JP2011122957A - 高特異的かつ高感度なタンパク質検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 タンパク質を認識する物質をエストラジオールで標識後エストラジオールを認識する物質で検出するタンパク質検出方法、およびタンパク質を認識するエストラジオールを標識した物質とエストラジオールを認識する物質を含んだタンパク質検出試薬により、前記課題を解決することができた。
【選択図】 図4
Description
標識分子が高分子量の化合物であると、立体障害などにより、タンパク質との結合(例えば抗原抗体反応)を阻害する可能性があり、検出感度および特異性が低下するため好ましくない。なお、ビオチンの分子量が244.3であることから、これと同程度の分子量を有する分子が標識分子としては好ましいことが考えられる。
標識分子が極端な電荷を有していると、タンパク質との結合(例えば抗原抗体反応)を阻害する可能性が生じるため好ましくない。
ABC法では、ビオチン−アビジン(ストレプトアビジン)間の結合量が強いため、高感度にタンパク質を検出することができる。
標識分子または標識分子を付加したタンパク質が生体試料中に存在すると、検出する際、バックグラウンド増加の原因になり、結果的にはS/N比の低下、ひいては検出感度の低下の原因になる。
(1)ビオチンとほぼ同じ分子量(279.39)であり、
(2)電荷を有しておらず、
(3)標識分子に対して親和性の高い物質として、E2を認識する抗体(ウサギモノクローナル抗体、非特許文献1)が存在し、
(4)生体試料中(例えば血液中)には測定系を妨害するほどの濃度は含まれておらず、かつE2を付加したタンパク質も存在しない、
ため、従来知られているABC法と比較しタンパク質を高感度かつ高特異的に検出することができると予想された。そこで実際にBNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)のC末端側7アミノ酸(BNC)(配列番号1)を付加したタンパク質を膜または担体に固定化し、BNCを認識するE2を標識した抗体と反応後、ウサギモノクローナル抗E2抗体を用いて前記タンパク質をウエスタンブロッティング法またはELISA法で検出した結果、いずれの方法においても、ビオチンを標識した系と比較し高感度かつ高特異的にタンパク質を検出することができた(実施例4から8および図2から6参照)。以上の結果より、タンパク質を高感度かつ高特異的に検出するための標識分子としてE2が好ましいことが判明した。
マルトース結合タンパク(MBP)のC末端側にタグペプチドを付加したタンパク質を発現可能な形質転換体を以下の方法で調製した。
(1) ニューイングランドレイブス社製のpMAL−c4Xベクターを、BamHIとHindIIIで処理した。
(2)BNPのC末端側7アミノ酸からなるタグペプチド(BNC、配列番号1)をコードするオリゴヌクレオチドをそれぞれ10μMとなるようにTEで希釈し、それらを混合後、95℃で5分間熱処理し、その後25℃まで徐々に冷却することで、アニーリングを行なった。なお、使用したオリゴヌクレオチドとして、配列番号2(相同鎖)および3(相補鎖)を用いた。
(3)(2)で得られたBNCをコードするオリゴヌクレオチド(二本鎖DNA)を、(1)で処理したpMAL−c4Xベクターに挿入した。挿入方法は、(1)で処理したベクター67ngと(2)のオリゴヌクレオチド100ngに、DNAライゲーションキット(タカラバイオ社製)を4μL添加し、16℃で30分間ライゲーション反応を行なうことで挿入した。
(4)(3)で得られた、BNCをコードするオリゴヌクレオチドを挿入したpMAL−c4Xベクターで、定法に従い大腸菌(JM109株)を形質転換した。
実施例1で得られた形質転換体を、50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地で培養し、600nmの濁度が0.5になった時点で終濃度1mMになるようにIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)を添加後、さらに37℃で4時間培養した。その後大腸菌を集菌し、アミロースカラムを使ったアフィニティークロマトグラフィーにより、発現したBNCを付加したMBPを精製した。精製した前記タンパクのSDS−PAGE結果を図1に示す。
BNCを認識する抗体、および前記抗体への標識は以下の方法で行なった。
(1)配列番号1のアミノ酸配列からなるBNC 20mgを、10mgのマレイミドで活性化された10mgのオボアルブミン(PIERCE社製、77125)に、添付された説明書に従い結合後、PBSで透析し、1mg/mLに調製した。
(2)(1)で調製したタンパク質とFCA(フロイント完全アジュバント)とを等量混合したエマルジョンを、100μL/匹でマウス腹腔内に注射した(1回目の免疫)。
(3)2回目以降は、FCAをFICA(フロイント不完全アジュバント)に変更したほかは、(2)と同様に毎週免疫を行ない、これを3回繰り返した。
(4)免疫後のマウスから脾臓B細胞を取り出し、ミエローマ細胞株とPEG法による細胞融合を行ない、BNCに特異的に反応する抗体を産生するハイブリドーマを樹立した(BC23−11)。
(5)得られたハイブリドーマ(BC23−11)を培養し、抗体を精製後、2mg/mLになるようにPBSで調製した。
(6)抗体1molに対して20molのNHSで活性化したビオチンまたはNHSで活性化したエストラジオール(E2)を反応させることで、ビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を得た。なお、NHSで活性化したビオチンまたはNHSで活性化したE2の、抗体に対する添加比率を揃えることで、ビオチンまたはE2導入量を揃えた。
(1)実施例2で精製したBNCを付加したMBPをELISAプレートに0.1μg/ウェルで固定化し、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を濃度を変化させて添加し反応させた。
(3)ビオチン標識BC23−11の場合はHRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を1000倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合は非特許文献1に記載のE2を認識するウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを1000倍希釈して反応させた。
(4)定法に従いHRPの酵素活性を測定した。
(1)実施例2で精製したBNCを付加したMBPをELISAプレートに0.1μg/ウェルからの2倍希釈系列で固定化し、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度で添加し反応させた。
(3)実施例4と同様な方法でHRP酵素活性を測定した。
(1)実施例2で精製したBNCを付加したMBPを2μg/mLになるようにPBSで調製し、同緩衝液で3倍希釈系列を作製した。
(2)BioRad社のドットブロット装置に、PVDF膜をセットし、500μLのPBSを加え、吸引することで各ウエルを洗浄した。
(3)(1)で調製した各種濃度のBNCを付加したMBPを500μL/ウェル添加した。なお、一番下のウエルはBNCを付加したMBPを固定化しなかった。
(4)吸引後、500μLのPBSを加え、さらに吸引することで各ウェルを洗浄した。
(5)PVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS(Tris−Buffered Saline)中で、4℃で一晩放置することでブロッキングした。
(6)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を0.5μg/mLの濃度になるように5%スキムミルクを含むTBSで希釈後、各ウェルに添加した。
(7)室温で2時間反応後、PVDF膜をTBS−T(TBS−Tween20)で4回洗浄し、ビオチン標識BC23−11の場合はHRP標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を1000倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合はE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを1000倍希釈して使用した。
(8)ECL Plus(GEヘルスケア社製:RPN2132)を用い、検出した。
(1)マウスミエローマ細胞(SP2/0)の4×107個を1mLのPBSに懸濁し、超音波で破砕後、15000rpmで10分遠心分離した上清を回収することで希釈液を調製した。なお、今回調製した希釈液中のタンパク質濃度は280nmの吸光度から測定した結果7mg/mLであった。
(2)実施例2で精製したBNCを付加したMBPを33ng/レーン、10ng/レーン、3.3ng/レーンとなるように(1)の希釈液で希釈した。
(3)定法に従いタンパク質をPVDF膜に転写後、以下に示す方法でウエスタンブロッティングを行なった。
(3−1)転写後のPVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS中で、4℃で一晩放置することでブロッキングした。
(3−2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度になるように5%スキムミルクを含むTBSで希釈後、各ウェルに添加した。
(3−3)室温で2時間反応後、膜をTBS−Tで4回洗浄し、ビオチン標識BC23−11の場合はHRP標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を2500倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合はE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを5000倍希釈して使用した。
(3−4)ECL Plus(GEヘルスケア社製、RPN2132)を用い、検出した。
(1)大腸菌(JM109株)を20mLのLB培地で一晩培養後、回収した大腸菌を1mLのPBSに懸濁し、超音波で破砕後、15000rpmで10分遠心分離した上清を回収し(タンパク質濃度:12mg/mL(280nmの吸光度より測定))、タンパク質濃度として7mg/mLとなるようにPBSで希釈したものを希釈液とした。
(2)実施例2で精製したBNCを付加したMBPを33ng/レーン、10ng/レーン、3.3ng/レーン、1ng/レーン、0.33ng/レーン、0.1ng/レーンとなるように(1)の希釈液で希釈した。
(3)定法に従いタンパク質をPVDF膜に転写し、以下の方法でウエスタンブロッティングを行なった。
(3−1)転写後のPVDF膜を5%スキムミルクを含むTBS中で、4℃で一晩放置することでブロッキングした。
(3−2)実施例3で得られたビオチン標識BC23−11またはE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度になるように5%スキムミルクを含むTBSで希釈後、各ウェルに添加した。
(3−3)室温で2時間反応後、膜をTBS−Tで4回洗浄し、ビオチン標識BC23−11の場合はHRP標識ストレプトアビジン(ZYMED社製、43−4323)を2500倍希釈して反応させ、E2標識BC23−11の場合はE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)100μgをHRP標識キット(同仁化学、LK11)でプロトコルに従い標識したものを5000倍希釈して使用した。
(3−4)ECL Plus(GEヘルスケア社製、RPN2132)を用い、検出した。
(1)ELISAプレートに、100ng/ウェル、10ng/ウェル、1ng/ウェル、0.1ng/ウェル、0.01ng/ウェルのE2認識ウサギモノクローナル抗体(U16A14)を固定化後、1%スキムミルクでブロッキングした。
(2)実施例3で得られたE2標識BC23−11を1μg/mLの濃度になるように0.1%スキムミルクを含むPBSで希釈後、各ウェルに添加し、1時間反応させた。
(3)十分に洗浄後、アルカリホスファターゼで標識された抗マウス抗体(CHEMICON社製、AP124A)を0.1%スキムミルクを含むPBSで10000倍希釈して1時間反応させた。
(4)十分に洗浄後、定法によりALPの酵素活性をPNPP(p−ニトロフェニルリン酸)で検出した。
Claims (6)
- タンパク質を認識する物質をエストラジオールで標識後、エストラジオールを認識する物質で検出する、タンパク質検出方法。
- タンパク質を認識する物質がタンパク質を認識する抗体である、請求項1に記載のタンパク質検出方法。
- エストラジオールを認識する物質がエストラジオールを認識する抗体である、請求項1または2に記載のタンパク質検出方法。
- エストラジオールを認識する抗体がウサギモノクローナル抗体である、請求項3に記載のタンパク質検出方法。
- タンパク質を認識するエストラジオールを標識した物質と、エストラジオールを認識する物質を含んだ、タンパク質検出試薬。
- 担体にタンパク質を固定化する際に、担体にエストラジオールを認識する物質を固定化後、エストラジオールを標識した前記タンパク質を固定化させる、タンパク質の固定化方法。
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