JP2011110505A - 流路基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の内部に、形状および寸法のばらつきが抑制されて流路が形成された流路基板を提供する。
【解決手段】 第1のガラスセラミック焼結体からなる複数の第1の絶縁層1が積層されてなる絶縁基板の内部に、第1の絶縁層1の一部が厚み方向に除去されてなる貫通部の上下が他の前記第1の絶縁層で塞がれて形成された流路3を有する流路基板9であって、流路3を構成する第1の絶縁層1の流路3側の表面の全面に、第1のガラスセラミック焼結体が有する第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2のガラスセラミック焼結体からなる第2の絶縁層2が被着されていることを特徴とする流路基板9である。第2の絶縁層2が焼結する際に、未焼結の第1の絶縁層1によって収縮が抑制されるため形状および寸法のばらつきが抑制された寸法精度の高い流路を形成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁基体の内部に液体または気体といった流体を通過させるための流路が設けられた流路基板に関し、特に断面積が微小であり、流体の通過流量を測定するフローセンサや、流体の加熱や冷却を行なう微小熱交換デバイス等に用いられる流路基板に関する。
従来、ガラスやセラミック絶縁基体からなる絶縁基板の内部に、水や各種化学物質の水溶液等の液体、酸素や有機化合物のガス(メタンガス等)等の気体といった流体を通過させるための流路が設けられた流路基板が知られている。
例えば、温度やpH等の測定等に用いられるマイクロ流体デバイスや、液体の混合や化学反応等の操作に用いられる微小反応デバイス等の分野において、ガラスセラミック焼結体等のセラミック焼結体からなる複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の内部に、絶縁層の一部をあらかじめ除去しておくことによって液体または気体を流すための流路を設けるとともに、流路の開口端からなる流体の流入口および流出口を設けた流路基板が、絶縁基板の化学的な安定性や機械的強度,絶縁性等の特性に優れることから、多用され始めている。
このような流路基板は、未焼結のセラミック材料をシート状に成形して作製したセラミックグリーンシートに、レーザー加工や金型を用いた打ち抜き加工等の手段で厚み方向に貫通させる加工を施して細長い貫通部形成し、この貫通部の上下の開口を他のセラミックグリーンシートで塞ぐようにして複数のグリーンシートを積層し、焼成することで製作されている。
特開2001−30219号公報 特開2007−62125号公報 特開2007−27570号公報
しかしながら、上記従来技術の流路基板においては、セラミックグリーンシートが焼成工程で収縮するため、流路の断面形状や寸法が所定の断面形状(特に流路の長さ方向に直交する方向における断面)や寸法に対してばらついてしまうという問題があった。流路の寸法や断面形状がばらついてしまうと、圧力損失がばらつくため、流速や流量がばらつく可能性が高くなる。また、流路内に流体の通過の妨げになる凹凸部分が生じる可能性もある。そして、その流路基板により行なわれる混合や化学反応,温度測定等が正常に行なわれなくなり、例えば、フローセンサが検知する温度に誤差が生じ、この温度の誤差に起因して流量の測定を正確に行うことができなくなる。また、微小反応デバイスに用いられる場合、期待される反応結果が安定して得られない、反応量を制御することができない等の不具合を生じる可能性がある。
本発明は上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の内部に、形状および寸法のばらつきが抑制されて流路が形成された流路基板およびそのような流路基板の製造方法を提供することにある。
本発明の流路基板は、第1のガラスセラミック焼結体からなる複数の第1の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の内部に、前記第1の絶縁層の一部が厚み方向に除去されてなる貫通部の上下が他の前記第1の絶縁層で塞がれて形成された流路を有する流路基板であって、前記流路を構成する前記第1の絶縁層の前記流路側の表面の全面に、前記第1のガラスセラミック焼結体が有する第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2のガラスセラミック焼結体からなる第2の絶縁層が被着されていることを特徴とするものである。
また、本発明の流路基板の製造方法は、第1のガラス成分を有する第1の未焼結ガラスセラミック材料からなる複数のセラミックグリーンシートを作製する工程と、
一部の前記セラミックグリーンシートに厚み方向に貫通する貫通部を形成するとともに、該貫通部の内側面の全面に、前記第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層を被着させる工程と、
一部の他の前記セラミックグリーンシートの主面に、少なくとも前記貫通部に対応する範囲で前記第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層を被着させる工程と、
複数の前記セラミックグリーンシートを、前記貫通部の上下に、該貫通部の上下の開口が他の前記セラミックグリーンシートの前記未焼結絶縁層を被着させた表面で覆われるように積層して積層体とし、該積層体を焼成する工程とを備えることを特徴とするものである。
本発明の流路基板によれば、第1の絶縁層の流路に面する表面の全面が、第1のガラスセラミック焼結体に含まれるガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を含む第2のガラスセラミック焼結体によって取り囲まれていることから、流路の内面を構成する第2のガラスセラミック焼結体が焼結する際の収縮は、焼結前の第1のガラスセラミック焼結体からなる第1の絶縁層により抑制されている。また、第1の絶縁層の焼結時の収縮は、第2の絶縁層によって抑制されている。そのため、流路を形成する面の収縮や偏った収縮に起因する変形が効果的に抑制され、流路の形状および寸法のばらつきが抑制されたものとなっている。したがって、形状および寸法のばらつきが抑制されて流路が形成された、例えば流路の断面積が一定で、流路に流れる流体の流量を一定にすることができる流路基板を提供することができる。
また、本発明の流路基板の製造方法によれば、上記各工程を備えることから、複数のセラミックグリーンシートを積層体として焼成する際に、流路の内面を構成する第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層が焼結する際の収縮は、焼結前の第1の未焼結ガラスセラミック材料からなるセラミックグリーンシートによって抑制される。
また、セラミックグリーンシートの焼結時には、未焼結絶縁層の焼成が進んだり完了したりしているので、セラミックグリーンシートの貫通部側の面、つまり流路を構成する面部分における変形は、未焼結絶縁層が焼結した層によって抑制される。そのため、流路を形成する面の収縮や偏った収縮に起因する変形を効果的に抑制して、流路の形状および寸法のばらつきを抑制することができる。したがって、形状および寸法のばらつきが抑制されて流路が形成された、例えば流路の断面積が一定で、流路に流れる流体の流量を一定にすることができる流路基板の製造方法を提供することができる。
(a)は本発明の流路基板の流路部を透視した平面の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面図であり、(c)は(b)のB−B’線における断面図である。 図1に示す流路基板の斜視図である。 本発明の流路基板の使用方法の一例を模式的に示す平面図(透視図)である。 (a)および(b)は、それぞれ本発明の流路基板の製造方法の一例を工程順に示す斜視図である。 (a)および(b)は、それぞれ本発明の流路基板の製造方法の一例を工程順に示す斜視図である。
本発明の流路基板を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1(a)は本発明の流路基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図であり、図1(c)は図1(a)のB−B’線における断面図でる。また、図2は、図1に示す流路基板の斜視図である。図1および図2において、1は第1の絶縁層、2は第2の絶縁層,3は流路である。第1の絶縁層1が積層されてなる絶縁基板8に流路3が形成され、絶縁層1の流路3側の表面の全面に第2の絶縁層が被着されて流路基板9が基本的に構成されている。
流路基板9は、絶縁基板8の内部に形成された流路3に、水や各種化学物質の水溶液等の液体、酸素や有機化合物のガス(メタンガス等)の気体等の流体(図示せず)を通し、この流体に対して各種の測定や操作を行なうためのものである。
このような流路基板9は、例えば、流体の温度や電気伝導度,pH等の測定等に用いられるマイクロ流体デバイス、または液体の混合や化学反応等の操作に用いられる微小反応デバイス等を構成する部品として用いられる。
第1の絶縁層1は、流路3を有する絶縁基板8を形成するものであり、ホウケイ酸系ガラスやリチウムケイ酸系ガラス等の第1のガラス成分と酸化アルミニウムや酸化カルシウム等のセラミック成分とを主成分とする第1のガラスセラミック焼結体によって形成されている。第1の絶縁層1の積層数は、図1および図2に示す例では3層であるが、内部に流路3を形成することができれば、これ以外の積層数でも構わない。
第1の絶縁層1は、例えば厚みが100〜300μm程度であり、複数の第1の絶縁層1が積層されてなる絶縁基板8は、例えば厚みが約300〜1500μm程度の四角板状(直方体状)であり、平面視したときに、1辺の長さが約2.5mm〜10mm程度の長方形状や正方形状である。
絶縁基板8は、例えば第1の絶縁層1が、ホウケイ酸系ガラスにセラミック成分として酸化アルミニウムを添加してなるガラスセラミック焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。すなわち、酸化ケイ素,酸化ホウ素等のガラス成分の粉末に酸化アルミニウム等のセラミック粉末を添加した原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術を採用してシート状となすことによって複数のセラミックグリーンシートを作製し、その後、セラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工によって適当な形状とするとともにこれを複数枚積層し、最後にこの積層されたセラミックグリーンシートを還元雰囲気中において約950〜1000℃の温度で焼成することによって製作される。複数のセラミックグリーンシートのそれぞれが、焼成後に第1の絶縁層1になる。
この焼成の際に、第1の絶縁層1となる第1のガラスセラミック焼結体は、第1のガラス成分のガラス転移点である約750℃付近から焼結が始まり、約950℃において焼結が完了する。
絶縁基板8は、例えば上記のように四角板状であり、内部に流路3を有している。この流路3は、第1の絶縁層1の一部が厚み方向に除去されてなる貫通部1aの上下が他の第1の絶縁層1で塞がれて形成されている。貫通部1aは、流路3を平面視したときの形状および寸法と同様の形状および寸法で形成されている。
流路3は、例えば図1および図2に示した例のように、絶縁基板1の側面に流体の出入口となる2つの開口端が位置している、平面視でU字状の形状である。この開口端の一方から流体が流路3内に入り、他方からその流体が外部に排出される。この流体は、例えば温度や電気伝導度を測定しようとする液体であり、流路3を通過する間に温度や電気伝導度等の測定が行なわれる。温度や電気伝導度等の測定は、例えば一部が流路3内に位置するようにして絶縁基板8に設けられた配線導体(図示せず)等からなる測定用の電気回路(図示せず)によって行なわれる。
なお、流路3は、流体の出入口が絶縁基板8の異なる2つの側面に位置していたり、上面や下面に位置していたりしても構わない。また、流路3の長さ方向に直交する方向における断面(縦断面)の形状は、例えば図1に示したような四角形状(正方形状)に限らず、長方形状や台形状,円形状,楕円形状等の形状でも構わない。
絶縁基板8は、流路3を有する以外に、例えば主面や側面等の外表面に、流体に対して温度や電気伝導度等の測定のためのコンデンサや抵抗素子等の電子部品(図示せず)を搭載するようにしてもよい。
また、絶縁基板8の外表面や内部(第1の絶縁層1の層間)に上記の配線導体を形成し、この配線導体によって、流体が接する流路の内側と電子部品との間や、複数の電子部品同士の間等を電気的に接続するようにしてもよい。
このような配線導体は、例えば銅や銀,パラジウム,金,白金等の金属材料からなり、メタライズ層やめっき層等の形態で所定部位に形成される。特に銅および銀は、電気抵抗が低いため、配線導体における電気抵抗を低く抑える上で有利である。
配線導体は、例えば銅のメタライズ層からなる場合であれば、銅の粉末を有機溶剤および有機バインダとともに混練して作製した銅のペーストを、第1の絶縁層1となるセラミックグリーンシートの表面に所定パターンに印刷し、セラミックグリーンシートの積層体と同時に焼成することによって形成することができる。
また、配線導体の一部を流路3の内面に露出させる場合には、その露出面を金めっき層や白金めっき層等の耐食性に優れためっき層で被覆することが好ましい。
なお、流路3内に流体を通すための圧力は、例えば図3に示すように、流路3を、一定の圧力で流体が送られている他の流路Cに接続することにより得ることができる。流路3内の流体の流れFにおいてオリフィスプレート(図示せず)等を用いて差圧を生じさせることによって流路3内に流体の流れfが生じる。また、流路3に直接、圧電振動子を用いて作製したアクチュエータを備えるマイクロポンプ(図示せず)を接続して、このマイクロポンプで流体を通すようにしてもよい。なお、図3は、本発明の流路基板9に流体を通すための圧力を加える方法、つまり流路基板9の実際の使用方法の一例を模式的に示す平面図(透視図)である。図3において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
このような流路3を通る流体の各種の測定等において、流路3を流れる流体の流速が測定の結果に大きな影響を有しているため、流路3を流れる流体の流量を一定に保つことが必要である。
本発明の流路基板9において、第1のガラスセラミック焼結体からなる複数の第1の絶縁層1が積層されてなる絶縁基板8の内部に流路3が形成され、この流路3を構成する第1の絶縁層1の流路3側の表面の全面に、第1のガラスセラミック焼結体が有する第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2のガラスセラミック焼結体からなる第2の絶縁層2が被着されている。
このような流路基板9によれば、第1の絶縁層1の流路3側の表面の全面が、第1のガラスセラミック焼結体が有するガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2のガラスセラミック焼結体によって取り囲まれていることから、流路3の内面を構成する第2のガラスセラミック焼結体が焼結する際の収縮は、焼結前の第1のガラスセラミック焼結体からなる第1の絶縁層1によって抑制されている。また、第1の絶縁層1の焼結時の収縮は、第2の絶縁層2によって抑制されている。そのため、流路3を形成する面の収縮や偏った収縮に起因する変形が効果的に抑制され、流路3の形状および寸法のばらつきが抑制されたものとなっている。したがって、形状および寸法のばらつきが抑制されて流路3が形成された、例えば流路3の断面積が一定で、流路3に流れる流体の流量を一定にすることができる配線基板9を提供することができる。
第2の絶縁層2は、流路3の形状および寸法のばらつきを、流路3の長さ方向に直交する方向の全周において、また流路3の全長にわたって抑制するために、流路3を構成する第1の絶縁層1の流路3側の表面の全面に被着させる必要がある。
第2の絶縁層2を形成する第2のガラスセラミック焼結体に含まれる第2のガラス成分は、例えば酸化ケイ素や酸化マグネシウム等の複数の金属酸化物を含む低融点結晶化ガラスからなり、例えば850〜1050℃の比較的低い温度で焼成処理することによって、コージェライトやムライト,アノーサイト,セルジアン,スピネル,ガーナイト,ウイレマイト,ドロマイト,ペタライトまたはその置換誘導体の結晶相を少なくとも1種類析出するものである。
この第2のガラス成分を有する第2のガラスセラミック焼結体は、例えば、上記の第2のガラス成分にコランダム(αアルミナ)、クリストバライト、石英、ムライト、コージライト等のセラミック成分を添加して作製したセラミックペーストを、絶縁層1となるセラミックグリーンシートの流路3を構成する面の全面に塗布しておき、セラミックグリーンシートの積層体と同時焼成することによって、第2の絶縁層2として所定部位に被着させることができる。
第2のガラス成分は、ガラス転移点が、例えば約650℃であり、第1の絶縁層1を形成する第1のガラスセラミック焼結体の第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い。そのため、第2のガラス成分を含む第2のガラスセラミック焼結体は、第1のガラス成分を含む第1のガラスセラミック焼結体よりも焼結開始温度が低く、第1のガラスセラミック焼結体が焼結し始める前にその焼結が進行し、場合によっては焼結が完了している。そして、このような第2の絶縁層2の焼結が行なわれている間には、第1の絶縁層1には焼結に伴う収縮が生じていないので、第2の絶縁層2の、第1の絶縁層1の流路3側の面と平行な方向における収縮は第1の絶縁層1(未焼成のセラミックグリーンシート)によって抑制される。また、第1の絶縁層1の焼結時には、第2の絶縁層2の焼結が進んだり完了したりしているので、第1の絶縁層1の流路3側の面部分における変形は、第2の絶縁層2によって抑制される。したがって、流路3の形状および寸法のばらつきを効果的に抑制することができる。
第2のガラス成分は、例えば第1の絶縁層1を形成するガラスセラミック焼結体がホウケイ酸系のガラスセラミック焼結体である場合であれば、上記のような流路3の形状および寸法のばらつきを抑制する効果を得る上では、そのガラス転移点が第1のガラス成分のガラス転移点よりも80℃以上低いことが好ましい。この程度のガラス転移点の差があれば、より確実に、第2のガラスセラミック焼結体の焼結が完了する温度を、第1のガラスセラミック焼結体の焼結が始まる温度よりも低くすることができる。
ここで、本発明の流路基板9における効果を、具体例を挙げて説明する。
第1の絶縁層1を、ホウケイ酸ガラス(第1のガラス成分)および酸化アルミニウムを主成分とする第1のガラスセラミック焼結体からなるものとして、平面視で1辺の長さが約5mmの正方形板状である絶縁基板8を作製した。第1の絶縁層1のそれぞれの厚みは約100μmであり、これを5層積層して作製した絶縁基板の厚みは約500μmであった。この第1の絶縁層1の3層目の一部を平面視でU字状に、厚み方向に除去して貫通部1aとし、これを上下の絶縁層1で塞いで流路3を形成した。流路3は、縦断面が、1辺の長さが約100μmの正方形状に設定し、全長を約3mmに設定した。
また、第1の絶縁層1の流路3を構成する表面の全面には、酸化ケイ素および酸化マグネシウム系のガラス(第2のガラス成分)および酸化アルミニウムを主成分とする第2のガラスセラミック焼結体からなる第2の絶縁層2を被着させた。第2の絶縁層2の厚みは約30μmとして、上記のガラス成分の粉末およびセラミック成分の粉末に有機溶剤および有機バインダを添加し、混練して作製したセラミックペーストを、第1の絶縁層1となるセラミックグリーンシートの流路3側の表面の全面に被着させて形成した。
この流路基板9は、焼成時の温度プロファイルを、第2の絶縁層2を形成する第2のガラスセラミック焼結体となるセラミックペーストを焼結させる温度である約550〜650℃付近と、第1の絶縁層1を形成する第1のガラスセラミック焼結体となるセラミックグリーンシートを焼結させる温度である約750〜850℃付近との2つの温度帯で一定時間キープするパターンとして焼成し、作製した。
また、比較例として、第2の絶縁層2を被着させないこと以外は上記の本発明の流路基板9の例と同様にして、従来技術の流路基板(図示せず)を作製した。なお、試験個数は、本発明の流路基板9の具体例および比較例ともに10個とした。
これらの流路基板9について、焼成後に厚み方向に切断して流路3の縦断面の形状および寸法を実測したところ、縦断面の形状が正方形状であり、1辺の長さが約99.7mm〜100.4mmの範囲であり、比較例の流路基板では、流路の縦断面における1辺の長さが約95.0〜102.4mmであった。その結果、本発明の流路基板9に置いては、流路の形状および寸法のばらつきを効果的に抑制することができることを確認できた。
次に、本発明の流路基板9の製造方法について、添付の図4および図5を参照しつつ説明する。図4(a)および(b)ならびに図5(a)および(b)は、それぞれ本発明の流路基板9の製造方法を工程順に示す断面図である。図4および図5において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
まず、図4(a)に示すように、第1のガラス成分を有する第1の未焼結ガラスセラミック材料からなる複数のセラミックグリーンシート11を作製する。
セラミックグリーンシート11は、例えば前述したように、ホウケイ酸系ガラス等の第1のガラス成分の粉末に酸化アルミニウム等のセラミック粉末を添加した原料粉末を適当な有機バインダおよび有機溶剤とともにドクターブレード法やリップコータ法等の方法でシート状に成形する方法で準備することができる。セラミックグリーンシートの厚みは、100〜300μm程度の範囲で、絶縁基板8の厚み等に応じて適宜設定すればよい。
次に、例えば図4(b)に示すように、一部のセラミックグリーンシート11に厚み方向に貫通する貫通部1aを形成するとともに、貫通部1aの内側面の全面に、第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層12を被着させる。
セラミックグリーンシート11の貫通部1aは、例えば金型を用いた機械的な打ち抜き加工でセラミックグリーンシート11を厚み方向に打ち抜く方法で形成することができる。この場合、打ち抜いたセラミックグリーンシート11がばらばらにならないようにするために、セラミックグリーンシート11を樹脂フィルム等(図示せず)に貼り付けて、セラミックグリーンシート11のみを打ち抜いて除去するようにしてもよい。また、貫通部1aの形成と同時に、後述する他のセラミックグリーンシート11との積層を行なうようにしてもよい。
第2のガラス成分は、前述したように、例えば酸化ケイ素や酸化マグネシウム等の複数の金属酸化物を含む低融点結晶化ガラスからなり、例えば850〜1050℃の比較的低い温度で焼成処理することによって、コージェライト,ムライト,アノーサイト,セルジアン,スピネル,ガーナイト,ウイレマイト,ドロマイト,ペタライトやその置換誘導体の結晶相を少なくとも1種類を析出するものであり、そのガラス転移点が、第1のガラス成分のガラス転移点よりも80℃以上低いものであることが好ましい。
この第2のガラス成分を有する第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層12は、例えば、上記のように第2のガラス成分に酸化アルミニウム等のセラミック成分を添加して作製したセラミックペーストをセラミックグリーンシート11の貫通部1aの内側面の全面に、真空吸引を併用したスクリーン印刷法等の方法で塗布して被着させることができる。
未焼結絶縁層12は、焼成後には第2の絶縁層2の一部となるものであり、絶縁層2が流路3の内側面の全面に被着されたものとするために、貫通部1aの内側面の全面に被着させる必要がある。
貫通部1aの内側面に被着させる未焼結絶縁層12の厚みは、上記のような厚みが100〜300μm程度のセラミックグリーンシートの焼成時の収縮および変形を効果的に抑制するためには、約30〜90μm程度とすればよい。
次に、例えば図5(a)に示すように、一部の他のセラミックグリーンシート11の主面に、少なくとも貫通部1aに対応する範囲で第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層12を被着させる。
他のセラミックグリーンシート11の主面に被着させる第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層12も、貫通部1aの内側面に被着させた未焼結ガラスセラミック材料と同様の材料(セラミックペースト等)を用い、同様の方法(セラミックペーストの塗布等)によって被着させるようにすればよい。貫通部1aの内側面の未焼結絶縁層12と、セラミックグリーンシート11の主面(図5(a)において貫通部1aの上側のセラミックグリーンシート11の下面と下側のセラミックグリーンシート11の上面)の未焼結絶縁層12とは、焼成時の収縮のばらつきを抑えるために、同じ組成であることが好ましい。
また、セラミックグリーンシート12の主面に被着させる未焼結絶縁層12は、上記の第2のガラス成分を有する第2の未焼結セラミック材料をシート状に成形し、このシート(図示せず)をセラミックグリーンシート12の主面に積層して被着させるようにしてもよい。
セラミックグリーンシート12の主面に被着させる未焼結絶縁層12の厚みも、貫通部1aの内側面の場合と同じ程度の厚みに設定すればよい。
なお、このようなセラミックペーストやシートは、次の工程で流路3となるセラミックグリーンシート12の貫通部1aの上下を塞ぐために、少なくとも貫通部1aに対応する範囲で塗布または積層して被着させる必要があるが、作業性や生産性等を考慮して、セラミックグリーンシートの主面の全面に被着させるようにしてもよい。
そして、複数のセラミックグリーンシート11を、貫通部1aの上下に、その貫通部1aの上下の開口が他のセラミックグリーンシート11の未焼結絶縁層12を被着させた表面で覆われるように積層して積層体10とし、この積層体10を還元雰囲気中で焼成すれば、図1および図2に示したような流路基板9が製作される。
焼成の条件は、例えば、第1のガラス成分のガラス転移点が約750℃であり、第2のガラス成分のガラス転移点が約650℃である場合であれば、未焼結絶縁層12が焼結する温度帯である約550〜650℃付近と、セラミックグリーンシートが焼結する温度帯である約750〜850℃付近との2つの温度帯で一定時間キープする温度プロファイルとすればよい。
この焼成の際に、セラミックグリーンシート11が焼結し始める前に未焼結絶縁層12の焼結が進行し、場合によっては焼結が完了する。そして、このような未焼結絶縁層12の焼結が行なわれている間には、セラミックグリーンシート11には焼結に伴う収縮が生じていないので、未焼結絶縁層12の、セラミックグリーンシート11の貫通部1a側の面と平行な方向における収縮セラミックグリーンシート11によって抑制される。また、セラミックグリーンシート11の焼結時には、未焼結絶縁層12の焼結が進んだり完了したりしているので、セラミックグリーンシート11の貫通部1a側の面、つまり流路3を構成する面部分における変形は、未焼結絶縁層12が焼成されてなる第2の絶縁層2によって抑制される。したがって、流路3の形状および寸法のばらつきを効果的に抑制することができる。
上記の製造方法においては、流路3の周辺においてセラミックグリーンシート11および未焼結絶縁層12の焼結時の収縮を抑制しているので、これ以外の部分、例えばセラミックグリーンシートの積層体の上下面や側面等の外表面部分では収縮量が大きくなる。そのため、焼成後の絶縁基板8外表面に凹凸を生じる可能性はあるが、このような凹凸は、例えば絶縁基板8の外表面に研磨加工を施して解消することができる。
また、絶縁基板8の表面に配線導体を形成する場合は、研磨加工した後、有機溶剤および有機バインダとともに混練して作成した銅などのペーストを研磨加工した絶縁基板8の表面に所定パターンに印刷し、焼成して配線導体を形成することで、焼結時の収縮の抑制に伴う絶縁基板8の外表面の凹凸に起因して配線導体が剥離してしまう等の不具合を解消することができる。
なお、本発明の流路基板8および流路基板8の製造方法は、上記実施の形態において説明した例に限定されるものではなく、種々の変形は可能である。例えば、上記の実施の形態の例では、流路3は、平面視でU字状のものが1つ、絶縁基板1に形成されているのみであるが、この流路が途中で分岐した平面視でY字状のものであったり、複数の流路3が絶縁基板1に形成されているものであったりしてもよい。例えば、流路3を分岐させた場合には、複数の種類の流体の混合や化学反応を行なわせたりすることができる。
1・・・第1の絶縁層
2・・・第2の絶縁層
3・・・流路
8・・・絶縁基板
9・・・流路基板
11・・・セラミックグリーンシート
12・・・未焼結絶縁層

Claims (2)

  1. 第1のガラスセラミック焼結体からなる複数の第1の絶縁層が積層されてなる絶縁基板の内部に、前記第1の絶縁層の一部が厚み方向に除去されてなる貫通部の上下が他の前記第1の絶縁層で塞がれて形成された流路を有する流路基板であって、前記流路を構成する前記第1の絶縁層の前記流路側の表面の全面に、前記第1のガラスセラミック焼結体が有する第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2のガラスセラミック焼結体からなる第2の絶縁層が被着されていることを特徴とする流路基板。
  2. 第1のガラス成分を有する第1の未焼結ガラスセラミック材料からなる複数のセラミックグリーンシートを作製する工程と、
    一部の前記セラミックグリーンシートに厚み方向に貫通する貫通部を形成するとともに、該貫通部の内側面の全面に、前記第1のガラス成分よりもガラス転移点が低い第2のガラス成分を有する第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層を被着させる工程と、
    一部の他の前記セラミックグリーンシートの主面に、少なくとも前記貫通部に対応する範囲で前記第2の未焼結ガラスセラミック材料からなる未焼結絶縁層を被着させる工程と、
    複数の前記セラミックグリーンシートを、前記貫通部の上下に、該貫通部の上下の開口が他の前記セラミックグリーンシートの前記未焼結絶縁層を被着させた表面で覆われるように積層して積層体とし、該積層体を焼成する工程とを備えることを特徴とする流路基板の製造方法。
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