JP2011124183A - 色素増感型光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可視光の透過性を有するフィルム10と、金属板からなる対極4とを重ね合わせ、フィルムと対極とが接触した部分からなる封止部S1、S2を設けることによって形成された袋体、袋体の内部に封入され、導電性を有する複数の線材が網目状に編まれてなる構造を有し、対極の一面と対向するように配された作用極3、および作用極とともに袋体の内部に封入された電解質13、を少なくとも備えた色素増感型光電変換素子であって、封止部の一部は、対極の作用極と面する側の反対側までフィルムを延在させたうえで、反対側においてフィルムを対極の他面に接着してなることを特徴とする色素増感型光電変換素子を提供する。
【選択図】図1
Description
一方、透明導電性基板以外に、金属板や箔を電極に用いる構造の色素増感型太陽電池が知られているが、これらの色素増感型太陽電池においても作用極、対極のいずれか一方のみが金属板や箔の電極であり、光入射面には必ず透明導電性基板が用いられている。(特許文献2、3、4参照)
更に、他の構造の色素増感型太陽電池として、電極の面が2面あるいはそれ以上の複数の面を持つ構造(特許文献3、4参照)が知られている。
この色素増感型光電変換素子100は、可視光の透過性を有するフィルム110、作用極103、セパレータ105、金属板からなる対極104より構成されている。
作用極103は、導電性を有する線状の基材131が網目状に編まれてなるテキスタイル構造を有している。フィルム110と対極104とは、周縁部において、接着剤111を介して封止されており袋体を構成している。作用極103の周囲には導電性を有する板からなる集電極135が溶接されており、電解質とともに、袋部の内部に封入されている。セパレータ105は、作用極103と対極104との間に挿入され、両者を絶縁している。
図4(a)に示す平面図のうち、作用極3の網目部が発電に寄与する面積である(有効発電面積)。この有効発電面積に対して、フィルム110と対極104とを接着するために必要な封止部の面積(図4(a)に符号S10で示す)が大きいことによって、設置後の単位面積当たりの発電効率が低下してしまう。
よって、袋体の液密性を維持しながら、設置面積における封止部の面積を小さくすることによって、単位面積当たりの発電効率を増加させることが可能な色素増感型光電変換素子望まれている。
本発明の請求項1に係る発明は、可視光の透過性を有するフィルムと、金属板からなる対極とを重ね合わせ、前記フィルムと前記対極とが接触した部分からなる封止部を設けることによって形成された袋体、前記袋体の内部に封入され、導電性を有する複数の線材が網目状に編まれてなる構造を有し、前記対極の一面と対向するように配された作用極、および前記作用極とともに前記袋体の内部に封入された電解質、を少なくとも備えた色素増感型光電変換素子であって、前記封止部の少なくとも一部は、前記対極の前記作用極と面する側の反対側まで前記フィルムを延在させるとともに、前記反対側において前記フィルムを前記対極の他面に接着してなることを特徴とする色素増感型光電変換素子である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記封止部が、前記作用極および前記対極の集電極が介在する領域を除く部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型光電変換素子である。
さらに、本発明の請求項3に係る発明は、前記封止部が、前記作用極および前記対極の集電極が存する領域にも設けられていることを特徴とする請求項2に記載の色素増感型光電変換素子である。
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感型光電変換素子の第1実施形態を示す図面であり、図1(a)は、色素増感型光電変換素子1の平面図、図1(b)は、図1(a)のB−B線に沿う断面図、図1(c)は、図1(a)のC−C線に沿う断面図である。
本発明の色素増感型光電変換素子1は、いずれも矩形形状を有する作用極3、対極4、セパレータ5、および可視光の透過性を有するフィルム10を主な構成要素として備えている。
フィルム10と、金属板からなる対極4は、重ね合わせられた上で、周縁部にフィルム10と対極4とが接触した部分からなる封止部S1,S2を設けることで袋体をなしている。
板状の基板を用いずに、線状の基材(線材)を用いるとともに、複数の基材が布のように編まれているので、大面積化が比較的容易で、編まれていない単一の金属線を使って作製したものと比較して、より形状安定性に優れたフレキシブルな素子が構築可能である。さらに、従来の光電変換素子のように、透明導電性基板(例えば、ガラス基材に透明導電膜を設けた基板)を用いないため、安価に素子を製造することができる。
作用極3の周囲には、導電性を有する板状の集電極35が溶接により電気的に接続されている。集電極35は、作用極3において発生した電子をより効率的に集電するために、作用極3を構成する基材31の経糸、または緯糸の端部に溶接されている。
作用極3に溶接されている集電極35には突出部35aが形成されており、該突出部35aは、封止部S1を貫通して袋体の外部に延在している。また、対極4にも突出部4aが形成されており、色素増感型光電変換素子1を所定箇所に設置した場合においても、集電が可能とされている。封止部S1は、作用極3および対極4の集電極35a、4aが存する領域に設けられている。
一方、長辺の封止部S2は、対極4の裏側までフィルム10を延在させたうえで、延在させたフィルム10を対極4の裏側に接着して形成されている。接着剤11は、対極4の裏側に配されている。
つまり、従来の色素増感型光電変換素子においては、フィルムを対極に接着するために、対極の受光側の面のみを使用していたことに対して、本発明の色素増感型光電変換素子1は、対極4の裏側を使用してフィルム10と対極4とを接着している。
この構成によれば、対極4の受光側の面において、封止部の接着代に相当する面積をS1部のみとすることができるため、色素増感型光電変換素子1の短手方向の幅を小さくすることができる。
(b)幅W1に対して、所定寸法幅広の幅W2を有するフィルム10を、作用極3上に配置し、対極4の短辺に接着する。接着は、フィルム10と対極4の間に、接着剤11を配置した上で、熱圧着することにより行う。
(c)フィルム10の側部を、対極4の裏側へ折り返す。
(d)対極4の裏側に、折り返し部を接着する。
作用極3は、複数の線状の基材31が重複部において互いに十分に接触するように布状に編まれてなる構造である。作用極3を構成する基材31は、Tiからなるワイヤである。もちろん、基材31を構成する材料としてはTiに限ることはなく、WやPtなど耐食性の高い金属およびそれらの合金も使用可能である。また、導電性を有し、かつ、電解質13に対して電気化学的に不活性な材質からなる線状基材を、例えば、Tiなどによって被覆したTi被覆金属線なども基材31として用いることができる。
また、基材31として、通常の断面円形の線材のみならず、平角線、多角形線などの異形線を使用することも可能である。
まず、Tiを押出成型等によってパイプ状に形成すると共に、Cuを押出成型等によって線状に形成し、これらTiパイプとCu線を同時に走行させつつTi製パイプの内部にCu線を挿入し、これらを絞って、両者間を密着させて、Ti被覆Cu線を得る。
このような基材31の太さ(直径)は、例えば、10μm〜1mmとするのが好ましい。ただし、柔軟性を十分に発揮させるためには、基材31の太さは細いほどよい。
多孔質酸化物半導体層12を形成する半導体は、酸化チタン(TiO2)である。この酸化チタンの膜厚は約5μmとしたが、特に限定されるものではなく、例えば、1μm〜50μmであってよい。
多孔質酸化物半導体層12を形成する半導体としては酸化チタンに限ることはなく、一般に色素増感型太陽電池に用いられるものであれば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO3)など様々な半導体電極が制限なく使用可能である。
この電解液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などが挙げられる。
また、揮発性電解質溶液に代えて、一般に色素増感型太陽電池に用いられるものであれば、溶媒がイオン液体であるものやゲル化したものだけではなく、p型無機半導体や有機ホール輸送層といった固体であっても制限なく使用可能である。
常温溶融塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。
常温溶融塩のアニオンとしては、BF4 −,PF6 −,(HF)n −、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CF3SO2)2 −]、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
イオン液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンなどからなる塩類を挙げることができる。
また、導電性粒子の種類や粒子サイズなどは特に限定されるものではないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化するようなものが用いられる。さらに、電解質13に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。
特に、電解質13がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合であっても、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
対極4の構成は、上述したようなPt被膜Ti板に限るものではなく、Pt板、またはPtを被膜した金属板であってよい。あるいは、カーボン板、またはカーボンを被膜した金属板であってよい。また、対極4は、導電性を有する線状の基材が網目状に編まれてなるテキスタイル構造を採用し、Ptを被膜させる構成としてもよい。
以下、本発明に係る光電変換素子の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る色素増感型光電変換素子の概略構成図であり、図3(a)は光電変換素子の受光側、図3(b)は裏側を示す。
第2実施形態の色素増感型光電変換素子は、封止部の全てを対極4bの裏側に設けたことを特徴としており、この点が第1実施形態のものと異なっている。
作用極3bからの集電は、作用極3bの集電極35bに電気的に接続された少なくとも1本の集電用配線35bを使用する。また、対極4bは、少なくとも一部が、対極4bの裏側において露呈されている。
この構造は、封止部を全て対極4bの裏側に設けるため、実施形態1と比較して、色素増感型光電変換素子1bの面積をより小さくすることができる。
図1に示す構造の光電変換素子を作製した。
まず、直径50μmのTi線(基材31)を、織機により緻密な平織り(テキスタイル)構造に製織した。縦横のTi線が織り重ねられる矩形部分(テキスタイル部)のサイズは50mm×100mmとした。
セパレータ5には、ポリエチレンよりなる厚み16μm、気孔率38%の不織布を用いた。その大きさは、50×100mmとした。
Claims (3)
- 可視光の透過性を有するフィルムと、金属板からなる対極とを重ね合わせ、前記フィルムと前記対極とが接触した部分からなる封止部を設けることによって形成された袋体、
前記袋体の内部に封入され、導電性を有する複数の線材が網目状に編まれてなる構造を有し、前記対極の一面と対向するように配された作用極、
および前記作用極とともに前記袋体の内部に封入された電解質、
を少なくとも備えた色素増感型光電変換素子であって、
前記封止部の少なくとも一部は、前記対極の前記作用極と面する側の反対側まで前記フィルムを延在させるとともに、前記反対側において前記フィルムを前記対極の他面に接着してなることを特徴とする色素増感型光電変換素子。 - 前記封止部は、前記作用極および前記対極の集電極が存する領域を除く部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型光電変換素子。
- 前記封止部は、前記作用極および前記対極の集電極が存する領域にも設けられていることを特徴とする請求項2に記載の色素増感型光電変換素子。
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