JP5863929B1 - 加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸穴と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワークの軸穴と羽根との同軸度を高精度に加工可能とした加工装置を提供すること。【解決手段】軸穴(WH)と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワーク(W)を加工する加工装置(10)が、回転送り軸(C)の軸線とワーク(W)の軸穴(WH)の軸線とを一致するようにワーク(W)を固定する回転テーブル(28)と、円環状の端面でワーク(W)に当接する当接部材(36)と、当接部材(36)を回転可能に支持し、ワーク(W)を当接部材(36)で押圧して回転テーブル(28)に押し付ける上部クランパ(30)と、回転テーブル(28)と上部クランパ(35)とが設けられた傾斜テーブル(26)と、傾斜テーブル(26)を傾斜させる傾斜送り軸(A)とを備える。【選択図】図9

Description

本発明は、軸穴と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワークの軸穴と羽根とを同一段取りで加工することで高精度に加工可能とした加工装置に関する。
ターボチャージャは、200000min-1のような非常に高速で回転するために、その圧縮機のインペラの加工精度、特に軸穴と羽根との同軸度は非常に高精度が要求される。こうしたインペラの軸穴と羽根との同軸度を高精度に加工する技術として、特許文献1には、インペラを製造するために輪郭と中心穴が形成されているワークの中心穴に突起を嵌合させて、ワークを位置決め、固定して羽根を加工するようにしたターボチャージャの圧縮機インペラをフライス加工するための工作機械が記載されている。
また、特許文献2には、棒状のワークを第1チャックにより把持した状態で、ワーク外周をバイトにより旋削加工し、次いで、中心穴を穴明け工具(バイト、リーマ)により穿設し、その後にエンドミルにより羽根を加工するようにしたインペラの製造装置および製造方法が記載されている。
特許第5468556号公報 特開2013−139066号公報
特許文献1の発明では、ワークの軸穴を形成した後に、ワークを再位置決めして羽根を加工しているために、ワークの軸穴と羽根との間には位置決め誤差に基づく加工誤差が生じる問題がある。この点、特許文献2の発明では、第1チャックによって把持した状態からワークの外周の旋削、軸穴の穿設および羽根のフライス加工を一貫して行うために、加工精度、特に、軸穴と羽根との同軸度は高くなるが、加工装置は、フライス加工ヘッド以外の旋削加工ヘッドや第2のワーク加工ヘッドを備えた専用機となり非常に複雑になってしまう。
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、特許文献2のように複雑な専用機ではなくとも、ターボチャージャの圧縮機のインペラのような軸穴と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワークの軸穴と羽根との同軸度を高精度に加工可能とした加工装置を提供することを目的としている。
上述の目的を達成するために、本発明によれば、回転軸線上の軸穴と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワークを加工する加工装置において、先端に穴あけ工具とフライス工具とを交換可能に装着する主軸を回転支持する主軸頭と、前記主軸頭と前記ワークとをX軸、Y軸、Z軸方向に相対移動させる直線送り軸と、回転送り軸と、前記回転送り軸の回転軸線と前記ワークの回転軸線と一致するように前記ワーク配置、前記回転送り軸によって前記ワークを回転させる回転テーブルと、前記主軸頭と前記ワークとを相対的に傾斜させる傾斜送り軸と、前記回転テーブルに設けられ、前記ワークの下面を支持し、前記回転送り軸の回転軸線上に凹部を有する治具と、前記回転送り軸の回転軸線を中心とした環状または切欠きのある環状の端面で前記ワークに当接する当接部材と、前記回転送り軸の回転軸線に沿った貫通穴を有し、前記当接部材を前記回転送り軸の回転軸線を中心として回転可能に支持する環状の軸受を備え、前記当接部材前記回転テーブルに押圧して前記ワークを固定する上部クランパとを備える加工装置が提供される。
環状の当接部材でワークを押圧してインペラの加工を行うため、上部クランパでワークを押さえたままワークの軸穴の加工をすることができる。また、当接部材は回転可能に支持され、ワークは回転テーブルに押圧されているため、上部クランパでワークを押さえたままワークを回転させることができ、上部クランパで隠れているワークの外周部分も加工できる位置に回転移動させることができる。これにより、同一段取りで軸穴と羽根が加工できるため、軸穴に対して羽根を同軸精度よく加工することができる。
本発明によれば、回転テーブルに設けられ、ワークの外周面を把持するチャックを更に備える加工装置が提供される。チャックでワークの外周面を把持し、ワークの中心と回転テーブルを回転させる回転送り軸の軸線とを概略合わせ、ワークの偏りを減らすことにより、無駄な削り代を削減でき、効率のよい高精度な加工ができる。
ーボチャージャなどに用いられるインペラは羽根が削り出された後に残る外周面が少いため、チャックはワークのごく一部としか接することができない。そこで、本発明では、ワークの下面を支持する治具で上部クランパの押圧力を受けることで、確実に保持することができ、ワークの羽根形状が押圧力や加工負荷によって歪むことなく高精度に加工することができる。
本発明によれば、上部クランパがクランプ腕を有し、クランプおよびアンクランプの形態に自在に動くことが可能であるため、ワークの交換を効率的に行なえ、段取り時間を短縮できる。
本発明によれば、当接部材を回転テーブルに固定されるワークの上方に位置決めするための位置決め手段を更に備える加工装置が提供される。また、本発明によれば、位置決め手段は、支柱の側面に側方に向け所定の間隔で配置された一対の位置決めピンと、当接部材がワークの方向に移動したときに一対の位置決めピンの間に嵌合するようにクランプ腕に設けられた嵌合ピンとを含む加工装置が提供される。位置決め手段により、当接部材の中心と回転テーブルを回転させる回転送り軸の軸線とを高精度に一致させることができる。当接部材の回転動作と回転テーブルの回転動作とのずれが小さいほど、ワークを滑らかに回転させることができ、高精度に加工できる。
本発明によれば、ワークは一回の段取りで回転テーブルに固定した後に、軸穴と羽根とを一貫して加工するので、軸穴と羽根との同軸度を高い精度で加工することが可能となる。また、加工装置は専用機ではなく、汎用的な5軸の工作機械であるので、比較的低いコストで実現可能である。更に、回転テーブルにワークを固定した後に、ワークを取外すことなく、軸穴と羽根とを一貫して加工するので加工時間が短縮される。
本発明の好ましい実施形態による加工装置の正面図である。 図1の矢視線II-IIに沿う断面図である。 アンクランプ位置にあるクランプ腕を示すクレードルの上方から見た平面図である。 クランプ位置にあるクランプ腕を示すクレードルの上方から見た平面図である。 軸穴加工中の状態を示す図4の矢視線V-Vに沿う断面図である。 羽根加工中の状態を示す図4の矢視線V-Vに沿う断面図である。 クレードル、回転テーブル、チャック、ワークおよび上部クランパの斜視図である。 クレードル、回転テーブル、チャック、ワークおよび上部クランパの平面図である。 図8の矢視線IX-IXに沿う、上部クランパ、ワーク、チャックおよび回転テーブルの略示断面図である。 上位置にある上部クランパを示す、図8の矢視線X-Xの方向に見た略示側面図である。 下位置にある上部クランパを示す、図8の矢視線X-Xの方向に見た略示側面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態では、軸穴と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワークWとしてターボチャージャの圧縮機インペラを例に説明するが、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
本発明の好ましい実施形態による工作機械10は、基台となるベッド12、該ベッド12上を水平前後方向(Y軸方向)に移動可能に設けられたサドル14、該サドル14の上面に沿って水平左右方向(X軸方向)に移動可能に設けられたラム16、該ラム16の前端部に鉛直方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられた主軸頭18、ベッド12に設けられた傾斜テーブルとしてのクレードル26を具備している。
主軸頭18は、鉛直方向の回転軸線Oを中心として主軸20を回転可能に支持している。ベッド12は、上下方向に高さの異なる上段面12aと下段面12bとを有してX軸方向に見たときに断面が概ねL字形に形成されている。サドル14はベッド12の上段面12aに設けられており、クレードル26は主軸20の先端(下端)に対面するようにベッド12の下段面12bに設けられている。
より詳細には、クレードル26は、ベッド12の下段面12bにおいてX軸方向に離間配置されたベース22、24によってX軸に平行に延びる軸線周りの回転送りであるA軸(傾斜送り軸)方向に回転送り可能に支持されている。クレードル26には、該クレードル26に対して垂直でかつA軸の軸線に垂直な軸線周りの回転送りであるC軸方向に回転送り可能な回転テーブル28が取付けられている。こうして、工作機械10は、X軸、Y軸、Z軸の直交する3軸の送り軸に加え、A軸およびC軸の2つの回転送り軸を有した5軸の工作機械を構成している。
クレードル26には、更に、回転テーブル28に固定されるワークWを上方からクランプする上部クランパ30が取付けられている。上部クランパ30は、クレードル26に立設された支柱32と、該支柱32の上端に取り付けたクランプ腕34と、回転テーブル28に固定されているワークWの最上部に当接可能にクランプ腕34の先端に設けられた当接部材36とを含んでいる(図5)。当接部材36は、その長手の中心軸線ACに沿って延びる貫通穴36aを有した中空状の部材であって、スラスト軸受44によって、クランプ腕34の先端部分に回転可能に支持されている(図9)。
クランプ腕34は、支柱32内に設けられた旋回軸46の上端部分に結合されている。旋回軸46は、C軸の軸線に対して平行に延び、図示しないアクチュエータにより旋回可能かつ軸方向に上下動可能に支柱32に支持されている。こうして、クランプ腕34は、旋回軸46と共にアンクランプ位置(図3)とクランプ位置(図4)との間で旋回可能で、かつ、支柱32に沿って上位置(図10)と、下位置(図11)との間で上下動可能となっている。
クランプ腕34がクランプ位置にあるとき、当接部材36は、その中心軸線ACが回転テーブル28の回転軸線に一致し、回転テーブル28に固定されたワークWの軸穴WHの中心軸線AHと略一致し、貫通穴36aがワークWの軸穴WHを臨むように、ワークWの上方に配置される。このとき、中心軸線ACが回転テーブル28に固定されたワークWの軸穴WHの中心軸線AHと一致することが望ましいが、完全に一致する必要はない。
クランプ腕34がアンクランプ位置にあるとき、当接部材36はワークWの上方から退出される。クランプ腕34が下位置にあるとき(図9、11)当接部材36はワークWの最上部に当接する。これによって、ワークWは、回転テーブル28、より詳細には回転テーブル28に取り付けたチャック40、特にその中心に配置された底上げ用治具42に対して押圧される。
このとき、当接部材36は、中空の円形や多角形の環状の端面でワークWに当接する。環状なのは、ワークWの軸穴WHを加工する際に、穴あけ工具Tを当接部材36に接触させずに貫通できるようにするための措置である。また、環状の端面は、一部を切り欠いたC字形であってもよい。
クランプ腕34のクランプ位置の旋回方向の位置決めを確実にするために、上部クランパ30はクランプ腕34の位置決め手段を有することができる。この位置決め手段は、例えば、支柱32の側面に側方に向け所定の間隔で配設した一対の位置決めピン32aと、クランプ腕34に設けた嵌合ピン34aを含むことができる。クランプ腕34がクランプ位置に配置された後、下位置へ移動すると、嵌合ピン34aが一対の位置決めピン32aの間に嵌合し、これによって、クランプ腕34がクランプ位置に確実に位置決めされる。
加工に際して、外周を旋削されたワークWがチャック40によって回転テーブル28に固定される。そのとき、ワークWはその外周面のみがチャック40の複数の爪38によって把持される。また、ワークWは、図9に示すように、軸穴のための下穴が中心軸線沿いに形成されていも、或いは、下穴が形成されていなくてもよい。
更に、図5のようにチャック40を用いず、直接回転テーブル28に押圧して加工してもよい。この場合は、ワークWの概略中心を回転送り軸の中心に合わせる代わりに、ワークWの外周を加工してワークWの外周を回転送り軸の中心に合わせる。上部クランパ30でワークWを回転テーブル28に押圧したまま、C軸を毎分1500回転させることが可能であるので、ワークWの外周部を旋削し、ワークWの位置合わせを行うことができる。このC軸は、外周部の旋削だけでなく、インペラの所謂シュラウド部を旋削するときにも有効である。
また、軸穴WHを加工する際には、穴あけ工具Tの回転方向と逆方向にC軸を回転させることも可能である。機械の形状はY軸の方向には非対称であるため、穴加工を行った際に穴の偏心が発生しやすい。C軸と工具Tとを逆方向に回転させながら穴加工を行うことにより、穴が偏心することなく加工でき、加工精度が上がるという効果もある。
次いで、クランプ腕34が、アクチュエータにより旋回軸46を中心としてアンクランプ位置からクランプ位置へ旋回し、次いで、上位置から下位置へ旋回軸46と共に下動する。こうして、当接部材36がワークWの中心の最上部に当接し(図9、11)、ワークWは、上述したように治具42に対して押圧される。次いで、図5に示すように、主軸20の先端に装着されたドリルのような穴あけ工具Tを当接部材36の貫通穴36aを通してワークWへ向けてZ軸方向に送り、該穴あけ工具Tによって軸穴WHが仕上げ加工される。穴あけ工具は、下穴の内面を仕上げ加工するためのシャンクの先端部分に半径方向に突出する切刃を有した内面加工用の工具であってもよい。ワークWに下穴が形成されていない場合は、チャック40に固定した後に下穴を形成するようにできる。また、治具42は、軸穴WHから突出する穴あけ工具Tの先端部を逃がすための凹所42aを有している。次いで、主軸20に装着している穴あけ工具をボールエンドミルのようなフライス工具T′に交換して、5軸を制御しつつ羽根が加工される。
本実施形態は、テーブル側に傾斜送り軸がある機械構成で説明したが、主軸側に傾斜送り軸がある機械構成であってもよい。その場合、上部クランパ30と回転送り軸はベッド上に配置される。
本実施形態によれば、ワークWは一回の段取り、つまり、チャック40にワークWを固定した後に、軸穴WHと羽根とを一貫して加工するので、軸穴WHと羽根との同軸度を高い精度で加工することが可能となる。また、工作機械10は、特許文献2の発明のような専用機ではなく、汎用的な5軸の工作機械であるので、比較的低いコストで実現可能である。更に、チャック40にワークWを固定した後に、ワークWを取外すことなく、軸穴WHと羽根とを一貫して加工するので、加工時間が短縮される。
10 工作機械
26 クレードル
28 回転テーブル
30 上部クランパ
32 支柱
34 クランプ腕
36 当接部材
36a 貫通穴
40 チャック
46 旋回軸

Claims (4)

  1. 回転軸線上の軸穴と、該軸穴を中心として配置された羽根とを有するワークを加工する加工装置において、
    先端に穴あけ工具とフライス工具とを交換可能に装着する主軸を回転支持する主軸頭と、
    前記主軸頭と前記ワークとをX軸、Y軸、Z軸方向に相対移動させる直線送り軸と、
    回転送り軸と、
    前記回転送り軸の回転軸線と前記ワークの回転軸線と一致するように前記ワーク配置、前記回転送り軸によって前記ワークを回転させる回転テーブルと、
    前記主軸頭と前記ワークとを相対的に傾斜させる傾斜送り軸と、
    前記回転テーブルに設けられ、前記ワークの下面を支持し、前記回転送り軸の回転軸線上に凹部を有する治具と、
    前記回転送り軸の回転軸線を中心とした環状または切欠きのある環状の端面で前記ワークに当接する当接部材と、
    前記回転送り軸の回転軸線に沿った貫通穴を有し、前記当接部材を前記回転送り軸の回転軸線を中心として回転可能に支持する環状の軸受を備え、前記当接部材前記回転テーブルに押圧して前記ワークを固定する上部クランパと、
    を備えることを特徴とした加工装置。
  2. 前記回転テーブルに設けられ、ワークの外周面を把持するチャックを更に備える請求項1に記載の加工装置。
  3. 前記当接部材を前記回転テーブルに固定されたワークの上方に位置決めするための位置決め手段を更に具備する請求項1に記載の加工装置。
  4. 前記位置決め手段は、前記支柱の側面に側方に向け所定の間隔で配置された一対の位置決めピンと、前記当接部材が前記ワークに当接したときに前記一対の位置決めピンの間に嵌合するように前記クランプ腕に設けられた嵌合ピンとを含む請求項3に記載の加工装置。
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