JP2011110671A - 旋盤用チャック及び該旋盤用チャックを用いたワーク加工方法 - Google Patents

Abstract

【課題】容易に且つ迅速にワークを把持及び位置決め固定することができ、しかもワークの偏心位置も正確に調整可能な旋盤用チャック及び該旋盤用チャックを用いたワーク加工方法を提供する。
【解決手段】旋盤用チャック１０は、ワークＷを把持及び位置決め固定するものであり、チャック本体１２の円周方向に等角度で配置され、駆動ハンドル１８が操作されることで径方向に同時に進退可能な複数の爪チャック１４と、前記円周方向で隣接する爪チャック１４間のうち、少なくとも２以上の爪チャック１４間に設けられて径方向に個別に進退可能であり、且つ、各爪チャック１４によって把持された前記ワークＷに当接して該ワークＷの偏心位置を調整可能な調整ピン１６ａ〜１６とを備える。
【選択図】図１

Description

本発明は、ワークを把持及び位置決め固定する旋盤用チャック、及び該旋盤用チャックを用いたワーク加工方法に関する。

通常、工作機械である旋盤（汎用旋盤）は、ワークを把持及び位置決め固定する旋盤用チャックを有し、該旋盤用チャックを高速回転させることにより、固定されたワークを所定の加工工具で加工する。

旋盤用チャックとしては、一般に、その回転中心から放射方向に延びて同時に進退可能な複数の爪チャック、例えば３方爪チャックを用いた構造が用いられている（特許文献１参照）。

特開２００２―１０３１１３号公報

上記のような従来の旋盤用チャックでは、各爪チャックが同時に進退するため、その中心でワークを容易に且つ迅速に把持することができる。

ところが、各爪チャックは同時に進退するため、その中心でワークを正確に位置決め固定できず、ワークが多少偏心した状態で固定されることがある。さらに、旋盤での加工前のワーク自体が、その精度上多少偏心しているものも少なくなく、この場合には旋盤用チャックの回転中心にワークを正確に位置決め固定することが一層難しい。

本発明はこのような従来の課題を考慮してなされたものであり、容易に且つ迅速にワークを把持及び位置決め固定することができ、しかもワークの偏心位置も正確に調整可能な旋盤用チャック及び該旋盤用チャックを用いたワーク加工方法を提供することを目的とする。

本発明に係る旋盤用チャックは、ワークを把持及び位置決め固定する旋盤用チャックであって、チャック本体の円周方向に等角度で配置され、駆動ハンドルが操作されることで径方向に同時に進退可能な複数の爪チャックと、前記円周方向で隣接する爪チャック間のうち、少なくとも２以上の爪チャック間に設けられて径方向に個別に進退可能であり、且つ、各爪チャックによって把持された前記ワークに当接して該ワークの偏心位置を調整可能な調整ピンとを備えることを特徴とする。

また、本発明に係るワーク加工方法は、旋盤用チャックにワークを把持及び位置決め固定して、該ワークを加工するワーク加工方法であって、チャック本体の円周方向に等角度で配置されて径方向に同時に進退可能な複数の爪チャックを、駆動ハンドルによって進退させ、当該旋盤用チャックの回転中心を基準として前記ワークを位置決めする工程と、前記円周方向で隣接する爪チャック間のうち、少なくとも２以上の前記爪チャック間に設けられて径方向に個別に進退可能な調整ピンを進退させ、各調整ピンを前記位置決めした前記ワークに当接させる工程と、各前記調整ピンを前記ワークに当接させた状態で、前記爪チャックを後退させて前記ワークから離間させる工程と、前記爪チャックを後退させた後、前記ワークに対して各調整ピンを個別に進退させて、前記ワークの偏心位置を調整する工程と、前記偏心位置が調整された前記ワークに対して前記爪チャックを進動させて、前記ワークを固定する工程と、前記固定された前記ワークを所定の工具で加工する工程とを備えることを特徴とする。

このような構成及び方法によれば、径方向に同時に進退する複数の爪チャックと、各爪チャック間に配置されて径方向に個別に進退する調整ピンとを備えることにより、従来、同時に進退する爪チャックのみでは困難であったワークの径方向での振れの微調整（偏心位置の調整）を容易に且つ正確に行うことができる。従って、例えば、爪チャックで位置決め固定した状態ではワークの偏心位置がずれてしまう場合や、ワーク自体がその精度上、多少偏心している場合等であっても、容易に且つ迅速にワークを把持及び位置決め固定することができ、その偏心位置を正確に調整することができる。

この場合、前記調整ピンは、前記チャック本体の前面に固定された固定ナットと、前記固定ナットに螺回されることで前記径方向に進退可能なねじとを備えると、当該調整ピンを簡便な構造とすることができる。

また、前記爪チャックが奇数個設けられている場合には、前記調整ピンは、各爪チャックに対して当該旋盤用チャックの回転中心に対称で対向した位置に設けられ、前記爪チャックが偶数個設けられている場合には、前記調整ピンは、２個の調整ピン同士が当該旋盤用チャックの回転中心に対称で対向した位置に設けられると、中心で把持されるワークに対し、各爪チャック及び各調整ピンによる力の方向を旋盤用チャックの円周方向で均等な角度にすることができ、ワークの位置決め安定性や、調整ピンでの振れ調整の作業性を向上させることができる。

本発明によれば、径方向に同時に進退する複数の爪チャックと、各爪チャック間に配置されて径方向に個別に進退する調整ピンとを備えることにより、従来、同時に進退する爪チャックのみでは困難であったワークの径方向での振れの微調整（偏心位置の調整）を容易に且つ正確に行うことができる。従って、例えば、爪チャックで位置決め固定した状態ではワークの偏心位置がずれてしまう場合や、ワーク自体がその精度上、多少偏心している場合等であっても、容易に且つ迅速にワークを把持及び位置決め固定することができ、その偏心位置を正確に調整することができる。

本発明の一実施形態に係る旋盤用チャックの斜視図である。 図１に示す旋盤用チャックの正面図である。 チャック本体の前面を切除した一部断面斜視図である。 図３に示すチャック本体の側面断面図である。 本発明の一実施形態に係るワーク加工方法のフローチャートである。 図１に示す旋盤用チャックの変形例に係る旋盤用チャックの正面図である。

以下、本発明に係る旋盤用チャックについて、この旋盤用チャックを用いたワーク加工方法との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。

図１は、本発明の一実施形態に係る旋盤用チャック１０の斜視図であり、図２は、図１に示す旋盤用チャック１０の正面図である。本実施形態に係る旋盤用チャック１０は、図示しない旋盤（汎用旋盤）の加工主軸に設けられ、ワークを位置決め固定するものであり、前記加工主軸によって回転中心Ｏを軸心として高速回転されることにより、所定の加工工具（切削工具）でワークを加工するためのものである。

図１及び図２に示すように、旋盤用チャック１０は、図示しない公知の旋盤の加工主軸に設けられる扁平筒状のチャック本体１２と、その前面１２ａの円周方向に等角度（１２０°刻み）で配置され、径方向に同時に進退してワークＷ（図２中の一点鎖線参照）をチャッキングする３本の爪チャック１４と、隣接する爪チャック１４間にそれぞれ設けられた３本の調整ピン１６ａ、１６ｂ、１６ｃとを備える。

３本の爪チャック１４は、チャック本体１２の側面に着脱可能な駆動ハンドル１８が手動操作されることにより、チャック本体１２の径方向に同時に進退可能な３方爪チャックである。すなわち、各爪チャック１４は、チャック本体１２の前面１２ａで回転中心Ｏから放射状に延びた各レール２０に沿って回転中心Ｏに対して進退可能であり、回転中心Ｏに向かう各チャック面１４ａでワークＷの外周面を同時に把持し、位置決め固定することができる（図２参照）。

ここで、図３及び図４を参照して、駆動ハンドル１８による爪チャック１４の進退構造の一例について説明する。図３は、チャック本体１２の前面１２ａを切除した一部断面斜視図であり、図４は、図３に示すチャック本体１２の側面断面図である。なお、このような駆動ハンドルによる爪チャックの進退構造は公知の機構であることから、図３及び図４ではその図示を簡略化している。勿論、以下で例示する進退構造以外のものも採用可能である。

図３及び図４に示すように、チャック本体１２の内部における前面１２ａの内側には、円板部２２ａと、円板部２２ａの前面に立設された渦状突起部２２ｂと、背面の中心から突出した従動傘歯車２２ｃとを有する渦状キー部材２２が設けられている。一方、各爪チャック１４は、その裏面に形成され、渦状突起部２２ｂの渦形状に対応した曲線形状からなるキー溝１４ｂにより、該渦状突起部２２ｂに対して摺動可能に係合している。

従動傘歯車２２ｃは、駆動ハンドル１８によって回転される駆動軸２４の先端（下端）に設けられた駆動傘歯車２４ａと噛合している。従って、駆動ハンドル１８が回転操作されて駆動傘歯車２４ａが回転されると、従動傘歯車２２ｃも回転し、これにより円板部２２ａ及び渦状突起部２２ｂが回転中心Ｏを軸心として回転する。

そこで、渦状突起部２２ｂの渦形状（螺旋形状）は、その回転角によって原点に対して等間隔に接近及び離間する形状（いわゆる、アルキメデスの螺旋）に設定されている。従って、駆動ハンドル１８により渦状突起部２２ｂが回転されると、該渦状突起部２２ｂとキー溝１４ｂとの係合作用下に、各爪チャック１４は、レール２０（図２参照）に沿って同時に且つ径方向に等距離だけ進退することになる。

図１及び図２に戻り、調整ピン１６ａ〜１６ｃは、人手で操作可能な頭部を有したねじであり、チャック本体１２の前面１２ａ上に固定された各固定ナット２６に螺回されている。従って、作業者が調整ピン１６ａ〜１６ｃの頭部を回転操作することにより、各調整ピン１６ａ〜１６ｃは、個別に回転し、実質的に無段階に進退することになる。

図２から諒解されるように、調整ピン１６ａ〜１６ｃは、チャック本体１２の前面１２ａの円周方向に等角度（１２０°刻み）に配置された各爪チャック１４の間に等角度（１２０°刻み）に配置されている。つまり、各調整ピン１６ａ〜１６ｃは、チャック本体１２の回転中心Ｏに対称で対向した位置にそれぞれ設置されており、各爪チャック１４及び各調整ピン１６ａ〜１６ｃは、前記円周方向で等角度（６０°刻み）で交互に設けられている。

次に、以上のように構成される旋盤用チャック１０を用いたワーク加工方法について、図５のフローチャートを参照しながら説明する。

例えば、円形棒状のワークＷの径を縮径する切削加工を行う際には、先ず、ワークＷの外径に応じて全ての爪チャック１４及び調整ピン１６ａ〜１６ｃを回転中心Ｏから離間する方向に適度に後退させておく。

そこで、図５のステップＳ１において、ワークＷを回転中心Ｏを基準として各爪チャック１４の中心付近に配置すると共に、駆動ハンドル１８を回転操作して、３本の爪チャック１４のチャック面１４ａでワークＷを把持及び位置決め固定する。

ステップＳ２では、各爪チャック１４でワークＷを位置決め固定した状態で、全ての調整ピン１６ａ〜１６ｃを回転中心Ｏに向かって進動させ、その先端をワークＷに当接させる。

ステップＳ３では、調整ピン１６ａ〜１６ｃのワークＷへの当接状態を維持した状態で駆動ハンドル１８を回転操作して、各爪チャック１４を後退させてワークＷから離間させる。この際、上記ステップＳ２によりワークＷが各調整ピン１６ａ〜１６ｃによって把持されていることから、爪チャック１４を離間させてもワークＷが脱落することはない。

ステップＳ４では、当該旋盤用チャック１０が取り付けられている旋盤の加工主軸（図示せず）を駆動制御して、調整ピン１６ａ〜１６ｃによって位置決め固定されているワークＷを所定の低速で回転・送りながら、図示しないダイヤルゲージ（ピックテスト）をワークＷの外周面に当てて、該ワークＷの振れ検査（回転中心Ｏに対する偏心検査）を行うと共に、各調整ピン１６ａ〜１６ｃの進退位置を個別に調整し、ワークＷの偏心位置の調整（芯出し）を行う。

ステップＳ５では、上記ステップＳ４により、調整ピン１６ａ〜１６ｃによって位置決め固定され、且つ偏心位置が調整されたワークＷに対し、駆動ハンドル１８を回転操作して、各爪チャック１４を再び当接させる。これにより、ワークＷは、正確に振れ調整がなされた状態で、爪チャック１４及び調整ピン１６ａ〜１６ｃによって確実に位置決め固定される。

従って、ステップＳ６では、駆動ハンドル１８をチャック本体１２から取り外すと共に、前記旋盤の加工主軸を駆動制御して、旋盤用チャック１０を所定の加工速度で回転駆動し、所定の加工工具をワークＷに当てることにより、該ワークＷを所望の形状へと加工することができる。

以上のように、本実施形態に係る旋盤用チャック１０及びワーク加工方法によれば、径方向に同時に進退する３本の爪チャック１４と、各爪チャック１４間に配置されて径方向に個別に進退する調整ピン１６ａ〜１６ｃとを備えることにより、従来、同時に進退する爪チャックのみでは困難であったワークＷの径方向での振れの微調整（偏心位置の調整）を容易に且つ正確に行うことができる。従って、例えば、爪チャック１４で位置決め固定した状態ではワークＷの偏心位置がずれてしまう場合や、ワークＷ自体がその精度上、多少偏心している場合等であっても、容易に且つ迅速にワークＷを把持及び位置決め固定することができ、その偏心位置を正確に調整することができる。

この場合、調整ピン１６ａ〜１６ｃは、チャック本体１２の前面１２ａに固定された固定ナット２６に螺回されたねじで構成されることにより、その構造が簡素化されると共に、十分な操作性が確保されることになる。勿論、調整ピン１６ａ〜１６ｃは、それぞれ個別に進退可能且つワークＷに当接可能なものであれば他の構成であってもよい。

また、旋盤用チャック１０では、一般的な爪チャック１４を設けた構造に、調整ピン１６ａ〜１６ｃを追加しただけの簡便な構成であることから、ワークＷの正確な芯出しを行う場合には、爪チャック１４及び調整ピン１６ａ〜１６ｃを用いて、図５に示す手順に沿ったワークＷの正確な振れ調整を行うことができる一方、ワークＷの正確な芯出しが不要な場合には、調整ピン１６ａ〜１６ｃを後退させた状態で爪チャック１４のみの一般的な使い方をすることもでき、汎用性が高い。

なお、図６に示す変形例に係る旋盤用チャック５０のように、爪チャックや調整ピンの本数は適宜変更可能である。旋盤用チャック５０は、４本の爪チャック１４と、その間にそれぞれ設けられた４本の調整ピン１６ａ〜１６ｄとを備えて構成されている。各爪チャック１４は、チャック本体１２の円周方向に等間隔（９０°刻み）で配置され、各調整ピン１６ａ〜１６ｄも前記円周方向に等間隔（９０°刻み）で配置されており、各爪チャック１４及び各調整ピン１６ａ〜１６ｄは、前記円周方向で等角度（４５°刻み）で交互に設けられている。

そこで、図２に示す旋盤用チャック１０のように、爪チャック１４が奇数個設けられている場合には、各調整ピン１６ａ〜１６ｃは、各爪チャック１４に対して当該旋盤用チャック１０の回転中心Ｏに対称で対向した位置に設けられることが好ましい一方、図６に示す旋盤用チャック５０のように、爪チャック１４が偶数個設けられている場合には、調整ピン１６ａ〜１６ｄは、２個の調整ピン同士（例えば、調整ピン１６ａ、１６ｃ）が当該旋盤用チャック５０の回転中心Ｏに対称で対向した位置に設けられることが好ましい。そうすると、中心で把持されるワークに対し、各爪チャック及び各調整ピンによる力の方向を旋盤用チャックの円周方向で均等な角度にすることができ、ワークの位置決め安定性や、調整ピンでの振れ調整の作業性を向上させることができる。

本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。

例えば、調整ピンは、隣接する全ての爪チャック間に配置する必要はなく、少なくとも２以上の爪チャック間に設けられていればよい。

１０、５０…旋盤用チャック １２…チャック本体
１４…爪チャック １６ａ〜１６ｄ…調整ピン
１８…駆動ハンドル ２６…固定ナット

Claims (4)

1. ワークを把持及び位置決め固定する旋盤用チャックであって、
   チャック本体の円周方向に等角度で配置され、駆動ハンドルが操作されることで径方向に同時に進退可能な複数の爪チャックと、
   前記円周方向で隣接する爪チャック間のうち、少なくとも２以上の爪チャック間に設けられて径方向に個別に進退可能であり、且つ、各爪チャックによって把持された前記ワークに当接して該ワークの偏心位置を調整可能な調整ピンと、
   を備えることを特徴とする旋盤用チャック。
2. 請求項１記載の旋盤用チャックにおいて、
   前記調整ピンは、前記チャック本体の前面に固定された固定ナットと、
   前記固定ナットに螺回されることで前記径方向に進退可能なねじと、
   を備えることを特徴とする旋盤用チャック。
3. 請求項１又は２記載の旋盤用チャックにおいて、
   前記爪チャックが奇数個設けられている場合には、前記調整ピンは、各爪チャックに対して当該旋盤用チャックの回転中心に対称で対向した位置に設けられ、
   前記爪チャックが偶数個設けられている場合には、前記調整ピンは、２個の調整ピン同士が当該旋盤用チャックの回転中心に対称で対向した位置に設けられることを特徴とする旋盤用チャック。
4. 旋盤用チャックにワークを把持及び位置決め固定して、該ワークを加工するワーク加工方法であって、
   チャック本体の円周方向に等角度で配置されて径方向に同時に進退可能な複数の爪チャックを、駆動ハンドルによって進退させ、当該旋盤用チャックの回転中心を基準として前記ワークを位置決めする工程と、
   前記円周方向で隣接する爪チャック間のうち、少なくとも２以上の前記爪チャック間に設けられて径方向に個別に進退可能な調整ピンを進退させ、各調整ピンを前記位置決めした前記ワークに当接させる工程と、
   各前記調整ピンを前記ワークに当接させた状態で、前記爪チャックを後退させて前記ワークから離間させる工程と、
   前記爪チャックを後退させた後、前記ワークに対して各調整ピンを個別に進退させて、前記ワークの偏心位置を調整する工程と、
   前記偏心位置が調整された前記ワークに対して前記爪チャックを進動させて、前記ワークを固定する工程と、
   前記固定された前記ワークを所定の工具で加工する工程と、
   を備えることを特徴とするワーク加工方法。

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