる。
Figure 2011127024
(式(2)中、R1、R2、R3、R4、及びR5は炭素数1〜炭素数10のアルキレン基を表し、m、n、及びqは1〜20の整数を表す。)
上記一般式(2)で表されるジアミンとしては、例えば、ポリオキシエチレンジアミンや、ポリオキシプロピレンジアミン、その他炭素鎖数の異なるオキシアルキレン基を含むポリオキシアルキレンジアミン等が挙げられる。ポリオキシアルキレンジアミン類としては、米ハンツマン社製のジェファーミンED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、HK−511等のポリオキシエチレンジアミンや、ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000等のポリオキシプロピレンジアミンや、ジェファーミンXTJ−542、XTJ533、XTJ536等のポリテトラメチレンエチレン基をもつもの等が使用例として挙げられる。
中でも、比較的分子量の低いEDR−148、D−230、D−400、HK−511等は、比較的高いガラス転移温度をもつポリマーとなり得るため、耐熱性、耐薬品性が必要な用途で好ましく用いられる。一方、比較的分子量の高いD−2000等は、柔軟性等に優れる。また、耐熱性、耐薬品性と柔軟性、溶剤可溶性のバランスの点から、ポリオキシアルキレンジアミンの重量平均分子量としては、400〜1400が好ましく、500〜1000が特に好ましい。このような重量平均分子量のポリオキシアルキレンジアミンとしては、ED600、ED900、XTJ542が好ましく用いられる。中でも、エチレン基を有するポリオキシエチレンジアミンであるED600とED900は、溶剤可溶性がより向上し、特に好ましく用いられる。
また、上記一般式(2)で表わされるジアミンは、純度が高いものを用いた方がポリアミド酸として高分子量のものを得やすい。上記一般式(2)で表わされるジアミンの純度は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98.5%以上である。
上記一般式(2)で表されるジアミンの含有量は、全ジアミンに対して25モル%〜60モル%であることが好ましい。より好ましくは25モル%〜50モル%、さらに好ましくは30モル%〜50モル%である。25モル%以上であれば、低反り、低反発性を示し、60モル%以下であれば、耐溶剤性と耐熱性に優れる。
上記一般式(2)で表されるジアミン以外に使用できる他のジアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェニル)エーテル、ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンである。
上記一般式(2)で表されるジアミン以外に使用できる他のジアミンの含有量は、全ジアミンに対して、40モル%〜75モル%であることが好ましい。更に好ましくは50モル%〜75モル%、より好ましくは50モル%〜65モル%である。40モル%以上で耐溶剤性に優れ、75モル%以下で反りと反発性が抑制される。
テトラカルボン酸二無水物に制限はなく、従来公知のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物や脂肪族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸−1,4−フェニレンエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物などが挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独あるいは2種以上混合しても用いてもよい。これらのテトラカルボン酸二無水物の中で、ポリアミド酸の耐熱性や重合速度の観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が好ましいものとして挙げられる。
本発明に係るポリアミド酸の製造方法は、公知方法を含め、ポリアミド酸を製造可能な方法が全て適用できる。中でも、有機溶媒中で反応を行うことが好ましい。このような反応において用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、フェノール、クレゾール等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
この反応における反応原料の濃度は、通常、2質量%〜50質量%、好ましくは5質量%〜40質量%である。
反応させる酸二無水物とジアミンとのモル比は、0.8〜1.2の範囲内である。この範囲内の場合、分子量を上げることができ、伸度等にも優れる。好ましくは0.9〜1.1、より好ましくは0.95〜1.05である。
ポリアミド酸の重量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。重量平均分子量は10000以上60000以下がより好ましく、10000以上50000以下が最も好ましい。重量平均分子量が5000以上100000以下であると樹脂組成物を用いて得られる保護膜の反りが改善され、低反発性、及び耐熱性に優れる。さらに塗工印刷時に所望する膜厚にて滲み無く印刷でき、また、得られた保護膜の伸度等の機械物性が優れる。
反応温度は−50℃から130℃が好ましく、0℃から80℃がより好ましく、20℃から60℃が特に好ましい。反応温度が−50℃以上で良好に反応が進行し、反応の完結が容易となる。反応温度が130℃以下で、生成したポリアミド酸の更なるカルボキシル基の消失を伴う脱水イミド化反応を抑制でき、カルボキシル基を持たないポリイミドの生成を抑制できる。これを樹脂組成物のポリマー成分として用いることにより、溶剤可溶性を向上させ、アルカリ現像性を向上させることができる。
また、ポリアミド酸のポリマー主鎖の末端が、モノアミン誘導体またはカルボン酸誘導体からなる末端封止剤で末端封止されることが好ましい。ポリアミド酸のポリマー主鎖の末端が封止されることで、貯蔵安定性に優れる。
モノアミン誘導体からなる末端封止剤としては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセンなどの芳香族モノアミンを挙げることができ、この中で好ましくはアニリンの誘導体が使用される。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
カルボン酸誘導体からなる末端封止剤としては、主に無水カルボン酸誘導体が挙げられ、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物などの芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸無水物の中で、好ましくは無水フタル酸が使用される。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
得られたポリアミド酸は、脱溶剤することなく、そのまま、あるいはさらに必要な溶剤、添加剤等を配合して本発明に係る樹脂組成物とすることができる。
(B)熱架橋性官能基を有する化合物
熱架橋性官能基を有する化合物は、熱架橋性官能基を有していれば特に制限はされないが、中でも、トリアジン系化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びブロックイソシアネート化合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物であることが好ましい。トリアジン系化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びブロックイソシアネート化合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物を用いることにより、ポリアミド酸と熱架橋性官能基を有する化合物との間で化学的な架橋が形成され、耐熱性を発現できる。
トリアジン系化合物としては、一分子中にトリアジン環を二つ以上有する化合物が好ましく、メラミンおよび下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される化合物、メラミン類およびシアヌル酸メラミン類などが好ましい。
Figure 2011127024
(式(3)中、X、Y、Zはそれぞれ水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、または炭素数1から炭素数5のヒドロキシアルキル基を示す。R6〜R11は、それぞれ水素原子、または炭素数1から炭素数5のアルキル基であって、X、Y、Zが水素原子の場合は、水素原子は置換基を有さないため、R6〜R11は構造式上存在しない。)
Figure 2011127024
(式(4)中、R12〜R14は、それぞれ水素原子、炭素数1から炭素数5のアルキル基、または炭素数1から炭素数5のヒドロキシアルキル基を示す。)
上記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、ヘキサメチロ−ルメラミン、ヘキサブチロ−ルメラミン、部分メチロ−ル化メラミンおよびそのアルキル化体、テトラメチロ−ルベンゾグアナミン、部分メチロ−ル化ベンゾグアナミンおよびそのアルキル化体等を挙げることができる。上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、イソシアヌル酸、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレート、トリ(nープロピル)イソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレート、メチルイソシアヌレートなどが挙げられる。
メラミン類としては、メラミン、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物およびメラミンの縮合物等が挙げられる。メラミン類としては、例えば、メチロール化メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、アリールグアナミン、メラム、メレム、メロン等が挙げられる。
シアヌル酸メラミン類としては、シアヌル酸とメラミン類との等モル反応物が挙げられる。また、シアヌル酸メラミン類中のアミノ基または水酸基のいくつかが、他の置換基で置換されていてもよい。このうちシアヌル酸メラミンは、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液とを混合し、90℃〜100℃で撹拌下反応させ、生成した沈殿を濾過することによって得ることができる白色の固体である。シアヌル酸メラミンとしては、市販品をそのまま使用してもよく、またはこれを微粉末状に粉砕して使用できる。
これら熱架橋性官能基を有する化合物は、混合して用いることもできる。中でも、分散性が良好であるという点でメラミン・イソシアヌル酸付加物、トリアジンチオールジオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが好ましい。
ベンゾオキサジン化合物としては、下記一般式(5)で表されるベンゾオキサジン環を有する化合物が好ましく用いられる。
Figure 2011127024
(式(5)中、R15は、炭素数1から炭素数12の鎖状アルキル基、炭素数3から炭素数8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1から炭素数12の鎖状アルキル基で置換されたフェニル基、若しくはハロゲンで置換されたフェニル基である。また、酸素原子が結合している芳香環中の炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には、水素が結合している)
R15のうち、炭素数1から炭素数12の鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられ、炭素数3〜炭素数8の環状アルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。また、炭素数1から炭素数12の鎖状アルキル基、若しくはハロゲンで置換されたフェニル基としては、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、o−t−ブチルフェニル基、m−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、o−クロロフェニル基、o−ブロモフェニル基などを挙げることができる。これらの中でも、良好な取り扱い性を与えることから、R19はメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、o−メチルフェニル基がさらに好ましい。
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば下記一般式(6)で表されるものが好ましく用いられる。
Figure 2011127024
(式(6)中、R16は下記式群(7)で表される2価の有機基のいずれかであることが好ましい。)
Figure 2011127024
ベンゾオキサジン化合物は、モノマーのみからなるものでも良いし、数分子が重合してオリゴマー状態となっていても良い。また、異なる構造を有するベンゾオキサジン化合物を同時に用いても良い。例えば、ビスフェノールベンゾオキサジンが好ましく用いられる。
ブロックイソシアネートとは、分子内に2個以上のイソシアネ−ト基を有するイソシアネ−トにブロック剤を反応させることにより得られる化合物である。イソシアネ−トとしては、1,6−ヘキサンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルジイソシアネ−ト、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、フェニレン1,4−ジイソシアネ−ト、フェニレン2,6−ジイソシアネ−ト、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネ−ト、又はヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。ブロック剤としては、アルコ−ル類、フェノ−ル類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン類、メルカプタン類、アミン類、イミド類、酸アミド類、イミダゾ−ル類、尿素類、カルバミン酸塩類、イミン類、又は亜硫酸塩類などが用いられる。
上記ブロックイソシアネート化合物のより具体的な製品例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」とも言う。)系ブロックイソシアネートである、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラネート17B−60PX、TPA−B80E、TPA−B80X、MF−B60X、E402−B80T、ME20−B80S、MF−K60X、K6000が用いられる。また、三井化学ポリウレタン社製品としては、商品名タケネートB−882Nや、トリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネートである商品名タケネートB−830や、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト系ブロックイソシアネートである商品名タケネートB−815N、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン系ブロックイソシアネートであるタケネートB−846Nが用いられる。また、日本ポリウレタン工業社製の商品名コロネートAP−M、2503、2515、2507、2513、又はミリオネートMS−50などが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、200℃以下での低温硬化性を発現させる為には、上述の硬化温度の低いHDI系のブロックイソシアネートを用いるのが好ましい。
(C)樹脂組成物
樹脂組成物とするとき、熱架橋性官能基を有する化合物は、ポリアミド酸100質量部に対して、1質量部〜40質量部の範囲で含有する。1質量部〜40質量部の範囲であれば、耐熱性(はんだ耐熱性)、低反り性、屈曲性を損ねることがなく好ましい。中でも、5質量部以上であれば架橋密度の面から特に好ましく、20質量部以下であれば反りと反発性の面から特に好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、上述した特定構造を有するポリアミド酸と熱架橋性官能基を有する化合物とを含有するが、ポリアミド酸以外のポリマー成分としてポリイミドを含有してもよい。また、特定構造を有するポリアミド酸としては、特定構造を有するポリアミド酸の分子鎖中にポリイミド構造を含有する物であってもよい。なお、上述したポリマー成分としてのポリイミドの含有量や分子鎖中のポリイミド構造の割合は、溶剤可溶性を向上する観点から少ないほうが好ましい。これらのポリマー成分としてのポリイミドの含有量や、分子鎖中のポリイミド構造の割合が少なくなるにつれ、樹脂組成物を構成するポリマー成分の構造上の側鎖が多くなる。このため、溶剤可溶性が向上すると考えられる。特定構造を有するポリアミド酸が、分子鎖中にポリイミド構造を含まずに、ポリアミド酸成分のみで構成される場合には、ポリイミドを含む場合に比べて更にポリマー成分の構造上の側鎖が多くなるので、特に溶剤可溶性に優れる樹脂組成物が得られる。
また、樹脂組成物は、(A)ポリアミド酸前駆体、(B)熱架橋性官能基を有する化合物に加え、更に有機溶媒を含有してもよい。有機溶媒に溶解した状態でワニスとして好ましく使用することができる。このような有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン溶媒、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒、クレゾール、フェノール等のフェノール系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライム、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒が挙げられる。また、これらを単独で使用しても複数併用しても良い。特に、高沸点と低吸水性の点から、γ−ブチロラクトン、トリグライム、安息香ブチル、安息香酸エチルを好ましく使用できる。
塗工膜にする時、その塗工方式に応じて粘度とチクソトロピーの調整を行う。必要に応じて、フィラーやチクソトロピー性付与剤を添加して用いることも可能である。また、公知の消泡剤やレベリング剤等の添加剤を加えることも可能である。
樹脂組成物を用いた膜形成は、公知のスクリーン印刷、又は、精密ディスペンス法により行うことができ、フレキシブルプリント回路基板や半導体ウエハー表面に印刷することができる。
本発明に係る樹脂組成物は、熱硬化することにより硬化物が得られる。熱硬化は、樹脂組成物中のポリアミド酸のイミド化反応及び脱溶媒により行われる。ポリアミド酸のイミド化反応は、150℃〜220℃で行うことができる。また、樹脂組成物の脱溶媒は、特に限定されないが、イミド化反応に応じた温度条件で行うことができる。脱溶媒の条件は、コーティング膜厚にもよるが、例えば、オーブンあるいはホットプレートにより最高温度を150℃〜220℃の範囲とし、5分間〜100分間、空気あるいは窒素などの不活性雰囲気下での加熱により行うことができる。脱溶媒の温度は、処理時間の全体に亘って一定の温度であってもよく、徐々に昇温させながら行ってもよい。
樹脂組成物は、熱硬化させることにより優れた耐熱性を示すので、各種保護膜形成材料として用いることができる。例えば、半導体素子の表面硬化膜、層間絶縁膜、ボンディングシート、又はプリント配線板用保護絶縁膜として有用であり、種々の電子部品に適用される。また、樹脂組成物は、電子回路を有するプリント回路基板の表面保護膜形成材料としても好適に使用することができる。例えば、フレキシブルなプリント回路基板として、エスパネックスM(新日鉄化学社製)(絶縁層の厚さ25μm、導体層は銅箔F2−WS(18μm))を用い、この回路基板上の一部に樹脂組成物を塗布する。そして、塗布しなかった部分に電解ニッケル−金メッキを施すことで用いられる。表面保護膜は、良好な絶縁特性を発揮する。
本発明に係る回路基板は、各種配線を有する基板とこの基板の表面を被覆する上記組成物を熱硬化して得られる表面保護膜とを備える。本発明に係る回路基板の一例としては、エスパネックスM(新日鉄化学社製)(絶縁層の厚さ25μm、導体層は銅箔F2−WS(18μm))の両面銅張板を用いて、両面部品実装回路基板を作成し、この回路基板の部品実装部以外に樹脂組成物を塗布、硬化して、表面保護膜とすることにより作成できる。このようにして得られた回路基板は、良好な絶縁特性を発揮する。ここで、表面保護膜の膜厚は1μm〜50μmであることが好ましい。膜厚は1μm以上では取り扱いが容易であり、50μm以下では折り曲げやすく組み込みが容易となる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例及び比較例に限定されるものではない。
(硬化膜の作製)
硬化膜は、以下のように作製した。基板として、東レ・デュポン社製のカプトン(登録商標)100ENを用い、その片面に樹脂組成物をバーコーターで基板に塗工し、室温で5分間〜10分間レベリングを実施した。次に、熱風オーブンにて120℃、30分間加熱し、次いで、180℃、60分間加熱して乾燥硬化した。乾燥硬化後の膜厚は、約20μmであった。作製した硬化膜は、試料として以下の試験に用いた。
(重量平均分子量測定)
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した。溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
カラム:TSK−GEL SUPER HM−H(東ソー社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
(反り評価)
反り評価は、以下のように実施した。23℃、湿度50%の環境下にて、上記試料を5cm×5cmに切断し、中央部に対する角の浮き上がった距離を反りとして測定した。反りが10mm以下であるものは良好で○、5mm以下であるものは更に良好で◎、10mmを超えるものは不良で×とした。
(反発性評価)
反発性は、23℃、湿度50%の環境下にて、保護膜を積層した側を内向きに折り曲げて並行板で挟み、並行板間に掛ける荷重を加えて行き、1分後、屈曲半径R=0.5mmで維持した際の荷重を測定して評価した。カプトン(登録商標)100EN基板のみの場合の荷重に対して、荷重増加が10%以下の場合は良好で○、5%以下の場合は更に良好で◎、10%を超えて反発力が高まった場合は不良で×とした。
(耐熱性評価)
耐熱性は、3cm×3cmに切断した試料をハンダ浴に260℃で60秒間浸漬する試験を実施して評価した。JPCA−BM02規格に準じ、膜表面に膨れ・焦げ等の異常は見られない場合は○、異常は見られた場合は×とした。
[ポリアミド酸の合成例1]
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計を取り付けた。氷水浴0℃で、ジェファーミンXTJ−542(ハンツマン社製、重量平均分子量1000)38.0g、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)16.66g、γ−ブチロラクトン130gを入れ、均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)32.22gを少しずつ添加した。0.5時間攪拌してから50℃まで昇温し、8時間加熱してから室温まで冷却した。次に、生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することによりポリアミド酸を得た。
[ポリアミド酸の合成例2]
合成時にアニリンを未添加とし、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)31.02gに換える以外は、ポリアミド酸合成例1と同様に合成した。
[ポリアミド酸の合成例3]
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計を取り付けた。氷水浴0℃で、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)27.77g、γ−ブチロラクトン130gを入れ、均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)32.22gを少しずつ添加した。0.5時間攪拌してから50℃まで昇温し、8時間加熱してから室温まで冷却した。次に、生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することによりポリアミド酸を得た。
[実施例1]
ポリアミド酸の合成例1で得られたポリアミド酸100質量部に、熱架橋性官能基を有する化合物(以降、「熱架橋剤」とする)としてビスフェノールベンゾオキサジン(Bis−F:Bis−Fタイプベンゾオキサジン、小西化学工業社製)を15質量部加え、ポリアミド酸が30質量%になるよう樹脂組成物を調合した。硬化膜を作成し、その評価を行った。
[実施例2]
ポリアミド酸の合成例1で得られたポリアミド酸100質量部に、熱架橋剤としてメチロール化メラミン(MW−390:ニカラックMW−390、三和ケミカル社製)を20質量部加え、ポリアミド酸が30質量%になるよう樹脂組成物を調合した。硬化膜を作成し、その評価を行った。
[実施例3]
ポリアミド酸の合成例1で得られたポリアミド酸100質量部に、熱架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのブロックポリイソシアネート(TPA−B:デュラネートTPA−B80E、旭化成ケミカルズ社製)を20質量部加え、ポリアミド酸が30質量%になるよう樹脂組成物を調合した。硬化膜を作成し、その評価を行った。
[実施例4]
ポリアミド酸の合成例2で得られたポリアミド酸100質量部に、熱架橋剤としてビスフェノールベンゾオキサジン(Bis−F:Bis−Fタイプベンゾオキサジン、小西化学工業社製)を15質量部加え、ポリアミド酸が30質量%になるよう樹脂組成物を調合した。硬化膜を作成し、その評価を行った。実施例1〜実施例4の結果を下記表1に示す。
(プリント回路基板の保護膜の評価)
フレキシブルプリント配線板の基材として、エスパネックスM(新日鉄化学社製)(絶縁層の厚さ25μm、導体層として、銅箔F2−WS(18μm))を使用し、ライン/スペース:30μm/30μm、50μm/50μm、100μm/100μm、200μm/200μmの櫛形配線板を作成した。この回路基板上の一部に実施例1の樹脂組成物を塗布し、塗布しなかった部分にニッケルの厚さ約5μm、金の厚さ約0.05μmの電解ニッケル−金メッキを施した。マイクロ蛍光X線分析の結果、樹脂組成物を塗工した部分へのメッキの潜り込みは20μm未満であった。また、抵抗計により回路間の絶縁状態は良好であることを確認した。さらに、櫛形配線板の櫛形部にインクを印刷し、信頼性試験としてDC50V、85℃、湿度85%の条件下で1000時間放置しながら抵抗を測定した。その結果、いずれも終始10Ωを越える抵抗を保持し、良好な結果が得られた。
また、エスパネックスM(新日鉄化学社製)(絶縁層の厚さ25μm、導体層は銅箔F2−WS(18μm))の両面銅張板を用いて、直径100μmの炭酸ガスレーザービアを作成し、銅メッキ後に両面部品実装回路基板を作成した。この回路基板の部品実装部以外に樹脂組成物を塗布し、ハンダペーストにて部品を未塗布部に固定した後に260℃のIRリフロー炉により部品実装したが、インク表面、回路部に異常は見られなかった。また、部品非実装部を180度に屈曲させ電子機器に組み込んだが、85℃、湿度85%、DC50Vの環境下で1000時間以上良好に稼働した。
[比較例1]
熱架橋剤を未添加とした以外、他の配合等は実施例1と同様にして硬化膜を作成し、その評価を行った。
[比較例2]
ポリアミド酸の合成例3で得られたポリアミド酸100質量部に、熱架橋剤としてビスフェノールベンゾオキサジン(Bis−F:Bis−Fタイプベンゾオキサジン、小西化学工業社製)を15質量部加え、ポリアミド酸が30質量%になるよう樹脂組成物を調合した。硬化膜を作成し、その評価を行った。比較例1〜比較例2の結果を下記表2に示す。
Figure 2011127024
Figure 2011127024
表1に示すように、ジェファーミンを用い特定構造を有するジアミンを含む樹脂組成物と熱架橋剤とを用いた硬化膜は、反り評価、反発性評価、耐熱性評価を満足した(実施例1〜実施例4)。一方、表2に示すように、熱架橋剤が含まれない場合は、耐熱性が低下した(比較例1)。また、ジェファーミンを用いない場合は、特定構造を有するジアミンを含む樹脂組成物とならないので、反り、反発性、耐熱性の諸特性のバランスが取れないことが分かる(比較例2)。
本発明に係る樹脂組成物は、熱硬化させることにより優れた耐熱性を示す硬化膜を与える。その硬化膜は耐熱性に優れ、反りが少なく、低反発であるので、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、又はプリント配線板用保護絶縁膜として有用であり、種々の電子部品に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)の構造を有するポリアミド酸と、熱架橋性官能基を有する化合物と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 2011127024
    (式(1)中、Z1及びZ2は4価の有機基を表し、R1、R2、R3、R4、及びR5は炭素数1〜炭素数10のアルキレン基を表し、m、n、及びqは1〜20の整数を表す。)
  2. 前記熱架橋性官能基を有する化合物が、トリアジン化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びブロックイソシアネート化合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド酸100質量部と、前記熱架橋性官能基を有する化合物を1質量部〜40質量部と、を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリアミド酸のポリマー主鎖の末端が、モノアミン誘導体またはカルボン酸誘導体を含む末端封止剤で末端封止されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とするプリント回路基板の保護膜形成用材料。
  6. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物を熱硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  7. 配線を有する基材と、前記基材の表面を被覆する請求項6に記載の硬化物と、を備えたことを特徴とする回路基板。
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