本発明の建材の製造方法は、前記したように、塗膜を両面に有する建材の製造方法であり、前記塗膜を建材の両面に形成させる際に、樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物を建材の少なくとも一方面に塗布し、形成された塗膜に電子線または紫外線を照射することを特徴とする。
本発明の建材の製造方法によれば、このように樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物を建材の少なくとも一方面が塗布され、形成された塗膜に電子線または紫外線が照射されるので、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるとともに、塗膜が建材から剥離しがたい塗膜を有する建材を製造することができるという優れた効果が発現される。
建材としては、例えば、無機質建材、窯業系建材、金属系建材などが挙げられる。無機質建材としては、例えば、スレート板、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボードなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。窯業系建材は、例えば、瓦、外壁材などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。窯業系建材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料などを添加し、得られた混合物を成形し、得られた成形体を養生し、硬化させることによって得られる。
建材に形成される塗膜には、樹脂エマルションを含有する水性樹脂組成物が用いられる。樹脂エマルションのなかでは、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるとともに、塗膜が建材から剥離しがたい塗膜を有する建材を製造することができるようにする観点から、(メタ)アクリル系樹脂エマルションが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂エマルションは、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として含有する単量体成分を乳化重合させることによって容易に調製することができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
単量体成分における(メタ)アクリル酸エステルの含有率は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるようにするとともに、塗膜が建材から剥離しがたい塗膜を有する建材を製造する観点から、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは40〜100質量%である。したがって、単量体成分における(メタ)アクリル酸エステル以外の他の単量体(以下、他の単量体という)の含有率は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるようにするとともに、塗膜が建材から剥離しがたい塗膜を有する建材を製造する観点から、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜60質量%である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルのなかでは、塗膜の耐透水性を向上させる観点から、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
他の単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、芳香族系単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体のなかでは、エマルション粒子の分散安定性を向上させる観点から、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸が好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸がより好ましい。
芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、アラルキル(メタ)アクリレート、ビニルトルエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7〜18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの芳香族系単量体のなかでは、建材に対する塗膜の密着性を向上させる観点から、スチレンが好ましい。
オキソ基含有単量体としては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フッ素原子含有単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2〜6のフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N−ビニルピロリドンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、1段の乳化重合によって調製された1種類の樹脂のみで構成されていてもよく、単量体成分を多段乳化重合させることによって調製された複数の樹脂層を有するものであってもよい。
単量体成分を乳化重合させる方法としては、例えば、メタノールなどの低級アルコールなどの水溶性有機溶媒と水とを含む水性媒体、水などの媒体中に乳化剤を溶解させ、撹拌下で単量体成分および重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分を水または水性媒体中に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られる樹脂エマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、前記乳化剤として、塗膜の耐水性を向上させる観点から、重合性基を有する乳化剤、すなわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノールRS−30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、SR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE−10など〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
乳化剤の量は、単量体成分100質量部あたり、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、特に好ましくは3質量部以上であり、塗膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、より一層好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは4質量部以下である。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の量は、単量体成分100質量部あたり、重合速度を高め、未反応の単量体成分の残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、塗膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、単量体成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、反応系内には、必要により、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物などの連鎖移動剤、アンモニア水などのpH調整剤、キレート剤などの添加剤を添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないため、その種類に応じて適した量となるように調整することが好ましい。
単量体成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分を乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
単量体成分を乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜9時間程度である。
以上のようにして単量体成分を乳化重合させることにより、エマルション粒子を含有する樹脂エマルションが得られる。
エマルション粒子の平均粒子径は、エマルション粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは70nm以上、特に好ましくは100nm以上であり、塗膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは250nm以下、特に好ましくは200nm以下である。
なお、本明細書において、エマルション粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器〔パーティクル・サイジング・システムズ(Particle Sizing Systems)社製、商品名:NICOMP Model 380)を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
樹脂エマルションにおける不揮発分の含有量は、造膜性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上であり、耐ブロッキング性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下である。
なお、本明細書において、樹脂エマルション(水性樹脂組成物)における不揮発分量は、樹脂エマルション(水性樹脂組成物)1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔樹脂エマルション(水性樹脂組成物)における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔樹脂エマルション(水性樹脂組成物)1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
本発明においては、前記したように、塗膜を建材の両面に形成させる際に、樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物を建材の少なくとも一方面に塗布し、形成された塗膜に電子線または紫外線を照射する。
したがって、電子線または紫外線が照射される塗膜は、建材の一方面、すなわち建材の表面または裏面のみに形成されていてもよく、建材の両面、すなわち建材の表面および裏面に形成されていてもよい。
電子線または紫外線が照射される塗膜を形成する水性樹脂組成物には、樹脂エマルションおよび多官能モノマーが必須成分として含まれる。この水性樹脂組成物には、必要により、成膜助剤、抑泡剤、増粘剤、多官能モノマー、艶消し剤、顔料などを含有していてもよい。また、この水性樹脂組成物には、塗膜が形成された建材を効率よく製造する観点から、光重合開始剤が含有されていることが好ましい。
また、電子線または紫外線が照射されない塗膜を形成する水性樹脂組成物には、樹脂エマルションが必須成分として含有され、必要により、成膜助剤、抑泡剤、増粘剤、多官能モノマー、艶消し剤、顔料などが含有されていてもよい。この水性樹脂組成物に多官能モノマーが含まれている場合には、塗膜が形成された建材を効率よく製造する観点から、さらに光重合開始剤が含有されていてもよい。
多官能モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの水酸基2個を有するアルキル基の炭素数が4〜8のアルキルジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜10の多価アルコールのアルキルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドの付加モル数が1〜50のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドの付加モル数が1〜50のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数2〜4のアルキレンオキシド基を有し、アルキレンオキシドの付加モル数が1〜50であるアルキルジ(メタ)アクリレート;エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜10の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜10の多価アルコールのテトラ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜10の多価アルコールのペンタ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜10の多価アルコールのヘキサ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2−(2’−ビニルオキシエトキシエチル)(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーのなかでは、建材の耐水性を向上させる観点から、水酸基を2個有するアルキル基の炭素数が4〜8のアルキルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドの付加モル数が1〜50のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドの付加モル数が1〜50のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート、多価アルコールのテトラ(メタ)アクリレート、多価アルコールのペンタ(メタ)アクリレートおよび多価アルコールのヘキサ(メタ)アクリレートが好ましく、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドの付加モル数が1〜50のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートがより好ましい。
多官能モノマーの量は、水性樹脂組成物の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該水性樹脂組成物の種類に応じて適宜調整することが好ましい。通常、多官能モノマーの量は、水性樹脂組成物の固形分100質量部あたり、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるとともに、塗膜が建材から剥離しがたい塗膜を有する建材を製造する観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。
多官能モノマーを使用する際には、塗膜が形成された建材を効率よく製造する観点から、光重合開始剤を併用してもよい。光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オキシフェニルアセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニルアセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−モルフォリノプロパン−1−オン、(4−メチルフェニル[4−(2−メチルプロピル)フェニル])ヘキサフルオロフォスフェート、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
光重合開始剤の量は、塗膜が形成された建材を効率よく製造する観点から、多官能モノマー100質量部あたり、好ましくは0.1〜10質量部程度である。
成膜助剤としては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔例えば、チッソ(株)製、品番:CS−12など〕、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、2−エチルヘキシルジグリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール、n−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの成膜助剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
樹脂エマルションの不揮発分100質量部あたりの成膜助剤の量は、成膜性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、ブロッキングを抑制する観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
抑泡剤としては、例えば、サンノプコ(株)製、SNデフォーマー170、SNデフォーマー171、SNデフォーマー381、SNデフォーマー470、SNデフォーマー777、ノプコ8034−L;ライオン(株)製、商品名:レオコンTA470、レオコンGP700、レオコン1020H、レオコンPG2510など;花王(株)製、アンチフォームE−20など;信越化学工業(株)製、品番:KM−72Aなど;日信化学工業(株)製、商品名:サーフィノールDF−110D、サーフィノールPSA−204などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの抑泡剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
抑泡剤の量は、水性樹脂組成物の起泡性によって異なるので一概には決定することができないことから、当該水性樹脂組成物に要求される抑泡性に応じて適宜調整することが好ましい。
増粘剤としては、例えば、(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503、アクリセットWR−503A、アクリセットWR−650など;ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商品名:プライマルASE−60、プライマルASE−75、プライマルASE−95、プライマルASE−108、プライマルRM−5、プライマルTT−615、プライマルTT−935など;第一工業製薬(株)製、商品名:ゾーゲン100、ゾーゲン150、ゾーゲン200、ゾーゲン250、ゾーゲン350など;サンノプコ(株)製、SNシックナーA−801、SNシックナーA−803、SNシックナーA−804、SNシックナーA−806、SNシックナーA−807、SNシックナーA−812、SNシックナーA−814、SNシックナーA−815、SNシックナーA−816、SNシックナーA−818、SNシックナーA−850など;東亞合成(株)製、商品名:アロンB−300K、アロンA−7070など;共栄社油脂化学工業(株)製、商品名:チクゾールK−150B、チクゾールT−210、チクゾールT−212など;旭電化工業(株)製、商品名:アデカノールUH−140S、アデカノールUH−420、アデカノールUH−438、アデカノールUH−450、アデカノールUH−462、アデカノールUH−472、アデカノールUH−526、アデカノールUH−530、アデカノールUH−540、アデカノールUH−541、アデカノールUH−550、アデカノールUH−752などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの増粘剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
増粘剤の量は、水性樹脂組成物が有する粘度によって異なるので一概には決定することができないことから、当該水性樹脂組成物に要求される粘度に応じて適宜調整することが好ましい。
艶消し剤としては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、炭酸マグネシウム、タルクなどの無機系艶消し剤、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリカーボネート微粒子、尿素ホルムアルデヒド樹脂微粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂微粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂微粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂微粒子、ポリテトレフルオロエチレンなどの有機系艶消し剤が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。艶消し剤は、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポスターL15、MS、M30、MA1010、S、S6、S12などとして商業的に容易に入手することができる。
艶消し剤の量は、水性樹脂組成物の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該水性樹脂組成物の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
顔料としては、有機顔料および無機顔料が挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。顔料は、水性樹脂組成物における分散性を向上させる観点から、顔料ペーストとして用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、メチン顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イミノイソインドリン顔料、イミノイソインドリノン顔料、キナクリドンレッドやキナクリドンバイオレットなどのキナクリドン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、アントラピリミジン顔料、カルバゾール顔料、モノアリーライドイエロー、ジアリーライドイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジ、キノフタロン顔料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化鉄、酸化クロムグリーン、カーボンブラック、フェロシアン化第二鉄(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛などの粉末をはじめ、雲母(マイカ)、クレー、アルミニウム粉末、タルク、ケイ酸アルミニウム粉末などの扁平形状を有する顔料、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの体質顔料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの無機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料のなかでは、経済性の観点から、好ましくは体質顔料、より好ましくは炭酸カルシウム粉であり、隠蔽性を向上させる観点から、好ましくは二酸化チタン粉である。
顔料の量は、水性樹脂組成物の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該水性樹脂組成物の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
電子線または紫外線が照射される塗膜を形成する水性樹脂組成物は、例えば、樹脂エマルションおよび多官能モノマー、必要により、光重合開始剤、成膜助剤、抑泡剤、増粘剤、多官能モノマー、艶消し剤、顔料などを混合することによって容易に調製することができる。
また、電子線または紫外線が照射されない塗膜を形成する水性樹脂組成物は、例えば、樹脂エマルション、必要により、成膜助剤、抑泡剤、増粘剤、多官能モノマー、光重合開始剤、艶消し剤、顔料などを混合することによって容易に調製することができる。
水性樹脂組成物は、シーラー、中塗りおよびトップコートのいずれにも用いることができる。水性樹脂組成物をトップコートに用いる場合、例えば、当該水性樹脂組成物に成膜助剤、抑泡剤、顔料、増粘剤、艶消し剤などの1種類または2種類以上を適宜混合することにより、エナメル塗料、クリヤー塗料などを調製し、これらの塗料をトップコートに用いることができる。
電子線または紫外線が照射される塗膜を形成する水性樹脂組成物、すなわち樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるようにする観点から、トップコートに用いられることが好ましい。この水性樹脂組成物は、建材に直接塗布してもよく、あるいはシーラー層、中塗り層などの1層または2層以上の塗膜を介在させて塗布されてもよい。
電子線または紫外線が照射される塗膜を形成する水性樹脂組成物における不揮発分の含有量は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるようにする観点から、好ましくは10〜50質量%である。
また、電子線または紫外線が照射されない塗膜を形成する水性樹脂組成物における不揮発分の含有量は、建材との密着性および乾燥性を向上させる観点から、好ましくは10〜50質量%である。
建材の表面および裏面に水性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、刷毛、バーコーター、アプリケーター、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーターなどを用いた塗布方法が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、水性樹脂組成物を建材の表面および裏面に塗布する際には、両面に塗膜を有する建材を効率よく製造する観点から、必要により、当該建材を加熱しておいてもよい。
電子線または紫外線が照射される塗膜を形成する水性樹脂組成物の建材の一方面あたりの塗布量は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるようにする観点から、好ましくは10〜200g/m2であり、より好ましくは30〜150/m2である。
また、電子線または紫外線が照射されない塗膜を形成する水性樹脂組成物の建材の一方面あたりの塗布量は、均一に塗布する観点および乾燥性を向上させる観点から、好ましくは10〜200g/m2であり、より好ましくは30〜150g/m2である。
建材の表面および裏面に水性樹脂組成物を塗布した後には、両面に塗膜を有する建材を効率よく製造する観点から、必要により、当該建材を加熱したり、建材が有する余熱を利用するなどして予備乾燥させてもよい。
次に、電子線または紫外線が照射される塗膜を形成する水性樹脂組成物、すなわち樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物を建材の表面に塗布し、形成された塗膜には電子線または紫外線を照射する。
本発明においては、樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物を建材の表面および裏面のうち少なくとも一方面に塗布し、形成された塗膜に電子線または紫外線を照射する点に1つの特徴があり、当該操作を採ることにより、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができる建材が得られる。
前記塗膜への電子線の照射は、電子線照射装置を用いて行なうことができる。建材の表面への電子線の照射線量は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができる建材を効率よく製造する観点から、好ましくは1〜20Mradである。このように電子線を照射することにより、塗膜を硬化させることができる。電子線の照射は、大気中で行なってもよいが、窒素ガスなどの不活性ガス中で行なうことが好ましい。
前記塗膜への紫外線の照射は、紫外線照射装置を用いて行なうことができる。建材の表面への紫外線の照射線量は、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができる建材を効率よく製造する観点から、好ましくは50〜2000mJ/cm2、より好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
なお、本発明においては、建材の両面に樹脂エマルションおよび多官能モノマーを含有する水性樹脂組成物からなる塗膜が形成されている場合、いずれか一方の塗膜に電子線または紫外線を照射することにより、合紙を必要とせず、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができる建材を製造することができるが、建材の表面および裏面に形成されている双方の塗膜に電子線または紫外線を照射してもよい。建材の表面および裏面に形成されている双方の塗膜に電子線または紫外線を照射した場合、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるという効果をより一層高めることができるという利点がある。この場合、建材の一方の面に電子線を照射し、他方の面に紫外線を照射してもよく、建材の両面に電子線を照射したり、当該両面に紫外線を照射したりしてもよい。
以上説明したように、本発明の建材の製造方法は、建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるとともに塗膜が建材から剥離しがたいので、従来必要とされている合紙の使用を不要とする画期的な発明である。
したがって、本発明の建材の製造方法によって得られた両面に塗膜を有する建材は、合紙を使用しなくても、省スペースが要求される場所、例えば、工場の製造現場、保管現場、輸送現場、建設施工現場などで積載して使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
調製例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
一方、滴下ロートでは、脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、メチルメタクリレート430部、スチレン500部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pH〔(株)堀場製作所製、品番:F−23を用いて23℃で測定、以下同様〕を9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同様)の金網で濾過することにより、樹脂エマルション(エマルション粒子の平均粒子径:150nm、不揮発分の含有量:40%)を得た。
調製例2
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
一方、滴下ロートでは、脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、n−ブチルアクリレート80部、メチルメタクリレート850部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pH〔(株)堀場製作所製、品番:F−23を用いて23℃で測定、以下同様〕を9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同様)の金網で濾過することにより、樹脂エマルション(エマルション粒子の平均粒子径:150nm、不揮発分の含有量:40%)を得た。
調製例3
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
一方、滴下ロートでは、脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、メチルメタクリレート460部、シクロヘキシルメチクリレート500部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pH〔(株)堀場製作所製、品番:F−23を用いて23℃で測定、以下同様〕を9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同様)の金網で濾過することにより、樹脂エマルション(エマルション粒子の平均粒子径:150nm、不揮発分の含有量:40%)を得た。
製造例1
調製例1で得られた樹脂エマルション125部をホモディスパーで回転速度1500min-1にて撹拌しながら成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕25部および抑泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、希釈水を添加することにより、不揮発分の含有率が30%となるように調整して混合物を得た。
一方、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、脱イオン水210部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−97〕200部、炭酸カルシウム〔竹原化学工業(株)製、軽質炭酸カルシウム〕600部、タルク〔日本タルク(株)製、品番:MICROACE S−3〕200部、消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕10部およびガラスビーズ(直径:1mm)200部をディスパー攪拌下で混合した後、回転速度3000min-1にて60分間攪拌することによって熟成を行ない、100メッシュの金網で濾過し、不揮発分量が75質量%である白色の顔料ペーストを得た。
次に、得られた白色の顔料ペースト47部を前記で得られた混合物に添加し、さらにクレーブス単位粘度計〔ブルックフィールド社製、品番:KU−1〕を用いて25℃で測定したときの粘度が65±1KUとなるように増粘剤〔ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商品名:プライマルTT−935〕を添加した後、この混合物をホモディスパーで回転速度1500min-1にて30分間撹拌することにより、水性樹脂組成物を調製し、室温中で1日間放置した後、使用に供した。以下、この水性樹脂組成物をシーラーAという。
製造例2
製造例1において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部の代わりにビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとを1:3の質量比で混合した混合物1部、1,4−ブタンジオールジアクリレート20部およびトリメチロ−ルプロパンテトラアクリレート5部を用いたこと以外は、製造例1と同様の操作を行なうことにより、水性樹脂組成物を得た。以下、この水性樹脂組成物をシーラーBという。
製造例3
調製例2で得られた樹脂エマルション125部をホモディスパーで回転速度1500min-1にて撹拌しながら成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部および抑泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、希釈水を添加することにより、不揮発分の含有率が30%となるように調整して混合物を得た。
一方、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、プロピレングリコール60部、脱イオン水210部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−95〕1000部、消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕10部およびガラスビーズ(直径:1mm)500部をホモディスパーで回転速度3000min-1にて60分間攪拌した後、100メッシュの金網で濾過し、不揮発分量が75質量%である白色の顔料ペーストを得た。
次に、得られた白色の顔料ペースト47部を前記で得られた混合物に添加し、さらにクレーブス単位粘度計〔ブルックフィールド社製、品番:KU−1〕を用いて25℃で測定したときの粘度が65±1KUとなるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加した後、この混合物をホモディスパーで回転速度1500min-1にて30分間撹拌することにより、水性樹脂組成物を調製し、室温中で1日間放置した後、使用に供した。以下、この水性樹脂組成物をエナメルAという。
製造例4
製造例3において、調製例2で得られた樹脂エマルション125部の代わりに調製例3で得られた樹脂エマルション125部を用い、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部の代わりにビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとを1:3の質量比で混合した混合物1部、1,4−ブタンジオールジアクリレート20部およびトリメチロ−ルプロパンテトラアクリレート5部を用いたこと以外は、製造例3と同様の操作を行なうことにより、水性樹脂組成物を得た。以下、この水性樹脂組成物をエナメルBという。
製造例5
製造例3において、調製例2で得られた樹脂エマルション125部の代わりに調製例3で得られた樹脂エマルション125部を用い、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部の代わりに1,4−ブタンジオールジアクリレート20部およびトリメチロ−ルプロパンテトラアクリレート5部を用いたこと以外は、製造例3と同様の操作を行なうことにより、水性樹脂組成物を得た。以下、この水性樹脂組成物をエナメルCという。
製造例6
調製例3で得られた樹脂エマルション125部をホモディスパーで回転速度1500min-1にて撹拌しながら成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部および抑泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕0.5部を添加し、希釈水を添加することにより、不揮発分の含有率が30%となるように調整して混合物を得た。
次に、艶消し剤〔(株)日本触媒製、商品名:エポスターMA1010〕10部を前記で得られた混合物に添加し、さらにクレーブス単位粘度計〔ブルックフィールド社製、品番:KU−1〕を用いて25℃で測定したときの粘度が61±1KUとなるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加した後、この混合物をホモディスパーで回転速度1500min-1にて30分間撹拌することにより、水性樹脂組成物を調製し、室温中で1日間放置した後、使用に供した。以下、この水性樹脂組成物をクリヤーAという。
製造例7
製造例6において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部の代わりに2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン1部、1,4−ブタンジオールジアクリレート20部およびトリメチロ−ルプロパンテトラアクリレート5部を用いたこと以外は、製造例6と同様の操作を行なうことにより、水性樹脂組成物を得た。以下、この水性樹脂組成物をクリヤーBという。
製造例8
製造例6において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕20部の代わりに1,4−ブタンジオールジアクリレート20部およびトリメチロ−ルプロパンテトラアクリレート5部を用いたこと以外は、製造例7と同様の操作を行なうことにより、水性樹脂組成物を得た。以下、この水性樹脂組成物をクリヤーCという。
実施例1
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード、品番:FS−N〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーBを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させた後、形成された塗膜に紫外線照射装置を用いて照射強度4.0kW/cm2、積算光量500mJ/cm2の条件で紫外線を照射させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にクリヤーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させることにより、建材を作製した。
実施例2
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーAを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にクリヤーBを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させた後、形成された塗膜に紫外線照射装置を用いて照射強度4.0kW/cm2、積算光量500mJ/cm2の条件で紫外線を照射させることにより、建材を作製した。
実施例3
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーAを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にエナメルBを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させた後、形成された塗膜に紫外線照射装置を用いて照射強度4.0kW/cm2、積算光量500mJ/cm2の条件で紫外線を照射させることにより、建材を作製した。
実施例4
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーBを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させた後、形成された塗膜に紫外線照射装置を用いて照射強度4.0kW/cm2、積算光量500mJ/cm2の条件で紫外線を照射させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にクリヤーBを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させた後、形成された塗膜に紫外線照射装置を用いて照射強度4.0kW/cm2、積算光量500mJ/cm2の条件で紫外線を照射させることにより、建材を作製した。
実施例5
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーAを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にクリヤーCを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させ、エリアビーム型電子線照射装置〔日新ハイボルテージ(株)製〕を用いて窒素ガス雰囲気中で加速電圧200kV、線量10Mradの条件で電子線を照射させることにより、建材を作製した。
実施例6
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーAを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にエナメルCを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、そのままの状態で余熱を利用して10分間乾燥させ、エリアビーム型電子線照射装置〔日新ハイボルテージ(株)製〕を用いて窒素ガス雰囲気中で加速電圧200kV、線量10Mradの条件で電子線を照射させることにより、建材を作製した。
比較例1
建材〔(株)ノザワ製、フレキシブルボード〕をあらかじめ50℃に加熱し、この建材の裏面にシーラーAを100g/m2の量でロールコーターにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させた。
次に、この建材の表面に、シーラーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で5分間乾燥させ、形成された塗膜上にさらにエナメルAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させた後、形成された塗膜上にクリヤーAを100g/m2の量でエアレススプレーにて塗布し、100℃の温度で10分間乾燥させることにより、建材を作製した。
次に、各実施例または各比較例で得られた建材の物性として積載性を以下の方法に基づいて評価し、各評価の得点を合計することにより、総合評価(満点:100点)を行なった。その結果を表1に示す。
(1)積載性A
板温が50℃となるように加熱した建材2枚を表面が上向きとなるようにして積載し、水平板上に載置した後、その上部から荷重280g/cm2を加えた状態で50℃の大気中に3日間放置した。その後、2枚の建材を剥離させるときの状態を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
50:建材同士の剥離抵抗が小さく、塗膜の剥がれがない。
40:建材同士の剥離抵抗がややあるが、塗膜の剥がれがない。
30:建材同士の剥離抵抗が強いが、塗膜の剥がれがない。
20:建材同士の剥離抵抗が強く、塗膜の剥がれわずかにある。
10:建材同士の剥離抵抗が強く、塗膜の剥がれが多数ある。
0:建材同士の剥離が困難である。
(2)積載性B
合紙を使用した評価として、板温が50℃となるように加熱した建材2枚を表面が相互に向かい合うようにし、その間に合紙を挟んで積載し、水平板上に載置した後、その上部から荷重280g/cm2を加えた状態で50℃の大気中に3日間放置した。その後、2枚の建材を剥離させるときの状態を観察した。そのとき、2枚の建材を剥離抵抗が小さくても容易に剥離させることができる場合には、さらに合紙なしの評価として、これらの建材を板温が50℃となるように加熱した建材2枚を表面が上向きとなるようにして積載し、水平板上に載置した後、その上部から荷重280g/cm2を加えた状態で50℃の大気中に3日間放置した。その後、2枚の建材を剥離させるときの状態を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
50:合紙なしの評価で材同士の剥離抵抗が小さく、塗膜の剥がれがない。
40:合紙なしの評価で、建材同士の剥離抵抗がややあるが、塗膜の剥がれがない。
30:合紙なしの評価で建材同士の剥離抵抗があり、塗膜の剥がれわずかにある。
20:合紙を使用した評価で建材同士の剥離抵抗が既にあるが、塗膜の剥がれがない。
10:合紙を使用した評価で建材同士の剥離抵抗があるとともに塗膜の剥がれがある。
0:合紙を使用した評価で建材同士の剥離が困難である。
表1に示された結果から、各実施例で得られた建材は、いずれも、合紙を用いずに建材同士を直接積載した後、積載された建材同士を分離する際の建材同士の剥離抵抗が小さく、建材同士を容易に分離することができるとともに、塗膜が建材から剥離しがたいという優れた効果を奏することがわかる。