JP2002257832A - タンパク質のラベル化試薬 - Google Patents

タンパク質のラベル化試薬

Info

Publication number
JP2002257832A
JP2002257832A JP2001052840A JP2001052840A JP2002257832A JP 2002257832 A JP2002257832 A JP 2002257832A JP 2001052840 A JP2001052840 A JP 2001052840A JP 2001052840 A JP2001052840 A JP 2001052840A JP 2002257832 A JP2002257832 A JP 2002257832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
substance
labeling
group
molecule
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001052840A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoto Nemoto
直人 根本
Susumu Sasaki
享 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GENCOM CO
Original Assignee
GENCOM CO
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GENCOM CO filed Critical GENCOM CO
Priority to JP2001052840A priority Critical patent/JP2002257832A/ja
Priority to PCT/JP2002/001718 priority patent/WO2002073201A1/ja
Publication of JP2002257832A publication Critical patent/JP2002257832A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/531Production of immunochemical test materials
    • G01N33/532Production of labelled immunochemicals
    • G01N33/533Production of labelled immunochemicals with fluorescent label
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/13Labelling of peptides
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/58Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving labelled substances
    • G01N33/582Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving labelled substances with fluorescent label

Abstract

(57)【要約】 【課題】 標識すべき標的タンパク質一分子に対して一
分子の標識物質と一分子の親和性物質又は共有結合形成
性反応基を導入することを可能にするタンパク質のラベ
ル化試薬を提供すること。 【解決手段】 タンパク質のC末端に結合する能力を有
する物質一分子に対して一分子の標識物質と一分子の親
和性物質又は共有結合形成性反応基とが結合して成る、
タンパク質のラベル化試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンパク質のラベ
ル化試薬に関する。より詳細には、本発明は、一分子中
に一分子の標識物質と一分子の親和性物質又は共有結合
形成性反応基とを含むタンパク質のラベル化試薬に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ヒトゲノム計画の進展により2001年
には全ヒトゲノムの一次配列が解読されようとしてい
る.現在、いわゆるポストゲノム研究と呼ばれる遺伝子
相互作用の研究が注目され、蛍光偏光解消法(Checovic
h, W.C., et al. (1995) Nature375, 254-256)、表面
プラズモン法(Jonsson U et al. (1991) Anal Bioche
m.198, 268-277)、蛍光相関分光法(Eigen M. and Rig
ler, R. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 5470
-5747)等を含む幾つかの方法が検討され研究が進めら
れている。船津らは近年、初めて水中でエバーネッセン
ト光を用いて蛍光ラベルしたタンパク質分子を1分子レ
ベルで観測する技術を開発することに成功した(Funats
u, T et al. (1995) Nature 374, 555-559)。この技術
における大きな課題の一つはタンパク質分子に1個の蛍
光分子を付加することであった。
【0003】一方、根本らは無細胞翻訳系にピューロマ
イシンと蛍光分子を化学結合させた分子をある濃度で加
えることにより、合成されるタンパク質のC末端に特異
的に蛍光分子が付加されることを発見した(Nemoto, N.,
et al (1999) FEBS Lett. 462, 43-46)。
【0004】上記したような1分子イメージング法と1
分子ラベル法とを組み合わせることができれば、従来に
ない迅速性と定量性を有するシステムを構築することが
可能になる。さらに、大量並立処理を可能とするDNA
チップのようなタンパク質のチップ化に成功すれば技術
的に非常に有意義である。
【0005】しかしながら、DNAの場合と異なり、タ
ンパク質は安定性や精製法等の点において極めて困難な
課題を持っている。例えば、既にタンパク質チップとし
て報告されているものも抗体のような極めて安定性の高
いタンパク質に限られている。cDNA等にコードされ
るタンパク質をその機能を保持したまま基盤上に固定す
る方法はまだ確立されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】いわゆるDNAチップ
におけるDNA−DNA間の相互作用の検出とタンパク
質チップにおけるタンパク質?タンパク質間の相互作用
の検出との違いは,タンパク質間相互作用の結合する度
合いの程度の差(ダイナミックレンジ)が極めて大きく
おおよそ10の4乗のオーダーの強度差を検出する必要
があるということである。本発明は、このようなタンパ
ク質又は核酸と標的分子との間の分子間相互作用を迅速
かつ定量的に測定することを可能にする手段を提供する
ことを解決すべき課題とした。より具体的には、本発明
は、標識すべき標的タンパク質一分子に対して一分子の
標識物質と一分子の親和性物質又は共有結合形成性反応
基を導入することを可能にするタンパク質のラベル化試
薬を提供することを解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、蛍光ラベルと固定化
のためのビオチンを結合したピューロマイシンを、無細
胞翻訳系を用いることによって、固定すべきタンパク質
のC末端に特異的に導入することにより、当該タンパク
質をその機能を失うことなくガラスやメンブレン等に支
持体上にストレプトアビジンを介して固定化できること
を見出した。また本発明者らは、上記のようにして固定
化したタンパク質を1分子イメージング法を用いて測定
すると、極めて正確に固定化した分子数を同定できるこ
とを見出した。さらに、上記のようにして固定化された
タンパク質の正確な数を特定し、さらにこのタンパク質
と相互作用するかどうか調べたいタンパク質のC末端を
波長の異なる蛍光分子で標識化し、その数を定量した上
で,エバーネッセント光を用いた1分子イメージング法
で相互作用するタンパク質の数を定量することにより、
正確な解離定数を求めることが可能になる(図1及び
2)。本発明はこれらの知見に基づいて完成したもので
ある。
【0008】即ち、本発明によれば、以下の発明が提供
される。 (1) タンパク質のC末端に結合する能力を有する物
質一分子に対して一分子の標識物質と一分子の親和性物
質又は共有結合形成性反応基とが結合して成る、タンパ
ク質のラベル化試薬。 (2) 標識物質と親和性物質又は共有結合形成性反応
基がそれぞれスペーサーを介して、タンパク質のC末端
に結合する能力を有する物質に結合している、(1)に
記載のラベル化試薬。 (3) 一般式:X−(L1m−A−(L2n−Y (式中、Xは標識物質の残基を示し、Yは親和性物質の
残基又は共有結合形成性反応基を示し、L1およびL2
それぞれ独立に2価のスペーサ基を示し、mおよびnは
それぞれ独立に0又は1の整数を示し、Aはタンパク質
のC末端に結合する能力を有する物質の残基を示す)で
表される化合物から成る(1)又は(2)に記載のラベ
ル化試薬。
【0009】(4) 標識物質が蛍光物質である、
(1)から(3)の何れかに記載のラベル化試薬。 (5) 親和性物質が、ビオチン、マルトース、グアニ
ンヌクレオチド、金属イオン、グルタチオン、タンパク
質結合性DNA、抗原分子、カルモジュリン結合ペプチ
ド、ATP、及びエストラジオールからなる群より選ば
れる物質であり、共有結合形成性反応基がケトン基、ジ
オール基、アジド基又はソラレンである、(1)から
(4)の何れかに記載のラベル化試薬。 (6) タンパク質のC末端に結合する能力を有する物
質が、ピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピュ
ーロマイシンアミノヌクレオシド、又は3’−N−アミ
ノアシルアデノシンアミノヌクレオシドのいずれかの化
学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体である、
(1)から(5)の何れかに記載のラベル化試薬。
【0010】(7) (1)から(6)の何れかに記載
のタンパク質のラベル化試薬の存在下においてタンパク
質をコードする核酸を用いて転写・翻訳系においてタン
パク質合成を行う工程を含む、タンパク質のC末端を標
識する方法。 (8) 一般式:X−(L1m−A−(L2n−Y (式中、Xは標識物質の残基を示し、Yは親和性物質の
残基又は共有結合形成性反応基を示し、L1およびL2
それぞれ独立に2価のスペーサ基を示し、mおよびnは
それぞれ独立に0又は1の整数を示し、Aはタンパク質
のC末端に結合する能力を有する物質の残基を示す)で
表される化合物又はその塩。
【0011】(9) 標識物質が蛍光物質である、
(8)に記載の化合物又はその塩。 (10) 親和性物質が、ビオチン、マルトース、グア
ニンヌクレオチド、金属イオン、グルタチオン、タンパ
ク質結合性DNA、抗原分子、カルモジュリン結合ペプ
チド、ATP、及びエストラジオールからなる群より選
ばれる物質であり、共有結合形成性反応基がケトン基、
ジオール基、アジド基又はソラレンである、(8)又は
(9)に記載の化合物又はその塩。 (11) タンパク質のC末端に結合する能力を有する
物質が、ピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピ
ューロマイシンアミノヌクレオシド、又は3’−N−ア
ミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドのいずれかの
化学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体である、
(8)から(10)の何れかに記載の化合物又はその
塩。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施方法および実
施態様について詳細に説明する。(1)タンパク質のラベル化試薬 本発明によれば、タンパク質のC末端に結合する能力を
有する物質一分子に対して一分子の標識物質と一分子の
親和性物質又は共有結合形成性反応基とが結合して成
る、タンパク質のラベル化試薬が提供される。即ち、本
発明のラベル化試薬は、その分子一分子中に一分子の標
識物質と一分子の親和性物質又は共有結合形成性反応基
とを有し、かつタンパク質のC末端に結合する能力を有
する物質を有する。標識物質および親和性物質又は共有
結合形成性反応基はそれぞれ、タンパク質のC末端に結
合する能力を有する物質に対して直接化学結合していて
もよいし、あるいはスペーサーを介して化学結合してい
てもよい。
【0013】標識物質は、通常は蛍光性物質などの非放
射性標識物質から選択される。蛍光物質としては、フリ
ーの官能基(例えば活性エステルに変換可能なカルボキ
シル基、ホスホアミダイドに変換可能な水酸基、あるい
はアミノ基など)を持ち、ピューロマイシン又はピュー
ロマイシン様化合物などの上記核酸誘導体に連結可能な
種々の蛍光色素、例えばフルオレセイン系列、ローダミ
ン系列、エオシン系列、NBD系列などのいかなるもの
であってもよい。蛍光物質としては、具体的には、Cy
5(アマシャム)、Cy3(アマシャム)、IC5(同
仁化学)、IC3(同仁化学)、フルオレセイン、テト
ラメチルローダミン、テキサスレッド、アクリジンオレ
ンジなどが挙げられる。また、標識物質としては化学発
光物質(例えば、ルミノール、アクリジニウム−Iな
ど)を使用してもよい。
【0014】親和性物質としては、特定の物質に対する
親和性を有する物質であればタンパク質、ペプチド、糖
類、脂質類、低分子化合物などその種類は特に限定され
ない。親和性物質の具体例としては、ビオチン、マルト
ース、グアニンヌクレオチド、金属イオン、グルタチオ
ン、タンパク質結合性DNA、抗原分子、カルモジュリ
ン結合ペプチド、ATP、及びエストラジオールなどが
挙げられる。共有結合形成性反応基としては、ケトン
基、ジオール基、アジド基又はソラレンなどが挙げられ
る。
【0015】ラベル化試薬を構成する「タンパク質のC
末端に結合する能力を有する物質」としては、通常は核
酸誘導体が用いられる。この核酸誘導体としては、無細
胞タンパク質合成系又は生細胞中でタンパク質の合成
(翻訳)が行われた時に、合成されたタンパク質のC末
端に結合する能力を有する化合物である限り限定されな
いが、その3’末端がアミノアシルtRNAに化学構造骨格
が類似しているものを選択することができる。代表的な
化合物として、アミド結合を有するピューロマイシン
(Puromycin)、3’-N-アミノアシルピューロマイシン
アミノヌクレオシド(3'-N-Aminoacylpuromycin aminon
ucleoside 、 PANS-アミノ酸)、たとえば、アミノ酸部
がグリシンのPANS-Gly、アミノ酸部がバリンのPANS-Va
l、アミノ酸部がアラニンのPANS-Ala、その他、アミノ
酸部が全ての各アミノ酸に対応するPANS−アミノ酸化合
物が挙げられる。
【0016】また、3’−アミノアデノシンのアミノ基
とアミノ酸のカルボキシル基が脱水縮合して形成される
アミド結合で連結した3’-N-アミノアシルアデノシン
アミノヌクレオシド(3'-Aminoacyladenosine aminonuc
leoside, AANS-アミノ酸)、たとえば、アミノ酸部がグ
リシンのAANS-Gly、アミノ酸部がバリンのAANS-Val、ア
ミノ酸部がアラニンのAANS-Ala、その他、アミノ酸部が
全アミノ酸の各アミノ酸に対応するAANS-アミノ酸化合
物を使用できる。
【0017】また、ヌクレオシドあるいはヌクレオシド
とアミノ酸のエステル結合したものなども使用できる。
さらにまた、核酸あるいは核酸に類似した化学構造骨格
及び塩基を有する物質と、アミノ酸に類似した化学構造
骨格を有する物質とを化学的に結合した化合物は、すべ
て本方法において用いられる核酸誘導体に含まれる。
【0018】タンパク質のC末端に結合する能力を有す
る物質としては、ピューロマイシン、PANS−アミノ
酸もしくはAANS−アミノ酸がリン酸基を介してヌク
レオシドと結合している化合物がより好ましい。これら
の化合物の中でピューロマイシン、リボシチジルピュー
ロマイシン(rCpPur)、デオキシジルピューロマ
イシン(dCpPur)、デオキシウリジルピューロマ
イシン(dUpPur)などのピューロマイシン誘導体
が特に好ましい。
【0019】本発明のタンパク質のラベル化試薬を構成
する物質の具体例としては、一般式:X−(L1m−A
−(L2n−Y (式中、Xは標識物質の残基を示し、Yは親和性物質の
残基又は共有結合形成性反応基を示し、L1およびL2
それぞれ独立に2価のスペーサ基を示し、mおよびnは
それぞれ独立に0又は1の整数を示し、Aはタンパク質
のC末端に結合する能力を有する物質の残基を示す)で
表される化合物が挙げられる。
【0020】Xで表される標識物質の残基、Yで表され
る親和性物質の残基又は共有結合形成性反応基、Aで表
されるタンパク質のC末端に結合する能力を有する物質
の残基の具体例としては、それぞれ上述した標識物質お
よび親和性物質の残基又は共有結合形成性反応基が挙げ
られる。
【0021】L1およびL2が示す2価のスペーサ基とし
ては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基
又はこれらの組み合わせが挙げられ、これらの炭素原子
上には1又は複数の置換基が存在していてもよい。主鎖
の炭素数の数は特に限定されないが、好ましくは炭素数
1から10であり、より好ましくは炭素数1から6であ
り、さらに好ましくは炭素数1から4である。主鎖の炭
素原子上に存在することができる置換基の種類は特に限
定されないが、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜
4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルキニル基、水酸
基又はハロゲン原子(例えば、フッ素、原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子など)等を挙げることができ
る。L1が示すスペーサー基としては、無置換のアルキ
レン基、アルケニレン基、アルキニレン基又はこれらの
組み合わせが好ましく、無置換のアルキレン基がより好
ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチ
レン基が特に好ましく、エチレン基が最も好ましい。ま
た、2価のスペーサ基としては、ポリエチレン、ポリエ
チレングリコールなどの高分子物質に由来する基でもよ
い。また、スペーサ基の中には、アミド結合(−CO−
NH−基)、エステル結合(−COO−基)、チオウレ
ア結合(−NH−CS−NH−基)、スルホンアミド基
(−SO2−NH−)、リン酸ジエステル結合(−O−
P(O)OH−O−)などが含まれていてもよい。mお
よびnは好ましくは1である。
【0022】ラベル化試薬は、上記標識物質と上記親和
性物質又は共有結合形成性反応基とタンパク質のC末端
に結合する能力を有する物質とを所望によりスペーサー
を介して、それ自体既知の化学結合方法によって結合さ
せることにより製造することができる。具体的には、例
えば、適当な保護基で保護された「タンパク質のC末端
に結合する能力を有する物質」を固相担体上に結合さ
せ、核酸合成機を用いてスペーサーとしてスペーサーホ
スホアミダイト、蛍光物質または親和性物質又は共有結
合形成性反応基を結合したホスホアミダイトを順次結合
させた後、脱保護を行うことによって作成することがで
きる。上記各部の種類、あるいは結合の種類によっては
液相合成法で結合させるかあるいは両者を併用すること
もできる。また親和性物質としてニッケル等の金属イオ
ンを結合させるには、金属イオンが配位しうるニトリロ
トリ酢酸やイミノジ酢酸等のキレート性の試薬用いて行
うことができる。
【0023】標識物質又は親和性物質又は共有結合形成
性反応基と、タンパク質のC末端に結合する能力を有す
る物質とをつなぐスペーサーとしては、炭素数の1から
10程度の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基、
アルケニレン基など)や、ポリエチレン、ポリエチレン
グリコールなどの高分子物質に由来する基でもよい。
【0024】上記した通り、本発明は、タンパク質のC
末端に結合する能力を有する物質一分子に対して一分子
の標識物質と一分子の親和性物質又は共有結合形成性反
応基とが結合して成る、タンパク質のラベル化試薬に関
するものであり、その具体例として、一般式:X−(L
1m−A−(L2n−Y(式中、Xは標識物質の残基を
示し、Yは親和性物質の残基又は共有結合形成性反応基
を示し、L1およびL2はそれぞれ独立に2価のスペーサ
基を示し、mおよびnはそれぞれ独立に0又は1の整数
を示し、Aはタンパク質のC末端に結合する能力を有す
る物質の残基を示す)で表される化合物を例示したが、
当該化合物自体新規なものであり、本発明の一つの側面
を構成する。即ち、一般式:X−(L1m−A−
(L2n−Y(式中、Xは標識物質の残基を示し、Yは
親和性物質の残基又は共有結合形成性反応基を示し、L
1およびL2はそれぞれ独立に2価のスペーサ基を示し、
mおよびnはそれぞれ独立に0又は1の整数を示し、A
はタンパク質のC末端に結合する能力を有する物質の残
基を示す)で表される化合物又はその塩も本発明の範囲
内である。
【0025】ここで言う塩としては、化合物中に存在す
る置換基の種類などに応じて任意の可能な塩の全てを包
含するものであり、塩の種類は特に限定されない。例え
ば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、又は有機アミ
ン付加塩等が包含される。酸付加塩としては、塩酸塩、
硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレ
イン酸塩、フマル酸塩、又はクエン酸塩等の有機酸塩が
挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム
塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩
等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、又は亜鉛塩
等が挙げられ、アンモニウム塩としては、アンモニウム
又はテトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられ、有機
アミン付加塩としては、モルホリン又はピペリジン等の
付加塩が挙げられる。
【0026】一般式:X−(L1m−A−(L2n−Y
の化合物には、位置異性体、幾何異性体、互変異性体、
又は光学異性体のような異性体が存在する場合がある
が、全ての可能な異性体、並びに2種類以上の該異性体
を任意の比率で含む混合物も本発明の範囲内のものであ
る。
【0027】上記化合物の塩を取得したい場合、上記化
合物が塩の形態で得られる場合にはそのまま精製すれば
よく、また、遊離の形態で得られる場合には適当な溶媒
に溶解又は懸濁させ、酸又は塩基を加えて塩を形成させ
単離、精製すればよい。また、上記化合物及びその塩
は、水あるいは各種溶媒との付加物(水和物又は溶媒和
物)の形で存在することもあるが、これらの付加物も本
発明の範囲内のものである。また、上記化合物及びその
塩の任意の結晶形も本発明の範囲内のものである。
【0028】(2)タンパク質のラベル化試薬を用いた
タンパク質のC末端を標識する方法 本発明はさらに、上記した本発明のタンパク質のラベル
化試薬の存在下においてタンパク質をコードする核酸を
用いて転写・翻訳系においてタンパク質合成を行う工程
を含む、タンパク質のC末端を標識する方法に関する。
【0029】本発明の方法で標識するタンパク質は、そ
の機能が既知又は未知である相互作用の解析対象として
用いるタンパク質を意味する。本発明の方法で標識され
たタンパク質を用いて、後述する標的分子との相互作用
を測定することができる。このタンパク質は、天然タン
パク質又はその変異体、及び人工タンパク質又はその変
異体の何れでもよい。天然タンパク質としては、種々の
生物の器官、組織又は細胞に由来するcDNAライブラ
リーから転写、翻訳される多様性を有するタンパク質の
ライブラリーをも含むものである。人工タンパク質とし
ては、天然タンパク質の全てもしくは部分配列を組み合
わせた配列、又はランダムなアミノ酸配列を含むもので
ある。
【0030】本発明によるタンパク質のC末端を標識す
る方法においては、例えば、上記ラベル化試薬の存在下
で、前記タンパク質をコードするコーディング領域をT
7等のウイルスや細胞に由来するプロモーター領域の制
御下に連結し、これを転写することによりmRNAを合成す
る。該コーディング領域DNAとしては、ラベル化の効
率が数十倍よくするためにストップコドンを削除した配
列が好ましく用いられる。また、それ自体既知の方法で
生体から取得されたmRNAを用いることもできる。これ
らのmRNAは、翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わ
せることにより調製することができる。
【0031】用いられる翻訳系としては、無細胞翻訳系
又は生細胞などが挙げられる。無細胞翻訳系又は生細胞
などは、その中にタンパク質をコードする核酸を添加又
は導入することによってタンパク質合成が行われるもの
である限り制限されない。無細胞翻訳系としては、原核
又は真核生物の抽出物により構成される無細胞翻訳系、
例えば大腸菌、ウサギ網状赤血球、小麦胚芽抽出物など
が使用できる。生細胞翻訳系としては、原核又は真核生
物、例えば大腸菌の細胞などが使用できる。無細胞翻訳
系を用いる場合、用いる核酸がDNAである場合、それ
自体既知のRNAポリメラーゼなどを用いる方法により
転写して合成したRNAを鋳型として導入する。
【0032】この翻訳系において、ラベル化試薬を適当
な濃度で存在させることにより、タンパク質のC末端を
ラベル化試薬で標識することができる。存在させるラベ
ル化試薬の濃度としては、実際に用いるラベル化試薬、
核酸、あるいは翻訳系によって異なるが、一般的には最
終濃度が0.1〜200μMの範囲が好ましい。
【0033】本発明で用いる標識物質および親和性物質
又は共有結合形成性反応基が結合した核酸誘導体の濃度
としては、実際に使用するRNA、ラベル物質、核酸誘導
体、及び翻訳系等によって異なるが、下記の方法等によ
り当業者は該濃度を適宜決定することができる。即ち、
上記したC末端ラベル化タンパク質を作成する系におい
て、ラベル物質が結合した核酸誘導体を濃度を違えて添
加し、得られた翻訳産物をSDSポリアクリルアミド電
気泳動を用いる等して分離し、C末端に結合している標
識物質より発せられる信号強度を測定し、最も信号強度
の高い値を示した濃度を選択する。
【0034】このようにして合成されたC末端ラベル化
タンパク質は、翻訳系に生細胞を用いた場合は細胞をそ
れ自体既知の方法で溶解後、ゲル濾過など(例えば、Bi
o-Spin 6;BIO-Rad社製)によって未反応のラベル化試
薬を除去し、取得することができる。また、無細胞翻訳
系を用いた場合には、ゲル濾過によって未反応のラベル
化試薬を除去すればよい。
【0035】本発明の方法で製造されたC末端ラベル化
タンパク質を固相に結合させる場合があるが、固相に結
合させる方法としては、親和性物質又は共有結合形成性
反応基を介して結合させることが好ましい。本発明で用
いる親和性物質又は共有結合形成性反応基は、特定のポ
リペプチドに特異的に結合する分子であり、固相表面に
は該分子と結合する特定のポリペプチドを結合させる。
ここで言う「特定のポリペプチド」としては、結合タン
パク質、受容体を構成する受容体タンパク質、抗体など
も含まれる。
【0036】固相に結合された特定のポリペプチド/親
和性物質又は共有結合形成性反応基の組み合わせとして
は、例えば、アビジン及びストレプトアビジン等のビオ
チン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパ
ク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチ
ド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバル
ト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、
抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カル
モジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/AT
P、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エス
トラジオールなどの、各種受容体タンパク質/そのリガ
ンド、並びにケトン基/ヒドラジド基、ジオール基/ヒ
ドラジド基、アジド基/アルキル基、ソラレン/核酸塩
基(ピリミジン環又はプリン環などの核酸塩基またはそ
のアナログ)などが挙げられる。
【0037】これらの中で、アビジン及びストレプトア
ビジンなどのビオチン結合タンパク質、マルトース結合
タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニ
ッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン
−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原
分子(エピトープ)などが好ましく、特にストレプトア
ビジン/ビオチンの組み合わせが最も好ましい。これら
の結合タンパク質は、それ自体既知のものであり、該タ
ンパク質をコードするDNAは既にクローニングされて
いる。
【0038】上記した特定のポリペプチドの固相表面へ
の結合は、それ自体既知の方法を用いることができる
が、具体的には、例えば、タンニン酸、ホルマリン、グ
ルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジア
ゾ化ベンジゾン、トルエン-2,4-ジイソシアネート、ア
ミノ基、カルボキシル基、又は水酸基あるいはアミノ基
などを利用する方法を用いることができる。
【0039】親和性物質又は共有結合形成性反応基以外
の部分により固相に結合させる場合は、通常はタンパク
質を固相に結合させるのに用いられる既知の方法、例え
ばタンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピル
ビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエ
ン-2,4-ジイソシアネート、アミノ基、カルボキシル
基、又は水酸基あるいはアミノ基などを利用して行うこ
とができる。
【0040】さらに本発明では、上記した本発明のC末
端ラベル化タンパク質の多数を固相に結合することによ
り、タンパク質の集合体を含むプロテインチップを構築
することができる。このようなプロテインチップはタン
パク質と標的分子との間の分子間相互作用を解析する際
に有用である。
【0041】(3)本発明のラベル化試薬の利用 本発明のラベル化試薬を用いることにより、一分子中に
一分子の標識物質と一分子の親和性物質又は共有結合形
成性反応基とを有するタンパク質(本明細書中、C末端
ラベル化タンパク質とも称する)を調製することができ
る。このようなタンパク質を利用することにより、当該
タンパク質と標的分子との間の相互作用を分析すること
ができる。具体的には、例えば、下記の工程を含む方法
が提供される。 (a)一分子中に一分子の第1の標識物質と一分子の親
和性物質又は共有結合形成性反応基とを有するタンパク
質と、第2の標識物質で標識した標的分子とを接触させ
る工程;及び(b)上記タンパク質又は核酸と相互作用
した標的分子中の第2の標識のシグナルを検出する工
程;
【0042】上記で言う標的分子とは、C末端ラベル化
タンパク質と相互作用する分子を意味し、具体的にはタ
ンパク質、核酸、糖鎖、低分子化合物などが挙げられ
る。タンパク質としては、C末端ラベル化タンパク質と
相互作用する能力を有する限り特に制限はなく、タンパ
ク質の全長であっても結合活性部位を含む部分ペプチド
でもよい。またアミノ酸配列、及びその機能が既知のタ
ンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、
合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク
質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系
を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的分子と
して用いることができる。合成されたペプチド鎖はこれ
に糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これら
のうち好ましくはアミノ酸配列が既知の精製されたタン
パク質か、あるいはcDNAライブラリー等から適当な
方法を用いて翻訳、精製されたタンパク質を用いること
ができる。
【0043】核酸としては、 C末端ラベル化タンパク
質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はなく、
DNAあるいはRNAも用いることができる。また、塩
基配列あるいは機能が既知の核酸でも、未知の核酸でも
よい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する核酸
としての機能、及び塩基配列が既知のものか、あるいは
ゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離
してきたものを用いることができる。
【0044】糖鎖としては、 C末端ラベル化タンパク
質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はなく、
その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖
でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列ある
いは機能が既知の糖鎖が用いられる。
【0045】低分子化合物としては、 C末端ラベル化
タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限
はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質に
結合する能力が既に知られているものでも用いることが
できる。
【0046】これら標的分子がC末端ラベル化タンパク
質と行う「相互作用」とは、通常は、タンパク質又は核
酸と標的分子間の共有結合、疎水結合、水素結合、ファ
ンデルワールス結合、及び静電力による結合のうち少な
くとも1つから生じる分子間に働く力による作用を示す
が、この用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる
意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合
としては、配位結合、双極子結合を含有する。また静電
力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有す
る。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、
分解反応も相互作用に含有される。
【0047】相互作用の具体例としては、抗原と抗体間
の結合及び解離、タンパク質レセプターとリガンドの間
の結合及び解離、接着分子と相手方分子の間の結合及び
解離、酵素と基質の間の結合及び解離、核酸とそれに結
合するタンパク質の間の結合及び解離、情報伝達系にお
けるタンパク質同士の間の結合と解離、糖タンパク質と
タンパク質との間の結合及び解離、あるいは糖鎖とタン
パク質との間の結合及び解離が挙げられる。
【0048】標的分子は通常、標識物質により標識して
用いる。標的分子の標識に用いる標識物質は、C末端ラ
ベル化タンパク質又はラベル化核酸の標識に用いた標識
物質とは異なる標識物質を使用する。
【0049】標識物質は、通常は蛍光性物質などの非放
射性標識物質から選択される。蛍光物質としては、フリ
ーの官能基(例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基
など)を持ち、タンパク質、核酸等の上記標的物質と連
結可能な種々の蛍光色素、例えばフルオレセイン系列、
ローダミン系列、エオシン系列、NBD系列などのいか
なるものであってもよい。その他、色素など標識化可能
な化合物であれば、その化合物の種類、大きさは問わな
い。蛍光物質としては、具体的には、Cy5(アマシャ
ム)、Cy3(アマシャム)、IC5(同仁化学)、I
C3(同仁化学)、フルオレセイン、テトラメチルロー
ダミン、テキサスレッド、アクリジンオレンジなどが挙
げられる。また、標識物質としては化学発光物質(例え
ば、ルミノール、アクリジニウム−Iなど)を使用して
もよい。
【0050】上記標識物質の標的分子への結合は、それ
自体既知の適当な方法を用いて行うことができる。具体
的には、例えば、標的分子がタンパク質の場合、上記
(1)に記載したC末端を標識化する方法等を用いるこ
とができる。また標的分子が核酸の場合は、予め標識物
質を共有結合などで結合させたオリゴDNAプライマー
を用いたPCRを行う方法などによって簡便に標識化す
ることができる。
【0051】上記した分析方法では、上記工程(a)に
先立って、固相に固定化されたタンパク質の量を、エバ
ーネッセント光を用いて、当該第1の標識物質のシグナ
ルを指標として定量する工程を含むことが好ましい。ま
た、当該分析方法では、工程(b)で検出された第2の
標識のシグナル強度と、予め定量化しておいた固相に固
定化されたタンパク質の量とを用いて、エバーネッセン
ト光を用いて当該固定化タンパク質の単位量当たりのシ
グナル強度を測定することにより、分子間の相互作用の
強度を定量化する工程を含むことが好ましい。このよう
な好ましい態様においては、タンパク質と標的分子との
間の分子間相互作用を比較的簡単に定量化することが可
能になる。
【0052】このような分析方法では、標的分子に標識
されている第2の標識物質の検出方法は特に限定されな
いが、例えば、蛍光イメージングアナライザー法を用い
て検出することができる。蛍光イメージングアナライザ
ー法は、固相化された分子に、標識化分子を接触せし
め、両分子の相互作用により、固相化された分子上にと
どまった標識化分子から発せられる蛍光を、市販の蛍光
イメージングアナライザーを用いて測定又は解析する方
法である。
【0053】この方法を用いてタンパク質−分子間相互
作用の測定又は解析を行う場合、C末端ラベル化タンパ
ク質又はラベル化核酸を固相化しておき、標識物質で標
識した標的分子をそれに接触させる。C末端ラベル化タ
ンパク質又はラベル化核酸を固相化するための基盤とし
ては、通常タンパク質や核酸等を固定化するのに用いら
れるニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレ
ン、あるいはプラスチック製のマイクロプレート等も用
いることができる。
【0054】標識した標的分子を固相化分子へ接触せし
める方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度
に接触する方法であればいかなるものであってもよい
が、好ましくは標識した標的分子を生化学的に通常使用
される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、こ
れを固相表面に接触させる方法が好ましい。両分子を接
触せしめた後、好ましくは過剰に存在する標識した標的
分子を同緩衝液等により洗浄する工程を行い、固相上に
とどまった標的分子の標識物質から発せられる信号(蛍
光信号)を、市販のイメージングアナライザーを用いて
測定あるいは解析することにより、固相化された分子と
相互作用する分子を同定することができる。
【0055】この方法において、同時に多数の解析を行
う方法としては、例えば上記固相表面に、複数のC末端
ラベル化タンパク質を番地付けして固相化する方法、あ
るいは1種類のC末端ラベル化タンパク質に複数種の標
識化標的分子を接触させる方法等が用いられる。
【0056】上記方法により、C末端ラベル化タンパク
質と相互作用することが認められた標的分子は、該分子
の一次構造が未知の場合、それ自体既知の適当な方法に
より、その一次構造を解析することができる。具体的に
は、相互作用を認められた標的分子がタンパク質の場
合、アミノ酸分析装置等によりアミノ酸配列を解析し、
一次構造を特定することができる。また、標的分子が核
酸の場合には、塩基配列決定方法により、オートDNA
シーケンサーなどを用いれば塩基配列を決定することが
できる。これにより標的分子を同定することができる。
【0057】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は実施例によって限定されることは
ない。 実施例1:1分子ラベル法と1分子イメージング法を用
いたキネシン分子と微小管分子の相互作用解析 (1)Cy5?puroの合成 ピューロマイシン2塩酸塩(和光純薬工業)250 mgを30
mlの0.3 M炭酸ナトリウム-0.2 M炭酸水素ナトリウム-
2.0 M塩化ナトリウム水溶液(水溶液A)と20 mlの塩化
メチレンに溶かし、撹拌したのち有機層を分離した。水
層に塩化メチレン(20 ml)を加えて再度分液し、有機
層を合わせてエバポレーターで濃縮したのち、少量のピ
リジンを加えて濃縮する操作を2回繰り返し、得られた
固体をアセトニトリル(5 ml)とピリジン(2.5 ml)に
溶解した。無水トリフルオロ酢酸1.0 gを加えて室温で3
0分撹拌したのち氷冷して水5 mlを加え、さらに20 mlの
水溶液Aを徐々に加えた。塩化メチレン(20 ml)で2回
抽出し、得られた有機層を濃縮してからピリジンを加え
て濃縮する操作を2回繰り返し、粗Nα-trifluoroacety
l-puromycin(250 mg)を得た。
【0058】粗Nα-trifluoroacetyl-puromycin(250 m
g)をピリジン5 ml中で1.5等量の塩化ジメトキシトリチ
ルと室温で1時間反応させ、水と塩化メチレンで分液し
て有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(移動層;酢酸エチル/ヘキサン/ピリジン 90:10:0.
5)でNα-trifluoroacetyl-5'-dimethoxytrityl puromy
cinを精製した(収量360 mg)。
【0059】この全量をピリジン3 mlに溶かし、3等量
の無水コハク酸と10 mgのジメチルアミノピリジン(DMA
P)を加えて室温で2日間撹拌したのち水と酢酸エチル
で分液して有機層を濃縮し、酢酸エチルを移動相として
12 gのシリカゲルに通して目的物のコハク酸エステルを
精製した(収量380 mg)。コハク酸エステルと1.1等量
のN-ヒドロキシコハク酸をジメチルホルムアミド(DM
F)に溶かし、氷浴中で1.1等量のジシクロヘキシルカル
ボジイミドのDMF溶液を加え、室温に戻しつつ16時間
撹拌した。生じた沈殿物を濾去したのち濾液をNovaSyn
TG amino resin (novabiochem) と触媒量のDMAPを加え
たDMF懸濁液に加えて室温で16時間撹拌した。グラス
フィルターでレジンを集め、DMF、メタノール、酢酸エ
チルで洗ってから真空ポンプで乾燥したのち、未反応の
レジンのアミノ基をDNA合成における通常のキャッピン
グ法でアセチル化した。得られたピューロマイシンレジ
ンの1部から通常の脱保護法によりピューロマイシンを
遊離させて定量したところ、67μmol/gram resinと計
算された。
【0060】調製したピューロマイシンレジン10 μmol
相当を固相合成用の反応容器に入れ、ホスホアミダイト
法によりAc-dC-CE ホスホアミダイト(25等量)、5'-ア
ミノ修飾 5(10等量)(共にグレンリサーチ)を順次結
合させた。キャップ反応を省略した他は通常のホスホア
ミダイト法の合成サイクルに従い、デブロック液、アク
チベーター溶液、酸化溶液はすべてグレンリサーチ社製
のものを用いた。5'末端のモノメトキシトリチル基を外
してから濃アンモニア水を加え室温で6時間放置して脱
保護した。抽出した溶液を濃縮し、水で希釈してから氷
浴中で30%酢酸を徐々に加えて中和したあと凍結乾燥
し、得られた固体を逆相高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)で精製した。カラムはCOSMOSIL ODS AR-300(2
0 mm x 250 mm)(ナカライ)を用い、0.1 M トリエチ
ルアミン水溶液と80%アセトニトリル-0.02 M トリエチ
ルアミン水溶液のリニアグラジエントで溶出した。目的
物であるアミノリンク-dC-ピューロマイシンが約6 micr
omol得られた。(MS; ESI 927.6 [M-H])
【0061】Cy5 Monofunctional Dye(アマシャムファ
ルマシアバイオテク)1チューブに50μlのDMF を加
え、その直後にアミノリンク-dC-ピューロマイシン80 n
molを0.15 M炭酸ナトリウム緩衝液(pH 9.0)100 μl
に溶かした溶液を加え、時々撹拌しつつ室温で1時間放
置した。Shim-Pack CLC-ODS(4.6 mm x 250 mm)(島津
製作所)と前記の溶媒系を用いた逆相HPLCでCy5-Puroを
精製した。ラベルは5'末端のアミノ基で優先的に進行し
たと考えられ、Nα位のアミノ基がラベルされた生成物
は検出されなかった。
【0062】(2)Kinesin DNAの調製 NcoIとSacIの制限酵素部位を両端にもつKinesin断片
は、C末端側を欠いたkinesinをコードしたpUC8ベクター
(phskinZ)を鋳型として、配列番号1に記載の塩基配
列を有するプライマーと配列番号2に記載の塩基配列を
有するプライマーとを用いてPCRを行った。得られたPCR
産物を精製後、制限酵素NcoIとSacIで37℃で16時間
反応後、短い断片をPrimer Remover(Edge BioSysytemC
o.)で除去し精製した。一方、pCITE-2a-c(+)(Clonetech
Co)を制限酵素NcoIとSacIで同じ条件下で切断し、精製
した。これらをLigation High(TOYOBO.Co)を用いて、16
℃で1.5時間ライゲーション反応させたものをサブクロ
ーンして、シーケンスにより確認した。
【0063】(3)転写および翻訳 直鎖状化したKinesin DNAplasmidを最終濃度10 nMにな
るようにTransriptionMix(Invitrogene)に加え,15分間3
0℃で反応した。Translation Mix (Invitrogene) 30 μ
lとCy5-puro(最終濃度 30μM)を加え、1時間反応す
ることで翻訳されるとともに、C末端に特異的に一分子
のCy5-puroを結合されたkinesin(Cy5-puro-kinesin)が
得られる。翻訳されたサンプルを7.5\%アクリルアミド
ゲルでSDS-PAGEにより分離し、染色せずにFluorImager
(BioRad Co)の530DF30 band-passfilterでバンドを可視
化した。
【0064】(4)Cy5-puroキネシンの精製 NAP5(ファルマシア)(30mM KCl, 80mM PIPES, 2mM MgC
l2, 1mM EGTA, 1mM DTTのバッファーで平衡化)でゲルろ
過し、Sample内のフリーのCy5-puroを取り除いた。
【0065】(5)1分子イメージング 石英ガラスに、Biotin化BSAを介してStreptavidinを固
定し,そこに部分的にBiotin化したMicrotubule(豚脳か
ら抽出しTMR-SEで染色したもの)を結合させる。Cy5-pu
ro-kinesinの非特異的な吸着を防ぐため、ガラス面を1m
g/mlCasein(Sigma)でコートした後、NAP5でゲルろ過し
たKinesin sampleをAssayBuffer(80mM PIPES, 2mM MgC
l2, 1mM EGTA)で1/200に薄め、酵素系(10mM DTT, Cat
arase, Glucose, Glucose Oxidase)、Methylcellcose
(finel 0.3\%), 2mM ATP, 2mM MgCl 2のもとで全反射顕
微鏡(TIRF)を用いてKinesinと微小管の相互作用を直接
観察した(23〜25℃)。 画像はビデオに録画し、後
に、画像ボードでパソコンにとりこみHalcon5.2で、微
小管上を動く輝点の速度および蛍光強度を計測した。
【0066】(6)相互作用観察 Gelろ過したサンプルをbufferで200倍にうすめ、TIRF顕
微鏡で観察した。結果を図3に示す。図3において、一
分子のCy5-puro-kinesinは輝点として明確に見分けるこ
とができる。2mM AMP-PNP存在下では、微小管に沿って
一定方向に運動するCy5-puro-kinesinの輝点が観察され
た(図3)。
【0067】実施例2:蛍光色素Cy5とビオチンを有す
るピューロマイシン誘導体(Cy5-biotin-puro)の合成
とそれによるタンパク質のラベル化 (1)化学合成 実施例1と同様の方法でピューロマイシンレジン(7.5
μmol相当)にAc-dC-CEホスホアミダイト(ピューロマ
イシンに対し30等量使用)、ビオチン TEG ホスホアミ
ダイト(同6等量)、5'-アミノ修飾 C6(40等量)(3
つともグレンリサーチ社製)を順次反応させた。5'末端
のモノメトキシトリチル基を残したまま室温で濃アンモ
ニア水による脱保護を行い、エバポレーターで濃縮した
のち氷浴中で80%酢酸を徐々に加えて最終脱保護をし
た。実施例1のアミノリンク-dC-ピューロマイシンとほ
ぼ同じ条件で精製してアミノリンクービオチンーdC?ピ
ューロマイシンを得た。 MS; MALDI 1509.2[M+H]+
【0068】実施例1のCy5-Puroの合成の場合と同様の
方法で、Cy5 Monofunctional Dye(アマシャムファルマ
シアバイオテク)による蛍光ラベルと精製を行なった。
得られた蛍光色素Cy5とビオチンを有するピューロマイ
シン誘導体(Cy5-biotin-puro)の構造式を図4に示
す。
【0069】(2)GFP mRNAの調製 上記で合成したCy5-biotin-puroが無細胞翻訳系におい
て実際にタンパク質に取り込まれるかどうかを確認する
ために,タンパク質として分子量約27,000のGreen Fluo
rescent Protein (GFP)を選んで取り込みの試験を行っ
た。GFPとしては伊藤らが見い出したGFPuv4と称される
もの(Ito, Y. et al., Biochemical and Biophysical
Research Communication 264, 556-560, (1999))を用
い、488nmのレーザー光でも容易に励起されてイメージ
アナライザーで確認できるようにした。このGFPの上流
にT'7プロモーター領域及びKozak配列を有するDNA構
築物を以下の通り作成した。T'7プロモーター領域及びK
ozak配列をもったDNA(配列番号3)を鋳型DNAと
する。この鋳型の5'側の配列を含むプライマー(配列番
号4)と3’側の相補鎖の一部とGFPの5’側の相補鎖
配列を含むプライマー(配列番号5)とを用いてPCR
を行った。PCRの条件は、95℃で20秒、68℃で20秒及
び72℃で20秒のサイクルを25サイクルとし、EX Taqポ
リメラーゼ(Takara)を用いて行った。
【0070】次に、GFPuv4をコードするプラスミドを鋳
型として、配列番号6に記載の塩基配列を有するプライ
マーと配列番号7に記載の塩基配列を有するプライマー
とを用いてPCRを行った。PCRの条件は95℃で20
秒、68℃で20秒及び72℃で30秒のサイクルを30サイク
ルとし、EX Taqポリメラーゼ(Takara)を用いて行っ
た。
【0071】これらのPCR産物はフェノール抽出後、
プライマーリムーバー(Edge Biosystem)を用いてエタ
ノール沈澱を行い精製した。これらのDNAテンプレー
トを各々等モル加えて、配列番号4の塩基配列を有する
プライマー及び配列番号7の塩基配列を有するプライマ
ーを用いてPCRを行った。PCRの条件は、95℃で20
秒、68℃で20秒及び72℃で40秒のサイクルを30サイク
ルとし、EX Taqポリメラーゼ(Takara)を用いて行っ
た。これらのPCR産物はフェノール抽出後、プライマ
ーリムーバー(Edge Biosystem)を用いてエタノール沈
澱を行い精製した。精製したDNAはRiboMAX(Promega)
を用いて転写し翻訳用のmRNAとした。
【0072】(3)無細胞翻訳系を用いたラベル化 T7プロモーターをもつGFPのmRNAと、上記の方法で合成
したCy5-biotin-puroとを最終濃度がそれぞれ20μMと
40μMになるように小麦胚芽無細胞翻訳系に加え、2
6℃で1時間反応させた。比較用として、Cy5-biotin-p
uroの代わりにCy5-dC-Puroを用いた実験も行った。これ
らの反応物を15%SDS?アクリルアミド電気泳動で分
離した後,蛍光イメージアナライザーMolecular Imager
(Bio-Rad社)で確認した。結果を図5に示す(図5中で
は、Cy5-dC-Puroを用いて得た結果をCy5-Puroと記
す)。図5に示す通り、Cy5-dC-Puroを用いた場合に比
べ、Cy5-biotin-puroを用いた場合には極めて効率よく
ラベルできることが確認された。
【0073】実施例3:Cy5-biotin-puroの支持体(ス
トレプトアビジンメンブレン又はストレプトアビジンス
ライドガラス)への固定化 (1)固定化の比較 実施例2で合成したCy5-biotin-puro、又は比較用とし
てビオチンを有さないCy5-puroを各々、20mM(pH 8.
0)のトリスバッファーに溶解し、500μM、 100μ
M、及び10μMの濃度に調整した。各溶液50μlをスト
レプトアビジンメンブレン(プロメガ社)上にスポット
し、20分静置した。次いで、20mM(pH 8.0)のトリ
スバッファーで10回ほど洗浄し、その後、蛍光イメー
ジアナライザーMolecular Imager(Bio-Rad社)で確認し
た。結果を図6に示す。
【0074】同様に、ストレプトアビジンスライドガラ
ス(グライナー社)にも100μMのCy5-biotin-puroとCy5
-puroをそれぞれ50μlスポットし、1時間静置した。
次いで、洗浄した後、蛍光イメージアナライザーMolecu
lar Imager(Bio-Rad社)で確認した。結果を図6に示
す。
【0075】その結果、Cy5-puroよりもCy5-biotin-pur
oの方が、ストレプトアビジンメンブレン又はストレプ
トアビジンスライドガラスに特異的に結合できることが
確認できた。
【0076】例えば,図6におけるFluorpuroとFluor-b
iotin-puroのストレプトアビジンメンブレンへの固定化
率は、2回の洗浄後,Fluorpuroは15%に対しFluor-bi
otin-puroは88%であった。また、スライドガラスへ
の固定化量は,Fluor-biotin-puroはFluorpuroの約3.
5倍であった。即ち、Fluor-biotin-puroのスライドガ
ラスへの固定化は、非特異的な吸着を考慮しても十分に
特異的結合であることがわかる。
【0077】従って上記のようなコントロールを取得す
ることにより、実施例2で調製したようなCy5-biotin-p
uroでC末端をラベル化したタンパク質をストレプトア
ビジンでコートした支持体に固定化した場合でも、固定
化された該タンパク質の個数を定量的に測定することが
可能になる。
【0078】実施例4:エバーネッセント光によるビオ
チン結合蛍光分子(ビオチン及び蛍光物質で標識したD
NA)の定量化 (1)ビオチン及び蛍光物質で標識したDNAの合成 Oct1のPou?specific domain (Nature vol.362 852-85
5, 1993)と相互作用するDNA配列を含み,かつ5’側
をビオチン化した一本鎖DNA(配列番号8)と、その
相補配列を有し、かつ5’側をTAMRA(5-carboxytetrame
thylrhodamine)で標識化した一本鎖DNA(配列番号
9)を各々、DNA合成機を用いて3’側から日本製粉
に依頼して合成した。逆相簡易カラムで精製したものを
用いた。これをpH6.8(80mM Pipes, 2mM MgCl2, 1mM EG
TA)のバッファーに溶解後,60℃でアニーリングし,
2本鎖DNAにして以下の実験に用いた。
【0079】(2)ビオチン及び蛍光物質で標識したD
NAの石英ガラスへの固定化と定量 ビオチン及び蛍光物質で標識したDNAの濃度が低濃度
(50〜300pM)の場合と、高濃度(1.5〜15nM)の場合の各々
についてガラスに固定化される程度を観察した。Biotin
BSA、Streptavidin、Oct1結合DNAの順で石英ガラ
スに流し、エバーネッセント光で観察した。
【0080】測定の具体的方法は,以下の通りである。 (低濃度の場合)図7の(1)の5枚の図はそれぞれ15
0×150Pix(約23×23μm)を60フレーム(約2
秒間)にわたって平均化した。非特異的なビオチン及び
蛍光物質で標識したDNAの結合はStreptavidinがない
条件下で調べた。
【0081】(高濃度の場合)一分子が観察できる条件
で見るとビオチン及び蛍光物質で標識したDNAが30
0pM以上では画面が真っ白になるので、ゲージを下げて
観察した。ダイナミックレンジが狭いため同じ観察条件
では、濃度を10倍までしかあげられなかった。それで
も、濃度が高くなるに従い画面が明るくなる様子が観察
された。
【0082】上記した測定の結果から、次のことが確認
できた。流したビオチン及び蛍光物質で標識したDNA
の濃度に従ってガラス面に吸着するビオチン及び蛍光物
質で標識したDNAの数も増える。50pM、100pM及び3
00pMとビオチン及び蛍光物質で標識したDNAの濃度が
濃いものをガラス面上に流すと輝点の数(固定された分
子数)も約30、約60、約180と比例して増加する
ことが確認できた。一方、コントロールとしてstreptav
idinをガラス面上に固定していない場合は、そのような
増加は確認できなかった。従って、ビオチン及び蛍光物
質で標識したDNAについた一分子のTAMRAの蛍光が観
察出来ることが分かる。
【0083】
【発明の効果】本発明により、標識すべき標的タンパク
質一分子に対して一分子の標識物質と一分子の親和性物
質又は共有結合形成性反応基を導入することを可能にす
るタンパク質のラベル化試薬を提供することが可能にな
った。本発明のラベル化試薬を利用してC末端を標識し
たタンパク質を用いて標的分子との分子間相互作用を解
析することにより、当該相互作用を迅速かつ定量的に測
定することが可能になる。
【0084】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> GenCom <120> An agent for labeling a protein <130> A01555MA <160> 9
【0085】 <210> 1 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 1 tgataatacc atggccgcgg aacgagagat tc 32
【0086】 <210> 2 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 2 ctatggagct cttgctggca tccgtgccag c 31
【0087】 <210> 3 <211> 110 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 3 gatcccgcga aattaatacg actcactata gggagaccac aacggtttcc ctctagaaat 60 aattttgttt aactttaaga aggagatgcc accatggttg agccccgcat 110
【0088】 <210> 4 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 4 gatcccgcga aattaatacg actcactata ggg 33
【0089】 <210> 5 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 5 agatccgccg ccacccatct ccttcttaaa gttaaacaaa att 43
【0090】 <210> 6 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 6 ggtggcggcg gatctatgag taaaggagaa gaacttttca 40
【0091】 <210> 7 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 7 tttgtagagc tcatccatgc catgtgtaat cc 32
【0092】 <210> 8 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 8 ccagggtatg caaattatta agggcaaaaa 30
【0093】 <210> 9 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 9 tttttgccct taataatttg cataccctgg 30
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、1分子イメージングによる結合タンパ
ク質の検出の模式図を示す。
【図2】図2は、標的分子と相互作用する道遺伝子を同
定する手法の模式図を示す。
【図3】図3は、1分子ラベル法と1分子イメージング
法を用いたキネシン分子と微小管分子の相互作用を解析
した結果を示す。
【図4】図4は、蛍光色素Cy5とビオチンを有するピュ
ーロマイシン誘導体(Cy5-biotin-puro)の構造式を示
す。
【図5】図5は、蛍光色素Cy5とビオチンを有するピュ
ーロマイシン誘導体(Cy5-biotin-puro)によるタンパ
ク質のラベル化の結果を示す。
【図6】図6は、Cy5-biotin-puroの支持体(ストレプ
トアビジンメンブレン又はストレプトアビジンスライド
ガラス)への固定化実験の結果を示す。
【図7】図7は、エバーネッセント光によるビオチン結
合蛍光分子(ビオチン及び蛍光物質で標識したDNA)
の定量化を行った結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/58 Z 33/58 C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2G045 AA40 BB20 DA12 DA13 DA36 DA80 FA11 FB03 FB04 FB05 FB06 FB07 FB12 FB14 FB15 FB17 FB20 GC15 GC22 GC30 HA09 HA20 JA01 JA20 4B024 AA20 CA04 CA12 EA04 FA10 HA03 HA19 4C057 BB02 DD01 LL09 LL30 LL41 LL44 LL46 MM05 4H045 AA20 BA70 EA50 FA30 FA51

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質のC末端に結合する能力を有
    する物質一分子に対して一分子の標識物質と一分子の親
    和性物質又は共有結合形成性反応基とが結合して成る、
    タンパク質のラベル化試薬。
  2. 【請求項2】 標識物質と親和性物質又は共有結合形成
    性反応基がそれぞれスペーサーを介して、タンパク質の
    C末端に結合する能力を有する物質に結合している、請
    求項1に記載のラベル化試薬。
  3. 【請求項3】 一般式:X−(L1m−A−(L2n
    Y (式中、Xは標識物質の残基を示し、Yは親和性物質の
    残基又は共有結合形成性反応基を示し、L1およびL2
    それぞれ独立に2価のスペーサ基を示し、mおよびnは
    それぞれ独立に0又は1の整数を示し、Aはタンパク質
    のC末端に結合する能力を有する物質の残基を示す)で
    表される化合物から成る請求項1又は2に記載のラベル
    化試薬。
  4. 【請求項4】 標識物質が蛍光物質である、請求項1か
    ら3の何れかに記載のラベル化試薬。
  5. 【請求項5】 親和性物質が、ビオチン、マルトース、
    グアニンヌクレオチド、金属イオン、グルタチオン、タ
    ンパク質結合性DNA、抗原分子、カルモジュリン結合
    ペプチド、ATP、及びエストラジオールからなる群よ
    り選ばれる物質であり、共有結合形成性反応基がケトン
    基、ジオール基、アジド基又はソラレンである、請求項
    1から4の何れか1項に記載のラベル化試薬。
  6. 【請求項6】 タンパク質のC末端に結合する能力を有
    する物質が、ピューロマイシン、3’−N−アミノアシ
    ルピューロマイシンアミノヌクレオシド、又は3’−N
    −アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドのいずれ
    かの化学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体であ
    る、請求項1から5の何れか1項に記載のラベル化試
    薬。
  7. 【請求項7】 請求項1から6の何れか1項に記載のタ
    ンパク質のラベル化試薬の存在下においてタンパク質を
    コードする核酸を用いて転写・翻訳系においてタンパク
    質合成を行う工程を含む、タンパク質のC末端を標識す
    る方法。
  8. 【請求項8】 一般式:X−(L1m−A−(L2n
    Y (式中、Xは標識物質の残基を示し、Yは親和性物質の
    残基又は共有結合形成性反応基を示し、L1およびL2
    それぞれ独立に2価のスペーサ基を示し、mおよびnは
    それぞれ独立に0又は1の整数を示し、Aはタンパク質
    のC末端に結合する能力を有する物質の残基を示す)で
    表される化合物又はその塩。
  9. 【請求項9】 標識物質が蛍光物質である、請求項8に
    記載の化合物又はその塩。
  10. 【請求項10】 親和性物質が、ビオチン、マルトー
    ス、グアニンヌクレオチド、金属イオン、グルタチオ
    ン、タンパク質結合性DNA、抗原分子、カルモジュリ
    ン結合ペプチド、ATP、及びエストラジオールからな
    る群より選ばれる物質であり、共有結合形成性反応基が
    ケトン基、ジオール基、アジド基又はソラレンである、
    請求項8又は9に記載の化合物又はその塩。
  11. 【請求項11】 タンパク質のC末端に結合する能力を
    有する物質が、ピューロマイシン、3’−N−アミノア
    シルピューロマイシンアミノヌクレオシド、又は3’−
    N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドのいず
    れかの化学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体で
    ある、請求項8から10の何れか1項に記載の化合物又
    はその塩。
JP2001052840A 2001-02-27 2001-02-27 タンパク質のラベル化試薬 Pending JP2002257832A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052840A JP2002257832A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 タンパク質のラベル化試薬
PCT/JP2002/001718 WO2002073201A1 (fr) 2001-02-27 2002-02-26 Reactifs de marquage de proteine

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052840A JP2002257832A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 タンパク質のラベル化試薬

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002257832A true JP2002257832A (ja) 2002-09-11

Family

ID=18913408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001052840A Pending JP2002257832A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 タンパク質のラベル化試薬

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2002257832A (ja)
WO (1) WO2002073201A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004113530A1 (ja) * 2003-06-18 2004-12-29 Mitsubishi Chemical Corporation ラベル化蛋白質合成用ポリヌクレオチド
JP2007520700A (ja) * 2004-01-07 2007-07-26 ザ リサーチ ファウンデイション オブ ステイト ユニバーシティー オブ ニューヨーク 集積されたエミッションサイトを有するタンパク質インプリントポリマー
JP2011122957A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Tosoh Corp 高特異的かつ高感度なタンパク質検出方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0228429D0 (en) * 2002-12-05 2003-01-08 Novartis Ag Organic compounds

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2069537A1 (en) * 1991-06-07 1992-12-08 Thomas A. Cook Multiple output referencing system for evanescent wave sensor
JP3683282B2 (ja) * 1996-10-17 2005-08-17 三菱化学株式会社 遺伝子型と表現型の対応付け分子及びその利用
JP4240574B2 (ja) * 1998-05-15 2009-03-18 三菱化学株式会社 タンパク質のラベル化組成物およびタンパク質のラベル化方法
JP4193249B2 (ja) * 1998-11-11 2008-12-10 三菱化学株式会社 C末端がラベル化されたタンパク質の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004113530A1 (ja) * 2003-06-18 2004-12-29 Mitsubishi Chemical Corporation ラベル化蛋白質合成用ポリヌクレオチド
JP2007520700A (ja) * 2004-01-07 2007-07-26 ザ リサーチ ファウンデイション オブ ステイト ユニバーシティー オブ ニューヨーク 集積されたエミッションサイトを有するタンパク質インプリントポリマー
JP2011122957A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Tosoh Corp 高特異的かつ高感度なタンパク質検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2002073201A1 (fr) 2002-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1816192B1 (en) LINKER FOR CONSTRUCTING mRNA-PUROMYCIN-PROTEIN CONJUGATE
EP2405272B1 (en) Detectable nucleic acid tag
JP5647113B2 (ja) 多リガンド捕捉剤ならびに関連組成物、方法およびシステム
US7150978B2 (en) Recombinant template used for producing a carboxy-terminal modified protien and a method of producing a carboxy-terminal modified protein
JP3942431B2 (ja) タンパク質−分子間相互作用解析法
JP2002253240A (ja) 分子間の相互作用の分析方法
JP5733784B2 (ja) cDNA/mRNA−タンパク質連結体の効率的合成法
JP6020865B2 (ja) 核酸リンカー
JP2002257832A (ja) タンパク質のラベル化試薬
JP5049136B2 (ja) N末端アミノ酸が標識されたタンパク質の効率的な合成方法
JPWO2003048363A1 (ja) 対応付け分子とc末端ラベル化蛋白質の複合体および対応付け分子の複合体、ならびにそれらの複合体を利用した蛋白質間相互作用解析方法
JPWO2005001086A1 (ja) 固定化mRNA−ピューロマイシン連結体及びその用途
WO2007046520A1 (ja) 固定化ピューロマイシン・リンカーを用いたタンパク質のスクリーニング方法
JP4747292B2 (ja) 翻訳テンプレートおよびそのライブラリー、それらから合成される蛋白質および蛋白質のライブラリー、ならびにそれらを構成する要素、ならびにそれらの製造法および利用方法
JP4441623B2 (ja) 対応付け分子およびその構成要素のライブラリーの製造方法および利用方法
JP2004053416A (ja) C末端標識タンパク質を用いるタンパク質−分子間相互作用の解析方法
JPWO2003014734A1 (ja) 物質と蛋白質との間の相互作用の検出方法、物質と相互作用する蛋白質のスクリーニング方法、及び、物質とその物質と相互作用する蛋白質との複合体の形成方法
JPWO2005050518A1 (ja) 遺伝子および/又は蛋白質のデータベースを用いた相互作用マップの作成方法、ならびに、それを実現するためのソフトウエアおよび装置
WO2005061706A1 (ja) c−Jun蛋白質と複合体を形成する蛋白質、及び、それをコードする核酸、ならびに、それらの利用方法
JP4679870B2 (ja) キナーゼ活性検出法
JP2002107364A (ja) ノンラベル検出用生物試薬アレイ及びその作製方法
KR20050095972A (ko) 분자비콘을 이용한 특정물질의 동정 및 분석방법
JP2002286715A (ja) ペプチドアレイを用いた特定のペプチドと相互作用可能な蛋白質、脂質または核酸のノンラベル検出法
WO2004053121A1 (ja) c-Fos蛋白質と複合体を形成する蛋白質、及び、それをコードする核酸、ならびに、それらの利用方法
JP2006132980A (ja) タンパク質の固定化方法