JP2011111487A - シーラー用樹脂エマルション - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内層が芳香族系単量体85〜100重量%及びエチレン性不飽和単量体0〜15重量%を含有する単量体成分を乳化重合させてなる重合体で構成され、内層を構成する重合体と外層を構成する重合体との重量比(内層を構成している重合体/外層を構成する重合体)が10/90〜60/40、エマルション粒子における内層を構成する重合体と外層を構成する重合体との合計含有量が40〜100重量%、前記全単量体成分におけるスチレンの含有量が5〜40重量%、スチレン以外の単量体の含有量が60〜95重量%、外層に用いられる単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体の含有量が1〜10重量%、カルボキシル基含有単量体以外の単量体の量が90〜99重量%、エマルション粒子のガラス転移温度が−70〜10℃であるシーラー用樹脂エマルション。
【選択図】なし
Description
(1)内層および外層を有するエマルション粒子を含有する樹脂エマルションであって、前記内層が芳香族系単量体85〜100重量%およびエチレン性不飽和単量体0〜15重量%を含有する単量体成分を乳化重合させてなる重合体で構成され、内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との重量比(内層を構成している重合体/外層を構成している重合体)が10/90〜60/40であり、エマルション粒子における内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との合計含有量が40〜100重量%であり、前記エマルション粒子の原料として用いられる全単量体成分におけるスチレンの含有量が5〜40重量%で、スチレン以外の単量体の含有量が60〜95重量%であり、外層の原料として用いられる単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体の含有量が1〜10重量%で、カルボキシル基含有単量体以外の単量体の量が90〜99重量%であり、エマルション粒子のガラス転移温度が−70〜10℃であるシーラー用樹脂エマルション、
(2)エマルション粒子の原料として用いられる全単量体成分におけるスチレン以外の単量体が、スチレン以外の芳香族系単量体およびエチレン性不飽和単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体を含有する前記(1)に記載のシーラー用樹脂エマルション、
(3)スチレン以外の芳香族系単量体が、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンおよびアラルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である前記(2)に記載のシーラー用樹脂エマルション、
(4)外層の原料として用いられる単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体以外の単量体が、芳香族系単量体およびカルボキシル基含有単量体以外のエチレン性不飽和単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシーラー用樹脂エマルション、
(5)カルボキシル基含有単量体以外のエチレン性不飽和単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体およびエポキシ基含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である前記(4)に記載のシーラー用樹脂エマルション、および
(6)内層および外層を有するエマルション粒子を含有する樹脂エマルションの製造方法であって、芳香族系単量体85〜100重量%およびエチレン性不飽和単量体0〜15重量%を含有する単量体成分を乳化重合させることによって内層を形成し、カルボキシル基含有単量体1〜10重量%およびカルボキシル基含有単量体以外の単量体90〜99重量%を含有する単量体成分を乳化重合させることによって外層を形成し、内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との重量比(内層を構成している重合体/外層を構成している重合体)を10/90〜60/40に調整し、エマルション粒子における内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との合計含有量を40〜100重量%に調整し、前記エマルション粒子の原料として用いられる全単量体成分におけるスチレンの含有量を5〜40重量%に、スチレン以外の単量体の含有量を60〜95重量%に調整し、エマルション粒子のガラス転移温度を−70〜10℃に調整するシーラー用樹脂エマルションの製造方法
に関する。
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(重量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
〔シーラー用樹脂エマルションにおける不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔シーラー用樹脂エマルション1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水46部を仕込んだ。
実施例1において、単量体成分を表1に示すように変更し、単量体15部あたりの量が2部となるように25%乳化剤水溶液の量を調整し、不揮発分量に合わせてフラスコ内に仕込む脱イオン水の量を調整し、各層を形成する際に単量体成分と乳化剤と水とからなる成分における単量体成分の濃度が68%となるように脱イオン水の量を調整し、乳化重合に要する時間を式:
〔乳化重合に要する時間〕
=〔(各層で使用する単量体の重量)÷(使用する全単量体の重量)〕×240分間
に基づいて決定し、初期の乳化重合以外の乳化重合を行なう際に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液の量を式:
〔3.5%過硫酸アンモニウム水溶液の量〕
=〔(各層における単量体成分の重量)÷99〕×7
に基づいて決定し、2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の量を式:
〔2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の量〕
=〔(各層における単量体成分の重量)÷99〕×7
に基づいて決定し、各層を形成させる際に使用した単量体成分を滴下した後の維持温度を80℃に調整して60分間維持したこと以外は、実施例1と同様にしてシーラー用樹脂エマルションを得た。シーラー用樹脂エマルションに用いられた単量体成分の組成および当該シーラー用樹脂エマルションの性質をそれぞれ表1および表2に示す。
〔表中の略号の意味〕
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
AN:アクリロニトリル
TMSMA:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
〔内層中のSt量〕
内層の原料として使用されている単量体成分Aにおけるスチレンの含有率(%)
〔外層中のカルボン酸量〕
外層の原料として使用されている単量体成分Bにおけるカルボキシル基含有単量体の含有率(%)
〔層構成比〕
内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との重量比〔内層の重合体/外層の重合体〕
〔内外層合計量〕
エマルション粒子における内層の重合体と外層の重合体との合計含有率(%)
〔外層Tg〕
外層を構成している重合体のガラス転移温度(℃)
〔トータルSt量〕
エマルション粒子を構成している重合体に原料として使用されている全単量体成分におけるスチレンの含有率(%)
〔トータルTg〕
エマルション粒子のガラス転移温度(℃)
〔MFT〕
シーラー用樹脂エマルションの最低造膜温度(℃)
〔トータルカルボン酸量〕
エマルション粒子を構成している重合体に原料として使用されている全単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体の含有率(%)
〔内層Tg〕
内層を構成している重合体のガラス転移温度(℃)
〔その他の層のTg〕
内層および外層以外の層を構成している重合体のガラス転移温度(℃)
〔不揮発分量〕
樹脂エマルションに含まれている樹脂固形分の含有率(%)
〔平均粒子径〕
エマルション粒子の平均粒子径(nm)
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水28部を仕込んだ。
実施例1において、単量体成分を表3に示すように変更し、単量体15部あたりの量が2部となるように25%乳化剤水溶液の量を調整し、不揮発分量に合わせてフラスコ内に仕込む脱イオン水の量を調整し、各層を形成する際に単量体成分と乳化剤と水とからなる成分における単量体成分の濃度が68%となるように脱イオン水の量を調整し、乳化重合に要する時間を式:
〔乳化重合に要する時間〕
=〔(各層で使用する単量体の重量)÷(使用する全単量体の重量)〕×240分間
に基づいて決定し、初期の乳化重合以外の乳化重合を行なう際に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液の量を式:
〔3.5%過硫酸アンモニウム水溶液の量〕
=〔(各層における単量体成分の重量)÷99〕×7
に基づいて決定し、2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の量を式:
〔2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の量〕
=〔(各層における単量体成分の重量)÷99〕×7
に基づいて決定し、各層を形成させる際に使用した単量体成分を滴下した後の維持温度を80℃に調整して60分間維持したこと以外は、比較例1と同様にしてシーラー用樹脂エマルションを得た。シーラー用樹脂エマルションに用いられた単量体成分の組成および当該シーラー用樹脂エマルションの性質をそれぞれ表3および表4に示す。
各実施例または各比較例で得られたシーラー用樹脂エマルションを用いた。不揮発分量が50%であるシーラー用樹脂エマルションでは、シーラー用樹脂エマルション100部と水33部とを混合した。不揮発分量が55%であるシーラー用樹脂エマルションでは、シーラー用樹脂エマルション91部と水42部とを混合した。また、不揮発分量が60%であるシーラー用樹脂エマルションでは、シーラー用樹脂エマルション83部と水50部とを混合した。
試験板に形成された塗膜上にロート(直径:10cm)を載置し、両者の接触部をシリコーン系バスボンド〔コニシ(株)製〕でシールし、JIS K5400に規定の「ロート法」に準拠して24時間経過後の減水量を測定し、以下の評価基準に基づいて耐透水性を評価した。
(評価基準)
◎:0.3mL/cm2未満
○:0.3mL/cm2以上、0.5mL/cm2未満
△:0.5mL/cm2以上、1.0mL/cm2未満
×:1.0mL/cm2以上
JIS A6909に記載の温冷くり返し試験を行なった。すなわち、試験板の側面および塗膜が形成されていない背面をシリコーン系バスボンド〔コニシ(株)製〕でシールした後、凍結融解試験機を用い、23℃の水中に18時間浸漬した後、−20℃の大気中で冷却することによって3時間凍結し、さらに50℃の大気中で3時間加熱することからなる操作を1サイクルとし、4サイクルごとに拡大倍率が30倍のルーペを用いて塗膜面のクラックの発生状態を観察しながら前記操作を20サイクル行ない、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:20サイクルでも問題なし
○:16サイクルで問題がないが、20サイクルでクラックが発生
△:12サイクルで問題がないが、16サイクルでクラックが発生
×:4サイクル、8サイクルまたは12サイクルでクラックが発生
試験板の塗膜をカッターナイフで2mm角の碁盤目が100個形成されるようにカットし、セロハン粘着テープ〔ニチバン(株)製、品番:CT405AP−18〕をこの碁盤目に貼り付け、JIS K5400に準拠して剥離試験を行ない、残存している碁盤目数を数え、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:すべて残存
○:残存している碁盤目が98個以上
△:残存している碁盤目が90〜97個
×:残存している碁盤目が89個以下
金属製の板上に離型紙を敷き、その上に乾燥後の厚さが0.5mmとなるように、前記で得られたシーラー塗料を塗布し、温度が23℃で相対湿度が50%の雰囲気中で7日間静置することによって乾燥させた後、形成された塗膜を剥がし、剥がした塗膜の表と裏とを逆にして離型紙の上でさらに7日間静置することによって乾燥させ、試験体を得た。
◎:最大引張り荷重が2N/mm2以上
○:最大引張り荷重が1.5N/mm2以上、2N/mm2未満
△:最大引張り荷重が1.0N/mm2以上、1.5N/mm2未満
×:最大引張り荷重が1.0N/mm2未満
(2)伸び率の評価基準
◎:伸び率が50%以上
○:伸び率が30%以上、50%未満
△:伸び率が10%以上、30%未満
×:伸び率が10%未満
一般に、シーラー用樹脂エマルションに造膜性を付与するために最低造膜温度が0℃以下となるように調整されている。この最低造膜温度を調整する際には造膜助剤が使用されているが、造膜助剤は揮発性物質であることから、環境負荷を軽減させる観点から、その造膜助剤の使用量を極力低減させることが望まれる。
(評価基準)
◎:シーラー用樹脂エマルションにおける造膜助剤の含有量が1%未満
○:シーラー用樹脂エマルションにおける造膜助剤の含有量が0.5%以上1%未満
△:シーラー用樹脂エマルションにおける造膜助剤の含有量が1%以上2%未満
×:シーラー用樹脂エマルションにおける造膜助剤の含有量が2%以上
Claims (6)
- 内層および外層を有するエマルション粒子を含有する樹脂エマルションであって、前記内層が芳香族系単量体85〜100重量%およびエチレン性不飽和単量体0〜15重量%を含有する単量体成分を乳化重合させてなる重合体で構成され、内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との重量比(内層を構成している重合体/外層を構成している重合体)が10/90〜60/40であり、エマルション粒子における内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との合計含有量が40〜100重量%であり、前記エマルション粒子の原料として用いられる全単量体成分におけるスチレンの含有量が5〜40重量%で、スチレン以外の単量体の含有量が60〜95重量%であり、外層の原料として用いられる単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体の含有量が1〜10重量%で、カルボキシル基含有単量体以外の単量体の量が90〜99重量%であり、エマルション粒子のガラス転移温度が−70〜10℃であるシーラー用樹脂エマルション。
- エマルション粒子の原料として用いられる全単量体成分におけるスチレン以外の単量体が、スチレン以外の芳香族系単量体およびエチレン性不飽和単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体を含有する請求項1に記載のシーラー用樹脂エマルション。
- スチレン以外の芳香族系単量体が、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンおよびアラルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項2に記載のシーラー用樹脂エマルション。
- 外層の原料として用いられる単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体以外の単量体が、芳香族系単量体およびカルボキシル基含有単量体以外のエチレン性不飽和単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1〜3のいずれかに記載のシーラー用樹脂エマルション。
- カルボキシル基含有単量体以外のエチレン性不飽和単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体およびエポキシ基含有単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項4に記載のシーラー用樹脂エマルション。
- 内層および外層を有するエマルション粒子を含有する樹脂エマルションの製造方法であって、芳香族系単量体85〜100重量%およびエチレン性不飽和単量体0〜15重量%を含有する単量体成分を乳化重合させることによって内層を形成し、カルボキシル基含有単量体1〜10重量%およびカルボキシル基含有単量体以外の単量体90〜99重量%を含有する単量体成分を乳化重合させることによって外層を形成し、内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との重量比(内層を構成している重合体/外層を構成している重合体)を10/90〜60/40に調整し、エマルション粒子における内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との合計含有量を40〜100重量%に調整し、前記エマルション粒子の原料として用いられる全単量体成分におけるスチレンの含有量を5〜40重量%に、スチレン以外の単量体の含有量を60〜95重量%に調整し、エマルション粒子のガラス転移温度を−70〜10℃に調整するシーラー用樹脂エマルションの製造方法。
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