JP2011113050A - プラスチック光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のプラスチック光学部材は、プラスチック製光学基材上にプライマーコート層及びハードコート層が、この順に塗工されているプラスチック光学部材であって、前記プライマーコート層に帯電防止材料を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(2)本発明のプラスチック光学部材は、前記帯電防止材料が、非重合性の窒素オニウムカチオンと、フッ素原子及びスルホニル基を構造に持つ配位アニオンとからなる窒素オニウム塩、酸化スズ、五酸化アンチモン、並びに、帯電防止性能を有するポリウレタンから選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。
(3)本発明のプラスチック光学部材は、前記プライマーコート層の表面抵抗率が、1013Ω/□未満であることが好ましい。
(4)本発明のプラスチック光学部材は、反射防止膜が、前記ハードコート層の上に積層されていることが好ましい。
(5)本発明のプラスチック光学部材は、最表層に、撥水膜又は撥油膜が積層されていることが好ましい。
(6)本発明のプラスチック光学部材は、表面抵抗率が、1013Ω/□未満であることが好ましい。
ポリウレタンとしては、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス150」、「スーパーフレックス460」などが挙げられる。
また、抵抗率が低い帯電防止性能を有する水分散型ポリウレタンも好ましい。
帯電防止性能を有する水分散型ポリウレタンとしては、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス300」が挙げられる。
尚、本明細書において、「プライマーコート層に帯電防止材料を含有する」とは、プライマーコート層に上記帯電防止材料を配合することを意味するだけでなく、プライマーコート層の主材であるポリウレタン樹脂自体が、帯電防止性能を有することも意味する。
反射防止膜に帯電防止効果を付与する場合、入射した光の反射を防止する機能や層の密着性の維持を考慮する必要があり、これらの機能維持との兼ね合いから、プライマーコート層に帯電防止材料を配合する場合と比べ、自由に帯電防止材料を選ぶことができない。
一方、プライマー層においては、上述したような種々の帯電防止材料を選ぶことができる。
窒素オニウムカチオンとしては、4級アンモニウム、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、ピロリジニウム系のもの等が挙げられ、ピリジニウム系が好ましい。
配位アニオンとしては、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド及びフルオロアルキルスルホネート等が挙げられ、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、フルオロアルキルスルホネートが好ましく、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドがより好ましい。
例えばディッピングコーティング法を用いる場合、プライマー層は、プライマーコーティング液にプラスチック製光学基材を浸漬し、その後引き上げて乾燥することにより基材上に形成することができる。
エポキシ基導入トリアルコキシシランとしては、アルキルトリアルコキシシランのグリシジルエーテル置換型や3,4−エポキシシクロヘキシル置換型が挙げられ、グリシジルエーテル置換型が好ましい。
例えば、ディッピング法を用いる場合、ハードコート層は、ハードコーティング液に基材を浸漬し、その後引き上げて乾燥することにより、基材上に所定の厚さで形成することができる。
反射防止膜は、入射した光の反射を防止する機能を有する。具体的には、400nm〜700nmの可視領域全域にわたって、低い反射特性(広帯域低反射特性)を有することなどの光学性能が要求されている。更に、密着性、耐擦傷性、耐熱性、耐薬品性などの物性が付与されてもよい。
前記反射防止膜の形成においては、単層形成、多層形成のどちらでもよい。
多層形成の場合、反射防止膜は、ハードコート層の上に、低屈折率層と高屈折率層の反射防止膜とを交互に積層した多層膜構造とすることが好ましい。
前記反射防止膜に用いられるものとして、高屈折率膜としては、チタン、ジルコン、アルミニウム、タンタル、ランタンの酸化物が挙げられ、低屈折率膜としては、シリカの酸化物等が挙げられる。又、中空酸化ケイ素を使用した湿式反射防止膜を用いてもよい。
例えば、ディッピング法を用いる場合、含フッ素シラン化合物を有機溶剤に溶解した液中に、反射防止膜つきレンズを浸漬し、一定条件で引き上げて塗布する。有機溶剤としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフルオライドなどが使用できる。
プライマーコーティング組成物の調製:P−1
不揮発分30%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス150」)120質量部に対し、帯電防止材料として固形分30%の酸化錫、五酸化アンチモンコロイド(日産化学株式会社製、商品名「HX−307WM1」)360質量部、メチルアルコール520質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分40%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス460」)90質量部に対し、帯電防止材料として固形分30%の酸化錫、五酸化アンチモンコロイド(日産化学株式会社製、商品名「HX−307WM1」)370質量部、メチルアルコール540質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分30%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス150」)120質量部に対し、帯電防止材料として固形分50%のリン酸ドープ酸化スズコロイド(日産化学株式会社製、商品名「CX−S」)220質量部、メチルアルコール660質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分40%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス460」)120質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化チタンコロイド(日揮触媒化成株式会社製、商品名「NIESS−10」)320質量部、帯電防止材料としてピリジニウムフルオロアルキルスルホンイミド系イオン性液体(窒素オニウム塩)(日本カーリット社製、商品名「CIL312」)5.0質量部、メチルアルコール560質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分30%の帯電防止水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス300」)170質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化チタンコロイド(日揮触媒化成株式会社製、商品名「NIESS−10」)330質量部、メチルアルコール500質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分40%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス460」)130質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化チタンコロイド(日揮触媒化成株式会社製、商品名「NIESS−10」) 330質量部、メチルアルコール540質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分30%の帯電防止水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス300」)250質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化シリカ(日産化学株式会社製、商品名「メタノールシリカゾル」) 250質量部、メチルアルコール500質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分30%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス150」)200質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化シリカ(日産化学株式会社製、商品名「メタノールシリカゾル」) 240質量部、帯電防止材料としてピリジニウムフルオロアルキルスルホンイミド系イオン性液体(窒素オニウム塩)(日本カーリット社製、商品名「CIL312」)8.0質量部、メチルアルコール560質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分40%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス460」)200質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化シリカ(日産化学株式会社製、商品名「メタノールシリカゾル」) 240質量部、帯電防止材料としてピリジニウムフルオロアルキルスルホンイミド系イオン性液体(窒素オニウム塩)(日本カーリット社製、商品名「CIL312」)8.0質量部、メチルアルコール560質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
不揮発分30%の水分散型ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス150」)200質量部に対し、金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化シリカ(日産化学株式会社商品名「メタノールシリカゾル」) 240質量部、メチルアルコール560質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社商品名「L7001」)1.0質量部を添加後、攪拌し、プライマーコーティング液を得た。
市販のポリエピスルフィド樹脂(nd=1.74、νd=33)を用いたプラスチック製光学基材を、カセイソーダ水溶液に浸漬洗浄乾燥後、上記プライマーコーティング組成物に浸漬し、引き上げ、70℃x30分の条件で予備乾燥を行い、プライマーコート層を形成した。
1)加水分解物の調製
反応容器にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−403」)160質量部を投入し、攪拌しながら0.1N塩酸水溶液40質量部を徐々に滴下し一昼夜加水分解を行い、有機ケイ素化合物の加水分解物を得た。
2)ハードコーティング組成物の調製
加水分解物に帯電防止材料として、固形分30%の酸化錫、五酸化アンチモンコロイド(日産化学株式会社製、商品名「HX−307WM1」)550質量部、金属触媒としてアセチルアセトンアルミニウムC15H21AlO65質量部、メチルアルコール250質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1質量部を添加後に攪拌し、ハードコーティング液を得た。
1)加水分解物の調製
反応容器にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−403」)200質量部を投入し、攪拌しながら0.1N塩酸水溶液50質量部を徐々に滴下し、一昼夜加水分解を行い、有機ケイ素化合物の加水分解物を得た。
2)ハードコーティング組成物の調製
加水分解物に金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化チタンコロイド(日揮触媒化成株式会社製、商品名「NIESS−10」) 450質量部、金属触媒としてアセチルアセトンアルミニウムC15H21AlO65質量部、メチルアルコール300質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1質量部を、添加後に攪拌し、ハードコーティング液を得た。
1)加水分解物の調製
反応容器にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−403」)240質量部を投入し、攪拌しながら0.1N塩酸水溶液50質量部を徐々に滴下し、一昼夜加水分解を行い、有機ケイ素化合物の加水分解物を得た。
2)ハードコーティング組成物の調製
加水分解物に金属酸化物微粒子として固形分30%の酸化シリカコロイド(日産化学株式会社製、商品名「メタノールシリカゾル」) 350質量部、金属触媒としてアセチルアセトンアルミニウムC15H21AlO62.5質量部、エチレンジアミン四酢酸アルミニウムナトリウム水和物C10H12N2O8AlNa・nH2O2.5質量部、メチルアルコール350質量部、界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L7001」)1質量部を、添加後に攪拌し、ハードコーティング液を得た。
プライマーコーティング組成物塗布後のレンズ基材を、上記ハードコーティング組成物に浸漬し、引き上げ、70℃x30分の条件で加熱処理を行い、ハードコート層を形成した。
プライマーコート層、ハードコート層を形成したプラスチックレンズ基材を、蒸着装置に入れ、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させた。反射防止膜の層構成を、ハードコート層側から順に、以下に示す。
第1層:SiO2 nd=0.1λ、nλ=30nm
第2層:ZrO2 nd=0.16λ、nλ=37nm
第3層:SiO2 nd=0.06λ、nλ=20nm
第4層:ZrO2 nd=0.25λ、nλ=58nm
第5層:SiO2 nd=0.28λ、nλ=93nm
上記5層を形成して反射防止膜を施した。尚、ndは屈折率、nλは膜厚を表す。
プライマーコート層、ハードコート層を形成したプラスチックレンズ基材を蒸着装置に入れ、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させた。反射防止膜の層構成を、ハードコート層側から順に、以下に示す。
第1層:SiO2 nd=0.1λ、nλ=30nm
第2層:ZrO2 nd=0.16λ、nλ=37nm
第3層:SiO2 nd=0.06λ、nλ=20nm
第4層:ZrO2 nd=0.25λ、nλ=55nm
第5層:ITO nd=0.015λ、nλ=3.5nm
第6層:SiO2 nd=0.28λ、nλ=93nm
上記6層を形成して反射防止膜を施した。尚、ndは屈折率、nλは膜厚を表す。
オプツール−AES4(撥水撥油剤濃度20%溶液)2質量部、KY−164(撥水撥油剤濃度20%))2質量部を住友スリーエム製フッ素系溶剤ノベックHFE−7200796質量部に溶解し、0.1質量%撥水撥油剤を得た。この溶液に、反射防止膜付きプラスチックレンズを5秒間浸漬し、その後10mm/秒の速度で引き上げを行った後、50℃で1時間、安定化を行い、撥水撥油膜を形成した。
(1) 表面抵抗率(単位:Ω/□)
実施例及び比較例で得られた眼鏡レンズの表面抵抗率を三菱化学アナリテック社製「ハイレスタMCP HT450」URSプローブを用い、表面抵抗率モードにて測定した。判定基準を以下に示した。
○:表面抵抗率 1013Ω/□未満
×:表面抵抗率 1013Ω/□以上
日本製紙クレシア製「キムワイプS−200」にて、実施例及び比較例で得られたプラスチックレンズの表面を20往復擦り、擦った面をシリカ粉に近づけシリカ粉の付着の有無を確認した。判定基準を以下に示した。
○:静電電位 0.2kV未満
×:静電電位 0.2kV以上
日本製紙クレシア製「キムワイプS−200」にて、実施例及び比較例で得られたプラスチックレンズの表面を20往復擦り、擦った直後に発生した静電電位を測定器(ホーザン株式会社製「Z−201」)を用いて測定した。判定基準を以下に示した。
○:発泡スチロールビーズ付着なし
×:発泡スチロールビーズ付着あり
砂消しゴムに400gの荷重を加え、プラスチック表面を30往復擦り、レンズの傷つきを評価した。判定基準を以下に示した。
◎:細かいキズが僅かにある。
○:細かいキズが多数あり。
△:細かいキズと太いキズが混在。
×:太いキズが多数あり。
眼鏡レンズに色や曇りが生じていた場合には、「有り」、生じていない場合には、「無し」と判定した。
一方、帯電防止材料を含有しないプライマーコーティング組成物P−6、P−10を塗布した参考例9、10、ハードコーティング組成物H−1、H−2、H−3を塗布した参考例11〜13における眼鏡レンズの表面抵抗率は1013Ω/□以上であった。
以上、表1の試験結果より、プライマーコートに帯電防止材料を配合することにより、持続性よく良好な帯電防止効果が得られることが分かった。
一方、帯電防止材料を含有しないプライマーコーティング組成物P−6、P−10を塗布した比較例1、2、5における眼鏡レンズの表面抵抗率は1013Ω/□以上であった。比較例3、4、6における眼鏡レンズの表面抵抗率は1013Ω/□未満であったが、ITO含有反射膜A−2を用いているためレンズに着色が観察された。
以上、表2の試験結果より、プライマーコートに帯電防止材料を配合する事により、持続性よく良好な帯電防止効果を持つ眼鏡レンズが得られることが分かった。
以上の結果は、眼鏡レンズの他、カメラ用レンズ、フィルター、プリズム、反射鏡等のプラスチック光学部材においても同様の効果を奏することが明らかである。
Claims (6)
- プラスチック製光学基材上に、プライマーコート層及びハードコート層が、この順に塗工されているプラスチック光学部材であって、前記プライマーコート層に帯電防止材料を含有することを特徴とするプラスチック光学部材。
- 前記帯電防止材料が、非重合性の窒素オニウムカチオンと、フッ素原子及びスルホニル基を構造に持つ配位アニオンとからなる窒素オニウム塩、酸化スズ、五酸化アンチモン、並びに、帯電防止性能を有するポリウレタンから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載のプラスチック光学部材。
- 前記プライマーコート層の表面抵抗率が、1013Ω/□未満である請求項1又は2に記載のプラスチック光学部材。
- 反射防止膜が、前記ハードコート層の上に積層された請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック光学部材。
- 最表層に、撥水膜又は撥油膜が積層された請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック光学部材。
- 表面抵抗率が、1013Ω/□未満である請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチック光学部材。
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