JP2009266993A - 多層配線基板およびその製造方法 - Google Patents

多層配線基板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 直径100μm以下の貫通導体を有し、貫通導体が配線基板の表面から大きく突出せず、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間にセパレーションが発生するのを抑制された多層配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、第1のガラスを含むガラスセラミック絶縁層1a〜1dが上下に複数積層されてなる絶縁基体1と、絶縁基体1の少なくとも最上層および最下層に位置するガラスセラミック絶縁層1a、1dに形成された第2のガラスを含む直径100μm以下の貫通導体2とを具備してなる多層配線基板において、貫通導体2とガラスセラミック絶縁層1a、1dとの間に第1のガラスと第2のガラスとを含む幅10μm以上の混合層5を有することを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体素子収納用パッケージ等に適用される多層配線基板およびその製造方法に関するものである。
従来、移動体通信分野などで使用される多層配線基板において、配線導体層の材料として導電率の高い金、銀、銅、アルミニウムあるいはそれらの混合物を用い、絶縁層の材料として配線導体層の材料の融点よりも低い温度で焼成が可能なガラスセラミックスを用いた多層配線基板が広く用いられている。この多層配線基板は、複数の配線導体層間が貫通導体により電気的に接続されている。
製造に際しては、焼成後に絶縁層となるセラミックグリーンシートに貫通孔を形成し、その貫通孔に焼成後に貫通導体となる貫通導体用ペーストを充填し、貫通孔に貫通導体用ペーストの充填されたセラミックグリーンシートの主面に焼成後に配線導体層となる導体ペーストを塗布する。そのようにして準備されたセラミックグリーンシートを複数枚積層し、焼成することにより、配線導体層間が貫通導体により接続された多層配線基板が得られる。
ここで、セラミックグリーンシートと貫通導体用ペーストとの間には、焼成過程における焼結挙動に差があるため、貫通導体が多層配線基板の表面から突出して表面実装部品の実装性が低下したり、絶縁層と貫通導体との間にセパレーション(隙間)が発生したりするという問題がある。
特に、焼成収縮開始温度および焼成収縮終了温度の異なる2種類のセラミックグリーンシートを交互に積層して焼成することにより、平面方向の焼成収縮を抑制して主に積層方向に収縮させることで、多層配線基板の寸法精度を向上させる方法が知られているが(例えば特許文献1を参照。)、この方法により作製された多層配線基板では、貫通導体の突出および絶縁層と貫通導体との間に生じるセパレーションの問題は顕著であった。
そこで、セラミックグリーンシートの貫通孔に貫通導体用ペーストを充填する前に、ガラス層またはガラス成分を含有する導体層を貫通孔壁面に形成した後、貫通導体用ペーストを充填して焼成することにより、絶縁層と貫通導体とを強固に接合させる方法が提案されている(特許文献2参照。)。
特開2003−69236号公報 特開平8−222852号公報
ところが、この特許文献2に記載の方法では、貫通孔の孔径が小さくなった場合、具体的には直径100μm以下になった場合に対応できない。ガラス層またはガラス成分を含有する導体層を貫通孔壁面に形成することが困難となるからである。
また、貫通孔壁面にガラス層またはガラス成分を含有する導体層を形成した後に、この貫通孔に貫通導体用ペーストを充填するという複雑な製造工程であるため、製造コストも大幅に増大する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、直径100μm以下の貫通導体を有し、貫通導体が配線基板の表面から大きく突出せず、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間のセパレーションが抑制された多層配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1のガラスを含むガラスセラミック絶縁層が複数積層されてなる絶縁基体と、該絶縁基体の少なくとも最上層および最下層に位置する前記ガラスセラミック絶縁層に形成された第2のガラスを含む直径100μm以下の貫通導体とを具備してなる多層配線基板において、前記貫通導体と前記ガラスセラミック絶縁層との間に前記第1のガラスと前記第2のガラスとを含む幅10μm以上の混合層を有することを特徴とするものである。
また本発明は、第1のガラス粉末を含むセラミックグリーンシートを複数積層してなり、少なくとも最上層および最下層に配置される前記セラミックグリーンシートに貫通孔を形成するとともに、該貫通孔に金属粉末および第2のガラス粉末を含む貫通導体用ペーストが充填されたセラミックグリーンシート積層体を作製し、該セラミックグリーンシート積層体を焼成する多層配線基板の製造方法において、前記第2のガラス粉末として、前記第1のガラス粉末のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度であり、かつ前記セラミックグリーンシートが焼結したガラスセラミック絶縁層に対する接触角が前記金属粉末のペースト膜が焼結した金属膜に対する接触角よりも小さいガラスを用いることを特徴とするものである。
本発明の多層配線基板によれば、焼成後に貫通導体となる貫通導体用ペースト中に含まれる第2のガラス粉末のガラス成分が流出してセラミックグリーンシート中に含まれる第1のガラス粉末のガラス成分と混ざり合って形成された第1のガラスと第2のガラスとを含む幅10μm以上の混合層を貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間に有することで、セラミックグリーンシートの積層方向への収縮に追随して貫通導体用ペーストが収縮するとともに、第2のガラス粉末のガラス成分が流出した分だけ貫通導体用ペーストの収縮量が増大していることから、貫通導体の絶縁基体表面からの突出が抑制された多層配線基板が実現できる。また、絶縁基体と貫通導体とが強固に接合されるとともにセパレーションの形成される空間を埋めるような状態となり、セパレーションの発生が抑制された多層配線基板が実現できる。
また、本発明の多層配線基板の製造方法によれば、第2のガラス粉末と貫通導体用ペーストを構成する金属粉末との親和性(ぬれ性)よりも第2のガラス粉末とセラミックグリーンシートとの親和性(ぬれ性)のほうが強いことから、第2のガラス粉末の成分が貫通導体用ペーストから流出して、セラミックグリーンシート中に含まれる第1のガラス粉末の成分と混ざり合い、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間に第1のガラスと第2のガラスとを含む幅10μm以上の混合層を形成することができる。これにより、貫通導体の収縮量を増大させて貫通導体の絶縁基体表面からの突出を抑制するとともに、絶縁基体と貫通導体とを強固に接合させ、かつセパレーションの形成される領域を埋めることにより、セパレーションの発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の多層配線基板の一実施形態の概略断面図であって、図2は図1に示す最上層に位置するガラスセラミック絶縁層の要部拡大図である。
図1に示す多層配線基板は、第1のガラスを含むガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1dが上下に複数積層された絶縁基体1と、少なくとも最上層および最下層に位置するガラスセラミック絶縁層1a、1dに形成された第2のガラスを含む直径100μm以下の貫通導体2とを具備している。また、絶縁基体1の表面には表面配線層3が形成されているとともに、絶縁基体1の内部には内部配線層4が形成されている。
絶縁基体1を構成するガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1dは、焼成により結晶化するガラス粉末のみ、焼成により結晶化するガラス粉末とセラミック粉末、または焼成によっても結晶化しないガラス粉末とセラミック粉末を含むセラミックグリーンシートを焼成することにより得られたもので、結晶および第1のガラス(残留ガラス)を含むガラスセラミックスで構成されている。
ガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1dを構成する結晶としては、セルシアン、ディオプサイド、ハーディストナイト、コージェライト、アノーサイト、ガーナイト、ウィレマイト、スピネル、ムライトおよびフォルステライトから選ばれる少なくとも1種であるのが望ましい。具体的には、誘電特性の点でセルシアン、ディオプサイド、ハーディストナイト、ウィレマイトまたはフォルステライトが望ましく、強度の点でセルシアン、ディオプサイド、コージェライトまたはアノーサイトが望ましい。
また、ガラスセラミック絶縁層1a、1b、1c、1dを構成する第1のガラスとしては、SiO換算で25〜60質量%のSiと、Al換算で10〜40質量%のAlと、MgO換算で5〜35質量%のMgと、BaO換算で0〜10質量%のBaと、酸化物(B、Y、CaO、SrO、NaO、SnO、P、ZrOおよびLiO)換算で0〜50質量%のB、Y、Ca、Sr、Na、Sn、P、ZrおよびLiから選ばれる少なくとも1種とを含むガラスが望ましい。
第1のガラスの量は、XRD回折パターンからリートベルト解析により求めることができる。リートベルト法については、J.Am.Ceram.Soc.,81[11]2978-82(1998)に記載されている方法を用いる。具体的には、解析対象の試料とCrの標準試料とを所定の比率で混合し、ディフラクトメーター法で測定した2θ=10°以上80°以下の範囲のX線回折パターンに対して、RIETAN−2000プログラムを使用することにより、Crの標準試料により回折されたパターンと加えたCrの標準試料の量の相関関係から、評価対象の試料中に含まれる結晶の種類およびその量を評価する。
そして、少なくとも最上層および最下層に位置するガラスセラミック絶縁層1a、1dの内部には、直径100μm以下の貫通導体2が形成されている。なお、図1では、ガラスセラミック絶縁層1bに形成された貫通導体2も表されていて、図示しないがガラスセラミック絶縁層1cにも図の断面に表れない貫通導体が形成されている。
貫通導体2は、微細な配線形成のために直径が100μm以下となっている。そして、貫通導体2は、金、銀、銅およびアルミニウムのうち少なくとも1種以上を主成分としているのが望ましく、価格および導通抵抗の点から、銀または銅が望ましい。また、貫通導体2には上記主成分の他に第2のガラスが含まれている。第2のガラスは、主成分100質量部に対して1〜25質量部含まれているのが望ましい。この第2のガラスとしては、SiO換算で40〜80質量%のSiと、Al換算で1〜30質量%のAlと、MgO換算で0〜20質量%のMgと、BaO換算で0〜40質量%のBaと、酸化物(B、Y、CaO、SrO、NaO、SnO、P、ZrO、ZnOおよびLiO)換算で0〜30質量%のB、Y、Ca、Sr、Na、Sn、P、ZrおよびLiから選ばれる少なくとも1種とからなるガラスが望ましい。
なお、貫通導体2には、上記主成分および第2のガラスに対して、電気抵抗、熱伝導性を劣化させない範囲で、他の金属、酸化物、セラミックス等の無機分が含まれていてもよい。
そして、図1および図2に示すように、貫通導体2とガラスセラミック絶縁層1a、1b、1dとの間(貫通導体2の周囲)に、第1のガラスと第2のガラスとを含む幅Wが10μm以上の混合層5を有していることが重要である。
この貫通導体2とガラスセラミック絶縁層1a、1b、1dとの間(貫通導体2の周囲)に形成された第1のガラスと第2のガラスとを含む混合層5とは、焼成後に貫通導体2となる貫通導体用ペースト中に含まれる第2のガラス粉末のガラス成分が流出して、主にセラミックグリーンシート中に含まれる第1のガラス粉末のガラス成分と混ざり合って層状に形成された領域をいう。なお、この混合層5は主としてガラスで構成されているが、ガラス以外にもガラスセラミック絶縁層1a、1b、1dを構成する結晶も含まれている。また、混合層5は、後述するように、第2のガラス粉末と貫通導体用ペーストを構成する金属粉末との親和性(ぬれ性)よりも第2のガラス粉末とセラミックグリーンシートとの親和性(ぬれ性)のほうが強いことから、第2のガラス粉末のガラス成分が貫通導体用ペーストから流出して形成されたもので、その幅Wが10μm以上にもなるのである。なお、この幅Wは最大で30μm程度である。なお、幅Wとは、断面でみたときの混合層5の厚みを意味している。
ここで、貫通導体2と混合層5との境界(貫通導体2の壁面)および混合層5とガラスセラミック絶縁層1a、1b、1dとの境界は、実際には図に示すような直線状とはなっておらず、互いに入り組んだ形状となっている。そこで、混合層の幅Wを測定する方法としては、焼成後の多層配線基板の断面をBEM(反射電子像)で観察して、組成の違いを示すコントラストから、貫通導体2、混合層5およびガラスセラミック絶縁層1a、1b、1dの存在を確認するとともに、貫通導体2の壁面から混合層5とガラスセラミック絶縁層1a、1b、1dとの境界までの水平方向の距離を積層方向に等間隔で10箇所測定して平均化して得られた値を混合層の幅Wとする。
なお、第1のガラス、第2のガラスおよび混合層5について、TEM−EDSを用いてそれぞれの成分を測定することで、混合層5に第1のガラスの成分および第2のガラスの成分が含まれていて両者が混ざり合ったものであることを確認することができる。ここで、混合層5において、貫通導体2との境界から離れるにしたがって第2のガラスの成分の濃度がうすくなるような濃度勾配があることでも、混合層5に第2のガラスが混ざっていることが確認できる。
このような構成により、セラミックグリーンシートの積層方向への収縮に追随して貫通導体用ペーストが収縮するとともに、第2のガラス粉末のガラス成分が流出した分だけ貫通導体用ペーストの収縮量が増大していることから、貫通導体の絶縁基体表面からの突出が抑制された多層配線基板が実現できる。また、絶縁基体1と貫通導体2とが強固に接合されるとともにセパレーションの形成される空間を埋めるような状態となり、セパレーションの発生が抑制された多層配線基板が実現できる。
特に、ガラスセラミックスからなる第1のガラスセラミック絶縁層と、第1のガラスセラミック絶縁層を構成するガラスセラミックスの焼成収縮の終了温度よりも焼成収縮の開始温度が高いガラスセラミックスからなる第2のガラスセラミック絶縁層とが交互に積層された絶縁基体においては、更に複雑な引張り応力が発生するため、貫通導体の絶縁基体表面からの突出およびセパレーションを非常に効果的に防ぐことができる。
なお、ここでいう焼成収縮の開始温度とは、単一のガラスセラミック絶縁層を焼成したときに、0.3%体積収縮するときの温度で定義されるものである。また、ここでいう焼成収縮の終了温度とは、焼成前の状態から焼成終了後の状態までの収縮量に対し90%体積収縮したときの温度をいう。なお、体積収縮はTMA(熱機械分析)の線収縮から体積収縮に換算して決定される。
続いて、上記多層配線基板の製造方法について説明する。
まず、第1のガラス粉末を含むセラミックグリーンシートを作製する。このセラミックグリーンシートは、第1のガラス粉末に加えて通常はセラミック粉末を含んでいて、これらに焼成途中で容易に揮発する有機バインダー、有機溶剤および必要に応じて可塑剤を混合し、スラリー化する。このスラリーを用いて、リップコーター法やドクターブレード法などによってテープ成形を行い、所定寸法に切断してセラミックグリーンシートを作製する。
第1のガラス粉末としては、20〜60質量%のSiO、5〜40質量%のAl、0〜35質量%のMgO、0〜40質量%のBaO、0〜50質量%のB、Y、CaO、SrO、NaO、SnO、P、ZrO、ZnOおよびLiOから選ばれる少なくとも1種からなるのが好ましく、また強度や電気特性の点から焼成により結晶化するガラスであるのが好ましい。一方、セラミック粉末としては、Al、SiO、MgTiO、CaZrO、CaTiO、BaTi、SrTiO、ZrO、TiO、AlNおよびSiから選ばれる少なくとも1種からなるのが好ましく、誘電特性の点ではAl、MgTiO、CaZrO、CaTiO、MgSiO、BaTiが望ましく、強度の点ではAl、AlN、Siが望ましい。第1のガラス粉末とセラミック粉末との割合は、第1のガラス粉末が30〜100質量%でありセラミック粉末が0〜70質量%であるのが望ましい。
次に、後述するセラミックグリーンシート積層体を作製する際に少なくとも最上層および最下層に配置されるセラミックグリーンシートにパンチングなどによって貫通孔を形成し、形成した貫通孔に貫通導体用ペーストを充填する。
貫通導体用ペーストの原料粉末としては、金粉末、銀粉末、銅粉末およびアルミニウム粉末のうち少なくとも1種以上が100質量部に対し、例えば40〜80質量%のSiO、1〜30質量%のAl、0〜20質量%のMgO、0〜40質量%のBaO、0〜30質量%のB、Y、CaO、SrO、NaO、SnO、P、ZrO、ZnOおよびLiOから選ばれる少なくとも1種からなる第2のガラス粉末を5〜30質量部添加してなる材料が採用される。この第2のガラス粉末は、焼結によって収縮して貫通導体2の基板表面からの突出を抑制するのに寄与する点から、焼成によって結晶を析出しない非晶質ガラスであるのが望ましい。そして、貫通導体用ペーストは、この原料粉末に有機バインダー、有機溶剤および必要に応じ添加剤を加えて、3本ロールで混練したものを用いる。充填には、貫通孔と一致する箇所に穿孔されたメタルマスク、あるいは、エマルジョンメッシュスクリーンマスクを用いて、スクリーン印刷する方法を用いる。このとき、マスクを通して貫通導体用ペーストを押し出す方法として、例えばポリウレタン製の板状(あるいは剣状)のスキージを用いる方法ではなく、ペースト押し出し式のスキージヘッドを用いて、貫通導体用ペーストを貫通孔に加圧注入する方法を用いる。また、貫通導体用ペーストの粘度や印刷条件を調整して、充填された貫通導体用ペーストが貫通孔から突出するように過充填する。その後、必要に応じて突出した貫通導体用ペーストをプレスして、貫通孔に押し込む。
ここで、貫通導体用ペーストに含まれる第2のガラス粉末として、第1のガラス粉末のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度であり、かつ前記セラミックグリーンシートが焼結したガラスセラミック絶縁層に対する接触角が前記金属粉末のペースト膜が焼結した金属膜に対する接触角よりも小さいガラスを用いることが重要である。
第2のガラス粉末のガラス転移温度が、第1のガラス粉末のガラス転移温度よりも低いことで、第2のガラス粉末のガラス成分が貫通導体とガラスセラミック絶縁層との界面に移動しやすくなり、貫通導体自身の収縮量をガラスセラミック絶縁層に合わせることが可能となり、貫通導体が基板表面から突出するのを抑制する効果が期待できる。また、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間に強固なガラス層(混合層)が形成されることで、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間にセパレーションが発生するのを抑制する効果が期待できる。なお、ガラス転移温度は、示差熱分析(DTA)により求めることができる。
そして、前記セラミックグリーンシートが焼結したガラスセラミック絶縁層に対する接触角が前記金属粉末のペースト膜が焼結した金属膜に対する接触角よりも小さいことで、さらなる貫通導体の突出抑制効果およびセパレーションの発生抑制効果が得られる。
接触角の測定として、具体的には、図3に示すように、プレス成形により第2のガラス粉末61(図は溶融後の状態)を例えば直径5mm、厚み2mmのタブレット状にしたものを、セラミックグリーンシート上に載置して、900℃で1時間保持することで溶融させる。また、図4に示すように、セラミックグリーンシート上に貫通導体用ペーストを構成する金属粉末のペースト膜(第2のガラス粉末は含まずに、金属粉末100質量部に例えばアクリル系バインダーを10質量部添加したもの)を10mm角に形成し、さらにこの上にプレス成形により第2のガラス粉末61(図は溶融後の状態)を例えば直径5mm、厚み2mmのタブレット状にしたものを載置して、900℃で1時間保持することで溶融させる。なお、900℃で1時間保持することで、第2のガラス粉末61の溶融と同時に、セラミックグリーンシートおよび金属粉末のペースト膜は焼結して、それぞれガラスセラミック絶縁層62および金属膜63となる。このように、第2のガラス粉末61をセラミックグリーンシート上または金属粉末のペースト膜上でそれぞれ溶融させた後、その状態で冷却されたものの断面を研磨し、マイクロ顕微鏡で観察することで、接触角θを測定することができる。また、金属粉末のペースト膜は、必ずしもセラミックグリーンシート上に形成される必要はない。
このような接触角θの関係になるということは、第2のガラス粉末と貫通導体用ペーストを構成する金属粉末との親和性(ぬれ性)よりも第2のガラス粉末とセラミックグリーンシートとの親和性(ぬれ性)のほうが強いということである。したがって、第2のガラス粉末の成分が貫通導体用ペーストから流出して、セラミックグリーンシート中に含まれる第1のガラス粉末の成分と混ざり合うことができ、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間に第1のガラスと第2のガラスとを含む幅10μm以上の混合層を形成することができる。これにより、貫通導体の収縮量を増大させて貫通導体の絶縁基体表面からの突出を抑制するとともに、絶縁基体と貫通導体とを強固に接合させ、かつセパレーションの形成される領域を埋めることにより、セパレーションの発生を抑制することができる。
次に、セラミックグリーンシートに表面配線層や内部配線層となる導体ペーストを被着形成する。具体的には、金、銀、銅およびアルミニウムのうちいずれかを主成分とする導体ペーストを用いて、表面配線層や内部配線層となるとなる導体パターンをスクリーン印刷法やグラビア印刷法にて形成する。この導体ペーストは、有機バインダー、有機溶剤およびそれらの量などを貫通導体用ペーストと異ならせて、粘度が異なるようにされているのが好ましい。なお、この導体パターンは、金属箔転写法やめっき法により形成してもよい。
このようにして得られた各セラミックグリーンシートを所定の積層順序に応じて積層してセラミックグリーンシート積層体を作製する。具体的には、複数のセラミックグリーンシートを位置合わせして、熱圧着法や積層助剤を用いて加圧し積層する。
最後に、得られた積層体を焼成する。ここで、積層体中から成形のために配合した有機樹脂バインダー成分を除去するため、貫通導体用ペーストの導体成分として金または銀を用いた場合には、大気中で500℃前後まで積層体の積層界面の剥離がないように昇温し、必要に応じて500℃前後にて保持し、続いて大気中で900℃前後まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間、特に0.5〜5時間焼成することにより本発明の多層配線基板を得る。一方、貫通導体用ペーストの導体成分として銅を用いた場合には、窒素雰囲気中で700℃前後まで積層体の積層界面の剥離がないように昇温し、必要に応じて700℃前後にて保持し、続いて窒素雰囲気中で900℃前後まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間、特に0.5〜5時間焼成することにより本発明の多層配線基板を得る。
表1に示す組成およびガラス転移温度を有する平均粒径2.0μmの第1のガラス粉末を60質量%、平均粒径2.0μmのAl粉末を40質量%の比率で秤量し、これに、有機バインダー、可塑剤および溶媒を混合してスラリーを作製し、得られたスラリーをドクターブレード法によって成形してセラミックグリーンシートを作製した。このときのセラミックグリーンシートの厚みは100μmとした。なお、ガラス転移温度は示差熱分析(DTA)により求めた。
Figure 2009266993
次に、平均粒径5.0μmの銀粉末に、表2に示す組成およびガラス転移温度を有する平均粒径2.0μmの第2のガラス粉末および有機バインダーを添加し、これらを攪拌した後、銀粉末および有機バインダーが凝集しなくなるまで3本ロールミルで混合して、貫通導体用ペーストを作製した。第2のガラス粉末は、表3に示すように、銀粉末100質量部に対して0〜15質量部添加した。また、有機バインダーとして5質量%のエチルセルロースおよび有機溶剤として95質量%のα−テルピネオールを、銀粉末100質量部に対して15質量部添加した。なお、ガラス転移温度は示差熱分析(DTA)により求めた。
Figure 2009266993
次に、上記のセラミックグリーンシートに直径75μmの貫通孔をレーザーによって形成し、上記の貫通導体用ペーストをこの貫通孔に充填した。なお、貫通導体用ペーストの充填には、ペースト押出式のヘッドを備えたオンコンタクト印刷機を用いた。
次に、貫通孔に貫通導体用ペーストが充填されたセラミックグリーンシートを平板金型でプレスし、貫通導体用ペーストのセラミックグリーンシートから突出した部分を内部に押し込んだ。
上記のセラミックグリーンシート表面に、表面配線層および内部配線層となる導体パターンをスクリーン印刷により形成した。その後、これらのセラミックグリーンシートを位置合わせした後、4層積層してセラミックグリーンシート積層体を作製し、このセラミックグリーンシート積層体を大気中500℃で脱バインダー処理し、さらに、大気中900℃、1時間保持で焼成して多層配線基板を作製した。なお、貫通導体は4層連続して接続されたものとした。
得られた多層配線基板の断面をBEM観察することにより、混合層の幅を測定した。測定方法として、貫通導体界面からの混合層の幅を積層方向に10μm間隔で10箇所測定し、その平均値を混合層の幅とした。その結果を表3に示す。
なお、第1のガラス、第2のガラスおよび混合層について、サンプル(多層配線基板)を樹脂埋めし、研磨によって平坦な断面を形成し、これを測定面としてWDS(波長分散型EPMA)分析により、それぞれの成分を測定することで、第1のガラスおよび第2のガラスが混ざり合った混合層であることを確認した。
また、多層配線基板の表面に露出する貫通導体およびその周囲の凹凸を3次元レーザー変位計で測定した。測定領域は3mm×3mmとして、最低点と最高点との差を貫通導体の基板表面からの突出量とした。その結果を表3に示す。なお、表3には5つのサンプル結果における突出量の最高値を示し、15μm未満を良品とした。
さらに、表面配線層をめっき処理した(めっき液に浸漬した)多層配線基板を、断面SEM観察により、貫通導体とガラスセラミック絶縁層の間のセパレーション発生の有無を確認した。その結果を表3に示す。
別途、接触角測定用として、第2のガラス粉末から直径5mm、厚み2mmのガラスタブレットをプレスにより作製した。また、厚み400μmのセラミックグリーンシート積層体およびセラミックグリーンシート積層体に10mm角の前記銀粉末のペースト膜(銀粉末100質量部にアクリル系バインダー10質量部添加したもの)をスクリーン印刷してなるベース層を作製した。そして、ベース層(セラミックグリーンシートおよび純銀ペースト膜)上にガラスタブレットを載せ、大気中900℃、1時間保持で焼成した。さらに、図3および図4に示すように、同時焼成したベース層とガラスタブレットの冷却後の断面をマイクロ顕微鏡で確認し、セラミックグリーンシートが焼結したガラスセラミック絶縁層上、銀粉末のペースト膜が焼結した銀膜上のガラスタブレット(第2のガラス粉末)の接触角θを算出した。その結果を表3に示す。
なお、表3には第2のガラス粉末のガラス転移温度と第1のガラス粉末のガラス転移温度とを対比して、第2のガラス粉末のガラス転移温度の方が低い場合には低と示し、第2のガラス粉末のガラス転移温度の方が高い場合には高と示した。
Figure 2009266993
表3より、混合層の幅が10μm以上である本発明の範囲内の試料No.2、3、7〜9については、貫通導体の基板表面からの突出量の最高値が15μm未満と実装性が良好で、且つ貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間にセパレーションがないことがわかる。
これに対し、混合層の幅が10μm未満である本発明の範囲外の多層配線基板である試料No.1、4〜6については、貫通導体の基板表面からの突出量の最高値が15μm以上であり、さらに貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間にセパレーションが存在した。特に、試料No.1は貫通導体にガラスを添加しておらず、貫通導体の基板表面からの突出量が著しく上昇した。また、試料No.5については、第2のガラス粉末のガラス転移温度が第1のガラス粉末のガラス転移温度より低くても、第2のガラス粉末のセラミックグリーンシートに対する接触角が銀粉末のペースト膜に対する接触角よりも大きいことから、貫通導体の基板表面からの突出量が15μm未満とならず、貫通導体とガラスセラミック絶縁層との間にセパレーションが発生していることがわかる。
本発明の多層配線基板の一実施形態の概略断面図である。 図1に示す最上層に位置するガラスセラミック絶縁層の要部拡大図である。 第2のガラス粉末のガラスセラミック絶縁層に対する接触角の測定方法についての説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示すA−A線矢視断面図である。 第2のガラス粉末の金属膜に対する接触角の測定方法についての説明図である。
符号の説明
1・・・絶縁基体
1a、1b、1c、1d・・・ガラスセラミック絶縁層
2・・・貫通導体
3・・・表面配線層
4・・・内部配線層
5・・・混合層
61・・・第2のガラス粉末
62・・・ガラスセラミック絶縁層
63・・・金属膜

Claims (2)

  1. 第1のガラスを含むガラスセラミック絶縁層が複数積層されてなる絶縁基体と、該絶縁基体の少なくとも最上層および最下層に位置する前記ガラスセラミック絶縁層に形成された第2のガラスを含む直径100μm以下の貫通導体とを具備してなる多層配線基板において、前記貫通導体と前記ガラスセラミック絶縁層との間に前記第1のガラスと前記第2のガラスとを含む幅10μm以上の混合層を有することを特徴とする多層配線基板。
  2. 第1のガラス粉末を含むセラミックグリーンシートを複数積層してなり、少なくとも最上層および最下層に配置される前記セラミックグリーンシートに貫通孔を形成するとともに、該貫通孔に金属粉末および第2のガラス粉末を含む貫通導体用ペーストが充填されたセラミックグリーンシート積層体を作製し、該セラミックグリーンシート積層体を焼成する多層配線基板の製造方法において、
    前記第2のガラス粉末として、前記第1のガラス粉末のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度であり、かつ前記セラミックグリーンシートが焼結したガラスセラミック絶縁層に対する接触角が前記前記金属粉末のペースト膜が焼結した金属膜に対する接触角よりも小さいガラスを用いることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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JP2016025200A (ja) * 2014-07-18 2016-02-08 京セラ株式会社 配線基板およびその製造方法

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