JP2011122957A - 高特異的かつ高感度なタンパク質検出方法 - Google Patents

高特異的かつ高感度なタンパク質検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ABC法(アビジンビオチンコンプレックス法)以上の感度を有し、かつABC法で問題となった試料中の夾雑物の影響を受けないタンパク質の検出方法を提供すること。
【解決手段】 タンパク質を認識する物質をエストラジオールで標識後エストラジオールを認識する物質で検出するタンパク質検出方法、およびタンパク質を認識するエストラジオールを標識した物質とエストラジオールを認識する物質を含んだタンパク質検出試薬により、前記課題を解決することができた。
【選択図】 図4

Description

本発明は、従来より知られているビオチン−アビジン系以上の特異性および検出感度を有するタンパク質検出方法に関する。
タンパク質を定性的または定量的に検出する方法として、ウエスタンブロッティング法やELISA法といった抗原抗体反応を利用した検出が広く実施されている。前記方法は、膜や担体上に固定化したタンパク質を、前記タンパク質を認識する標識抗体で検出する方法である。
前記方法において、従来抗体の標識としては、アルカリホスファターゼなどの酵素を用い、結合した酵素標識抗体の酵素活性を測定することでタンパク質を検出していたが、近年、より高感度にタンパク質を検出する方法が求められている。高感度なタンパク質検出方法の例としてはABC法(アビジンビオチンコンプレックス法)がある。ABC法は、膜や担体上に固定化したタンパク質を、ビオチンで標識した前記タンパク質を認識する抗体と反応後、酵素で標識したストレプトアビジンと反応させ、前記標識した酵素の活性を測定することでタンパク質を検出する方法である。通常、ビオチンは抗体あたり数分子標識されるため、酵素で標識したストレプトアビジンも抗体あたり数分子結合することができる。結果として、前記タンパク質に結合した酵素の数が増加するため、ABC法は従来の方法と比較し測定感度を向上させることができる。
しかしながら、ABC法で使用するビオチンは生体内で比較的高濃度に存在するため、生体試料中に存在するビオチンにより測定結果に影響を受ける問題があった。よって、ABC法を用いてタンパク質を検出する場合、緩衝液やブロッキング剤を完全にビオチンフリーのものにする必要があった。さらに、ビオチンが付加されたタンパク質も多数存在することが知られているため、生体試料中に存在するビオチンが付加されたタンパク質の影響も考慮する必要があった。
松葉隆雄ら、東ソー研究報告、53、3−9(2008)
本発明の目的は、ABC法(アビジンビオチンコンプレックス法)以上の感度を有し、かつABC法で問題となった試料中の夾雑物の影響を受けないタンパク質の検出方法を提供することにある。
前記課題を鑑み発明者が鋭意検討した結果、タンパク質を認識する物質をエストラジオール(E2)で標識し、E2を認識する物質で検出することにより、ABC法(アビジンビオチンコンプレックス法)より高感度かつ高特異的にタンパク質を検出することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち第一の発明は、タンパク質を認識する物質をエストラジオールで標識後、エストラジオールを認識する物質で検出する、タンパク質検出方法である。
また第二の発明は、タンパク質を認識する物質がタンパク質を認識する抗体である、第一の発明に記載のタンパク質検出方法である。
また第三の発明は、エストラジオールを認識する物質がエストラジオールを認識する抗体である、第一または第二の発明に記載のタンパク質検出方法である。
また第四の発明は、エストラジオールを認識する抗体がウサギモノクローナル抗体である、第三の発明に記載のタンパク質検出方法である。
また第五の発明は、タンパク質を認識するエストラジオールを標識した物質と、エストラジオールを認識する物質を含んだ、タンパク質検出試薬である。
また第六の発明は、担体にタンパク質を固定化する際に、担体にエストラジオールを認識する物質を固定化後、エストラジオールを標識した前記タンパク質を固定化させる、タンパク質の固定化方法である。
以降、本発明について詳細に説明する。
タンパク質を高感度かつ高特異的に検出するための標識分子には、以下の4つの要件が求められる。
(1)標識分子が低分子量であること
標識分子が高分子量の化合物であると、立体障害などにより、タンパク質との結合(例えば抗原抗体反応)を阻害する可能性があり、検出感度および特異性が低下するため好ましくない。なお、ビオチンの分子量が244.3であることから、これと同程度の分子量を有する分子が標識分子としては好ましいことが考えられる。
(2)標識分子が極端な電荷を有していないこと
標識分子が極端な電荷を有していると、タンパク質との結合(例えば抗原抗体反応)を阻害する可能性が生じるため好ましくない。
(3)標識分子に対して親和性の高い物質が存在すること
ABC法では、ビオチン−アビジン(ストレプトアビジン)間の結合量が強いため、高感度にタンパク質を検出することができる。
(4)生体試料中における標識分子の濃度が低く、かつ標識分子を付加したタンパク質が生体試料中に存在しないこと
標識分子または標識分子を付加したタンパク質が生体試料中に存在すると、検出する際、バックグラウンド増加の原因になり、結果的にはS/N比の低下、ひいては検出感度の低下の原因になる。
そこで、前述した4つの要件に該当する標識分子について鋭意検討を行なった結果、エストラジオール(E2)が標識分子の候補としてあがった。E2は、
(1)ビオチンとほぼ同じ分子量(279.39)であり、
(2)電荷を有しておらず、
(3)標識分子に対して親和性の高い物質として、E2を認識する抗体(ウサギモノクローナル抗体、非特許文献1)が存在し、
(4)生体試料中(例えば血液中)には測定系を妨害するほどの濃度は含まれておらず、かつE2を付加したタンパク質も存在しない、
ため、従来知られているABC法と比較しタンパク質を高感度かつ高特異的に検出することができると予想された。そこで実際にBNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)のC末端側7アミノ酸(BNC)(配列番号1)を付加したタンパク質を膜または担体に固定化し、BNCを認識するE2を標識した抗体と反応後、ウサギモノクローナル抗E2抗体を用いて前記タンパク質をウエスタンブロッティング法またはELISA法で検出した結果、いずれの方法においても、ビオチンを標識した系と比較し高感度かつ高特異的にタンパク質を検出することができた(実施例4から8および図2から6参照)。以上の結果より、タンパク質を高感度かつ高特異的に検出するための標識分子としてE2が好ましいことが判明した。
本発明における、タンパク質を認識する物質としては、タンパク質を認識するモノクローナル抗体・ポリクローナル抗体・抗血清が例示できるが、ロット間差の考慮が不要なモノクローナル抗体が、安定的な検出ができる点で好ましい。なお、前記タンパク質がHisタグ、Mycタグ、BNCタグ(配列番号1)といったタグペプチドを付加している場合は、前記ペプチドを認識する物質をタンパク質を認識する物質として用いてもよい。
本発明における、E2を認識する物質としては、E2を認識するモノクローナル抗体・ポリクローナル抗体・抗血清が例示できるが、ロット間差の考慮が不要なモノクローナル抗体が、安定的な検出ができる点で好ましい。E2を認識するモノクローナル抗体としては、親和性の高い非特許文献1に記載のウサギモノクローナル抗E2抗体を用いてもよいし、新たにモノクローナル抗体を単離してもよい。
タンパク質を認識する物質へのE2の標識はビオチンを標識する系で行なわれている方法と同様な方法で標識すればよい。またE2の導入数は、タンパク質との反応(例えば、抗原抗体反応)を阻害しない程度であればよく、タンパク質を認識する物質1分子あたり通常1から10分子であるが、使用するタンパク質を認識する物質の特性および分子量によっては、さらに多くの分子を標識することも可能である。また、E2を認識する物質への標識も通常よく知られている方法で行なえばよく、一例として、市販のキットを用いてE2を認識する物質に直接酵素などを標識する方法(例えば、同仁化学社製HRP標識キットといった市販のキットを用いてHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)を標識することができる)があげられる。なお、検出感度を向上させるために、E2を認識する物質に標識する酵素を重合させたり、前記標識分子を検出する試薬を高感度のものに変更してもよい。
ABC法は様々なアプリケーションが報告されており、また様々な試薬キットとして上市されているが、前記試薬キットの構成成分のうち、タンパク質を認識する物質の標識分子をビオチンからE2に、検出物質をアビジン(ストレプトアビジン)からE2を認識する物質に、それぞれ変更するだけで、本発明のタンパク質測定試薬を構築することが可能である。そのため、ABC法と同様、様々なアプリケーションに適用できる。
また、本発明のタンパク質検出方法を応用することで、タンパク質を担体に固定化させることもできる。タンパク質を直接水不溶担体に固定化すると、立体構造の変化がおきやすく、活性が失われる場合が多い。そこで、E2を認識する物質を水不溶性担体に固定化後、E2を介してタンパク質を固定化させることにより、立体構造の変化がおきにくく、活性を有した状態でタンパク質を固定化することができる。
本発明はタンパク質を検出する際、タンパク質を認識する物質をエストラジオール(E2)で標識後、E2を認識する物質で検出することを特徴としており、従来から高感度なタンパク質検出方法として知られているABC法(アビジンビオチンコンプレックス法)と比較し、さらに高感度にタンパク質を検出することができる。よって、本発明の測定方法は、試料中に非常に少ない量しか存在しないタンパク質を検出する目的で好ましく用いることができる。特に、タンパク質を認識する物質としてタンパク質を認識する抗体および/またはE2を認識する物質としてE2を認識する抗体(さらに好ましくはE2に対する親和性の高いウサギモノクローナル抗体)を用いることで、さらに高感度にタンパク質を検出することができる。
従来から知られているABC法は、生体試料中に存在するビオチンやビオチンが付加されたタンパク質により、高バックグラウンドなど測定結果に影響を受ける問題があった。一方、本発明の検出方法で標識分子として用いるE2は、生体試料中には測定系を妨害するほどの濃度が含まれておらず、かつE2を付加したタンパク質も存在しないため、ABC法と比較し特異性高くタンパク質を検出することができる。
なお、市販されているタンパク質測定試薬の構成成分のうち、タンパク質を認識する物質の標識分子をE2に、検出物質をE2を認識する物質に、それぞれ変更するだけで、本発明のタンパク質測定試薬が得られる。したがって、本発明のタンパク質測定試薬は、従来のタンパク質測定試薬より高感度・高特異性であることはもちろん、市販されているタンパク質測定試薬と同様なアプリケーションにも適用できる。
さらに本発明の応用技術として、E2を認識する物質を水不溶性担体に固定化後、E2を介してタンパク質を固定化させる本発明のタンパク質固定化方法があり、前記方法は立体構造の変化がおきにくく、活性を有した状態でタンパク質を固定化することができる。
実施例2の結果を示すものである。 実施例4の結果を示すものである。図中左側のグラフのうち、ひし形はE2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)の結果であり、四角はビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法の結果である。図中右側はELISAのアッセイフォーマットを示す。 実施例5の結果を示すものである。図中左側のグラフのうち、黒丸はE2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)の結果であり、白丸はビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法の結果である。図中右側はELISAのアッセイフォーマットを示す。 実施例6の結果を示すものである。図中右側はドットブロットのアッセイフォーマットを示す。 実施例7の結果を示すものである。図中右側はウエスタンブロッティングのアッセイフォーマットを示す。 実施例8の結果を示すものである。図中右側はウエスタンブロッティングのアッセイフォーマットを示す。 実施例9の結果を示すものである。図中右側はELISAのアッセイフォーマットを示す。
以下に本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、これら実施例は本発明の一例を示すものであり、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 タグペプチドを付加したタンパク質を発現可能な形質転換体の調製
マルトース結合タンパク(MBP)のC末端側にタグペプチドを付加したタンパク質を発現可能な形質転換体を以下の方法で調製した。
(1) ニューイングランドレイブス社製のpMAL−c4Xベクターを、BamHIとHindIIIで処理した。
(2)BNPのC末端側7アミノ酸からなるタグペプチド(BNC、配列番号1)をコードするオリゴヌクレオチドをそれぞれ10μMとなるようにTEで希釈し、それらを混合後、95℃で5分間熱処理し、その後25℃まで徐々に冷却することで、アニーリングを行なった。なお、使用したオリゴヌクレオチドとして、配列番号2(相同鎖)および3(相補鎖)を用いた。
(3)(2)で得られたBNCをコードするオリゴヌクレオチド(二本鎖DNA)を、(1)で処理したpMAL−c4Xベクターに挿入した。挿入方法は、(1)で処理したベクター67ngと(2)のオリゴヌクレオチド100ngに、DNAライゲーションキット(タカラバイオ社製)を4μL添加し、16℃で30分間ライゲーション反応を行なうことで挿入した。
(4)(3)で得られた、BNCをコードするオリゴヌクレオチドを挿入したpMAL−c4Xベクターで、定法に従い大腸菌(JM109株)を形質転換した。
実施例2 タグペプチドを付加したタンパク質の調製
実施例1で得られた形質転換体を、50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地で培養し、600nmの濁度が0.5になった時点で終濃度1mMになるようにIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)を添加後、さらに37℃で4時間培養した。その後大腸菌を集菌し、アミロースカラムを使ったアフィニティークロマトグラフィーにより、発現したBNCを付加したMBPを精製した。精製した前記タンパクのSDS−PAGE結果を図1に示す。
実施例3 BNC認識抗体の単離、およびビオチンまたはエストラジオールの標識
BNCを認識する抗体、および前記抗体への標識は以下の方法で行なった。
(1)配列番号1のアミノ酸配列からなるBNC 20mgを、10mgのマレイミドで活性化された10mgのオボアルブミン(PIERCE社製、77125)に、添付された説明書に従い結合後、PBSで透析し、1mg/mLに調製した。
(2)(1)で調製したタンパク質とFCA(フロイント完全アジュバント)とを等量混合したエマルジョンを、100μL/匹でマウス腹腔内に注射した(1回目の免疫)。
(3)2回目以降は、FCAをFICA(フロイント不完全アジュバント)に変更したほかは、(2)と同様に毎週免疫を行ない、これを3回繰り返した。
(4)免疫後のマウスから脾臓B細胞を取り出し、ミエローマ細胞株とPEG法による細胞融合を行ない、BNCに特異的に反応する抗体を産生するハイブリドーマを樹立した(BC23−11)。
(5)得られたハイブリドーマ(BC23−11)を培養し、抗体を精製後、2mg/mLになるようにPBSで調製した。
(6)抗体1molに対して20molのNHSで活性化したビオチンまたはNHSで活性化したエストラジオール(E2)を反応させることで、ビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を得た。なお、NHSで活性化したビオチンまたはNHSで活性化したE2の、抗体に対する添加比率を揃えることで、ビオチンまたはE2導入量を揃えた。
実施例4 ELISAによる検出感度の比較(その1)
(1)実施例2で精製したBNCを付加したMBPをELISAプレートに0.1μg/ウェルで固定化し、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を濃度を変化させて添加し反応させた。
(3)ビオチン標識BC23−11の場合はHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を1000倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合は非特許文献1に記載のE2を認識するウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを1000倍希釈して反応させた。
(4)定法に従いHRPの酵素活性を測定した。
結果を図2に示す。E2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)が、ビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法と比較し、より少ないBNC認識抗体でBNCを付加したMBPを検出できることが判明した。
実施例5 ELISAによる検出感度の比較(その2)
(1)実施例2で精製したBNCを付加したMBPをELISAプレートに0.1μg/ウェルからの2倍希釈系列で固定化し、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度で添加し反応させた。
(3)実施例4と同様な方法でHRP酵素活性を測定した。
結果を図3に示す。E2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)が、ビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法と比較し、BNCを付加したMBPをより高感度に検出することが判明した。また、ブロッキングだけのウエル(BNCを付加したMBPを固定化しないウェル)におけるシグナルを比較すると、ビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法の方がシグナルが高かった。これは、スキムミルクに含まれるビオチン、ビオチンが付加されたタンパク質またはストレプトアビジンによる高い非特異的吸着の影響によるものと推測される。一方、E2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法では、シグナルは非常に低く、非特異的吸着がほとんどないことがわかる。
実施例6 ドットブロットによる検出感度の比較
(1)実施例2で精製したBNCを付加したMBPを2μg/mLになるようにPBSで調製し、同緩衝液で3倍希釈系列を作製した。
(2)BioRad社のドットブロット装置に、PVDF膜をセットし、500μLのPBSを加え、吸引することで各ウエルを洗浄した。
(3)(1)で調製した各種濃度のBNCを付加したMBPを500μL/ウェル添加した。なお、一番下のウエルはBNCを付加したMBPを固定化しなかった。
(4)吸引後、500μLのPBSを加え、さらに吸引することで各ウェルを洗浄した。
(5)PVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS(Tris−Buffered Saline)中で、4℃で一晩放置することでブロッキングした。
(6)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を0.5μg/mLの濃度になるように5%スキムミルクを含むTBSで希釈後、各ウェルに添加した。
(7)室温で2時間反応後、PVDF膜をTBS−T(TBS−Tween20)で4回洗浄し、ビオチン標識BC23−11の場合はHRP標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を1000倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合はE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを1000倍希釈して使用した。
(8)ECL Plus(GEヘルスケア社製:RPN2132)を用い、検出した。
結果を図4に示す。E2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)が、ビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法と比較し、約9倍高感度であることが判明した。
実施例7 ウエスタンブロッティングによる比較(その1)
(1)マウスミエローマ細胞(SP2/0)の4×10個を1mLのPBSに懸濁し、超音波で破砕後、15000rpmで10分遠心分離した上清を回収することで希釈液を調製した。なお、今回調製した希釈液中のタンパク質濃度は280nmの吸光度から測定した結果7mg/mLであった。
(2)実施例2で精製したBNCを付加したMBPを33ng/レーン、10ng/レーン、3.3ng/レーンとなるように(1)の希釈液で希釈した。
(3)定法に従いタンパク質をPVDF膜に転写後、以下に示す方法でウエスタンブロッティングを行なった。
(3−1)転写後のPVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS中で、4℃で一晩放置することでブロッキングした。
(3−2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度になるように5%スキムミルクを含むTBSで希釈後、各ウェルに添加した。
(3−3)室温で2時間反応後、膜をTBS−Tで4回洗浄し、ビオチン標識BC23−11の場合はHRP標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を2500倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合はE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを5000倍希釈して使用した。
(3−4)ECL Plus(GEヘルスケア社製、RPN2132)を用い、検出した。
結果を図5に示す。図5において、白三角で示すバンドがBNCを付加したMBPに相当するバンドであり、黒三角で示すバンドがBNCを付加したMBPのダイマーに相当するバンドである。左右の図を比較すると、左側の図つまりE2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)の方が、検出感度が高いことがわかる。なお、右側の図における矢印で示すバンドは、BNCを付加したMBPの濃度が変化してもバンドの強度が変化しないことから、動物細胞中に含まれる内在性のビオチンが付加されたタンパク質と考えられる。よって、ビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法は、本来検出したくない内在性のビオチンが付加されたタンパク質もバンドとして検出してしまう。一方、E2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法は左側の図からも分かるように矢印で示すバンドは存在しなかった。
実施例8 ウエスタンブロッティングによる比較(その2)
(1)大腸菌(JM109株)を20mLのLB培地で一晩培養後、回収した大腸菌を1mLのPBSに懸濁し、超音波で破砕後、15000rpmで10分遠心分離した上清を回収し(タンパク質濃度:12mg/mL(280nmの吸光度より測定))、タンパク質濃度として7mg/mLとなるようにPBSで希釈したものを希釈液とした。
(2)実施例2で精製したBNCを付加したMBPを33ng/レーン、10ng/レーン、3.3ng/レーン、1ng/レーン、0.33ng/レーン、0.1ng/レーンとなるように(1)の希釈液で希釈した。
(3)定法に従いタンパク質をPVDF膜に転写し、以下の方法でウエスタンブロッティングを行なった。
(3−1)転写後のPVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS中で、4℃で一晩放置することでブロッキングした。
(3−2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度になるように5%スキムミルクを含むTBSで希釈後、各ウェルに添加した。
(3−3)室温で2時間反応後、膜をTBS−Tで4回洗浄し、ビオチン標識BC23−11の場合はHRP標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を2500倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合はE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを5000倍希釈して使用した。
(3−4)ECL Plus(GEヘルスケア社製、RPN2132)を用い、検出した。
結果を図6に示す。図6において、白三角で示すバンドがBNCを付加したMBPに相当するバンドであり、黒三角で示すバンドがBNCを付加したMBPのダイマーに相当するバンドである。左右の図を比較すると、左側の図つまりE2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法(本発明のタンパク質検出方法)の方が、低濃度域までバンドがあることから検出感度が高いことがわかる。なお、右側の図における矢印で示すバンドは、BNCを付加したMBPの濃度が変化してもバンドの強度が変化しないことから、大腸菌中に含まれる内在性のビオチンが付加されたタンパク質と考えられる。よって、ビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法は、本来検出したくない内在性のビオチンが付加されたタンパク質もバンドとして検出してしまう。一方、E2で標識した抗体をHRP標識ウサギモノクローナル抗体で検出する方法は左側の図からも分かるように矢印で示すバンドは存在しなかった。実施例7および本実施例の結果より、本発明のタンパク質測定方法は、特異性においてもビオチンで標識した抗体をHRP標識ストレプトアビジンで検出する方法と比較し優れていることがわかる。
実施例9 エストラジオール(E2)を介したタンパク質の固定化
(1)ELISAプレートに、100ng/ウェル、10ng/ウェル、1ng/ウェル、0.1ng/ウェル、0.01ng/ウェルのE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)を固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)実施例3で得られたE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度になるように0.1%スキムミルクを含むPBSで希釈後、各ウェルに添加し、1時間反応させた。
(3)十分に洗浄後、アルカリホスファターゼで標識された抗マウス抗体(CHEMICON社製、AP124A)を0.1%スキムミルクを含むPBSで10000倍希釈して1時間反応させた。
(4)十分に洗浄後、定法によりALPの酵素活性をPNPP(p−ニトロフェニルリン酸)で検出した。
結果を図7に示す。図7から明らかなように、E2を介して抗体すなわちタンパク質の固定化が可能なことが示された。

Claims (6)

  1. タンパク質を認識する物質をエストラジオールで標識後、エストラジオールを認識する物質で検出する、タンパク質検出方法。
  2. タンパク質を認識する物質がタンパク質を認識する抗体である、請求項1に記載のタンパク質検出方法。
  3. エストラジオールを認識する物質がエストラジオールを認識する抗体である、請求項1または2に記載のタンパク質検出方法。
  4. エストラジオールを認識する抗体がウサギモノクローナル抗体である、請求項3に記載のタンパク質検出方法。
  5. タンパク質を認識するエストラジオールを標識した物質と、エストラジオールを認識する物質を含んだ、タンパク質検出試薬。
  6. 担体にタンパク質を固定化する際に、担体にエストラジオールを認識する物質を固定化後、エストラジオールを標識した前記タンパク質を固定化させる、タンパク質の固定化方法。
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