JP2016141734A - ポリアセタール樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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裕美 奥井
小林 大介
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大介 小林
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Akira Ito
顕 伊東
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Abstract

【課題】剛性(耐衝撃性)、靱性、熱安定性及び耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物、並びにその成形体の提供。
【解決手段】ポリアセタール樹脂(A)100質量部、並びにポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドから選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を合計で0.01〜10.0質量部、含むポリアセタール樹脂組成物であって、JISZ8802に記載されたpH測定方法で測定した前記成分(B)の5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内であるポリアセタール樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的特性、熱的特性、電気的特性、摺動性及び成形性等において優れた特性を持っており、構造材料や機構部品等として電気機器、自動車部品及び精密機械部品等に広く使用されている。しかし、ポリアセタール樹脂は単独では熱安定性に乏しく、ポリマー末端からの解重合反応や熱分解反応による主鎖切断によって容易に分解することが知られている。また、分解反応で生じたホルムアルデヒドの酸化反応によってギ酸が生成し、ポリアセタール樹脂の分解反応が促進される。このため、ポリアセタール樹脂を含有する、樹脂組成物、ペレット及び成形品の熱安定性向上、並びにホルムアルデヒドの発生抑制を目的に、従来から各種添加剤の検討が行われている。熱安定性向上及びホルムアルデヒド発生抑制の手法としては、従来から、アミノ置換トリアジン化合物、ヒンダードアミン化合物等の窒素含有化合物などの添加が行われている。
また、市場には、用途に応じて、剛性(耐衝撃性)、靭性等に優れたポリアセタール樹脂組成物が供給されている。これら剛性(耐衝撃性)、靭性等に優れたポリアセタール樹脂組成物には、通常、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、熱可塑性エラストマー、コアシェルポリマーなどが添加されている。
例えば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂へポリアルキレングリコールを添加することにより、シャルピー衝撃試験における衝撃強度が高くなることが開示されている。また、特許文献2には、ポリアセタール樹脂へ特定の分子量を有するポリエチレングリコールを添加することにより、引張り強度(靭性)が向上することが開示されている。また、特許文献3には、ポリアセタール樹脂へポリアルキレンオキシドなどの脂肪族ポリエーテル化合物を添加することで、衝撃引張り強度が向上することが開示されている。
特開2005−344027号公報 特開2012−162589号公報 特公昭50−33095号公報 特開2005−232404号公報 特開2008−024947号公報 特開2009−286961号公報
ポリアセタール樹脂が使用される分野(例えば、水周り用の部品)の拡大に伴い、上述した剛性(耐衝撃性)、靭性だけではなく、熱安定性、更には耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物が要求されている。
また、ポリアルキレングリコールは、上述した剛性(耐衝撃性)、靭性以外の他の効果を目的に、ポリアセタール樹脂に添加されることが知られている。例えば、特許文献4には、ポリアルキレングリコールの添加は成形時の離型性を向上させることが開示されている。また、特許文献5は、特定の分子量のポリエチレングリコールをアミン置換トリアジン化合物と併用することにより、成形後の長時間放置や高温雰囲気下における収縮異方性が極めて低くなることを開示している。さらには、特許文献6には、ポリアルキレングリコールの添加により成形体の表面外観が改善されることが開示されている。
しかし、ポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドの添加が、剛性(耐衝撃性)、靭性だけではなく、熱安定性、更には耐湿熱性に優れる効果を示すことについては、十分な開示はない。
即ち、本発明は、実用上十分な剛性(耐衝撃性)、靱性と、熱安定性を併せ持つポリアセタール樹脂組成物を提供することを課題とする。特に、耐湿熱性に優れ、水及び/又は水蒸気と接触する部材として好適なポリアセタール樹脂組成物及びその成形体を提供することである。
本発明者等は上記課題について鋭意検討した結果、特定の範囲のpHを有する、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類または2種類以上の成分を、特定量、ポリアセタール樹脂に配合したポリアセタール樹脂組成物が、剛性(耐衝撃性)、靱性、及び熱安定性に優れることを見出し、特に、このようなポリアセタール樹脂組成物が、耐湿熱性にも優れ、水及び/又は水蒸気と接触する部材として好適であることを知り、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下である。
(1)ポリアセタール樹脂(A)100質量部、並びにポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を合計で0.01〜10.0質量部、含むポリアセタール樹脂組成物であって、JIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した前記成分(B)の5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内である、ポリアセタール樹脂組成物。
(2)前記成分(B)が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、及びポリテトラメチレンエーテルグリコールから選択される1種類以上である、(1)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(3)前記成分(B)の数平均分子量が、5000〜1000000である、(1)又は(2)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(4)前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する、前記成分(B)の含有量が、合計で0.02〜5.0質量部である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
(6)水及び/又は水蒸気と接触する、水廻り部品、食品用又は医療用の設備、及び容器である、(5)に記載の成形体。
(7)ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を合計で0.01〜10.0質量部を添加して、溶融混練するポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、JIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した前記成分(B)の5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内である、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、剛性(耐衝撃性)、靱性、及び熱安定性に優れる。本発明のポリアセタール樹脂組成物は特に耐湿熱性に優れているため、その成形体は、水及び/又は水蒸気と接触する、水廻り部品、食品用又は医療用の設備、及び容器などとして好適に使用できる。
<ポリアセタール樹脂(A)>
以下、本発明のポリアセタール樹脂組成物について詳しく説明する。本発明におけるポリアセタール樹脂(A)は、アセタール構造:(−O−CRH−)(ここで、Rは、水素原子、有機基を示す)を繰り返し単位に有する高分子であり、通常はRが水素原子であるオキシメチレン基(−OCH−)を主たる構成単位とするものである。本発明に用いるポリアセタール樹脂は、この繰り返し単位のみからなるアセタールホモポリマー以外に、前記オキシメチレン基以外の繰り返し構成単位を1種以上含むコポリマー(ブロックコポリマー)やターポリマー等も含み、更には線状構造のみならず、グリシジルエーテル化合物、エポキシ化合物、アリルエーテル化合物などをコモノマー及び/又はターモノマーに用いることで生成する分岐、架橋構造を有していてもよい。前記オキシメチレン基以外の構成単位としては、例えば、オキシエチレン基(−OCHCH−又は−OCH(CH)−)、オキシプロピレン基(−OCHCHCH−、−OCH(CH)CH−又は−OCHCH(CH)−)、オキシブチレン基(−OCHCHCHCH−、−OCH(CH)CHCH−、−OCHCH(CH)CH−、−OCHCHCH(CH)−、−OCH(C)CH−又は−OCHCH(C)−)等の炭素数2以上10以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられる。中でも炭素数2以上4以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基(−OCHCH−)が特に好ましい。またこの様な、オキシメチレン基以外のオキシアルキレン構成単位の含有量としては、ポリアセタール樹脂中において0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましい。
本発明におけるポリアセタール樹脂(A)の製造方法は任意であり、従来公知の任意の方法によって製造すればよい。例えば、オキシメチレン基と、炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアセタール樹脂の製造方法としては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチレン基の環状アセタールと、エチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキソカン、1,3−ジオキセパン等の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を含む環状アセタールとを共重合することによって製造することができる。中でも本発明に用いるポリアセタール樹脂(A)としては、トリオキサンやテトラオキサン等の環状アセタールと、エチレンオキシド又は1,3−ジオキソランとの共重合体であることが好ましく、中でもトリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体であることが特に好ましい。
例えば、本発明のポリアセタール樹脂(A)は、オキシメチレン基の環状アセタールと、コモノマーである炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を含む環状アセタールとを、重合触媒を用いて塊状重合させる方法で得ることができる。重合触媒及び重合成長末端の失活処理のために、必要に応じて反応停止剤を用いてもよい。また、ポリアセタール樹脂(A)の分子量調節のために、必要に応じて分子量調節剤を用いてもよい。本発明のポリアセタール樹脂(A)の製造に用いることができる重合触媒、反応停止剤、分子量調節剤の種類や量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいては特に限定されるものではなく、従来公知の任意の重合触媒、反応停止剤、分子量調節剤を適宜使用することができる。
前記重合触媒としては特に限定されるものではないが、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、及び五フッ化アンチモンなどのルイス酸、並びにこれらルイス酸の錯化合物または塩化合物が挙げられる。また、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸などのプロトン酸;パークロル酸と低級脂肪族アルコールのエステルなどのプロトン酸のエステル;パークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物などのプロトン酸の無水物なども挙げられる。このほかに、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート、ヘテロポリ酸またはその酸性塩、イソポリ酸またはその酸性塩、パーフルオロアルキルスルホン酸またはその酸性塩などが挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素を含む化合物が好ましく、エ−テル類との配位錯体である三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートが特に好ましい。
前記重合触媒の使用量は特に限定されるものではないが、トリオキサンとコモノマーの合計の全モノマー1molに対して、通常1.0×10−8〜2.0×10−3molであり、好ましくは5.0×10−8〜8.0×10−4mol、特に好ましくは5.0×10−8〜1.0×10−4molの範囲である。
前記反応停止剤としては特に限定されるものではないが、例えば、三価の有機リン化合物、アミン化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。これらの反応停止剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、三価の有機リン化合物、三級アミン、ヒンダードアミンが好ましい。
前記反応停止剤の使用量は、重合触媒を失活させるのに十分な量であれば特に制限はないが、重合触媒に対するモル比として、通常1.0×10−1〜1.0×10の範囲である。
前記分子量調節剤としては特に限定されるものではないが、例えば、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテルなどが挙げられる。中でもメチラールが好ましい。これらの分子量調節剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜決められる。通常、全モノマーに対して0〜0.1質量%の範囲で添加量が調整される。
<ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される成分(B)>
本発明においては、JIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)の、5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内であることが必須である(以下、本明細書では、「ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)」を単に、「成分(B)ということもある」)。通常、上述の方法で測定される、市販のポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドのpH値は、製品の種類、製品の保存状態や保存期間によって2.0〜12.0の範囲であるが、上述したpH値が6.0以上であれば、成分(B)の添加による優れた剛性(耐衝撃性)、靭性(引張伸度)とともに、熱安定性、耐湿熱性にも優れたポリアセタール樹脂組成物が得られる。pH値の上限は、剛性(耐衝撃性)、靭性、熱安定性などの物性から制限されるものではないが、一般に、入手が容易なポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドのpH値の上限は12.0である。上述したpH値が6.0〜8.0の範囲内であると、優れた剛性(耐衝撃性)、靭性(引張伸度)とともに、特に優れた熱安定性、耐湿熱性を有するポリアセタール樹脂組成物が得られるので、より好ましい。
本発明における成分(B)として用いられるポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドの種類は特に限定されない。ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドの付加重合によって得られるオリゴマー又はポリマーが好適に使用できる。このようなポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドとしては、例えば、両末端がヒドロキシル基であるジオール型、分岐構造を有し分岐鎖の末端がヒドロキシル基であるトリオール型やテトラオール型、末端のヒドロキシル基のうち少なくとも1つが、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソトリデシル基であるアルキルエーテル型、更には末端のヒドロキシル基のうち少なくとも1つがビニル基を有する化合物で変性された、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドが使用できる。中でも、両末端がヒドロキシル基である、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが、ポリアセタール樹脂組成物の剛性(耐衝撃性)、靱性、及び熱安定性、耐湿熱性が優れるため好ましい。更には、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドが、ポリアセタール樹脂組成物の剛性(耐衝撃性)、靱性、及び熱安定性、耐湿熱性が特に優れるので、特に好ましい。上記したポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドは、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。すなわち、成分(B)は、1種類のポリアルキレングリコールであってよく、あるいは1種類のポリアルキレンオキシドであってもよい。また、2種類以上のポリアルキレングリコールを組み合わせて用いてもよく、2種類以上のポリアルキレンオキシドを組み合わせて用いてもよい。その際のポリアルキレングリコール又はポリアルキレンオキシドの組成比は任意であってよい。更には、ポリアルキレングリコールとポリアルキレンオキシドをそれぞれ1種類以上組み合わせて用いてもよい。その際のポリアルキレングリコールとポリアルキレンオキシドの組成比は任意であってよい。
一般に、ポリアセタール樹脂へのポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドの添加は、剛性(耐衝撃性)や靭性といった機械的特性の向上には効果を示すことが知られているが、熱安定性や耐湿熱性の点では、常に優れた性能を発揮するものではなく、通常、他の熱安定剤と併用する必要があった。その理由は次のように説明できる。上述したように、市販のポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドの水溶液のpH値は、その保存状態や保存期間によって2.0〜12.0の範囲である。これは、例えば、ポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドは、製造直後における水溶液のpH値は7〜8であるが、保存状態や保存期間によっては、ポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドの分解によって酸性化が進んでしまうことによる。他方、ポリアセタール樹脂は、酸成分と接触すると分解しやすい性質がある。即ち、酸性化が進んでしまったポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドをポリアセタール樹脂に添加した場合は、剛性(耐衝撃性)や靭性といった機械的特性は向上するものの、その酸成分によって分解しやすいため、熱安定性や耐湿熱性に劣ることになる。
このため、本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造に使用できる成分(B)は、上述したようにJIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内の成分(B)である。
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造に使用できる成分(B)の態様としては、特に限定されるものではないが、次のような態様が挙げられる。第1の態様としては、製造直後であって前記pH値が6.0〜12.0の範囲内の成分(B)が挙げられる。第2の態様としては、前記pH値が6.0〜12.0の範囲内を保つように保管した成分(B)が挙げられる。その際の成分(B)の保管方法は、ポリアセタール樹脂組成物の製造に用いるまでの期間、上述のpH値が6.0〜12.0の範囲内を保つことができれば、特に限定されるものではない。例えば、酸化による酸性化を防ぐ目的で酸化防止剤などの成分を添加してもよく、酸化で生じた酸成分を中和する目的で塩基成分や酸捕捉剤などの成分を添加してもよい。また、酸化を防ぐ目的で不活性ガスの存在下や冷暗所で保管してもよい。さらに第2の態様においては、pH値の測定管理を行い、酸性化してpH値が6.0未満となる前にポリアセタール樹脂組成物の製造に使用しても良く、ポリアルキレングリコールやポリアルキレンオキシドの製造から使用までの期限を決めて、ポリアセタール樹脂組成物の製造に使用しても良い。第2の態様における保管期間は、保管環境に影響されるので特に限定されるものではないが、年平均気温が0〜30℃の環境で、1日以上1年未満が好ましく、1日以上60日以下がより好ましい。第3の態様としては、ポリアセタール樹脂組成物の製造の際、前記pH値が6.0未満となった成分(B)に前記pH値が高い成分(B)を添加して、前記pH値が6.0〜12.0の範囲内となるように調整した成分(B)が挙げられる。
本発明における前記成分(B)の添加量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して通常0.01〜10.0質量部であり、好ましくは0.02〜5.0質量部、より好ましくは0.05〜3.0質量部である。なお、ここでいう成分(B)の添加量は、成分(B)を構成するポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドの合計量である。成分(B)の添加量が、0.01質量部以上であれば、ポリアセタール樹脂組成物の剛性(耐衝撃性)、靭性(引張伸度)が良好である。成分(B)の添加量が10.0質量部以下であればブリードも無く、成分(B)の添加量に応じた、剛性(耐衝撃性)、靭性、熱安定性、耐湿熱安定性を有するポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
本発明における前記成分(B)の数平均分子量は特に限定されないが、通常3000以上であり、5000以上1000000以下が好ましく、5000以上500000以下が特に好ましい。数平均分子量が3000以上であれば、成形品表面のブリードが少なく外観が良好である。また、数平均分子量が5000以上500000以下であれば、成形品外観が優れ、ポリアセタール樹脂組成物の剛性(耐衝撃性)、靭性が優れる。なお、成分(B)の数平均分子量とは、成分(B)を構成するポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドの合計における数平均分子量のことである。
前記成分(B)を構成するポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドの個々の数平均分子量は、特に限定されるものではない。ただ、上述した成分(B)を構成するポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドの合計における数平均分子量が、上述の範囲になるような数平均分子量であるのが好ましい。したがって、前記成分(B)を構成するポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドの個々の数平均分子量は、通常、3000以上であり、5000以上1000000以下が好ましく、5000以上200000以下が特に好ましい。
<その他の添加物>
また、本発明を実施するとき、本発明のポリアセタール樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲内で、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、アミノ置換トリアジン化合物、リン系安定剤、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、又はアルコキシドからなる群で示される金属含有化合物を添加することができる。
前記ヒンダードフェノール化合物の種類は特に限定されないが、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−チオジエチル−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を挙げることができる。これらのヒンダードフェノール化合物は、1種類を単独で用いてよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのヒンダードフェノール化合物は、酸化防止剤として使用される。
前記ヒンダードフェノール化合物の添加量は特に限定されないが、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5.0質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
前記ヒンダードアミン化合物の種類は特に限定されないが、例えば、N,N’,N”,N’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF,Chimassorb(登録商標) 2020 FDL)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ)ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物(BASF,Tinuvin(登録商標) 622 SF)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及び1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。その中でも、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物が好ましい。上記したヒンダードアミン化合物は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのヒンダードアミン化合物は、光安定剤、酸化防止剤として使用される。
前記ヒンダードアミン化合物の添加量は特に限定されないが、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5.0質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
前記アミノ置換トリアジン化合物の種類は特に限定されないが、例えば、グアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンなどのメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのアルキル化メラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アメリン(N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)などが挙げられる。中でも、メラミン、メチロールメラミン、アルキル化メラミン、ベンゾグアナミン、及び水溶性のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。これらのアミノ置換トリアジン化合物は、熱安定剤として用いられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物の添加量は特に限定されないが、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5.0質量部が好ましく、0.01〜3.0質量部がより好ましく、0.015〜2.0質量部が特に好ましい。
前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、又はアルコキシドからなる群で示される金属含有化合物における無機酸塩としては、リン酸塩、ケイ酸塩、ほう酸塩などが挙げられ、アルコキシドとしてはメトキシド、エトキシドなどが挙げられる。これらの中で好ましいものは、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、アルコキシドであり、より好ましいものは、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、または炭酸マグネシウムである。
前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、又はアルコキシドからなる群で示される金属含有化合物の少なくとも1種類の添加量は特に限定されるものではないが、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、通常0.001〜5.0質量部、好ましくは0.01〜3.0質量部である。
また、本発明を実施するとき、本発明のポリアセタール樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲内で、上記した成分の他に、必要に応じてその他の安定剤、核化剤、離型剤、充填剤、顔料、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤などの各種添加剤、他の樹脂、エラストマーなどを適宜添加してもよい。充填剤としてはガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ウオラストナイト、マイカ、タルク、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化珪素、クレー、アスベスト、シリカ、ケイソウ土、グラファイト、二硫化モリブデンなどの鉱物質充填剤及びガラス繊維、ミドルファイバー、チタン酸カリウム繊維、ポロン繊維などの無機繊維、並びに炭素繊維、アラミド繊維に代表される有機繊維、チタン酸カリウムウィスカー、さらに、カーボンブラック、顔料等を挙げることができる。
<ポリアセタール樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、上述したポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、JIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した前記成分(B)の5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内である、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を合計で0.01〜10.0質量部を添加して、溶融混練する方法であれば、特に限定されるものではない。即ち、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、上述したポリアセタール樹脂(A)と、前記pH値の範囲内である所定量のポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)、及び必要に応じて添加されるその他の成分(ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、又はアルコキシドからなる群で示される金属含有化合物など)を、任意の順序で混合、混練することによって製造できる。混合・混練の温度、圧力等の条件は、従来公知のポリアセタール樹脂組成物の製造方法にしたがって適宜選択すればよい。例えば、混練はポリアセタール樹脂(A)の溶融温度以上で行えばよく、通常は180℃以上260℃以下で行うのが好ましい。ポリアセタール樹脂組成物の製造装置も特に限定されるものではなく、従来からこの種の樹脂組成物の製造に用いられている混合、混練装置を用いることができる。
具体的には、例えば、ポリアセタール樹脂(A) に対して、前記pH値の範囲内である所定量のポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)と、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、又はアルコキシドからなる群で示される金属含有化合物などの任意の成分とを、同時に又は任意の順序で添加し、所望により更に他の添加剤等を添加した後、タンブラー型ブレンダー等によって混合する。次いで得られた混合物を1 軸又は2 軸押出し機で溶融混練してストランド状に押出し、ペレット化することにより、所望の組成のポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
また、別法として、ポリアセタール樹脂(A)に対して、任意成分である、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、無機酸塩、又はアルコキシドからなる群で示される金属含有化合物などを、添加・混合した後、溶融混練してペレット化する。これに前記pH値の範囲内である所定量のポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を添加し、所望により更に他の添加剤等を添加した後、再度混合、溶融混練してペレット化することにより、所望の組成のポリアセタール樹脂組成物を得ることもできる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂組成物を直接、射出成形品、ブロー成形品、または押出成形品などにすることもできる。
<ポリアセタール樹脂組成物成形体>
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、公知のポリアセタール樹脂及びポリアセタール樹脂組成物の成形加工法に従って、成形加工することができる。本発明のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体の形態としては特に限定されるものではなく、例えば、ペレット、丸棒、厚板等の素材としての形態、シート、チューブ、円筒状や方形状の各種容器としての形態、機械、電気、自動車、建材その他の各種部品等のポリアセタール樹脂組成物の用途として知られる種々の製品の形態が挙げられる。
本発明の成形体は、優れた剛性(耐衝撃性)、靭性、及び熱安定性を有しているので、機械、電機、自動車、建材の用途に使用することができる。
更には、優れた耐湿熱性を有し、水又は熱水と接触した際に水中または熱水中へ放出されるホルムアルデヒド量が少ないため、水及び/又は水蒸気と接触する部品、例えば、温水用配管、コネクター、シャワーヘッド、食洗機部材、コーヒーメーカー部品のような温水、熱水又は水蒸気と接触する、水廻りの各種部品、食品用又は医療用の設備、及び容器などの各種部材として好適である。
以下、本発明について実施例、比較例を示して、その実施形態と効果について具体的に説明をするが、本発明はこれらの例によりなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例におけるポリアセタール樹脂組成物の各物性は次のようにして測定した。
<落錘衝撃試験>
実施例または比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを、東芝機械株式会社製IS90Bを用いて、φ100mm×厚さ4mmの円板に成形し、CEAST社製フラクトビス試験機を用いて、100Jの衝撃エネルギーを加えた際の破壊エネルギーを測定した。耐衝撃性が高いほど、破壊エネルギーが高くなる。
<引張試験>
実施例または比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを、東芝機械株式会社製IS90Bを用いて、φ100mm×厚さ4mmの円板に成形し、ISO527−1、ISO527−2に記載されている方法に従って、測定温度23℃、チャック間距離50mm]、引張り強度50mm/minの条件で引張伸度 (標線間)を測定した。
<加熱重量減少率>
実施例または比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを試験管に入れ、窒素置換後10Torr減圧下で240℃、1時間加熱して、加熱前後の重量減少率を求めた。加熱重量減少率が小さいほどポリアセタール樹脂組成物の分解が少なく、熱安定性が高い。
<ホルムアルデヒド発生量の評価>
ホルムアルデヒド発生量は、実施例または比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを80℃で3時間予備乾燥したのち、30tonの型締圧を有する立型スクリュー型射出成形機を用いて、シリンダー温度215℃で成形した、直径50mm×厚さ3mmの円板を試験片として、成形翌日にドイツ自動車工業組合規格VDA275(自動車室内部品−改訂フラスコ法によるホルムアルデヒド放出量の定量)に記載された方法に準拠して測定した。以下にその方法を示す。
1)ポリエチレン容器中に蒸留水50mlを入れ、試験片をつるした状態で蓋を閉め、密閉状態で60℃、3時間保持した。
2)その後、室温で60分間放置後、試験片を取出した。
3)ポリエチレン容器内の蒸留水中に吸収されたホルムアルデヒドの濃度を、UVスペクトロメーターを用いてアセチルアセトン比色法で測定した。
耐湿熱性を表す、加湿処理後のホルムアルデヒド発生量は、実施例または比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを、恒温恒湿器(タバイエスペック社製、PR−2K)を用いて80℃、98%RH雰囲気下で24時間処理した後、上述したホルムアルデヒド発生量と同様にして測定した。
<実施例1〜3、比較例1〜2>
オキシエチレン単位を0.8質量%含む、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシド(B)を表1に示した割合で添加し、二軸押出機にて、210〜230℃、21.3kPaの減圧下で溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて、落錘衝撃性試験、引張試験、加熱重量減少率の測定、ホルムアルデヒド発生量の評価を行った。結果を表1に示した。また、得られたペレットを用いて作成した試験片の表面外観は、いずれも良好であった。
また、ポリエチレングリコ―ル又はポリエチレンオキシド(B)の物性は、表2に示した。ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシド(B)のpH値は、JIS Z 8802に従って、以下のようにして測定した。
1)試料5gを0.1gの単位まで精秤した。
2)100mlビーカーに蒸留水95mlを、メスシリンダーを用いて秤りとり、pH計をセットし、回転子をいれマグネチックスターラーで掻き混ぜながら0.01mol/Lの塩酸または0.01mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で静止から1分後の23℃におけるpHを7.0に安定するように調整した。
3)pH7.0に調整した蒸留水の入った2)のビーカーに、試料を加えて溶解させた。
4)マグネチックスターラーで5分間掻き混ぜた後に回転を止め、1分後のpHを読み取った。
尚、表1及び表2中の記号は、以下の通りである。
B−1−1:ポリエチレングリコール20000(和光純薬工業株式会社製,数平均分子量20000)[購入後すぐに使用]
B−1−2:ポリエチレングリコール20000(和光純薬工業株式会社製,数平均分子量20000)[購入後開栓したのち1年間室温保存]
B−2:ポリエチレングリコール6000(和光純薬工業株式会社製,数平均分子量6000)[購入後開栓したのち1年間室温保存]
B−3:ポリエチレンオキシド(明成化学工業株式会社製,アルコックス(登録商標)L−11,数平均分子量80000)[購入後すぐに使用]
B−4:ポリエチレングリコール35000(和光純薬工業株式会社製,数平均分子量35000)[購入後開栓したのち1年間室温保存]
B−5:ポリエチレングリコール20000(クラリアント株式会社製,20000P,数平均分子量20000)[購入後すぐに使用]
Figure 2016141734
Figure 2016141734

Claims (7)

  1. ポリアセタール樹脂(A)100質量部、並びにポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を合計で0.01〜10.0質量部、含むポリアセタール樹脂組成物であって、JIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した前記成分(B)の5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内である、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記成分(B)が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、及びポリテトラメチレンエーテルグリコールから選択される1種類以上である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記成分(B)の数平均分子量が、5000〜1000000である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する、前記成分(B)の含有量が、合計で0.02〜5.0質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
  6. 水及び/又は水蒸気と接触する、水廻り部品、食品用又は医療用の設備、及び容器である、請求項5に記載の成形体。
  7. ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレンオキシドからなる群より選択される1種類又は2種類以上からなる成分(B)を合計で0.01〜10.0質量部を添加して、溶融混練するポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、JIS Z 8802に記載されたpH測定方法で測定した前記成分(B)の5質量%水溶液の23℃におけるpH値が6.0〜12.0の範囲内である、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
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