JP2011122043A - 新規樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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幹弘 新内
Akira Ito
顕 伊東
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Abstract

【課題】ジアリールカーボネート又はポリカーボネートと特定のオキシメチレン共重合体からなる高分子量で高強度の樹脂およびその製造方法を提供する。
【解決手段】エステル交換触媒の存在下で、ジアリールカーボネートまたはポリカーボネートとコモノマー量がオキシメチレン共重合体100重量部に対して5.0〜50重量部であるオキシメチレン共重合体を溶融混練して製造した樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジアリールカーボネートまたはポリカーボネートとオキシメチレン共重合体からなる樹脂およびその製造方法に関する。
オキシメチレン共重合体は、機械的特性、熱的特性、電気的特性、摺動性、および成形性等において優れた特性を持っており、構造材料や機構部品等として電気機器、自動車部品、および精密機械部品等に広く使用されている。
一般的にオキシメチレン共重合体は、ホルムアルデヒドまたはその環状オリゴマーであるトリオキサンやテトラオキサンとこれらと共重合可能なモノマーとを共重合させて得られる。しかし、このプロセスで高分子量のオキシメチレン共重合体を得ようとした場合には、メルトインデックスが非常に小さいことから、重合工程において所要動力が大きく変動したり、更には押出工程でも所要動力や樹脂温度の制御のために生産性が著しく低下するなどの問題がある。
また、重合時に分子量調節剤を用いることで、メルトインデックスを調節することができるが、高分子量のオキシメチレン共重合体を得ようとした場合には、分子量調節剤の添加量には限界がある。さらに、このプロセスにおいて、ターモノマーを加えた架橋、分岐などの重合変性によるオキシメチレン共重合体の物性改良等が行われるが、得られた樹脂のメルトインデックスが非常に小さい場合には、前記と同様の問題点を有することとなる。
近年、重合工程よりも後工程において、鎖連結剤を用いてポリオキシメチレンを高分子量化する方法が報告されている。例えば特許文献1では、ポリオキシメチレンおよび共成分を鎖連結したマルチブロックポリマーについて開示されている。しかしマルチブロックポリマー化による耐衝撃性の付与について報告されているが、オキシメチレン共重合体のコモノマー含有量や末端基の構造の得られた樹脂への効果については具体的に述べられていない。
特表2007−504332号公報
本発明は、ジアリールカーボネートまたはポリカーボネートと特定のオキシメチレン共重合体からなる高分子量で高強度の樹脂およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エステル交換触媒の存在下で、ジアリールカーボネートまたはポリカーボネートとオキシメチレン共重合体を溶融混練することで、高分子量で靭性に優れた樹脂が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明により、高分子量で靭性に優れた樹脂を製造することが出来る。
本発明において使用するオキシメチレン共重合体は、下記式(1)で表される構造を有する重合体であり、コモノマー量は好ましくは、5〜50重量部である。
Figure 2011122043

(式中、R0,R0‘は同一または異なっても良く、水素原子、アルキル基またはフェニル基を示す。mは2〜6の整数を示す。)
式(1)のオキシアルキレン単位としては、好ましくはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位が挙げられる。
本発明におけるオキシメチレン共重合体としては、例えば、ホルムアルデヒドまたはその3量体(トリオキサン)、並びに、その4量体(テトラオキサン)と、エチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリキソカン、グリコールのホルマール、ジグリコールのホルマール等の炭素数2〜8の環状エーテルから製造されるオキシアルキレン単位構造を含有するオキシメチレンコポリマーが挙げられる。また、本発明で謂うコポリマーとは、2元共重合体のみならず、多元共重合体も含み、例えば、上記アセタールコポリマーに、更にオキシメチレン単位、オキシアルキレン単位以外のブロック構造を有するオキシメチレンブロックコポリマー、または、オキシメチレングラフトポリマー等を広く用いることができる。
本発明の樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の添加剤および/または充填剤を添加することが可能であり、また、オキシメチレン共重合体の製造時にこれらを添加しても良い。添加剤としては、例えば結晶核剤、発泡核剤、酸化防止剤、可塑剤、艶消し剤、潤滑剤、離型剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、カルボキシル基との反応性化合物、消臭剤、難燃剤、摺動剤、香料、抗菌剤等が挙げられる。
溶融混練後の樹脂の着色を防止するためには、ホウ酸化合物を添加することが好ましい。ホウ酸化合物の添加量は、オキシメチレン共重合体100重量部に対して0.001〜1重量部添加することが好ましい。より好ましくは、0.005〜0.3重量部である。添加量が過少の場合は、所望の効果が充分得られず、また過大であると、酸性度が増してポリオキシメチレン共重合体の主鎖分解による分子量低下を引き起こしたり、熱安定性に問題が生じる。
ホウ酸化合物の添加方法としては、特に限定されないが、ジアリールカーボネートまたはポリカーボネートの添加時に添加することが好ましい。オキシメチレン共重合体に直接添加した場合には、ポリオキシメチレン共重合体の酸性度が増すため、ポリオキシメチレン共重合体および得られた樹脂の分子量低下を招く可能性がある。
ホウ酸化合物としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、三酸化ニホウ素、ピロホウ酸、無水ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリ土類金属ホウ酸塩が挙げられる。
また、充填剤としてはガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカー等が挙げられる。さらに、顔料、染料を加えて所望の色目に仕上げることも可能である。また、各種モノマー、末端処理剤、その他の樹脂、木粉、でんぷん等を加えて変性することも可能である。
オキシメチレン共重合体との共重合成分としては、ジアリールエステルが好ましく用いることができ、例として炭酸ジフェニル、シュウ酸ジフェニルが挙げられる。中でも炭酸ジフェニルがより好ましく用いることができる。ポリカーボネートは、1以上のジヒドロキシ芳香族化合物のエステル交換で製造されたポリカーボネート、またはジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物のエステル交換で製造されたポリカーボネートを用いることができる。中でも、ジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物のエステル交換で製造された数平均分子量1 0 0 0 〜 5 0 0 0のポリカーボネートオリゴマーを好適に用いることができる。中でも、ターシャリーブチルフェノール末端基またはメチルサリチル末端基またはプロピルサリチル末端基またはベンジルサリチル末端基を有するポリカーボネートオリゴマーを好適に用いることができる。特に好ましくは、ターシャリーブチルフェノール末端基またはメチルサリチル末端基を有するポリカーボネートオリゴマーである。共重合成分の添加量は、オキシメチレン共重合体の−OH末端基mol数に対して0.001倍mol〜5倍mol添加することが好ましく、より好ましくは0.01倍mol〜2倍molである。
エステル交換触媒としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシド、四級アンモニウム化合物、第四ホスホニウムイオン、及びこれらの混合物を用いることができるが、好ましくはアルカリ金属アルコキシドを用いることができる。エステル交換触媒の添加量は、オキシメチレン共重合体100重量部に対して0.001〜1重量部添加することが好ましい。より好ましくは、0.005〜0.1重量部である。添加量が過少の場合は、エステル交換反応が充分進まず、また反応が遅延する。また過大であると、得られた樹脂が着色したり、熱安定性に問題が出る可能性がある。また、溶融混練後の樹脂の着色を防止するためにホウ酸化合物を用いる場合には、エステル交換触媒との拮抗作用が考えられるため、上述よりも多量のエステル交換触媒を随時使用することができる。
本発明の樹脂を製造するに際しては、予めオキシメチレン共重合体を溶融混練し、オキシメチレン共重合体が溶融状態で共成分を添加時することが好ましく、エステル交換触媒はオキシメチレン共重合体の溶融混練時に添加しても、共成分添加時に添加しても良い。
混合装置については特に限定されるものではないが、押出機を用いて混合する方法が短時間で連続的に処理できる点で工業的には推奨される。混合時の温度は100℃以下では樹脂の溶融粘度が高いか、または溶融しないため、具体的には100℃から300℃の範囲が好適である。300℃以上では樹脂の熱分解が起こるため好ましくない。300℃以下であっても高温下での着色や劣化、熱分解等を防止するために窒素雰囲気下で短時間に混合することが好ましい。具体的な混合時間としては20分以内が推奨される。また、樹脂中のオリゴマー、残存モノマー、発生ガス等の除去のためにベント口を設置して減圧下に混合することが好ましい。特に、発生ガスを効率的に除去することで、より短時間の混合で所望の樹脂が得られる。
本発明にて得られる樹脂は、高分子量で靭性に優れた着色の少ない樹脂であるため延伸材料用途等に有用である。
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでない。なお、実施例、比較例中の用語および測定方法を以下に示す。
メルトインデックス(MI)の測定:ASTM−D1238に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定した。
試験片の成形:90℃で2時間予備乾燥したペレットを、ISO 294−1の方法に従い試験片を成形し、成形後のテストピースは、温度23±2℃、相対湿度50±5%の室内で48時間以上状態で調節した後、引張試験に供した。
引張特性試験:ISO 527−1、ISO 527−2の方法に従って、測定温度23℃、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minの条件で引張破断伸び(標線間)、引張り強度(降伏点)を測定した。
色度の測定:色度計(日本電色工業株式会社社製、型式SE-2000)を用いて測定した。
カップリング剤の添加方法:オキシメチレン共重合体およびエステル交換触媒のみを予め溶融混練し、カップリング剤とホウ酸化合物を後から添加した場合を「後添加」、オキシメチレン共重合体、エステル交換触媒、カップリング剤およびホウ酸化合物を同時に添加した場合を「一斉添加」と表記した。
〈実施例1〜6、比較例1〜4〉
材料(1):オキシメチレン共重合体。
POM1:アセタールコポリマー[コモノマー量は樹脂に対して13重量部、メルトインデックス(12.0g/10分)]
POM2:アセタールコポリマー [コモノマー量は、樹脂に対して4重量部、メルトインデックス(27.0g/10分)]
材料(2):ジアリールカーボネート
炭酸ジフェニル(DPC、東京化成工業社製)
材料(3):ポリカーボネート
PC1:ポリカーボネート(三菱瓦斯化学製ユーピロンH4000)
PC2: ターシャリーブチルフェノール末端のポリカーボネート7量体オリゴマー(三菱瓦斯化学製ユーピロンAL)
PC3:メチルサリチル末端のポリカーボネート7量体オリゴマー
材料(4)エステル交換触媒
ナトリウムメトキシド(東京化成工業社製、添加量0.02phr)
材料(5)ホウ酸化合物
ホウ酸(オルトホウ酸、和光純薬工業社製、添加量0.01phr)

小型ミキサ(株式会社東洋精機製作所社製、商品名ラボプラストミル)を用い、上記の各材料を表1に示す組成に従い、220℃で溶融混練した。こうして得られた樹脂を用いてメルトインデックスを測定し、得られた樹脂を射出成形機で成形し、機械物性を測定した。結果を表1に示した。

Figure 2011122043

Claims (7)

  1. エステル交換触媒の存在下、コモノマー量がオキシメチレン共重合体100重量部に対して5.0〜50重量部であるオキシメチレン共重合体とジアリールカーボネートを溶融混練して得られる樹脂。
  2. ジアリールカーボネートが炭酸ジフェニルである請求項1記載の樹脂。
  3. エステル交換触媒の存在下で、コモノマー量がオキシメチレン共重合体100重量部に対して5.0〜50重量部であるオキシメチレン共重合体とポリカーボネートを溶融混練して得られる樹脂。
  4. ポリカーボネートが数平均分子量1 0 0 0 〜 5 0 0 0のポリカーボネートオリゴマーである請求項3記載の樹脂。
  5. 数平均分子量1 0 0 0 〜 5 0 0 0のポリカーボネートオリゴマーの末端基がターシャリーブチルフェノール末端基、メチルサリチル末端基、プロピルサリチル末端基またはベンジルサリチル末端基であることを特徴とする請求項3記載の樹脂。
  6. 下記(1)又は(2)の方法による請求項1記載の樹脂の製造方法。
    (1)溶融混練したオキシメチレン共重合体に、ジアリールカーボネートおよびエステル交換触媒を加え溶融混練する。
    (2)溶融混練したエステル交換触媒とオキシメチレン共重合体に、ジアリールカーボネートを加え溶融混練する。
  7. 下記(1)又は(2)の方法による請求項3記載の樹脂の製造方法。
    (1)溶融混練したオキシメチレン共重合体に、ポリカーボネートおよびエステル交換触媒を加え溶融混練する。
    (2)溶融混練したエステル交換触媒とオキシメチレン共重合体に、ポリカーボネートを加え溶融混練する。
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