JP2011115809A - 連続鋳造用鋳型の異常検出方法及び連続鋳造用鋳型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水冷銅板がバックプレート12に複数の締結ボルト13、14で固着されている連続鋳造用鋳型を用い、複数の締結ボルト13、14の1又は2以上に歪みゲージ18、19を入れ、鋳造作業中に締結ボルト13、14に発生する応力を監視するので、鋳造作業を安定に実施して良好な品質の鋳片を製造できると共に、鋳型の長寿命化も図れる。
【選択図】図1
Description
鋳片の製造に際しては、水冷銅板内で形成される凝固シェルの成長を確実に行う必要があるが、凝固シェルの成長が不安定な場合、凝固シェルが破れ、未凝固の溶鋼が流出するブレークアウトが発生し、例えば、鋳造作業の中断、又は長時間の休止、更には設備損傷のような事故を招く恐れがある。
そこで、水冷銅板に複数の熱電対を埋設し、これら熱電対の温度変化等を検出する鋳型が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
連続鋳造時の溶鋼からの熱による熱変形には、図5(A)、(B)に示すように、水冷銅板からなる長辺(長片ともいう)91と、この裏側に締結ボルトで取付けられたバックプレート92とが、また図5(C)、(D)に示すように、水冷銅板からなる短辺(短片ともいう)93とこの裏側に締結ボルトで取付けられたバックプレート94とが、一体的に熱変形する。
このとき、長辺91又は短辺93がバックプレート92、94よりも大きく変形する。なお、これらの水冷銅板を有する鋳型は、図5(A)、(B)に示すように、間隔を有して対向配置された一対の短辺93の幅方向両側が、一対の長辺91で挟み込まれた形状となっている。
なお、水冷銅板の温度を検出する方法では、鋳型の長期使用に伴う水冷銅板の摩耗による損傷も検出できない。このため、寿命よりも早期に鋳型を交換しなければならず、鋳型の長寿命化を図ることができない。
前記複数の締結ボルトの1又は2以上に歪みゲージを入れ、鋳造作業中に前記締結ボルトに発生する応力を監視する。
前記複数の締結ボルトの1又は2以上に、鋳造作業中に前記締結ボルトに発生する応力を監視できる歪みゲージを入れている。
また、鋳型の長期使用に伴い、水冷銅板が摩耗してその厚みが薄くなってきた場合には、荷重が変化するため、その荷重が締結ボルトの歪みゲージで検出される。
従って、鋳造作業を安定に実施して良好な品質の鋳片を製造できると共に、鋳型長寿命の監視も可能となる。
まず、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型について説明した後、連続鋳造用鋳型の異常検出方法について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型ともいう)は、間隔を有して対向する長辺(長片ともいう)と、その間に挟まれて間隔を有して対向する短辺(短片ともいう)10をそれぞれ構成する水冷銅板を有し、この一対の長辺と一対の短辺10によって形成され上下方向に貫通した鋳型内部11に溶鋼を供給して冷却しながら鋳片を製造するものである(図5(A)、(B)参照)。
これにより、例えば、幅が600mm以上3000mm以下程度、厚みが50mm以上300mm以下程度のスラブを製造できる。
歪みゲージ18を締結ボルト13に入れるに際しては、締結ボルト13の頂部からその軸心に沿って、例えば、径が1.5〜3mm程度の穴22を形成し、この穴22内に歪みゲージ18のセンサー部20を入れて接着剤で固定する。このとき、歪みゲージ18のセンサー部20の先端位置をバックプレート12内に納める。なお、使用にあっては事前に荷重の校正を行う。
特に、連続鋳造時における短辺10及び長辺に発生する熱変形は、短辺10及び長辺の内側中央部、即ち、湯面(メニスカス)位置近傍に大きく発生するので、少なくともこの範囲に配置される締結ボルト13、14に、歪みゲージ18、19を入れることが好ましい。具体的には、湯面位置(短辺10の上端位置から下方へ100mm)から上方へ50mmの上位置から、湯面位置から下方へ200mmの下位置までの範囲である。
図1に示すように、締結ボルト13、14に歪みゲージ18、19を入れた鋳型を準備し、連続鋳造を行う。これにより、鋳造作業中に締結ボルト13、14に発生する応力を監視できる。
このように、連続鋳造を行うと、溶鋼からの熱により短辺10が熱変形する(図5(C)、(D)参照)。このとき、締結ボルト13、14に緩みが発生したとすると、締結ボルト13、14にかかる荷重が初期値(鋳造開始時)よりも低くなり、その結果、歪みゲージ18、19から得られる値も小さくなる。
そこで、このような場合は、緩んだ締結ボルト13、14を締め直すことで、短辺10とバックプレート12との間からの冷却水の漏れ出しを防止でき、水冷銅板内で形成される凝固シェルを、安定に成長させることができる。
この結果、荷重が変化し、締結ボルト13、14にかかる荷重が初期値よりも低くなり、歪みゲージ18、19から得られる値も小さくなる。
そこで、このような現象が発生した後に、鋳造作業を中断し、鋳型の交換を行うことで、鋳型を適正期間使用することが可能となる。
従って、本発明の連続鋳造用鋳型の異常検出方法を使用することで、鋳造作業を安定に実施して良好な品質の鋳片を製造できると共に、鋳型の長寿命化も図れる。
使用した鋳型は、従来公知の連続鋳造機に使用する鋳型である。
この鋳型において、鋳造作業中に締結ボルトに発生する応力の監視は、短辺の上端位置から下方へ200mm付近で、短辺の幅方向両側のコーナー部に配置された締結ボルトに入れた歪みゲージで行った(図1参照)。なお、溶鋼の湯面位置(メニスカス位置)は、短辺上端から下方へ100mm程度の位置である。
また、鋳造速度は、図2(A)に示す推移、即ち100cm/分から150cm/分へ上昇させた。
図3から明らかなように、鋳片の鋳造速度の上昇に伴い、短辺の温度も上昇する傾向にあることが分かった。
図2(B)から、短辺とバックプレートとの間の距離も、鋳片の鋳造速度の上昇による短辺の温度上昇に伴って広がることが分かった。つまり、短辺は、短辺の温度変化により、熱変形することが分かる。
その結果、図2(C)に示すように、締結ボルトにかかる荷重(ボルト反力)も上昇した。なお、締結ボルトにかかる荷重は、鋳片の鋳造速度の上昇に比例して上昇することが、図4からも明らかである。
以上から、本発明の連続鋳造用鋳型の異常検出方法及び連続鋳造用鋳型を使用することで、鋳造作業を安定に実施して良好な品質の鋳片を製造できると共に、鋳型の長寿命化も図れる。
鋳型の構造は、水冷銅板の裏側に締結ボルトでバックプレートが固着された構造であれば、前記実施の形態に示した構造に限定されるものではない。例えば、従来公知の垂直曲げ型の連続鋳造機に使用する鋳型でもよく、また湾曲型の連続鋳造機に使用する鋳型でもよい。
そして、前記実施の形態では、一対の短辺のうち片方の短辺を固着する締結ボルトに歪みゲージを取付け、締結ボルトに発生する応力を監視した場合について説明したが、歪みゲージを、双方の短辺を固着する締結ボルトに、また一対の長辺の片方又は双方を固着する締結ボルトに、更には、一対の短辺の双方及び一対の長辺の双方を固着する締結ボルトに、それぞれ取付けてもよい。
Claims (2)
- 水冷銅板がバックプレートに複数の締結ボルトで固着されている連続鋳造用鋳型の異常検出方法において、
前記複数の締結ボルトの1又は2以上に歪みゲージを入れ、鋳造作業中に前記締結ボルトに発生する応力を監視することを特徴とする連続鋳造用鋳型の異常検出方法。 - 水冷銅板がバックプレートに複数の締結ボルトで固着されている連続鋳造用鋳型において、
前記複数の締結ボルトの1又は2以上に、鋳造作業中に前記締結ボルトに発生する応力を監視できる歪みゲージを入れたことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
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