JP4310378B2 - 無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の製造方法及びタンパク質合成用試薬キット - Google Patents

無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の製造方法及びタンパク質合成用試薬キット Download PDF

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Description

本発明は、無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の製造方法、詳しくは無細胞タンパク質合成系において多くとも19種類のアミノ酸を含むアミノ酸混合物を基質として用いてタンパク質を合成することを特徴とするタンパク質、特には安定同位体標識タンパク質の製造方法、ならびにその方法を実施するためのタンパク質合成用試薬キットに関する。
無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出液を用いて試験管内でタンパク質を合成する系である。無細胞タンパク質合成系はDNA断片をそのまま発現の鋳型として利用できるため、従来の大腸菌、酵母、培養細胞などの生細胞を用いる発現系に必要とされた、目的タンパク質遺伝子のベクターへのライゲーション、トランスフォーメーション、培養、集菌、溶菌といった時間と手間のかかる工程が一切不要となり、短時間で容易にタンパク質を発現することができる。
近年、ゲノムにコードされたタンパク質の構造や機能を網羅的に解明しようとする、いわゆる構造・機能ゲノム科学研究が急速に発展し始め、解析対象とすべきタンパク質の数は飛躍的に多くなった。このために、多数のタンパク質試料を迅速に調製できる、ハイスループットなタンパク質発現系が必要となってきており、その意味でも無細胞タンパク質合成系に対する注目が集まっている。
これまで、無細胞タンパク質合成系においては、タンパク質合成に必要なアミノ酸基質としてタンパク質を構成する20種類のアミノ酸を使用している(特開2000−175695号、特開2002−125698号など参照)。しかしながら、NMR法によるタンパク質の立体構造解析用試料を作成するためには安定同位体標識アミノ酸を用いなければならず、コストが高くなるという問題がある。特に、NMR測定用試料に用いられるAlgal由来の標識化アミノ酸のうち、システイン(Cys)、トリプトファン(Trp)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)はアミノ酸加水分解の過程で脱落してしまうために補充しなければならず、またこれらのアミノ酸は他のアミノ酸に比べて高いのでコストが上がる原因になっている。
これまで安定同位体標識タンパク質を製造した例としては、同位体標識アンモニウム塩の存在下でトランスグルタミナーゼなどの酵素をタンパク質に作用させ、タンパク質のアミノ酸残基の官能基を同位体標識アンモニウム塩に由来する同位体標識基で置換することによって標識する方法(特開2002−332295号)、13C、15Nなどの安定同位体で標識された標識アミノ酸を基質とし、アミノ酸生合成系・アミノ酸代謝系などのタンパク質合成系以外の酵素活性を低下させた無細胞タンパク質合成系において安定同位体標識タンパク質を製造する方法(特許第3145431号)がある。しかしながら、前者は、タンパク質合成後にタンパク質のアミノ酸残基に酵素を作用させて同位体標識する方法であるが、そもそも利用する酵素触媒反応が本願発明のものとは異なり、またこの方法では酵素と接触する位置に存在するアミノ酸は標識されても、タンパク質の内側や、また表面部分でもポケットの内部に位置するようなアミノ酸については標識することができない。また後者はアミノ酸基質として20種類のアミノ酸を使用しており、また特定のアミノ酸を特異的に標識することについては何ら検討されていない。
従って、本発明の目的は、タンパク質、特にはNMR測定用試料となる安定同位体標識タンパク質を安価に製造するための方法及びタンパク質合成用試薬キットを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)がアスパラギン酸(Asp)及びグルタミン酸(Glu)からそれぞれ代謝・生成されることに着目し、無細胞タンパク質合成系においてアスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)を含まない18種類のアミノ酸を用いてタンパク質の合成を行ったところ、20種類のアミノ酸を用いたときと同等な活性を有するタンパク質を合成できることを見出した。また、同時に、15Nにて標識したアンモニウム塩を無細胞タンパク質合成系に添加すると、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)を入れなくてもアスパラギン酸(Asp)及びグルタミン酸(Glu)からそれぞれ代謝・生成されたアスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)の側鎖を特異的に標識でき、また非標識のアンモニウム塩を用いれば、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)の側鎖を標識させずに所望のアミノ酸の主鎖のみを標識できることを見出した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 無細胞タンパク質合成系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物を基質として用いてタンパク質を合成することを特徴とする、タンパク質の製造方法。
(2) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンを含む混合物である、(1)に記載の方法。
(3) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びアスパラギンを含む混合物である、(1)に記載の方法。
(4) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンを含む混合物である、(1)に記載の方法。
(5) 無細胞タンパク質合成系に、アンモニウム塩を添加することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) アンモニウム塩を20〜120mMの最終濃度となるように添加することを特徴とする、(5)に記載の方法。
(7) アンモニウム塩が酢酸アンモニウムである、(5)又は(6)に記載の方法。
(8) 無細胞タンパク質合成系において安定同位体標識タンパク質を製造する方法であって、該系にアンモニウム塩を添加し、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物を基質として用い、かつ、前記アンモニウム塩及び/又は前記混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていることを特徴とする、上記方法。
(9) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンを含む混合物である、(8)に記載の方法。
(10) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びアスパラギンを含む混合物である、(8)に記載の方法。
(11) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンを含む混合物である、(8)に記載の方法。
(12) アンモニウム塩が酢酸アンモニウムである、(8)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13) 以下の成分:
(a)アンモニウム塩
(b)アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物
(c)無細胞タンパク質合成用細胞抽出液
を含み、かつ、前記アンモニウム塩及び/又は前記混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていることを特徴とする、安定同位体標識タンパク質合成用試薬キット。
(14) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンを含む混合物である、(13)に記載のキット。
(15) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びアスパラギンを含む混合物である、(13)に記載のキット。
(16) アミノ酸混合物が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びグルタミンを含む混合物である、(13)に記載のキット。
(17) アンモニウム塩が酢酸アンモニウムである、(13)〜(16)のいずれかに記載のキット。
図1は、20種類のアミノ酸混合物、又は18種類のアミノ酸混合物を基質として用いて無細胞系タンパク質合成によってそれぞれ得られたCATタンパク質量の比較を示す。
図2は、酢酸アンモニウムの添加濃度とタンパク合成量との関係を示す。
図3は、本発明方法(透析法)にて調製した標識Rasタンパク質精製試料の15N HSQCスペクトルを示す。
図4は、20種類の15N標識アミノ酸を用いて透析法にて調製した均一15N標識Rasタンパク質の15N HSQCスペクトルを示す。
図5は、20種類のアミノ酸混合物、又は18種類のアミノ酸混合物を基質として用い、種々の濃度の酢酸アンモニウム存在下で無細胞系タンパク質合成によってそれぞれ得られたGFPタンパク質量の比較を示す。
図6は、20種類のアミノ酸混合物、又は18種類のアミノ酸混合物(Asp,Glu濃度を増量)を基質として用い、種々の濃度の酢酸アンモニウム存在下で無細胞系タンパク質合成によってそれぞれ得られたGFPタンパク質量の比較を示す。
図7Aは、20種類のアミノ酸混合物、又は18種類のアミノ酸混合物(Asp,Glu濃度を増量)を基質として用い、60mM酢酸アンモニウム濃度下で無細胞系タンパク質合成したGFPタンパク質をイムノブロット法により検出した結果を示す(レーン1:pQBI T7−GFP無添加(20種類のアミノ酸混合物による合成のコントロール)、レーン2:pQBI T7−GFP無添加(18種類のアミノ酸混合物による合成のコントロール)、レーン3:20種類のアミノ酸混合物による合成、レーン4:18種類のアミノ酸混合物による合成)。
図7Bは、20種類のアミノ酸混合物、又は18種類のアミノ酸混合物(Asp,Glu濃度を増量)を基質として用い、60mM酢酸アンモニウム濃度下で無細胞系タンパク質合成したRasタンパク質をイムノブロット法により検出した結果を示す(レーン1:pK7−NHis−Ras無添加(20種類のアミノ酸混合物による合成のコントロール)、レーン2:pK7−NHis−Ras無添加(18種類のアミノ酸混合物による合成のコントロール)、レーン3:20種類のアミノ酸混合物による合成、レーン4:18種類のアミノ酸混合物による合成)。
以下、本発明を詳細に説明する。本願は、2003年5月22日に出願された日本国特許出願2003−145390号の優先権を主張するものであり、該特許出願の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
1.無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の製造方法
本発明によれば、無細胞タンパク質合成系において、多くとも19種類のアミノ酸を含むアミノ酸混合物を基質として用いてタンパク質を合成することを特徴とするタンパク質の製造方法が提供される。
本発明における「無細胞タンパク質合成系」とは、mRNAの情報を読み取ってリボソーム上でタンパク質を合成する無細胞翻訳系、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系と無細胞翻訳系の両者を包含する。
本発明における「タンパク質」とは、複数のアミノ酸残基から構成される任意の分子量のポリペプチドをいい、特にポリペプチドが立体構造を形成したものをいう。
本発明において「アミノ酸混合物」とは、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物をいい、具体的には、上記のアミノ酸群からグルタミンを除いた19種類のアミノ酸混合物、アスパラギンを除いた19種類のアミノ酸混合物、グルタミン、アスパラギンを除いた18種類のアミノ酸混合物などをいう。なお、本明細書において全てのアミノ酸はL体のアミノ酸をいう。また、タンパク質を構成する上記のアミノ酸群(20種類)以外の非天然型アミノ酸は、上記の「アミノ酸混合物」には含まれないが、これらを本合成系に添加することもできる。
本発明の無細胞タンパク質合成系によるタンパク質製造は、アミノ酸基質として上記のアミノ酸混合物を用いる以外は、従来から知られる無細胞タンパク質合成のための材料、すなわち無細胞タンパク質合成用細胞抽出液、目的タンパク質をコードする鋳型となる核酸、エネルギー源(ATP、GTP、クレアチンホスフェート等の高エネルギーリン酸結合含有物)等を用いて行うことができる。
「無細胞タンパク質合成用細胞抽出液」とは、リボソーム、tRNAなどのタンパク質インビボ合成に関与する翻訳系又は転写系/翻訳系に必要な成分を含む植物細胞、動物細胞、真菌細胞、細菌細胞からの抽出液をいう。具体的には、大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網赤血球、マウスL−細胞、エールリッヒ腹水癌細胞、HeLa細胞、CHO細胞、出芽酵母等の抽出液が挙げられる。細胞抽出液の調製は、例えばPratt,J.M.ら、Transcription and trasnlation−a practical approach(1984)、pp.179−209に記載の方法に従い、上記細胞をフレンチプレスやグラスビーズにて破砕し、タンパク質成分やリボソームを可溶化するための数種類の塩を含有する緩衝液を加えてホモジナイズし、遠心分離にて不溶成分を沈殿させることによって行うことができる。
好ましい細胞抽出液としては大腸菌S30細胞抽出液を例示することができる。当該S30細胞抽出液は、大腸菌A19株(rnamet)から既知の方法(Zubayら(1973)Ann.Rev.Genet.7:267−287)により調製することができ、また市販品(Promega社やNovagen社からも入手可能)を用いてもよい。
上記無細胞タンパク質合成用細胞抽出液の量は、特に限定されないが、例えば、反応液全体の10〜40重量%の範囲が好ましい。
「目的タンパク質をコードする核酸」は、当該目的タンパク質をコードし、転写及び/又は翻訳され得る適切な配列を含むものであれば特に限定されず、RNA、mRNA、DNA、cDNAのいずれをも含む。DNAを使用する場合、RNAポリメラーゼなどを必要とする転写反応が必要となり、収量が低下することから大量合成を必要とする場合は、mRNAを用いることが好ましい。目的タンパク質をコードするDNA又はRNAは、真核又は原核生物の細胞若しくは組織からゲノムDNA、mRNAとして周知の方法(フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿、塩化セシウム密度勾配遠心など)で得るか、又は、cDNAクローニングで合成・単離することができる。あるいは、目的タンパク質のアミノ酸配列又はそれをコードするヌクレオチド配列が判明している場合には、DNA合成機を用いて化学的に合成することもできる。
上記核酸の無細胞タンパク質合成用反応液(以下、反応液ともいう)への添加濃度は、無細胞タンパク質合成用細胞抽出液のタンパク質合成活性、合成するタンパク質の種類等によって適宜設定することができるが、例えば、通常0.1〜10nM程度とされる。
上記無細胞タンパク質合成系におけるエネルギー源は、生体内でエネルギー源として利用される物質であれば特に限定はされないが、好ましくはATP,GTP,クレアチンリン酸等の高エネルギーリン酸結合を有する物質が挙げられる。また、当該エネルギー源の反応液への添加濃度は、無細胞タンパク質合成用細胞抽出液のタンパク質合成活性、合成するタンパク質の種類等によって適宜設定することができる。
本発明においては、タンパク質合成能を向上させる上で、無細胞タンパク質合成系にアンモニウム塩を添加することが好ましい。
アンモニウム塩としては、例えば酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられるが、酢酸アンモニウムが好ましい。アンモニウム塩の反応液への添加濃度は、20〜120mM、好ましくは20〜100mM、より好ましくは40〜80mMである。
上記反応液には、必要に応じて、ATP再生に関与する酵素(例えば、ホスホエノールピルベートとピルビン酸キナーゼの組み合わせ又はクレアチンホスフェートとクレアチンキナーゼの組み合わせ)、各種のRNAポリメラーゼ(T7、T3、及びSP6 RNA polymerase等)、タンパク質の三次元構造を形成する働きを持つシャペロンタンパク質類(例えば、DnaJ、DnaK、GroE、GroEL、GroES及びHSP70等)を添加してもよい。
また、上記反応液には、必要に応じて、非タンパク質性成分を補強することができる。非タンパク質性成分とは、もともと無細胞タンパク質合成用細胞抽出液中に含まれている成分であるが、別途添加することでタンパク質合成能を向上させることができる成分であり、例えばtRNAが挙げられる。
さらに、上記反応液は、必要に応じて、タンパク質やRNAの保護及び/又は安定化のための各種の添加剤を含有させてもよい。当該添加剤としては、例えば、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)阻害剤(胎盤RNaseインヒビター等);還元剤(ジチオトレイトール等);RNA安定化剤(スペルミジン等);プロテアーゼ阻害剤(フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)等)などが挙げられる。これらの反応液への添加濃度は、使用する無細胞タンパク質合成用細胞抽出液のタンパク質合成活性、合成する目的タンパク質の種類等に応じて適宜設定すればよい。
無細胞タンパク質合成には、従来から知られているバッチ法、透析法のいずれの方法を用いてもよい。
例えば、バッチ法を用いる場合、反応液には目的タンパク質をコードする核酸(好ましくはmRNA)、無細胞タンパク質合成用細胞抽出液、目的タンパク質の構成材料となる前記のアミノ酸混合物、ATP(アデノシン5’−三リン酸)、GTP(グアノシン5’−三リン酸)、CTP(シチジン5’−三リン酸)、UTP(ウリジン5’−三リン酸)、緩衝液、塩類、RNアーゼ阻害剤、抗菌剤のほか、必要によりT7RNAポリメラーゼなどのRNAポリメラーゼ(DNAを鋳型として用いる場合)、tRNAなどを含むことができる。その他、ATP再生系としてホスホエノールピルベートとピルビン酸キナーゼの組み合わせ又はクレアチンホスフェートとクレアチンキナーゼの組み合わせ、ポリエチレングリコール(例えば#8000)、3’,5’−cAMP、葉酸類、還元剤(例えばジチオトレイトール)などを含むことができる。
ここで、緩衝液としては、例えばHepes−KOH、Tris−OAcのような緩衝剤が使用できる。塩類としては、例えば酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、塩化カルシウムなどを用いることができ、抗菌剤としては、例えばアジ化ナトリウム、アンピシリンなどを用いることができる。
反応条件は、使用する無細胞タンパク質合成用細胞抽出液、合成する目的タンパク質等によって適宜設定すればよいが、温度は通常20〜40℃、好ましくは23〜37℃であり、時間は通常1〜5時間、好ましくは3〜4時間である。
また、透析法を用いて連続的に目的タンパク質を製造する場合、上記バッチ式の反応液を透析内液とし、反応液の5〜10倍容量の透析外液に対して透析を行い、生成した目的タンパク質を透析内液又は透析外液から回収する。透析外液は、透析内液組成から無細胞タンパク質合成用細胞抽出液、RNアーゼ阻害剤、目的タンパク質をコードする核酸、RNAポリメラーゼを除いたものが使用できる。従って、透析外液は、例えば、緩衝液、ATP、GTP、CTP、UTP、塩類、目的タンパク質の構成材料となる前記のアミノ酸混合物、ATP再生系としてホスホエノールピルベートとピルビン酸キナーゼ、抗菌剤などを含んでいればよい。
透析内液と透析外液を隔てる透析膜の分画分子量は、3,500〜100,000、好ましくは10,000〜50,000である。透析は、通常20〜40℃、好ましくは23〜37℃にて攪拌しつつ行い、定期的(通常24時間毎)に新しい外液と交換する。また、新たな核酸(好ましくはmRNA)を定期的(通常24時間毎)に反応液に補給してもよい。透析外液は反応速度が低下した時点で新鮮なものと交換することが望ましい。
透析は、透析膜を介して内液と外液とを隔離して含む振とう若しくは攪拌(回転攪拌など)可能な透析装置を用いて行うことができる。小スケール反応用装置としては、例えばDispoDialyzer(登録商標)(Spectrum社製)やSlidealyzer(登録商標)(Pierce社製)等を用いることができる。また、大スケール反応用装置としては、Spectra/Por(登録商標)透析用チューブ(Spectrum社製)等を用いることができる。また、振とう速度若しくは攪拌速度は低速、例えば100〜200rpmとし、反応時間は目的タンパク質の生成を監視しながら適当に選択することができる。
合成したタンパク質の精製は、生細胞からの分離と比べて混在する汚染物質の量及び種類が格段に少ないため、比較的容易に行うことができる。精製法としては、例えば硫酸アンモニウム若しくはアセトン沈殿、酸抽出、アニオン若しくはカチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト、等電点クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング等が挙げられ、精製はこれらの方法を当該タンパク質の性質に応じて単独に又は適宜組み合わせて行うことができる。また、当該タンパク質に予めタグと呼ばれるペプチド配列を付加させておき、タグを特異的に認識し吸着することを利用したアフィニティー精製法を用いることができる。当該精製法は、高純度のタンパク質を得る上で特に好ましい。当該タグとしては特に限定されないが、6×ヒスチジンタグ(6×His)、GSTタグ及びマルトース結合性タグ等が一般的である。
以上のようにして合成・精製されたタンパク質の同定及び定量は、活性測定、免疫学的測定、分光学的測定、アミノ酸分析などによって、必要に応じて標準サンプルと比較しながら行うことができる。
2.無細胞タンパク質合成系による安定同位体標識タンパク質の製造方法
本発明によればまた、無細胞タンパク質合成系において安定同位体標識タンパク質を製造する方法であって、該系にアンモニウム塩を添加し、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物を基質として用い、かつ、前記アンモニウム塩及び/又は前記混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていることを特徴とする、上記方法が提供される。
本方法は、無細胞タンパク質合成系にてNMR測定用試料となる安定同位体標識タンパク質を合成するための方法であって、アンモニウム塩を系に添加し、アンモニウム塩及び/又はアミノ酸混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されている以外は、上記1.と同様にして行えばよい。また、合成された安定同位体標識タンパク質は、NMR測定用試料のために前記の各種手段により精製すればよい。
ここで、アンモニウム塩としては、下記式で表されるアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)からアスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)への代謝系においてアンモニアのドナーとなり、アスパラギンとグルタミンの側鎖アミノ基に転じる作用を有する限り、特に限定はされない。例えば酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられるが、酢酸アンモニウムが好ましい。アンモニウム塩の反応液への添加濃度は、20〜120mM、好ましくは20〜100mM、より好ましくは40〜80mMである。また、安定同位体とは、H,15N等をいう。
アスパラギン酸,グルタミン酸の代謝
Figure 0004310378
Figure 0004310378
また、「アミノ酸混合物」とは、前記と同様に、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物をいい、具体的には、上記のアミノ酸群からグルタミンを除いた19種類のアミノ酸混合物、アスパラギンを除いた19種類のアミノ酸混合物、グルタミン、アスパラギンを除いた18種類のアミノ酸混合物などをいう。
アミノ酸混合物として、例えば18種類のアミノ酸混合物を用いる場合、18種類のアミノ酸単品をそれぞれ混合したものでもよく、或いは市販のAlgal mixtueを用い、これに含まれていないシステインやトリプトファン等のアミノ酸を適宜追加して18種類としたものでもよい。また、安定同位体とは、H,13C,15N等をいう。
蛋白質の構造解析においては、多種類の標識蛋白質が必要となる場合が多い。このような場合には、数種の標識アミノ酸を組み合わせた基質用アミノ酸混合物を用意することが望ましい。従って、アミノ酸混合物に含まれるアミノ酸は少なくとも1種が標識されていればよく、全種が標識されていてもよい。標識するアミノ酸の数及び種類は、解析対象となるタンパク質の種類、解析目的等により適宜選択すればよい。
3.安定同位体標識タンパク質合成用試薬キット
前述のとおり、安定同位体で標識されたアンモニウム塩は、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)を含まないアミノ酸混合物を基質として用いる無細胞タンパク質合成系によるタンパク質合成においてアスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)から代謝・生成したアスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)の側鎖を特異的に標識することができ、また非標識のアンモニウム塩を用いればアスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)の側鎖の標識を抑え、所望のアミノ酸の主鎖のみが標識された試料も調製することが可能となる。従って、安定同位体で標識された又は非標識のアンモニウム塩、好ましくは安定同位体で標識された又は非標識の酢酸アンモニムを、必要に応じて安定同位体で標識されたアミノ酸混合物とを適宜組み合わせ、無細胞タンパク合成系によるタンパク質製造に必要な他の成分とともに、安定同位体標識タンパク質合成用キットの形態で提供することができる。
例えば、本発明の安定同位体標識タンパク質合成用キットは、以下の成分:
(a)アンモニウム塩
(b)アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン、及びグルタミンから成る群から選択されるアミノ酸を多くとも19種類含むアミノ酸混合物
(c)無細胞タンパク質合成用細胞抽出液
を含み、かつ、前記アンモニウム塩及び/又は前記混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていることを特徴とする。
本キットにおいて、アミノ酸混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていてもよい。
また、アンモニウム塩の種類、アミノ酸混合物の意味については、2.に記載した通りである。
また、本キットには、ATP,GTP,CTP,UTPなどのリボヌクレオチド、基質溶液のpHを調節するための緩衝液などを含めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 18種類のアミノ酸を用いた無細胞タンパク質合成(バッチ法)
以下に示す組成の反応液(全量30μl)を37℃にて1時間インキュベートし、タンパク質合成反応を行った。なお、下記反応液において、「pK7−CAT」は、Kimら(1996)Eur.J.Biochem.239:881−886の記載に従って調製されたCAT発現ベクターである。
(バッチ法による無細胞タンパク質合成反応液組成)
HEPES−KOH(pH7.5) 60mM
ジチオスレイトール 1.8mM
ATP 1.3mM
CTP,GTP,UTP 各0.9mM
クレアチンリン酸 80mM
クレアチンキナーゼ(Roche製) 250μg/ml
ポリエチレングリコール8000 4.0%
3’,5’−cyclic AMP 0.66mM
L(−)−5−フォルミル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸 36μM
大腸菌トータルtRNA(MRE600、Roche製) 175μg/ml
酢酸アンモニウム 80mM
酢酸マグネシウム 10.7mM
20種類又はAsn,Glnを除く18種類のアミノ酸 1mM
T7 RNAポリメラーゼ 66.7μg/ml
大腸菌S30抽出液(Roche製) 7.2μl
0.2μg/ml鋳型DNA(pK7−CAT)
反応後、反応液を氷上において反応を停止させ、反応液中に含まれるCAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)タンパク質の定量を、Shaw(1975)Methods Enzymol,p.735−755に従い以下の方法で行った。すなわち、アセチルコエンザイムAとクロラムフェニコールを基質としてCATによるクロラムフェニコールのアセチル化反応を行い、その結果生じた還元型コエンザイムAを5,5’−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸(DTNB)を用いて発色定量した。37℃、412nmにおける吸光度の単位時間あたりの増加量よりCATの活性を定量し、これを指標としてCATタンパク質量を決定した。20種類又は18種類のアミノ酸を用いて合成したタンパク質量を比較したところ、それぞれ0.551mg、0.529mgで差がなかった(図1)。これにより、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)を除いた18種類のアミノ酸混合物でも無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質の合成が可能であることがわかった。
[実施例2] 酢酸アンモニウム濃度の検討(バッチ法)
上記のバッチ法による無細胞タンパク質合成反応液において種々の濃度の酢酸アンモニウムを用いる以外は実施例1と同様にしてタンパク質合成を行い、CATタンパク質量を定量した。結果を図2に示す。酢酸アンモニウムの濃度が増加するについてCATタンパク質量が増加し、80mMで最高値に達することがわかった。
[実施例3] 18種類のアミノ酸を用いた無細胞タンパク質合成(透析法)
(1)Rasタンパク質合成
下記(i)に示す透析内液に、鋳型DNAとしてRasタンパク質をコードする遺伝子を含む、配列番号1に示す塩基配列からなる1mg/mlの環状二本鎖DNA発現ベクター「pK7−NHis−Ras」を0.012ml加えて全量を3mlとし、この透析内液をDispoDialyzer CE(分子量限界10000若しくは50000:Spectrum社製)に入れ、下記(ii)に示す透析外液30ml中に浮遊させて試験管振とう培養液で30℃にて4時間振とうすることによってタンパク質合成を行った。
(透析法による無細胞タンパク質合成反応液組成)
(i)透析内液:
HEPES−KOH(pH7.5) 60mM
ジチオスレイトール 1.8mM
ATP 1.3mM
CTP,GTP,UTP 各0.9mM
クレアチンリン酸 80mM
クレアチンキナーゼ(Roche製) 250μg/ml
ポリエチレングリコール8000 4.0%
3’,5’−cyclic AMP 0.66mM
L(−)−5−フォルミル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸 36μM
大腸菌トータルtRNA(MRE600、Roche製) 175μg/ml
15N標識酢酸アンモニウム 80mM
酢酸マグネシウム 10.7mM
20種類又はAsn,Glnを除く18種類のアミノ酸 2mM
アジ化ナトリウム 0.05%
T7 RNAポリメラーゼ 66.7μg/ml
大腸菌S30抽出液(Roche製) 0.9ml
1mg/ml鋳型DNA(pK7−NHis−Ras)
(ii)透析外液:
HEPES−KOH(pH7.5) 60mM
ジチオスレイトール 1.8mM
ATP 1.3mM
CTP,GTP,UTP 各0.9mM
クレアチンリン酸 80mM
ポリエチレングリコール8000 4.0%
3’,5’−cyclic AMP 0.66mM
L(−)−5−フォルミル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸 36μM
15N標識酢酸アンモニウム 80mM
酢酸マグネシウム 10.7mM
20種類又はAsn,Glnを除く18種類のアミノ酸 2mM
アジ化ナトリウム 0.05%
(2)15N標識Rasタンパク質の精製
上述のようにして合成した15N標識Rasタンパク質の精製を行った。タンパク質の精製にはヒスチジンタグとニッケルの親和性を利用し、操作は4℃で行った。まず合成反応終了後、3mlの反応液を4.2mlの洗浄緩衝液[50mMリン酸ナトリウム(pH8.0)/300mM塩化ナトリウム/10mMイミダゾール]で希釈・回収し、1960×g,5分間遠心して沈殿を取り除いた。次に、得られた上清を0.8mlのNi−NTA樹脂(キアゲン社)に通して吸着させ、9.6mlの洗浄緩衝液を通すことで夾雑物を除去した。最後に4mlの溶出緩衝液[50mMリン酸ナトリウム(pH8.0)/300mM塩化ナトリウム/500mMイミダゾール]を通すことでサンプルを樹脂から遊離させた。以上の手順により,0.88mgの精製サンプルを得た。
(3)NMR測定試料の調製
精製サンプルをNMR測定に適した溶媒にするために、20mMリン酸ナトリウム(pH6.5)、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、5mM DTT、0.01重量%NaNからなる溶液に置換した。その後、サンプルを0.25ml(サンプル濃度0.28mM)まで濃縮した。以上の操作には限外ろ過装置(ビバスピン2;ザルトリウス社)を用いた。最後に0.03mlの重水を添加し、NMR測定用試料とした。
(4)NMR測定
NMR測定用のサンプル管にはシゲミ社の対称型ミクロ試料管(5mmプローブ用)を用いた。NMR測定は、700MHzのNMR装置(Avance700;ブルカー社)で、温度25℃のもとで行った。判定には、H−15N2次元HSQCスペクトル(以後15N HSQCスペクトルと略記)を用いた。その際の測定条件は、下記表1に示す通りである。
Figure 0004310378
NMR測定の結果、図3に示すように、15N HSQCスペクトルには6.5ppmから7.5ppmにわたって分離したアミノプロトンのシグナルが認められた。これらのシグナルの現れ方は、20種類の15N標識アミノ酸を用いて上記の透析法により調製した均一15N標識Rasタンパク質の15N HSQCスペクトル(図4)と比較し、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)の側鎖アミノ基に由来するピークに特徴的である。従って、得られたRasタンパク質においては、合成系に添加された安定同位体標識酢酸アンモニウムにより修飾されたアスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)の側鎖のみが標識されていることが明らかとなった。
[実施例4] 酢酸アンモニウム濃度の検討(バッチ法)
以下に示す組成の反応液(全量30μl)を用いてタンパク質合成反応を行った。なお、下記反応液において、「pQBI T7−GFP」は、GFP発現ベクターであり、WAKO Pure Chemical Industries,Ltd.より購入した。
(バッチ法による無細胞タンパク質合成反応液組成)
HEPES−KOH(pH7.5) 60mM
ジチオスレイトール 1.8mM
ATP 1.3mM
CTP,GTP,UTP 各0.9mM
クレアチンリン酸 80mM
クレアチンキナーゼ(Roche製) 250μg/ml
ポリエチレングリコール8000 4.0%
3’,5’−cyclic AMP 0.66mM
L(−)−5−フォルミル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸 36μM
大腸菌トータルtRNA(MRE600、Roche製) 175μg/ml
酢酸アンモニウム 0〜120mM
酢酸マグネシウム 10.7mM
20種類又はAsn,Glnを除く18種類のアミノ酸 1mM
T7 RNAポリメラーゼ 66.7μg/ml
大腸菌S30抽出液(Roche製) 7.2μl
2μg/ml鋳型DNA(pQBI T7−GFP)
上記反応液を37℃のヒートブロック上で1時間静置した。さらに、反応液を4℃にて24時間静置した後、PBSで20倍希釈し、GFPの蛍光強度を励起波長485nm、測定波長510nmにて測定した。データは反応液あたりの蛍光量で示した(図5)。
最大のGFP合成量が得られた酢酸アンモニウム濃度は20種類のアミノ酸、18種類のアミノ酸のいずれを用いた場合も共に40mMであった。
[実施例5] 18種類のアミノ酸を用いた無細胞タンパク質合成(バッチ法)におけるAsp,Gluの濃度、及び酢酸アンモニウム濃度の検討
以下に示す組成の反応液(全量30μl)を用いてタンパク質合成反応を行った。合成に用いた18種類のアミノ酸のうち、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)は通常の1.5倍の濃度(1.5mM)とした。
なお、下記反応液において、「pQBI T7−GFP」は、GFP発現ベクターであり、WAKO Pure Chemical Industries,Ltd.より購入した。
(バッチ法による無細胞タンパク質合成反応液組成)
HEPES−KOH(pH7.5) 60mM
ジチオスレイトール 1.8mM
ATP 1.3mM
CTP,GTP,UTP 各0.9mM
クレアチンリン酸 80mM
クレアチンキナーゼ(Roche製) 250μg/ml
ポリエチレングリコール8000 4.0%
3’,5’−cyclic AMP 0.66mM
L(−)−5−フォルミル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸 36μM
大腸菌トータルtRNA(MRE600、Roche製) 175μg/ml
酢酸アンモニウム 0〜120mM
酢酸マグネシウム 10.7mM
20種類のアミノ酸 各1mM
又はAsn,Glnを除く18種類のアミノ酸
Asp,Glu 各1.5mM
Asp,Gluを除く16種類のアミノ酸 各1mM
T7 RNAポリメラーゼ 66.7μg/ml
大腸菌S30抽出液(Roche製) 7.2μl
2μg/ml鋳型DNA(pQBI T7−GFP)
上記反応液を37℃のヒートブロック上で1時間静置した。さらに、反応液を4℃にて24時間静置した後、PBSで20倍希釈し、GFPの蛍光強度を励起波長485nm、測定波長510nmにて測定した。データは反応液あたりの蛍光量で示した(図6)。
最大のGFP合成量が得られた酢酸アンモニウム濃度は20種類のアミノ酸を用い場合では40mMであり、18種類のアミノ酸を用いた場合(アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)を通常の1.5倍の濃度(1.5mM)とした条件下)では60mMであった。また、18種類のアミノ酸を用いた場合のピーク時におけるGHP合成量は、20種類のアミノ酸を用いた場合と同程度であった。従って、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)を通常の1.5倍量添加することにより、従来の方法と同程度のアミノ酸合成量が得られることが示された。
[実施例6] 20種類又は18種類のアミノ酸を用いた無細胞タンパク質合成系(バッチ法)におけるタンパク合成量の比較
20種類のアミノ酸(各アミノ酸濃度1.0mM)又は18種類のアミノ酸(各アミノ酸濃度1.0mM、アスパラギン酸(Asp)とグルタミン酸(Glu)濃度1.5mM)をそれぞれ用い、酢酸アンモニウム濃度60mM条件下でGFPタンパク質、Rasタンパク質の合成をそれぞれ行った。
反応液組成を下記に示す。なお、下記反応液において、「pQBI T7−GFP」、「pK7−NHis−Ras」は、前述の通りである。
(バッチ法による無細胞タンパク質合成反応液組成)
HEPES−KOH(pH7.5) 60mM
ジチオスレイトール 1.8mM
ATP 1.3mM
CTP,GTP,UTP 各0.9mM
クレアチンリン酸 80mM
クレアチンキナーゼ(Roche製) 250μg/ml
ポリエチレングリコール8000 4.0%
3’,5’−cyclic AMP 0.66mM
L(−)−5−フォルミル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸 36μM
大腸菌トータルtRNA(MRE600、Roche製) 175μg/ml
酢酸アンモニウム 60mM
酢酸マグネシウム 10.7mM
20種類のアミノ酸 各1mM
又はAsn,Glnを除く18種類のアミノ酸
Asp,Glu 各1.5mM
Asp,Gluを除く16種類のアミノ酸 各1mM
T7 RNAポリメラーゼ 66.7μg/ml
大腸菌S30抽出液(Roche製) 7.2μl
2μg/ml鋳型DNA(pQBI T7−GFP又はpK7−NHis−Ras)
上記反応液を37℃のヒートブロック上で1時間静置した。SDS−PAGEにて分離後、抗GFP抗体(GFP)、又は抗HAT抗体(Ras)を用いてイムノブロット法によりタンパク質の検出を行った(図7)。両タンパク質ともに18種類のアミノ酸を用いた場合でも20種類のアミノ酸を用いた場合と同定度の合成量が得られた。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。
以上に示したように、無細胞タンパク質合成系においてアスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)を含まない18種類のアミノ酸混合物を基質として用いてタンパク質の合成を行っても、20種類のアミノ酸を用いたときと同等な活性を有するタンパク質を合成することができた。また、15Nにて標識したアンモニウム塩又は非標識のアンモニウム塩を無細胞タンパク質合成系に添加すると、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)の側鎖への標識を制御できた。従って、本発明は、安定同位体標識タンパク質を安価に製造することを可能とし、ハイスループットなタンパク質立体構造解析を行う上で非常に有用である。

Claims (8)

  1. 無細胞タンパク質合成系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなるアミノ酸混合物を基質として用いてタンパク質を合成することを特徴とする、タンパク質の製造方法。
  2. 無細胞タンパク質合成系に、アンモニウム塩を添加することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  3. アンモニウム塩を20〜120mMの最終濃度となるように添加することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  4. アンモニウム塩が酢酸アンモニウムである、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 無細胞タンパク質合成系において安定同位体標識タンパク質を製造する方法であって、該系にアンモニウム塩を添加し、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなるアミノ酸混合物を基質として用い、かつ、前記アンモニウム塩及び/又は前記混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていることを特徴とする、上記方法。
  6. アンモニウム塩が酢酸アンモニウムである、請求項に記載の方法。
  7. 以下の成分:
    (a)アンモニウム塩
    (b)アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなるアミノ酸混合物
    (c)無細胞タンパク質合成用細胞抽出液
    を含み、かつ、前記アンモニウム塩及び/又は前記混合物中のアミノ酸の少なくとも1種が安定同位体で標識されていることを特徴とする、安定同位体標識タンパク質合成用試薬キット。
  8. アンモニウム塩が酢酸アンモニウムである、請求項に記載のキット。
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