JP2011117380A - ベーン式ポンプおよびそれを用いたエバポリークチェックシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性が高く、使用開始初期から安定したポンプ性能を維持可能なベーン式ポンプを提供する。
【解決手段】上ケーシング20の板部22と下ケーシング30との距離をL、上ケーシング20の第1スキン層206および下ケーシング30の第2スキン層306の厚みをLs、ロータ40の外径をDr、および、ロータ40の軸方向の厚みをHr、ロータ40の軸Axを含む仮想平面と第2孔432の第1孔431に接続する開口面の外周端との交点のうちの一方を第1端点P1、および、前記仮想平面と第2孔432の第1孔431とは反対側の開口面の外周端との交点のうちロータ40の軸Axに対し第1端点P1と同じ側にある交点を第2端点P2、第1端点P1および第2端点P2を通る仮想直線Lvとロータ40の軸Axとがなす角の角度をθとすると、第2孔432は、下記式を満たす。
Figure 2011117380

【選択図】図4

Description

本発明は、ベーン式ポンプに関し、特にエバポリークチェックシステム等に好適に用いられるベーン式ポンプに関する。
従来、ベーン付きロータをモータにより回転駆動することで、流体を加圧し吐出するベーン式ポンプが知られている。例えば特許文献1に開示されるような燃料タンクからの燃料蒸気の漏れを検査するエバポリークチェックシステムにおいて燃料タンクの内部を減圧または加圧するのに用いられるベーン式ポンプでは、そのポンプ性能がシステムの性能に影響を及ぼしやすい。
このベーン式ポンプでは、上ケーシングと下ケーシングとにより形成されるポンプ室に略円柱状のロータが設けられている。ロータの中心孔には、モータのシャフトが緩く嵌合している。これにより、ロータは、シャフトの回転に伴いポンプ室内で回転する。このとき、ロータは、上ケーシングの面のうちロータに対向する面、および下ケーシングの面のうちロータに対向する面と摺動し得る。このようなベーン式ポンプでは、上ケーシングおよび下ケーシングは、一般に樹脂により形成される。
特開2009−138602
しかしながら、上ケーシングおよび下ケーシングを樹脂成型により形成した場合など、上ケーシングおよび下ケーシングの表面に微小な凹凸が形成されることがある。そのため、表面に凹凸を有する上ケーシングおよび下ケーシングとロータとが摺動した場合、上ケーシングおよび下ケーシングとロータとの摺動面の面粗さに起因して、摺動抵抗に「ばらつき」が生じる。これにより、ロータの回転が安定せず、ベーン式ポンプのポンプ性能が不安定になるおそれがある。上ケーシングおよび下ケーシングのロータとの摺動面の凹凸を切削等の後加工により除去し、摺動面を精度の高い平面に加工すれば、ポンプ性能を安定させることは可能である。摺動面を精度の高い平面に加工する場合、ベーン式ポンプの製造コストが増大するという問題が生じる。
また、上述のように、ロータの中心孔には、モータのシャフトが緩く嵌合している。つまり、ロータとシャフトとは、間に所定の隙間を許容した状態で組み付けられている。ロータとシャフトとの間に隙間があると、ロータの回転により、偶力モーメントが発生したとき、ロータの外周部と下ケーシングあるいは上ケーシングとの間に押し付け力が生じる。このとき、ロータと下ケーシングおよび上ケーシングとの摺動抵抗の「ばらつき」は、ロータの回転に大きく影響し、ロータの回転を不安定にさせる要因となり得る。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性が高く、使用開始初期から長期に亘って安定したポンプ性能を維持可能なベーン式ポンプを提供することにある。
本発明の他の目的は、安定した検査性能を維持可能なエバポリークチェックシステムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、上ケーシングと下ケーシングとロータとモータとを備えたベーン式ポンプの発明である。上ケーシングは、筒部と当該筒部の一方の端部開口を塞ぐ板部とからなり、有底筒状に形成されている。下ケーシングは、板状に形成され、上ケーシングの他方の端部開口を塞ぐことで上ケーシングの板部および筒部との間にポンプ室を形成する。ロータは、略円柱状に形成され、前記ポンプ室に回転可能に収容される。また、ロータは、中心部を軸方向に貫く中心孔、および上ケーシングの筒部の内周壁に対し摺動可能な複数のベーンを有する。モータは、ロータの中心孔に緩く嵌合するシャフトを有し、当該シャフトを回転させることでロータを回転駆動する。
本発明では、上ケーシングは、表面に、ロータと摺動したとき磨耗する程度の耐磨耗性をもつ第1スキン層を有している。下ケーシングは、表面に、前記第1スキン層と略同じ厚み、かつ、略同じ耐磨耗性をもつ第2スキン層を有している。ロータの中心孔は、ロータの軸に平行な壁面に囲まれることにより形成される第1孔と、当該第1孔の軸方向端部のうち少なくとも一方に接続し、当該第1孔とは反対側の開口面の面積が、当該第1孔に接続する開口面の面積よりも大きな第2孔と、からなる。
ここで、板部と下ケーシングとの距離をL、第1スキン層および第2スキン層の厚みをLs、ロータの外径をDr、および、ロータの軸方向の厚みをHrとする。また、ロータの軸を含む仮想平面と第2孔の第1孔に接続する開口面の外周端との交点のうちの一方を第1端点、および、前記仮想平面と第2孔の第1孔とは反対側の開口面の外周端との交点のうちロータの軸に対し第1端点と同じ側にある交点を第2端点とする。そして、第1端点および第2端点を通る仮想直線とロータの軸とがなす角の角度をθとすると、前記第2孔は、
Figure 2011117380
の関係を満たすよう形成されている。
上述の構成によれば、ベーン式ポンプの使用開始直後、ロータは、例えば偶力モーメントによりシャフトに対して傾いた状態で回転するとき、特に軸方向の端面のうちの外周部が上ケーシングおよび下ケーシングと摺動する。このとき、モータのシャフトは、ロータの前記第1端点、および、第1孔の第2孔とは反対側の開口面の外周端上の端点のうちロータの軸を挟んで前記第1端点と対向する端点(以下、この端点を「第3端点」という)、と接し得る。すなわち、シャフトは、ロータの中心孔のうち第1孔の部分を軸受けしながら、ロータを回転駆動させる。このときのシャフトの軸受けスパン(軸受けの幅)は、第1孔の軸方向の長さと概ね同じである。つまり、本発明では、このときの軸受けスパンを比較的小さくすることができる。これにより、ロータと上ケーシングおよび下ケーシングとの摺動抵抗の「ばらつき」を吸収することができる。よって、ベーン式ポンプの使用開始直後の時点において、ロータの回転を安定にでき、その結果、ポンプ性能を安定にすることができる。
上ケーシングおよび下ケーシングは、表面に、ロータと摺動したとき磨耗する程度の耐磨耗性をもつ第1スキン層および第2スキン層を有している。そのため、ベーン式ポンプの使用に伴い、ロータと上ケーシングおよび下ケーシングとの摺動が継続されると、第1スキン層および第2スキン層のうち特にロータの軸方向の端面の外周部に対向する部分が磨耗し、当該部分に「当たり」がつく。上ケーシングおよび下ケーシングに「当たり」がついた状態では、ロータと上ケーシングおよび下ケーシングとの摺動抵抗は安定する。そのため、ベーン式ポンプが所定の期間使用された後の時点においても、ロータの回転を安定に保つことができる。したがって、本発明では、長期に亘って安定したポンプ性能を維持可能である。
本発明では、特に第2孔が
Figure 2011117380
の関係を満たすよう形成されている場合、ロータの回転により上ケーシングおよび下ケーシングのそれぞれが第1スキン層および第2スキン層の厚みLs分磨耗したとき、ロータは、回転中、例えば偶力モーメントによりモータのシャフトに対して傾き、前記第1端点に加え前記第2端点もシャフトに接し得る。すなわち、このとき、シャフトは、ロータの中心孔(第1孔および第2孔)の部分を軸受けしながら、ロータを回転駆動させる。このときのシャフトの軸受けスパンは、第1孔の軸方向の長さと第2孔の軸方向の長さとの和と概ね同じである。つまり、本発明では、このときの軸受けスパンを比較的大きくすることができる。これにより、シャフトがロータを軸受けするときにロータとシャフトとの間に生じる磨耗を低減することができる。よって、ロータを長期に亘って使用することができる。したがって、ベーン式ポンプの耐久性を高めることができる。
このように、本発明では、ベーン式ポンプの使用開始直後においてはロータの第1孔の部分のみを軸受けすることでロータと上ケーシングおよび下ケーシングとの摺動抵抗の「ばらつき」を吸収しポンプ性能を安定にすることができる。一方、ベーン式ポンプの使用が継続され上ケーシングおよび下ケーシングに「当たり」がついた時点では摺動抵抗が安定する。さらに、特に第2孔が上記式2の関係を満たすよう形成されている場合、ベーン式ポンプの使用が継続され上ケーシングおよび下ケーシングに「当たり」がついた時点(ロータの回転により上ケーシングおよび下ケーシングのそれぞれが第1スキン層および第2スキン層の厚みLs分磨耗した時点)ではロータの第1孔および第2孔の部分が軸受けされることで軸受けスパンが大きくなるため、ロータとシャフトとの間に生じる磨耗を低減することができる。
請求項1に記載の発明でロータに形成される中心孔の一部をなす第2孔の、より具体的な構成としては、以下のもの(請求項2または3に記載のそれぞれの発明における第2孔の構成)が考えられる。
請求項2に記載の発明では、第2孔は、「第1端点および第2端点を通る仮想直線を含み第1孔から離れるに従いロータの軸から離れるように傾斜するテーパ状の壁面」に囲まれることにより形成されている。そのため、第2孔が上記式2の関係を満たすよう形成されている場合、ロータの回転により上ケーシングおよび下ケーシングのそれぞれが第1スキン層および第2スキン層の厚みLs分磨耗し、ロータがモータのシャフトに対して傾いて第1端点および第2端点がシャフトに接したとき、ロータは、前記テーパ状の壁面がシャフトに接し、この部分で軸受けされる。よって、軸受け時のロータとシャフトとの接触面積を大きくすることができる。したがって、ロータとシャフトとの間に生じる磨耗をより低減することができる。
請求項3に記載の発明では、第2孔は、「第1端点および第2端点を通る仮想直線よりもロータの軸とは反対側に位置する壁面」に囲まれることにより形成されている。このような形状の壁面は、例えば「第2端点を含み、かつロータの軸に平行となるような壁面」を考えることができる。このような形状の壁面であれば、比較的容易に形成可能である。したがって、簡単な構成で、上記請求項1に記載の発明の効果を奏することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項記載のベーン式ポンプを備えるエバポリークチェックシステムである。このシステムの場合、安定したポンプ性能を維持可能なベーン式ポンプを燃料タンク内部の減圧または加圧に用いるため、安定した検査性能を維持することができる。
本発明の第1実施形態によるベーン式ポンプを示す断面図。 図1のII−II線断面図。 本発明の第1実施形態によるベーン式ポンプの弾性シートを示す概略図。 本発明の第1実施形態によるベーン式ポンプの一部を示す模式的断面図。 本発明の第1実施形態によるベーン式ポンプの作動時の状態を示す模式的断面図であって、(A)はベーン式ポンプの使用開始直後の状態を示す図、(B)はベーン式ポンプが所定の期間使用された後の状態を示す図。 本発明の第1実施形態によるベーン式ポンプを適用したエバポリークチェックシステムを示す模式図。 本発明の第2実施形態によるベーン式ポンプの一部を示す模式的断面図。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるベーン式ポンプおよびその一部を図1〜5に示す。ベーン式ポンプ10は、流体を吸入し加圧して吐出する。ベーン式ポンプ10が加圧する流体としては、例えば空気などの気体や水などの液体を適用することができる。
ベーン式ポンプ10は、上ケーシング20、下ケーシング30、ロータ40、およびモータ11などを備えている。ベーン式ポンプ10のロータ40は、下ケーシング30および弾性シート50を挟んで設置されているモータ11により回転駆動される。モータ11には、例えば直流式または交流式の電気モータが適用される。モータ11は、図示しない固定子が収容されているカバー12と、図示しない可動子とともに回転するシャフト13と、上ケーシング20、下ケーシング30および弾性シート50を取り付けるための取付部14とを有している。
上ケーシング20は、筒部21、板部22およびつば部23を有し、例えば樹脂などの材料により一体に形成されている。筒部21は、略円筒形状に形成されている。筒部21の内周壁211は、略円筒面状である。筒部21は、軸方向の一方の端部開口が板部22により塞がれている。筒部21の他方の端部には、径方向外側に延びるつば部23が形成されている。つば部23の板部22とは反対側の端面には、第1平面部としての平面部204が形成されている。このように、上ケーシング20は、有低筒状に形成されている。
下ケーシング30は、例えば樹脂などの材料により板状に形成されている。下ケーシング30の上ケーシング20側の端面には、第2平面部としての平面部301が形成されている。平面部301は、上ケーシング20の平面部204に接合している。これにより、下ケーシング30は、筒部21の他方の端部開口を覆っている。そのため、筒部21の内周側に、上ケーシング20の筒部21および板部22と下ケーシング30とに囲まれたポンプ室24が形成されている。つまり、上ケーシング20におけるポンプ室24の開口部240は、下ケーシング30によって閉塞されている。
ロータ40は、例えば樹脂などの材料により略円柱状に形成され、ポンプ室24に回転可能に収容されている。これにより、上ケーシング20の筒部21および板部22と、下ケーシング30と、ロータ40とに囲まれた空間25が形成される(図2参照)。本実施形態では、ロータ40は、筒部21の軸に対し偏心して設置されている。そのため、筒部21とロータ40との間に形成される空間25は、周方向へ容積が変化している。空間25には、流体入口通路26および流体出口通路27が連通している。流体入口通路26および流体出口通路27は、それぞれ空間25から径方向外側へ伸びて形成されている。流体入口通路26は、つば部23の溝部202と下ケーシング30との間に形成されている。また、流体出口通路27は、つば部23の溝部203と下ケーシング30との間に形成されている。
ロータ40は、中心部に凹部42、中心孔43および凹部44を有している。凹部42は、ロータ40の板部22側端面から軸方向の途中まで窪ませることにより、ロータ40の肉盗みとして形成されている。凹部44は、ロータ40の下ケーシング30側端面から軸方向の途中まで窪ませることにより、凹部42と同様、ロータ40の肉盗みとして形成されている。
中心孔43は、ロータ40を軸方向に貫き、凹部42と凹部44とを連通している。本実施形態では、中心孔43は、上ケーシング20側の第1孔431と下ケーシング30側の第2孔432とからなる。すなわち、第2孔432は、第1孔431の軸方向端部のうち下ケーシング30側に接続している。
第1孔431は、ロータ40の軸に平行な壁面に囲まれることにより形成されている。また、第1孔431は、ロータの軸に垂直な断面が非円形となるよう形成されている(図2参照)。第2孔432は、第1孔431から離れるに従いロータ40の軸から離れるように傾斜するテーパ状の壁面433に囲まれることにより形成されている。第2孔432の形状等については、後に詳述する。
モータ11のシャフト13は、中心孔43に挿入されている。シャフト13は、ロータ40の中心孔43へ挿入されるとき、第2孔432を通り、第1孔431に嵌まり込む。シャフト13は、軸方向の途中からモータ11とは反対側の端部まで、断面の形状が第1孔431の断面の形状と概ね同一に形成されている。ここで、第1孔431の断面積は、シャフト13の端部の断面積よりも大きい。すなわち、第1孔431を形成するロータ40の内壁とシャフト13の外壁との間には隙間が形成される。よって、シャフト13は、第1孔431の形状に対応した状態でロータ40に緩く嵌合する。これにより、シャフト13が回転すると、シャフト13はロータ40に対して空転することなく、ロータ40はシャフト13とともに回転する。なお、このとき、ロータ40は、偶力モーメントが作用した場合等、軸が傾くようにして揺動し得る。
ロータ40は、外周壁から径内方向へ凹むベーン収容溝46を有している。ベーン収容溝46は、ロータ40の下ケーシング30側の端面と板部22側の端面とを接続するように軸方向へ延びて形成されている。本実施形態の場合、ベーン収容溝46は、ロータ40の周方向へ等間隔に四つ形成されている。ロータ40のベーン収容溝46には、それぞれベーン41が収容されている。ロータ40と筒部21の内周壁211とは偏心している。そのため、ロータ40の回転にともなってロータ40と筒部21の内周壁211との間の距離は変化する。ロータ40が回転すると、ベーン41は遠心力により径外方向へ内周壁211に接するまで突出する。そして、ロータ40と筒部21の内周壁211との距離が小さくなるにしたがって、ベーン41はベーン収容溝46の径内方向へ押し込まれる。これにより、ベーン41は、ロータ40の回転にともなって径外方向の端部が筒部21の内周壁211と接触しながら回転するとともに、ベーン収容溝46の内部を径方向へ往復移動する。
上ケーシング20のつば部23には、第1通穴としての通穴201が形成されている。本実施形態の場合、つば部23に三つの通穴201が形成されている。
下ケーシング30は、上ケーシング20の通穴201に対応する位置に、モータ11側へ突出する突出部31を有している。突出部31のほぼ中心には、下ケーシング30を板厚方向に貫く第2通穴としての通穴32が形成されている。通穴32は、通穴201に対応した位置に形成されている。なお、突出部31の突出量hは、弾性シート50の厚さよりも小さい。
弾性シート50は、下ケーシング30とモータ11の取付部14との間に設けられている。弾性シート50は、例えばゴムなどのように弾性を有し且つ減衰係数の大きい材料から板状に形成されている。図3に示すように、弾性シート50は、中央部に弾性シート50を板厚方向へ貫く穴51を有している。穴51の内径は、ポンプ室24、すなわち上ケーシング20の筒部21の下ケーシング30側端部開口の径とほぼ同一に設定されている。これにより、弾性シート50は、上ケーシング20の平面部204の形状に対応した形状に形成されている。
弾性シート50には、下ケーシング30の突出部31に対応する位置に第3通穴としての通穴52が形成されている。通穴52の内径は、突出部31の外径とほぼ同一もしくはやや大きく設定されている。
図1に示すように、ねじ部材としてのねじ60は、一方の端部に頭部61を有している。ねじ60には、他方の端部から軸方向の途中までおねじ溝62が形成されている。モータ11の取付部14は、例えば金属などの材料からなり、上ケーシング20の通穴201に対応する位置に取付穴15が形成されている。取付穴15が形成された取付部14の内壁には、ねじ60のおねじ溝62に対応するめねじ溝16が形成されている。
ねじ60は、上ケーシング20の通穴201、下ケーシング30の通穴32および弾性シート50の通穴52を通り取付穴15が形成された取付部14に螺着している。これにより、上ケーシング20、下ケーシング30および弾性シート50は、ねじ60の頭部61と取付部14とに挟み込まれることによって取付部14に締付結合される。このとき、ねじ60の頭部61と取付部14との間には軸力が働く。そのため、弾性シート50は、下ケーシング30と取付部14とに押され、軸方向に圧縮される。これにより、弾性シート50に反力が生じ、下ケーシング30は弾性シート50から上ケーシング20方向への面圧を受ける。その結果、下ケーシング30の平面部301は、上ケーシング20の平面部204と密着する。したがって、ポンプ室24は気密または液密に保たれる。
なお、下ケーシング30の突出部31は、弾性シート50の通穴52を通り、取付部14に接している。上述のように、突出部31の突出量hは弾性シート50の厚さよりも小さい。そのため、突出部31が取付部14に接したとき、弾性シート50は下ケーシング30と取付部14とに挟まれ圧縮される。これにより、下ケーシング30は、弾性シート50の反力による面圧を受けるとともに、取付部14との間隔が一定、すなわち突出部31の突出量hに保たれる。
次に、ロータ40に形成される中心孔43の第2孔432の形状等について、図4に基づいて詳述する。
図4は、本実施形態によるベーン式ポンプ10の上ケーシング20の板部22、下ケーシング30、ロータ40、モータ11のシャフト13のみを示した模式的な概略図である。なお、図4では、図が煩雑になることを避けるため、部材の断面のハッチを省略している。
本実施形態では、上ケーシング20および下ケーシング30は、樹脂により形成されているため、樹脂成型後、表面に比較的耐磨耗性の低いスキン層が形成される。図4に示すように、上ケーシング20の表面、すなわち第1ベース205の上に第1スキン層206が形成される。また、下ケーシング30の表面、すなわち第2ベース305の上に第2スキン層306が形成される。第1スキン層206および第2スキン層306は、略同じ厚み、かつ、略同じ耐磨耗性をもつ。第1スキン層206および第2スキン層306の耐磨耗性は、ロータ40と摺動したとき磨耗する程度に設定されている。なお、第1ベース205および第2ベース305の耐磨耗性は、ロータ40の耐磨耗性と同程度に設定されている。
図4に示すように、第2孔432は、第1孔431から離れるに従いロータ40の軸Axから離れるように傾斜するテーパ状の壁面433に囲まれることにより形成されている。また、第2孔432は、第1孔431とは反対側の開口面の面積が、第1孔431に接続する開口面の面積よりも大きい。
図4では、ロータ40がシャフト13に対し傾きながら回転することにより板部22の第1スキン層206および下ケーシング30の第2スキン層306のそれぞれが磨耗した状態を示している。このとき、ロータ40の軸方向端面の外周端は、上ケーシング20の第1ベース205および下ケーシング30の第2ベース305に接している。また、壁面433は、シャフト13の外周壁に接している。
ここで、板部22と下ケーシング30との距離をL、第1スキン層206および第2スキン層306の厚みをLs、ロータ40の外径をDr、および、ロータ40の軸方向の厚みをHrとする。また、ロータ40の軸を含む仮想平面と第2孔432の第1孔431に接続する開口面の外周端との交点のうちの一方を第1端点P1、および、前記仮想平面と第2孔432の第1孔431とは反対側の開口面の外周端との交点のうちロータ40の軸Axに対し第1端点P1と同じ側にある交点を第2端点P2とする。そして、第1端点P1および第2端点P2を通る仮想直線Lvとロータ40の軸Axとがなす角の角度をθとすると、第2孔432は、
Figure 2011117380
の関係を満たすよう形成されている。上記θは、図4に示す直角三角形T1の内角の角度θ1と直角三角形T2の内角の角度θ2との差に等しいため、三角形T1および三角形T2の辺と内角の関係から導き出される。
なお、本実施形態では、第2孔432は、「第1端点P1および第2端点P2を通る仮想直線Lvを含み第1孔431から離れるに従いロータ40の軸Axから離れるように傾斜するテーパ状の壁面433」に囲まれることにより形成されているということもできる。
次に、上記の構成のベーン式ポンプ10の作動について説明する。
モータ11の回転にともなってシャフト13に接続しているロータ40は回転する。ロータ40の回転にともなって、ベーン41は筒部21の内周壁211と接触しながらロータ40とともに回転する。空間25の容積は、流体入口通路26側から流体出口通路27側にかけて回転方向へ縮小している。そのため、ベーン41がロータ40とともに回転することにより、空間25の流体は流体入口通路26側から流体出口通路27側へかけて加圧されながら空間25を流れる。これにより、流体入口通路26から吸入された流体は、ロータ40とともに回転するベーン41によって空間25の内部で加圧され、流体出口通路27からベーン式ポンプ10の外部へ吐出される。ロータ40の回転により、流体は連続して加圧される。
本実施形態では、図5(A)に示すように、ベーン式ポンプ10の使用開始直後、ロータ40は、例えば偶力モーメントによりシャフト13に対して傾いた状態で回転するとき、特に軸方向の端面のうちの外周部が上ケーシング20および下ケーシング30と摺動する。このとき、モータ11のシャフト13は、ロータ40の第1端点P1、および、第1孔431の第2孔432とは反対側の開口面の外周端上の端点のうちロータ40の軸Axを挟んで第1端点P1と対向する第3端点P3、と接し得る。すなわち、シャフト13は、ロータ40の中心孔43のうち第1孔431の部分を軸受けしながら、ロータ40を回転駆動させる。このときのシャフト13の軸受けスパンSp1(軸受けの幅)は、第1孔431の軸方向の長さと概ね同じである。つまり、本実施形態では、このときの軸受けスパンを比較的小さくすることができる。これにより、ロータ40と上ケーシング20および下ケーシング30との摺動抵抗の「ばらつき」を吸収することができる。よって、ベーン式ポンプ10の使用開始直後の時点において、ロータ40の回転を安定にでき、その結果、ポンプ性能を安定にすることができる。
一方、図5(B)に示すように、ベーン式ポンプ10の使用に伴い、ロータ40と上ケーシング20および下ケーシング30との摺動が継続されると、第1スキン層206および第2スキン層306のうち特にロータ40の軸方向の端面の外周部に対向する部分が磨耗し、当該部分に「当たり」がつく。上ケーシング20および下ケーシング30に「当たり」がついた状態では、ロータ40と上ケーシング20および下ケーシング30との摺動抵抗は安定する。そのため、ベーン式ポンプ10が所定の期間使用された後の時点においても、ロータ40の回転を安定に保つことができる。したがって、本実施形態では、長期に亘って安定したポンプ性能を維持可能である。
また、本実施形態では、第2孔432が上記式2を満たすよう形成されているため、ロータ40の回転により上ケーシング20および下ケーシング30のそれぞれが第1スキン層206および第2スキン層306の厚みLs分磨耗したとき、ロータ40は、回転中、例えば偶力モーメントによりモータ11のシャフト13に対して傾き、第1端点P1に加え第2端点P2もシャフト13に接し得る。すなわち、このとき、シャフト13は、ロータ40の中心孔43(第1孔431および第2孔432)の部分を軸受けしながら、ロータ40を回転駆動させる。このときのシャフト13の軸受けスパンSp2は、第1孔431の軸方向の長さと第2孔432の軸方向の長さとの和と概ね同じである。つまり、本実施形態では、このときの軸受けスパンを比較的大きくすることができる。これにより、シャフト13がロータ40を軸受けするときにロータ40とシャフト13との間に生じる磨耗を低減することができる。よって、ロータ40を長期に亘って使用することができる。したがって、ベーン式ポンプ10の耐久性を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態では、ベーン式ポンプ10の使用開始直後においてはロータ40の第1孔431の部分のみを軸受けすることでロータ40と上ケーシング20および下ケーシング30との摺動抵抗の「ばらつき」を吸収しポンプ性能を安定にすることができる。一方、ベーン式ポンプ10の使用が継続され上ケーシング20および下ケーシング30に「当たり」がついた時点では摺動抵抗が安定し、かつ、この時点ではロータ40の第1孔431および第2孔432の部分が軸受けされることで軸受けスパンが大きくなるため、ロータ40とシャフト13との間に生じる磨耗を低減することができる。したがって、本実施形態のベーン式ポンプ10は、耐久性が高く、使用開始初期から長期に亘って安定したポンプ性能を維持可能である。
また、本実施形態では、第2孔432は、「第1端点P1および第2端点P2を通る仮想直線Lvを含み第1孔431から離れるに従いロータ40の軸Axから離れるように傾斜するテーパ状の壁面433」に囲まれることにより形成されている。そのため、ロータ40の回転により上ケーシング20および下ケーシング30のそれぞれが第1スキン層206および第2スキン層306の厚みLs分磨耗し、ロータ40がモータ11のシャフト13に対して傾いて第1端点P1および第2端点P2がシャフト13に接したとき、ロータ40は、前記テーパ状の壁面433がシャフト13に接し、この部分で軸受けされる。よって、軸受け時のロータ40とシャフト13との接触面積を大きくすることができる。したがって、ロータ40とシャフト13との間に生じる磨耗をより低減することができる。
(ベーン式ポンプを適用したエバポリークチェックシステム)
次に、第1実施形態によるベーン式ポンプ10を適用したエバポリークチェックシステム(以下、単に「チェックシステム」という。)100について、図6に基づいて説明する。このチェックシステム100では、ベーン式ポンプ10を、燃料タンク120内部を減圧するのに用いる。
チェックシステム100は、検査モジュール110、燃料タンク120、キャニスタ130、吸気装置600およびECU700から構成されている。検査モジュール110は、ベーン式ポンプ10、モータ11、切換弁180および圧力センサ400を備えている。切換弁180とキャニスタ130とは、キャニスタ通路140により接続している。大気通路150は、検査モジュール110とは反対側の端部が開放端152として大気に開放されている。キャニスタ通路140と大気通路150とは接続通路160により接続している。接続通路160とベーン式ポンプ10の流体入口通路26とはポンプ通路162により接続している。ベーン式ポンプ10の流体出口通路27と大気通路150とは排出通路163により接続している。ポンプ通路162からは圧力導入通路164が分岐し、圧力導入通路164はポンプ通路162とセンサ室170とを接続している。センサ室170には、圧力センサ400が設置されている。これにより、センサ室170は、圧力導入通路164およびポンプ通路162と概ね同一の圧力となる。
キャニスタ通路140からはオリフィス通路510が分岐している。オリフィス通路510は、キャニスタ通路140とポンプ通路162とを接続している。オリフィス通路510にはオリフィス520が設置されている。オリフィス520は、燃料タンク120からの燃料蒸気を含む空気漏れが許容される開口の大きさに対応している。
切換弁180は、弁本体181および駆動部182を有している。駆動部182は弁本体181を駆動する。駆動部182は、コイル183を有しており、コイル183はECU700に接続している。ECU700は、コイル183への通電を断続する。コイル183に通電されていないとき、接続通路160とポンプ通路162との間は遮断されるとともに、キャニスタ通路140と大気通路150とは接続通路160を経由して連通する。一方、コイル183に通電されているとき、キャニスタ通路140とポンプ通路162は連通し、キャニスタ通路140と大気通路150との間は遮断される。なお、オリフィス通路510とポンプ通路162とはコイル183への通電または非通電に関わらず常に連通している。
キャニスタ130は例えば活性炭などの吸着剤131を有している。キャニスタ130は、検査モジュール110と燃料タンク120との間に設置され、燃料タンク120で発生した燃料蒸気を吸着する。キャニスタ130は、キャニスタ通路140により検査モジュール110と接続し、タンク通路132により燃料タンク120に接続している。また、キャニスタ130には、吸気装置600の吸気管610へ連通するパージ通路133が接続している。燃料タンク120で発生した燃料蒸気は、タンク通路132を通過すると吸着剤131に吸着される。キャニスタ130と吸気装置600の吸気管610とを接続するパージ通路133には、パージバルブ134が設置されている。パージバルブ134は、ECU700からの指令によりパージ通路133を開閉する。
圧力センサ400は、センサ室170の圧力を検出し、ECU700に圧力に応じた信号を出力する。ECU700は、図示しないCPU、ROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータから構成される。ECU700には、圧力センサ400をはじめとして種々のセンサから出力された信号が入力される。ECU700は、これら入力された種々の信号からROMに記録されている所定の制御プログラムにしたがって各部を制御する。
エンジンの運転中およびエンジンの運転の停止後の所定期間は、コイル183に通電されず、キャニスタ通路140と大気通路150とは接続通路160を介して連通している。したがって、燃料タンク120で発生した燃料蒸気を含む空気は、キャニスタ130を通過することにより燃料蒸気が除去された後、大気通路150の開放端152から大気へ放出される。
車両に搭載されたエンジンの運転が停止されてから所定の期間が経過すると、燃料タンク120からの燃料蒸気を含む空気漏れの検査が開始される。検査では、車両が駐車されている高度による誤差を補正するため、大気圧の検出が行われる。大気圧の検出は、センサ室170に設置されている圧力センサ400によって実施される。コイル183に通電していないとき、オリフィス通路510を経由して大気通路150とポンプ通路162とは連通している。そのため、圧力導入通路164を経由してポンプ通路162と連通しているセンサ室170の圧力は大気圧と概ね同一である。したがって、大気圧はセンサ室170の圧力センサ400によって検出される。
大気圧の検出が完了すると、検出された圧力から車両が駐車されている場所の高度を算定する。ECU700は、算定された高度に基づいて、各種のパラメータを補正する。これらが完了すると、ECU700は切換弁180のコイル183へ通電する。コイル183へ通電すると、切換弁180は図6の右方へ移動する。これにより、切換弁180は、大気通路150とキャニスタ通路140との間を遮断するとともに、キャニスタ通路140とポンプ通路162とを連通する。そのため、ポンプ通路162に接続しているセンサ室170はキャニスタ130を経由して燃料タンク120と連通する。燃料タンク120の内部で燃料蒸気が発生している場合、燃料タンク120の内部の圧力は車両の周囲すなわち大気圧と比較して高くなっている。
燃料タンク120における燃料蒸気の発生にともなう圧力上昇が検出されると、ECU700は切換弁180のコイル183への通電を停止する。コイル183への通電が停止されると、ポンプ通路162はオリフィス通路520を経由してキャニスタ通路140および大気通路150と連通する。また、キャニスタ通路140と大気通路150とは接続通路160を経由して連通する。
ここで、モータ11に通電すると、ベーン式ポンプ10が駆動され、ポンプ通路162は減圧される。そのため、大気通路150から流入した空気は、オリフィス通路510を経由してポンプ通路162へ流入する。ポンプ通路162へ流入する空気の流れはオリフィス通路510のオリフィス520によって絞られるため、ポンプ通路162の圧力は低下する。ポンプ通路162の圧力は、オリフィス50の開口面積に対応する所定の圧力まで低下した後、一定となる。このとき、検出されたポンプ通路162の圧力は基準圧力として記録される。基準圧力の検出が完了すると、モータ11への通電は停止される。
基準圧力が検出されると、再び切換弁180のコイル183に通電される。これにより、大気通路150とキャニスタ通路140との間は遮断されるとともに、キャニスタ通路140とポンプ通路162とは連通する。そのため、燃料タンク120はポンプ通路162と連通し、ポンプ通路162の圧力は燃料タンク120と同一になる。そして、モータ11に通電すると、ベーン式ポンプ10が作動する。ベーン式ポンプ10の作動により、燃料タンク120の内部は減圧される。このとき、ポンプ通路162は燃料タンク120に連通している。そのため、ポンプ通路162に連通するセンサ室170の圧力センサ400が検出する圧力は燃料タンク120の内部の圧力とほぼ同一である。
ベーン式ポンプ10の作動の継続によって、センサ室170すなわち燃料タンク120の内部の圧力が先に検出した基準圧力よりも低下した場合、燃料タンク120からの燃料蒸気を含む空気の漏れは許容以下と判断される。すなわち、燃料タンク120の内部の圧力が基準圧力よりも低下する場合、燃料タンク120の外部から内部へ空気の侵入がないか、または侵入する空気がオリフィス520の流量以下である。そのため、燃料タンク120の気密は十分に確保されていると判断される。
一方、燃料タンク120の内部の圧力が基準圧力まで低下しない場合、燃料タンク120からの燃料蒸気を含む空気漏れは許容を超過していると判断される。すなわち、燃料タンク120の内部の圧力が基準圧力まで低下しない場合、燃料タンク120の内部の減圧にともなって燃料タンク120には外部から空気が侵入していると考えられる。そのため、燃料タンク120の気密は十分に確保されていないと判断される。
燃料蒸気を含む空気漏れの検査が完了すると、モータ11および切換弁180への通電は停止される。ECU700は、ポンプ通路162の圧力が大気圧に回復したことを検出した後、圧力センサ400の作動を停止させ、チェック工程を終了する。
上述のように、第1実施形態によるベーン式ポンプ10は、安定したポンプ性能を維持可能である。そのため、チェックシステム100に第1実施形態のベーン式ポンプ10を適用した場合、安定したポンプ性能を維持可能なベーン式ポンプ10を燃料タンク120内部の減圧に用いることができる。したがって、チェックシステム100において、安定した検査性能を維持することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるベーン式ポンプの一部を図7に示す。第2実施形態では、ロータに形成される中心孔の第2孔の形状が第1実施形態と異なる。
図7は、第2実施形態によるベーン式ポンプの上ケーシング20の板部22、下ケーシング30、ロータ40、モータ11のシャフト13のみを示した模式的な概略図である。なお、図7では、図が煩雑になるのを避けるため、部材の断面のハッチを省略している。
図7に示すように、第2孔436は、ロータ40の軸Axに平行な壁面437に囲まれることにより形成されている。また、第2孔436は、第1孔431とは反対側の開口面の面積が、第1孔431に接続する開口面の面積よりも大きい。
第2実施形態は、「第2孔436が、ロータ40の軸Axに平行な壁面437に囲まれることにより形成されている」点以外は、第1実施形態と同様の構成である。よって、第2実施形態では、第2孔436は、上記式2を満たすよう形成されている。また、第2孔436は、「第2端点P2を含み、かつロータ40の軸Axに平行となるような壁面437」に囲まれることにより形成されているといえる。さらに、この壁面437は、「第1端点P1および第2端点P2を通る仮想直線Lvよりもロータ40の軸Axとは反対側に位置する壁面」である、ということもできる。
以上説明したように、本実施形態では、第2孔436は、「第2端点P2を含み、かつロータ40の軸に平行となるような壁面437」に囲まれることにより形成されている。このような形状の壁面437は、例えば第1実施形態の壁面433のようにテーパ状に形成される壁面に比べ、容易に形成できる。
本実施形態では、「第2孔436が上記式2を満たすよう形成されていることによる効果」は、上述した「第1実施形態の第2孔432が上記式2を満たすよう形成されていることによる効果」と同様である。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、中心孔の第2孔が、
Figure 2011117380
の関係を満たすよう形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、中心孔の第2孔は、
Figure 2011117380
の関係を満たすよう形成されていてもよい。この場合、ロータの回転により上ケーシングおよび下ケーシングのそれぞれが第1スキン層および第2スキン層の厚みLs分磨耗し、ロータがモータのシャフトに対して傾いても、第2孔の第2端点はシャフトに接しないため、「軸受けスパンを大きくすることでロータとシャフトとの間に生じる磨耗を低減する」効果は得られないが、上述の実施形態と同様、『ベーン式ポンプの使用開始直後においてロータの第1孔の部分のみを軸受けすることでロータと上ケーシングおよび下ケーシングとの摺動抵抗の「ばらつき」を吸収しポンプ性能を安定にする』効果、および『ベーン式ポンプの使用が継続され上ケーシングおよび下ケーシングに「当たり」がつくことで摺動抵抗が安定する』効果については得ることができる。
上述の実施形態では、中心孔の第2孔が、第1孔の軸方向端部のうち下ケーシング側に接続する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、第2孔は、第1孔の軸方向端部のうち上ケーシングの板部側に接続することとしてもよい。また、第2孔は、第1孔の軸方向端部の一方のみでなく、両端部に接続するよう2つ設けられる構成としてもよい。この場合、上ケーシングおよび下ケーシングのスキン層が磨耗しロータがシャフトに対し傾いたとき、ロータの軸受けスパンを「第1孔の長さと、第2孔の長さの倍の長さとの和」と概ね同じにすることができる。つまり、第2孔が1つのみ設けられる場合と比べ、このときの軸受けスパンをより大きくすることができる。したがって、軸受け時にロータとシャフトとの間に生じる磨耗をより低減することができる。
上述の第2実施形態では、第2孔が「第2端点を含み、かつロータの軸に平行となるような壁面」に囲まれることにより形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、第2孔を形成する壁面は、「第2端点を含み、かつ第1端点および第2端点を通る仮想直線よりもロータの軸とは反対側に位置する壁面」であれば、ロータの軸に対し平行でなくてもよい。つまり、本発明の他の実施形態では、第2孔を形成する壁面は、「第2端点を含み、第1端点および第2端点を通る仮想直線よりもロータの軸とは反対側に位置する」限り、いかなる形状に形成されていてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、上ケーシング、下ケーシングおよびロータは、金属により形成されていてもよい。この場合、上ケーシングおよび下ケーシングのベースの上に、スキン層として、ベースおよびロータの耐磨耗性よりも低い耐磨耗性の金属または樹脂等により、所定の厚みの「めっき」またはコーティング等を施せばよい。
また、本発明の他の実施形態では、ロータの中心部に肉盗みとして形成される凹部は、ロータの軸方向の端面のうち、片側のみに形成されていてもよい。また、このような凹部をロータに形成しない構成としてもよい。
上述の実施形態では、燃料タンクの内部を減圧して燃料蒸気の漏れを検査するチェックシステムに本発明を適用した例について説明した。これに対し、燃料タンクの内部を加圧して燃料蒸気の漏れを検査するチェックシステム、あるいは流体の減圧または加圧を実施する公知の各種の装置に本発明を適用することができる。
このように、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
10:ベーン式ポンプ、11:モータ、13:シャフト、20:上ケーシング、21:筒部、22:板部、24:ポンプ室、30:下ケーシング、40:ロータ、41:ベーン、43:中心孔、206:第1スキン層、306:第2スキン層、431:第1孔、432、436:第2孔

Claims (4)

  1. 筒部と当該筒部の一方の端部開口を塞ぐ板部とからなる有底筒状の上ケーシングと、
    前記上ケーシングの他方の端部開口を塞ぐことで前記板部および前記筒部との間にポンプ室を形成する板状の下ケーシングと、
    前記ポンプ室に回転可能に収容され、中心部を軸方向に貫く中心孔、および前記筒部の内周壁に対し摺動可能な複数のベーンを有する略円柱状のロータと、
    前記中心孔に緩く嵌合するシャフトを有し、当該シャフトを回転させることで前記ロータを回転駆動するモータと、を備え、
    前記上ケーシングは、表面に、前記ロータと摺動したとき磨耗する程度の耐磨耗性をもつ第1スキン層を有し、
    前記下ケーシングは、表面に、前記第1スキン層と略同じ厚み、かつ、略同じ耐磨耗性をもつ第2スキン層を有し、
    前記中心孔は、前記ロータの軸に平行な壁面に囲まれることにより形成される第1孔と、当該第1孔の軸方向端部のうち少なくとも一方に接続し、当該第1孔とは反対側の開口面の面積が、当該第1孔に接続する開口面の面積よりも大きな第2孔と、からなり、
    前記板部と前記下ケーシングとの距離をL、前記第1スキン層および前記第2スキン層の厚みをLs、前記ロータの外径をDr、前記ロータの軸方向の厚みをHr、前記ロータの軸を含む仮想平面と前記第2孔の前記第1孔に接続する開口面の外周端との交点のうちの一方を第1端点、前記仮想平面と前記第2孔の前記第1孔とは反対側の開口面の外周端との交点のうち前記ロータの軸に対し前記第1端点と同じ側にある交点を第2端点、前記第1端点および前記第2端点を通る仮想直線と前記ロータの軸とがなす角の角度をθとすると、
    前記第2孔は、
    Figure 2011117380
    の関係を満たすよう形成されていることを特徴とするベーン式ポンプ。
  2. 前記第2孔は、前記仮想直線を含み前記第1孔から離れるに従い前記ロータの軸から離れるように傾斜するテーパ状の壁面に囲まれることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベーン式ポンプ。
  3. 前記第2孔は、前記仮想直線よりも前記ロータの軸とは反対側に位置する壁面に囲まれることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベーン式ポンプ。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のベーン式ポンプを備え、
    前記ベーン式ポンプにより燃料タンクの内部を減圧または加圧して前記燃料タンクからの燃料蒸気の漏れを検出することを特徴とするエバポリークチェックシステム。
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