JP5049136B2 - N末端アミノ酸が標識されたタンパク質の効率的な合成方法 - Google Patents

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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins

Description

本発明はin vitro転写・翻訳系によるタンパク質の合成方法に関し、更に詳しくはin vitro転写・翻訳系によるN末端アミノ酸が標識されたタンパク質の効率的な合成方法に関するものである。
タンパク質は、通常、20種類のアミノ酸からなるポリペプチドであり、生体を構成する主要な分子のひとつである。微量にしか存在しないタンパク質自体の解析や、タンパク質を利用した解析を行なう場合、タンパク質を標識することが有効である。たとえば、タンパク質を蛍光色素で標識することによりタンパク質を直接観察できるようになり、様々な解析が可能になる。また、ビオチンで標識することにより、ビオチン・アビジンの相互作用を利用してタンパク質を固定化することができ、様々な利用が可能になる。このようにタンパク質を標識することによって、標識タンパク質自体の解析や、標識タンパク質を利用した様々な解析が可能になる。タンパク質の標識方法としては、従来、目的タンパク質を精製後、ポリペプチドを構成しているリジン残基やシステイン残基の側鎖を標識する方法が用いられてきた(非特許文献1:Southwick PL et al.(1990)Cytometry 11:418−430)。しかし、この方法では標識部位に選択性、特異性がなく、ポリペプチド鎖中のリジン残基やシステイン残基の側鎖がランダムに標識されていた。さらに、タンパク質の高次構造にも影響を与える場合が多かった。
近年、in vitro転写・翻訳系を利用してタンパク質を合成しながら部位特異的に標識する手法が報告されている。代表的な手法として、アンバーサプレッション法(非特許文献2:Ellman J et al.(1991)Methods Enzymol.202:301−36)やC末端標識法(特許文献1:特開2000−139468)などが知られている。
アンバーサプレッション法では、in vitro転写・翻訳系を用いて標識を導入したい部位のアミノ酸をコードするコドンを終止コドンのひとつであるアンバーコドンに置き換えたDNA(もしくはmRNA)からタンパク質を合成する。その際、タンパク質合成反応液に標識された非天然アミノ酸を結合させたサプレッサーtRNAを添加することで、アンバーコドンに置換した部位に標識アミノ酸が導入されたタンパク質を合成するものである。
C末端標識法は、標識したピューロマイシンを最適濃度で添加したin vitro転写・翻訳系でタンパク質を合成することにより、C末端特異的に標識が導入されたタンパク質を合成するものである。
また、タンパク質のN末端に特異的に標識する方法も報告されている(特許文献2:US5,643,722,非特許文献3:Olejnik et al.(2005)Methods 36:252−260)。
特開2000−139468 US5,643,722 Southwick PL et al.(1990)Cytometry 11:418−430 Ellman J et al.(1991)Methods Enzymol.202:301−36 Olejnik et al.(2005)Methods 36:252−260
報告されているN末端標識法は、タンパク質のN末端のメチオニン残基のαアミノ基特異的に標識されたタンパク質を合成する方法である。まず、開始tRNA(以下tRNAfMetと記載することもある)に結合したメチオニンのαアミノ基を目的の標識剤で標識する。その後、大腸菌S30抽出液を用いてタンパク質を合成する際に、標識メチオニル開始tRNAを添加して合成することによって、N末端特異的に標識されたタンパク質を合成する方法である。この従来法で用いていた大腸菌S30抽出液には、添加した標識メチオニル開始tRNAに対して競争的に阻害する内在性フォルミルメチオニル開始tRNAも存在しているが、他の翻訳関連因子の活性に影響を与えずに内在性フォルミルメチオニル開始tRNAおよび、またはメチオニル開始tRNAのみを特異的に除去することは現実的には難しかった。そのため、従来法では、標識効率(合成されたタンパク質のうち、標識されたタンパク質の割合)が1−2%程度と極めて低かった(Olejnik et al.(2005)Methods 36:252−260)。この標識効率では、その後の解析に用いるためには、標識されたタンパク質を未標識タンパク質から分離する必要があり、N末端標識タンパク質の利用法が一部に限られていた(Olejnik et al.(2005)Methods 36:252−260)。
最近、内在性tRNAを全く含まない合成系を用いて、αアミノ基がビオチン化されたメチオニンからペプチドを合成した例が報告されているが(Forster et al.(2004)Analytical Biochemistry 333:358−364)、この合成系では、解離因子が含まれていないために、合成ペプチドがリボソームから解離していない。また、アミノアシルtRNA合成酵素やtRNAが全く含まれていないため、全てのコドンに対応するアミノアシルtRNAを加える必要があるなど、N末端標識タンパク質を利用する上では問題点が多い。
また、従来の方法では、メチオニル開始tRNAのメチオニンのαアミノ基を標識した後、標識メチオニル開始tRNAを未標識メチオニル開始tRNAから分離することが不十分であった可能性も考えられた。この点についても改善しなければタンパク質合成系から開始tRNAを除去しても標識効率の改善は難しい。
また、以上のように、タンパク質合成系、および添加する標識メチオニル開始tRNAについての問題点を改善しても、タンパク質合成反応時間が長い場合は、添加した標識メチオニル開始tRNAが通常の開始tRNAとして再利用されるため標識効率が低下することが予想される。
発明者らは以下(1)から(3)のいずれか又はそれらを組み合わせることによりN末端特異的に標識されたタンパク質を高い効率で合成できることをはじめて見出し、本願発明を完成させた。
(1)開始tRNAを除いた伸長tRNAのみからなるtRNA混合液(tRNA Mix(−開始tRNA))を用い、さらにメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸を含まない合成系(in vitro転写・翻訳系)を利用すること、
(2)標識されたメチオニル開始tRNAを分離精製すること、
(3)標識タンパク質合成反応時間も制御することによって、標識効率を上昇させる最適な条件を決定すること。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−332676号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、精製した蛍光標識メチオニル開始tRNA(蛍光化Met−tRNA Metの電気泳動図を示す。・・・Pacific Blue−SE(レーン1)、Carboxyfluorescein−SE(レーン2)、Carboxyrhodamine 6G−SE(レーン3)、Texas Red−SE(レーン4)、Alexa Fluor 430−SE(レーン5)、Cy5−SE(レーン6)を用いた結果を示す。電気泳動後、UV(254nm)、Green Light(520nm)およびRed Light(630nm)で励起した場合の蛍光を検出した。
図2は、固相化プローブ法によるtRNA Mixからの開始tRNA除去を示す。・・・レーン1はin vitro転写法により調製した開始tRNA(0.01 A260unit)、レーン2は除去前の大腸菌tRNA Mix(0.05 A260unit)、レーン3はDNAプローブAを固定した樹脂により処理後のtRNA Mix(0.05 A260unit)、レーン4はDNAプロープBを固定した樹脂により処理後のtRNA Mix(0.05 A260unit)、レーン5はDNAプローブAを固定した樹脂に結合した開始tRNA(0.01 A260unit)、レーン6はDNAプローブBを固定した樹脂に結合した開始tRNA(0.01 A260unit)を示す。また、左側のパネルはメチレンブルーで全tRNAを染色した図で、右側はノーザンブロッティングで開始tRNAのみを検出した。
図3は、開始tRNAを除去した大腸菌tRNA Mix(−開始tRNA)を用いたタンパク質合成を示す。・・・レーン1は、タンパク質分子量マーカー(上から、66、42、30kDa)を示す。レーン2は、開始tRNAおよびFDおよびMTFを加えてタンパク質合成を行なった結果を示す。レーン3から6は、開始tRNAを除去したtRNA Mixを用い、FDおよびMTFを加えていないタンパク質合成系に図示した量の開始tRNAを加えて合成した結果を示す。
図4は、タンパク質合成反応時間の検討を示す。
図5は、最適化したPURESYSTEMを用いたN末端特異的蛍光導入タンパク質の合成を示す。上側の図は銀染色により、IC3が導入されたカルモジュリンと導入されていないカルモジュリンを両方とも検出した結果で、下側の図は、Green LightでIC3導入カルモジュリンのみを検出した結果を示す。
図6は、様々な蛍光標識メチオニル開始tRNA(蛍光化Met−tRNA Metを10%酸性PAGE(7M Urea)後、UV(254nm)、Blue Light(460nm)、Green Light(520nm)およびRed Light(630nm)で励起した場合のLAS−3000Multi colorを用いた蛍光像を示す。なお、図の下に記載の蛍光標識名は、tRNA Mix,Met−tRNA Met以外はすべてそれぞれの蛍光標識による蛍光化Met−tRNA Metを意味する。
図7は、様々な蛍光化Met−tRNA Metを用いたときのCaMのN末端蛍光標識効率への影響を示す。電気泳動後、Blue Light(460nm)、Green Light(520nm)およびRed Light(630nm)で励起した場合のLAS−3000 Multi colorを用いた蛍光像、また銀染色による結果を示す。なお、図の下に記載の蛍光標識名は、マーカーとcalmodulin以外は、それぞれの蛍光標識がされた蛍光化Met−tRNA Metを用いたときのカルモジュリン(蛍光化カルモジュリン)の合成を意味する。
図8は、N末端蛍光標識タンパク質とカルモジュリン結合ペプチド融合蛍光タンパク質(CBP−ECFPht)との結合活性評価を表し、電気泳動後Blue Light(460nm)、Green Light(520nm)およびRed Light(630nm)で励起した場合のLAS−3000 Multi colorを用いた蛍光像を示す。
図9は、IC3標識Met−tRNA MetおよびtRNA Mix(−開始tRNA)を使用して、カルモジュリン(CaM,16.8kDa,レーン1),MnmE(49.2kDa,レーン2),EF−P(21.4kDa,レーン3),DHFR(18.4kDa,レーン4),HSDH(26.8kDa,レーン5)を合成した結果を示す。
図10は、Aに、Alexa488標識Met−tRNA MetおよびtRNA Mixを使用してアルカリ性ホスファターゼ(AP,レーン1),ガラクトシターゼ(β−Gal,レーン2),クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT,レーン3),Enolase(レーン4),ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR,レーン5),緑色蛍光タンパク質(GFP,レーン6),グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST,レーン7),インターロイキン8(IL8,レーン8),Lysozyme(レーン9),Ras(レーン10)を合成した結果を示す。 Bに、上記Aのそれぞれにつき、合成後Microcon YM100(ミリポア社)にてリボソーム画分の除去を行った後に電気泳動を行った場合の結果を示す。なお、レーン11(−template)は鋳型DNAを加えていない反応産物を示す。
1.本願発明の概要
本願発明は、in vitro転写・翻訳系を用いてN末端特異的に標識が導入されたタンパク質を合成する方法及び該方法に用いるタンパク質合成系に関する。本願発明のタンパク質合成系には、例えば、系内のフォルミルメチオニル開始tRNAの生成量に影響を与える成分の量など、その構成成分の量を調整できるものであれば、in vitro転写・翻訳系を用いることが可能である。in vitro転写・翻訳系としては、好適には、存在量が特定されている複数の成分からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成反応が生じる再構成in vitro転写・翻訳系が挙げられる。
更に本願発明は、メチオニン以外の天然アミノ酸または非天然アミノ酸をN末端に有するタンパク質を調製する方法、または、αアミノ基が標識されたメチオニン(Met)をN末端に有するタンパク質を調製する方法を包含し、より具体的には、αアミノ基が蛍光標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質を調製する方法を包含する。
また、本願発明の方法は、(1)tRNAとして伸長tRNAのみを含むin vitro転写・翻訳系を調製する工程、(2)標識されたメチオニル開始tRNAを精製する工程、及び(3)前記tRNAとして伸長tRNAのみを含むin vitro転写・翻訳系により、前記精製された標識メチオニル開始tRNAを用いて、N末端に標識されたメチオニン(Met)を有するタンパク質を、反応時間を調整して、調製する工程を包含する。更に、本願発明の方法は、(1)tRNA Mixから開始tRNAが除去された、実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液を含むin vitro転写・翻訳系を調製する工程、(2)標識されたメチオニル開始tRNAを精製する工程、及び(3)前記開始tRNAが除去され実質的に伸長tRNAのみを含むin vitro転写・翻訳系により、前記精製された標識メチオニル開始tRNAを用いて、N末端に標識されたメチオニンを有するタンパク質を、反応時間を調整して、調製する工程を包含する。
更に具体的には、本願発明の方法は(1)開始tRNAが除去され実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液(tRNA Mix(−開始tRNA))を含み、さらに10−フォルミル5、6、7、8−テトラヒドロ葉酸(以下FDと表記することがある。)及びメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(以下MTFと記載することがある。)を含まないin vitro転写・翻訳系を調製する工程、(2)蛍光標識メチオニル開始tRNAを精製する工程、並びに(3)前記開始tRNAが除去され実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液(tRNA Mix(−開始tRNA))を含みFDおよびMTFを含まないin vitro転写・翻訳系により、精製された前記蛍光標識メチオニル開始tRNAを用いて、αアミノ基が標識されたメチオニン(Met)をN末端に有するタンパク質を限定された時間で調製する工程を包含する。
より具体的には、(1)開始tRNAが除去され実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液(tRNA Mix(−開始tRNA))を含み、FD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系を調製する工程、(2)蛍光標識メチオニル開始tRNAをBenzoyl−DEAEセルロースを用いて精製する工程、並びに(3)前記開始tRNAが除去され実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液(tRNA Mix(−開始tRNA))を含みFD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系により、前記精製された蛍光標識メチオニル開始tRNAを用いて、αアミノ基が蛍光標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質を、反応時間を制御して調製する工程を包含する。
2.in vitro転写・翻訳系
本願発明で使用するin vitro転写・翻訳系としては、その構成成分の量、例えば、系内のフォルミルメチオニル開始tRNAの生成量に影響を与える成分の量を調整できる限り、種々のin vitro転写・翻訳系を用いることが可能である。ここで、in vitro転写・翻訳系は、無細胞タンパク質合成系とよばれる場合もある。また、RNAから合成する場合は、in vitro翻訳系であるが、本願におけるin vitro転写・翻訳系は、in vitro翻訳系を含める。本願発明においては、好適には、再構成in vitro転写・翻訳系によるタンパク質合成系が好ましい。たとえば、PURESYSTEM(ポストゲノム研究所社製)を用いることができる。再構成in vitro転写・翻訳系は、具体的には、存在量が特定されている複数の成分からなるタンパク質合成の基本となる試薬(タンパク質合成基本試薬)からなり、鋳型核酸を添加することにより鋳型核酸がコードするタンパク質の合成ができる再構成in vitro転写・翻訳系が望ましい。より具体的には、タンパク質合成基本試薬が、リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTF)、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオチド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水を含む再構成in vitro転写・翻訳系が望ましいが、以下に説明するように、開始tRNA及びメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTF)及び10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)は含めないほうが望ましい。
2−1.in vitro転写・翻訳系によるタンパク質合成
再構成in vitro転写・翻訳系は、その成分として、リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類(MTF)、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオシド3リン酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水をそれぞれ予め決められた純度の成分を決められた量だけ含むことを特徴とするが、全ての成分が必要でなく、成分は適宜選択することができ、開始tRNAおよびFDおよびMTFは含まないほうが望ましい。
系を構成するこれらの成分は、細胞抽出液又はその粗画分を用いない。
本発明の再構成in vitro転写・翻訳系は、系を構成する全ての成分を再構成するため、このような成分を特定し、その含有量を計算することは容易である。
本発明におけるタンパク質合成反応基本試薬は、DNAからの転写・翻訳、或は、RNAの翻訳を行わせるタンパク質合成のための反応系として使用できる。本発明に言うタンパク質とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものを言い、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドを含む。本発明に言うRNAは化学合成されたRNA及びmRNAを含み、DNAは、化学合成されたDNA、DNAベクター、ゲノムDNA、PCR産物及びcDNAを含む。
本発明におけるタンパク質合成反応基本試薬において、存在量および純度がそれぞれ特定されている成分を含むとは、それぞれの成分について、個々に精製され、その純度が測定可能であり、かつ定量可能であることを意味している。本発明では、存在量および純度がそれぞれ特定された複数の成分とは、予め塩析、クロマトグラフィー、電気泳動、溶解度の差、再結晶、遠心等の物質の精製法により、それぞれが精製された物質であって、クロマトグラフィー、電気泳動、質量分析、遠心等の分析方法により、それぞれの純度がおおむね80%以上、好適には90%以上である物質を言う。例えば、タンパク質であれば、主にクロマトグラフィーにより精製され、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により純度が決定され、リボソームであれば、主に超遠心法により精製され、超遠心分離による沈降分析により純度が決定される。リボソームは複数のRNA分子(原核生物では、23S、5S、及び16Sの3つ、真核生物では28S、5.8S、5S、18Sの4つのRNA分子)と複数のリボソーマルタンパク質(原核生物では約50個、真核生物では約80個のタンパク質)とからなる分子量数百万の集合体分子であるが、沈降分析によって集合体分子として分子を同定し純度を測定することが可能である。tRNA類はほとんどが74から94ヌクレオチドから成り、複数の塩基配列をもつ分子であるが、電気泳動などにより分子を分離・同定し、260nm及び280nmの吸光度測定により純度を測定することが可能である。その他、アミノ酸や塩等の低分子の物質はいずれもクロマトグラフィー、融点測定、元素分析、質量分析等の常法により、物質を同定し純度を測定することが可能である。
タンパク質合成基本試薬としての転写・翻訳のための因子・酵素としては、大腸菌等の原核細胞由来のものに限らず、真核細胞由来のものも使用でき、(1)RNAからの翻訳の場合は、リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、tRNA類、アデノシン3リン酸(ATP)、グアノシン3リン酸(GTP)、アミノ酸類、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)、塩類及び水を含み、大腸菌等の原核細胞由来の反応系である場合は更にメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類を含む;(2)DNAからの転写・翻訳の場合は、(1)に加えウリジン3リン酸(UTP)、シチジン3リン酸(CTP)及びRNAポリメラーゼ類、例えばT7 RNAポリメラーゼを含むことができるが、好適には、FD及びMTFを含めない。
本発明の反応系を構成する各種因子・酵素は、大腸菌、カビ、酵母、及び培養細胞等全ての生物が本来備えているものであるから、これをそれぞれ高度に精製し、成分として用いることもできるが、各タンパク質が多量に得られ、未知の不要又は阻害成分が反応系内に持ち込まれる可能性が低くなることから、組換え生産されたものを用いることがより好ましい。
具体的には開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類、又はRNAポリメラーゼ類をコードする遺伝子を適切なベクターにつなぎ、大腸菌、枯草菌、カビ、又は酵母等に形質転換し、発現誘導を行い、該タンパク質を精製し、本発明の反応系を構成する成分とすることができる。組換え体により、各種因子・酵素を生産する場合、インタクトな状態でそのタンパク質を発現させても良いが、融合タンパク質として発現しても良い。そのような融合タンパク質として、ヒスチジンタグ(以下His−Tag)、ストレプトタグ、GSTタグ、及びFLAGタグ等ラベル化されたものを例示することができる(Terpe K.(2003)Appl Microbiol Biotechnol.60(5):523−533)。
一例として、His−Tagとニッケルカラムを利用した、His−Tagを付したタンパク質成分の精製方法の概略を示せば次の通りである。これ以外にも様々なバリエーションが知られており、適宜選択して使用できる。
(1).遺伝子工学的手法により、目的タンパク質のN末端にHis−Tag(例えば6個のHisよりなる)を結合させた融合タンパク質を得る。
(2).タグをつけたタンパク質が発現している細胞を氷中で超音波処理し、ローディングバッファー(300mM NaCl、50mM NaHPO pH8.0)に懸濁させる。
(3).細胞の溶解物を遠心分離する(30,000g、4℃で30分間)。
(4).上記で得られた上清に、氷で冷やしたローディングバッファーの中で平衡化した50%のNi−NTAアガロース(Qiagen社製)を加える。4℃で1時間撹拌する。
(5).樹脂をカラムにロードし、カラム容量の20倍のローディングバッファーで、4℃でカラムの洗浄を行う。
(6).カラム容量の20倍のローディングバッファー(10mM イミダゾールpH8.0を含む)で、4℃でカラムの洗浄を行う。
(7).カラム容量の20倍のローディングバッファーを用いて、イミダゾールの濃度勾配を10から250mMになるように設定し、カラムから目的タンパク質の溶出を行わせ、1mlずつフラクションを集める。SDS−PAGEで目的タンパク質を確認する。
また、反応系を構成する各種因子・酵素として、直接タンパク質の合成反応には関わらないが、クレアチンキナーゼ類、ミオキナーゼ類又はヌクレオシドジフォスフェートキナーゼ類といったエネルギー再生に関わる酵素、及び無機ピロフォスファターゼ類といった、転写・翻訳反応で生じる無機ピロリン酸の分解のための酵素類も、同様な方法で該タンパク質を精製し、本発明の反応系に加えることがより好ましい。
なお、上記したように、タンパク質合成基本試薬の内、タンパク質からなる成分は、His−Tag、ストレプトタグ、GSTタグ、及びFLAGタグ等でラベルすることにより、目的のタンパク質を合成後、当該ラベルを用いて、これら成分を除去することができる。これにより、目的タンパク質を高精製度で得ることができるものである。
塩類としては、転写・翻訳に必須な陽イオン・陰イオンを含むことが必須であり、グルタミン酸カリウム、塩化アンモニウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム等が通常使用される。なお、上記以外にも適宜選択して使用できることは言うまでもない。水はイオンや微生物類、酵素類及びその他の物質を含まないもので、例えばミリポア社製のミリQ水製造装置によって製造される水や市販の純水を挙げることができる。
リボソームは、ペプチド合成の場であり、mRNAと結合し、アミノアシルtRNAをA部位に、フォルミルメチオニル開始tRNA又はペプチジルtRNAをP部位にそれぞれ配位してペプチド結合を形成させる反応を行う(Nissen et al.(2000)Science 289:920−930)。本発明においては、かかる機能を有するものであれば、由来を問わず使用することが可能である。例えば、大腸菌由来のリボソームが使用されるが、真核細胞由来のものも使用できる。本発明において用いられるリボソームの好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌A19株、MRE600株から得られるものを挙げることができる。
開始因子類は、翻訳開始複合体の形成に必須であるか、又は、これを著しく促進する因子であり、大腸菌由来のものとして、IF1、IF2及びIF3が知られている(Claudio O et al.(1990)Biochemistry 29:5881−5889)。開始因子IF3は、翻訳の開始に必要な段階である、70Sリボソームの30Sサブユニットと50Sサブユニットへの解離を促進し、また、翻訳開始複合体の形成の際に、フォルミルメチオニル開始以外のtRNAのP部位への挿入を阻害する。開始因子IF2は、フォルミルメチオニル開始tRNAと結合し、30SリボソームサブユニットのP部位へフォルミルメチオニル開始tRNAを運び、翻訳開始複合体を形成する。開始因子IF1は開始因子IF2、IF3の機能を促進する。本発明において用いられる開始因子の好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。
伸長因子EF−Tuは、GTP型とGDP型の2種類があり、GTP型はアミノアシルtRNAと結合してこれをリボソームのA部位へ運ぶ。EF−Tuがリボソームから離れる際にGTPが加水分解され、GDP型へ転換する(Pape T et al.(1998)EMBO J.17:7490−7497)。伸長因子EF−Tsは、EF−Tu(GDP型)に結合し、GTP型への転換を促進する(Hwang YW et al.(1997)Arch Biochem Biophys 348:157−162)。伸長因子EF−Gは、ペプチド鎖伸長過程において、ペプチド結合形成反応の後の転位(translocation)反応を促進する(Agrawal RK et al.(1999)Nat Struct Biol 6:643−647、Rodnina MW.et al.(1999)FEMS Microbiology Reviews 23:317−333)。本発明において用いられる伸長因子の好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。
解離因子はタンパク質合成の終結、翻訳されたペプチド鎖の解離、更に次のmRNAの翻訳開始へのリボソームの再生に必須である。解離因子RF1及びRF2は、リボソームのA部位に終止コドン(UAA、UAG、UGA)が来た時、A部位に入ってペプチジルtRNA(P部位にある)からのペプチド鎖の解離を促進する。RF1は終止コドンのうちUAAおよびUAGを認識し、RF2はUAAおよびUGAを認識する。解離因子RF3は、RF1、RF2によるペプチド鎖の解離反応後の、RF1、RF2のリボソームからの解離を促進する。リボソーム再生因子(RRF)は、タンパク質合成の終結後、P部位に残っているtRNAの脱離と、次のタンパク質合成へのリボソームの再生を促進する。本発明においては、RRFも解離因子類の一つとして取扱うことにする。なお、解離因子RF1、RF2、RF3及びRRFの機能については、Freistroffer DV et al.(1997)EMBO J.16:4126−4133、Pavlov MY et al.(1997)EMBO J.16:4134−4141に解説されている。本発明において用いられる解離因子の好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。
アミノアシルtRNAシンテターゼは、ATPの存在下でアミノ酸とtRNAを共有結合させ、アミノアシルtRNAを合成する酵素である(Francklyn C et al.(1997)RNA 3:954−960、蛋白質核酸酵素 39 1215−1225(1994))。本発明において用いられるアミノアシルtRNAシンテターゼの好ましい例は、大腸菌由来のものであり、例えば大腸菌K12株から得られるものを挙げることができるが、真核細胞由来のものも使用できる。また、非天然アミノ酸を認識する人工アミノアシルtRNAシンテターゼ(特許2668701号)を用いることもできる。
メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTF)は、原核生物におけるタンパク質合成においてメチオニル開始tRNAのメチオニンのαアミノ基にフォルミル基がついたフォルミルメチオニル(fMet)開始tRNAを合成する酵素である。即ち、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼは、10−フォルミルテトラヒドロ葉酸のフォルミル基を、開始コドンに対応するメチオニル開始tRNAのメチオニンのαアミノ基に転移させ、フォルミルメチオニル開始tRNAにする(Ramesh V et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:875−880)。真核生物の細胞質におけるタンパク質合成系にはMTFはないが、真核生物のミトコンドリア及び葉緑体における合成系には存在する。
RNAポリメラーゼは、DNA配列をRNAに転写する酵素であり、様々な生物に存在することが知られている。その一例として、T7ファージ由来の、T7 RNAポリメラーゼを挙げることができ、このポリメラーゼはT7プロモーターと呼ばれる特異的なDNA配列に結合してその下流のDNA配列をRNAに転写する酵素である。本発明においては、T7 RNAポリメラーゼ以外にも種々のRNAポリメラーゼを用いることができる。例えば、T3 RNAポリメラーゼやSP6 RNAポリメラーゼが市販されており、これ等を利用することもできる。
アミノ酸類としては天然型又は非天然型アミノ酸が挙げられる。
tRNA類としては、大腸菌、酵母等の細胞から精製した全tRNA、又は、大腸菌、酵母等の細胞から各アミノ酸に対応するtRNAをそれぞれ精製して混合したものを用いることができる。更に、tRNA類としては、各アミノ酸に対応するtRNAをそれぞれ合成して混合したものも用いることができる。開始コドンに対応する開始tRNAは、ペプチド伸長反応時の伸長tRNAとは異なる専用のtRNAである。開始tRNAには、メチオニルtRNAシンテターゼによってメチオニンが結合される。大腸菌などの原核生物では、その後、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼによって、tRNAに結合したメチオニンのαアミノ基にフォルミル基が10−フォルミルテトラヒドロ葉酸から転移される。このフォルミル化されたメチオニル開始tRNAと開始因子IF2がリボソーム30Sサブユニット上でmRNAの開始コドン(ほとんどの場合はAUG)に結合し、リボソーム50Sサブユニットがさらに会合して、タンパク質合成反応が開始する。
その他、緩衝液としては、リン酸カリウム緩衝液(pH7.3)などが通常使用される。
また、上記された各成分の純度については、測定法を以下に例示する。
上記した開始因子類、伸長因子類、解離因子類、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類などタンパク質からなる成分は、例えば、前記した、His−Tagとニッケルカラムを利用した、His−Tagを付したタンパク質成分の精製方法により精製した後、SDS−PAGEで目的タンパク質を確認し、各レーンの泳動パターンをデンシトメーターで読み取って算出することができる。
精製したリボソームは、ショ糖密度勾配遠心による分析で純度を測定できる。
tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオチド3リン酸類及びFD、その他緩衝液、DTTなど通常試薬として市販されている試薬は、市販試薬の純度で使用可能である。なお、市販の試薬の純度はいずれも、80%以上であった。
3.開始tRNA、FDおよびMTFを含まないin vitro転写・翻訳系を調製する工程3−1.伸長tRNAのみからなるtRNA混合液
標識されたメチオニル開始tRNAを調製し、これを用いて遺伝子よりタンパク質合成をおこない、N末端に標識されたメチオニンを導入できたとしても、仮に、遺伝子からタンパク質を合成する系に、内在性のフォルミルメチオニル開始tRNAおよび、またはメチオニル開始tRNAが含まれていると、当該内在性のフォルミルメチオニル開始tRNAおよび、またはメチオニル開始tRNAと、標識されたメチオニル開始tRNAとが、タンパク質合成の開始において競争することとなり、N末端が標識されたタンパク質の合成効率(標識効率)が低下することとなる。
そのため、開始tRNAを含まない実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液を調製する。伸長tRNAのみからなるtRNA混合液は、(1)タンパク質を構成する20種類の天然アミノ酸についての各アミノ酸用の伸長tRNAのみをそれぞれ合成および精製することにより調製できる。又は(2)細胞に含まれるtRNAの全混合物(tRNA mix)から開始tRNAを除去することにより調製することができる。例えば、常法により分離されたtRNAの混合物(tRNA mix)から開始tRNAを除去するためには、周知の方法(例えば、Nucleic Acid Research、1994、22(3)、347−353記載の方法)を用いることができる。例えば、開始tRNAのみを分離・除去するためには、当該開始tRNA用のプローブ、たとえば、アンチコドン部分を含むtRNA配列に十分に相補的な配列を含むプローブを用いて目的とするtRNAを採取することができる。プローブは、プローブの回収に好適な手段、たとえば、プローブを支持体(オリゴ−セルロース、オリゴ−セファロース、oligotexなど)に共有結合したもの、又はビオチン化したものとアビジン若しくはストレプトアビジンを支持体と結合させたもの(アビジンーセファロース、ストレプトアビジンーセルロースなど)と結合させて回収することもできる。
具体的には標的となる開始tRNAの配列に対して相補配列を有するビオチン化オリゴDNAを合成し、ストレプトアビジン化した樹脂に固定し、tRNA混合物を当該樹脂カラムを用いて精製する方法がある。
3−2.FD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系
標識されたメチオニル開始tRNAがタンパク質合成系でタンパク質合成の開始に使用されると、αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質が合成できるとともに、開始tRNAが再生することとなる。この再生された開始tRNAから通常のフォルミルメチオニル開始tRNAが生じて、修飾されたメチオニル開始tRNAと競争することがないようにできないか検討した。ここで、タンパク合成の開始においてメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ類(MTF)及び10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD)が必須でないことはすでに報告されており(Udagawa T.et al(2004)J.Biol Chem.279(10):8539−46)、実際に、当該成分を合成系から除くことにより、フォルミルメチオニル開始tRNAの生成を阻害でき、しかも目的とするαアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質の合成は格段の低下は見られないことが分かった。
そこで、in vitro転写・翻訳系として、FD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系を調製することとした。好適には、in vitro転写・翻訳系の成分をそれぞれ精製した後、再構成して調製されたin vitro転写・翻訳系、例えば参考文献記載のもの、好適には、ピュアシステム/PURESYSTEM(ポストゲノム研究所社製;商標)において、FDおよびMTFを添加しない系を挙げることができる。
より具体的には、例えば、(1)RNAからの翻訳の場合は、リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ類、クレアチンキナーゼ類、ミオキナーゼ類、ヌクレオシド−ジフォスフェートキナーゼ類、ピロフォスファターゼ類、tRNA類、アデノシン3リン酸(ATP)、グアノシン3リン酸(GTP)、アミノ酸類、塩類及び水を含む;(2)DNAからの転写・翻訳の場合は、(1)に加えウリジン3リン酸(UTP)、シチジン3リン酸(CTP)及びRNAポリメラーゼ類、例えばT7 RNAポリメラーゼを含む系をあげることができる。
3−3.開始tRNA、FD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系
tRNA類として上記3−1.で調製された開始tRNAを含まない実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液を上記3−2.で調製されたFD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系に添加することにより、開始tRNA及びFD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系を調製することができる。
特に好適には、tRNA類として上記3−1.で調製された開始tRNAを含まない実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液を上記3−2.で調製されたFD及びMTFを含まない再構成in vitro転写・翻訳系に添加することにより、調製した実質的に伸長tRNAのみからなるtRNA混合液を含み、FD及びMTFを含まない再構成in vitro転写・翻訳系が望ましい。
4.標識されたメチオニル開始tRNAを精製する工程
標識されたメチオニル開始tRNA、特に蛍光色素で標識されたメチオニル開始tRNAは、例えばNAP−5(アマシャムバイオサイエンス)のような脱塩カラムを用いて精製することができ(Olejnik et al.(2005)Methods 36:252−260)、また、Phenyl−Sepharoseなどを用いて精製できるが、好適には、Benzoyl−DEAEセルロースを用いて精製することができる。
5.N末端特異的に標識が導入されたタンパク質を合成する工程
以下では、αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質を合成する工程について説明するが、メチオニン以外の天然アミノ酸または非天然アミノ酸をN末端に有するタンパク質を調製する工程も同様に行なうことができる。
5−1.αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質を調製する工程
上記3.で調製した開始tRNA、FD及びMTFを含まないin vitro転写・翻訳系により、上記4.で調製した精製された標識メチオニルされた開始tRNAを用いて、αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質を調製することができる。
5−2.合成反応時間の検討
αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質の合成にともない、系に添加した標識メチオニル開始tRNAが開始tRNAとなる。添加した標識メチオニル開始tRNAが、タンパク質合成反応にすべて使用された場合、αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質はそれ以上合成されないと考えられ、逆に、合成反応の進行に伴って生じた開始tRNAが使用されることにより、標識されたメチオニンをN末端に有さないタンパク質が合成される可能性が高くなる。そこで、N末端未標識タンパク質合成量を減少させるため、最適な反応時間を検討した。具体的には、合成された標識されたタンパク質量を経時的に分析し、標識されたタンパク質の増加が見られない時点を選択することができる。実際には、通常のリボソーム量であれば、30分程度で十分であることが分かった。なお、タンパク質合成系内に存在する標識されたメチオニル開始tRNAの量を測定し、標識されたメチオニル開始tRNAが系内に存在しなくなるまでタンパク質合成を行なうように時間を調整することもできる。
5−3.反応時間及びin vitro転写・翻訳系の成分の存在量の比率を変化させて、標識されたアミノ酸をN末端に有するタンパク質の合成量を測定することにより、反応時間及び成分の存在量の比率と当該N末標識タンパク質の合成量との相関を検証し、最適な条件を決定する方法
in vitro転写・翻訳系の成分の存在量の比率を変化させて、合成された標識されたタンパク質量を経時的に分析することにより、反応時間及び成分の存在量の比率と当該N末標識タンパク質の合成量との相関を行なうことができる。例えば、N末が標識されたタンパク質を、上記5.記載の工程により、in vitro転写・翻訳系の成分の存在量の比率を変化させて調製するときに、経時的に標識されたタンパク質を分離・採取し、N末が標識されたタンパク質の量をその標識により測定する。具体的には、例えば、in vitro転写・翻訳系の成分の存在量の比率を変えた系を複数調製し、それぞれのin vitro転写・翻訳系を用いて、αアミノ基が蛍光標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質の合成にともない、合成されたN末蛍光標識タンパク質を、経時的に、電気泳動法により分離し、その蛍光量を光学的に測定することができる。このようにin vitro転写・翻訳系の成分の存在量の比率を変えた系で、経時的に合成されたN末標識タンパク質の量を計測し、反応時間及び成分の存在量の比率と当該N末標識タンパク質の合成量との相関を検証することにより、in vitroタンパク質合成系におけるN末標識タンパク質の合成のための最適な反応時間及び成分比率を決定することができる。このように決定した最適な反応時間及び成分比率、言い換えれば最適な条件を用いて、当該反応時間だけN末標識タンパク質を合成させ、合成されたN末標識タンパク質を適宜な手段で分離することで、N末が未標識のタンパク質の混入を避けるようにすることができる。
また、逆にタンパク質を分離した後の系内に残存している標識されたメチオニル開始tRNA又は標識されたアミノ酸が結合したアンチコドンがCAUである開始tRNAの量を測定することもできる。
6.N末端に標識されたメチオニンを有するタンパク質を合成するためのキット
本願発明のキットとして、例えば、αアミノ基が標識されたメチオニンをN末端に有するタンパク質を合成するためのキットは、1)開始tRNA及び/又はメチオニル開始tRNA及び/又は標識されたメチオニル開始tRNA並びに2)開始tRNA及びFD及びMTFを含有しないタンパク質合成反応基本試薬を包含する。更に、好適には、1)開始tRNA及び/又はメチオニル開始tRNA及び/又は標識されたメチオニル開始tRNA並びに2)開始tRNA、FD及びMTFを含有しないタンパク質合成反応基本試薬を含有することを特徴とする、再構成in vitro転写・翻訳キットを包含する。なお、タンパク質合成反応基本試薬としては、上述のように、リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ、クレアチンキナーゼ類、ミオキナーゼ類、ヌクレオシド−ジフォスフェートキナーゼ類、ピロフォスファターゼ類、RNAポリメラーゼ類、開始tRNAが除かれたtRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオチド3リン酸類、塩類及び水を含むタンパク質合成反応基本試薬を用いることができる。
大腸菌の開始tRNAの調製
大腸菌の開始tRNA遺伝子を組み込んだプラスミドpGEMEX1−tRNAfMetで大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。LB−アンピシリン(amp)プレート上にて37℃で一晩培養後、生じたコロニーのひとつを2mlのLB−amp培地に植菌し、37℃で4時間培養した。培養液450μlを1lのLB−amp培地に加え、37℃で振とう培養した。600nmの吸光度が約0.7近くに達した時、イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)の終濃度が0.5mMになるように加えた。さらに37℃で4時間培養して菌体を回収した。1lの培養液から回収した菌体を0.2M KClで懸濁して1本の50mlファルコンチューブにまとめ、6,000xg、4℃で15分間遠心した後、上清を捨て、−80℃で冷凍保存した。冷凍保存しておいた開始tRNA大量発現菌体を50mlサイズのファルコンチューブ1本あたり10mlの0.3M酢酸カリウム(pH4.75)で懸濁後、10mlの水飽和フェノールを加えて室温で一晩振とうした。6,000xg、25℃で20分間遠心した後、水層を新しい50mlファルコンチューブに移した。残ったフェノール層に、5mlの0.3M酢酸カリウム(pH4.75)を加えてよく攪拌し、6,000xg、25℃で20分間遠心した後、水層を1本の50mlファルコンチューブにまとめた。まとめた水層を4本の50mlファルコンチューブに分けてエタノール沈殿し、70%エタノールでリンスした後、沈殿を乾燥させた。7M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で開始tRNAの発現を確認した後、アミノアシルtRNAからアミノ酸を解離させるために50mlファルコンチューブ1本分の沈殿を10mlの50mM炭酸ナトリウムバッファー(pH9.1)に溶解し、さらに10mlの水飽和フェノールを加えて室温で一晩振とうした。6,000xg、25℃で20分間遠心した後、水層を新しい50mlファルコンチューブに移した。フェノール層に、5mlの50mM炭酸ナトリウムバッファー(pH9.1)を加えてよく攪拌し、6,000xg、25℃で20分間遠心した後、水層を1本の50mlファルコンチューブにまとめた。この溶液をエタノール沈殿し、70%エタノールでリンスした後、沈殿を乾燥させた。50mlファルコンチューブ1本分の沈殿を10mlのバッファーA(20mM Tris−HCl(pH7.6)、10mM MgCl、0.4M NaCl)に溶解して1本にまとめ(合計40ml)、バッファーAで平衡化しておいた陰イオン交換カラムQ−Sepharose HP(アマシャムバイオサイエンス社製)に流速2ml/minでロードした。樹脂に吸着しない余分なRNA等を除くために、バッファーAで洗浄後、バッファーAとバッファーB(20mM Tris−HCl(pH7.6)、10mM MgCl、0.7M NaCl)を使用して0.4Mから0.7M NaClの直線濃度勾配でtRNAを溶出した。溶出画分は、10mlずつ分画し、各フラクションの260nmの吸光度を測定した。吸光度のピークフラクションの2μlを、それぞれ7M尿素を含む15%PAGEで解析し、目的の開始tRNAのみが溶出している画分を1本の50mlファルコンチューブに回収した。エタノール沈殿後、HOに溶解し、−30℃に保存した。260nmの吸光度を測定して開始tRNAの回収量を算出したところ、4lの培養液から、808 A260units/mlの濃度で約600 A260unitsの開始tRNAが回収された。
メチオニル開始tRNAの調製
反応液として、5xAAM(0.5M Tris−HCl(pH7.6)、0.2M KCl、50mM MgCl、10mM ATP)を3ml、開始tRNAを166 A260units、100mM メチオニンを10μlとメチオニルtRNA合成酵素(MetRS)1.02mgを混合し、37℃で30分反応させた。バッファーC(20mM 酢酸カリウム(pH4.75)、0.2M NaCl)を14.5ml加え、ゆっくり攪拌した。この溶液を、バッファーCで平衡化した樹脂体積1mlの陰イオン交換カラムQ−Sepharose HP(アマシャムバイオサイエンス社製)にロードした。バッファーCで十分洗浄した後、バッファーD(20mM 酢酸カリウム(pH4.75)、1M NaCl)で溶出した。目的のメチオニル開始tRNAを含む画分を回収し、エタノール沈殿後、乾燥した。260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、−30℃で保存した。
蛍光標識メチオニル開始tRNAの調製
メチオニル開始tRNAのαアミノ基に蛍光色素を導入した蛍光修飾メチオニル開始tRNAを以下のように調製した。6.25 A260unitsのメチオニル開始tRNAと10mg/mlの蛍光色素標識スクシニイミジルエステル(Succinimidyl Ester;SE)ジメチルホルムアミド溶液7.5μl、0.1M リン酸バッファー(pH7.9)を含む全量30μl中で、遮光し氷上1時間反応させた。蛍光色素標識SEとして、Pacific Blue−SE、Carboxyrhodamine 6G−SE、Texas Red−SE、Alexa Fluor 430−SE(モレキュラープローブ)、Cy5−SE(アマシャムバイオサイエンス)、IC3−SE(同仁化学研究所)、及びCarboxyfluorescein−SE(リサーチオーガニクス)を使用した。反応終了後、反応液に50μlのバッファー1(20mM 酢酸カリウム(pH4.75)、0.2M NaCl)を加えて希釈し、樹脂量70μlのQ−Sepharose HPで作製した綿栓カラムにロードした。バッファー1で未反応の蛍光色素標識SEが無くなるまで洗浄した後、100μlのバッファー2(20mM 酢酸カリウム(pH4.75)、1M NaCl)で溶出した。樹脂量20μlのBenzoyl−DEAEセルロースで綿栓カラムを2本作り、300μlのバッファー2で平衡化した後、1本目の綿栓カラムに先の溶出液をロードした。通過液を2本目の綿栓カラムにロードした。これら2本の綿栓カラムをそれぞれ100μlのバッファー2で4回洗浄した後、300μlのバッファー3(20mM 酢酸カリウム(pH4.75)、1M NaCl、30%エタノール)で溶出した。溶出液をまとめ、850μlのエタノールを加えてエタノール沈殿した。沈殿をバッファー4(20mM 酢酸カリウム(pH4.75)、6mM βメルカプトエタノール)に溶解後、260nmの吸光度を測定して濃度を決定した。調製した蛍光標識メチオニル開始tRNAは、タンパク質合成で使用するまで−30℃で保存した。調製した蛍光標識メチオニル開始tRNAの0.01 A260unitを、7M尿素を含む10%PAGEで分析し、蛍光イメージャーLAS3000multicolor(富士写真フィルム)により可視化した結果を図1に示す。この結果より、どの蛍光色素標識SEを用いた場合でもメチオニル開始tRNAに蛍光が導入できることが示された。
ビオチン化DNA結合樹脂の作製
DNAプローブは、大腸菌開始tRNAの3’領域に相補的なプローブA(5’TTGCGGGGGCCGGATTTGAACCGACGA 3’ )とアンチコドンを含む領域に相補的なプローブB(5’ TTATGAGCCCGACGAGCTACCAGGCT 3’ )の2種類を設計して使用した。1.5mlのろ過チューブのフィルター容器に50μlのストレプトアビジンアガロース懸濁液(樹脂量25μl)を加え、6,000xgで10秒ほど遠心してバッファーを除いた。フィルター容器内の樹脂を400μlの20mM Tris−HCl(pH7.6)で懸濁し、再度6,000xgで遠心した。この操作を2度繰り返した。大腸菌の開始tRNAに相補的なビオチン化オリゴDNAプローブ0.25 A260unit相当を、20mM Tris−HCl(pH7.6)400μlに溶解し、これをストレプトアビジンアガロース樹脂が入ったフィルター容器に加え、たびたび振りながら室温で10分ほど放置した。これを6,000xgで遠心し、結合しなかったDNAプローブを除いた。樹脂へのDNAプローブ固定量は、結合しなかったDNAプローブの吸光度を測定することで算出した。
固相化プローブ法によるtRNA Mixからの開始tRNAの除去
35 A260unitsの大腸菌tRNA Mixに、12xバッファーC(180mM Tris−HCl(pH7.5)、1.8M テトラメチルアンモニウムクロライド、12mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA))を200μl加え、RNase−Free水で400μlとし65℃で5分間保温した。実施例4で作製したビオチン化DNA結合樹脂を含むフィルター容器に添加し、さらに65℃で2分間保温した。その後25℃までゆっくり冷却し、開始tRNAを樹脂に結合させた。6,000xgで10秒ほど遠心し、結合しなかったtRNA溶液を回収し、開始tRNAを除去した大腸菌tRNA Mix(−開始tRNA)とした。400μlの3xSSC(45mM クエン酸ナトリウム(pH7.0)、0.45M NaCl)をフィルター容器に加えて樹脂を攪拌し、6,000xgで10秒程度遠心して3xSSCを除去することにより樹脂を洗浄した。透過する3xSSCの吸光度が0.01 A260unit/ml以下になるまで洗浄操作を繰り返した。樹脂に結合した開始tRNAを回収するために、あらかじめ65℃で保温しておいた0.1xSSC 200μlをフィルター容器に加え、65℃で5分間保温した。溶液の温度が下がらないうちに6,000xgで10秒程度遠心し、開始tRNAを回収した。この操作をもう一度繰り返し、溶出液をひとつにまとめた。開始tRNAを除去した実質的に伸長tRNAのみからなる大腸菌tRNA Mixの純度および、開始tRNAの樹脂への結合を7M尿素を含む15%PAGEで確認した結果を図2に示す。右側のパネルのノーザンブロッティングの結果から、未処理のtRNA Mixをロードしたレーン2、および樹脂から溶出した開始tRNAをロードしたレーン5、6には開始tRNAのバンドが確認できるが、tRNA Mix(−開始tRNA)をロードしたレーン3、4にはバンドが確認できない。この結果は、プローブA又はプローブBのどちらのプローブを用いた場合でも、tRNA Mixから開始tRNAがほとんど除去できていることを示している。
開始tRNAを除去した実質的に伸長tRNAのみからなる大腸菌tRNA混合液を用いたタンパク質合成
FDおよびMTFおよびtRNA Mixをいずれも含まない再構成in vitro転写・翻訳系(PURESYSTEM/−FD、MTF、tRNA)に、DNAプローブB固定化樹脂を用いて開始tRNAを除去した大腸菌tRNA Mix(−開始tRNA)、および開始tRNAを加えカルモジュリンの合成を行なった。FDおよびMTFおよびtRNA Mixをいずれも含まない再構成in vitro転写・翻訳系(PURESYSTEM/−FD、MTF、tRNA)には、50mM HEPES−KOH(pH7.6)、2mM ATP、2mM GTP、1mM CTP、1mM UTP、20mM クレアチンリン酸、0.3mM 各アミノ酸、13mM 酢酸マグネシウム、100mM グルタミン酸カリウム、2mM スペルミジン(spermidine)、1mM ジチオスレイトール(DTT)、1.2μM リボソーム、0.02μg/μl IF1、0.04μg/μl IF2、0.015μg/μl IF3、0.02μg/μl EF−G、0.04μg/μl EF−Tu、0.02μg/μl EF−Ts、0.01μg/μl RF1、0.01μg/μl RF2、0.01μg/μl RF3、0.01μg/μl RRF、0.6−6units/μl各アミノアシルtRNAシンテターゼ(ARS)、0.004μg/μl クレアチンキナーゼ(CK;creatine kinase)、0.003μg/μl ミオキナーゼ(MK;myokinase)、0.001μg/μl ヌクレオシド二リン酸キナーゼ(NDK;nucleoside diphosphate kinase)、0.0356units/μl ピロフォスファターゼ及び0.01μg/μl T7 RNAポリメラーゼが含まれている。さらに、0.167μlのredivue Pro−mix L−[35S]in vitro cell labeling mix(アマシャムバイオサイエンス#AGQ0080)と0.167μgのカルモジュリン鋳型DNAを加え、HOで容量を8.33μlにした。また、FDを加える場合は0.067μg、MTFを加える場合は0.0835μg、tRNA Mixを加える場合は0.48 A260unit、tRNA Mix(−開始tRNA)を加える場合は0.48 A260unit、開始tRNAを加える場合は0.05−0.2 A260unitをそれぞれ加えた。合成反応は、37℃で1時間行なった。各合成反応液の5.5μlを、15%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−PAGEにて分離後、イメージャーBAS2500(富士写真フィルム)により可視化した結果を図3に示す。tRNA Mixの代わりにtRNA Mix(−開始tRNA)を使用したタンパク質合成系では、カルモジュリンはほとんど合成されなかったが(レーン6)、そこに開始tRNAを加えた場合に合成量が回復した(レーン3−5)。この結果より、タンパク質合成反応試薬からFDおよびMTFおよび開始tRNAを除去した場合、タンパク質はほとんど合成されないことが確認できた。
タンパク質合成反応時間の検討
FD、MTF及びtRNA Mixをいずれも含まない再構成in vitro転写・翻訳系(PURESYSTEM/−FD、MTF、tRNA)に、カルモジュリン鋳型DNAを1μg、tRNA Mix(−開始tRNA)を2.8 A260units、IC3付加メチオニル開始tRNAを0.1 A260unit加え、HOで容量を50μlにした。合成反応は37℃で行ない、合成開始後、0、10、15、20、25、30、35、40、50、及び60分においてサンプリングした。各サンプルを15%SDS−PAGEにて分離し、LAS3000 multicolor(富士写真フィルム)でIC3の蛍光を検出した(図4)。この結果より、30分の合成時間でIC3導入カルモジュリンは十分合成されることが分かった。
蛍光標識メチオニル開始tRNAによるN末端標識
FD、MTF、tRNA Mixを含まない再構成in vitro転写・翻訳系(PURESYSTEM/−FD、MTF、tRNA)に、1μgのカルモジュリン鋳型DNAを加え、HOで容量を50μlにした。また、FDを加える場合は0.5μg、MTFを加える場合は0.4μg、tRNA Mixを加える場合は2.8 A260units、tRNA Mix(−開始tRNA)を加える場合は2.8 A260units、IC3付加メチオニル開始tRNAを加える場合は0.1 A260unitをそれぞれ加えた。反応液を混合後、37℃にて30分反応させた。
大腸菌S30細胞抽出液を使用した合成反応は、10xバッファー(500mM HEPES−KOH(pH7.5)、77mM 酢酸マグネシウム、275mM 酢酸アンモニウム、2M 酢酸カリウム、17mM DTT、0.5mM フォリン酸、10mM 各アミノ酸)を5μl、100mM 各NTPを1.88μl、1M クレアチンリン酸を4μl、15mg/ml CKを0.7μl、170 A260units/ml大腸菌tRNA Mixを1μl、11mg/ml T7 RNA polymeraseを0.46μl、20%PEGを10μl、S30抽出液を15μl、1mg/mlカルモジュリン鋳型DNAを1μlに、精製したIC3付加メチオニル開始tRNA、もしくは未精製IC3付加メチオニル開始tRNAを0.1 A260unitを加え、さらにHOで容量を50μlとした反応液を30℃で30分間反応させた。カルモジュリンは、カルシウムイオンと結合するとコンフォメーションが変化し、内部に埋まっていた疎水性ドメインが露出する。この特性を利用し、Phenyl Sepharose CL4B(アマシャムバイオサイエンス)を用いて、合成したカルモジュリンを精製した。合成反応液100μlに、1M CaClを2.5μl加えて室温で10分間放置した後、10,000rpm、室温で10分間遠心した。上清を4倍量の平衡バッファー(50mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM CaCl、100mM NaCl)で希釈後、平衡バッファーで平衡化した25μlのPhenyl Sepharose CL4B樹脂にロードした。樹脂を洗浄バッファー1(50mM Tris−HCl(pH7.6)、0.1mM CaCl)100μl、および洗浄バッファー2(50mM Tris−HCl(pH7.6)、0.1mM CaCl、500mM NaCl)100μlで洗浄後、吸着したカルモジュリンを溶出バッファー(100mM Tris−HCl(pH7.6)、1mM EGTA(pH8.0))25μlで2回溶出した。精製したカルモジュリンを15%SDS−PAGEにて分離し、LAS3000multicolor(富士写真フィルム)でIC3の蛍光を検出した。また、銀染色によりタンパク質を染色した。結果を図5に示した。S30合成系(レーン1)と比較してPURESYSTEMを利用した場合、IC3導入カルモジュリンの合成量が明らかに多いことが確認できた。PURESYSTEMにおいてはFDおよびMTFおよび開始tRNAを含まない反応系を使用することで、合成カルモジュリン全体に占めるIC3導入カルモジュリンの割合が80%以上に向上した(図5:レーン4および9)。また、レーン4と9の比較から精製した蛍光標識メチオニル開始tRNAを使用することにより、IC3導入カルモジュリンの合成量が約2倍増加することが確認できた。
蛍光標識メチオニル開始tRNAの調製
メチオニル開始tRNAのαアミノ基に蛍光色素を導入した蛍光修飾メチオニル開始tRNAを以下のように調製した。6.25 A260unitsのメチオニル開始tRNAと約10mg/mlの蛍光色素標識スクシニイミジルエステル(Succinimidyl Ester;SE)ジメチルホルムアミド溶液7.5μl,0.1M リン酸バッファー(pH7.9)を含む全量30μl中で,遮光し氷上1時間反応させた。
蛍光色素標識SEとして,5−and−6−carboxyfluorescein−N−hydroxy SE(リサーチオーガニクス),5−(and−6)−carboxyrhodamine 6G SE<5(6)−CR 6G,SE>,Texas Red−X SE(モレキュラープローブ),Cy5 Mono−reactive Dye(アマシャムバイオサイエンス),IC3−OSu(同仁化学研究所),IC5−OSu(同仁化学研究所),5−(and−6)−carboxytetramethylrhodamine SE<5(6)−TAMRA,SE>,Alexa Flour 430 carboxylic acid SE(モレキュラープローブ),Alexa Flour 488 carboxylic acid SE(モレキュラープローブ),Alexa Flour 647 carboxylic acid SE(モレキュラープローブ),Pacific Blue−SE(モレキュラープローブ),を使用した。反応終了後,反応液に50μlのバッファー1(20mM 酢酸カリウム(pH4.75),0.2M NaCl)を加えて希釈し,樹脂量70μlのQ−Sepharose HPで作製した綿栓カラムにロードした。バッファー1で未反応の蛍光色素標識SEが無くなるまで洗浄した後,100μlのバッファー2(20mM 酢酸カリウム(pH4.75),1M NaCl)で溶出した。樹脂量20μlのBenzoyl−DEAEセルロースで綿栓カラムを2本作り,300μlのバッファー2で平衡化した後,1本目の綿栓カラムに先の溶出液をロードした。通過液を2本目の綿栓カラムにロードした。これら2本の綿栓カラムをそれぞれ100μlのバッファー2で4回洗浄した後,300μlのバッファー3(20mM 酢酸カリウム(pH4.75),1M NaCl、30%エタノール)で溶出した。溶出液をまとめ,850μlのエタノールを加えてエタノール沈殿した。沈殿をBuffer4(20mM 酢酸カリウム(pH4.75),6mM βメルカプトエタノール)に溶解後,260nmの吸光度を測定して濃度を決定した。調製した蛍光標識メチオニル開始tRNAは,タンパク質合成で使用するまで−30℃で保存した。調製した蛍光標識メチオニル開始tRNAの0.01 A260unitを,7M尿素を含む10%PAGEにかけ,蛍光イメージャーLAS3000multicolor(富士写真フィルム)により可視化した結果を図6に示す。どの蛍光色素標識SEを用いた場合でもメチオニル開始tRNAに蛍光が導入できることが確認できた。
各種蛍光標識メチオニル開始tRNAによるN末端標識カルモジュリンの調製
FD,MTF,tRNA Mixを除いたタンパク質合成系(PURESYSTEM/−FD,MTF,tRNA)に,蛍光化メチオニル開始tRNA 0.1 A260unit、1μgのカルモジュリン鋳型DNAを加え,HOで容量を50μlにし、37℃にて30分反応させた。その後、Phenyl Sepharose CL4B(アマシャムバイオサイエンス)を用いて,合成したカルモジュリンを精製した。合成反応液100μlに,1M CaClを2.5μl加えて室温で10分間放置した後,10,000rpm,室温で10分間遠心した。上清を4倍量の平衡バッファー(50mM Tris−HCl(pH7.6),5mM CaCl,100mM NaCl)で希釈後,平衡バッファーで平衡化した25μlのPhenyl Sepharose CL4B樹脂にロードした。樹脂を洗浄バッファー1(50mM Tris−HCl(pH7.6),0.1mM CaCl)100μl,および洗浄バッファー2(50mM Tris−HCl(pH7.6),0.1mM CaCl,500mM NaCl)100μlで洗浄後,吸着したカルモジュリンを溶出バッファー(100mM Tris−HCl(pH7.6),1mM EGTA(pH8.0))25μlで2回溶出した。精製したカルモジュリン6μlを15%SDS−PAGEにて分離し、LAS3000 multicolor(富士写真フィルム)で各種蛍光シグナルを検出した。また,銀染色によりタンパク質を染色した。その結果を図7に示す。
Cy5標識,IC3標識,carboxytetramethylrhodamine標識,Alexa Flour 430標識,Alexa Flour 488標識については高いN末端蛍光標識効率を示していることがわかる。逆に、Alexa Flour 647標識,IC5標識の場合、N末端蛍光標識効率は低いレベルに留まっているようである。このことから、蛍光分子によってN末端蛍光標識タンパク質の合成量は大きな影響を受けることが分かる。またAlexa Flour 430標識CaMに関しては、合成量は十分であるのに、蛍光シグナルがほとんど検出されていないのは、蛍光イメージャーの性能特性によるものと考えている。
N末端蛍光標識カルモジュリンの基質結合能の確認
N末端蛍光標識CaMの基質結合能を評価するためにゲルシフトアッセイを行った。基質としてはCaM結合ペプチド融合ECFP(CBP−ECFPht)を用いた。反応液は50mM Tris−HCl(pH7.6),0.5mM CaCl,17μM CBP−ECFPhtを含み、さらに精製した蛍光化カルモジュリンもしくは未標識カルモジュリン0.1μgを加えた。反応は4℃で4時間行った。反応後、380mM Tris−HCl(pH8.8),1mM CaClを含む12.5%アクリルアミド(acrylamide:bis=29.2:0.8)ゲルを用い、泳動用緩衝液として0.1mM CaClを含むトリスグリシン溶液にて電気泳動を行った。泳動後蛍光シグナルをLAS−3000 Multi colorで解析した。その結果を図8に示す。図8B,Cより、ECFPとN末端蛍光標識CaMとを反応させた場合、carboxytetramethylrhodamine標識CaM,Cy5標識CaM共に基質タンパク質の有無によりバンドのずれが生じており、発現させて回収したCaM(未標識CaM)と同様に、N末端蛍光標識CaMにも基質結合活性があることが確認できた。このことより、N末端蛍光標識されたCaMは充分に結合活性を保持していたと言える。
蛍光標識メチオニル開始tRNAによるN末端蛍光標識タンパク質の調製
FD,MTF,tRNA Mixを除いたタンパク質合成系(PURESYSTEM/−FD,MTF,tRNA)に,2.8 A260units tRNA Mix(−開始tRNA)もしくはtRNAmix,0.1 A260unit蛍光化メチオニル開始tRNA、1μgタンパク質合成用鋳型DNAを加え,37℃にて30分反応させた。なお、合成の鋳型は目的タンパク質をコードしている遺伝子が組み込まれたプラスミドDNA、もしくは、目的タンパク質遺伝子をPCRにより増幅したものを用いた。合成後は、SDS−PAGEにて分離し、蛍光シグナルを蛍光イメージャーにて検出した。
IC3標識Met−tRNA MetおよびtRNA Mix(−開始tRNA)を使用して、カルモジュリン(CaM,16.8kDa,レーン1),MnmE(49.2kDa,レーン2),EF−P(21.4kDa,レーン3),DHFR(18.4kDa,レーン4),HSDH(26.8kDa,レーン5)を合成した結果を図9に、Alexa488標識Met−tRNA MetおよびtRNA Mixを使用してアルカリ性ホスファターゼ(AP,レーン1),ガラクトシターゼ(β−Gal,レーン2),クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT,レーン3),Enolase(レーン4),ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR,レーン5),緑色蛍光タンパク質(GFP,レーン6),グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST,レーン7),インターロイキン8(IL8,レーン8),Lysozyme(レーン9),Ras(レーン10)を合成した結果を図10Aに、合成後Microcon YM100(ミリポア社)にてリボソーム画分の除去を行った後に電気泳動を行った場合の結果を図10Bに示す。なお、レーン11は鋳型DNAを加えていない反応産物である。
図9に示すようにN末端蛍光標識タンパク質の合成量は、タンパク質によって差が生じているが、CaM,EF−P,DHFR,HSDHに関しては、N末端蛍光標識タンパク質合成は行なわれていたことが確認できた。MnmEについては完全長のタンパク質の合成は少なく、他と比べると合成が途中で停止した産物が確認できた。
図10Aではガラクトシターゼ(β−Gal)はかなり薄いが、N末端蛍光標識タンパク質合成は行なわれていたことが確認できた。一方で、目的分子量以外にも蛍光シグナルがみられた。図10Bに示したように、限外ろ過膜にてリボソーム画分を除去したところ、目的分子量のシグナルがはっきりと確認でき、目的分子量以外の蛍光シグナルは減少した。このことから目的分子量以外の蛍光シグナルはタンパク質合成途中の産物が主たるものと考えられた。Lysozyme(レーン9)については限外ろ過膜処理により蛍光シグナルが消滅してしまったことから、タンパク質によっては限外ろ過膜処理が負に働く場合があることがわかった。
本願発明は、従来1−2%程度と極めて低かったN末端特異的に標識されたタンパク質の標識効率を飛躍的に(90%以上)に上昇させることができるようになるという優れた効果を奏するものである。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
[配列表]

Claims (10)

  1. リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ、tRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオチド3リン酸類、塩類及び水を含み、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTF及び10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FDを含まないin vitro転写・翻訳系を用いる標識されたアミノ酸をN末端に有するタンパク質の合成方法において、以下の工程(1)−(3)を含む方法。
    (1)tRNAとしては、tRNAの全混合物(tRNA mix)から開始tRNAを除去することにより調製される伸長tRNAのみを含む、in vitro転写・翻訳系を調製する工程、
    (2)標識されたアミノ酸が結合した開始tRNA(以下標識アミノ酸結合開始tRNAともいう)を精製する工程、並びに
    (3)前記tRNAとしては伸長tRNAのみを含むin vitro転写・翻訳系に対して精製された標識アミノ酸結合開始tRNA及び目的とするタンパク質をコードする遺伝子を添加して、該遺伝子を鋳型としてタンパク質を合成する工程。
  2. in vitro転写・翻訳系が、再構成in vitro転写・翻訳系である請求項1に記載のタンパク質の合成方法。
  3. 前記tRNAとしては伸長tRNAのみを含むin vitro転写・翻訳系が、開始tRNAを添加しないで調製した再構成in vitro転写・翻訳系であることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項に記載のタンパク質の合成方法。
  4. 標識アミノ酸結合開始tRNAがαアミノ基が標識されたメチオニル開始tRNAである、請求項1〜3いずれか1項に記載のタンパク質の合成方法。
  5. 標識が蛍光標識である、請求項に記載のタンパク質の合成方法。
  6. 標識アミノ酸結合開始tRNAが天然アミノ酸(ただし、メチオニンは除く)または非天然アミノ酸を結合したアンチコドンがCAUである開始tRNAを含む、請求項1〜3いずれか1項に記載のタンパク質の合成方法。
  7. tRNAとしては伸長tRNAのみを含むin vitro転写・翻訳系が、10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD及びメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTFを含有しないことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のタンパク質の合成方法。
  8. 標識アミノ酸結合開始tRNAを精製する工程をBenzoyl−DEAEセルロースを用いて行なう請求項1〜7いずれか1項記載のタンパク質を合成する方法。
  9. タンパク質合成を、N末端が標識されたタンパク質が増加されなくなるまで、又は標識されたアミノ酸結合開始tRNAが系内に存在しなくなるまで行なう請求項1〜8いずれか1項記載の方法。
  10. 1)開始tRNA及び/又はメチオニル開始tRNA及び/又は標識されたメチオニル開始tRNA、及び
    2)開始tRNA及び10−フォルミル5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸(FD及びメチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ(MTFを含有しないin vitro転写・翻訳系からなるキットであって、
    前記in vitro転写・翻訳系リボソーム、開始因子類、伸長因子類、解離因子類、アミノアシルtRNAシンテターゼ、tRNAの全混合物(tRNA mix)から開始tRNAを除去することにより調製される開始tRNAが除かれたtRNA類、アミノ酸類、リボヌクレオチド3リン酸類、塩類及び水を含む、キット。
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