JP2011116910A - 回路基板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、多層プリント配線板および半導体装置 - Google Patents

回路基板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、多層プリント配線板および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、保存性に優れ、かつ高い耐熱性を有する回路基板用樹脂組成物を提供することである。また、前記回路基板用樹脂組成物を用いることにより、高い耐熱性及び低熱膨張性を有するプリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板および半導体装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の回路基板用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)シアネート樹脂、(C)一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレート及び(D)無機充填材を必須成分とすることを特徴とする。前記(C)一般式(1)で表される4級ホスホニウムを用いることにより、前記回路基板用樹脂組成物に、保存性、高耐熱性および低熱膨張性を付与することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、回路基板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、多層プリント配線板および半導体装置に関するものである。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、更には高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型薄型化かつ高密度化が進んでいる。
特に薄型化の場合、基板自体の剛性が低いため、リフローで部品を接続する際に反りが問題となる。そのため、シアネート樹脂を用いた樹脂組成物が、熱膨張率を下げ、ガラス転移温度を上昇させることができる点で有効に用いられる。
低熱膨張率と高耐熱性とを兼ね備えた樹脂組成物として、シアネート樹脂を用いた樹脂組成物が一般に知られている(例えば、特許文献1、2及び3に記載。)。低熱膨張率と高耐熱性を十分に発現するためには、シアネート樹脂のシアネート基が完全に反応し、環状構造を形成することが必要であるが、完全に反応させるためには高温で反応させることが必要であり、低温では十分に反応が進まないことから、低熱膨張率で十分な高耐熱性を有する樹脂組成物を得ることができなかった。また、従来の樹脂組成物に用いる触媒には、触媒の添加量が多いと保存性が低下するため低温での保存等の対策が必要であった。一方、触媒の添加量が少ないと、作製した基板の熱膨張率が高くなる、耐熱性が低くなるといった問題があり、樹脂組成物の保存性と低熱膨張率、耐熱性を両立することが困難であった。
また、フェノールフタレイン構造をもつシアネート樹脂を用いることで、シアネート基を完全に反応させる手法も用いられるが、このフェノールフタレイン構造が容易に加水分解するため、半田耐熱性やデスミア耐性が悪化する問題があった(例えば、特許文献4に記載)。
特開2007−277334号公報 特開2007−138075号公報 特開2004−59463号公報 特開2009−132886号公報
本発明の目的は、保存性に優れ、低線熱膨張、かつ高耐熱性を有するシアネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明の目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)シアネート樹脂、(C)一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレート及び(D)無機充填材を必須成分とする回路基板用樹脂組成物。
[式中、Pはリン原子、R1 、R2 、R3 及びR4 は、置換もしくは無置換の芳香族基、またはアルキル基、置換基を有するアルキル基であり、かつリン原子と各置換基がP−C結合を形成するものでそれらは同一であっても異なっても良い。また、Bはホウ素原子、X1、X2 、X3 及びX4は置換もしくは無置換の芳香族基、またはアルキル基、置換基を有するアルキル基であり、かつホウ素原子と各置換基がB−C結合を形成するものでそれらは同一であっても異なっても良い。]
(2)前記4級ホスホニウムボレートは、前記回路基板用樹脂組成物中に0.05〜10重量部含まれるものである前記(1)に記載の回路基板用樹脂組成物。
(3)前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートがテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートである前記(1)または(2)に記載の回路基板用樹脂組成物。
(4)前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートがテトラフェニルホスホニウムテトラトリルボレートである(1)又は(2)に記載の回路基板用樹脂組成物。
(5)前記(D)無機充填材は、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子を含むものである前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物。
(6)前記(D)無機充填材は、(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子を含むものである前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物。
(7)前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ。
(8)前記(7)に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有する積層板。
(9)前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物よりなる絶縁層をフィルム上、又は金属箔上に形成してなる樹脂シート。
(10)前記(7)に記載のプリプレグ、前記(8)に記載の積層板、および前記(9)に記載の樹脂シートからなる群より選ばれる少なくとも1つを用いて作製されるプリント配線板。
(11)前記(10)に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
本発明の回路用樹脂組成物は、保存性に優れ、線熱膨張率が低く、かつ高い耐熱性を有する。
以下、本発明の回路基板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、プリント配線板、及び半導体装置について説明する。
本発明の回路板用樹脂組成物は、ガラス繊維基材等の基材に含浸させプリプレグ、前記プリプレグを用いた積層板に用いることができる。
また、本発明の回路板用樹脂組成物は、優れた絶縁性を有することから、例えばプリント配線板の絶縁層に用いることができる。
さらに本願発明の回路用樹脂組成物は、低線膨張であり、耐熱性、及び導体回路との密着性に優れることから、半導体装置のインターポーザとして用いることができる。
半導体装置のプリント配線板としては、マザーボード及びインターポーザが知られている。インターポーザは、マザーボードと同様のプリント配線板であるが、半導体素子(ベアチップ)又は半導体パッケージとマザーボードの間に介在し、マザーボード上に搭載される。
インターポーザは、マザーボードと同様に、半導体パッケージを実装する基板として用いても良いが、マザーボードと異なる特有の使用方法としては、パッケージ基板又はモジュール基板として用いられる。
パッケージ基板とは、半導体パッケージの基板としてインターポーザが用いられたものである。半導体パッケージには、半導体素子をリードフレーム上に搭載し、両者をワイアボンディングで接続し、樹脂で封止するタイプと、インターポーザをパッケージ基板として用い、半導体素子を当該インターポーザ上に搭載し、両者をワイアボンディング等の方法で接続し、樹脂で封止するタイプとがある。
次に本発明の回路基板用樹脂組成物について詳細を説明する。
本発明の回路基板用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)シアネート樹脂、(C)一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレート及び(D)無機充填材を必須成分とする。このことにより、本発明の回路基板用樹脂組成物は、保存性に優れ、回路基板用樹脂組成物の硬化物は、線熱膨張率が低く、かつ高い耐熱性及び高い弾性率を有する。
前記(A)エポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂(4,4‘−イソプロピリデンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(4,4’−メチレンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールE型エポキシ樹脂(4,4‘−エチリデンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(4,4’−スルホニルビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’-(1,4)-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンノボラック型エポキシ樹脂、1,1,2,2−(テトラフェノール)エタンのグリシジルエーテル類、3官能、または4官能のグリシジルアミン類、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用もでき、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用することもできる。
これら(A)エポキシ樹脂の中でも特に、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびアントラセン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性および難燃性を向上させることができる。
前記(A)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の5重量%以上、50重量%以下とすることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると樹脂組成物の硬化性が低下したり、当該樹脂組成物より得られるプリプレグ、または多層プリント配線板の耐湿性が低下したりする場合がある。また、前記上限値を超えるとプリプレグ、または多層プリント配線板の線熱膨張率が大きくなったり、耐熱性が低下したりする場合がある。前記エポキシ樹脂の含有量は、好ましくは樹脂組成物全体の10重量%以上、40重量%以下である。
前記(A)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量1.0×10以上、2.0×10以下が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると絶縁樹脂層の表面にタック性が生じる場合が有り、前記上限値を超えると半田耐熱性が低下する場合がある。重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えばGPCで測定することができる。
前記(B)シアネート樹脂は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。これにより、得られる樹脂組成物の硬化物の線熱膨張を下げることができ、また耐熱性に優れるものとなる。さらに難燃性をより向上させることができる。
前記(B)シアネート樹脂の種類としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂などを挙げることができる。
前記(B)シアネート樹脂は、分子内に2個以上のシアネート基(−O−CN)を有することが好ましい。例えば、2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン、1,1'−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(4−シアナト-3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル−1−(1−メチルエチリデン))ベンゼン、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル、フェノールノボラック型シアネートエステル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2,2-ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4'−ジシアナトビフェニル、およびフェノールのノボラック型、クレゾールノボラック型の多価フェノール類とハロゲン化シアンとの反応で得られるシアネート樹脂等が挙げられる。これらの中で、フェノールノボラック型シアネート樹脂が難燃性、および低熱膨張性に優れ、2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン、およびジシクロペンタジエン型シアネートエステルが架橋密度の制御、および耐湿信頼性に優れている。特に、フェノールノボラック型シアネート樹脂が低熱膨張性の点から好ましい。また、更に他のシアネート樹脂を1種類あるいは2種類以上併用したりすることもでき、特に限定されない。
前記(B)シアネート樹脂は、単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なるシアネート樹脂を併用したり、前記シアネート樹脂とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応などにより、例えば3量化することで得られるものであり、樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
前記(B)シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、回路用樹脂組成物全体の1〜50重量%であることが好ましい。さらに好ましくは3〜30重量%である。これにより、シアネート樹脂は、効果的に耐熱性、および難燃性を発現させることができる。シアネート樹脂の含有量が前記下限値未満であると熱膨張性が大きくなり、耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると樹脂組成物を用いたプリプレグの強度が低下する場合がある。シアネート樹脂の含有量は、特に好ましくは回路用樹脂組成物の中に5〜25重量%である。
(C)4級ホスホニウムボレートは、前記一般式(1)で表される。式中、ホスホニウム側の置換基R1〜R4は、置換もしくは無置換の芳香族基、またはアルキル基、置換基を有するアルキル基であり、かつリン原子と各置換基がP−C結合を形成するものでそれらは同一であっても異なっても良い。このような基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、アリル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、エチルフェニル基、ナフチル基等を挙げることが出来る。
また、前記一般式(1)を構成するホスホニウム基としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム基、テトラトリルホスホニウム基、テトラエチルホスホニウム基、テトラメトキシホスホニウム基、テトラナフチルホスホニウム基、テトラベンジルホスホニウム基、エチルトリフェニルホスホニウム基、n-ブチルトリフェニルホスホニウム基、2-ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム基、トリメチルフェニルホスホニウム基、メチルジエチルフェニルホスホニウム基、メチルジアリルフェニルホスホニウム基、テトラ-n-ブチルホスホニウム基等を挙げることができる。
式中、ボレート側の置換基X1 〜X4は、置換もしくは無置換の芳香族基、またはアルキル基、置換基を有するアルキル基であり、かつホウ素原子と各置換基がB−C結合を形成するもので、それらは同一であっても異なっても良い。このような基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、アリル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、エチルフェニル基、ナフチル基等を挙げることが出来る。
また、前記一般式(1)を構成するボレート基としては、例えば、テトラフェニルボレート基、テトラトリルボレート基、テトラエチルボレート基、テトラナフチルボレート基、テトラベンジルボレート基等を挙げることができる。
本発明において、前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレート(C)は、活性種であるホスホニウムカチオンおよびボレートアニオンが、互いにイオン対を形成して保護されているために、常温では触媒活性が抑制されるが、成形時の温度ではイオン対がアニオンとカチオンに解離して、急激に触媒活性を発現するため、シアネート樹脂及びエポキシ樹脂組成物の常温保存性と硬化性の両立が可能となる。また、これらのホスホニウムボレートの組合わせや樹脂組成物への添加量により、樹脂組成物の硬化速度を容易に調整することが可能になり、成形性の面においても有利である。
前記(D)無機充填材は、特に限定されないが、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。これらの中でも、低熱膨張性、および絶縁信頼性の点で特にシリカが好しく、更に好ましくは、球状の溶融シリカである。また、耐燃性の点で、水酸化アルミニウムが好ましい。
前記(D)無機充填材の粒径は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上併用したりすることもできる。これらの中でも、多層プリント配線板の導体回路幅と導体回路間の幅(L/S)が15/15μm未満の場合は、絶縁信頼性の点で平均粒径1.2μm以下0.1μm以上で且つ5μm以上の粗粒カットされたものが好ましい。L/Sが15μm以上の場合は、平均粒径が5μm以下0.2μm以上で且つ20μm以上の粗粒が0.1%以下であることが好ましい。平均粒径が、前記下限値未満であると、流動性が著しく悪化し成形性が低下したりする。また、前記上限値を超えると、導体回路の絶縁性が低下したりする場合がある。尚、平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(島津製作所SALD−7000等の一般的な機器)を用いて測定することができる。
前記(D)無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記回路用樹脂組成物全体の40〜80重量%が好ましく、60〜75重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特にプリプレグの含浸性、および成形性に優れる。
さらに前記(D)無機充填材は、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子を含むことが好ましい。これにより、前記樹脂組成物の流動性の低下を抑制することができる。
前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子としては、例えば燃焼法などの乾式の溶融シリカや沈降法やゲル法などの湿式のゾルゲルシリカなどが挙げられる。これらの中でもナノサイズのシリカを予め有機溶媒に分散したスラリーが好ましい。これにより、分散性を向上することもできる。
このようなシリカを、予め有機溶媒に分散したスラリーを用いることで、前記(D)無機充填材を用いた際に生じる流動性の低下を抑制することができる理由は、次のように考えられる。まず、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子のようなナノサイズの粒子は、凝集し易く、樹脂組成物に配合する際に2次凝集体等を形成してしまうことが多いが、スラリー状のものを用いることで、このような2次凝集を防止することができ、それによって流動性が低下するのを防止することができる。次に、前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の表面電位と、前記(D)無機充填剤の表面電位との相違より、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子と前記(D)無機充填剤とが相互作用により引き付けられる。そのため、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子が、前記(D)無機充填剤の周囲に存在することになり、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子がスペーサー的な作用を発現することとなる。このように、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子がスペーサーとして作用することにより、前記(D)無機充填剤のファンデルワールス力による引き付け合う力を低減させ、凝集を防止する。これによって、前記(D)無機充填剤が、より高分散状態となり、流動性の低下を防止することができる。
前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の平均粒子径は、特に15〜90nmが好ましく、最も25〜75nmが好ましい。平均粒子径が前記範囲内であると、高充填性および高流動性にもより優れる。
前記平均粒子径は、例えば、超音波振動電流法(ゼータ電位)、超音波減衰分光法(粒度分布) およびレーザー回折散乱法により測定することができる。
無機充填材を水中で超音波により分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA製、LB−550)により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。具体的には、無機充填材の平均粒子径はD50で規定される。
前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の0.5〜20重量%が好ましく、1〜10重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特にプリプレグの含浸性、および成形性に優れる。
前記(D)無機充填剤中の前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の含有量は、特に限定されないが、2〜35wt%であることが好ましく、特に5〜30wt%であることが好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に成形性を向上することができる。
前記(D)無機充填材は、特に限定されないが、(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子を含むことが好ましい。前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子と併用することにより、含浸性、メッキ特性、耐熱性および寸法安定性を特に向上することができる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の平均粒子径は、特に0.3〜2.5μmが好ましく、最も0.4〜1.5μmが好ましい。平均粒子径が前記範囲内であると、特に(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の高充填化と作業性とのバランスを向上することができる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の平均粒子径の測定は、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の平均粒子径の測定方法と同様の方法を用いることができる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の平均粒子径の最大粒子径は特に限定されないが、10μm以下であることが好ましく、特に5μm以下であることが好ましい。これにより、ドリル加工時のビット折損率を低減することができる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ等が挙げられる。これらの中でもシリカが好ましく、特に球状の溶融シリカが好ましい。このような溶融シリカは、他の無機充填材と比較して低熱膨張性に優れるからである。また、前記球状シリカの製造方法は、特に限定されることなく、公知の方法によって得ることができる。前記球状シリカの製造方法としては、例えば乾式シリカ法、湿式シリカ法、ゾル-ゲル法によるシリカ製造方法等を挙げることができる
また、前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子としてはシリコンゴム微粒子もさらなる低線膨張化のためには好ましい。シリコンゴム微粒子は、オルガノポリシロキサンで形成されたゴム弾性微粒子であれば特に限定されず、例えば、シリコンゴム(オルガノポリシロキサン架橋エラストマー)そのものからなる微粒子、及びシリコンゴムからなるコア部をシリコーン樹脂で被覆したコアシェル構造粒子等が挙げられる。前記シリコンゴム微粒子としては、KMP−605、KMP−600、KMP−597、KMP−594(信越化学(株)製)、トレフィルE−500、トレフィルE−600(東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を用いることができる。
前記(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の含有量(w1)と、前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の含有量(w2)との重量比(w1/w2)は、特に限定されないが、0.02〜1.5であることが好ましく、特に0.05〜1.2であることが好ましい。重量比が前記範囲内であると、特に成形性に優れる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の比表面積は、特に限定されないが、1m/g以上、250m/g以下であることが好ましい。比表面積が前記上限値を超えると(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子同士が凝集しやすくなり、樹脂組成物の構造が不安定になる場合がある。また前記下限値未満であると樹脂組成物中に(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子を充填し難い場合がある。尚、比表面積は、BET法により求めることができる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子は、予め官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類で表面処理して用いてもよい。表面処理を予め施すことで、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子の凝集を抑制することができ、本発明の樹脂組成物中にシリカを良好に分散させることができる。また、(A)エポキシ樹脂及び(B)シアネート樹脂と(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の表面における密着性が向上するため、機械強度に優れる絶縁層が得られる。
前記官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類の官能基含有シラン類としては公知のものを使用することができる。例えばエポキシシラン、スチリルシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシラン、メルカプトシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメトキシルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルシラン、イソシアネートシラン、スルフィドシラン、クロロプロピルシラン、ウレイドシラン化合物等を挙げることができる。
前記アルキルシラザン類としては、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザンなどを挙げることができる。これらの中でもアルキルシラザン類としてはヘキサメチルジシラザン(HMDS)が好ましい。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子へ予め表面処理する官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類の量は、特に限定しないが、前記第3無機充填剤100重量部に対して0.01重量部以上、5重量部以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量部以上、3重量部以下が好ましい。カップリング剤の含有量が前記上限値を超えると、多層プリント配線板製造時において絶縁層にクラックが入る場合があり、前記下限値未満であると、樹脂成分と第3無機充填剤との結合力が低下する場合がある。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子を予め官能基含有シラン類及び/又はアルキルシラザン類で表面処理する方法は、特に限定されないが、湿式方式または乾式方式が好ましい。特に好ましくは湿式方式が好ましい。湿式方式の方が、乾式方式と比較した場合、前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の表面へ均一に処理することができる。
前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20重量%以上、85重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは25重量%以上、75重量%以下である。前記(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子の含有量が前記下限値未満であると、線熱膨張が高くなったり、吸水率が高くなったりする場合がある。また、前記上限値を超えると、樹脂組成物の流動性の低下により絶縁樹脂層の成形性が低下する場合がある。
尚、本発明において、含有成分の樹脂組成物に対する含有量とは、含有成分の溶解及び/又は分散を目的として含有させる溶剤を除いた成分の合計量を100重量%とするものである。
次に、プリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述の回路基板用樹脂組成物を基材に含浸させてなるものである。これにより、耐熱性等の各種特性に優れたプリプレグを得ることができる。
本発明のプリプレグで用いる基材としては、例えばガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら基材の中でも強度、吸水率の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材が好ましい。
前記回路基板用樹脂組成物を前記基材に含浸させる方法は、例えば、溶剤を用い回路基板用樹脂組成物を樹脂ワニスにし、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記回路基板用樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の固形分は、特に限定されないが、前記回路基板用樹脂組成物の固形分40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を更に向上できる。
前記基材に前記回路基板用樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることができる。
次に、樹脂シートについて説明する。
前記回路基板用樹脂組成物を用いた樹脂シートは、前記樹脂ワニスからなる絶縁層をキャリアフィルム、又は金属箔上に形成することにより得られる。
前記樹脂ワニス中の回路基板用樹脂組成物の含有量は、特に限定されないが、45〜85重量%が好ましく、特に55〜75重量%が好ましい。
次に前記樹脂ワニスを、各種塗工装置を用いて、キャリアフィルム上または金属箔上に塗工した後、これを乾燥する。または、樹脂ワニスをスプレー装置によりキャリアフィルムまたは金属箔に噴霧塗工した後、これを乾燥する。これらの方法により樹脂シートを作製することができる。
前記塗工装置は、特に限定されないが、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーターおよびカーテンコーターなどを用いることができる。これらの中でも、ダイコーター、ナイフコーター、およびコンマコーターを用いる方法が好ましい。これにより、ボイドがなく、均一な絶縁層の厚みを有する樹脂シートを効率よく製造することができる。
前記キャリアフィルムは、キャリアフィルムに絶縁層を形成するため、取扱いが容易であるものを選択することが好ましい。また、樹脂シートの絶縁層を内層回路基板面に積層後、キャリアフィルムを剥離することから、内層回路基板に積層後、剥離が容易であるものであることが好ましい。したがって、前記キャリアフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルムなどを用いることが好ましい。これらキャリアフィルムの中でも、ポリエステルで構成されるフィルムが最も好ましい。これにより、絶縁層から適度な強度で剥離することが容易となる。
前記キャリアフィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが好ましく、特に3〜50μmが好ましい。キャリアフィルムの厚さが前記範囲内であると、取扱いが容易で、また絶縁層表面の平坦性に優れる。
前記金属箔は、前記キャリアフィルム同様、内層回路基板に樹脂シートを積層後、剥離して用いても良いし、また、金属箔をエッチングし導体回路として用いても良い。前記金属箔は、特に限定されないが、例えば、銅及び/又は銅系合金、アルミ及び/又はアルミ系合金、鉄及び/又は鉄系合金、銀及び/又は銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金等の金属箔などを用いることができる。
前記金属箔の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上105μm以下であることが好ましい。さらには1μm以上70μm以下が好ましく、さらに好ましくは1.5μm以上35μm以下が好ましい。前記金属箔の厚さが上記下限値未満であると、金属箔が傷つきピンホールを発生する可能性がある。さらに、金属箔をエッチングし導体回路として用いた場合、回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込みなどが発生する可能性がある。一方、前記上限値を超えると、金属箔の厚みバラツキが大きくなったり、金属箔粗化面の表面粗さバラツキが大きくなったりする場合がある。
また、前記金属箔は、キャリア箔付き極薄金属箔を用いることもできる。キャリア箔付き極薄金属箔とは、剥離可能なキャリア箔と極薄金属箔とを張り合わせた金属箔である。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることで前記絶縁層の両面に極薄金属箔層を形成できることから、例えば、セミアディティブ法などで回路を形成する場合、無電解メッキを行うことなく、極薄金属箔を直接給電層として電解メッキすることで、回路を形成後、極薄銅箔をフラッシュエッチングすることができる。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることによって、厚さ10μm以下の極薄金属箔でも、例えばプレス工程での極薄金属箔のハンドリング性の低下や、極薄銅箔の割れや切れを防ぐことができる。前記極薄金属箔の厚さは、0.1μm以上10μm以下が好ましい。さらに、0.5μm以上5μm以下が好ましく、さらに1μm以上3μm以下が好ましい。前記極薄金属箔の厚さが前記下限値未満であると、キャリア箔を剥離後の極薄金属箔の傷つき、極薄金属箔のピンホールの発生、ピンホールの発生による回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路配線の断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込みなどが発生する場合があり、前記上限値を超えると、極薄金属箔の厚みバラツキが大きくなったり、極薄金属箔粗化面の表面粗さのバラツキが大きくなったりする場合がある。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、上述のプリプレグを少なくとも1枚成形してなるものである。これにより、優れた耐熱性と密着性を有し、誘電率や誘電正接が低い積層板を得ることができる。
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはキャリアフィルムを重ねる。
また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。尚、積層板に用いる金属箔あるいはキャリアフィルムは、前記樹脂シートに用いるものを用いることができる。
次に、プリプレグと金属箔、及び/またはキャリアフィルムとを重ねたものを加熱、加圧して成形することで積層板を得ることができる。
前記加熱する温度は、特に限定されないが、150〜240℃が好ましく、特に180〜220℃が好ましい。
また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
次に、プリント配線板について説明するが、プリント配線板の製造方法は特に限定されるものでない。例えば、以下のように製造することができる。
前記で得られた両面に銅箔を有する積層板を用意し、ドリル等によりスルーホールを形成し、メッキにより前記スルーホールを充填した後、積層板の両面に、エッチング等により所定の導体回路(内層回路)を形成し、導体回路を黒化処理等の粗化処理することにより内層回路基板を作製する。
本発明の回路用樹脂組成物を用いた場合、従来に比べ微細スルーホールを歩留まり良く形成することができ、また、スルーホール形成後の壁の凹凸が非常に小さなものとなる。
次に内層回路基板の上下面に、前述した樹脂シート、または前述したプリプレグを形成し、加熱加圧成形する。
具体的には、前記樹脂シート、またはプリプレグと内層回路基板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させる。その後、熱風乾燥装置等で加熱硬化させることにより内層回路基板上に絶縁層を形成することができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
または、前記樹脂シート、またはプリプレグを内層回路基板に重ね合わせ、これを平板プレス装置などを用いて加熱加圧成形することにより内層回路基板上に絶縁層を形成することもできる。
ここで加熱加圧成形する条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、圧力1〜4MPaで実施することができる。
上述した方法にて得られた積層体は、絶縁層表面を過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤などにより粗化処理した後、金属メッキにより新たな導電配線回路を形成することができる。
本発明の回路用樹脂組成物を用いた場合、従来に比べ微細配線加工に優れ、導体回路を形成した際の導体幅(ライン)、及び導体間(スペース)が非常に狭い配線を歩留まり良く形成することができる。
その後、前記絶縁層を加熱することにより硬化させる。硬化させる温度は、特に限定されないが、例えば、150℃〜240℃の範囲で硬化させることができる。好ましくは180℃〜220℃で硬化させることである。
次に、絶縁層に、炭酸レーザー装置を用いて開口部を設け、電解銅めっきにより絶縁層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図る。なお、外層回路には、半導体素子を実装するための接続用電極部を設ける。
その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
本発明の回路用樹脂組成物を用いた場合、ニッケル金メッキの際に従来のエポキシ樹脂組成物を用いた場合に比べ、絶縁層にニッケル金メッキが残ることがないため、電気信頼性に優れる。
次に、半導体装置について説明する。
半導体装置は、上述した方法にて製造されたプリント配線板に半導体素子を実装し、製造することができる。半導体素子の実装方法、封止方法は特に限定されない。例えば、半導体素子と多層プリント配線板とを用い、フリップチップボンダーなどを用いて多層プリント配線板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプの位置合わせを行う。その後、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間に液状封止樹脂を充填し、硬化させることで半導体装置を得ることができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.樹脂ワニスの調製
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)22.0重量%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、N−690)13.0重量%、無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(北興化学製、TPPK)0.11重量%に固形分が78%となるようにメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンと混合し、樹脂ワニスを得た。
2.プリプレグの作製
上記により調製した樹脂ワニスをガラスクロス基材(厚さ0.1mm 日東紡績社製)に含浸して、150℃で5分間乾燥させて、0.1mmのプリプレグを得た。
3.積層板の作製
上記により作成したプリプレグの両面に厚み12μmの銅箔(三井金属製、3EC−M3VLP)を重ねあわせて、220℃、3MPaで加熱加圧成形し、0.1mmの銅箔を両面に有する積層板を得た。
4.プリント配線板の作製
前記で得られた積層板に、0.1mmのドリルビットを用いてスルーホール加工を行った後、メッキによりスルーホールを充填した。さらに、両面をエッチングにより回路形成し、内層回路基板として用いた。前記内層回路基板の表裏に、前記で得られたプリプレグを重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させた。これを、熱風乾燥装置にて170℃で60分間加熱し硬化させて、積層体を得た。
次に、表面の電解銅箔層に黒化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ60μmのビアホールを形成した。次いで、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に15分浸漬後、中和してビアホール内のデスミア処理を行った。次に、フラッシュエッチングにより電解銅箔層表面を1μm程度エッチングした後、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成しパターン銅メッキし、温度200℃時間60分加熱してポストキュアした。次いで、メッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=20/20μmのパターンを形成した。
最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製、PSR4000/AUS308)を厚さ20μm形成しプリント配線板を得た。
5.半導体装置の製造
半導体装置の製造に用いるプリント配線板は、前記で得られたプリント配線板であって、半導体素子の半田バンプ配列に相当するニッケル金メッキ処理が施された接続用電極部を配したものを50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製、CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、多層プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
(実施例2)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを0.22重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例3)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを0.08重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例4)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートの代わりにテトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート(北興化学製、TPPMK)を0.18重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例5)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートの代わりにベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(アルドリッチ社製)を0.12重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例6)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートの代わりにテトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(アルドリッチ社製)を0.16重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例7)
2,2'−ビス(4−シアナトフェニル)イソプロピリデン(ハンツマン株式会社製、B−40S、3量化率40%)22.0重量%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製 N−690)13.0重量%、無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート0.11重量%に固形分が78%となるようにメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンと混合し、樹脂ワニスを得た以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例8)
無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%の代わりに球状シリカ(平均粒子径1μm)63.0重量%、球状シリカ(平均粒子径50nm)2.0重量%とした以外は実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例9)
無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%の代わりに球状シリカ(平均粒子径1μm)33.0重量%、球状シリカ(平均粒子径50nm)2.0重量%、シリコンパウダー(平均粒子径2μm)30.0重量部とした以外は実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例10)
α―ナフトールアラルキル型シアネート樹脂(特開2009−35728に記載の方法で合成した。)を22.0重量%、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製 N−690)13.0重量%、無機充填剤として球状シリカ(平均粒子径1μm)65.0重量%、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート0.11重量%に固形分が78%となるようにメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンと混合し、樹脂ワニスを得た以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例1)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートの代わりにナフテン酸コバルト(東京化成製)を0.09重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例2)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートの代わりにオクチル酸亜鉛(大崎工業製)を0.11重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例3)
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートの代わりに2−フェニルイミダゾール(四国化成製、2PZ)を0.09重量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、樹脂シート、積層板、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
得られた樹脂ワニス、プリプレグ、積層板、プリント配線板、半導体装置の評価方法について、以下に示す。
(1)樹脂ワニスの保存性
樹脂ワニスの保存性は、前記で得られた樹脂ワニス調整直後の170℃でのゲルタイム(t1)と樹脂ワニスを温度25℃、湿度50%で120時間放置した後の、170℃でのゲルタイム(t2)とから、下記式(I)により算出した。
樹脂ワニス保存性(%)=(t2/t1)x100 (I)
(2)プリプレグ含浸性
得られた金属張積層板の断面観察を行った。断面観察は、走査電子顕微鏡を用いた。含浸性は、断面観察結果において、観察されたボイドの面積で評価した。
○:全面積10%未満の箇所で、未含浸ボイドが見られたが、実用可能レベルであった。
△:全面積10〜30%の箇所で、未含浸ボイドが見られ、実用不可であった。
×:全面積50%以上の箇所で、未含浸ボイドが見られ、実用不可であった。
(3)ガラス転移温度
前記で得られた両面に銅箔を有する積層板の銅箔を全面エッチングし、所定のサイズの試料を切り出し、DMA装置(TAインスツルメント社製DMA2980)を用いて5℃/分の割合で昇温しながら、周波数1Hzの歪みを与えて動的粘弾性の測定を行った。ガラス転移温度は、tanδが最大値を示す温度とした。
(4)線膨張係数
得られた金属張積層板の銅箔をエッチングにより除去し、評価用試料として2mm×2mmを採取し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて、10℃/分の条件で、30〜150℃まで昇温させ、50〜100℃における厚み方向(Z方向)の線膨張係数(CTE)を測定した。
(5)半田耐熱性
得られた積層板を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/4だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して評価した。評価は、121℃、100%、2時間、PCT吸湿処理を行った後に、288℃の半田槽に30秒間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。
(6)反応率
反応率は、DSC装置(TAインスツルメント社製示差走査熱量測定DSC2920)を用い測定することにより求めた。
未反応のシアネート樹脂組成物と、シアネート樹脂組成物の硬化物の双方についてDSCの反応による発熱ピークの面積を比較することにより、下記式(II)により求めた。なお、測定は昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下で行った。
反応率(%)=(1−シアネート樹脂組成物の硬化物の反応ピークの面積/未反応のシアネート樹脂組成物の反応ピーク面積)×100 (II)
ここで、未反応のシアネート樹脂組成物の硬化物の発熱ピークは、本発明の実施例および比較例の樹脂ワニスを基材に含浸し、40℃で10分風乾後、40℃、1kPaの真空下、1時間で、溶剤を除去したものを試料として、DSC測定を行った際に得られた発熱ピークである。
シアネート樹脂組成物の硬化物の発熱ピークは、前記実施例および比較例の両面銅張積層板の銅箔をエッチングし、表面より樹脂を削り取ったものを試料としてDSC測定を行った際の発熱ピークである。
(7)基板の反り
温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製、形式LS220−MT100MT50)を用い、前記測定機のサンプルチャンバーに前記で得られた半導体装置の半導体素子面を下にして設置し、多層プリント配線板の高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。
得られた評価結果を表1に示す。
表中の樹脂等について、以下に詳細に示す。
1)ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30
2)大日本インキ化学工業社製 N−690
3)アドマテックス社製 SO−25R(平均粒径1μm)
4)トクヤマ社製、NSS−5N(平均粒子径70nm)
5)信越化学工業(株)製、KMP−605(平均粒子径2μm)
表1から明らかなように、実施例1〜10は、いずれもエポキシ樹脂、シアネート樹脂、前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレート及び(D)無機充填材を必須成分とする樹脂組成物であり、樹脂ワニス保存性に優れていた。またこの樹脂組成物を用いた積層板は半田耐熱性、その他の性能に優れていた。さらに、前記積層板を用いて作製した半導体装置は、前記積層板の高ガラス転移温度、低線膨張係数といった特徴に起因して、基板の反りが抑制されたものとなった。
これに対し、前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートの代わりにコバルト塩を触媒として用いた比較例1は樹脂ワニス保存性が十分でなく、プリプレグの含浸性も悪かった。また線膨張係数も大きく、半田耐熱性試験において膨れが発生し、基板の反りも大きかった。
また、一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートの代わりに亜鉛塩を触媒として用いた比較例2はプリプレグの含浸性が悪かった。また、線膨張係数も大きく、半田耐熱性試験において膨れが発生し、基板の反りも大きかった。
また、一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートの代わりに、イミダゾール化合物を触媒として用いた比較例3は、樹脂ワニス保存性が十分でなく、プリプレグの含浸性が悪かった。また反応率の結果から、反応が十分でなく、220℃で180分のプレス条件では、成形できないことが分かった。このため線膨張係数も大きく基板の反りも大きかった。
本発明の回路基板用樹脂組成物は、ガラス転移温度が高く、半田耐熱性に優れ、線膨張係数が低いため、より薄型で高性能が要求されるインターポーザ、半導体装置に有用に用いることができる。

Claims (11)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)シアネート樹脂、(C)一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレート及び(D)無機充填材を必須成分とする回路基板用樹脂組成物。
    [式中、Pはリン原子、R1 、R2 、R3 及びR4 は、置換もしくは無置換の芳香族基、またはアルキル基、置換基を有するアルキル基であり、かつリン原子と各置換基がP−C結合を形成するものでそれらは同一であっても異なっても良い。また、Bはホウ素原子、X1、X2 、X3 及びX4は置換もしくは無置換の芳香族基、またはアルキル基、置換基を有するアルキル基であり、かつホウ素原子と各置換基がB−C結合を形成するものでそれらは同一であっても異なっても良い。]
  2. 前記4級ホスホニウムボレートは、前記回路基板用樹脂組成物中に0.05〜10重量部含まれるものである請求項1記載の回路基板用樹脂組成物。
  3. 前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートがテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートである請求項1または2に記載の回路基板用樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)で表される4級ホスホニウムボレートがテトラフェニルホスホニウムテトラトリルボレートである請求項1または請求項2記載の回路基板用樹脂組成物。
  5. 前記(D)無機充填材は、(D1)平均粒子径が10〜100nmの無機粒子を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物。
  6. 前記(D)無機充填材は、(D2)平均粒子径が0.2〜3μmの無機粒子を含むものである請求項1ないし5のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ。
  8. 請求項7に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせた積層体の少なくとも片面に金属箔を有する積層板。
  9. 請求項1ないし6のいずれかに記載の回路基板用樹脂組成物よりなる絶縁層をフィルム上、又は金属箔上に形成してなる樹脂シート。
  10. 請求項7に記載のプリプレグ、請求項8に記載の積層板、および請求項9に記載の樹脂シートからなる群より選ばれる少なくとも1つを用いて作製されるプリント配線板。
  11. 請求項10に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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